※この作品はR-18です。

【書籍化&コミカライズ】魔法女学園の売店ではたらく俺は、異世界から召喚された『ハーレム奴隷』です。   作:タイフーンの目

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06 ぷんすか学園長ちゃん、痛恨のミス(だがファインプレー)

 ジュリ先生に案内されて、学園長室に入る。

 いったいどんな偉そうな人かと思いきや――

 

「おう、そちが異世界からの性奴隷か。まあ気楽にせい」

 

 言葉づかいは大仰だが、見た目はまるで子供だった。

 でっかい机の向こうで、でっかい椅子にちっちゃい体がちょこんと乗っかっている。

 

「……なんじゃ? どうした?」

 

 黄金色の三角耳。大きなモフモフのしっぽ。キツネの獣人だろうか。

 

 ロリっぽい外見に、偉そうな態度。古めかしい言葉づかい。立場からしても、見た目と実年齢はまったく異なるのだろう。

 

 凄いな……。

 ケモ耳のじゃロリBBAとか実在するんだ、この世界。もしもこれで一人称が『儂』とか『(わらわ)』なら数え役満だぞこのやろう。

 

「? この性奴隷、ボーッとしたまま動かんぞ? ……おぅ、そうかそうか。わかったわかった。皆まで言わんでよい。見とれてしまって、口も利けんのじゃろ? この、妾のあまりの美しさに――」

 

 

 きたよ! 本当にきたよ!

 

 完全体の『ケモ耳のじゃロリBBA』だ!!

 

 

「……なあ、ジュリ。こやつ本当に大丈夫か? なんか、勝手に感激して涙まで流しておるぞ? ぅうむ、やっぱりそうか、美しいというのも罪なのじゃな」

「はい。完全に、寸分違わず、一から十までおっしゃる通りです。学園長先生」

 

 なんだかジュリ先生には相手されてないような感じがあるが、大丈夫だろうかこの学園長。

 

「妾が! この学園を統べる長! いちばんえらいひと! テレジア・ヨルディスじゃ! よろしくのぅ、性奴隷!!」

 

 性奴隷と連呼されると変な気分だが、奴隷と言いつつもそこまで差別的な態度をとられることもないようだ。むしろ、歓迎されているような雰囲気さえある。

 

「リュータという名前だそうです」

「ふむふむ。では、よろしくの、リュータ!」

 

 小さなお手々で机をぺしぺしと叩きながら、テレジア学園長は喜色満面な笑みを向けてくる。

 頭の上で耳がぴこぴこ動いたり、尻尾が左右にふりふりするのも可愛らしい。椅子のサイズを考えると、足は床に付いてないだろう。

 

 

「そちにとっては勝手の分からぬことばかりで難儀することもあろうが、そこのジュリや妾に、何でも聞くがよいぞ」

 

 聞くべきこと、知るべきことは山ほどあるが、やはり一番気になるのはこの学園と、『性奴隷』のことだ。あらましは先ほどジュリ先生から聞いたものの、まだ実感が沸かない。

 

「性奴隷の話は聞いたかの? うむ、それが実は、ちと困ったことになっておっての」

「困ったこと?」

「もっとも、問題の大半は妾が解決済みじゃがの。……そして、最後の問題はダンサーバニーの姫様が見事に解決してみせおった。それが――そちじゃ」

「俺……?」

「性奴隷を異世界から召喚したこと、じゃ。見る限り……うむうむ、健康そうじゃし、交尾の好きそうな顔をしておる」

「しておらんわ」

 

 ついつい偉い人相手にタメ口でツッコんでしまったが、テレジア学園長は別に気にしていないようだった。

 

「交尾好きは良いことじゃぞ? こと、性奴隷にあってはな。ぜひこの学園中、すべての生徒相手に、交尾のやり方と気持ちの良さを、とくと教え込んでやって欲しい」

「…………」

「ほら、好きそうな顔をした」

「し……、して……! ――しましたけども」

 

 不可抗力だ。

 さっきの教室を思い出すだけでも、可愛い子ばかりだった。あんな子たちとセックスしろと言われたら……まあ、それなりの顔にはなってしまう。

 

「性奴隷による性行為実習。妾は、これこそが学園生活でもっとも大事なことじゃと思うておる。他のことはさておき、これだけは最高の環境を生徒たちに用意してやりたい、とな。――しかし、じゃ」

「さっき言ってた、『問題』ってやつですか?」

「然り」

 

 テレジアちゃん……もとい、テレジア学園長は、口をへの字に曲げて腕を組む。拗ねてる女の子にしか見えないが、本人は至って真面目のようだ。

 

「2年前のことじゃ。新しく即位したこの国の女王めが、『性奴隷制度』を禁止する令を出しおった」

「それは……健全な学園生活のため?」

「むぅ? なにを言うておるか! じゃから、健全な学園生活は、性奴隷あってこそじゃと言うておろうに!」

 

 ぷんすかと怒られた。

 まだこの常識に慣れないな――。

 

「あやつは、ただ自分の周りに男をはべらせたいだけじゃ」

「逆ハーが好き、ってことですか?」

「? ぎゃくはーというのは分からんが。性奴隷という性奴隷を、すべて集めて好き勝手しておるそうじゃ。――そんでの、性奴隷が、若い女子とまぐわうのを良く思わぬという、そんな器のちいさ~~~い、アホ女じゃ」

 

 テレジア学園長ちゃんの言葉を、ジュリ先生が継ぐ。

 

「――そのため、3年生を含め、今の生徒たちは誰も『性行為実習』を体験したことがありません」

「ふけんぜん! まったくふけんぜんじゃ! けしからん!!」

 

 両手をあげてわめき散らすテレジア学園長ちゃん。「もーっ!」って感じの動きで愛らしいことこの上ない。まったく、けしからんケモ耳ロリBBAちゃんだなぁ……。

 

「怒り心頭、しっぽブンブンになった妾は! あのバカ女のトコに乗り込んでいき、交渉をした! 議論、懐柔、恐喝、脅迫、ありとあらゆることをした!」

「……怒らせたらヤベー人ですか? この人」

 

 隣のジュリ先生にこっそり聞くと、

 

「……子供が癇癪を起こしたら手に負えなくなりますよね? だいたいそんなモノだと思っておいてもらって、結構です」

「なるほど」

 

 有益な情報だった。

 

「結果! 妾は勝ち取った! この学園と、辺り一帯の領土を! 清く正しい、性行為実習を推し進めるために! ……このテレジア、交尾の快楽に屈することはあっても、権力などに屈しはせぬ!!!!」

 

 性行為強硬派の急先鋒らしい。この人は。

 ヒートアップしてお顔真っ赤になっちゃったテレジア学園長ちゃんの代わりに、クールそのもののジュリ先生が説明を続ける。

 

「具体的には、条件付きで性行為実習を行う権利を勝ち取りました」

「条件?」

「まず1つが、この学園の周囲の土地一帯を、結界で囲うこと。物資の受け渡しは自由ですが、人の出入りは制限されます」

「誰も入れないし、出られない?」

「いいえ。出るのは自由です。生徒の意志で、この学園を出ようと思えばいつでも出ていけます。……が、ここを出るということは、性行為実習を受ける権利も失うということ」

 

 なるほど。

 テレジアちゃんが推し進める性行為実習に嫌気が差したなら、いつでもやめていいぞ、という女王側のメッセージでもあるわけか。あるいは単純に、中での生活に飽きた生徒が1人、また1人と学園を去るという展開を期待しているのかもしれない。

 

「反対に、入校の制限は強めです。特に、男性は一切、校地に足を踏み入れることはできません」

「それじゃ『性奴隷』を迎え入れることなんて出来ないんじゃ――」

「じゃからこその、そちなのじゃ!」

 

 手にした扇子で自分をパタパタ扇いで、ようやく少し落ち着いたテレジアちゃんが、その扇子を閉じて俺を指す。

 

「憎き女王が決して譲らんかった条件が、そこじゃった。じゃから、そこからは妾の交渉の腕じゃな。――どうにか奴に認めさせたのが、『異世界の男を召喚する』という手立てじゃった」

 

 だからこそ俺を召喚した、というわけか。

 

「しかし、じゃ。器もケツの穴も小さなあのアホ女王は、主立った召喚術士を先回りして押さえてしまっての。金と権力に物を言わせて、妾に協力せんように根回ししおった。まあ、それでも妾のツテなら何とかならんでもなかったが……しかし生徒の中に、この召喚におあつらえ向きの者がおったワケじゃ」

 

 俺を召喚した女の子。

 ウサ耳のラビ……か。

 

「ダンサーバニー族というのはもともと、演舞によって精霊を降ろすのが得意な種族じゃ。それも召喚魔術の一種じゃがな。――異世界から性奴隷に適したオスを召喚する。それがあの娘の行った召喚魔術で……そして呼び寄せられたのが、そちじゃ」

 

 

 この国で唯一、『性行為実習』を行っている学園。

 その女の子だらけの学園で、『性奴隷』としての働きを期待されている俺。

 

 まだまだ不明な点も多かったが、とりあえずそこまで理解したところで、今日のテレジア学園長ちゃんとの面会はおしまいになった。

 ……俺としては、もっとあの可愛らしい物体を眺めていたいという気持ちもあったのだが。

 

 

 

 

 そして俺は、再度ジュリ先生に案内されて保健室へと向かっていた。

 俺の身体の検査を行うらしい。

 

 生徒たちと肉体的接触を持つのだから、念のため、あちこち調べるらしい。保健室の先生は医療魔術のスペシャリストなのだとか。

 

 しかし保健室に近づいてきたところで、

 

「先生! ジュリ先生!」

 

 生徒に呼び止められた。

 ジュリ先生は、その生徒とひと言ふた言、言葉を交わしてから、

 

「すみません。急な用事ができてしまいました。あなたのことは、テレジア学園長が【通信水晶】で保健室の先生に伝えてあるはずです。保健室は――」

 

 ジュリ先生は視線を廊下に走らせて、

 

「――そこの、今ドアが空いている部屋です」

 

 そう言って俺に詫びてから、生徒と立ち去っていった。

 俺は言われたとおりに部屋に入り、

 

「すみませーん……」

 

 声をかけるが、中には誰もいなかった。

 だが、部屋を間違っているわけではないらしい。部屋の設備を見ると、確かに保健室だ。

 

 ベッドもある。

 カーテンで仕切られたそこから、

 

「あれぇ~…………?」

 

 見覚えのあるウサギの耳が、ぴょこんと顔を覗かせた。

 どうやらあの後、彼女はここに担ぎ込まれていたらしい。

 

 ベッドに寝かされていたようで、意識は戻っていてもどこか胡乱(うろん)な感じで、顔も赤い。

 

「寝てたほうがいいんじゃ……」

 

 俺が近寄ろうとしたとき。

 彼女は、俺のことを熱っぽい瞳で見つめて、

 

 

「あは……♡ 私の、どれーさんだ……♡♡」

 

 

 とろけきった顔で、にへらっと笑った。

 

 

 ■ □ ■ □ ■

 

 

 時は、少しだけさかのぼる。

 異世界から召喚した性奴隷のリュータが、ジュリに伴われて学園長室を辞したあと、テレジアは【通信水晶】を手に取って、保健室へ連絡を入れようとしていた。

 

 だが、

 

「むむ……っ? 誰も出ぬな……。まさか留守にしておるのか?」

 

 性奴隷の検査を指示しようと思っていたのだが。

 

「まあ、ジュリも付いておるしの。大丈夫か」

 

 そう独り言をこぼしてから、テレジア自身も別件の用事のために部屋を出る。しばらく行ったところで、ジュリに出くわした。

 

「おぅ、ジュリ。リュータのこと、送り届けてくれたかの?」

「はい。保健室へ」

 

 ならば安心だ。

 テレジアは、ジュリが自身に代わって説明を果たしたと思い込み、それ以上深く追求はしなかった。

 

 保健室の養護教諭は、性格はともかく、腕は確かだ。彼女に任せておけば検査も安心だろう。

 

「そうじゃ、ジュリ。ラビのことじゃがな」

「はい?」

「まだあの性奴隷に近づけるでないぞ。少なくとも、今夜あたりまでは男のそばに寄らせんほうが良い」

「……なぜでしょう?」

「おぬし、自分の受け持ち生徒のことじゃぞ。それくらい把握しておかぬか」

 

 いくらしっかり者でも、ジュリはまだ新米教師で、年も26とまだまだ小娘だ。経験と知識の浅さは、年長者である自分がカバーせねば、と思いつつテレジアは、

 

「あの娘はダンサーバニー族じゃからな。男の股間に顔を突っ込んで、それで酩酊したということは――」

 

 その辺の召喚当時の様子は先立って、性奴隷を案内してくる前にジュリから【通信水晶】で報告を受けていた。

 

「――今ごろラビはあの状態(・・・・)になっておるじゃろうからな。ダンサーバニー族は、他の種族よりはるかに強く、我を失ってしまうほどじゃ。下手に男を近づけると大変なことになる」

「あの状態、とは?」

「決まっておるじゃろう――『発情』じゃよ」

 

 

 

 

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