【書籍化&コミカライズ】魔法女学園の売店ではたらく俺は、異世界から召喚された『ハーレム奴隷』です。 作:タイフーンの目
ファティマが驚くのも無理はなかった。
性奴隷のリュータは今の今まで、目の前で、自分のクラスメイトを犯しているところ。
そんな彼が、ファティマの背後からしれっとした顔で部屋に入ってきたのだ。
「お。分身体も、よくやってるな」
「分身……!?」
「ああ、スライムで作った分身体。そっくりだろ?」
同じ姿形をした男が、1人は立ちバックで少女とセックスしながら、もう1人は自分にそれを解説してくる。
ファティマは平常心どころではなかった。
「というか、初めましてだな」
「……!? 実習開始前に、講堂で会ったではないか!? まさか、あれも?」
ファティマは彼と握手をした。
変な感触などなかったし、しっかりと人間としても魔力まで感じられた。
この男が、双子か、ドッペル族でもない限りは説明が付かない。
しかし、嘘を言っているようにも見えない。
「ど、どちらでもいい! まだ実習中であることに変わりはない……!」
相手のペースに飲まれてはマズい。
すぐさま頭を切り換え、剣を構える。
初めての性交に耽るクラスメイトのほうは、淫紋とやらの効果のせいなのか、リュータのテクニックのためなのか――苦痛の声どころか嬉しそうな嬌声を上げ続けている。
それなら、自分はこの『2人目』のリュータのほうへと意識を割くべきだ。
「ボクには淫紋とやらは通じない。ボクに彼女と同じことをしたいなら、戦闘によって上回ってみるんだね」
訓練用に刃を落とした模造刀ではあるが、それでもファティマが殺気を込めるとその刀身には凄味が増す。
相手は、異世界から紹介された性奴隷の男。
体つきはガッシリしているが、実戦経験はなさそうだ。魔力もファティマには及ばないだろう。
「そうだよな、俺は『悪いモンスター』なんだよな。ボスの学園長ちゃんを守る――いいぞ、じゃあまずはそっちから」
(……怯まない、のか)
拍子抜けするような態度を前に、ファティマはむしろ冷静になった。
片手剣を握り直し、リュータに斬りかかる。
ある程度のダメージ、一定以上の苦痛は与えてしまうだろう。
「はぁ――っ!」
肩口を狙って振り下ろす。だがその切っ先を、リュータはあっさりと片手で掴んでみせた。
「う、ううっ……!?」
せっかく平静を取りもどしたのに、ファティマの心はまた乱れる。
「な、なぜっ!? 異世界人は……貴方は、異世界での実戦経験が!?」
「ないない。でもこっちに来て魔力は鍛えられたし」
本物の『彼』と会うのはこれが初めて――
その言葉が真実なら、彼の魔力を計るのもこれが初めて。
分身体とやらが、本物より強いとは考えにくい。
では、これが彼の本気の魔力?
魔力で強化されたリュータの握力を前に、ファティマの剣は押しても引いても敵わない。
「あとは300人以上と毎日性行為してると、人の動きが、次にどう動こうとしてるかが何となく分かるようになったし。……生徒にはガチガチの肉体派の獣人もいるしな。そんな子たちを何人も組み伏せるのは、なかなか大変なんだよ」
会話の次元が理解の範疇を超えそうなのだが――
剣を使っての実戦ではなくとも、『魔力を全開にした肉弾戦』を毎日こなして来たのだと考えれば、納得できてしまう。
「う、く……っ! なら拳でっ……!」
剣は諦め、手を離す。
拳を振りかぶるそぶりをフェイントに、リュータの胴に回し蹴りを浴びせるが、それも簡単に防がれてしまった。
フラフラとバランスを崩し、床に座り込んでしまう。
その拍子に、獲得したオーブが転がり落ちてしまい、リュータに拾われてしまう。
「そんな……馬鹿な……」
「スライムは防御にも使えるしな。薄く展開するだけでも衝撃は吸収できるし、真剣だって掴める」
今のは、魔力を込めた一撃だった。
総合的な戦闘能力の高さなら、自他共に校内ナンバーワンを認めるファティマだが、文字どおり手も足も出ない相手だった。
「か、勝てない……?」
ガックリとうなだれるファティマ。
他の教師にならともかく、男性である性奴隷に負けるつもりなどまったくなかった。
そこへ追い打ちを掛けるように、
「リュータ先生」
先ほど倒したジュリがやって来た。
彼女が来たということは、
「あの2人は……」
「淫紋で引き出された性欲で、今は足腰が立たないように」
「…………」
完敗だ。
見破ったと思っていたジュリの魔術には裏があり、正面からぶつかったリュータにも負けてしまった。
敗北の先には――
――じゅくん……ッ♡
「あら? 淫紋は効いていないはずなのに。発情しているようですね」
「し、していないっ……!」
でも、彼らが言うことが本当なら、性欲を押さえ込んでいたのはみんなも同じではないのか? 自分以外も淫らな欲望を持っているのなら、少しくらい開放的になっても……。
(いやいや! ボクは何を考えているんだ!)
少し、どころではないのだ。
そこで犯されているクラスメイトのように――
「んっはぁっ♥ オチンポぎもぢぃいっ!♥おっ、奥っ♥おぐっ♥奥でいぐっっっ♥♥♥」
「~~~~っっ!?」
意識し始めると、かあっと全身が熱くなる。敗北の冷たさなど一瞬で消し飛んでしまった。
「シチュエーションが……言い訳が必要なら、こうしましょうか?」
ジュリが淡々とした調子でそう言うと、糸の魔術を発動させる。
スルスルと伸びてきた糸はあっという間にファティマの四肢をに絡まりつく。
「や、やめっ……!」
立たされ、大の字に拘束されてしまう。
「ダンジョンって危険なところなんだろ?」
オーブをジュリに返しながらリュータが言う。
「じゃあこれもいい実戦経験になるんじゃないか? スライムだって、野生のものは魔力目当てに女の子を襲うらしいし」
「ええ。ダンジョンには様々な魔物が蠢いています。中には、性行為に似た手段で冒険者を絡め取るものもいますから」
「そんじゃ、その予行演習だな」
「くっ……!」
ぐっと奥歯を噛みしめてファティマは、
「く、訓練の一環ならば仕方ない……初めにも約束したしな……! す、好きにすればいいじゃないか……っ!」
言いながら、下腹部がより熱くなっていくのを感じる。顔が真っ赤になっているのが分かる。
視線はもう、リュータの一挙手一投足に釘付けだ。
ゆっくりと近づいてきて、頬に触れられる。
「んっ……!」
女性の手とは異なる触感。ゴツゴツした手のひらだが、イヤじゃない。
こちらが心地よいと感じる丁度いい加減を知っている手つきだ。
こんなふうに男性に優しく撫でられるのは――
「はぁ、は、あ……っ」
彼の右手は、ファティマの耳に触れ、首筋の滑らかさを確かめるようにすべり下りていって、鎖骨を撫でる。
「んくっ、はっ、あ……!」
自身の唇から、熱い吐息が漏れるのを感じる。
(触られている……男の人に……せ、セックスをするために……)
性奴隷のリュータは、本当に手慣れている。くすぐったさと快感の狭間を行き来しながら、気がつけば上着を脱がされ――
「――あ、そ、そこはダメだ! 待ってくれ!」
叫ぶより早く、リュータが『それ』に気づいていた。
「……翼?」
ファティマの肌をまさぐるリュータの手が、背中にあった彼女の翼に触れた。
「鳥の獣人か?」
「いいえ、その翼は――」
答えたのは、横で見ていたジュリだった。
「それは、天使の翼ですね」