※この作品はR-18です。

【書籍化&コミカライズ】ツンデレ女子が幼馴染の鈍感男子に「ざまぁ」されていたので、寝取って教え込んであげた話   作:タイフーンの目

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本日は3話更新です。(2話/3話中)
7時、17時、23時ごろ予定。


番外編02 青い欲望と仮面の彼と

 

 ■ ■ ■

 

 

「お? いいじゃん、楽しそう。涼介くんか――」

 

 翌日の休み時間、拓真の教室に行って相談したところ、彼は二つ返事でOKしてくれた。

 

「ほんと? けっこう手強そうな子だよ?」

「真凛ちゃんより?」

「うーん、同じくらい……」

「はは、じゃあ相当だな」

 

 よく日に焼けた顔でカラカラと笑う。拓真の所属する野球部では髪型は自由だ。伸ばす部員もいるが、坊主頭とまではいかないまでも拓真は短くしている。

 野球には真面目に取り組みたいけど、ちょっと格好良くも見られたい――そんな彼の決意表明みたいで、真南可は微笑ましく見ている。

 

 保育園からの腐れ縁。子どもの頃から変わらない性格。

 家が近かったというだけの理由で仲良くなって、男子と女子なんて垣根はまったく感じなくて。いるのが当たり前で。

 

 2人の関係は、ずっと変わらないと思っていた――。

 

 粗雑そうに見えて誰にでも優しく、野球だけじゃなく苦手な勉強にも一生懸命で。ただでさえ人間として好きだったのに――『男の子だ』と意識してからはもうダメだった。

 

 それは野球部の合宿で、練習後に男子たちが上裸になってホースで水浴びをしていたときのこと。女子マネージャーとしては日常的な光景だ。最初は真南可だって何とも思わなかった。

 

 けれど。

 びしょ濡れの拓真にタオルを渡したとき、いつもと変わらない笑顔で受け取った彼の、その身体を初めてマジマジと見てしてしまった。服を着ていると細く見えるのに、本当はたくましい骨格と、野球のために鍛えられた筋肉。長い腕。大きな手。タオルをギュッと掴む力強い指――。

 

 ――拓真は、女の自分とは違う生き物なのだと本能で理解した。

 

 それからしばらくは、彼をまともに直視できなくなってしまった。それでも何とか距離を縮め、真南可のほうから告白して――めでたく交際がはじまった。

 

 拓真と付き合い出して、手も繋いだし、部活の帰り道にキスも済ませた。その先は……少しだけ。まだ一線は越えられていなくて。でも何かきっかけさえあれば……。

 

 

 

「――真南可、どうした?」

「えっ、なんでもないけど!?」

 

 頭を切り換えて妄想を振りはらう。いつもの自分に戻らないと。

 

「部活ない日なら大丈夫かな」

「だな。日曜なら練習休みだし――あ、でもおばさんたち居る? 俺、邪魔じゃないか?」

「ううん。お母さんたちはデートだって」

 

 息子と娘たちを置いて出かける予定だ。幸せそうでいいことだ――それが標準的な大人の振るまいかはともかく。

 

「真凛ちゃんもしっかりしてるし、真南可もいるし心配してないんだろ」

「まあね」

「……つっても、その『お姉ちゃん』は男を連れ込もうとしてるんだけどな」

「男って、拓真でしょ。男のカウントに入らないし」

「えー、酷くね? 俺、意識されてないの? 恋人だよ恋人!」

 

 わざとらしく傷ついたような顔をするから、つい吹き出しそうになってしまう。

 これだ。

 この軽口をたたき合える空気がたまらなく愛おしいんだ。恋人同士になってもこの幼馴染みとは変わらない関係でいられる。それがとても心地良かった。

 

(やっぱり好きだな……)

 

 恋人の笑顔を前に、真南可もにっこりと顔をほころばせた。

 

 

 ■ ■ ■

 

 

「お邪魔しまーっす!」

 

 そしてよく晴れた日曜日の午後、拓真がやって来た。

 部活は休みだったとはいえ、彼は自主的に朝からトレーニングに励み午前中を過ごしていたらしい。

 

 さて、問題はこれからだ――涼介と真凛、そして真南可の関係を円滑なものにする。果たしてうまくいくだろうか?

 

「へぇ、メッチャいい家じゃん。うちと大違い」

「拓真。あがって」

 

 不安を抱えつつ玄関で彼を迎えていると、背後から声がかかった。

 

「――その人が拓真さん?」

 

 真南可は思わず声を上げそうになった。

 涼介がそこに立っていること、それ自体は驚くことじゃない。家にいるのは当然だ。ただ――

 

「はじめまして。いつも姉さん(・・・)がお世話になってます」

 

 爽やかな笑顔で拓真に接する涼介。

 

(誰…………っ!?)

 

 見たことのない義弟の様子に、理解が追いつかない。

 拓真も一瞬目を見張っていたが、

 

「そ。よろしく――涼介くん、だよな。真南可から聞いてるよ。悪いな、家族水入らずのところ」

「いえ。こちらこそ姉さんが無理やり誘ったらしくて。どうぞリビングに。義妹(いもうと)も拓真さんのこと待ちかねてるみたいだし」

 

 ごく自然な振る舞い。そつのない態度。

 真南可があっけに取られているうちに、彼はまたリビングへと引っ込んでいった。

 

 靴を脱いだ拓真が耳打ちしてくる。

 

「聞いてた話とちがくない? メッチャいい奴じゃん」

「い、いつもはあんなじゃないんだけど……」

 

 考えていたとおり、女ばかりに挟まれて居心地悪く感じていたのだろうか? だから同性相手なら気兼ねなく話せるとか。

 それとも単に真南可や真凛の性格を気に入らなかったから? あるいは親の再婚そのものに強く反対していたとか――

 

 いや。

 真南可はなんとなく気づいた。

 

(もしかして、外面(そとづら)がメチャクチャいいってこと……!?)

 

 涼介の態度はどうにも慣れているふうだった。素の性格というより『人当たりのいい人間』を演じるのが堂に入っているというか……。

 

(……考えすぎかな?)

 

 さっきまでとは別の不安を感じつつ、遅れて真南可もリビングに入った。

 

 

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