※この作品はR-18です。

俺がハーレムを作る話   作:どろんぱ(仮)

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第22話 金曜日~その5

[回想シーンの続き]

 

リャンさんに手土産の和菓子を渡すと、ティエンと呼ばれた少年が、受け取った。年はいくつだろうか、せいぜいカズさんと同い年くらいに見える。浮かぶ笑みはアンニュイで、男性にも少年にも興味のない俺でも、感情が少しだけ波立つ。

 

「城宮さん、お茶でよろしいですか。それともアルコールの方が良ければ、ご用意しますが」

「いえいえ、お構いなく。お茶で結構です」

「ティエン、準備しなさい」

「畏まりました」

 

やや片言の日本語で、ティエンが一礼して下がると、薄い背中が見えるが、そこには赤い蚯蚓腫れの痕がいくつもあり、思わず、表情が凍り付く。リャンさんは、依然として、微笑を浮かべていた。

 

「えぇと……リャンさんはいくつも会社をお持ちと伺いましたが、どのようなお仕事をされているんですか?」

「種を撒いて、実をならせて、回収する。とても時間が掛かる仕事です」

「なるほど……投資ということですか?」

「私の父は本国で国有会社を経営しております。そこで溢れた富を様々な国に投資する、やり方は様々です。会社を買うこともあれば、土地を買うことも、人や研究に金を出すこともあります。実がなるまでは、ひどく時間が掛かりますし実がならないことも少なくありません。しかも、失礼ながら、此方の国は種が健康に育ついい土壌とは言えません。ただ、富というものは水と同じ、流れなければ、腐っていきますし、分散しないと、氾濫が起きることもあります」

「……」

「私の仕事はただひたすらに種をまくこと。種をまいた土地は私たちのものになる。そうして、少しずつ私たちの土地を増やしていくのです。富が増えなかったとしてもそれが私たちの方針です」

 

よくわからないが、とにかくべらぼうに金を持っていることは伝わってきた。ぶっちゃけ俺が興味があるのはそこだけだ。俺は、対面前に、薄っすらと考えていたビジネスチャンスが眼前にあると思い、怖気づきそうになる自分を奮い立たせる。お茶を持ったティエンが戻り、俺はそのお茶(中国茶だろうが味は全くわからん)を一口飲むと、控えめに切り出した。

 

「リャンさん。もしかすると、私はリャンさんの種を撒くお仕事のお手伝いができるかもしれません。とゆうのも、私は、ファンドを――」

「もちろん、組織の方から聞いています。だから早く会いたかったのです」

「あっ、ありがとうございます。でしたら、すぐに資料を送らせて――」

「資料なんていりません。私は人を見て金を出します。城宮さん、私は貴方を信用します。金を出しましょう」

「ありがとうございます!それで金額ですが、一口2000万円からとなり――」

「城宮さんのファンドの規模はどのくらいですか?」

「ドルベースで運用していますので、えーっと、ざっとですが1400万ドルくらいなので、ドル円が140円とすると…20億円ちょっと――」

「それでは、20億出します」

「まっ…じ、えっ……とぉ、20億円ということですか?」

 

リャンさんは静かに頷いた。元々、俺のファンドは姉河原の個人資産を運用するところから始まっていて、その額が現在10億円で、俺のファンドの約半分を占める。リャンさんが20億円出すとなると、俺のファンド全体の半分を占めることになり、当然、リャンさんの意向が一番色濃く反映させなければならなくなる。それに、姉河原さんとは、ボストンの投資ファンドの時代からの付き合いがあって少しずつ俺に運用を任せてくれたことから、信頼関係が出来ていったのに、今日会ったばかりの俺に20億出すって、ホントにそれでいいの?――と言葉には出せず、流石の俺もセールストークが続かないが、リャンさんは初めてサングラスを外し、俺の前に手を差し出した。

 

「これからは義兄弟です。ミヤガァ(宮哥)」

「ハイ、期待は裏切りません。よろしくお願いします。えーと、それでは契約手続きなんですが――」

「そんなことは後回しでいいです。ビジネスの基本は口約束。信頼関係があれば何も問題ありません」

 

俺は差し出された手に両手を差し出して握手した。リャンさんの細い目がちょっと怖かったが、あまりに大きな金額に舞い上がっていた。

 

~~~~~~~~

 

それからは、義兄弟となったお祝いと言われ、5階のパーティールーム(高級中華料理店のようなインテリアでだだっ広い)に移動して、宴会となった。そこには、俺への接待役として、姫選びの時に味見した梨香とむちゃくちゃ細くて顔の小さい女がいた。

 

「僕のハーレムには宮兄を喜ばせることの出来る者がいないので組織に頼んで呼んでもらいました」

「梨香です」

「カレンです」

 

2人は俺が席に着くと、その両隣に座った。梨香との久しぶりの再会も嬉しいのだが、隣のカレンは20才前後だろうか、ホントに人形のような可愛さで、見詰められると、その視線から視線を外すことが物理的に不可能だった。口調から日本語が母国語ではないようだが、声色が心地良過ぎる。梨香が俺の耳元で「お久しぶりです。ご主人様」と囁き、カレンの手が俺の太腿に置かれ上目に見つめられただけで、正直勃起してしまった。ただ、俺にわずかに残された冷静な部分が、『このままでいいのか』と警告する。俺は目の前に腰掛けたリャンさんに申し出る。

 

「リャンさん。大変恐縮ですが、うちのさやかにリャンさんのお世話をさせていただいてもよろしいでしょうか」

「お心遣いはありがたいですが、女性は結構です」

 

手振りと表情で、女に興味はないと示され、俺は、数舜考えてから、2人の美女の重力に懸命に逆らいながら立ち上がると、パーティールームの入り口に立つさやかに声を掛けた。

 

「さやか。どうしよう。このままでいいのか?作法を教えてくれ」

「はい…すいません、私もどうしたらいいのか……リャン様からの接待の申し出ですので、そのままお受けしてもいいと思います。お返しも後ででもよろしいかと……」

「そうか……でも、俺としても出来るだけ早く、感謝の気持ちは伝えたいんだが……」

 

ハーレムオーナーとしてはまだ駆け出しに過ぎないが、オーナー同士付き合いの基本は、してもらったことは同じようにしてあげること。持っている資産の大きさは全く違うにしても、してもらうだけではハーレムオーナーとしてのメンツが立たない。そんな時、俺の頭に閃きが走る。俺は、席に戻り、リャンさんにちょっと電話してくると言ってから、パーティルームを出て、スマホの履歴からあの男の番号を表示させる。

 

――頼む、黒鉄!!!

 

~~~~~~~~

 

幸運にも、黒鉄と連絡が付き、俺が泣きつくと、来てくれることになった。リャンさんにそれを話すと、驚いた表情の後、今までの口元だけの微笑とは異なり、目元にも笑みが浮かんだ。やがて、黒鉄が現れると、片膝の体勢で挨拶する。

 

「ラオバン。ご無沙汰しております。ラオバンの忠実な僕、黒鉄でございます」

「顔を上げなさい。黒鉄」

 

リャンさんはそう言うと、両腕を広げ、黒鉄は数秒躊躇した後、自分よりも小柄なリャンさんの腕の中に入り、ひしと抱き合った。黒鉄の今まで見たことのない表情を見れば、黒鉄のことは、なんとなくそうゆうことだと思っていたが、改めてそうなのだとわかった。

 

それからは、飲んだことのない老酒と紹興酒に酔い、独創的な中華料理を堪能し、最後には梨香とカレン二人と用意されたゲストルームに雪崩込み、欲望をすべて吐き出し、男として最高の夜を過ごした。自分のハーレムの姫達への罪悪感はなくなはなかったのだが、それすらも欲望を高めるスパイスであり、己の欲望の強さと業の深さを思い知らされたのだった――。

 

~~~~~~~~

 

――翌朝。目を覚ますと、2人の姿はベッドの上には既にいなかった。昨夜の出来事は数秒前のことのように思えるが、たっぷり眠ったという感覚と二日酔いの頭痛と胸のムカつきがわずかに残り、右手の親指にはいつ怪我したのか絆創膏が貼られていた。ゲストルームに用意されていた新しい下着と、いつの間にかクリーニングされている自分の服を着ると、パーティールームに向かった。そこにいたのは、澤崎さんだけだった。

 

「おはようございます。城宮様。朝食を用意しておりますので、よろしければ召し上がってください」

「おはようございます。あまり食欲はないんですけど…ん、いい匂い」

 

するとチャイナドレスを着たお盆を持った女性がしずしずと部屋に入ってきて、お盆の上のお椀からいい匂いがしてくる。中華粥のようで、急速に食欲が蘇る。また、チャイナドレスの女性にも見覚えがあり、「昨日もお会いしましたよね?」と聞くと、女性はお盆をテーブルの上に置いてから両膝を付いてお辞儀する。その女性は視線を澤崎に送り、澤崎が頷くのを見てから顔を上げず、片言の日本語で答える。

 

「はい。昨日もご挨拶させていただきした。リンともします。朝食をご用意させていただきたので、めしあがていただきたらうれしです」

 

あぁ、そう言えば、リャンさんが途中で料理人を紹介してくれた時にこの子もいたのを思い出す。リャンさんの厨房には、超一流の料理人がいて、リャンさんの食事を作る片手間に、ミシュランの星付きの中華レストランで働いているとのことだった。俺が席に着くと、リンは当然のようにそのままの体勢でテーブルの下に潜り込み、俺の両脚の間に正座する。驚かなくなった俺も大したもので、自らズボンと下着を下ろすと、絶品の中華粥を味わいながら、リンの奉仕も味わった。口だけかと思ったら、俺が中華粥を食べ終えるのを見計らって、俺の上に跨ってきたのは驚いた。チャイナドレスは元々馬に乗るためにサイドにスリットが入っているとは聞いていたが、こんな時には便利だなと思いつつ、最後はリンをテーブルの方を向かせ、立ちバックで追い詰め、精を吐き放ったのだった。

 

~~~~~~~~

 

睡眠欲も食欲も性欲も満たして、3階の自宅に戻ると、リビングで大盛ご飯を食べる加菜の向かいで、コーヒーを飲む黒鉄の姿があった。他にはキッチンにさやか、リビングのソファには夏美がいた。何で、俺の留守中に当然のように黒鉄が座っているのかと癪に障るところもないではないが、今回は黒鉄にかなり助けられたと思えば、笑顔で挨拶をする。

 

「黒鉄。今回は助かったよ。ありがとう」

「いえいえ、お礼には及びません。私もラオバンに久しぶりにお会いできて良かったです」

「――で、何でここにいるんだ?」

「ちょっと朝食を頂きに。私はご主人様とご相伴に預かるわけにはいきませんからね」

「黒鉄も朝までいたのか。そうだ、さやかもありがとうな」

「はいっ、リンさんに中華粥の作り方を教えていただいたので。黒鉄さんに食べて頂きました」

「そうか。さやかの中華粥もうまいけど、今朝のリンさんの中華粥は絶品だったなぁ。今度さやかに作ってもらうのも楽しみにしてるからな。で、さやかはリャンさんのところに、いつ頃までいたんだっけ?」

「はいっ、ティエンさんやリンさんの給仕のお手伝いをさせていただいて、皆さまがお部屋に行かれてからは、後片付けをして……お部屋に戻ったのは、22時頃でした。みなさんのお食事は晶子さんが準備してくれました」

「私も手伝ったよー」

 

テレビを見ていた夏美がこちらを振り向いてアピールをする。夏美と目が合うと、すぐに夏美の気持ちは俺に伝わり、ソファに座ったままの夏美と腰を曲げてキスをする。

 

「ありがとな。夏美」

 

夏美の頭を撫でてやると、加菜もちらっとこちらに視線を送っていることに気付き、加菜にもキスをする。それからキッチンを出てきたさやかにもキスをすると、さやかが部屋の一角を示す。

 

「ご主人様、昨日、私が帰るときに、色々お土産を頂いきまして…まだリストは作っていないんですけど、お礼状とお返しの品を準備しないと……晶子さんと相談しますね」

 

そこには大量の袋が置かれていて、中には色々入っているようだ。さらには、ご祝儀袋まであって、中を見れば、おそらく100万円の札束が入っていた。

 

「まいったなー。こんだけしてもらってどうお返ししたらいいんだよ」

「あちらのお国では、多すぎるくらいにお土産を渡すというのが習慣なんですよ。さやかと晶子に任せておけば、お返しは大丈夫でしょう」

 

俺が困った顔を黒鉄に向ければ、さらりと返答してくる。このところ忙しくて話もしていなかったが、やはり黒鉄は頼りになる。しかも、リャンさんとも深い関係があるとすれば、今後も色々相談できそうだ。

 

「わー、すっごくカワイイ。スタイルも良すぎでしょ」

 

夏美の明るい声がして、視線を夏美に向けると、夏美が見ていたのは朝のワイドショーの芸能ニュースで。大きなテレビ画面に映っていたのは来日しているK-POPアイドルグループだった。アナウンサーの話では、昨日ドームでライブがあったのだが、メンバーの一人は体調不良で出演できなかったらしい。そのメンバーの顔がテレビに大映しになり、テロップに名前がでると――

 

「――カレン」

 

テレビ画面に映し出されたお客さんに手を振りながら浮かべる笑顔と、昨晩俺とベッドの上で大盛り上がりしたあの顔は同じ、いや、むしろ実物の可愛さはテレビ画面越しでは1割も伝えていない……俺は思わず黒鉄を見ると、にやりと笑みを浮かべていた。

 

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