【書籍化&コミカライズ】魔法女学園の売店ではたらく俺は、異世界から召喚された『ハーレム奴隷』です。 作:タイフーンの目
「お、到着したようじゃぞ。見てみい、あれがそちの乗る馬車じゃ」
翌朝の学園長室。
俺は学園長ちゃんの隣に並んで、窓から2両の馬車を見下ろした。
「ラビと別々なんすよね」
「ほほー、リュータ
おのれこの学園長ちゃんめ……!
「分かっておるって、そう睨むな」
狐幼女の学園長ちゃんはケラケラと笑ってから、ふと真面目な面持ちになって、
「そちは重要人物じゃ。学園にとってだけでなく、女王たちにとってもな」
「危険人物でしょ?」
「そうとも言う。――故に、ダンサーバニーの里までは監視を付けさせることが、外出許可の第一条件じゃったからな。そちが抜け出して、どこかへ遁走してしまっては奴らにとってもマズいことになる」
「しませんよ」
俺がこの学園を捨てて出て行くことなんてあり得ないが、まあ相手からすればそんなことは断定できないか。
改めて用意された馬車を見直す。
箱形の、それこそ貴族が乗っていそうな馬車だが俺用のほうは窓もふさがれていて、女王の配下らしい御者が、なぜか極太の鎖を用意しているのも気になる。
「……俺、猛獣扱いっすかね?」
「世界中のどの牡よりも性欲旺盛、絶倫、魔力も使える。結界なしに中出しされれば妊娠確実……低く見積もっても『性獣』扱いじゃろうな」
「ですよねー」
そこだけ聞くと、性行為実習を阻もうとしている女王でなくても、危険視して当然の存在だな。
学園の外を体験できるのは楽しみでもあったが、どうやら旅を楽しませてくれる気はないらしい。馬車に監禁されて、ラビとも分かれて一泊二日かぁ……。
相手の警戒レベルは高く、鎧を着込んだ女騎士と、魔術師らしい装いの銀髪の女性も馬車のそばで佇んでいる。
鎧のほうは――あれは竜族か?
燃えさかるような赤髪に、立派な角。太いトカゲの尻尾。学園にはドラゴンがいないから珍しい。
なんて、まじまじと見下ろしていたら視線に気づいたのかそれともたまたまだったのか、ドラゴン女騎士がギロリとこちらを見上げてきた。
「げ」
鋭い視線を避けて、窓際から離れる俺。
「いま、睨まれましたけど?」
「抹殺指令でも出とるのかもしれんな」
「いやいや、それはさすがにヤバくないっすか」
「そちは殺されても死なんよ」
「また無茶なことを――」
「無茶ではない」
なぜか学園長ちゃんは自信たっぷりに、
「今回の外出、自身の立ち位置をよく知るにもいい機会じゃろう」
「立ち位置……」
「どれだけ特異な存在なのか。――正直、妾が本気で殺しにかかっても、そちのことはそう簡単には始末できんよ」
「言い方はともかく……そんなもんなんですか? 学園長ちゃんって強いんすよね?」
学園を覆う、超巨大な結界を張れるほどの魔術師。今はその結界の維持に魔力の大部分を使っているらしいけれど。
「ベストコンディションの妾に勝てる魔術師などそうはおらんよ。――しかしそれでも、そちを殺しきるのは至難の業じゃろう」
「ほう……」
学園長ちゃんに高く買ってもらっているのは素直に嬉しいな。シチュエーションは物騒だけど。
「八つ裂きくらいには出来るじゃろうが、それで殺し切れるとは限らんしな」
「俺の生命力、化け物じゃないっすか」
「そちの身体の半分は『精霊』じゃ。それが受肉して、魔力を蓄積するのに理想的な状態が生まれた。魔力の量も質も最上級。そのうえ、多種多様な種族の牝と交わって、その影響を受けて成長し続けている――」
「セックスすればするほど、強くなっているってことですか」
「さらにはスライムもある。物理防御、魔術防御にも有用で、責め手に使えば牝の天敵。浮遊魔術もあり、妾の紋章を使えば肉体を縮めることもできる。そしてひとたび『寝技』に持ち込めば、落ちない女など居はしない――。敵に回したくない相手、№1じゃよ」
俺の旅支度、『男子用制服』を着させられている。いざとなったらショタ化もできる。さらに備えとして、淫紋を刻んだスライムも体内に保管してある。いつでも取り出して、性具として使える状態だ。
「たとえ女王の奴がそちの暗殺を企んだところで、まず成功することはない。……とはいえ。実は、妾もそちの護衛として同行を願い出たのじゃが――さすがに却下されたよ」
申し訳なさそうにする学園長ちゃん。
まあ、難しいだろう。女王からすれば、俺たちは学園内の、いやこの世界での危険人物トップ2だ。俺のご主人様であるラビも合わせればトップ3。そんな3人そろって学園の外で自由にさせるのは、相手にとってリスクが高すぎる。
「その気遣いだけでありがたいっすよ。……でも、俺ってそれくらいヤバい人間になってたんすね」
セックスするほど強化されるという点については、俺も薄々感じていたことではある。
育ち盛りの教え子300人と、性熟した先生たち数十人。日夜、彼女たちとセックスし続けている俺は、性行為の経験値だけでなく魔力も鍛えられているってわけか。
戦闘民族、いや性行為民族? 俺1人しかいない種族だけれども。
「俺の身体は他人の魔力の影響を受けやすい――。じゃあ、俺自身の魔力の影響は?」
「自身の?」
俺が使える魔術はすべて他人からの受け売りだ。
浮遊魔術は神鳥から。ショタ化は学園長ちゃんの魔法陣のおかげだし、淫紋はジュリ先生からの借り物で、スライムは錬金術部とのコラボで生まれた。
そろそろ俺だって、自分で魔術を使いたい。
だから実はこれまで、密かに自分に合った魔術を探していたところだったのだ。図書室に籠もって文献をあさってみたり、先生たちにそれぞれ専門の魔術を聞き回ったり。
「して、使ってみたい魔術は見つかったか?」
「ええ。――【変化の魔術】を」
他人の魔力を肌で受け止めるだけで状態を変えるのが俺の肉体だ。ならば、『肉体を変化させる魔術』を自分に向けて放てばどうなる?
変化の魔術はオーソドックスだが、変化を維持しようとするとかなりの魔力が必要になるし、肉体の形状を変えるのだからリスクも伴う魔術だ。
「でも俺なら効率的に使えると思うんです。魔力もたっぷり持ってるし」
「ふむ……。しかし、肉体的なリスクは伴うぞ? そちはイレギュラーな存在だけに、どのような影響をもたらすか……」
「それ、ラビにも言われました。……だから俺は、もっと俺自身の身体についてよく知る必要があると思ったんです」
特に魔術面において。
「ラビより詳しく……そうか、ダンサーバニーの里ならば」
「はい。精霊召喚のプロたちに聞けば、俺の状態をもっと正確に把握できるかなって」
「なるほどな」
ラビとの将来に向けてのご挨拶と、新たな魔術を身につけるための特訓を兼ねた帰省旅行。
女王側に狙われる危険は伴うが、それだけの価値のある外出だ。
学園長ちゃんは得心がいったようにうんうんとうなずいてから、俺にたずねる。
「それでリュータよ。そちは変化の魔術を何のために習得するんじゃ?」
俺はノータイムで、右手の親指をグッと立てて学園長ちゃんに答えた。
「もちろん――、他の種族に変化して他種族セックスを楽しむためです!!!!」