【書籍化&コミカライズ】魔法女学園の売店ではたらく俺は、異世界から召喚された『ハーレム奴隷』です。 作:タイフーンの目
115 天国とプレートアーマー【2年】☆
「ジュリ先生の様子が変なんです」
そうラビに話しかけられたのは、とある日の夕食時だった。
ダイニングテーブルの向かいには、まだ制服――夏服姿のままのラビ。
「変って?」
「朝は普通だったんですけど。お昼休みに会ったときには妙にそわそわして、変な汗も掻いてて……夕方のホームルームのあとには、私たちからも距離を取るようにすぐに教室から出て行っちゃって」
「そういえば職員室からも急いで帰っていたような――」
ジュリ先生は、ラビたち2年A組の担任教師だ。
二十代なかばで、クールな印象の人族。でも人当たりが悪いわけじゃなく、生徒からも慕われている。
――ただ、この学園では唯一、性行為実習の経験がない人間でもある。
とはいえ性行為実習の反対派ではく、むしろ推進派。
経験はないのになんでこの学園にいるのかは不明だが、学園長ちゃんからの信頼も厚い。
縫製魔術の達人で、性行為実習に必要なコスチューム類もジュリ先生に準備してもらうことがあるので、学園にとって欠かせない人材であることは間違いないが……。
「何か、深刻なことじゃなければいいんですけど」
この世界、少しぐらいの体調不良なら治癒魔術などで回復できてしまう。学園には保健室のミリア先生もいるし、体調が悪いならすぐに治してもらっているはずだ。
生徒たちの目からも分かるほどに具合が悪い状態を、そんなに長時間引きずることは、普通なら考えられない。
「明日、それとなく様子をうかがってみるよ」
そんなふうにラビと話した翌朝――
俺が職員室へと向かう階段を登っていたところ、その『異常』は近づいてきた。
――ガシャン、ガシャン
「……? 何の音だ?」
重い金属音が背後から近づいてくる。
――ガシャン、ガシャン、ガシャン!
廊下の角から姿を見せたのは、
「か、甲冑!?」
全身を金属で覆った鎧。複雑な曲線と装飾で形作られた、プレートアーマー。その一式を着込んだ何者かが、重そうに揺れながらこちらに歩いてくる。こ、怖……。
――ガシャン! ガシャン!! ガシャンッ!!
歩くので精一杯で俺に気づくのが遅れたらしく、至近距離になってようやく止まると、
「…………っ、………………」
「な、なんて?」
頭部を金属の兜で覆われているせいで、何を言っているのかさっぱり聞き取れなかった。
鎧人間は、兜の目の部分だけをガシャリと持ち上げて、
「……みま……せん……おは……ざいます、リュータ先生……」
「ジュ、ジュリ先生!?」
眼鏡と、泣きぼくろのある目元。くぐもっているが、この声は彼女の声だ。
「……どうぞ、私にお構いなく先に……遅刻してしまいますよ……」
「汗すごいですけど」
季節は夏。
前世で過ごした日本とは違って、爽やかな湿度ではあるけれど、それでも暑いことに変わりはない。目元だけ見ても、前髪が貼りつき、眼鏡も曇っていて、ダラダラと汗を掻いていることが一目瞭然。
「空冷の……魔術を使ってはいるのですが……なかなか、これが……」
何で全身甲冑を着込んでいるのか、果たして正気なのか。聞きたいことはあるが、それはさておき、俺は彼女に手を貸して一緒に職員室へと向かうことにした。
このまま廊下にいたんじゃ熱中症で倒れてしまうだろう。女性の下着ならともかく、鎧の脱がし方なんて分からないし。
「すみま……ん……、少し、動きづらくて……」
ガシャン、ガシャンと音を立てながらどうにか階段を登りきり、職員室へ。
ジュリ先生の姿を見て騒然となるかと思いきや、驚いている先生もいたが、なんと、大して騒ぎになるでもなくそのまま朝の職員会議が始まってしまった。
どうやら、昨晩のうちに教師陣にこの『異常』は予告されていたらしい。
俺はさっぱり事情が呑み込めないままで、隣の席で身じろぎするたびガチャガチャ音をさせるジュリ先生に気を取られ、朝の報告事項もまったく頭に入って来なかった。
■ ■ ■
結局、ジュリ先生に鎧姿のことをたずねるタイミングを失したまま、午前中が過ぎていった。
事情を知っているらしい教師陣とは違い、生徒たちはさすがに驚いていた。
ジュリ先生は本当に動きにくそうだったが、心優しい生徒たちに介助されながら教室を移動。授業は普通に進められたらしい。
休み時間、ラビと会ったので話を聞いてみたが、教室でもジュリ先生からの説明はなかったらしい。『こういうものだ』として扱って欲しいという話だけ。
「無理に先生のプライベートを問いただすわけにもいきませんし……」
ジュリ先生はあの姿のまま、気合いでホームルームも授業もこなしていて、だから生徒たちもそれを受け入れるしかなかったという。
「でも、どうするんだろうジュリ先生……」
「ん?」
「だって、2年生は午後から水泳の授業ですよね」
「水泳……だっけ?」
「聞いてませんか? この学園に来て初めての水泳だから、みんな楽しみにしてますよ」
そういえば、朝の報告事項にそんな内容があったような、なかったような。
「水泳は専門の教師はいないんだっけ?」
「いますよ。水棲系の先生たちは、やっぱり泳ぎ上手いですし。あ、顧問のナターシャ先生も得意だって言ってました」
ナターシャ先生は、ラビたち異界料理部の顧問だ。ラミア族――蛇に関係する種族なので、水には強いらしい。
「でも湖は広くて目が届かないこともあるから、他の先生たちも監視を手伝うはずです。……えっと、リュータさんも」
朝の資料を読み直すと、確かに書いてあった。危ない危ない。
「…………ん。あれ?」
「どうしましたか」
「今なんて言った? 湖?」
「はい。水泳の授業ですし。この学園、川や海はありませんし、湖しか」
「湖……」
マジか。湖で水泳の授業か。さすが異世界。
「でもラビ、水泳の準備とかしてたっけ?」
「ええ、一応タオルは持ってます。上がったら魔術で水を飛ばすので、あまり必要ないですけど」
「いや、水着とか」
「みずぎ……って、なんですか?」
「――へ?」
「はい?」
■ ■ ■
「ここは……天国か……???」
午後。
水泳の授業。
場所は、ラビが言っていたとおり、学園の裏手から山のほうへと進んだ先にある、広大な湖だった。
水質は超良好。
水面は夏の陽差しでキラキラと輝いて、水温も適度。
その水辺に、2年生が全員集合している。
全裸で。
裸で。
素っ裸で。
しかも、だ。
「くすぐったいってばー!」
「動かないでって、うまく塗れないでしょ?」
「手つきがえっち!」
2人1組になって、日焼け止めのオイル(天然由来・魔力含有のすぐれもの)を、塗り合いっこしているのだ。
きゃあきゃあと騒ぎながら、生徒たちのいたいけな肌はオイルで湿っていく。
ちなみに、先生たちも裸。
ナターシャ先生などを代表に、各学年で水泳に長けた人たち。それから、監視係である2学年の教師陣も水に濡れる前提だからか、全員が一糸まとわぬ姿だ。
確かに、学園には性奴隷以外に男はいない。だから肌を隠す必要もない。しかもあのオイルは、わずかな傷程度からなら肌を守る効果もあるらしい。
だから、水着など不要なのだ。
……つくづく思う。
この世界に転生して良かった、と。
そして、目覚めた瞬間がこの光景じゃなくて良かったなー……とも思った。
だって転生直後にこんなところを見せられたら、ここがあの世だと、天国だと思って疑わなかっただろう。『異世界に転生した』なんて思わず、自分が死んだままだと信じて、そのまま昇天していたかもしれない――
それくらいに素晴らしい光景だった。
美しい湖に、晴れ渡った青い空。
そして、生徒と先生たちの美しい裸体。
まあ。
水着姿もちょっと見てみたかったけど。今度、この世界にも水着ってやつを広めてみようか。ジュリ先生に頼んで。
……そうだ。
俺と塗り合いっこのペアになったジュリ先生はというと、
「オイル……塗……ますね……、……あっ」
日焼け止めの入った瓶を取り落とすジュリ先生。それも仕方ない。だってこんな中でもプレートメイルなのだから。
「いいっすよ、俺は自分で塗れるし。先にジュリ先生……は、必要ないっすよね」
「ええ……お構いなく……」
鎧だもんなー。
全身金属だもんなー。
「申し訳ありません……ですが、1人では手が届かない場所もあるでしょう……、ラビさん、お願いします……」
ジュリ先生は、2年A組の委員長でもあるラビを呼びつけて、俺とペアを組ませた。
「よ、よろしくお願いします」
恥じらうラビ。
お互いの裸なんていつも見ているし、触っているし、舐めてすらいる。
それでも、今は自宅でもなければ性行為実習の時間でもない。
屋外で、みんなの見ている前での塗り合いっこに、新しい恥辱を覚えているようだった。
この状況に拍車をかけるように、こちらを見ていた生徒たちも囃し立てる。
駄目だ、俺まで恥ずかしくなってくる。
「ぬ、塗るぞ、ラビ」
「っ、はい――」
まるで初めてお互いに触れるかのような初々しさで、俺たちはオイルを手に取り、相手の肌に塗り広げる。
「んっ、ん――♡」
ラビの滑らかな首筋、鎖骨。肩、腕。
「ラビ、左手上げて」
「えっ? あ、はい……っ」
もじもじしながらも、言うとおりにするラビ。その脇に、たっぷりとオイルを塗り込んでいく。
「やっ♡ あんッ♡」
「ちょ、今は性行為実習じゃないからな?」
「わ、分かってますけど……! そ、そんな、ヌチャヌチャってされたら……くすぐったくて、感じちゃいます!」
艶めかしくぬめった脇から、オイルが垂れてラビの横腹を濡らす。その余ったオイルを手のひらですくってやって、胸部に広げる。
「あ――♡」
ずっしりと重い乳房を持ち上げて、その下部にもたっぷりと。膨らみの曲線に沿って下から上へ、谷間へ。
両手で左右の乳房を掴んで、ゆっくりと先端に向かう。太陽の下、ツンと尖った綺麗なピンク色の突起。そこをオイルに塗れた指先で、ニュルッとつまんで――
「きゃんッ♡ やっ♡やっ♡ そ、そこ、ホントにだめですっ♡ お、お返しですっ!♡」
負けじとラビも、俺の肌に触れてくる。
震えつつも的確な手つきで胸板を撫でて、俺の乳首へ。
「うくっ――!?」
「こ、ここですよねっ!?♡ 仕返しですからねっ、悪い乳首さんには……えいっ、えいっ!♡」
「待てって、それは……ううっ!?」
「こっちもですっ……!♡ おちんちんが日焼けしたら、大変ですからねっ?♡」
たっぷりオイルの手のひらで、勃起していた肉棒を包まれ、上下にしごかれる。
――ズリズリズリっ♡
「先っぽも……えいっ!♡ ぐちゅぐちゅにしちゃいますよっ!♡」
「っっぐ!? お、俺も負けるかっ!」
「あっ!?♡ きゃんっ!?♡ そ、そんなところは、日焼けしませんってば! な、ナカっ……ナカはだめですっ!♡ や、やめ……やぁあんッ♡♡♡」
ついつい熱中する俺たちを尻目に、
「はーい、あっちの2人は置いておいて、水泳の授業始めますよー!」
リーダーの先生が声を張り上げ、こちらに注目している生徒たちを促して授業を強行する。
号令に従って、次々と湖に飛び込んでいく生徒たち。その水音と、楽しそうな悲鳴が響きわたる。
先生たちも、陸から監視するメンバー以外は一緒に飛び込み、このときばかりは授業のことも忘れて、気持ち良さそうにしている。
この暑さ。そしてロケーション。
特に水棲系の種族は、生徒も先生も待ちに待った水泳の時間なのだろう。
「あ、ま、待って! 私も……んくぅううっ!♡」
「ラビ離すんだ……! せっかくだし俺も湖で泳ぎたいっ」
「リュータさんが先にやめてくださいよっ♡ ひ、膝がっ……あくぅうううっ!♡」
見かねたジュリ先生が、冷静に止めに入ろうとするが、
「2人ともそろそろ……、あっ」
芝生の地面に垂れ落ちたオイルに足を滑らせ、前のめりに転倒しかかる。しかし反射的に手を伸ばし、その先にあったものを突き飛ばした反動で、ジュリ先生はなんとか転ばずに済んだ。
その代わり、突き飛ばされた俺たちは――
「うぇええええっ!?」
「きゃあああああっ!?」
バシャーンと派手な水音を上げ、遅れて水泳の授業への参加となったのだった。