――……あれ、今、俺どこにいるんだっけ…?えっ!何で、隣に榊木さんいるの?!しかも、下着姿って――胸の谷間しっかりあるし…こんな胸おっきかったんだ…。俺が榊木さんの寝顔に見惚れていると、大きな瞳がゆっくりと開く――そう、この目、笑っているようで、それでいて色っぽさもあり、神秘的。吸い込まれそうってこうゆうことなのか?俺は魅入られた様に榊木さんの視線から視線を外すことも出来ず、まばたきすら出来ない。この子は男を惑わせ、国をも傾ける――そう思わせる美貌だ。口角の上がった口が開き、その口から何か言葉が発せられそうになる。普段の声とベッドの声色はどんな風に違うのか。俺はごくりと生唾を呑み込んで、乾燥した目を数回瞬きして潤すと、榊木さんの言葉を待った――。
「――ご主人様っ、すいません、そろそろお時間ですっ」
「んっ…榊木さん?……さやかか…。すまん、仮眠のつもりがぐっすり寝ちゃったみたいだ」
やっぱり夢か。実は途中でそうじゃないかなーって思ってたんだよな。でも、目を覚ましさえしなければ、その間は夢ではない。もうちょっとだけ続きが見たかった思うが、もう待ち合わせの時間まで20分を切っている。
「ご主人様…ご奉仕したほうがよろしいですか?」
さやかの言葉に自分の股間を確認すると、しっかり半勃ち…いや、7割くらい勃ってる。
「いや、時間もないし、用を足せば治まるから」
そう言って、俺はさやかから逃げるようにして、ベッドから下りると、トイレに向かった。いかんいかん、さっき優衣にヌイてもらったばかりだというのに、夢に出た榊木さんで勃ってしまうなんて。正直、そこまで榊木さんに執着があるわけじゃない…はずなんだが。俺はトイレで用を足すと、手を洗うのと一緒に顔も洗って眠気を追い払った。
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俺が身支度を整えた時にはさやかも優衣も出かける準備は出来ていた。二人とも服装は来た時と同じ。ちなみに、さやかの服装は色落ちしたワイドデニムパンツに黒のオフショルダーTシャツにキャップ。さやかの私服ってシンプルカジュアルでいつもちょっとダサ目なんだよな。どことなくヤンキー感もあるような。俺たちが部屋を出ると、ちょうどカズ達も部屋を出たところで、合流した。
「ミヤっち、少しは休めた?」
「はい。ちょっと仕事してから仮眠取りました。カズさんは何してたんですか?」
「俺も少し寝たかったんだけど、由芽が寝かせてくれなくてさ…」
不満げに言うカズの言葉に思わず、由芽を見る。由芽はスキニーデニムにVネックのベージュのカットソー。俺はまだ見たことない服の中を想像しつつ…カズの奴、しっかりやることやってたのか。――とエロい目で見ていた俺の視線に気づいたのか、由芽は笑みを浮かべて言った。
「ご主人様。城宮様に誤解されてますよ」
「ん?マジで?由芽に宿題見てもらってたんだけどさ。俺ら高校生は夏休みっつても、色々タスクが多いのよ。まぁバカンスの前に少しでもやっておくかって感じ?」
そんな話をしているうちに、薫子がしっかりエレベーターのボタンを押してくれていた。薫子もデニムパンツに白のキャミソール、それに藤色のロングカーデを合わせている。和服も似合うけど、それ以外の私服も似合っている。由芽と並ぶと何だか姉妹のようにも見えるから不思議だ。俺たちはカズを先頭にエレベーターに乗り込み、1階に降りる。ロビーには、楓香やひらりの姿はないが、スーツを着た男がカズに頭を下げる。
「お二人は車でお待ちです」
「あっそ。じゃあ、全員揃ったみたいだし、行くか」
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リムジンが向かったのは、中洲。リムジンカーの中は女性が6人もいれば当然騒がしい(特にひらり)。ひらりと楓香はプランナーが一緒ということもあるのか、何度か会っているらしく、俺達がリムジンに乗り込んだ時には話が盛り上がっていた。
「ひらりんって時間とかはちゃんと守るよね。ロビーに私より早く来てたもんね」
「そりゃそうデスよ。ウチは飛び入り参加みたいなもんデスしね。和之介サマ、ごちそうになりまぁす」
「あぁ。今度うちに遊びに来てくれ。カノジョがひらりんのファンだから」
「マジデスか?もちろん、いつでもおジャマさせていただきますっ。和之介サマのカノジョさん、会いたいデス」
彼女って…多分、また否定されるんだろうな。話をしているうちに、数分でリムジンは停まり、俺達はビルの地下の店へと降りていく。和風の開き戸を引いて店内に入ると、「いらっしゃいませ」という声に迎えられ、個室へと案内される。広めの個室は、地窓から広い坪庭が見え、畳の部屋にテーブルと椅子が置かれている。天井も地下とは思えないほど高く広々している。坪庭を背にした奥側の席の真ん中に俺とカズ、その隣にはさやかと薫子、向かいには部屋の奥から由芽、優衣、楓香、ひらりが座った。そして、それぞれに飲み物が行きわたると、カズが立ち上がった。
「それじゃ、誕生会は明日からだけど、今日は俺たちの結束を高める決起集会的な食事会っつーことで、みんな、楽しんでくれ。じゃあ、乾杯の挨拶は、ミヤっち、頼むわ」
「俺ですか?わかりました」
俺はグラスを持って立ち上がる。何も考えていなかったので、「乾杯」とだけ言って、乾杯した。
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食事は、前菜から始まって、刺身の盛り合わせ、イカ刺しにゴマサバ、天ぷらに、豚ロースのグリル、そして、水炊き。量が適度だったおかげか、水炊きまでしっかり美味しく頂けた。俺は食事にはそこまでうるさくないのだが、今まで食べた九州料理の中で一番うまかったかもしれん。俺は最初、ビールを飲んでからは、薫子のおススメで焼酎をロックで。普段はロックであまり飲むことはないのだけど、食事の美味しさと美人に囲まれていることでテンションが上がり、酒がススムススム。
酒を飲んでいるのは、俺と薫子の他には、さやかと楓香と由芽。楓香は最初の一杯だけで、後はウーロン茶。意外なことに、ひらりは酒が飲めないらしいが、それを感じさせないくらいテンションが高い。……あれ、由芽はまだ未成年のような気もしなくはないが…九州だしいいのか?俺と同じくらいのペースで焼酎を飲んでいるが、全く酔ってる気配はない。むしろ、一杯しか飲んでない楓香がちょっとほろ酔いの感じで、知性派アイドルの普段見られない顔が見られて役得。
21時が回ったころ、デザートまで食べ終えると、二次会の話が始まる。二時間くらいの食事会で、確かに、みんなの結束は高まって、すっかり和気あいあいの雰囲気になっている。焼酎のソーダ割を相当飲んでいたさやかが手を挙げた。
「はぁい、和之介様、二次会、カラオケはどうでしょうか?」
「確かにまだ22時前だし、門限までは時間あるな。カラオケ行くか」
カズは門限のことを気にしたのか、薫子を見ると、薫子は頷いて、由芽に視線を送る。すると、由芽は「予約してきます」と言って、部屋から出て行った。あれ、この二人相当飲んでるはずだけど、全然変わってくなくないか。
「楓香とひらりんはどうする?行けるか?」
ひらりは、もちろんといった感じで「はーい」と手を挙げ、楓香もみなの雰囲気に乗せられたのか、「行きます」といって控えめに手を挙げた。おぉ、現役アイドルの生歌聞けるのか。これってかなり貴重では。店を出ると、すでにリムジンが停まっていて、それに乗り込むと、数分だけ走って、停車する。近いな。さっきの店の入っていたビルと比べると雑居ビルと言ったところで、狭いエレベーターに8人が何とか入った。エレベーターを降りてすぐ入り口のある店は、カラオケスナックのような感じで、カウンターとテーブル席二つのみ。どうやら貸し切りのようだ。
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――カラオケはヤバいほど盛り上がった。まずはさやかが定番のJ-POPの曲で先陣を切れば、カズと由芽はラップを交えたデュエット曲、薫子はちょっと懐かしめ(俺はドンピシャ世代)の女性アーティストの曲をしっとりと歌えば、もう一回さやかを挟んで、楓香が自分のグループの曲を歌い、盛り上がりは最高潮に達した。楓香は気を使ったのか、途中で優衣にマイクを渡し、二人で歌ってるところもよかった。歌ってないのは俺とひらりで、ひらりは配信には使わないという約束で、撮影係に徹していた。オーナーのコミュニティサイトだったらいいかもな。
時計の針が23時近くなってくると、薫子がカズに「そろそろ」と声を掛け、カズは、渋々といった感じで頷いた。
「エンもタナケナワだけど、門限も過ぎてるし、そろそろお開きにするか。最後、俺がナガブチで締めちゃる」
締め、それかよ。カズのナガブチは年に似合わぬ情感が乗ってて、なかなか良くて由芽はむっちゃノッてた。やっぱり九州人にとってナガブチは特別なのか。
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お開き、と言いながらも、俺はまだ飲み足らず、カズにそう言うと、薫子は残ってくれることになった。ホテルに戻るのは、カズと由芽、楓香に優衣で、リムジンに乗って帰って行った。ひらりが屋台に行きたいというので、残った四人で川沿いの屋台に向かう。そして、席の空いている屋台を見つけて座ったものの自撮り棒で撮影を始めたひらりに周りの客が気付いた。ひらりは持ち前のコミュ力でさやかは酔いの力ですぐに客達と打ち解けて、盛り上がり始めた。んー、俺はこうゆう知らない人と飲むの苦手なんだよな。
「薫子、どっか静かな店あるかな?ひらり、俺と薫子は、別の所で飲みなおすから。――さやかは俺のことはいいから、ひらりと楽しんで」
俺と薫子は屋台を離れ、薫子が行きつけというバーに行くことになった。――そして、そこで予想もしていなかった展開に見舞われるのだった。