シャドウバースF 二次エロ置き場 作:南尾重国
今回はエロはありませんがそのうちこの2人で書きます。
2025/08/23 タイトル変更
ライトがアンドレアに呼ばれた裏では、各々が温泉を楽しんでいた。
プールのように遊ぶことはできないが水着で楽しめるだけあって様々な温泉が用意されている。それを端から回ろうなどと引っ張っていけば、スバルとフワリ2人きりにすることは容易だった。
「気持ちいっすね」
「はい、そうですね〜」
腰のあたりまでぬるめのお湯に浸かって座るスバルとフワリは、はしゃぐ皆を横目にゆっくりとした時間を過ごしていた。フワリの方はなるべく平然を装うと必死で少し声も震えているが、風呂特有の音響効果もあってスバルに気づかれることはなかった。
2人の間には人1人程度の距離、フワリはその距離を詰めるためにここにいる。一緒にいるだけで浮かぶ心地ではあったが、この機会を作ってくれたツバサとシノブの2人に応えるためにも覚悟を決めてスバルに話しかけた。
「あの、スバルくん! ありがとうございます!」
「? どうしたんですか急に」
気が急いて伝えたいことを端的に述べてしまったが、幸いスバルはそのまま話を聞いてくれている。この空気に溺れてしまいたくなる気持ちをどうにか堪えて、フワリは話を続ける。
「最近フォースウィンドに来て相手をしてくださって、みんな感謝しているんです」
「ははは、俺の方も強くなれてる実感がありますからお互い様っすよ」
「あと、それと……」
いざ言葉にするのは難しい。もし……その先は怖くて想像もしたくないほど、悲観的な未来がフワリの脳裏を過ぎる。
それでも、一歩を踏み出さなければならない。
「あの、フワリさん?」
お湯の中で、2人の間のスバルの手に、フワリは自分の手を重ねる。スバルの戸惑う声、しかしその声色に暗い色は混ざっていない。迷惑に思われるならきっとすぐに振り払われたはず、そんな無理やり前を向くような心持ちで、スバルの方を向く。
「み、みんなって言いましたけど、私がいっちばん、感謝してるんです。スバルくんに毎日会えて嬉しいって思ってるんです」
のぼせ上がるような熱は温泉だけのせいじゃない。
「そ、そっすか」
スバルの相槌。あまりにストレートすぎたか、とフワリに後悔がないでもないが、言ってしまった以上戻りようがない。2人の間の沈黙に居心地が悪く感じながら、未だ重なった手のひらの感触だけを頼りに、フワリはさらなる回答を待つ。
「そ、その、そういうこと言われちゃうと俺勘違いしちゃいますよ?」
クッションを置いたような如何にも曖昧なスバルの答えは、其の実、フワリの望む意味の言葉だった。
「……か、勘違いじゃないです」
思わず俯き気味にボソリと呟いた言葉に、お湯の中で重なった手がビクリと反応した。スバルの手が離れそうになるのに、血の気が引くが、すぐにスバルの手が上に重なった。
スバルを見上げると、顔を赤くしながら、正面を向いていた。手だけが繋がった状態で、フワリも前を向く。
「フワリさん、俺本気にしますよ」
流石にここまで来て、脈がないなどとはお互いに思わない。
お湯の中で指を絡めて握り合う。
初めて1人分空いていた2人の距離は、肩が触れ合う手前まで近づいていて──。
『バタン!』
サウナ室の扉が大きく開閉する音で、2人の腰が浮いて大きく離れた。
「熱い~」
「熱いです〜」
扉の向こうからスバルの後輩2人が真っ赤な顔をして、ヘロヘロになって現れる。
「あらまぁ~」
「何やってんだあいつら……すいません、フワリさんあいつらに水かけてきます!」
いい空気を邪魔しやがって、と思いつつ、スバルは持ち前の面倒見の良さを発揮して、桶を持って2人の元へ向かう。フワリはそれを笑顔で送り出した。
スバル左手とフワリの右手は同じくらいふやけていて、フワリには繋がった証のように感じた。
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夕食時、フワリとスバルは隣同士に座っていた。
それぞれ正面はイツキとシノブで、他の皆よりもおかずが多く乗せられた膳と、それぞれに自分用のおひつがそれぞれ用意されていて、細いからどのどこに入るのだと思わんばかりにパクパクと食事を進めている。
本来は男子3人が固まって座りそうなものだが、ライトは別に絡まれており4人と6人に分かれた結果であった。
「なんでお前たちがライトの横に座るんだ」
「そんなのヒナたちの勝手だろ!」
ライトの左右にヒナとアンドレアが座り、その前にツバサ、レン、シオンが向かい合う形。シオンの文句に対して挑発するヒナは、ライトにしなだれかかっており、声に視覚にツバサたちを苛立たせる。
「2人が一緒に食事するのは別にいいですけど、なんで両隣にいるんですか?」
「そんなこと言われても……希望を見つけたからじゃだめかしら? はい、ライトあーん」
「あーん」
「先生ェ!?」
ツバサの悲鳴が響く。ヒナともどもやり直せるとか手を差し出すとか言ってきたことがこんな形で帰ってくると誰が想像しただろうか。こうして一緒にいられることは間違いなく喜ばしいことなのだが、それで同じ男を取り合うようになるのは話が違うだろうと、ツバサは声にならない声で唸る。
この空気の中、アンドレアから差し出された天ぷらを食べることができるライトは間違いなく大物である。
「ライト先輩、絶対に嫌なこと以外断らないから、無茶を言うタイプと相性いいんですかね」
「そうだな、ボクもそう思う……」
レンの予想を、シオンが肯定する。なんだかんだ3人を相手に嫌な顔せず付き合っているのだから、否定できる材料はない。
レンはヒナを巻き込んだ張本人であり、ヒナとアンドレアが仲良くすること自体に文句はない。文句はないが面白くもないので、どんな無茶振りをしてやろうかと画策する。
なお、シオンは許容できるキャパシティを純粋に超えてしまっていて、ライトに撫でて欲しいなどと逃避していた。
「ツバサー、エビもらっていい?」
「あ!? 私の全部あげるわよ!!」
「ありがと」
シノブもライトの現状に思うところはあるが、もとよりあとから入っていった自覚はある。立場としてはヒナやアンドレアに近く、不用意に突っ込むことはやめた。それより美味しい食事を満喫することを選ぶ。
この喧騒の中ひたすら食べ続けるイツキ、シノブは凄いなと、スバル、フワリはお互い顔を見合わせて笑ってしまう。
「スバルくん」
「はい、なんでしょ」
一通り食べ終えたフワリが、スバルの耳元に小声で話しかける。
この場に10人もいるが、誰もスバルとフワリには注目していない。
「今日の夜、私の部屋に来てくれますか」
それはどう言うことか、と聞き返しそうになったスバルは、フワリの真っ赤な顔を見て、ただ「はい」とだけ答えた。
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深夜、挙動不審になりそうな逸る気持ちを抑えつつ、浴衣姿のスバルはフワリの部屋の戸を叩いた。すぐに中から返事があり、僅かに空いた隙間から、あたりの視線を気にしつつ部屋へと入る。
フワリも部屋に備え付けの浴衣に身を包んでおり、スバルを部屋の奥へと案内する。
だいぶ乾いているが、フワリの髪は僅かに湿っていて、備え付けのシャワーで身を清めたことが伺えて、スバルは改めて息を呑む。
「お、お邪魔します」
「スバルくん、いらっしゃい」
フワリは笑顔で座椅子に案内して、隣同士座り合う。パックのお茶に、ポットからお湯を注いでスバルに差し出した。湯気と緑茶の香りが2人の間に立ち上る。
「……」
「……」
会話のない静かな時間。それでも、不安に押しつぶされそうだった時とは違い、心臓の高鳴りさえも今のフワリには心地よい。
手持ち無沙汰になったスバルがお茶を飲もうとして、熱さに舌を火傷しそうになった。フワリがクスクスと笑うと、スバルはバツが悪そうに頬をかいた。
事故はあったもののおかげで緊張も解けた。
「スバルくん」
意を決してフワリは口を開く。
「フワリさん、待った」
だが、それを制するように、スバルが待ったをかけた。
緊張していたのはフワリだけではない。夜遅く女子の部屋に呼ばれるということがどういう意味を持つか考えないスバルではなかった。温泉の一件でフワリが何をしようとしているか見当はついている。
自分から切り出せこそしなかったが、最後のひと押しは自分でありたい、男女同権が叫ばれる昨今ではあるが、まぁ、男の子の意地だ。
「……フワリさん、好きです」
「スバルくん、私もスバルくんのこと大好きです」
フワリの笑顔を見て、スバルはフワリに口付けした。
シチュエーションか、空気か、とにかく衝動的にフワリに抱きついていて、軽く唇が触れたところで我にかえって、すぐに引き離す。
どうしてこんな事をと頭を抱えるスバルとは対照的に、もう終わりなのかと物足りなそうなフワリは唇を軽く撫でた。
「その、これからもよろしくお願いします!」
「はい、じゃあ、スバルくん、早速お願いがあります」
フワリは目を瞑って、唇をスバルに向ける。
今度はゆっくりと。2人の影が重なって、恋人になって初めてのキスをした。
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