※この作品はR-18です。

【カオ転三次】癖に生きる俺らと割を食うシキガミ・現地民   作:アレデルトロン

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この話に含まれる要素:BSS(ぼくがさきにすきだったのに)、BBSの逆の概念、一人称小説






31.教室に潜む黒札②新学期saidA

 

4月。俺たちは無事に高校2年生になった。テストはギリギリだったし、最近モンスターが増えてきた気もするがそんなのは些細なことだ。なーぜーならっ!?今年もツーと同じクラスだからだ!流石に運命的なものを感じてしまう。

 

「明人くん、ホームルーム始まるわよ?」

 

「あ、サンキューな」

廊下に貼られていたクラス表の前で秘かにガッツポーズをとっていると、両瀬に声をかけられた。確か……彼女も同じクラスだ。

 

一応説明しておくと、彼女は両瀬 静佳(りょうせ しずか)。黒髪美少女お嬢様で、ダンジョンのある森を管理してる。で、ツーってのが去年転校してきた超絶美少女。光の当たり加減でオレンジ色に見えるくらい明るい茶色の髪を後ろでまとめて三つ編みにしてる。胸がでかい。すごくでかい。

俺は片見 明人(かたみ あきと)で、ダンジョンから溢れそうになってるモンスターどもからひっそりとこの町を守るヒーローだ。

 

着席して考えていると予鈴が鳴り始めた。

その音に遅れて教室に入ってきたのは見知らぬ若い男だった。まだ30歳もいってないだろう。

 

「皆さん初めまして。鈴木先生が育休に入るとのことで、今年の担任を務めることになりました二瓶 正包(にへい まさかね)です。よろしくお願いします」

 

そんな自己紹介とともに爽やかに笑う新担任にクラスの女子たちが色めき立つ。……なぜだ!?

この男そんなにイケメンじゃないだろ?見るからにひょろっとしたメガネだし、ピシッとしたスーツだってブレザーとそう変わんないだろ。こんな男の何がいいってんだ?

ツー!…ツーはどうだ!?この男を好きになってたりしないだろうか?

 

慌てて視線を動かすが、ツーはたぶんいつも通りだった。転校してきた日と同じく嬉しそうにソワソワとしながらも、人の話を聞くときはしっかりと相手を見ている。二瓶?先生を見つめているのは気分が悪いけど、行儀のよいところもツーの魅力だ。

 

 

「それではホームルームを終わります。一年間よろしくお願いします」

ヘラヘラと頭を軽く下げながら言う。

 

「よろしくねっ!先生!」

礼が終わった直後にすかさずツーが話かける。

 

「…麻方野(まほうの)さん、ありがとうございます」

 

「ツーでいいよ…?」

 

「ツーさん、ありがとうございます。……結構不安だったんですけど皆さんに温かく迎えてもらって嬉しいです。ありがとうございます!」

 

誰とでも仲良くなれるのはツーの魅力なんだけど、何故かこいつとはあんまり仲良くなってほしくなかった。

 

 

 

 

 

数日後――。

 

「片見くんわかりますか?」

担任の二瓶が当ててくる。

 

「分かりません」

チラチラとツーを見て、あとは半分寝てたんだ。分かるわけないだろ?

 

「では、ツーさん分かりますか?」

 

「うん。……えっと3番?…かな?」

 

「惜しいですね。けどキチンと考えてくれてて先生嬉しいです」

 

「えへへ……」

やっぱりツーはかわいいな。笑顔がいいんだよな。

 

「③はここまでは合っているのですがそこから先が……」

 

それに比べて二瓶はヘラヘラしてて何か胡散臭いんだよな……。

 

「では次の問題は……両瀬さん、どうです?」

 

「①です」

 

「正解です。今のは少し引っ掛けが多かったのですが良く解けましたね!他にも合っている人がいたら自分をほめてもいいかも知れません。分からなかった人のために少し解説していきますね?」

 

……目を閉じるか。聞いててもしょうがない話だ。

 

 

 

 

 

ゴールデンウイークも過ぎ、そろそろクラスが馴染んできたころ――。

俺は珍しく放課後の学校にいた。

いつもだったら早めに帰って小腹を満たして、ダンジョンの準備をしてる。そんな時間にどうして俺が学校にいるかというと、忘れ物をしたのだ。ださくてしょぼい理由だが、ただでさえテストの点数がギリギリなんだ。提出物まで遅れれば留年の危険性がある。

 

家からダッシュしてきた勢いそのままに靴を履き替えて、階段を駆け上がる。

 

自分のクラスがある2階に着いたとき違和感に気が付いた。

……それにしてもこの階、人がいなくないか?

もうちょっと駄弁ってる人が廊下にいてもおかしくないだろ?下駄箱や1階にはもう少し生徒が残っていたはずだ。

よく分からないけどチリチリと嫌な予感がする。

 

……ん?運動部の声や吹奏楽部の演奏に交じって、かすかに声が聞こえる。

 

「先×、ダ×だよ」

「大丈××すよ。×××いしてま×か×」

ツーと……男の声?いや、そんなはずはっ!

 

駆け出し、勢いよく教室のドアを開ける!

そこには――。

 

机の上に座っているツーとその前に立った担任がキスをしていた。

……は?…はぁあああああ!??

 

「あ、明人?」

二瓶の背中越しに目が合ったツーは照れながら名前を呼んだ。

その瞬間俺の中の何かがはじけた。

 

「テメェ!ツーに何してやがるっ!」

二瓶の肩を掴んでこちらを向かせて拳を振りかぶる。

その薄ら笑いを浮かべた顔面をぶち抜いてやるっ!

 

「駄目だ!明人、先生を殴っちゃ駄目だ」

ツーのよく通る声が体を貫く。

…その衝撃に俺の動きは止まってしまった。

 

「そうですよ片見くん、ツーの優しさに救われましたね。殴ってたら停学になっていたかもしれませんよ?」

ツーのやさしさに救われてんのはお前だろうがクソ教師っ!

 

「そうなったら生徒に…キ、キスしてたお前だって退職だ」

 

「ええ、そうですね。僕とキスしてたツーも停学だし、そんな噂が立って学校にいられるか……」

わざとらしく考えるそぶりをアピールしてくる。

 

「卑きょう者めっ!ツーを巻き込みやがって……ツーのことを何だと思ってるんだ!」

 

「ポリシーとして言っておきましょう。彼女は最初から(S)全て(S)僕のもの(B)です」

 

「はぁあ!?何を言って……」

 

「そんなことより、どうしてそう僕たちに突っかかるんですか?いいでしょう?誰と誰が愛し合っていたって?」

 

「それは…いいけど。良くないんだ!良くないんだよっ!」

 

「どうしてですか、片見くん?」

 

「俺は、俺は……」

下を向き、両方のこぶしを握り締める。

ここで諦めたら……全部終わってしまう!

 

「……ツーのことが好きなんだ!」

…言ってしまった。

 

大きく体を振り、地面に向かって叫ぶように言い放った。一世一代の大告白だ。こんな状況じゃなくてもっと普通にツーに言いたかった。けどこんな状況だからこそ、熱のこもった一声になったと思う。

数秒の、永遠にも感じる沈黙が流れる。

 

「えっ?…そうだったの明人?……ぼくも…明人のこと好きだよ?」

いつも、気まずい空気を切り裂いてくれるのはツーだ。

そしていつも本心からの最高のフォローを入れてくれる。最高だ!最高の返事だ!

 

「え、本当か!?ツー!!」

 

「あー。ツー、じゃあ僕と片見くんだと?」

 

「?……先生が好き」

な…!?……どうしてだツー!

 

「そういう訳なんですよ。ぬか喜びさせてしまってすみませんね?」

余裕気な表情で言うのがムカつく。誠意のかけらもない謝罪もし(・)ゃ(・)く(・)に障る。

 

「ツー!俺のほうがコイツよりも君のことが好きだ!絶対に大事にする幸せにしてみせる!」

声を張り上げて言い切った。

 

ざまあみろ!二瓶の野郎が驚いてやがる。大事なのは真心なんだよ!

 

「幸せにして見せる……ですか……」

 

「そうだ!絶対にだ!……俺のほうがツーを好きなんだ!」

 

「僕よりツーのことを愛していると?」

 

「そうだっ!お前のそれは愛なんかじゃない!俺のが真実の愛だ!!」

こんな出会って数か月程度の奴よりも俺のほうがずっとツーを見てきた。ずっと前からツーのことが好きだった。そんな俺の愛よりもこいつの愛が真実なわけがない!

 

「真実の…愛。片見くん、随分と大きく出ましたね?」

 

「そうだ」

顔を上げてにらみつける。…二瓶は笑ってやがった。

 

「そうですか……。ツー、片見くんと一回デートに行ってくれませんか?」

 

デート――。その言葉を聞いて心臓が跳ねる。今までツーと二人っきりで遊びに出かけたことはない。どこに行くにもいつも複数人だった。

 

「…デート?」

 

「…お試しみたいな?二人でちょっとお出かけするだけですよ」

この男何を企んでるんだ?

 

「…うん。わかった」

 

「ツーの了承は得ました。片見くんは行きたいですか?」

 

「っ…当然だ!行きたいにきまってるだろ!?」

 

「あ、勿論お触りはお控え願いますよ?」

 

「な、何いっふぇ!?」

元々そこまで出来るとは考えていなかったので動揺して噛んでしまった。てか急に何てこと言い出すんだこいつは。

 

「…手を繋ぐくらいは許しましょうか」

 

「手、手か……」

当然触ったことはない。傷一つない美しい手だったはず。きっとスベスベで柔らかい。

考えるだけで手汗が出てくる気がする。

 

「性愛ではなく真実の愛ならそれで十分でしょう?」

 

「いいぞ」

 

「頑張ってツーを惚れさせてみてください」

 

今にギャフンといわせてやる。そしてツーを俺の彼女にするんだ。

 

 

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