【書籍化&コミカライズ】ツンデレ女子が幼馴染の鈍感男子に「ざまぁ」されていたので、寝取って教え込んであげた話 作:タイフーンの目
このたび、本作の第2巻が2025年6月27日(金)に発売されることになりました。
これも本作を応援してくださった皆様のおかげです、ありがとうございます!
内容はこちらで掲載している番外編1、2を推敲したものと、特典として『キリエとのイチャラブコスプレHシーン』も8千字ほど書き下ろしております。
出版は引き続きフランス書院さまから、今回も電子書籍のみの販売です。
そしてこちらも引き続き、どどんと『フルカラー挿絵5枚』付きです!!
フランス書院さまのサイトでは試し読みも開始されていますのでぜひご覧ください。
・特設サイト:https://www.france.jp/book/10045
(※『試し読み』ボタンから、真南可のイラスト付きエッチシーンを試読できます)
また、今回のイラストではなんと、義妹の真凛ちゃんも描いていただきました!
エッチシーンでこそありませんが、眺めているだけでゾクゾク来る仕上がりになっております……!
こちらは試読では確認できないので、ご購入いただいた方のみご覧いただけます。ご了承ください。
・Amazon(予約始まってます):https://amzn.asia/d/8IKBLO6
……ということで、真凛ちゃんのプチ番外編を3話に渡ってお送りいたします。
(こちらは書籍には載っておりませんのであしからず)
時系列は番外編2と同時期。
そして、番外編1では描かれなかった裏のやり取りも……。
それでは、短いお話ですがお楽しみいただけましたら幸いです。
番外編29 真凛ちゃんの観察日誌①
「師藤さん、師藤真凛さん――」
放課後の廊下で教師に呼び止められたので、真凛は素直に立ち止まり、振り向いた。
「なんでしょう?」
「あのね、ちょっといい?」
教師はこちらの機嫌を探るようにしながら、生徒指導室へと真凛を導いた。
女性同士なのでドアは閉められる。テーブル越しに向かい合って座るよう促され、
「もう少しだけ、クラスの子たちにも優しくできるかな」
先日、隣の女子と『口論』になったことを咎められているらしい。もっとも、真凛の認識では『楽しくおしゃべり』していただけだが――
「先生のおっしゃる優しい、とは、つまり相手の感情を慮って、たとえやや倫理に反する言動であっても同調しろ、ということでしょうか」
「え、ええ。……その、悪いことを悪いと注意しないで、ということではないのよ? ただ言い方が――」
「ごめんなさい」
反省し、頭を下げる。
「つい、彼女たちの反応が面白くて」
「――――」
眼の前で教師が閉口している。
思春期の生徒たちと向き合ってきた彼女も、真凛のことは扱いづらいようだ。
「すみません、お仕事を増やしてしまって」
それは本当に申し訳なく思っている。
別に教師を困らせたいわけではないし、こうして構ってくれるのも嫌ではない。彼女は、ちゃんと職責を果たしているのだ。
「……師藤さん。私のことはいいのそれより貴女が」
彼女は心底心配した様子で話しかけてくれているが、これもまた申し訳ないことに、真凛は別のことに思いを馳せていた。
――師藤さん。
そう呼ばれると未だに嬉しくなる。
あの家の一員なのだと――
『彼』の妹なのだと、しみじみと実感できるからだ。
先ほどなどは『師藤真凛さん』と呼び止められたものだから、特に今は上機嫌なのである。
「他の子にも、私から話すから」
教師のなかには見て見ぬふりをする者もいる。
けれど、この担任教師は、他の女子から真凛への攻撃行動も食い止めようとしてくれていた。
善良な人間といって差し支えないだろう。
ただし、当の真凛は自分がイジメの被害者とは思ってはいない。
多感な少女たちの、行き場のない感情が自分に向けられているだけだと知っている。あるいは、得体のしれない存在を恐れるあまり、集団で攻撃して安心しようとしているのだと――そのように、ちゃんと理解している。
そんな彼女たちを、軽く言葉でくすぐってやるだけで、その矛先がより鋭くもなると、わかっていながら、ついやめられない。
「私の悪い癖ですね。次からは気をつけます」
なるべく、と含みを持たせつつ微笑すると、教師は複雑そうな表情で小さくうなずいた。
彼女の中で、できうる限りで職責は果たしたという言い訳と、それでも真凛の状況はいっさい変わらないであろうという確信からくる罪悪感とが、ない交(ま)ぜになっているのが見て取れる。
やはり、良くも悪くも善人なのだ、この女性は。
観察の結果、真凛はそう結論づけた。
そして興味を失った。
今日はもう、彼女から得られるものはなさそうだ、と。
「お話も終わったようですので」
退室しようとする真凛を、また彼女が呼び止める。
「師藤さん」
「はい」
「なにか困ったことがあったら」
「ええ。よろしくお願いします、先生」
居住まいを正し、会釈をしてから、
「それではもう下校しますね。兄より先に家に帰りたいので」
自然とあふれる笑顔を彼女に向けてから、真凛は軽い足取りで家路についた。
■ ■ ■
帰宅してしばらくすると、兄が帰ってきた。
今日も、恋人と一緒だ。
真凛は制服のまま彼らを出迎える。
「キリエさん、おかえりなさい!」
たたたっと走って、まだ靴も脱いでいないキリエに抱きつく。
「ちょ、真凛ちゃん……!? も、もう……!」
「おいおい、俺よりキリエかよ」
「あ。兄さんもおかえりなさい。抱きついていいですか?」
「パス」
「兄さんが冷たいです。キリエさん、慰めてください」
「え、えぇ〜……」
キリエが困惑していると、涼介が、
「いつもみたいに頭撫でてやらないと、その子猫は満足しないぞ」
「う、うん」
兄の恋人は、とても優しい手つきで真凛の黒髪を撫でつけてくれた。真凛はキリエの髪に顔をうずめながら、その心地よさにうっとりする。
(いい匂い……兄さんの匂いもする……)
ここ最近は、家族が増えたようで幸せだ。
実の姉が別居してしまい寂しかったが、こうしてキリエが頻繁に訪れてくれるようになったし――何より、兄が幸せそうなのが嬉しい。
「おい真凛、もういいだろ。第一、キリエは俺のものだぞ」
などと言って、強引にキリエの肩を抱き寄せる。
「ちょっ!? 涼くん――っ!?」
「あは。今日も見せつけてくれますね」
「もう! 真凛ちゃんまで!」
こうして兄妹でキリエをからかうのが楽しくて仕方ない。
――しかも。
真凛も涼介も、一言たりとも嘘は言っていない。
他人を翻弄することにかけてはよく似た兄妹だと自負しているが――キリエは、こちらの本心をただ伝えるだけでいい反応を見せてくれるから、ラクだし、楽しい。
「ふふ。これ以上お二人の邪魔をしてると、また兄さんに怒られそうなのでこれくらいにしておきますね」
「ま、真凛ちゃん」
名残惜しいが腕をほどいてキリエから離れる。
「私は宿題でもしておきますから、あとはご自由に」
まだ照れ隠しで何かを言おうとしているキリエに手を振り、自室に籠もる。
真凛の部屋は1階。
二人は、涼介の部屋がある2階に上がっていった。
宣言どおり宿題をさっさと終わらせ、セーラー服のままベッドに寝転がる。
……今ごろ上の階では。
「きっと、セックスしてるでしょうね」
うきうきとした気分で天井を見上げた。
確定的な物音や声は聞こえて来ないが、そのような気配は感じられる。
「ふふ。いいなぁ、キリエさん」
嫉妬の感情はない。
兄を奪おうなどとは、露ほども思っていない。
真凛は、幸せを壊したいわけではないのだ。
むしろみんなに――特に家族には幸せになってもらいたい。
だから、涼介とキリエのことは全力で応援している。邪魔者が現れようものなら――どんな手段を使っても排除するだろう。
むろん、義兄に対する性的関心は強い。
彼に処女を奪ってもらう夢想など、それこそ数え切れないほど繰り返してきた。
制服のまま強引に組み敷かれる妄想。
お風呂あがりに、優しく包容されて全身をくまなく愛撫されて、汗だくになった身体を貫いてもらうイメージ。
あるいは通学路にある公園で、背後から獣のように犯されるシチュエーション。
「……兄さんっ」
いつしか右手がスカートの下腹部に伸び、秘部をぐにぐにと愛撫していた。
真凛が他人のセックスを初めて見たのは小学生のころだった。
当時、まだ再婚していなかった母が、恋人を前の自宅に連れ込み、性交に耽っていた場面だった。
娘の帰宅時間を失念していた彼女は、真凛がドアの隙間から覗いていることはおろか、家に居ることすら気づいていなかったらしい。
1匹のオスと、1匹のメスが交わるその様子は興味深かった。
なお、嫌悪感はまったく抱かなかったことも鮮明に覚えている。
単に、保健体育で習ったばかりの行為が目の前で繰り広げられており――授業では、子供向けにかなり抑圧された表現であったのだと、身を持って学ぶことができ、とても有意義な時間だった。
何より、その日の母は優しかった。
真凛は2人に気をつかい、そっといったん家から出てから、時間を置いて帰ってきた。
そのときには姉の
男の前で見せていたよがり狂った表情とは、まったく別人のように、穏やかで『母親らしい』笑顔を浮かべながら。
献立はシチューだった。
とても美味しかったのを、やはりよく覚えている。
これが幸せの味なんだと、真凛の
家族が幸せなのはいいことだ。
恋人とセックスをしたらしき日には、いつも母は嬉しそうだったし――姉の真南可も、幼馴染の
――その頃だ。
母が再婚をした。
それが今の義父だ。何人目の彼氏だったのかは知らない。
その父も母も、それから姉も幸せそうではあったのだが、1人だけ『異物』が混じっていることに、真凛は不満を覚えていた。
――師藤涼介。
彼は、初めて出会う人種だった。
胸の奥がザワザワした。
せっかくの『家族の幸せ』を、台無しにしてしまいそうな男性だと直感が走った。
今思えば、それは同族嫌悪だったのだろう。
見透かして、翻弄して、愉悦する。
まるで自分自身――いや、自分よりも、もっと上手くやる。
そんな確信が涼介に対する敵愾心を産んだのだと思う。
直感は当たっていた。
けれど彼は『幸せ』を壊してしまうどころか……。
※次話は明日22時ごろ更新予定です。