※この作品はR-18です。

俺がハーレムを作る話   作:どろんぱ(仮)

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[前話回想シーン続き]


第28話 土曜日~その2

俺は、鏑木さんの前の席に着き、給仕からワインをもらう。うん、美味いワインだ、知らんけど。鏑木さんはワイングラスを片手で揺らしながらスマホを操作している。

 

「今、フレンズ申請しました。確認できますか?」

「えっと…フレンズ申請って何でしたっけ?」

「城宮さんは、オーナーのコミュニティサイトはあまり利用されていないんですか?」

「最初の頃、質問掲示板はちょこちょこ覗いたりはしてたんですが、パソコンからだったので…スマホから見れましたっけ……」

 

鏑木さんの言葉に反応し、スマホを取り出して、アプリを探す。確か、最初に黒鉄に設定してもらったような……。俺が焦っていると、金剛さんが「よろしいですか?」と心地よい声色で俺に問いかけてきて、俺はスマホを金剛さんに渡した。

 

「城宮様。こちらのアプリです。ご主人様がフレンズ申請されましたので、此方で[承認]をクリックして頂ければ…はい、出来ました」

 

金剛さんは優しい先生のようで、幼児退行してしまいそうだ。俺は金剛さんが差し出したスマホを覗き込む。俺のフレンズは、今のところ、姉河原さんにカズだけだ。

 

「城宮さんのハーレムは…5人ですか。まだお若いのにご立派だ」

「いえいえ、そんな……」

 

俺は金剛さんからスマホを返してもらい、フレンズ一覧のページから、鏑木さんのページに飛んだ。そこには鏑木さんのプロフィールに姫の一覧、日記やアルバムといったページもある。なんか、昔のmi〇iみたいだな。鏑木さんの年齢は46才、職業は「作家」――そう言えば名前を聞いたことがあるようなないような、と思いつつも、きっと有名作家に違いないと思えば、今更、確認することなどできるはずもなく。

 

姫一覧を見れば、人数は3人……か。俺の方が多いな、とちょっと優越感に浸りつつ、メンバーを一人ずつ確認すると、阪本エルザ(24才)のほかに、俺でも名前を知っている女優(30才)、そして、浜木ひらり(21才)……んんん――確かに可愛いが、誰かわからん。一般人かな。

 

鏑木さんのページはなかなか充実していて、最近のアルバムには、水着姿の姫3人と鏑木さんの写真があり、つい見入ってしまう。阪本エルザとあの女優の水着写真なんてレアすぎるだろ。横に控えた金剛さんが解説する。

 

「これは今年の1月にシンガポールに行った時のお写真ですね」

「あぁ、あの写真か。だらしない身体でお恥ずかしい。それを撮影したのは金剛です。なかなかよく撮れているでしょ」

 

日焼けした肌に異常に白い歯、がっしりと引き締まった身体。これで「だらしない身体」なんて言われたら……まぁ俺も身体はそんなに負けてないと思うが。俺は、写真の下の[いいね]ボタンに気付き、クリックした。

 

~~~~~~~~

 

その後、ワインを飲みながら、エルザのラウンドを最後まで見てしまった。豪快かつ繊細なプレースタイルは、見てて楽しい。まぁ見てて楽しい一番の理由は美人なところではあるのだが。俺は腕時計を見る。そろそろ加菜も練習上がる頃だろうか。そんな俺を見て、俺以上にワインを飲んでいるであろう鏑木さんは酔いを感じさせない様子で、にやりと笑みを向ける。

 

「この後は……花村プロとお楽しみですかな?」

「あっ、えっと、えぇ…まぁ。もしかして、鏑木さんも、エル…じゃなくて阪本プロと?」

「もちろん。エルザとはもう5年になりますが、ますますお盛んでして…こっちは年老いてくだけですからね。なかなかキツイですよ」

「いやいや、鏑木さんは全然お若いじゃないですかぁ」

 

聞けば、エルザはチームスタッフと共にホテルではなく、コテージを借りて試合期間中の宿舎としているそうで、そこで専属のシェフが料理のサポートをしたり、専属トレーナーが体のケアなんかもしているらしい。トッププロならではというところだが、鏑木さんはそこに合流するそうだ。俺が帰るタイミングを探っていると、ドアが勢いよく開かれ、大女が駆け寄ってきた。

 

「ご主人さまぁ。はぁー疲れたぁー。あぁ、あと3打…ん~2打はゼッタイ縮められたなぁ、っくしょー、でもまだチャンスあるよね」

 

入ってきたのは、エルザ。まっすぐに鏑木さんに向かって走って行き飛びつくようにして抱き付いた。しっかりエルザを受け止める鏑木さんはやはり体幹が強い。俺なら吹き飛ばされそう。

 

「エルザ。いきなりはしたないぞ。ほら、お客様がいるんだぞ。花村プロのオーナーの城宮さんだ」

「あっ!ホント?申し訳ございません!阪本エルザです。以後、お見知りおきのほどを」

 

エルザは、鏑木さんから離れると、座っている俺の横に来て、正座の姿勢で深々と地面に頭が付くほどにお辞儀をする。さすが、組織に長年いるだけある。果たして、加菜はこんな風にきちんと挨拶ができるのだろうか。俺は、目の前のゴージャスかつ半端ないオーラに圧倒されつつも、顔を引き締める。

 

「どうも、城宮です。ご活躍はかねがね。いつもおうえ…見てます」

 

ついファンの気持ちになってしまいそうになる。顔を上げて輝く笑みを浮かべながらエルザが立ち上がると、思っていた以上にでかい。足は長く、腰の位置はむちゃくちゃ高い、それでいて小顔。背は俺と同じくらい、いやむしろ高いかもしれない。エルザは、鏑木さんと少し会話をし、両頬を触れ合わせてから、金剛さんと一緒に出て行った。俺はしばらく、エルザが出て行ったドアを見詰め、振り返ると、鏑木さんが――むっちゃエロい顔をしていた。

 

「それじゃ、この後はお互い楽しみましょう。お互いの姫の明日の活躍のためにもね」

「そうです…ね。阪本プロはまだ優勝狙える位置ですしね」

「今度一緒にゴルフ行きますか?オフシーズンだったら、花村プロとエルザと4人で。ハワイ辺りでどうですか?」

「行きたいですっ。ぜひ」

 

ハワイでゴルフなんてしたことないし、ゴルフの腕もまだまだでようやく100を切れるようになったくらいなのだが、まだ半年あるし、特訓すれば格好は付くだろう。それにもしかすると、コース回った後は……ヤバい、涎が垂れそうだ。

 

「そうだ。7月にK県で試合があるでしょ。私は応援に行きますが、良かったら、城宮さんもどうですか?あのコースの試合の時はいつも借りるコテージがありましてね、すごく広いところですから、花村プロと城宮さんさえ良ければ、泊まれますし。バーベキューも出来ますよ」

「あっ、ハイ――加菜が参加できる試合なら」

「花村プロのランクなら大丈夫でしょう。夕方からバーベキューして、その後は4人で19番ホール回りましょう」

「もしかして……4P?」

 

鏑木さんは爆笑しながら何度も頷いて、俺に親指を立てた。俺は思わず、「ぜひぜひっ!!お願いしやっす」と言って、勢いよく、頭を下げた。

 

~~~~~~~~

 

その夜――と言っても、まだ夜9時過ぎ、俺は加菜が眠るベッドから下りて服を着ると部屋を静かに出て、自分の部屋に戻った。加菜と焼肉を食べてから部屋に戻ったのは7時前。それからたっぷり3回戦してから、加菜は食欲も性欲も満たしてぐっすりと眠りについた。加菜は明日は5時起きのため、部屋を別に取るのはいつものこと。俺はコンビニで買っておいたビールを飲みながら、黒鉄に電話し、今日のことを報告していた。なんだかんだいつ電話しても出てくれる黒鉄は頼りになる奴だ。

 

「……ご主人様が無趣味で、女にしか興味ないとは知っていましたが、鏑木臣人を知らないというのは……そうゆう人っているんですね」

「仕方ないだろ、学生時代は勉強ばっかだったし、社会人になってからはすぐアメリカ行ったから、日本の小説なんてほとんど読んだことないんだからさ」

「その割には女優は結構知ってますよね」

「あぁ、美人を見たら、誰だろうって気になるだろ。男には興味ないんだ。それで鏑木臣人ってやっぱすごいんだな、さっきwikiで調べたけどさ」

「一言で言えば、当代きっての売れっ子作家ですね。本を出せばベストセラー、あらゆる賞を総なめにして、映画化、ドラマ化された原作は数知れず。デビューされたのも早いので、確か、30手前でハーレムオーナーになられてるはずですから、もう20年近いんじゃないですか」

「そんなか。でも意外と姫の人数は少ないんだな」

「まぁ今はご家族もいますからね」

「見た見た、wikiで。奥さん、女優さんだもんな―。てゆうか、女優と結婚して、さらにハーレムも持ってるってすごいよな」

 

ハーレムのオーナーは必ずしも独身者ばかりでないというのは知っていた。姉河原さんも法律上の妻はいるとは言っていたが、家族とハーレムはきっちり分けて生活しているそうだ。

 

「やっぱり鏑木さんの奥さんもハーレムのことは知ってるのかな?」

「――鏑木様の奥様は、元ハーレムの姫です」

「えーーーーーっ、マジか?!」

「あと説明ついでにお伝えしておくと、金剛さんも元ハーレムの姫です」

「あぁ、それは何となく……黒鉄も、だもんな」

 

~~~~~~~~

 

改めて、ハーレムの姫との契約期間について整理してみよう。俺が今所有している姫は5人。1年間の契約金は、合計でちょうど1億。来年、同じメンバーで契約すると、継続契約が10%オフで9000万円になる。

 

「いや、そうとは限りません」

 

黒鉄、俺の思考を遮るな。黒鉄の話によれば、専属の姫や一般人の姫は基本、年齢を重ねるたびに価値は下がるとされていて、原則通り、10%オフの金額で契約できる。ただし、芸能人やスポーツ選手は、その活躍によって価値が上がることがあるのだ。

 

「例えば、これは公開情報というわけではありませんが…まぁある程度推測できる数字なのでお伝えしますが、阪本エルザ、彼女は最初の契約時から契約金は5倍になっています。そして、女優の姫は4倍です。一応、いずれも推定と付け加えておきましょうか」

 

俺は、参考として自分の姫で考えてみる。加菜は2000万円だから、5倍だと1億!!、優衣は3000万円だから、4倍だと…1億2000万円!!!!仮に、この金額をベースに考えると、鏑木さんはエルザとあの女優だけで2億以上払ってることになるのか。俺は、売れっ子作家と言っても、大した収入ではないのではないかと思っていた過去の自分をぶん殴りたくなってきた。

 

「ですから芸能人等人気商売の姫はキープするのは難しいです。スポーツ選手の方は、いくら金をかけたり組織が押しても、結局は実力の世界ですから。成功しない姫も多いです。その場合、契約金は上がりません」

 

――俺は、今の5人の姫達に満足していたし、来年以降、契約金額が減るなら、キープ一択だろと思っていたのだが……。優衣も加菜も現在進行形で活躍してるし、それを素直に喜べなくなりそう……いやいや、いかんいかん、結局は金で片が付く話じゃないか、応援しよう……やせ我慢でも。

 

「いちお、聞いておくけどさ。結婚ってどうやってすんの?」

「組織の姫と合法的に結婚する条件は、3つ。オーナーになること、組織の承諾を得ること、そして、もちろん本人の同意です」

「なんだ、意外と普通だな」

「一応お伝えしておきますが、組織の承諾を得るためには、組織が設定した身請金を支払う必要があります」

「……ちなみに、それってどのくらいの金額なんだ?」

「それなりの金額――と言っておきましょうか。契約金は1年間だけ姫を自分のものにする金額です。結婚は、基本的にはその後の姫の人生を自分のものにできるわけですからね。そ・れ・な・りの金額は掛かりますよ」

 

俺はますます鏑木さんの財力のすごさを思い知った。そして、そのエロさも。20年間ハーレムオーナーやっててさらに大金払って大女優とまで結婚して、それで今も2億も払って姫を所有してるって、むちゃくちゃ性欲強いやん。俺以上だろ、絶対。

 

「――ただですね、それだけの価値のある姫というのは、組織の姫の中でもごく一握りです。最初に説明した通り、通常の姫の価値は基本的には一年ごとに下落していきます。最終的に商品としての価値が失われれば、そんな価値の低い女を姫として置いておくのは組織の評判に関わります。ですから、一時金と年金を支払ってお払い箱です。その後は、誰と結婚しようが、組織としては知ったこっちゃありません」

 

うーん、シビアな世界だな。あんなに美人でインフルエンサーの晶子が1200万円なんだもんな。いずれはお払い箱になるのか……。

 

「物は見ようですね。組織からしたらお払い箱でも、姫からした解放かもしれません。まとまったお金も入りますし、その後、ビジネスで成功する姫もいますよ。中には、大失敗して、組織に戻ってくる者もいますけどね」

 

――もしかして、金剛さんのことかな?

 

~~~~~~~~

 

その後もだらだらと黒鉄と長話をしてしまい、途中で、電話をしながらコンビニにビールを買い足しに行ったくらいだ。こんな時間まで俺との無駄話に付き合ってくれる黒鉄はいい奴だな、と電話を切ってから思った。今、俺の周りにこんな長電話に付き合ってくれる友達はいなかった。

 

俺はしんみりした気分を切り替えようと、コミュニティサイトを開く。パソコンで見るよりもスマホで見る方が見やすかった。ハーレムオーナーの情報はフレンズにならないと名前しか分からないし、中には、番号だけで名前も非公開の人も結構多い。俺は、リャンさんの名前を見つけると、フレンズ申請してみた。

 

それから、姉河原さんのページを見る。姫の人数は圧巻の18人。年間の契約金額はいくらなんだろうか。ハーレムのすごさを知れば知るほど、姉河原さんのすごさが分かる。一体どんだけ金持ちなのだろうか。カズは姫の人数は俺と同じだけど、芸能人やスポーツ選手はいないから、金額はそこまで大きくないのかもしれない。鏑木さんのページは……他の2人と比べても内容が充実している。日記みたいな書き込みもあって、さすが作家だけに文章が長い。それに写真は、あの美人女優とエルザのオフショット満載で、これが外に流出したら大騒ぎになるんじゃないかと思うほどだ。

 

3人目の浜木ひらりは、何者なのかわからなかったが、さっき、黒鉄に聞いたら、ネット配信者ということだった。検索したら、「ひらりん」という名前で活動しており、登録者数100万人超えていて、動画の視聴回数も毎回数十万人を超えている。いやいや全く知らんし。そうすると、一般人に見えるこの子も契約金は相当高いのかもしれん……よくよく見れば、表情豊かで、若さもあって、他の2人に引けを取らないとまでは言えないが、見劣りしない存在感があった。こんな少数精鋭のハーレムを持ってて、女優と結婚してお子さん2人いるなんて……鏑木さんの成功者っぷりに嫉妬すら浮かばず、はぁーーーーと深いため息をつくばかりだった。

 

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