【書籍化&コミカライズ】魔法女学園の売店ではたらく俺は、異世界から召喚された『ハーレム奴隷』です。 作:タイフーンの目
「主従関係の上書き……いいえ、主従関係の『塗りつぶし』ですか?」
ジュリ先生が、半信半疑といった声で首をかしげる。
「そんなことで淫紋の効果を封じ込めることが出来るのでしょうか……」
今日も甲冑姿だが、兜だけは外している。
ここは離宮。
ジュリ先生から淫紋のことを打ち明けられた翌日、俺は彼女たちをここに呼び出したのだ。当事者であるジュリ先生と、責任者のテレジア学園長ちゃん、そして俺のパートナーとしてラビ。
離宮は生徒寮の敷地内にあるが、今の時間、生徒たちはみんな授業。この時間なら周囲に人気はまったくない。
「俺とラビなら出来るはずです」
「はい」
ラビも力強くうなずく。
「絶対に成功させてみせます。……リュータさんには、とても負担をかけてしまいますが……」
俺が思いついたのは、力比べ。
淫紋による強制力と、精霊召喚による強制力。そのどちらがより強い主従関係を保てるか。
「まず、リュータさんとジュリ先生がセックスをします」
と、ラビが詳細を説明する。
「淫紋が発動すれば、ジュリ先生はリュータさんのしもべになるんですよね。そこで、リュータさんの『ご主人様』である私が、精霊召喚の契約を通じて命令を下します」
――ジュリ先生を解放しろ、と。
「そこで力比べというわけじゃな」
学園長ちゃんが相づちを打つ。
「淫紋によって刻まれた主従関係を、強制的に塗りつぶしてしまう……まあ、常人には耐えられん所業じゃろうな」
昨夜、ラビからも何度も聞かされた。
ジュリ先生たちの話が確かなら、淫紋による主従契約は、精霊召喚と同レベルの強制力がある。魂にまで食い込んでくる魔術だ。
それに精霊召喚の魔術をぶつける。 イメージとしては、俺の中に侵食してきた淫紋の触手を無理矢理ひっぺがして、追い出してしまう――そんな手法。
「普通の人間なら即死級、良くて廃人コースじゃが。まあ、そちならば――」
「俺は半分精霊ですし」
「それでも無事で済むとは限らんぞ?」
「承知の上です……っていうかその反応、やっぱり学園長ちゃんもこの案は考えてたんですね?」
俺が考えつく程度のアイデアに思い至らないわけがない。
それでも学園長ちゃんが口にしなかったのは、俺のことを慮ってのことだろう。
「優しいっすね」
「やかましい」
ニラまれた。図星のようだ。
「……しかし、よくラビが了承したのう?」
「口説き倒しました」
俺に危ない橋を渡らせること、少なくとも大きな苦痛が伴うことに対して、ラビは反対していた。
「私だって、ジュリ先生には絶対学園にいて欲しいですし。それに……私とリュータさんなら、絶対成功させられますから」
「い、いけません!」
ジュリ先生が割って入る。
「貴方たちにそんなことは……それにもし失敗したら、貴方たちまで淫紋に呑み込まれて――」
「「失敗しません」」
俺たちは口をそろえて答える。
「俺とラビの繋がりが淫紋程度に負けるわけないですから」
ラビも、こくりとうなずく。
「しかしのう……」
「学園長、らしくないっすね。それとも淫紋にビビってるんですか? 情けないっすね」
「なんじゃと?」
「世界中の女子に性行為実習を味わわせるこの魔法女学園の学園長が――そんなしょぼい人だと思いませんでしたよ。あーあ」
あからさまな俺の挑発に、学園長ちゃんはピキピキと怒りマークを顔面に浮かべたかと思うと、黙り込んでフルフルと震えだした。
「あ……すんません、言い過ぎました?」
「……く、く……くくく、くはははははは!」
「こ、壊れた?」
「り、リュータさん、謝りましょう!? 世界が終わっちゃいます!」
「え、あ――」
「クハハハハハ……! いや、そちの言う通りじゃリュータ!」
学園長ちゃんは吹っ切れたように笑って、
「確かに妾は日和っておったのかもしれん。今はそちとラビもおる。いにしえの魔王ごときが残した淫紋など、恐るるに足らんわ。――無論、ジュリの意思次第じゃが」
「わ、私は……!」
視線を集めて、ジュリ先生は、
「やはり危険です。私自身はどうなっても構いません、ですがリュータ先生やラビさん、生徒たちを危険にさらすわけには」
「こやつらはもう覚悟しておるようじゃぞ? それに、もちろん最低限のリスク管理はさせてもらう。……よっ、と」
学園長ちゃんの足下からボワンと白煙が上がったかと思うと――中から、大人サイズの妖狐が現れた。
大人バージョンの学園長ちゃんは、寸足らずの巫女服からむっちりと悩ましい太ももをのぞかせ、胸だって今にもこぼれ出そうだ。
――しかも、それが2人。
「分身もできるんすか?」
「それくらいは朝飯前じゃ。今は魔力を二等分しておる。1人はこの離宮の中に残り、もう1人の妾は外から結界を張ろう」
室内に残るほうは、事態の経過を見守る役。場合によっては淫紋の触手に侵される危険があるが、外の分身体とは魔力的に切り離された存在らしい。
「万が一、淫紋を押さえ込むことに失敗したなら、外の妾がこの離宮ごとそちらを封印する。よいな?」
「封印――」
「ん? どうした、恐れをなしたか? 性奴隷のリュータともあろう者が。さっきまで自信満々じゃったのにのー」
大人な学園長ちゃんにからかわれると、また違った趣を感じる。
俺とラビは成功を確信している。
テレジア学園長ちゃんも提案に乗ってくれた。
あとはジュリ先生だ。
「わ、私は……」
「ジュリよ。その淫紋の呪縛から解き放たれるには今しかないぞ。リュータとラビなしには、この策は実行できん」
「…………」
「したいじゃろう? リュータとセックスを」
「わ、私は……」
一同の顔を見渡してから、ジュリ先生は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「……し、したいです……」
■ ☆ ■ ☆ ■ ☆ ■
ジュリの心臓は、かつてないほど早鐘を打っていた。
鎧を脱ぎ去り、剥き出しになった乳房を隠すように両肩を抱き、リュータの待つ天蓋付きのベッドへと上がる。
ベッドの周囲は幕が引かれ、その薄布の向こうにはテレジア学園長とラビが待機しているが、今のジュリには彼女たちに意識を割く余裕はなかった。
「貞操帯は外さないんですか?」
「え、ええ……まだこれは……暴走してしまうかもしれませんから、最後に……」
最後。
前戯を終え、挿入するときに。
(わ、私は……これからセックスをするのですね……)
そう意識すると、興奮で身震いがした。
絶対に叶わないと思っていた。
この身に淫紋が浮かび上がった幼いあの日から、決して叶わない夢だと思っていた。自分の代わりに、生徒たちだけでも最高の教育を受けられるようにと、テレジアに無理を言って師事し、教壇に立ってきた。
――正直、羨ましく感じたこともある。
性行為の悦びを、身をもって知っていく生徒たちのことを。
教師としての達成感だけでは得られないものがあった。そしてその渇望感とは、一生付き合っていくものだと思っていた。
けれど今――
(リュータ先生の裸……っ)
授業で何度も見てきたリュータの裸体。少女たちと交わる赤裸々な肉体。しかし今、そんな彼の体は、自分のためだけに雄になろうとしているのだ。
緊張でうまく言葉が出ない。
妙に汗をかいてしまって、恥ずかしくなる。これから身を重ねようというのに、汗で汚れてしまって――
「や、やはり、やめましょう……!」
心にもないことを言って、後悔する。本当は、これまで押さえつけてきた激しい欲望がこの身を焦がしているというのに。
「いや、無理っすよ」
「え」
リュータに両肩を捕まれる。その拍子に隠していた乳房がぶるんと揺れてまろび出る。
「きゃっ――」
まるで少女のような声が飛び出てしまって、自分でも驚く。
「そ、そんなに見ないでください……っ」
体温が感じられる距離で、恥ずかしい部分を見られてしまっている。白い乳房。そして、その先端には、期待でツンと尖ったはしたない乳首――
「恥ずかしい……」
身をよじろうとしても、彼の手は頑強だ。
こちらを傷つけるような乱暴さはまったくないが、決して解放されないという確信を感じさせる。そしそれが、こんなにも嬉しいだなんて。
――ズクンッ
「……ッ!?」
下腹部が熱い。淫紋が、雄の気配とジュリの劣情に反応しているのだ。ジクジクした熱が子宮のあたりから這い登ってきて、視界がぼやける。
「やはり中止を――ングっ!?」
突然の口づけ。初めて味わう唇の感触。
淫紋への恐怖に呑まれかかっていたジュリの意識が、あっという間に引き戻される。
「んむッ!? ん、んッ……んぅっ♡」
淫紋が放つ熱は酷くなる一方だったが――
唇から与えられる幸福な感触と、下腹部で蠢く淫靡な快楽とが、ジュリの体内で衝突し激しく揉み合う。
「んゥううッ!?♡ んッふ♡ふぐゥッ?!♡ ――ッあ、腰が跳ねてッ!?♡ むぐッ!?♡んぅうう♡♡♡」
有無を言わさぬ口づけと、淫紋の脈動。その板挟みに遭って、全身が沸騰しそうな快感に襲われる。陰部で蜜液がジュクジュクと溢れて、太ももに這い垂れる。
(キ、キスだけでこんな……こんなッ……!?♡)
濡れている、などという次元ではない。排尿でもしてしまったのかと思うほどの大量の愛液分泌。
淫紋のせいだ、と思おうとしたが――これは違う。
大人の女として十分に性熟していたジュリの肉体が、初めて男性の肌に触れて、ひたすらに悦んでいるのだ。
「ジュリ先生……いきますよ」
囁くように言って、リュータがジュリのことを押し倒してくる。声音も仕草は優しいが、やはり力強く、抗いがたい――。
ジュリは為す術もなくベッドに仰向けにされ、彼が覆い被さってくる。
(あ、あ……ッ♡ こ、これから私は……)
甘やかで淫らな絶望が背筋をゾクゾクと震わせ、ジュリはかつてないほどの興奮の中で、たったひとつの事だけを考えていた。
これから私はセックスをするんだ――、と。