シャドウバースF 二次エロ置き場 作:南尾重国
今回はエロありません。
強くなれなきゃ怪しまれるドラ(レン、ツバサ、シオン)に続きます。
2025/08/20 タイトル変更
「ちょっと提案あるんだけど」
ある日の部活動のこと。メンバーが集まったのを確認してツバサが手を挙げた。内容は、セブンスフレイムの全体的な実力の底上げのために新しい活動をしてみないか、というものであった。
「底上げねぇ、提案って、ツバサ先輩はどんな案があるんすか?」
こういう時、自然と聞き役として進行を担うスバルは非常にありがたい。スバルの言葉に他のメンバーもツバサに注目する。皆の視線が集まったのをみて、コホンと咳払いしてから特訓内容を話し始める。
セブンスフレイムはそれぞれ実力者ではあるがメンバーが少ないという欠点がある。そこで、それぞれ外部に出向き新しい刺激を受けにいってはどうだろうか。ただし、ライトは実績こそ上げているが、最も初心者であり経験による成長の余地も広い。そのためライトはこの部室に残り誰かと戦い続けることで、とにかくシャドバ能を鍛える。部員5人は日替わりで1人がライトの相手をし、残る4人が外で修行する、というものである。
「なるほど、ツバサ先輩がやりたい事はわかりました。部室に残ることになる大将はどう思うかね」
「俺はやってみたい。みんなはどうだろうか」
ライトは賛成、その上で皆に尋ねる。
「出稽古みたいで楽しそうです!」
「まあ、悪くはないんじゃないか」
女子2人も賛成。
「確かにこのメンバーだと環境が固まっているっていうのは気になっていたんだよね、今週はそれでやってみようか」
部長であるイツキもこの案に賛成、スバルも特に反対する内容ではなかったので全会一致で可決した。
「じゃあ早速だけど、今日は誰がライトくんとシャドバする?」
「ボクはイツキが残るのが良いと思う。ボクはシックスマジック、レンはフィフスソード、ツバサはサードフェザーだと話は通しやすいだろ。スバルは最近フワリと仲良いって聞いたし、フォースウインドでどうだ」
イツキにも交友関係はあるが、確かに今から始めるならそれぞれがシャドバ部の古巣にお世話になるのが妥当なところか。フワリの名前が出た時に笑い顔が引き攣っていたが、他のメンバーがやる気なら、とスバルも腹を括る。
「それじゃあ特訓を始めよう!」
「おー!」
セブンスフレイム部長の掛け声に、5人の合いの手が重なった。
さて、この提案であるが実に欺瞞に満ち溢れていた。
正確には、強くなることを目指していない。副次的に強くなれるかもしれないが、真の目的は女子3人がライトと2人きりになる時間を得るためのものなのである。
ライトは良くも悪くも融通が効かない。彼にとってセブンスフレイム“も”とても大事なのだ。どんな顔をしてと思わなくもないが、シャドバを疎かにして色恋に溺れるわけにはいかないと、女の子と部活の両立を目指す。これに対し3人は女として葛藤はあるが、大事な仲間で、好きな人で、大切な人と言われてしまえば返す言葉もない。
もし、仮に『私たちを優先して』と言ったとして、ライトは最善を尽くすだろう。しかし、それでライトが無茶をするのは3人にとって本意ではない。
そこで考え出されたのが、特訓にかこつけた今度の案となる。女子内で根回し済みのため半数の票を握っている。男子はあって消極的否定、ならばこの採択は通ることが決定していた。実際ライト、イツキ、スバル3名の手応えもよく問題なく可決した。
月はイツキ、火はスバル、残る水木金それぞれ部室で2人きり。
シャドバもやるが、部活の時間を使ってイチャイチャしたい、恋する乙女の欲望は果てしない。
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月曜日。
初日はライトとイツキの対戦である。普段から戦っているため、お互い手の内はわかっている。ここでイツキが行うべきは現状を正しく認識し、より強くなるために必要なものが何かを見極めることだ。いつもより時間をかけて、丁寧なプレイングを心がけ、また手癖で使っているカード1枚1枚のプレイに意味を持たせることを意識する。
「ライトくんはやっぱり強いね」
「ありがとうイツキ」
普段と違うプレイングにより生じた隙をライトは見逃さない。シャドバに触れた日数こそ少ないが、多くの強敵と切磋琢磨してきたのだ。
武装したドラグニルが、スバルの体力を削り切る。
「よし、次行こう。今度は負けないよ!」
ライトはいつもまっすぐだ。イツキが変われば、それに合わせてライトも強くなる。なるほど、この特訓はそれぞれにメリットがある。一度や二度の結果で足を止めている暇はない。いつも以上に頭を使いながら、イツキとライトのシャドバは続く。
日が落ちる頃、シオンからメッセージが届いた。
『今日は終わり、シックスマジックから直接帰る』
これは、シオンによる後半3日への布石である。出先から直帰する空気ができあがれば、戻り際に部室で遭遇する危険性が減る。また、終わりぎわの連絡ルールにより、万が一部室に戻ってくる場合の警告になる。もちろんそれ以外にも対策は用意しており、僅かでも綻びのないよう積み重ねている。
『私も今日は終わります! お疲れ様でした!』
『今日はマミ、カナと一緒に帰る。また明日ヨロシク』
『こっちもう少ししたら帰るんで、お疲れ様』
シオンの思惑通り、それぞれから連絡が届いた。全員直帰。その流れでライトとイツキも解散することにする。
「みんなと会えないのはちょっと寂しいね」
イツキからも別れの挨拶を送りながら、合わせて明日からも一度部室に集まってからそれぞれ特訓に出るようにするのはどうかと提案する。しばらくして、了承を告げるスタンプが人数分送られてきた。
「イツキは明日からどうするんだ?」
「うん、ずっと考えてはいたんだけど……」
他の皆は各シャドバ部で強くなって帰ってくるだろう、イツキも同じくらいの対戦相手を探すとなれば、邪星リョウガだろうか。普段から学校におらず、連絡先も知らないので足を使って探すしかない。少しだけ暗雲の立ちこめる現実を前に、乾いた笑いで答えた。
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火曜日。
2日目、一度部室に集まったメンバーがそれぞれの場所へと出発して、残ったスバルがライトの相手となる。
「1日じゃあんま変わらないけどな。昨日お前と戦ったイツキ部長から重要なアドバイスがありましたので、精一杯やりますよっと」
1戦目、スバルは、デッキに戻す不要なカードを選ぶ際に、あえていつもと違う基準でカードを残してみる。そこから先は普段特別に意識していない一つ一つの手の意味を考える。経験によるプレイングはおおよそ最善の一手であるが、いまは最善にしっかりとした理由付けを行っている。戦い方を変えようと言う時には、感覚がハマるまでミスが起こるが、それもまたこの取り組みにおける目標、強くなるために必要な失敗である。
「時間かかって悪いな」
「気にしないでくれ。俺もいつもと違う攻め方に考えさせられる」
「なるほど、ここら辺も明日以降の課題だな。俺も色々試していくから気づいたことあったら言ってくれ、よろしく頼むぜ」
ライトが、ああ、と頷いて次の勝負が始まる。いつも以上に時間をかけて、検証を重ねながら何戦も繰り返す。初めこそライトが優勢の戦いが続くが、少しずつ結果は拮抗し始める。
この結果がそのまま強さとはならないが、なるほど、この取り組みは確かに強くなる。そのことを実感しながら2人の戦いは続いた。
「みんなも今日はおしまいだとさ。おっとイツキ先輩たら邪星リョウガが相手ですか、凄いね」
日も暮れた頃、2人のスマホに終了を告げる連絡が届いた。イツキがリョウガを相手に特訓していることは驚きだが、それ以外の皆はそれぞれの場所で力をつけているのだろう。
昨日のように、部室組も解散の連絡を送り部室の鍵を閉める。
「そう言えば、スバルに聞きたいことがあった」
「ん、なによ」
「スバルはフワリ先輩と付き合っているのだろうか」
なんの脈絡もなく放たれた質問にスバルは噴いた。
「お前なぁ」
もし、付き合っているのであれば、ライトはアドバイスを求めるつもりだった。状況についてぼかすつもりだが、そんな質問をされればスバルはそれだけで不足なくライトの状況を理解しただろう。
ここで、相変わらず突拍子もないことを、とスバルが流したのは皆にとって幸か不幸か。
「お付き合いはしていません」
「そうか」
少し慌てたような気配は感じたが、ライトもそれ以上突っ込むことはなく、2人はそのまま解散した。
読んでいただきありがとうございました。