【書籍化&コミカライズ】ツンデレ女子が幼馴染の鈍感男子に「ざまぁ」されていたので、寝取って教え込んであげた話 作:タイフーンの目
7時、17時、23時ごろ予定。
■ ■ ■
真南可は悶々とした日々を過ごすことになった。
涼介のことを煽ってはいたが、まさか本当に手を出されるとは思っておらず――そのくせ、翌朝から彼は、何ひとつ変わった様子を見せない。
「真凛。トマトも食べろよ」
「――――。はい、兄さん」
朝食のサラダを野菜嫌いの真凛に食べさせ、自分の登校準備も済ませて家を出て行く。
「姉さんも早くしないと。遅刻するよ」
「わ、わかってる」
形のいい彼の唇から発される声音に、今度はこちらが煽られるようだった。けれどその一方で――
(……あんなことしておいて)
と、苛立ちもした。真南可には彼氏が居ることを知っているのに。『兄さん』だなんて呼んで
どういうつもりなのか問い詰めようと、登校中の彼の背に追いつくが、
「ねえ涼介、昨日の――」
「昨日? ああ、夕飯のポトフ? 姉さんおかわりしてたもんね。でも今夜のメニューはもう決まってるよ」
「ちょ――」
「……姉さん。どこまで付いてくる気? 姉さんの学校こっちじゃないでしょ。そんなに俺と一緒にいたいわけ?」
「――――っ、あのね!」
「また夜に」
ちょっと怖いくらいの余裕を見せて、彼はさっさと行ってしまった。
■ ■ ■
学校で過ごしていても、そのモヤモヤはずっと付いてまわった。昼休みの教室でも上の空でいると、前の席に座った拓真は、こちらの顔をのぞき込むようにして、
「どうした真南可、何か悩みごとか?」
さすが幼馴染みというべきか。顔色の違いをすぐに察したようだ。
「え、いや」
言葉が詰まる。
昨夜、彼とは別の男子とキスをしたのだ。それも一緒に住む義弟と。いくら拓真にでも話せない――拓真だからこそ話せない。
「なんでもないし。それよりさ……今日は拓真の家行ってもいい?」
「おう、そりゃ別にいいけどさ」
ニカっと笑う拓真の顔。
胸の内には安堵と同時に、今までにない後ろめたさが広がる。
ここのところはもう暗黙の了解になっているが――放課後のデートでは必ずセックスをする。彼に抱かれれば、きっとこんな気持ちも全部吹き飛ばしてくれるだろう。
(帰るのが遅くなるって……真凛にメッセージ送っておけばいいか)
早く、この幼馴染みに愛されたい。
そんな気持ちに浮かされて午後の授業も身に入らなかった。
■ ■ ■
「ただいま」
軽い足取りで真南可は師藤宅に帰宅した。
拓真と過ごしたときの感触はまだ肌のあちこちに残っていて、それは夏の夕焼けにも負けないくらい熱くて――悩んでいた時間がまるで嘘のようだった。
それもこれも拓真のおかげだ。
彼の部屋で全力で愛し合って、将来について囁き合う。そんな幸せな時間が懊悩をすべてかき消してくれた。
帰宅が遅くなり、夕飯を作ってくれているであろう義弟には申し訳ないが――そこは素直に謝ろう。
「涼介、真凛――」
もはや見慣れたリビングに入ると。
果たせるかな義弟と妹は食事を終えており、両親も帰っていないリビングで2人で過ごしていた。ソファに座り、壁掛けテレビの大画面で恋愛リアリティーショーらしきものを視聴している。
それはいい。それはいいのだが――
「この男は嘘をついてるね」
「ええ。演技といえば全員が演技ですが……彼は演出を超えて、他の出演者を騙しています。視線の扱い方がうまいです」
「話すタイミングもよく選んでる。相手の呼吸を読んで、いい間で声をかけてるよ」
「勉強になります」
視聴というより『観察』に近い見方をしていることもさることながら――真南可を戸惑わせるのは、2人が抱き合っていることだった。ソファで深々と座った涼介の膝に、真凛が座って首に抱きついている。
「ああ、おかえり姉さん」
「おかえりなさい」
振り向く2人の顔には、慌てた様子などまったくない。涼介はもちろん、我が妹ながら真凛も常人離れした美貌の持ち主だ。そんな2人が『お姫さま抱っこ』の体勢でいるのは、あまりに絵になりすぎている。
「あ、あなたたち、そんな――」
ついこのあいだまで没交渉だった2人が、真凛に至っては敵意すら抱いていた関係性だったというのに、この急接近は異常だった。
真凛が――母や真南可にだってこんなに甘えたことはない真凛が、男である涼介にベッタリとくっついて身を預けている。
「ご飯なら出来てるよ。悪いけど、自分で温めてくれる?」
涼介の視線はすぐ画面に戻る。
(…………っ)
言外に、妹に構うほうが大切だといわれたようで胸がザワつく。昨夜はキスまでしてきたくせに。真南可に対して、男として興奮していると宣言していたのに。
あれが全部なかったことのように振る舞われると、真南可の女としてのプライドが――拓真によって高められていた自尊心が、ひどく傷つくような気がした。
「あのさ、涼介。ちょっと来て」
「今いいところなんだけど?」
「いいから……!」
涼介が呆れたような仕草で立ち上がる。
「兄さん。早く戻ってきてくださいね」
真南可に連れられリビングを出る涼介に、真凛がかけた甘ったるい声も、やけに耳に残った。
■ ■ ■
「ねえ。さっきの何?」
「何って」
昨日と同じ2階の廊下で涼介を問い詰める。
「あなた、まさか真凛に何かしたんじゃ……」
あのなつき具合は異常だった。人に気を許さない真凛が自分からボディタッチしてまでじゃれつくなんて。
思春期の男女だ。初めて近くに感じる年上の男子に惹かれることもあるだろうし、それを可愛く思うのも無理からぬことかもしれないけれど。
「一応きょうだいなんだし」
「一応、ね」
フ、と涼介が鼻で笑うのもしゃくに障る。
「っていうか、姉さん何を勘違いしてるんだ? 俺は何もしてないよ。妹に変なことなんてするわけないだろ」
「でもゆうべは――」
「キスしたこと?」
臆面もなく言い放つ涼介は、さらに恥ずかしげもなく、
「あれは姉さんだから」
「っっ!? そ、そういうセリフも、さっきの動画みたいなので覚えたの?」
感情を隠すため語気を強めるが、動揺を隠しきれない。
「意識もするでしょ。毎日毎日、姉さんと兄さんがセックスしてたら」
「なっ――」
「いや、気づくでしょ。兄さんが初めてウチに来た日からヤってたでしょ?……この部屋で」
「涼介っ――!?」
言いながら義弟は、真南可の身体を押し込むようにして部屋に押し入る。真南可の部屋だ。
(バレてた? 最初から……!?)
恋人と2人で部屋に籠もっていたのだから、多感な年頃の涼介に気づかれるのは半分覚悟していたし――そのスリルが密やかな愉しみにもなっていた。
とはいえ、あの日のことが、この部屋で拓真に初めて抱かれたことすら言及されるとは夢にも思っていなかった。
「――――っ!」
涼介に掴まれた右の手首が痛い。たいして身長の変わらない、線の細い年下の男子なのに、その手指は力強い。彼も『男』なのだと思い知る。けっして軽々しく挑発していい相手ではなかった。
「んっ!? んむっ!? りょ、涼介っ……!?」
またも唇を奪われて、そのままベッドに押し倒されてしまう。世界が反転するかのような衝撃。視界いっぱいに涼介の顔。彼は――ムカつくくらいに余裕のある微笑で見下ろしてくる。そして何度もキスをされる。ベッドに押さえつけられたまま、何度も、何度も。
彼の両腕は巧みにこちらの抵抗を制しながらも、体中をまさぐってきた。
「や、やめなさいってば!? そ、そんなの冗談じゃ済まなくなるよっ――!? あっ!?」
姉らしく諫めようとしても、威厳などまったく発揮できない。
彼の手指は怖いくらい力強いのに、柔らかなところにはとても優しく触れてくる。制服のブラウス越しに乳房を撫であげられ、ブラの硬さなど無視して的確に突起を指で弾かれる。
「んっく!? あ、ふっ……!?」
指先でカリカリと焦らされる。まるで自分で慰めているときのように――的確すぎる力加減で。
「や、やめて! やめなさいっ……!」
力尽くで襲われて、怖くて悔しいはずなのに――涼介から与えられるのは苦痛ではなく、ひたすら抗いがたい性感ばかりなのだ。
悲鳴をあげれば真凛が駆けつけてくれるかもしれないが、こんな姿は見せられない。大人びていてもまだ妹は子どもだ。義理とはいえ姉弟がベッドでもつれ合うところなんて。隣家に声が及ぶのもはばかられる。
こんなときに拓真がすぐ側にいてくれたら――でも今は、自力で涼介を拒絶するしかない。
「本気で、怒るからっ……! んぶっ!? んぐ、んぅッ!?」
唇をこじあけて、ヌルリと舌が挿し込まれてくる。弟はこんなことをどこで覚えてきたんだろう――彼の舌が口腔内を滑らかに愛撫する。
無理やり組み敷かれての粘膜接触、唾液交換なんて、普通なら不快感しかないはずなのに。けれど涼介に抱きしめられてするキスは、まるで直接体内に媚薬を流し込まれるかのように正常な思考能力をうばっていく。
ブラウスが脱がされる。下着が露出する。嫌というほど汗を掻いた柔肌が、涼介に嬲られる。
「駄目っ!? あっ!? あぅッ!?」
ブラの隙間から滑り込んできた指が突起を弾く。恥ずかしいほど勃起していた乳首から電流のような刺激が全身に走り、下半身がビクリと跳ねる。
(嘘、嘘っ――……!)
義弟に犯されようとしている今の状況が信じられない。現実感がまったくない。足をばたつかせても涼介の足に押さえ込まれて動けない。
絶望と屈辱と後悔が、頭の中をグチャグチャにしていく――。
※明日からは1話ずつ、23時ごろに更新です。