不思議のダンジョンに鬼襲来!風来のカズナ! 作:東上カグヤ
階段を降りるとさっそく新たな敵が出現!
盾とカタナとを持っている
侍かなぁ?なんて思いつつ物知りの杖を使用
『まんだ足軽ですケン』
足軽らしい。足軽の足軽どん
アンタなぁ……足軽といえば槍やろ!
なんでカタナやねん!
『ふつーに戦いますバイ』
なぁサムライボーイ
剣術三倍段って知ってるか?
端的に言うとカタナで槍に勝とうと思ったら三倍の技量が必要っですよって話や
つまりアンタが槍持ってるウチに勝つためには
って、あれ?
槍がない!!
しまった!
ウチはいま槍持ってないんやった!
どこに行ったんやウチの槍!
このダンジョンに来る前にはもってたはずなのに!
それがあったらマムルやチンタラに苦戦することもなかったのに!
なんで!?
ダンジョンに迷い込んだという異常な状況にウチがあらためて混乱していると足軽どんが斬りかかってくる
素手でカタナに勝つには三倍の技量が必要!
剣道三倍段!
ははっ!たった三倍でええんか!!
しばらくは回避に専念
振り抜かれた刃がウチの頬に赤い筋を引く
斬り傷をつけられチリチリと痛む
でも浅いわ
擦り傷みたいなもんや
しかしこのウチに傷をつけるなんて
ちょっとはやるみたいやな
太刀筋を観察し、ヤツが剣を振り上げた瞬間ウチは動いた
逃げるのではなく、一歩前に
手を伸ばしヤツが剣を振り下ろすより早くヤツの手首をつかんだ
社交ダンスみたく、くるりとすばやく後ろに回り込んでヤツの腕を背中側にねじあげる
関節技で足軽どんを撃破!
なんや、この階も楽勝そうやななんて思っていると目の前に鎌を持ったガイコツのバケモノが現れた
雲に乗ってふわふわと宙に浮いている
なんやコイツ……
死神か……!?
「ケケケッ」
不気味な笑い声とともに鎌が振り下ろされた
ウチはそれを食らってしまう……
命を刈り奪る形の刃が肩に沈み込む
やられた……
完全に油断してた……
コイツ、足音もなく接近してきたから完全に不意打ちや……
鎌が引き抜かれあふれた血がボタボタと地面に落ちる
クソッ血を流し過ぎや……
このままやと死ぬ……!
死神が鎌を振り上げた
肩口を押さえながら二発目は回避
コイツ、スピードはたいしたことない
さっきの侍の方がスピードは上やった
まあ武器がデカいぶん大ぶりにはなるわな
でも、一発切りつけられたダメージでこっちの動きが鈍ってるから回避はギリギリになる
ウチ、ここで死ぬんかなあ……
誤解されて、非難されたまま人知れず人生を終えるんか……
そんなんイヤや!
でも目はかすみ、息が苦しくなってきた
寒気もする
足がもつれて立つことすらままならなくなる
地面に横たわったウチに死神が鎌を振り上げた
終わりや……
諦めかけた瞬間、手に何かが触れた
これは……ヤリ!?
ダンジョンの床にヤリ……やと!?
ウチは槍を手に取り、まろび勢いをつけて起き上がった
さっきまでウチがいた場所を鎌が通過する
刹那でも動くのが遅かったら切られてた
まさかヤリが落ちてるなんてなぁ
神様からの贈りもんかな?
クククッ!
ツイてる!ツイてるでぇ!
ウチは高ぶる感情をぶつけるようにヤリをギュッと胸に抱き、スリスリと頬ずりした
「あっ♥」
ヤリの長い柄が股間に擦れ、女の声を漏らしてしまう
腰がくねり、柄が濡れた割れ目に食い込む
肉付きのいい腿でギュッと挟み込む
あぁ、ええなぁ
やっぱヤリは最高や……
って、こんなことしてる場合やない!
これじゃ痴女やんけ!
欲求不満なんかなぁ、なんて思いながら敵に目を向けるとヤツは呆然とウチを眺めてる
どうしたんや死神ぃ
そんなハトが豆鉄砲食らったみたいな顔して
いくで死神
こっからが本番や
人間の本気を見せたるわ!
ヤリをヤツの心臓があったであろう位置めがけて繰り出す!
ガキィィィッ!!
金属と金属がぶつかり悲鳴のような音が響き、火花が散る
「とっさに鎌でヤリの軌道をそらしたか。でも完全にはそらせんかったな!」
ウチがくり出したヤリはヤツの肩に命中した
もう片手は使えん
それでもヤツは鎌を振りかざし襲いかかってくる
「片腕でも人間になら勝てると思ったか?甘いで」
刃が唸りを上げて迫るもウチは逃げない
一歩踏み出して、鎌が振り下ろされるよりも早くヤリをヤツの体に突き立てる
「グギャッ!?」
「ははっ、人間も結構やるもんやろ、死神」
雲に乗ったガイコツが崩れ落ちていく
鎌が手から滑り落ち地面にぶつかってガシャンと音を立てた
ウチの勝ちや!!
思わず諸手をあげて喜ぶ
するとクラっとたちくらみがきた!
ああクソッ
勝つには勝ったけどダメージを受けすぎた
こんなんじゃもう立ってることすらままならない……
治療せんと死ぬっ
しかし不思議と時間経過とともに体力が回復してきた
……さっきは死神に人間も結構やるやろ、なんて言ったけどウチ人間なんかなぁ
まさか本当に茨木童子の子孫!?
ぶっちゃけちょっと半信半疑やったんやけど
でもこの傷の治りの速さは人間のそれやないよな
そういや一階でマムルやチンタラと戦ってるときも逃げ回ってる間に結構体力が回復してた気もするなぁ
ウチがバケモンなのか
この不思議なダンジョンに流れる空気がそうさせてんのか……
きっと後者やな!
ウチは人間やもん!!
こんな可愛い女の子が鬼なわけない
鬼って言うたらこう、めっちゃ怖い……
でもどこかに可愛い鬼娘もおるかもしれんなぁなんて思いながら探索を続ける