【カオ転三次】癖に生きる俺らと割を食うシキガミ・現地民 作:アレデルトロン
「おはよう」
「おはようございます」
「おはようございます」
「おはようございます」
ひとしきり挨拶を終え、自分のデスクに着く。黒い画面に生気の抜けたおっさんが写っている。
ははは、ひどい顔だな佐久間 琢之助。
衰えた自分の姿を自嘲した後いつものルーティンでpcを立ち上げて、インターネットを開く。
『未知の感染症が大流行!渡航制限続く』
『また謎の飛行物体、北●鮮からのミサイルか!?』
『突撃!メガコーポ・ガイアグループの実態に迫る』
『物価高なんかに負けないっ!今日からできるアイデアレシピ!』
目に入るのは眉唾物なニュースばかり。全く……世も末だな。
「佐久間係長、コーヒーお飲みしますか?」
「お、チセちゃん気が効くねえ」
篠田 チセ。若いのに細かい気遣いができるとってもいい子だ。容姿も悪くないので、彼女が異動して来てから男性社員のやる気が変わった気がする。
私も少し見習って、気合を入れていかなくては……。
・
・
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ピピピピピピピ――。
「ふぅ……」
設定していたアラームが鳴り一息つく。
「ほれ、時間だぞ。今日中に終わらせないといけない仕事抱えてる奴いるか?」
ぐるりとまわりを見渡す。死にそうな顔をしている奴はいるが、絶望に塗れた顔をしている奴はいない。今日は全員終電に間に合いそうだ。
「大丈夫だな?よし!佐久間班帰宅っ!お疲れー」
「「お疲れ様でした!」」
人がまばらな駅の中を進む。
『この階段登りきったら○kcal消費!』
うるせぇ。こっちは疲れ切ってんだ。
迷わずにエスカレーターに乗る。
だがまぁ不思議なもんで、乗っちまってからこの間の健康診断の結果が頭に浮かんでくる。運動不足なのはわかってる。もう、若くないのもだ。そのせいでこの腹なのも……。
ちくしょう……。俺だっては若い時は結講イケてたんだぜ?ディスコで踊り明かしたりして……。
「はぁ……」
足は勝手に動き続けて、駅のホームにたどり着く。
スマホでも見て時間潰すか……。
ふと、強烈な違和感を感じる。
……サイフはある。スマホもだ。すっぽかした仕事はないし……。
疑問に感じながら視線を上げる。
いた!!!!!
違和感の正体が!反対側のホームに。
こんな時間の駅にそぐわない美少女だ。まるでお伽話から出てきたような、13〜4歳くらいの美少女が佇んでいた。
食い入るように見つめていると、こちらの視線に気がついたのか目が合った。吸い込まれるようなアメジストの瞳はまさに幻想の生き物としか思えない。
ドクンッ!?
心臓が跳ねて、久しぶりに全力で血液を身体中に回し始める。いや、血液を一箇所に集め始めたの方が正しいか?この歳になってまさかこんなに血が湧き上がる経験をするとは思っても見なかった。
犯したい。少女特有の甘い香りを肺いっぱいに満たしながら、強く抱きしめたい。まだ肉付きが少なく女性になりきっていない体を撫でまわしたい。開花すらしていない小さな桜色のつぼみ舌でなぶりたい。へそをまだ細い太ももを脛を愛でたい。そうして未使用の女陰にねじ込んで征服したい。一滴残らず注ぎ込みたい。
ああ、犯したい!
爆発する妄想を現実にするためのストッパーは既に焼き切れていた。全速力で階段を駆け降りるのも、ノンストップで反対側のホームまでたどり着くのも何の障害にもならないだろう。
けど、それは実現できなかった。
捕まるのが怖かったから?違う。既に道徳はない。
壊してしまうのが怖かったから?違う。既に思いやりはない。
超常の力で体が動かなかったから?まさか!今までにないくらいに体は軽い。
色々考えるが、結局はただ目が離せなかっただけなのだ。目を話した隙に霞のように消えてしまったら、私は自分を恨んでしまうだろう。それほどまでに少女の存在は幻想的で美しかった。
……。じゃあ、目を離さなければいいだけじゃないのか?
私は、一歩踏み出した。まだ、少女はそこに居る。
やった!正解だ!
二歩、三歩と続けて前に進んだところで、反対側に電車が来た。
「待て!待ってくれっ!」
声を張り上げて、階段を転がり落ちるように降り、向こう側のホームへと向かう。バランスを取るために腕も使って四つ足で階段を上りきった先には、やはりというべきか彼女はいなかった。
「ぜっ……はっ…ー……ふっ、ひゃー」
も、戻ろう。とんだ無駄足だったが、ここで走ってなかったら一生後悔した気がする。
私は這々の体で元のホームに戻り……気づけばベッドの上にいた。
久しぶりの運動で体は大きく沈み込み、意識も同様に……。
……。
気が付けば私は階段のど真ん中で立ち尽くしていた。
今日の夕飯は何にしようか。××分発の電車に乗れれば……この時間なら近所のコンビニが開いてるな……。
ようやく階段を上り終えた私は駅のホームに少女を見た。
それも向こう側のホームにではない。私は少女の後姿を見たのだ!
輪郭はややぼやけているが、間違いようはないあの娘だ!!一気に興奮で彼女以外見えなくなる。
「はぁっ……!」
一息吐くと後ろから押し倒した。
肩あたりまで切りそろえられた髪に顔を突っ込んで深呼吸をする。夢にまで見た少女の香りは、想像の何倍も柔らかく甘美だった。
「はぁっ……はぁっ……。すぅっ…」
鼻先で髪をかき分けて、ペロリと。細い糸のような黒髪を巻き込みながらうなじを舐め上げる。ねっとりと生え際にも唾液をしみこませていく。
「美味しいっ!ああ……!可愛いよっ……我慢できない!触っちゃうね」
服をまくり上げるようにして手を侵入させる。体表を指がなめらかに滑っていく。体勢のせいで浮き上がったあばらの凹凸を楽しみながら手を這わせていくと、人差し指の先がなだらかな柔山の盛り上がりを感じる。
「かわいいおっぱい見ぃつけた!」
まずは手のひら全体で包み込むように形を確かめる。ああっ!?ふにゃりといとも簡単に形を変えて指の間へと逃げていく。若さゆえのもちもちの肌は強い弾力を持っているが、おっぱいの中身の脂肪は非常に柔らかく繊細だ。五指を使って輪郭を確かめたり、優しく揉みあげたりしてその感覚を全力で楽しむ。そうしているうちに手の平に硬くコリコリとした部分を感じ始める。
「乳首、立ってきちゃった?お嬢ちゃんも興奮してるんだねっ!?おじさんうれしいな!」
きっと一切色素の沈殿がないようなきれいな桜色をしてるんだろうなぁ。親指と人差し指でつまんで転がしながらそんなことを思う。もちろん見たい。この目で確認したい。だが、体位を変えた瞬間に消えてしまいそうな儚さを少女は纏っていた。そうなるのが何よりも怖くてこうして後ろからまさぐっているのだった。
十分に幼い柔肉を堪能したら、すべすべのお腹をつたわせて太ももやお尻に手を伸ばす。もちろん顔を押し付けて逃げないように固定するのも忘れない。
尻肉そのものはまだ薄く、その下の太ももの方が揉みごたえがある。健康的ではあるが強く握れば骨が確認できるほど細く繊細だ。壊れ物を扱うように慎重に撫でる。
「太もももすべすべで気持ちいいねぇ」
夢中になって太ももを撫でていると、不意に下半身に違和感を感じた。少女が少し身じろぎしたのだろう。陰茎への圧が変わった。そこでようやく自分が痛いくらいに勃起していることを思い出した。
「はぁはぁっ!……すぅっ……はぁっ♡」
一度意識が向いてしまうと途端に辛抱できなくなり、急いでズボンを下すと少女の体に擦り付ける。お尻か……いや、太ももか……。数度押し付けると塗り広げられた我慢汁によって摩擦が減る。それと同時に少女の体にマーキングしているという実感がふつふつと湧き上がってくる。
大きく少女の体臭を吸い込み、強く抱きしめて高い体温を全身で感じる。
「ああっ!気持ちいい!おじさんもう我慢できないからっ!出るっ。出すよ!」
腰が止まらない。脳髄が痺れ続けている。気持ちいい。気持ちいいっ。気持ちいいっ!!
そして自分の命を吐き出すような、まさに腰が砕けるような射精を迎える。
「ああ!すぅっ……おおっ!」
何度も何度も吐精のたびに陰茎が大きく脈打ち、跳ねる。弾力のある肌に亀頭が埋まり、跳ね返される。息を吸っても体を動かしても射精しているだけでも少女を感じる。当然そのすべてが快楽となり、精をとめどなく吐き出し続ける。
あぁ……涙が、視界がぼやけて……。
ジリリリリリリ!!!
パチリと目を開けてアラームを止める。
「ん〜。ふぅっ」
大きく伸びをして、息を吐き出す。まだ心臓が高鳴っている。
最高の夢を見たおかげで、最高の目覚めと最高の朝だ。欲を言えば最後までいきたかたっがあそこまででも確実に人生最高の時だった。
おかげで今日の私はやる気に満ち溢れている!
「おはようございます、佐久間係長。なんだか嬉しそうですね?」
「いやまぁ、ちょっとね」
言える訳はないんだけど……。
・
・
気力に溢れんばかりの体はいつもの関節痛すら感じさせず、仕事を猛スピードで処理していく。
・
・
ピピピピピピピ――。
後回しにしていた仕事にも手が伸びて、いつの間にかこんな時間になってしまった。いや、それは建前か。この時間ならまた駅であの少女に会えるかもしれない。そんな淡い期待を抱いてがむしゃらに業務を片付けていただけか。
だが、奇跡というものはそう何度も起こるものでもなく。ならばせめてと昨日の夢の続きを願って早めに就寝した。
体が温かい……。それに何か柔らかいものを下敷きにしているような……。
顔を上げると、張り付いていた髪が数本はらりと落ちた。下に目を向けると艶やかな後頭部。そしてそこから伸びる毛を数本咥えてしまっているらしく、線がつながっている。
体の感覚が徐々にはっきりとしていく。手は胸と太ももあたりを揉みながら少女を強く抱きしめていた。体は少女に覆いかぶさるように密着している。下腹部から陰茎にかけてはびちゃびちゃで少し不快だ。
「すぅっ……はぁっ♡」
少女の体に顔をうずめて深呼吸する。
あぁ、続きだ。あの夢の続きがまたみられるんだ!
「ふひっ!」
変な笑い声が出た。しょうがないだろう?
太ももからゆっくりと移動させて、ついに少女の秘境へと手を伸ばす。そこはまだ陰毛すらロクに生えておらず、きれいなすじ状のまま閉じていた。それより何だこの恥丘の柔らかさは!?本当に人間の体の一部か?
ふにふにとつまんでみたり押してみたり……広げてみるとくちゅりっと音を立てた。
少し湿ってる?それならと、小指をあてがう。少女の体がびくりと震えた。
「大丈夫だからっ!すぐに気持ちよくなるからね?」
ぴっちりと閉まった隙間を指でこじ開けていく。ミチミチと狭く固い膣内をほぐすように出し入れを始める。
続けているうちに指に温かい液が伝い始め、動きが潤滑になっていく。
「少しだけっ!少しだけ我慢しててね?」
じっくりと愛撫を続けたかったが、途中で夢から覚めてしまったら困る。一刻も早く彼女を味わい尽くさなくてはっ!
片手で体を抱いたまま、もう片手でチンポを固定して入口にあてがう。ここに擦り付けているだけでイッてしまいそうだ。
少女が何かを察したのか大きく動いた気がする。だがもう止まれない。
体重をかけて己を体内に埋め込んでいく。
「おぉ、ほぉっ……!」
気の抜けた声が口から洩れる。
狭い膣内をこじ開けながら征服していく感覚がこんなにも気持ちいいものだとは!?
この時ばかりはじっくりと少しずつ進んでいき、やがて奥に到達する。
「全部入ったよっ!気持ちいいねぇ?」
少女の体を抱きしめながら、感動に身を震わせる。
こうやって抱きしめていると不思議な一体感が少女と私の間に生まれるのを感じた。
熱い膣内は侵入者を追い出すように収縮して快感をもたらしてくるので少しの間、動かずにその感覚を楽しんだ。
「動くよ」
腰を引く。ひだが離すまいと絡みついてくる。少女もちゃんと気持ちいいのだと理解できて気持ちが昂る。
腰を進める。膣の中の様子が手に取るように分かる。そしてそれがさらに興奮をあおる。
「こっちのおっぱいばっかり触っててゴメンね?」
先ほどから片方の乳首ばっかり触ってしまっていた。
なんだろう?なんとなく少女の考えていることがわかるような気がした。
「こっちのほうが気持ちいい?あ、ここグリグリされると……あっ!?」
気持ちがいい。
こっちをこう動かすと……女体が反応して男根を締め付ける。このへんは少し強めにしてもいい。そのほうが興奮する。体はなるべく密着させて……させすぎて体温が一緒になってきたかもしれない。
「はぁっ……はぁっ……」
子宮口をコンコンすると少し苦しいが、メスになっていく実感が強く感じられて非常に興奮する。
ここに射精するんだ。ここに一滴残らず……。その思考は私の脳内を支配して腰の動きを速めさる。
「ああっ!もうだめだっ!気持ちいい!イクっ!」
輪郭があやふやになるほど強く体を押し付けて腰を固定する。
その瞬間辛抱しきれなかった欲望が爆発した。ドクドクと精液が子宮を汚していく。
長い長い、己のすべてを絞り出すような射精が続く。少しずつメスとしてのふるまい方を覚えつつある肉体がそれを助けるように動き、そのマグマのような子種は全て子宮の中に納まった。
ジリリリリリリ!!!
パチリと目を開けてアラームを止める。……何か違和感が……?
「ん〜。ふぇっ?」
大きく伸びをした時に聞こえたのは可愛らしい声。そんなはずはない!辺りを見回すが声の主は見当たらない。慌ててスマホのカメラを反転させると……そこにはサファイアのような瞳を持った美少女が映っていた。
「うわっ!?」
一度スマホを投げ出すほど驚いてから、恐る恐る確認し直す。肩口に切り揃えられた髪に、ぱっちりとした青い瞳、鼻も口もちっちゃくてほっぺはぷにすべ。でも鼻筋は俺似だし耳の形もそっくりだ。めちゃくちゃ美人の娘が産まれたらこんな感じだろうという血筋を感じる。
これが俺……?
そんなはずはない。きっとスマホがタチの悪いウイルスにでも感染したんだろう。すくりと立ち上がり、洗面台へと向かう。視線が低い?気のせいだろう。腹の出っ張りが見えない?痩せたんだろう。自分に言い聞かせながら歩いて行き、数度深呼吸をしてから意を決して鏡を見る。
そこにはやはりというべきか、美少女が映っていた。
頬に触れてみる。鏡の中でも同じ行動をとる。そんな!嘘だ!
金玉がヒュンと縮み上がるような恐怖を感じて、パンツの中を覗き込む。まだ産毛が生えるか否か。その美しい丘には一切の不純物は存在していなかった。
「くふっ。くくくくふふふふふふっ!」
頭を抱えて必死に笑う。こんなことがあってたまるか。ありえないありえないありえないありえない!
両眼からとめどなく涙が溢れ、それを押し殺すようにひたすらに笑う。
「はぁっ!はっはっはっはっ!」
そうか。俺はついにおかしくなってしまったのか。自分が美少女に見えるなんてとんだ狂人じゃないか!ああ、そうかなんだそういうことか。なんて事のないように振る舞って、次の休みには病院に行くとしよう。
「おはよう!」
「おはようございます!?」
「!?」
「おふぁっ!?」
「おはようございます!佐久間係長。どうしちゃったんですか?そんなに可愛くなって!」
「えっ!?」
可愛くなって……?って幻覚じゃなかった……のか!?
「え、マジで係長っスか!?ヤバッ!チョーかわいい」
「係長!?この美少女がっ!?」
「え、みんなにも見えてる?てっきり天使かと……」
あっという間に集まった社員に囲まれてしまう。皆目を輝かせて、口々に可愛い可愛いと言う。確かにこの見た目は可愛い。だが中身は私だぞ!?
「あ〜!もうっ!席に戻るんだ!いいね?」
「怒ってる姿もかわいい!」
などと言いながら渋々と散っていく。全くどうしてこんな目に!おかげでいらない冷や汗をかいた。
それにしても私の体は一体どうなってしまったんだ?幻覚じゃなくて本当に美少女になってしまったとは!もしかしなくても、駅でやけに見られていたのは気のせいじゃなかったのか……。
・
・
・
「係長、もうこんな時間ですよ?その姿で遅くに出歩くのは危険です。そろそろ帰宅してはどうですか?」
「ん?いやそう言うわけには……」
「篠田さんの言うとおりです。あとは私たちでやっておきますんで」
「自分たちは大丈夫ですから」
「……すまない。お先に失礼します」
「「お疲れ様でした」」
一度気にしてしまうと、周りからの目線や声というのは非常に気になってくる。
「ねぇ、みてあの子かわいくない?」
「えっほんとだ。近くの学校の子かな?」
女子高生たちが私を指さしてキャイキャイ騒ぐ。
「あの子かわいくないか?」
「まだガキだろ。お前そうゆうシュミ?」
「ちげーよ!成長したら絶対美女だって話!」
二人組の青年が必死に興味を隠しながら見栄を張っている。
子供も大人も、学生も社会人もカップルでさえも、多くの人間の目が私を好意的な目で見てくる。
今までされた事もないほどの注目が恒常的に続いて少しばかり恥ずかしい。
これが少し程度で済んでいるのは、唐突に姿が変わった事で自分の見た目を客観的に評価できているからだ。こんな美少女がいれば私だって目で追う。だからこそ多少注目を浴びても諦めにも似た感情で耐えることができた。
数日間そんな生活が続いた。部下たちは『いかに私に褒めさせるか、名前を呼ばせるか』で競い始めた。実際に競ってはいないのかもしれないが、彼らのブームを完全に把握することは困難だ。
まあ、チセちゃんが火付け役ということだけは知ってる。いつものように名前を呼んで感謝したとき、席に戻る時に多分ドヤ顔してたんだと思う。ちらほら羨む声が聞こえた。
さらに「チセちゃん、頑張ってるね」と、提出された資料を褒めたときのことだ。「チセおねーちゃん、がんばってるね」って言ってくれませんか?と交渉してきた。セリフ一つで部下のモチベーションが上がるなら悪い話ではない。言ってやったさ。熱気というか波というか社内の雰囲気が変わったのが感覚的に分かった。……何が悲しくて、一回り二回りも年下の相手をお兄ちゃん呼びしなくちゃいけんのだ。
姿が変わったことを報告しに行った上司からは孫可愛がりされ、同僚からはボディタッチが増えた。ついでに、「わたしも美少女になりたいなぁ」とのありがたいお言葉を受け取った。そりゃ同性間で若返るならメリットしかないだろ。俺も美少年になりたかった。
そんな風に日々は過ぎていき、今日も。
「課長、お帰りの時間です」
「お疲れ様でした!」
「お先に失礼します」
「お疲れ様でした」
「気をつけて帰ってくださいねー」
少々フレンドリーになった部下たちに言われるがままに帰路に着く。この時間に帰るのにも、周りの反応にもだいぶ慣れてきてしまった。
座ったまま電車に揺られているときに、視界の端に気になるものを見つけた。どこかで見覚えのあるような、懐かしい気持ちになる青年が頬を染めながらこちらを見つめていた。二十歳くらいだろうか?少なくてもこんな若い知り合いはいないはずだ。でも何かが引っ掛かる。
だが、それが何かは全く出てこない。ついにはチラチラと見ていることがバレて、ぎこちなく微笑まれてしまう。流石にバツが悪くなったので、流れるような動作でスマホをいじる事にした。
画面を見つめながら必死に考えていたが、頭にモヤがかかったようにその答えは出ることなく、気づけば次は降車駅だ。
「あの!すみませんっ」
改札を抜けようとしたとき、後ろから声がかかった。たぶん呼ばれたのは私だ。
振り向いた先には、自分と同じくらいの背丈の青年が立っていた。先ほどの彼だ。だが何やら様子がおかしく、驚愕の表情でこちらを見つめている。
「何ですか?」
小首をかしげながら……想像よりもずっと低い声が出た。
「すいません。ひ、人違いだったみたいです」
はははと愛想笑いをして、青年は逃げるように走り去っていった。
一体なんだったんだろう。そういえば心なしか目線が高くなったような……。
スマホを取り出して真っ黒な画面に自分の姿を反射させる。そこには、見知らぬ男が……。
戻った?戻ったのか!?これこそ私の本当の姿だ。お前は佐久間 琢之助だぞと、スマホの中の自分に語りかける。
少し浮き足立って帰った私は、
悪い夢から覚めたような気分で布団に入った。
現実とは対照的にその日は不思議と何の夢も見なかった。