【書籍化&コミカライズ】魔法女学園の売店ではたらく俺は、異世界から召喚された『ハーレム奴隷』です。 作:タイフーンの目
「せんせー、この【シャケおにぎり】ってやつくださーい」
「はいよ。
「はーい」
「え、買うの?……どうしよ、私も食べてみようかな」
昼休みの渡り廊下。
かつて使われていた売店スペースを利用して俺は、異界料理部が研究・再現した異界料理を生徒たちに販売していた。
代金は通貨ではなく、【魔晶石のカケラ】だ。
魔晶石とは、魔力を凝縮して生成される宝石めいた外見の石で、この世界ではあらゆる場所で活用されている。
たとえば光属性の魔力を結晶させれば照明として使えるし、火属性なら調理にも使える。
その魔晶石を作る授業もあって、各学年の必須科目になっている。魔晶石の作成過程では、出来損なったカケラが副産物として生成される。破砕して魔力を逃がすことで廃棄される。
これなら生徒たちも入手しやすいし――さらには、異界料理部にも利益がある代物なのだ。
あの部活では、召喚魔術で異世界の料理を取り寄せている。
召喚魔術は難易度も高いのだが、魔力も大量に消費する魔術だ。魔術の行使中に、その魔力が不足すると失敗の確率もぐんと高まってしまう。
そこで術者は、安定した魔力供給のために、魔晶石を利用することがあるらしい。
そして、1つ1つはごく微量な魔力しか帯びていないカケラでも、大量に集めれば召喚魔術の補助に使えるのだ。
――そんな事情もあって。
俺は学園長の許可を取り、この魔晶石のカケラを売店で通貨代わりに利用させてもらっている。
滑り出しは上々。
昼休みや、放課後の空いた時間を使って俺はこの売店のカウンターに立っている。
俺の信頼……が活きているのかどうかはともかく、学園にたった1人の男であり性奴隷である俺のことは、誰でも知っている。
生徒や教師はもちろんのこと、その他の事務員や調理師さんたちも含めてだ。
だから、気軽に立ち寄ってくれる人も多く、昼休みなんかは人だかりができるほどになった。
また、さっきのように、異界料理を怖がる子がいても、他の子が購入したり美味しそうに食べている姿を見て、釣られて手を出すというパターンも多い。
ラビたち異界料理部の役にも立てて、故郷の料理も広められて、生徒たちにも喜んでもらえる。
これはなかなか楽しいものだ。
まあ、中には……
「あー。おじさん、ホントに売店やってるし」
1年生の生意気サキュバス娘、ネネーナが、友人を2人伴って、からかいにやってきた。
「変なのばっかー。こんなの売れんの?」
「冷やかしなら散った散った」
「えー? おじさん、あたしにだけ冷たくない??」
「自分の胸に手を当てて聞いてみろ」
「胸触れとか! えっち!」
ものすごく今さらな気もするが、そう言ってネネーナはニタニタと笑う。
引き連れている友人たちも似たような気質の子たちで、ネネーナに合わせて俺をからかって笑っている。
2人の友人も性行為実習で処女を奪った相手で、実習のときには年相応に可愛らしい子なのだが、今はネネーナに感化されて生意気さ全開だ。
「つーか、おじさんって言うな。『旦那様』じゃなかったのか?」
「あれはメイドのときだけだし。え? 普段から女の子に「旦那様」とか呼ばせたいワケ? あはは、変態じゃん」
「変態だー!」
「変態おじさんだぁー」
今すぐオシオキしてやろうかこいつら。
「はぁ……。ネネーナ、ウチに来たときは素直なのになぁ」
「は、はぁ!?」
「だって、『旦那様ぁ、好き好きぃ』って」
「ゆ、ゆってないし!? ぜんぜんゆってないし!」
友人たちの顔色を気にして、あたふたするネネーナ。
「そうか。わざわざ売店に来てくれたのはアレか、最近、家で相手してあげられてないからだな。寂しくて会いに来てくれたってワケだ」
「ちがうし!!? ば、ばかじゃないの!? 旦那さ……おじさんに会いにくるわけないし!!?」
「わかったわかった。ほら、いつもみたいに頭を出して? ネネーナの大好きな、よしよしをしてやるから」
「だからバラすなし!!……あ。ぅうう……!!」
相変わらず攻めるときは生き生きしてるくせに、受けに回るとつくづく弱い子だ。
「まあそれはともかく」
「ともかく!?」
「せっかくだから、みんなもコレ食べてみて」
「あたしを無視すんなし!」
ピャーピャー騒ぐネネーナを無視して、他の2人に『商品』を渡す。
「なにこれー?」
「食べ物ぉ?」
俺が渡したのは袋入りのお菓子。
故郷の――日本のお菓子なので、こちらの世界の子たちには完全に未知のパッケージだ。
袋を空けると、中にはふわふわの、白い綿菓子が入っている。
「ちぎって食べてみて」
「「?」」
疑心暗鬼な2人。
隣でむくれてるネネーナにも、
「ほら、これ」
「……べ、別にいらないし」
言いながらも、仲間はずれは寂しいのか素直に受け取る。
「さすがに異界料理部でも再現できないから、それは召喚したものだから、レア物だよ。俺の世界でももう手に入りにくくてさ。子どもに人気だったお菓子だ」
「お菓子? これが? てゆーか子どもじゃないし」
「いいから食べてみろって」
「…………?」
本当か? といった顔で俺をにらみつつも、ネネーナたちは、ちぎった綿菓子を口に含む。
途端、
「んん!!??」
「~~~~ッ、ったぁ!?」
「痛い痛い――っ、口の中で弾けるっ!?」
「なにこれ!? 雷の魔晶石が入ってんの!?」
「だました! おじさんがだました!!」
まあ予想どおりの反応だ。
俺が食べさせたのは、綿菓子の中に弾けるキャンディーの入った代物。口に含むと、内包された炭酸ガスの力で飴が弾けてパチパチと暴れ回る。
「な、なに食べさせてんの!?」
「ひどい! 先生にゆってやる!……あむっ、痛っ!!」
「甘いけど痛いし! ――ぱくっ。んんーーッ!? な、なにこれ、止まんないよぉ?」
「はうっ!! やぁあ……おじさんの、これ、おいひぃかもぉ……」
ふっふっふ。
痛気持ちいいのが癖になってきたな?
「はわわ……っ、やらぁ……もう、やなのに、止まんないよぉ……っ」
「か、体が覚えちゃうっ! キモチイイの、覚えちゃうよぉっ!」
「頭ばかになるぅ……。これじゃないとダメになるっ……。おじさん、もっと、もっろちょうらいっ? 白くておいひぃの、もっろぉっ!」
…………。
あれ? こいつら快楽に弱すぎないか? よわよわじゃない?
「ふきゅぅう……っ、おじさん、もっと入れてよぉっ、お口に、すごいの、いっぱい欲しいよぉっ……!」
「ちょ、ちょっと待った」
何でもアリなこの学園だが、さすがに昼休みの渡り廊下で、こんな会話が繰り広げられているのは目立つ。
「白いのいっぱい、いっぱい欲しいのぉ!」
「お金ならいくらでも出すからぁ!」
「何でもしますっ、おじさんのゆーとおりに、何だってするのぉっ……!」
ダメだ。いろんな意味でアウトだ。
廊下を行き来していた生徒たちが遠巻きにこちらを見てヒソヒソ言い合っているが――
そんなことなど気にせずに、快楽の虜になった生意気3人娘は、甘ったるい声でおねだりを続けてくる。
「お願いします、激しいのでも我慢しゅるぅ!」
「痛くていいのっ、だから、もっとすごいの欲しいぃ……!」
「いや、もうこれ在庫切れで――」
「やだ、やらぁっ!」
これ、本当に普通のお菓子だからな? こいつらがよわよわ過ぎるだけだからな!
「分かった! 分かったから! 今度、錬金術部に頼んで作ってもらうから!!」
「今すぐじゃないとヤらぁ!」
「出して、出してくらしゃいっ……!」
まとわりついてくるサキュバス娘たちを振り払いながら、この日の昼休みも慌ただしく過ぎていった。