※この作品はR-18です。

機動戦士ガンダムSEED TR -輝ける星を目指して‐   作:開いたぞ、性癖の扉が!!

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評価バーが、色を付けている……。
閲覧ありがとうございます。
注意書きにもありますが、ここらで作戦の日程が変わります。
どうしても耐え切れずエロを挟んだからです。


第12話「要塞アルテミス」

 

 

 

 アルテミスに入港したアークエンジェルを待っていたのは、最悪の展開だった。

 アルテミスの司令官に左遷同然のように任命させられた男『ジェラード・ガルシア』は、認識コードを持っていないアークエンジェルに対し武力を振りかざしてその秘匿された存在や情報を我が物にせんとしていた。

 地球連合軍と言えども一枚岩ではなく、つい最近まで争い合っていた5つの国家の集合体であり、それぞれの所属によって牽制しあう事もある。

 ガルシアはユーラシア連邦所属の軍人のため、大西洋連邦が作ったアークエンジェルやG兵器の情報や実物を掴んでしまえば政治的に成り上がる事が出来ると考えたのだ。

 浅ましいとその行動の真意を理解する者は軽蔑しているが、内部ゲバルトは民間人が殆どのアークエンジェルにおいては混乱のもとにもなっていた。

 

「全員一か所に集まって、大人しくしろ!!」

 

 アークエンジェルに歩兵が取りつき、無防備な搭乗員たちに銃口を突きつける。

 何故味方である自分たちが銃を突きつけられるのか。現場は騒然としていた。

 戸惑う声の中ケイは気だるげにあくびをした。

 大西洋連邦の手柄が気に入らないユーラシア連邦が『一枚噛ませて』とつけ入るために必死なのだろうというのが、過去の経験から理解できたからだ。

 しかしムウもそれを知っているのだろう―――恐らくストライクはキラにしか扱えないように設定されている。

 それにTR計画の機体は元々所員にしか触れない上に、認証にはケイの生体情報が必要になる。とてもではないが動かせたものではないし、データを抜けたとしてもそもそも彼らには理解しがたいものであることは確かだ。

 

 ―――必死になっちゃって。

 

 『アルテミスの傘』などという光波防御帯に守られているからと気が大きくなったのだろうが、その防御帯とて常時展開は出来ない。

 傘が無ければ無力であり、そしてこんな小さな拠点が大西洋連邦の機密を手に入れたとしても宝の持ち腐れ―――それを武器に政治をしたとて連合も馬鹿ではない。

 MS部隊をゾロゾロと引き連れた『気色悪いの』に追われている中でアルテミスにアークエンジェルを入れてしまった以上、元より彼らに『快く補給要請を受け入れてご退去願う』以外にロクな選択肢は残されていないはずだが。

 それに相手には消えるMS『ブリッツガンダム』が居る。見間違えたのでなければ、アレは光学迷彩を積んでいる筈だ。

 

「……ムラサメ少尉。大丈夫かな、マリューさんたち」

「階級で呼ぶなよ、ややこしい事になるだろうが」

 

 キラが不安げにケイに近寄るが、ケイとしては懸念点があった。

 

 ―――士官は集まれって言われたけど聞いてなかったァ。

 

 マリューとのアレコレが無ければ、恐らく聞き逃す事は無かっただろう。

 集まったところで何だという話だが、話は通しやすくなる。

 装備パーツや機体の変更を行うという話であったが、随分と派手にやってくれたものだとケイは悪態づいた。

 そしてやたらと偉そうな態度のハゲたオッサンが食堂に入って来るのを見ると、コレがガルシアだと察した。

 

「この艦に積んであるMSのパイロットと技術者はどこだね」

「ここですが」

 

 立ち上がろうとしたキラを腕で押し込み立ち上がる。

 キラは不思議そうに見るが、民間人の、それも本来敵として疑われてもおかしくないコーディネイターが連合の最新MSのパイロットなどとは口が裂けても言えない。

 ガルシアが明らかに舐めた態度を取ろうとしたが、制服の違いで気が付いたのか態度が少し変わった。

 

「ほう、その猛禽のマークはティターンズ―――連合の特殊部隊がこの艦に居るのは事実だったか。それにその階級章は少尉、招集した筈だが?」

「……反省してます」

「プッ……ククク」

 

 明らかに不機嫌なガルシアに不遜な態度を取るケイに、誰かが笑った。

 この場の緊張感を破壊するその一言で周囲の剣呑な雰囲気が消える。

 ガルシアは少し眉間に皺を寄せながら、こんな子供よりも大きな存在から与えられた『任務』のために我慢を強いられつつ会話を続ける。

 ―――あのお方の命令が無ければ貴様なんぞに。

 

「話は聞いているよ、機体のテスト中に巻き込まれ補給もままならんとな―――そのせいで"方々(ほうぼう)"から突かれた。だがこんな子供だったとはな」

「子供にパイロット技術で負けた連合兵にも同じことを言われました」

 

 事実、TR計画に一枚噛もうとして連合は当時のMAパイロットのエリートを集めたが散々な結果に終わった。

 彼らのデータももちろん計画の礎になったが、その殆どが帰らぬ人となったので連合はこれ以降テストパイロットなどの計画遂行にあたっては全てを一任している。

 兎に角、連合の士官の中でもティターンズを知るものにとっては「とても危険な実験を行うテストチーム」としての一面が強い。

 だからこそガルシアはティターンズに余計な事は言わないし、選択を誤って彼らの実験の標的にされるのも困る。

 

「口も達者か、まあいい―――不本意だが君のお仲間から物資を受け取っている。君たちティターンズ"は"特別だ……今後もよろしく便宜を図ってくれると嬉しいがね」

「感激の極みであります」

「あと子供の君に忠告しておくが、大人と出資者には礼儀をはらうものだ」

「ご指導感謝いたします―――」

 

「―――あぁ、あと。奪還されたMSには光学迷彩がありましたので……アルテミスの傘を閉じるのはまだ早計かと」

 

「それを先に言わんか!!!―――総員第二種戦闘配備!!アルテミスの傘を展開出来るようにしておけ!」

 

 ガルシアの怒号が響いた。

 アークエンジェル―――その中にある最新鋭のMSと同等のMSが相手には4機もある。

 それをアルテミスの傘という防衛手段一つで慢心出来る程、男は器が広くは無かった。ビビリというやつである。

 その上ここには『さるお方』から命令され託されたティターンズの物資がある。これを守れなくてはガルシアの明日は暗い。

 このおかげかガルシアの頭の中から『ストライクのパイロット』の項目がすっぽ抜け、キラは悪質な突っかかりを回避したのだった。

 人生で何度目か、上から数えて5本の指には入る緊張度でガルシアはアークエンジェルから降り、アルテミスの司令部に戻った。

 彼の頭にあったのは出世や名声だ。兎に角こんな―――安全とは言え左遷同然の土地に居たとて軍人とは言えまい。

 この任務が遂行されればユーラシア連邦でのガルシアの地位も上がる。戦略的要衝でもないアルテミスに居た意味も持てる。

 フン、と鼻息荒く男は指令室の椅子に座った。

 

「シロッコの小僧には負けていられん……!」

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 ザフトの艦が遠ざかった事によって閉じられそうになったアルテミスの傘。

 しかしそれが再度展開されたことによって、潜入しようとしたブリッツは進軍を停止せざるを得なかった。

 それは自機の接近を悟られた、或いは何らかの警戒状態にある事を意味しニコルは唇を少し噛んだ。

 ジェラード・ガルシア、中々に侮れない男である。

 

「エネルギーにはまだまだ余裕がある―――ブリッツが先か、アルテミスの傘が先か」

 

 どのみち相手も傘を展開している状態で出撃など出来るわけもなく、恐らく哨戒用のMAを出すために一度傘を納めるだろう。そこがチャンスだとニコルは計画する。

 しかしアルテミスの傘は中々納められず、結果的にブリッツは一時撤退を余儀なくされた。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 一方アルテミスの中では、T3部隊の物資を受け取るケイの姿があった。

 コンテナに積まれた武装とMSのパーツ、そしてそれらを組み合わせる事でヘイズルは新たな姿―――『ヘイズル・アウスラ』へと姿を変える。

 既存のヘイズルとは違い、脱出ポッド『プリムローズ』を搭載する事で最悪の事態を回避でき、武装も右側拡張ラッチにウィンチ・キャノン、左側拡張ラッチにミサイルポッド、バックパックにはトライ・ブースター・ユニットと呼ばれる装備に変更された。

 主兵装もケイもかねて待望のロング・ブレード・ライフルに代わり、火力不足を補う事が出来た。

 そしてヘイズル・アウスラが駄目になった時のために他の機体も受領し、ケイは内心ホクホクである。

 これで地球に降りろだの決戦に参加しろだの言われても何とか出来る。

 かつての愛機「ハイゼンスレイ」が数年前のある事件の結果、当時の状況では修復の予定が未明になったのと連合への情報の流出を制限したため、TR-1ヘイズルというケイからすれば化石に等しい機体を操ってきたが……ここに来てほんの少し春が来た。

 

「随分積んだな……俺のMSちゃんはどこだい?」

「フラガ大尉のではありませんよ」

「ちぇ、1機くらい良いじゃないの……で、実際どれくらい戦力増強に繋がるんだ?」

 

 ムウが肩を組んで話しかけて来るが、ケイは至って冷静に言葉を返した。

 ティターンズの実態がテスト部隊であり、過去に連合兵にもテストに参加させたことはあったが失敗している。ムウはそれを知らない。

 何故連合兵では失敗したのか―――それはOSの特殊さと単純な訓練不足だった。

 連合の腕利きともあれば腕は確かなものだが、テスト部隊にはピーキーな機体が集まる以上、特化した能力が求められる。

 ヘイズルとて、シールド・ブースターを増設してしまえば常人であればGに身体が耐え切れず、またケイのようなアクロバットをしようものなら胃の中の物を全て吐き出しても足りないだろう。

 OSや機体にパイロットが追いつけていないという結論で連合は現状の研究から手を引かざるを得なかった。代わりに資金を提供する事で、データを基にした量産型を得るという契約になる。

 

「これから乗る機体はヘイズルを更に強化したものです。あと、まだ出すかは不明ですが、補給の事を考えないのであれば敵陣くらいは叩ける機体もあります」

「……単騎でか?」

「領域支配(エリアドミナンス)を目的としたものですから。ただ、燃費やこの艦の状態を考えると難しいですね」

「攻めに行っても守りがな、先制攻撃って言っても巣をほったらかして出て行くわけにもいかねえか」

「更新した後の機体が壊れれば嫌にでも見ることになりますよ」

「縁起でもない事言うんじゃないよ……」

 

 ムウが肩を落とす。

 現状のアークエンジェルが軍の想定していた運用であれば、遠慮なくその領域支配という力も使えたのだろうが―――現状は防衛に民間人すら手伝わせている始末。

 前衛的な攻撃で相手の基地を滅ぼしたところで、その間のアークエンジェルの守りは薄くなる―――もし自分が知らぬ場所で敵が出撃していればその時点でアークエンジェルはがら空きになる。

 ムウもそれを知っているからこそMSを欲しがっているのだろうが、TR計画のMSをおいそれと貸すわけにもいかない。

 男は少年が何らかの政治を知っていると仮定して話を振ってみた。連合の今後である。

 

「……連合がMSを量産するとして、いつになると思う?」

「現在はどうかは分かりませんけど……今すぐに生産していないと、すぐには難しいでしょうね。ナチュラルがコーディネイターを上回ろうとすると、どうあがいてもOSの問題に行きつく―――当然、ナチュラルが操縦させやすくなるOSはコーディネイターにとっても参考になるOS……後はお察しの通り、使いやすいOSに変えてもコーディネイターが同じかそれ以上のOSを作り、資源や戦略が上手の軍が勝つ」

「そうなると同じ条件でナチュラルが勝つとすれば数、か」

「物量という手もありますけど、極端な話一騎当千のエースや兵器が幾らいるかも勝敗に関わってきます」

 

 ともあれ、連合は数で勝るとはいえザフトの兵器と奪われたG兵器、そしてコーディネイターという仕組まれた才能たちによる新兵器が無いとは限らない。

 幾らナチュラルがコーディネイターを凌ぐ技術力を持っているとしても、現在の地球連合が烏合の衆になりつつある戦場ではそれを活かせない。

 どうあがいても地球という星―――それも土地が海で別たれている上に大きすぎる大地、国境線を引かれた国々が力を1つにして戦うというのは難しいのだ。

 プラントと言えども過激派と穏健派に分かれているとケイは聞いている。

 プラントですら2つに分かれた陣営が裏で駆け引きを行っているのに、連合はその倍以上の人間がそれぞれの思惑で活動している―――1つになれるわけが無い。

 アルテミスのガルシアが大西洋連邦を出し抜こうとしたのもその問題の縮図である。

 

「……相手さんが上手って事も無いが、こっちもこっちで問題だらけだな」

「だからこそのG兵器だったんでしょう、最新鋭で見栄えがして軍のプロパガンダにも使える」

 

 ケイには覚えがある。

 国の為、家族の為―――人間という生き物は兎に角共通の理由が無ければ戦い続けられないのだ。

 ケイにとってのTR計画がそれであったとして、ナチュラル全体の士気を上げる何かが軍には必要だった。

 だから敢えて目立つ色合いや変な機能を付けたG兵器やアークエンジェルを建造したのだという背景を考察する。

 そうして戦場の暗い雰囲気を吹き飛ばす何かがあれば、戦況がひっくり返る事もあるだろう―――戦争というのは何より勢いが大事なのだから。

 

「……やだねえ、共通の勝利の女神を掲げて心理的効果を得ましょうってか?俺はこんなゴツゴツしたのより女の子の方がいいけどなあ」

「……女性をMSに乗せたり艦長にして矢面に立たせてる人間が言う事ですかね」

「……そういうのじゃないけどさ。俺はキラの嬢ちゃんとラミアス艦長が女神、悪くないと思うけどね」

「ヤですよ、獣みたいな目した女神なんて」

「獣ぉ?確かに戦闘中は凄い気迫だが……アレで獣なら世の中の女全員モンスターだぞ?」

「……なら良いんですけどね」

 

 ケイは自分の身体を貪る女体と、執拗に追いかけて来る大型犬じみた視線を思い浮かべて背筋を震わせた。

 不思議なことに、あれらには自分の他人に対する壁が通用しないのかスルリと抜けられる事がある。或いは自分がなまっただけか。

 シモに忠実なムウには分からないだろうな、と半ば自分にも返って来るような偏見で見た人物像をムウに押し付け、ケイはそれ以上語るのを止めた。

 

 

 

 

 




裏切り者のコーディネイターイベントはどこなのよ!とお怒りの方も居るかもしれません。

安心してください。ちゃんと責任をもってキラちゃんは曇らせます。

Tips:ジェラード・ガルシア
ユーラシア連邦の軍人。要塞アルテミスの司令官。
『さるお方』に頼まれて嫌々ながらもケイに便宜を図っている。
同じユーラシア連邦に負けたくない相手が居る。
ティターンズやザフト相手にビビり過ぎた結果、ストライクのデータを取り忘れるうっかりさん。

Tips:ケイ・ムラサメ
キラへの鬱イベントを気遣いとうっかりで回避する連合軍特殊部隊ティターンズのパイロット。
ティターンズのポストを用意した『さるお方』の命令があれば、ガルシアを『うっかり』で始末する事も出来るため彼への無礼が不問とされた。

Tips:キラ・ヤマト
またしても何も知らないキラ・ヤマトちゃん(16)

Tips;ヘイズル・アウスラ
ケイの新しい機体。
今までのヘイズルの開発で得たデータを基に、汎用性を高めた装備になっている。

Tips:ハイゼンスレイ
ケイの本来の乗機。とある事情で修復不可能なまでに損傷していた事や連合への過度な情報漏洩の危険性から現在はケイの手元に無い。

主人公の見た目に関する挿絵

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