【書籍化&コミカライズ】ツンデレ女子が幼馴染の鈍感男子に「ざまぁ」されていたので、寝取って教え込んであげた話 作:タイフーンの目
「ねえ、本当によかったの……?」
中庭まで涼介に引っ張られてきてキリエは、彼の背中に問いかける。あれだけ友人に――可愛い女の子たちにも囲まれていたのに。
「俺、キリエ以外の女子に興味ないから」
「…………」
「あ、信じてないな」
「そんなワケじゃないけど……!」
彼の場合、軽口の中にも本音が混じることがある。それを、キリエはようやく察することができるようになってきた。重ねてきた時間はまだ短いが、そのぶん濃密だったおかげだろう。
「実は、キリエに話してなかったんだけど――」
「え」
「俺、もともとは主人公役のオファーを受けてたんだよね」
まるで俳優気取り――なのだけれど、ごく自然な言いぐさだからついそのまま受け入れてしまう。
「主役の男子って、たしか……」
色々と気が気じゃなかったから、半分ほどしか内容を覚えていないけれど。恋愛をテーマにした動画で主人公の男子とヒロインは、最後は結ばれあわやキス……というラストシーンだったはずだ。それは記憶している。
男女2人の横顔がアップになり、唇が触れる寸前にカメラが動いた。だからキスを直接は描かなかったものの、明らかにそうだとわかる、背伸びした女の子の足元で映像は終わったのだ。
そこで観客の悲鳴や喝采が沸き上がったから印象には残っていた。
「ああいうの、俺はNGだし」
「それって――」
私のため?
と聞きかけて、やめた。
涼介なら「そうだ」と首肯してくれるだろう。でも――
「もしかして、キリエのために辞退したのかも、って思ってる?」
「う……」
やっぱり彼には見抜かれてしまう。恥ずかしい。
「それもあるけど、俺のためでもあるから」
「?」
「キリエを傷つけたくもないし――キリエに嫌われたくもない」
「……っ」
「欲張りだろ? 自分でもそう思う」
涼介は自嘲気味に笑った。
「これでも立ち回りは上手い方だって自信はあったんだけどな。今回は、ちょっと変な空気になってでも断りたかったし、実際良かったと思ってるよ」
「……ちょくちょく、自慢入れるよね。涼くんって……」
「はは。普通にしててもデキちゃうし?」
「あっそ」
呆れたふりをしながらも――やっぱり、嬉しかった。
「あさっても楽しみだな」
「あ。う、うん」
今日は金曜日。
あさってはキリエの誕生日だ。デートの約束をしている。
「1日中、付き合ってくれるんだよな」
「ま、まあね……」
独占欲なんてないほうだと自分では思っていたのに。彼の中の優先順位。それが高ければ高いほど、嬉しい。自分の存在が、大きければ大きいほど安心する。
「…………欲張りなのは、私のほうだよ」
「ん?」
「なんでもない……っ!」
耳を寄せてくる涼介を振り切って、中庭を横断する。
体育館とは違って、2人を注視する者はいない。皆、めいめいに文化祭を満喫していた。
中には、一目でカップルだと分かる男女もいる。
「――……」
「俺たちもアレやる?」
「えっ」
「2人で記念撮影~」
スマホを取り出して、揺らしてみせる。
あっちのベンチに座っているカップルも、肩を寄せ合ってスマホで自分たちを撮影していた。
「クラスTシャツで、ペアルックっぽいし。この写真撮れるのは今だけでしょ」
撮られるのは苦手だ。
けれど、涼介の写真が手に入るなら――
「ま、まあ。こういうときくらいは……いい、けど」
「ガチで!? やった!」
了承を得た彼の行動は早かった。
すばやくキリエの右斜めうしろに陣取り、左手を肩に回してくる。
「ち、近いってば」
「こうしないと2人写らないだろ。――いつもは、あんなにくっついてくるくせに」
「撮らないよ!?」
からかわれるだけで心音が激しくなる。こんなに密着しているだけに、涼介にまで伝わってしまいそうだ。
彼は、その長い腕を伸ばして、斜め上から2人を画角に収める。
「キリエ、笑って」
そう言われても、愛想笑いは苦手だ。
「……キリエ」
と、涼介が急に声のトーンを落として耳元で囁いてきた。
「愛してるよ」
「はぁっ――!?」
――カシャッ
「ちょっと!?」
「うん。こっちのほうが俺たちらしいか」
カラカラと笑って画面を見せてくる。
目を見開き、涼介に向かって怒っている自分。
それを受け止め、爽やかに笑っている涼介。
「こ、これなし……っ!」
「いいじゃん。怒ってるところも可愛いし」
スマホを取り上げようとしても手が届かない。背が高いのもムカつく。全部ムカつく。全部が……大好き。
喧噪のなか、2人の文化祭は過ぎていった。
■ ■ ■
無事に文化祭も終わり、いつもとは違う空気の学校をあとにして涼介は帰宅した。
いつものように真凛と夕食をとり、シャワーを浴びて自室へ。
ベッドに腰掛け壁に背をあずけ、スマホを開いた。
昼間に撮った画像だ。
「はは。ホント、いつもどおりだな」
我ながらいいタイミングでシャッターを押せたものだ。キリエの表情はごく自然。――最初は、傷ついた姿に惹かれ、快楽に浸らせ壊すつもりで近づいたのに。
今では、昼間にも告げたとおり傷つけたくないし、愛しく思って欲しい。ただ、そう感じる自分がどうにもまだ慣れなくて、
(……ま、からかい甲斐があるしな)
そこで嗜虐心を満たしているのだ、と自分に言い訳。
――してみると、またぞろ悪戯心が芽生えてきた。
髪を指先で軽く整え、スマホで自撮り。そのままキリエに送りつけてやった。
すぐに『既読』のメッセージがつく。
どんな反応をしてくるだろうか……。
スマホを手に、固まっている様子を思い浮かべると、また笑いが込みあげてくる。
返信はないかもしれないと覚悟していたが、2~3分ほどして、やっと
『ナルシスト!』
のひと言だけが返ってきた。
これもキリエらしい。
否定も肯定もせず、そのままメッセージを終えてみる。
これもいつものテンポだ。
飽きない女の子。
他人に自慢するより、自分だけのものにしておきたい。
20分ほどスマホをいじっていたがキリエからそれ以上のメッセージは来ない。
今日はもうやり取りも終わりだろう。
そう思ってベッドから立ち上がろうとしたとき、
――ピコン
通知音が鳴った。
「?」
あの流れから、今度はどんなメッセージが――
「――って、おいおい」
画面を見て、思わず頬がひきつる。
言葉の代わりに画像が送られてきた。
キリエの自撮りだ。
自室の壁紙が背景。おそらく彼女もベッドの上なのだろう。リラックスした部屋着のTシャツで、顔を真っ赤にして、恥じらいのために複雑な笑顔で。
そんな彼女の画像が送られてきたのだ。
『は?』
『可愛すぎでしょ』
タタタン、と、反射的にメッセージを打つ。
既読。
そして、
『おやすみ!』
とだけ返ってきた。
今度こそ、そこでやり取りは終了した。
「まったく――」
どかりとベッドに座り込む。
この場に彼女がいたら間違いなく襲っているだろう。何なら今からでも、彼女の家に乗り込んでいくうまい理由はないかと策略が頭をめぐる。
さすがに、それは自粛するが。
それにしても、だ。
「俺が振り回されてどうするんだよ……」
可愛すぎる恋人の画像を手に、深くうなだれた。
■ ■ ■
(送っちゃった送っちゃった送っちゃった……!)
同時刻。
キリエは激しく後悔していた。
熱い。せっかくお風呂にも入ったのに、全身がカッと熱くて汗がにじみ出てくる。眠る前にまたシャワーを浴びる必要があるだろう。
「あああ、私は、なんで、なんで……っ!」
ベッドに突っ伏して、イヤイヤと首を振る。
自撮りなんて初めてだったし、ましてやそれを他人に――しかも男子に送りつけるだなんて。
「~~~~…………っ!」
枕に顔を押しつけ、声にならない声でうめく。
やってしまった。
もう駄目だ。
メッセージアプリを閉じよう。閉じたら、なかったことにならないだろうか……。
などと現実逃避しつつ、右手に握りしめていたスマホをチラリと見やる。
「…………」
自分の画像は意識してスルー。けれど、少し上に履歴をたどると――そこには涼介の自撮り画像が。
「…………」
指が、驚くほど冷静に動く。長押しして、保存。保存した画像を開くと、いつもの余裕ったらしい笑顔の涼介が画面いっぱいに映し出される。
「~~~~っっ!」
照れる。熱い。カッコいい。ムカつく。さまざまな感情で頭がグチャグチャになる。
呼吸を整え、落ち着いて、今日の写真をまた最初からたどる。文化祭のクラス展示。友人たちの写真。
そして、中庭で撮った2人の写真。
涼介の写真。
「うぅううっ~~~っ!」
たまらず、ベッドの上で足をバタバタさせる。
この、羞恥を含んだむず痒さは何なのだろう。言い表せない感情だらけだけれど――
(好き! 好きすぎる! もうだめ、好きっ……!)
もはや制御不可能な思考で、パニック状態だった。
「はぁ……」
夜なのに完全に目が冴えてしまった。いくらベッドの上でゴロゴロしても、火照った気持ちと体が治まらない。
何度もスマホを開いて、画像を見てしまう。
2年生の現在、春まではあんなヤツのことなんて何とも思っていなかったのに。むしろ、嫌いなタイプだったはずなのに。
今では――
「あぅう……」
寝転んで、画像を見ているだけで幸せだ。
思わず、スマホをギュッと胸に抱きしめてしまうくらいには。
(涼くん、涼くんっ……)
胸中で名を呼ぶと、さらに体が熱くなる。そのうっとりするような媚熱は、頭からつま先までを駆け巡って、そして……下腹部に行き着く。
(――っ!? 駄目、それだけは、本当にダメっ……!)
対する脳内では、理性を総動員させていた。
好きな人の画像。
それを見て、はしたない行為に及ぶなんて、そんなことは決して――
(駄目だから、本当に、駄目……だから……)
右手が、理性とは別のものに突き動かされる。するすると、ゆっくりと、けれど決して迷わずに――ドルフィンパンツの中に滑りこみ、お風呂で代えたばかりの下着の中へと潜っていった。
陰唇はぴたりと、何事もないように閉じている。けれど、指先でその柔らかな襞を左右に少し広げてやるだけで、
――じゅくんっ
「…………っ!?」
と、奥から体液がにじみ出てくる。膣内は、とっくに愛蜜で濡れきっているのだ。
(ダメダメ、明日から涼くんの顔、見れなくなるっ――)
どうにか冷静になろうとしても、無駄だった。
指が勝手に動く。くるくると円を描くように、大陰唇と小陰唇を弄ぶ。
「あっ、ふっ、ふぅっ――」
口元を枕に押しつけて声を殺し、細めた目でスマホの画面を見つめる。笑顔の涼介。大好きな人の、大好きな笑顔。
「やっ、あぁっ、ふぁぅッ――!」
じゅくじゅくの陰部を、右手が弄ぶ。膣口から蜜が溢れて仕方ない。
「あっ、あっ、腰、うごいちゃう――っ、やぁあ、涼くんっ……」
切ない声が漏れるのも止められない。クリトリスを優しく転がし、ぎゅっと押して、また離して。
何度目かの軽いアクメのあと、ようやく中指が膣口から侵入する。
「あッ――!?」
危ない。大きな声が出るところだった。枕も唾液で濡れてしまっているが――もう、それどころではなかった。
(涼くん、涼くん、りょうくんっっ……!)
彼の指が与えてくれる快感とは比べものにならない。弱い。刺激が弱い。彼の、長くてゴツゴツした、けれど繊細な指が与えてくれる快楽より、ずっと弱い。
でも、気持ちがいい。
たまらない。
彼のことを想いながら膣内をいじるのが、気持ちいい。
(好きっ、すきっ、大好きだから――っ!)
体育館で連れ去ってくれた彼。
いつもからかって、振り回してくる彼。
(いっちゃう、指だめっ、そこ、気持ちいいからだめっ――、いく、イっちゃう、イっちゃうっ――)
中指が何度も何度も、ヌルヌルの穴を往復する。下着の中でいやらしい音がする。
膣内がビクビクと収縮した。全身に力が籠もり、足先がピンと伸びる。淫らな悦びで、全身が燃えるように熱くなって――
「いッ、~~~~~っっ……!」
ベッドの上で、キリエは果てた。
「うう、私……、最低……。変態すぎる……」
激しい罪悪感に苛まれながらも、涼介の写真だけは絶対に消去できなかった。