【書籍化&コミカライズ】魔法女学園の売店ではたらく俺は、異世界から召喚された『ハーレム奴隷』です。 作:タイフーンの目
「ユニコーンって、何なんすか?」
連れられて学園の敷地をいく道すがら、俺は学園長ちゃんにたずねる。
「角の生えた白馬……一角獣じゃな。リュータは見たことがないじゃろうが――」
「ああ、見たことないけど知ってます」
「ほう?」
どうやら、俺の世界に伝わるユニコーンと似た外見をしているらしい。
「でも神獣って、そんなのが学園の中に?」
「そちも神獣には会ったことがあるじゃろ。神鳥ピックルに」
そういえば。
ハイエルフのティールちゃんが呼んだ『神鳥』――世界に2羽しかいない神の使い――と接触したことがある。あのレベルの存在ってわけか。
「ヤツは、そちが――リュータが召喚されてくる前に、フラリとやって来てこの学園の森に棲み着きおった」
「学園に結界が張られる前から?」
「いや、その後じゃ」
結界が張られた後。
普通の人間が入るには女王の許可が必要だが――神鳥ピックルも結界を無視して往来していたっけ。
「何のために?」
「ユニコーンはのぅ……処女が大好きなんじゃ」
「あ、それも知ってますよ」
俺のいた世界でもユニコーンは清らかな乙女、つまり処女を好むモンスターとして描かれていたけれど、こちらでも同じらしい。
「この学園、以前は処女だらけじゃったからな。ウハウハに喜んで駆けて来たようなんじゃ」
そして、女王によって結界が張られ性奴隷を確保することができなかった当時の学園では、生徒たちは性欲と処女を持て余していた。
「牡がゼロ。学園には処女だらけ。処女が散らされる恐れはなく、ユニコーンにとっては楽園そのものだったワケじゃな。――しかし。そちが来て環境は一変した」
「あー……」
「そちはたった1人で、まずラビを手始めに、それから次々と学園で生徒を犯していった」
「仕事ですからね?」
「好きじゃろ?」
「好きですけど」
完全な利害の一致だったし、実際、生徒や先生たちからは大歓迎されたが――
「ユニコーンからすれば、許しがたい蛮行だったわけじゃ」
確かに処女厨のユニコーンからすれば、『推し』の少女たちがポッと出の男に処女を奪われていったら堪ったもんじゃないだろうけど。
「それを俺に言われてもなぁ」
「危ないところだったんじゃぞ?」
「?」
「あれはいつだったか……性行為実習が始まった頃、そうじゃそうじゃ。ちょうど1年生と『おちんぽテイスティング』に勤しんでおったときじゃな。逆上したユニコーンがそちを殺そうと暴れ出してな」
「!?」
「激戦のすえ、妾がなんとかユニコーンを封印したんじゃ」
「そんなことが……」
俺が1年生たちの可愛いお口を犯しているあいだに、学園長ちゃんは魔術バトルを繰り広げていてくれたのか。
「しかし封印ってどこに?――いや、この方向ってもしかして」
進んでいく風景に覚えがあった。
ちょっと前まで、足繁く通っていた場所だ。
「うむ。これは妾も失敗じゃったんじゃがな。すっかり忘れておって」
校舎からそう遠くない場所。
夏場にとてもお世話になった場所。
「封印したのは……淫紋プールだったんじゃよ」
■ ■ ■
そこはもともと、『淫紋プール』なんていういかがわしい場所じゃなかった。
清浄な湖だった。
「ユニコーンは、清らかな湖に居着く性質があるからのう。当時はヤツの気を鎮めるためにも最適だと思って、湖の底にやつを封じておったんじゃが……」
その湖は、生徒たちのプールとして授業で使われていた。
そこに俺がお邪魔して、ちょいちょいと。ナイトプールにして生徒と教師が入り乱れてのパーティーをやったり、淫紋の性質を加えてみたりと……。
「やべーことやってますね、俺」
封印されて身動きできない状態で、かつて処女だった生徒たちが1人の男に淫紋を刻まれて次々に犯されていくさまを、指をくわえて見せつけられるとか――
処女厨じゃなくても、ぜったい大激怒するやつじゃん。
果たせるかな。
淫紋プールという名の湖に到着すると、穏やかなはずの水面は、嵐でも到来しているかのごとく荒れに荒れていた。
その波の中心には、
『ぬぉおおおおおおおおお! どこだ! あの性奴隷の牡はどこだぁああああああ!?!?!?』
白い一角獣が、馬の首から上だけを出して、野太い声で吠えていた。その魔力の籠もった咆哮のせいで湖どころか周辺の地面までもが揺れている。
「…………。ガチギレっすね」
「そうなんじゃ」
腕組みして、しみじみと眺める俺と学園長ちゃん。
なんかアレだよね。
人がめっちゃキレてるの見ると、こっちは逆に冷静になるよね。
「魔力やばくないっすか?」
「うむ。全盛期の妾に匹敵する強さじゃ。……しかし、それはそちも同じじゃぞ」
「え?」
「やはり気づいておらんかったか。『存在し続ける精霊』であり、毎日、限界まで魔力を使い果たしては補充する、凄まじい訓練を続けておるんじゃぞ。いまや、神獣に匹敵するほどの魔力を備えておるぞ」
マジか。
確かに毎日精液を限界まで放出して、毎晩ラビに癒やされる生活を続けているわけで……サ○ヤ人と同じ方式が適用されるなら、今ごろスーパーなパワーを身につけていてもおかしくないってことか。
「じゃあ、一緒に戦うために俺を連れてきたと」
「いいや。いくら魔力が強くても戦い方を知らなければ大惨事になる。ユニコーンとの戦闘でこの学園を廃虚にしかねんからな」
『っっ!? 見つけたぞ! 貴様だなぁあああああ!?』
あ、やべ。
白い馬体に白いたてがみ。額から見事な一本角を生やした神獣が、怒りにまかせて前脚を水中から抜いて、その蹄で水面を踏む。
『グォオオオオ!』
捕われていた湖の封印から、力尽くで抜け出ようとしているようだ。
「戦闘じゃないなら、封印? 俺そんな器用な真似できませんよ」
「それも重々承知じゃ。なのでそちには――」
『なにをゴチャゴチャと! 穢らわしい性奴隷と、キツネ耳のババアが!!』
「「は?」」
穢らわしくないが? 健全だが?
それに、
「ロリBBA最高だろ!! 全力で叫びたい単語だぞ、『ロリBBA最高』って!!」
日本で叫ぶといろいろと問題のある単語だが。
この世界なら声を大にして発信できる。
『ふん! そのキツネ女も、とっくに処女ではないんだろう!? そんなメスに価値などない!!』
厳めしい声で、目をギラギラに光らせてユニコーンは、
『女は処女でなければ価値はない! 清らかで、純真で、儚くて美しい……そんな
まあ、ユニコーンの言うことにも一理ある。
処女特有の魅力があることは認めよう。
だが!
「フッ、分かってないな! 非処女だって……非処女だからこその色気と、前の男を上書きする達成感があるんだぜ!?」
『ふん、中古など――』
「中古ぉ!? お前ふざけるなよ!?」
学園長ちゃんを始めとして教師陣は性行為実習を体験済みだった。初めてをもらえなくて残念な気持ちは、それりゃああったけども。
「少なくとも、この学園の先生たちは最高だったぜ! みんな魅力的だ!」
「……リュータよ。一応いまのセリフ、魔道具で録音しておくぞ。教師たちに聞かせたら泣いて喜ぶじゃろうよ」
『信じられるか! 処女のほうがいいに決まっている!!』
聞き耳持たずといった様子のユニコーンは、グググと前脚に力を込めて……とうとう、全身を封印から解き放った。水飛沫とともに現れた一角獣の姿は、まさに神獣と呼ぶにふさわしい荘厳さと神秘さとを発している。
……ただし、そのセリフを除けば、だが。
『見ていろ! この学園のメスを全員……処女に変えてやる!! 手始めに――』
「へ? 何を?」
角の尖端にオーロラめいた光を帯びさせ、ユニコーンが俺に向かって突進してくる。
『喰らえ!』
「まさか、あの魔術は伝承ではなかったのか? リュータよ、危ない!!」
俺を突き飛ばした学園長ちゃんが、代わりにその突進を体で受けてしまう。
「が、学園長ちゃん!?」
これが戦闘経験の差か!? くそっ、俺の判断遅れで学園長ちゃんが…………、えっと、どうなったんだ?
確かに猛々しい突進だったが、感覚でわかっていた。俺や学園長ちゃんの魔力なら、物理にせよ魔術にせよ、たいしたダメージを与えられるような攻撃じゃなかった。
事実、一度は倒れた学園長ちゃんだったが、すぐにモゾモゾと立ち上がる。かすり傷ひとつなさそうだ。
しかし……学園長ちゃんは、何やら複雑な表情でお腹の辺りを抑えている。
一方でユニコーンは、
『ふはははは、受けたな、キツネめ! 我の……【処女返り】の魔術を!!』
勝ち誇ったように、ブルルルと鼻を鳴らした。