「う~ん……」
授業中、ちらりと小山内さんを見る
ぼーっとした様子で手元も動いていない
お昼ご飯の時もそんな調子だ
(ここ数日そんな感じだよな)
女子シャワー室への覗きはやり過ぎだったかなと思ったけれど
見た所そういう雰囲気でもない
小山内さんと仲の良い女子に聞ければ良いけれど
残念ながら小山内さん以外の女子と話す度胸は持ち合わせていなかった
ただ、このままと言う訳にもいかない。これからも小山内さんと仲良くやっていきたいと
思うならなおさらだ
「ふぅ……」
授業後、部活ではなくそのまま帰宅していく小山内さんの後ろを歩きながら
一度気合を入れる
「小山内さん、良かったら一緒に帰らない?」
「あ……うん」
とりあえず断られなかった事に安心しつつ、小山内さんの隣を歩く
ただ、話題は浮かばない
(まぁ、非モテにこういうのは難しいよな)
落ち込んでいる女の子を元気づける話題など浮かぶ訳もない
内心言い訳しながらも
「あ~、久しぶりに公園に寄って行かない?」
本当にただ隣を歩くだけで終わらせられないため、とりあえず思いつく事を提案する
ちょっと困った様子の小山内さんだったけど、公園をそのまま通り過ぎないように
小山内さんの手を握って公園のベンチへと歩いていく
「いや~、ここも久しぶりだよね。小山内さんとの関係はここから始まってるっていうか」
「そう……だね」
少し強引にベンチに座らせ絞り出した話題を振ってみるけど、それっきりだ
錆びれた公園に話題になりそうなものなどあるはずもなく
結局小山内さんの隣で、同じようにぼーっとするしかない
(小山内さんと仲良くなっている気でいたけど、そうでもなかったかな……)
そう弱気な事を考えたけれど、こうしている間も小山内さんとつないだままの手の感触は
以前とは違う関係性を確認させてくれた
こどもたちの遊ぶ姿の無い錆びれた公園のベンチで、二人座って過ごす
最初は気まずかったけれど、手を繋いでいる事を思い出すと自然と心地いい気持にもなれた
何十分、もしかしたら一時間くらいは過ぎたかもしれない
それくらい、小山内さんと座って公園の景色を見ていた
「……あ」
ぽつり、と冷たい感触に空を見ると小山内さんの心を表現したような雨模様だった
小雨程度ならそのままやり過ごそう、なんて考えている間も雨は強くなる一方で
「小山内さん、雨も強くなってきたしそろそろ帰ろう」
と、繋いだ手を引く
隣に座っていただけで結局まともに話せていない
そう言う気持ちもあり、大人しく付いてきてくれる小山内さんを
オレの家までそのまま連れて帰ることに
「着替え体操服でごめんね」
家に帰ると順番にシャワーを浴びる
ただ、小山内さんの替えの服は無いためオレの体操服を着て貰っている
公園と同じように今度はオレの部屋で二人静かに過ごす
それからしばらくして、再び重ねた手を小山内さんは握り返してくれた
「……レギュラー、外されちゃった」
ようやく話してくれた小山内さん、それだけでこちらも事情は理解できた
とはいえ、こちらにできるのは握った手を離さない事くらいだけど
「……小山内さんの気晴らしになればと思ったけど、色々振り回してごめん」
「ううん、恥ずかしかったけど、その、嫌じゃないから」
レギュラー落ちして落ち込んでいるのは間違いない
でも、そんな小山内さんと一緒に居ても不思議と気まずさは無かった
むしろ……
「こういうのはずるいかもしれないけどさ」
繋いだ手を握り締め
「オレ、小山内さんにもっと頼られたいな」
小山内さんの顔を見る
「オレと付き合ってほしい」
小山内さんはいつものように、驚いた様な、困ったような顔をしたけど
それでも、じっと小山内さんを見る
「小山内さんはまぁ、付き合いたいって思ってないかもだけど
オレは付き合いたいんだ。小山内さんは押しに弱い所あるし
弱っている所に付け込まれてこのまま流されて欲しいな?」
小山内さんを抱きしめる、小山内さん相手だと本当にぐいぐい行けてしまう
「えっと……」
困り顔の小山内さんに顔を近づけると、小山内さんはこちらを拒否しなかった
初めてのキス、上手気出来たかは分からないけどすごくドキドキした
「このままセックスしたいな?」
「それは……」
再びキス
「お願い、小山内さん」
「うう……」
困る小山内さんに何度もキスをし続ける
本当に嫌だったら逃げると思うし、満更でもないと思う事にする
そうしてそのまま、小山内さんをベッドに押し倒した……
「というわけで、小山内さんと付き合う事になってさ」
小山内さん推しの男たちには話しておかなければと思い
パンチラ作戦の面子を集めて交際の件を話していると
「ちょっと待て」
交際報告をしている最中、友人は手でさえぎる
「付き合ったって事は、セックスはヤッたんだよな?」
「ああ、セックスはしたよ」
「なんでその描写を省くんだよ!楽しみにしてたのに!?」
友人のセックス事情を聞きたいだなんて変態野郎だな、と思いつつ
「なんでそんな事まで話さないといけないんだよ、それに猿みたいにセックスしてて
あまり覚えてないしさ」
「くぅ~!」
とても羨ましそうにしている友人を見ていると優越感も芽生えてニヤニヤしてしまう
「それで?小山内さんと付き合うから近づくなって?」
そう言って不貞腐れる友人たち
「そうじゃないよ、今度から小山内さんもこの輪に入れて欲しいなって思ってさ
紹介もしたいし」
「ようこそ勇者よ」
「ああ、前から頼もしい奴だと思ってたよ」
そんな友人たちの手のひら返しに思わず笑う
部活の事もあって小山内さんはまだ落ち込んでいる
パンチラ作戦のメンツは小山内さんで美味しい思いをしてきたわけだから
その分、小山内さんの力になってもらおう
そう内心思いつつ、その後も小山内さん談議に花を咲かせた……
「そういうやりとりをしてさ、今度から小山内さんも一緒に輪に加わってほしいなって」
授業終わり、今後の事で話しもしたいからと小山内さんを公園へと誘い
二人でイチャイチャするついでに小山内さんに友人たちとのやりとりを説明する
「う、うん。そこまで喜んでもらえてるなら……」
相変わらず困った様子だったけど、友人たちの気持ちは伝わったらしく
小山内さんの承諾も貰えた
「それで、今度小山内さんの親睦会をやろうと考えててさ」
「親睦会?」
「うん、皆小山内さん推しだし、きっとおもてなししてくれると思う」
何となく浮かれ気分で小山内さんの腰に手を回すけど、小山内さんに嫌がる様子は無い
「良い親睦会にしたいから、小山内さんにも協力してほしくて
具体的には王様ゲームみたいな遊びを考えてるんだ」
「王様ゲーム……」
あまりピンと来ていない様子の小山内さんを愛しく思い、ちょっと甘えるように
抱きついてしまう
「わっ……えっと……」
こちらに抱きつかれ、どうしたものかと困る小山内さん
「あはは、小山内さんのおっぱいに抱きつきたくなって。
王様ゲームは例えで、内容としては当たりくじを引いた人は小山内さんに
してほしい事をお願いできるって言うルールでやろうと思ってる」
小山内さんに抱きついたまま話を続ける
「小山内さんはお願いに対して、OKしても良いし断っても良いから
無茶なお願いでなければOKして欲しいなって」
「なるほど……」
「小山内さん推しの皆はここぞとばかりにエロいお願いするだろうし
小山内さんは仕方なく協力してあげていると言う形ね」
男たちに積極的に行かせる形にすれば、きっと受け身な小山内さんも楽しめるだろう
「集まるのは小山内さん推しばかりだし、想像するだけでも楽しい
親睦会になると思わない?」
「それは……うん」
頷いてくれる小山内さんに内心安心し、一度座りなおして視線を合わせる
じっと小山内さんを見て少しづつ顔を近づけていくと
小山内さんは察して目を閉じてキス待ち顔に
キスに慣れていない事もあるからか、唇を突き出していて
ちょっとタコっぽいなと思ってしまうくらい不格好だけど
(小山内さんのひょっとこ顔も良かったけど、キス待ち顔も良いなぁ……)
そんな事を少し考え、小山内さんを優しく抱きしめながらキスを交わす
モブ顔にハマると言うのはこういうことなんだなぁと思う
「……小山内さんとはエッチな関係から入った所もあるから
まだぎこちないかもしれないけど、最初の頃みたいに気さくな小山内さんに
なって貰えるようにオレも努力するよ」
小山内さんと関係を深めるためには必要なイベントだと思いつつも
こうして少しぎこちない関係になった所もあるため
少しずつでも彼氏として認めて貰えるようにしよう
そう内心思いつつ、引き続き小山内さんとのキスを楽しむことにした……