機動戦士ガンダムSEED TR -輝ける星を目指して‐ 作:開いたぞ、性癖の扉が!!
この小説はハーレムやエロや戦闘もありますがタグにある通り曇らせたり陰鬱な話もあるので、期待に応えられるか不安になります。
とはいえIQ3くらいのエッチな話も書きたい。
シグーのライフルを避けた白兎をイージスのサーベルが襲う。
しかしそれは恐ろしいほどの反応速度で回避され、イージスは勢いのまま白兎を通り過ぎた。
クルーゼは内心でイージスのパイロット、アスランに舌打ちをした。
これでは一対一の対話が出来ない―――彼との《対話》を楽しみにしていたクルーゼにとってアスランは邪魔そのものだった。
器用に避ける白兎はノールックで肩のウィンチキャノンをイージスに放ち、クルーゼに向かってくる。
―――見ずとも相手の方向が分かるか。
ロング・ブレード・ライフルを実体剣で受けるシグー。
実体剣が相手のブレード部分に触れた瞬間に熱によって溶かされ慌てつつも、相手の白兎に通信を飛ばした。
少しでも彼と死合いたいと思うのと同時に、その素性が気になっていた。
「その姿も面白い―――いったいあの少ない時間でどう開発したのかね?或いは既に連合はそこまでのMSを開発していたか」
「お前、何者だ……!」
「ふっ……名を知りたいのであれば自分から名乗るものだよ。尤も、私は君の事が知りたいがね」
「ちぃっ」
ロング・ブレード・ライフルの弱点は取り回しの悪さにあるだろう。クルーゼは実体剣を捨てるとライフルと盾に内蔵されたバルカンの弾を撒きながら距離を置いた。
相手も自分を知りたがっている―――クルーゼにとってこれほどうれしい事は無い。
だが相手はそれを挑発と受け取ったのか、それ以降名乗る事は無かった。
「恥ずかしがり屋なのだな、君は」
「気色悪い……!」
互いに読み合っているからこそ、クルーゼは白兎の心の中を、白兎はクルーゼの心の中を互いに感じ取っていた。
クルーゼはミステリアスな事でザフトでも有名だったが、そんな彼の内心の混沌を見破ったのは目の前の子供一人。
それがどこの誰であれ合格点と言ったところだろう。
戦場に慣れているようだが、その内心の幼さや脆さをクルーゼは見破っていた。
だからこそその先が見たい。世界のどうしようもなさに壊れて絶望するその姿が。
しかし目の前の子供はパイロットとして異質過ぎた。
「ナチュラルか、これが……!?」
ライフルを直撃したビームの精度に冷や汗をかく。MSの本体ではなくライフルを狙ったのは見るからに明らかであり、これでライフルは使い物にならない。
離れれば相手の射程の方が長く不利になる。とはいえ近づいたとしても読み合いが激しく何をするか分からない。
こうも純粋にイメージを頭に流し込まれるとそれはそれで邪魔である。ミサイルをバルカンで処理しつつ、クルーゼは次の一手を考えた。
「クルーゼ隊長!」
「チッ、面倒なのが二人はきついな」
白兎が迫る大口径ビーム砲の攻撃をひらりと回避する。躱したその勢いでビームライフルの射撃を数度放つと、イージスもそれを真似て回避する。
シグーとイージスが白兎を囲み、対峙する。
この戦闘の最中にも、白兎は足つきの直掩にあたるストライクの援護のためにジンを撃墜している―――このままではクルーゼは白兎を討ち取ったとしても手持ちの戦力を多く失う事になる。
いくらヴェサリウスだけでなくガモフの戦力も割いているとはいえ、それも数に限度がある。
敵がいくらエースパイロットと言っても出来過ぎだった。
地球に住むコーディネイターはプラントの住民が思っているよりも多く、総数はプラントのそれを上回る―――つまり相手もコーディネイターの可能性が極めて高い。今までの戦闘を鑑みても。
そうでなくては、あまりにも出来過ぎたパイロットセンスだった。
相手が子供だとしたら猶更、生まれた時から操縦桿を握っていなければ出来ない芸当だとも言える。
「……化物じみているな」
だからこそ、眼前の白い機体から発せられる幼さの塊―――不安定ながら甘い歪な精神が目立つ。
思春期のそれよりも拗れた茨だらけの精神性の奥に、戦争の悲惨さを思わせない綺麗なイメージを持っている。
出来過ぎているパイロットには不釣り合いな精神を垂れ流している―――モントゴメリが沈んだ時に白兎から発せられた二つの動揺をクルーゼは見逃さなかった。
似た者同士、惹かれ合うのかもしれないと彼は勘繰る。
クルーゼは人に言えない秘密しか持たないが、その隣に理解者が居ればと思わない日が無いわけではない。彼も人である自覚を忘れたわけでは無かった。
少年に過去の己の甘さを見ているようで、白兎がこの先どう変質していくのかを己に投影していた。
しかし現にシグーの剣とライフルは使い物にならず、クルーゼは撤退を余儀なくされた。
相手はシグーの武装を無効化するためにブレードの熱を通常より高め、ライフルという有効打になり得る武装も破壊した。クルーゼの持つ武装と白兎の兵装は相性が悪く読み負けとも言えた。
「アスラン、私の武装ではアレに不利だ―――君に任せる」
「任せて下さい、隊長!」
イージスが突貫し白兎の背後を狙う―――しかし白兎も逃げるクルーゼを前にして引く事は無く、むしろ前進してイージスから逃れつつも常人離れの加速でクルーゼを追った。
「中の人間はどうなっている」とクルーゼの仮面の中で汗が伝う。シグーの加速はクルーゼが顔を顰める程であるというのに、あまりにもパイロットの身体を気にしない加速だった。
シグーの背面を捉えた白兎のライフルが光を放ち、クルーゼは咄嗟に回避する。
撃つ先が読めていたとしても追われるのは好きでは無い彼にとっては苦い顔をせずにはいられない。
やがてガモフからも援軍―――デュエル、バスター、ブリッツの三機がやってくる。これで白兎も終わるやもしれんと《信じていないもしも》にニヒルに笑うクルーゼだった。
◆ ◆ ◆
シグーが撤退した後もケイはイージスとの戦いを強いられていた。
ねっとりとした重圧が遠ざかるのは少しの安堵と悔しさを彼の胸に生んだが、目の前の敵がそれを実感させる時間をくれるような敵ではない事は確かだった。
イージスへ牽制をしながら、ケイは戦況を見る。
先遣隊は最早死に体、ストライクはジンとの戦闘を終えてこちらに向かおうとしている―――アークエンジェルは無事だった。
それを確認すると、加減の必要も無いとロング・ブレード・ライフルをヒートブレードに変えてイージスへ肉薄する。
「お前は生かすと面倒そうだ―――!!」
「舐めるなッ!」
イージスがそれを迎え撃とうとビームサーベルを構え突撃し、両者は交差した。
ヘイズル・アウスラはイージスが突き出したサーベルを得意の推力によって無理やり回避し、イージスの下を潜る最中に右足を脛のあたりから切り落とす。
押し切るようにして斬られたそれはイージスのバランスを崩すには容易だった。
アスランは傾く機体を何とか持ち直すと苛立ちの中で、何故自分の攻撃があのスピードで回避されたのか目を白黒させる。
「くっ、あのスピードでどうして動ける!中に人間が入っていないのか!?」
敵の艦船は沈められたが、結果的に部隊の損失は襲撃した機体の殆どを失う結果になりイージスも損傷。
これでは狩る側が狩られるという情けない結果になる。
貴重なG兵器もスペアパーツを急造させているものの、代わりが幾らでもあるわけではない―――ここに来て奪った機体がなまじ高性能だった事が災いしていた。
足の一本や二本と考えても、人型兵器である以上姿勢制御に難が出る―――特に変形機構を持っているイージスはそれが如実に表れる。
格好つけた手前、クルーゼには申し訳ないがイージスも失うわけにはいかず撤退が頭を過った。
「アスラン!!」
「―――ニコルか!」
ブリッツが合流を果たし、後にデュエルとバスターがヘイズル・アウスラに射撃を行ってイージスの回収をサポートする。
アスランにはいがみ合っていた同僚がとても心強く感じた。
しかしそんなデュエルとバスターにもヘイズル・アウスラは動じなかった。
「倒す敵が増えたところで……!」
最低限の左右の動きで2機からの射撃を回避し、イージスを抱えるブリッツ目掛けてライフルを撃つ。
それはイージスが盾を構えた事で防御されてしまったが、ブリッツは完全に気圧されていた。
「あ、アスラン……助かりました」
「礼はいい、回収するなら早くしてくれ―――アイツは俺を確実に殺す気だ」
デュエルが仕掛けに出るが、ヘイズルはそれを大袈裟に逃げつつ射撃で応戦して近寄らせない。
バスターが隙を突いて撃とうとすると、デュエルを間に挟む形に動かれてしまい咄嗟のチャンスを逃してしまう。
ブリッツはその隙にイージスを戦闘の距離から遠ざけ、やがて自身もヘイズルと対峙するために戦場へ戻った。
「イザークとディアッカを手玉に取ってる……只者じゃない」
ブリッツのパイロットである『ニコル・アマルフィ』は、手にかいたじっとりとした汗の感覚をかき消すように操縦桿を強く握った。
もしアルテミスでミラージュコロイドを使って潜入した時、アレと1対1で戦っていたら―――今頃ニコルはデブリの仲間になっていただろう。
友人を守るべくブリッツのミラージュコロイドを発動し、ニコルもまたヘイズル・アウスラへ向かう。
「―――新手、さっきの光学迷彩のやつか!」
「っ!こっちを見た!?やっぱり見えているのか!?」
隠れていたはずのブリッツへライフルが放たれ、ニコルは咄嗟に避ける。
やはりと言うべきか、いつかの戦闘と同じく目の前の敵の機体はミラージュコロイドが通用しない。
「機体のヘッドパーツに付けられた装備が光学迷彩を無効化している……?」
「チッ、勘だけじゃ当たらないか」
高性能なレーダーを使っているのか―――しかしそれにしては嫌に反応が早い。
いくらこちらを捕捉できたといえども、先ほどの速度では認識してから射撃するまでの間隔が短すぎる。
実際ヘイズル・アウスラにはミラージュコロイドを無効化するような装備は無い。全てパイロットの直感に左右されていた。
「何をビビっている、ニコル!」
「イザーク、お前はもうちょっと冷静になれよ!」
「うるさいぞディアッカ!」
デュエルがまたしてもヘイズル・アウスラに向かうのと同じくしてブリッツも別方向から攻撃を仕掛けた。
十字を描くようにして向かえば回避は難しいだろう。
ケイはそれを予見し逃れるように引く―――当然と言わんばかりにバスターが援護射撃をするが、回避をしながら肩のウィンチキャノンで相手の直撃弾になりうる弾だけを迎撃してやり過ごす。
「てぇぇぇい!!」
「覚悟っ!!」
ニコルとイザークは何とかヘイズル・アウスラへ追いつくとサーベルを突き出して迫った。
―――確実に獲れる!!!
2機もMSニ十字に迫られれば片方をやり過ごすだけでは致命傷は避けられない。
どんな戦いでもこの法則は変わらない―――二人は勝利を確信していた。
「図体がデカいからって、格闘戦ならいけると思ったか!」
―――舐めるな!!
「「―――ッ!!」」
2機のMSのビームサーベルが"同時に動きを止めた"。
イザークとニコルは眼前の敵の様子が先ほどとは違う事に気が付く―――敵が持つビームサーベルが3本であることに。
―――隠し腕!
ヘイズル・アウスラの腰部に付いた異様な装甲と思われたパーツ、それはサブアームユニットだった。
腰部に折りたたむように装着されたアームが展開され、2本の緊急用のビームサーベルを持っている。
シールドを持つ左手で持たれたビームサーベルと合わせて3本のサーベルがトライアングルを作るようにして防御形態を作っていた。
ケイはこれを有効活用するために、本来搭載するはずの無かったサーベルを仕込んでいたのだった。
相手がG兵器であり、連携をとって戦う以上は多対一になる可能性が高い。
その上ヘイズル・アウスラだけでなくTR計画の機体はどれも大型かつ小回りに欠けるため近距離の、特に格闘への防御としてサブアームを使っている。
このサブアームは他にも精密射撃のために両手が塞がっている際にマガジンの交換をしたりも出来るため、中々に侮れるものではなかった。
「そらッ!!」
「イザーク、危ない!」
「チィッ!」
隠し腕に驚いた2機のMS―――そのうちのデュエルにウィンチキャノンの一撃を食らわせる。
両腕とサブアーム2本、それからウィンチキャノン―――常人では同時に操作できないそれも、ケイならば行えた。圧倒的手数による優位を手に入れるがために。
デュエルはウィンチキャノンの一射を身を捻って回避するが横腹をえぐられるようにして損傷し、それによってコックピットが爆発を起こしてイザークのヘルメットが割れた。
「痛い……痛い痛い痛いッ!!」
「イザーク!!」
「外した……今のを?」
ケイはデュエルのパイロットの運を恨めしく思うと再度距離を離す―――直撃させられなかったのは残念だったが、あれではデュエルは使い物にならない。
あとはブリッツとバスターを―――そう思い両手でライフルを構えた瞬間だった。
オープン通信、それも映像によって映し出された見知った顔。
『双方、戦闘を止めて下さい―――私はラクス・クライン。プラント評議会最高議長、シーゲル・クラインの娘です』
ラクスがアークエンジェルの中から戦場のパイロットやザフトの艦隊に通信を行ったのだ。
その瞳は強くカメラを見つめ、再度戦闘の停止を呼びかけた。
ザフトの兵士はこれに止まるしかなく、ケイもまた政治のあれやこれやを面倒がってライフルを下げた。
「これからって時に邪魔をする……!」
『私は追悼式典の最中に事故に遭い、救命ポッドで彷徨っていたところをこのアークエンジェルに救助されました』
「ラクス……!」
ヴェサリウスのブリッジでアスランは敵艦から通信を行う婚約者に戸惑う。
生きていたこともそうだが、何故と。
◆ ◆ ◆
ラクスは考えた。
この戦いを―――婚約者とつい先ほど出会ったばかりの不思議な少年を戦わせない方法は無いのかと。
そして一つの結論に至った。
自分がこの艦に居る事を知らせる―――しかし人質のようなやり方ではなく、自らの意思で彼らに停戦を呼び掛ける事が重要だった。
『彼らは人道的観点から私を保護し、とても良くして下さいました―――部屋に閉じ込められる事もなく、彼らと食事を共にする程に』
精神が不安定になったフレイが自分を見た時、少し背筋が凍ったが―――すぐに行動を移して正解だった。
そうでなくては彼女は自分を人質に使い、戦闘を止めるか交渉に入るつもりだっただろう。
半狂乱になりながらの少女をなだめるのには苦労したが、力を持たないラクスには今はこれが精いっぱいだった。
『これは強いられているわけではなく、私が我儘を言って通信を借りているにすぎません』
『繰り返します、戦闘を中止してください。ザフトは追悼式典の代表を務める私の顔に泥を付けるおつもりですか?』
誰も傷つけたくない―――アスランの戦友であるならば特に。
それにケイ・ムラサメもここで失うわけにはいかなかった。
知り合って間もないが、だからこそこんなところで命を無駄にしてほしくない。
その答えがラクス自身の存在をここで明かすことだった。アークエンジェルの艦長がラクスの処遇を決められないのであれば、無理にでも自分のスタンスを押し付けて戦闘を止める―――愚かな事だと分かっていても、何もしないよりはマシだった。
現に戦場で交戦する者はおらず、制止してラクスの言葉を聞いている。
「―――ニコル、イザークを連れて帰るぞ」
「……ええ」
「痛い……痛いッ!!」
3機のG兵器が遠ざかる。
その間もケイは決して敵から目を離さずその場を動かなかった。
やがてマリューから帰還を指示されると、ヘイズル・アウスラはアークエンジェルの方向を向いた。
主人公の見た目に関する挿絵
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いらないね