※この作品はR-18です。

機動戦士ガンダムSEED TR -輝ける星を目指して‐   作:開いたぞ、性癖の扉が!!

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第20話「歌姫は誰が為に歌う」※

 

 

 

 

「な、なんだよ」

「ふふ……腕は大丈夫でしたか?私、少し力んでしまって」

「……だろうな」

 

 ラクスに握られた手を見てケイは内心で怯えた。

 強引に迫られるとどうにも身体が拒否できない―――大人たちに叱られるのを怖がる昔の癖だ。

 しかしラクスはそれを感じるとケイの手を両手で取って胸に抱いた。落ち着かせるように、自分は無害だと言い聞かせるように。

 ふう、と彼女が息を吐いて―――笑う。

 

「誰にも出会わずにここまで来れたので、緊張が変に解けてしまって」

 

 へにゃ、と気を抜いて笑って見せる少女にケイも肩の力が抜けた。

 しかしラクスはそれを見てケイの腰を抱く―――二人の距離は無いと言っていいほど密着していた。

 ケイの五感のうちの四つがラクスで占められる。

 不安げにラクスを見ると、彼女はいやに落ち着いている―――これから何をするつもりなのか、敢えてラクスに踏み込まないケイは彼女を見ないようにしていた。

 

 二人の身長は殆ど変わらない―――どちらかと言えばラクスの方が高い。

 とはいえ目線の位置は同じであり、真正面から腰を抱かれれば互いの鼻が触れる程に近い。

 ラクスの女性としての主張とケイの男性としての主張は服を介して互いの体におしつけられている。

 知られているかもしれない。己の愚息が少しずつ膨らみ始めているのを。

 ケイは知らないフリをしてラクスにそれとなく話を振る。

 

「な、なあ……近くないか……?」

「私の言いたい事、まだ分かりませんか?」

「……ニュータイプも便利じゃない。分からないな」

「嘘つき……先ほどから私を見てすらいないのはバレバレですわ」

 

 そう言われて渋々、ケイはラクスの瞳を見て―――流れ込んだ意思に赤面した。

 目を見た瞬間流れ込んだイメージがケイの想像の外にあったからだ。

 

「え、……は……破廉恥だぞ、お前!」

 

 ―――なんでこいつはっ!!

 

「その、私の立場では非常にはしたないのですが……」

 

 ―――頭の中で俺と"してる"んだよ!

 

「一目惚れ、ですわ」

 

 意識した途端、淑女は肉食系の動物へと変貌したように見えた。

 鼻が触れる距離まで近づいたラクスは、そのままゆっくりとケイの唇を奪った。

 今まではそれを捧げる相手が居たラクスにとって、背徳感はあれど罪悪感は無かった。どうせこの船を降りればまた元に戻るのだから。

 しかし一気に心が持っていかれる感覚は初めてだった。

 目の前の少年を欲しがるこの気持ち、それがまさしく愛だったと気づく。

 渦に飲み込まれた船が海中に引きずり込まれるように、ラクスは少年に溺れてしまっていた。

 見た目麗しいのもその理由の一つだったが、恐らく彼を引き込むのは彼自身が発しているものが由来なのだろう―――それを強く感じるラクスだからこそ、夢中になるのも早かった。

 だから嫌われる事をしたくなかったし、彼に怒られてからの行動は早かった。

 戦うしか出来ない―――そう思っているだけの、力の弱い少年がラクスを警戒して見つめる。

 一目惚れに理由は要るか?―――要らない。

 唇を奪い、そのまま腰を抱いた腕を移動させて首に手を回す。

 咄嗟の事でケイは抵抗できなかった。

 マリューやナタルやキラとは違う感覚―――今思えば純粋に好意をここまでぶつけられた事はあったか?

 ラクスのその感情はケイが引くほど巨大で重たかった。それだけの感情を、一瞬で彼女は自分との間に生みだしたのだ。

 

「んん……」

 

 ―――泣いて、る?

 ―――出会うのが遅すぎました。

 

 なまじ口を開かずとも通じ合ってしまうから、ケイは口が彼女に自由にされているのを忘れてしまう。

 ラクスは男を求めながら、思う。

 誰かの婚約者でなければ、ラクス・クラインでなければ―――しかしそう考えても、たとえその立場に無かったとしてケイとは出会えなかっただろう。

 アスランとは―――他の人間とは無い方法でケイと通じ合ってしまったからこそ、ここまで感情が大きくなった。

 ケイがラクスに激怒してから、ラクスは彼女自身が思うよりずっと後悔していた。

 1人の時間が増えると考える時間も増える。そうしているうちにもケイと親しくなり始めたキラが目に付く。

 ラクスにとってはキラもまた特別な何かを感じる人ではあった―――そっちの気は無いが。

 そうしていると、生まれの不幸というものが実感できてしまう。

 己の生まれが今と違ったら?アスランより先にケイに出会っていたら?そう考える時間が増えた。

 焦りはラクスを大胆にさせた。そしてケイは彼女が思うよりも聡くあっさりとラクスを許した。

 

「辛いですわね、戦わなければ生きられない時代も―――今になってこんな思いをするのも」

 

 自分を殺して生きられたらどれだけ楽だっただろうか。

 少年が無心で人を殺せたら。少女が無心で政治家の娘として生きられたら。

 自分には父が居た。心の拠り所にはならなかったが婚約者も居た。

 しかしケイにはそれが無い―――ケイが見せる景色が、今の彼には到底手に入れられないものだとラクスは知っている。一人ぼっちの草原の中で小さな彼は泣いていた。

 だから行き場の無い自我が彼を苦しめている。

 そうやって苦しむ少年に、ラクスは底知れぬ感情を動かされてきた。

 

 何か出来る事は無いか―――何かをしてあげたい。

 或いは、ラクスがそうしたいだけなのかもしれない。

 少年の壊れそうな心を自分で満たしてやりたいという、傲慢ながらも愛に満ちた行為を。

 

「だから、こうして気が迷うのも―――仕方ありませんわ」

 

 はらりとケイの上着が脱がされる。

 ただの慰め合いだった。

 しかしそれが精神感応という未知に触れた対等な二人だから意味がある行為に変わる。

 自分を殺して生きる二人の傷のなめ合い。

 行きずりで出会った二人の、ロマンティックな出会いに少女が夢を見るのも仕方が無かった。

 どれだけケイが粗暴に振舞っていても、彼女にとっては王子様に見えていた。

 

「これから自分を殺して生きていくのに、思い出が欲しいのです。自分が、ただのラクスだった思い出が」

 

 ケイにとって、気休めになればいいのだが。ラクスはケイの手を己の服へと導いた。

 ごく、とケイの細い首が鳴った。

 手触りで分かる高級な服の着脱を、彼女は他人に委ねた。それも性を覚えたての有り余る欲求を持つ少年に。

 

「貴方の欲しいがままに―――してほしい」

 

 青いサファイアのような瞳がケイを射抜いた。

 ラクスは頬を赤らめながら、慣れない誘惑に勇気を振り絞っている。

 それは少年にはあまりにも強すぎた誘いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 ケイは目の前の無防備なお姫様の上着を剥いだ。

 何も抵抗はせず、本当に好きにしていいらしい。

 頭の中でマリューやナタルがチラついて、少しも罪悪感を感じないわけではないが―――彼女らはケイを求めた事があってもケイから彼女達を求めた事は無かった。

 嫌いなわけでは無い―――ただ、自分勝手に相手を求めれば相手がその気でなければ失礼なだけだし、自分から誘うのが弱みを晒しているように見えて嫌なだけだった。

 悩みとしてはあまりにも小さすぎたが、見栄を張るケイからすればプライドが許さなかった。

 ラクスもそうだ―――やめて欲しいと言えばケイはここで止まる事が出来た。しかし彼女はそうしなかった。

 

「手、上げろ」

 

 すんなりと腕が上がると、ケイは彼女のトップスを脱がした。

 プラントの歌姫の肌が晒される―――ザラ付きの無い触り心地の良い肌だった。

 シュルリと衣擦れの音を出しながらスカートも下着も脱がせる―――むしろラクスから脱いだ。

 そして、どうするんだと言いたげな目がケイを見る。

 

「知らないぞ、本当に。知らないからな」

 

 顔も知らない婚約者へゴメンと、ケイはラクスをベッドへ寝かせその上に跨った。

 青い瞳が潤んでこちらを見る―――美しいそれにたまらず彼女へキスをした。

 それがある意味ケイからの答えだと知ると、ラクスは目を潤ませてそれを受け入れた。

 一度離れてお互いを見て―――また唇を合わせる。

 

「ちゅ、れろ……ん、ふ」

 

 本当にそこにあるか確かめるようにラクスの頬を撫で、そして首へ、鎖骨へと指が伝う。

 なぞった場所を、いつだかされたようにケイは舌や唇を這わせた。

 

「はぅ、……ぅん」

 

 お姫様の身体が震える。

 人肌の温もりと唾液の感覚が身体を這う事など知るわけが無かった。

 悪い人間を誘うからいけないんだと、ケイはとうとう泣かせて後悔させてやるとラクスを念入りに愛撫する。

 右手で身体を撫で回し、左手は―――手持無沙汰だったからラクスの手を握った。

 それが彼女も気に入った事などは露知らず、ケイは彼女の首や鎖骨を軽く吸う。

 舐めたり撫でたりの後のちょっとした刺激に歌姫は鳴く。

 

「んぁっ、だ……だめ……」

 

 きゅっと足を内またにして、ももを擦り合わせるラクス。

 ケイの手を握る彼女の手に力が籠り、もどかしい気持ちをどうにか発散できないかともがいていた。

 そんなラクスの手に応えつつ、ケイは彼女の胸へ手を伸ばした。

 ふとラクスと目が合い―――大体何を想っているのか理解すると、気にするなとキスで誤魔化した。

 年頃の少女であれば自身の大きさが気になりもする。

 しかしケイは大きさに拘りが無いため、その可愛らしい悩みを消すように手で掴んだ。

 

「じゅる、ぁむ―――ゃ、ん」

 

 一方でラクスはもういっぱいいっぱいだった。

 好きにしてほしいとは言ったが、想像以上に快楽が押し寄せて本来の想定よりも―――だいぶはしたなかった。

 ケイは今までの経験で自分がしたかった事をやっているのだが、その基準が欲求不満な肉食獣二人なためラクスが耐えきれる筈もなかった。

 今までで感じた事の無い下半身の疼きにラクスはとうとう目を回すように乱されていた。

 

 ―――早く、欲しいっ。

 

「ふぅ……ふ、くっ―――!?」

 

 少し息を整えるために力を緩めていると、ピン、と胸の突起を弾かれてラクスの身体が跳ねた。

 思わずケイを見ると、綺麗な目が、整った顔がラクスを見ていた

 ―――恥ずかしい。

 瞬間、頭にバチンと落雷が当たったように―――全身が痺れた。

 

「うぅ―――あふッ、く―――ァっっっ!!」

 

 解いてはいけない獣の封印を解いてしまったと気づくには遅すぎた。

 ラクスは言葉に出来ない声を上げて、人生で一番の絶頂を感じた。

 腰が跳ねたまま戻らない―――水気がして、それが自分の股から出ている事に気が付いた。

 ぷしっ。忘れたころの余韻でもう一度ラクスは潮を吹いた。

 

「あぇ……」

「ん、大丈夫か?」

 

 生娘に対してやり過ぎたとも思わず、ケイがラクスの目の前に掌を向けてヒラヒラと揺らす。

 ぼーと意識を空中に漂わせながら、ラクスは何とも言えない多幸感を味わっていた。

 

 ―――凄すぎる。

 

 もう語彙も何も無かった。

 おしとやかに抱かれるものだと思っていたのに、こんなになるとは全くの想定外だった。

 頭から腰までを撫でまわされ、舐めまわされ、吸われ―――それでスイッチが入るなんて。

 それにずっと感じる―――彼が「もっと気持ちよくなれ」と純粋に奉仕する気持ちで自分を愛撫している。

 ただその気持ちは有難くもあるが、体は既に止まってくれと悲鳴をあげている。

 

「ふうっ、ふうっ」

「欲しい?」

 

 コクンと、首が縦に動いた。

 婚約者のある身でありながら、行きずりの美少年とのロマンスに体はもう爛れ切っていた。むしろ彼以外欲しくなかった。

 ケイが服を脱ぐ―――ひとつ目に入ったそれに『そこは男の子っぽいんだ』などと考えていた。

 寝るラクスの頭の横を、ケイの腕がベッドに押さえつけるようにして迫る。

 視界いっぱいのケイにラクスの脳内は様々な考え事を爆破させた。

 わ、わ、と悶絶するラクスを他所にケイはペチリと己の男の象徴を彼女の股へ落とした。

 

「はっ―――はっ―――」

 

 "そこ"と少年の瞳を交互に見て、ラクスは期待を隠せない。

 その姿にプラントの歌姫も、婚約者の決まった女の姿も無かった。

 ケイはせめて「おしとやかにするつもりだった」という彼女の当初の目的通り―――後々に政治問題に発展する可能性を加味して―――ケイから迫ったという体を守ろうとした。

 じっと見つめて、今か今かと待ち望むラクスに最後の警告をする。

 

「いけないお姫様だ」

「……はいっ」

「敵国の兵士を誘惑して、欲しかったんだな?これが」

「ほ、欲しぃ……ですぅ」

 

 ずりっずりっ。ねちっねちっ。

 

「あ、ん……擦れて……」

「ならおねだり、出来るよな?」

 

 ケイはラクスをじっと見つめた。

 まだお前がその気でないならいつだって止められるんだぞと、これが最後の分岐点なんだと。

 ラクスもそれを知っている―――そして今、彼女は胸が満たされていた。

 してほしい事を無意識にされている。一人の女の子として、お姫様扱いされながら―――少しくらい強引に。

 だからこそ。

 

 

 

「わ、私に…………はしたないラクスに、ケイ様のお恵みをくださいませっ!」

 

 ラクスはケイの首に手を回し、彼を誘った。

 もう政治なんてどうでもいい―――そんなものは後からどうにでもなる。とにかく今は目の前の雄が欲しかった。

 おあずけを食らって涙目になりながらも、ラクスは湿り気を帯びた自身の女の部分を腰をぎこちなく振る事でアピールした。

 ぬちぬちと湿気のある音を出しながらラクスの恥丘からケイの竿が見えたり隠れたりする。

 

「後々面倒にならないための演技だぞ?そこまで言わなくて良いのに……ばーか」

「っ!」

 

 ケイが苦笑しながらラクスの頭を撫でた。

 泣く事は無いのに、男の棒一つに。そう言いたげな顔をしている。

 その包容力を感じる優しい声と笑みに、ラクスは何度目かの胸の高鳴りを感じた。

 なぜこうも、ラクスの心を乱して仕方がないのか。ラクスが彼を憐れみ包み込もうとしたら、それよりも大きな何かで逆に包み込み返された。

 聖母を演じようとしたのに、年下の彼の方がよっぽど―――。

 

「やっと感じる……ケイ様が、入って来るのが…っ」

「う、わ……」

 

 ケイの優位が一気に崩れそうになった―――ラクスの中に挿入した途端に、ケイのそれをラクスが締まりを強くしたからだ。

 歓喜の締め付けは彼女自身を苦しめもした。

 

「ああっ―――クる、また―――」

 

 少年のそれが、ラクスの身体に感じていた不足をあまりにも満たし過ぎた。

 充足感と達成感でラクスはもう一度派手に意識を飛ばした。

 ふと顔を横に倒すと、小さな鏡が壁にかけてある―――そこに映る自らの顔を見てラクスは顔を赤らめた。

 淑女は居らず、居たのは男と繋がって喜びながら性愛に狂う淫乱な女だ。

 ズン、と男が腰を密着させると同じように揺れる。口が開き、亡くなった命を鎮めるために、平和のために歌うための声は男を悦ばせるそれに変わる。

 

「うっ―――あっ」

 

 思わず口を手で塞いだ。

 普段から歌を歌うからか、自分が思っているよりもよほど大きな声が部屋に響いた。

 しかしケイはその手を退ける。

 

「今更抑えるな。いい声してるよ、お前」

「~~~っ!!ぁ、はぁっ!!あぅ――っ!」

 

 そのまま消えて無くなりたい。ラクスは良いように踊らされながら、しかし満たされるものを感じてよがった。

 気が狂いそうになるほどの甘い空間に居る―――それは戦争や政治といったラクスにとって気が重くなるような事象を忘れさせる。

 ただ目の前の雄がそれを与える。与えてくれる。

 身軽になったラクスは形振りを構わなくなった。

 絶頂への抑制をやめ、無意識に任せて嬌声をあげる。それが聴きたいと相手が言うのなら。

 

「あっ、あっ、あっ」

 

 口を塞げないように手首を固定され、ラクスはケイのために淫らなリズムで歌う。

 それがケイを更にその気にさせ、のめり込むように二人は快楽の階段を駆け登る。

 我慢をせずに欲望に任せる―――体の芯から、頭の奥底まで突き動かされるような感覚にラクスは涙を流して悦んだ。

 

「好きっ、好きです……!」

「はぁ、俺も好きだよ……"コレ"」

 

 二人は同じようでいて、違う方向を見ていた。

 最早目の前の男しか見れないラクスと、ただ好きに抱くケイ。

 人生における恋愛というステップを踏まなかったケイにとっては、セックスは子供を作る以外に性欲を解消するための手段でしかなかった。

 だから、好意が無くとも体の関係を欲しがるのだろうと―――歪んだ価値観になっていた。

 ラクスは戦争や政治に疲れて、ただ持て余した性欲を自分で解消している―――そう考えていた。

 一目惚れというのも、所謂身体的な雄の要素が好きなのだと―――流石に期間が短すぎて、見た目だけが好きなのだと思い込んでいた。

 実際はかなり本質を見抜かれて骨抜きになっているのだが、ケイがそれに気づくのはいつになるか。

 重要な所だけが伝わっていないのが、精神感応が万能でないわけだった。

 

「ちが、あぅっ­­―――んん!」

「ん、違わない。これ、好きだよな?」

「そうでは……っはぅ」

「……なら止めるか?」

 

 ピタリ、と腰が止まる。

 断続的に続いていた快楽の波が急に収まり、ラクスは困惑した。

 ジッと見つめられ、じゅん、と下腹部が熱くなる。

 止めて欲しくない―――誤解を招いているが、それよりも悪い男のようや台詞に胸をときめかせた。

 本当は純粋に愛し愛されたい所だったが、知ってか知らずか自分に下品な言葉を吐き出させようとするケイがやたらたくましく見えて―――それが彼のひ弱な見た目と反してギャップに萌える。

 歌姫はその美しい声で、男に行為を強請った。

 

 

「す……好きぃ……ぱんぱんされるの、好きです……!」

 

 良かった、と腰の往復が再開される。

 ラクスに刷り込むように、形を覚えさせるようにケイは己のモノで彼女を耕した。

 人を夢中にさせる声は今はただ一人の少年を楽しませるためだけに奏でられ、少女のロマンティックな幻想を肉欲で塗りつぶしていく。

 王子様なんかじゃない―――ただの汚らわしい間男だ。

 ケイは己の中にあった『ラクスをどうにかしてしまいたい』という感情に嘘をつく事は無かった。欲しがるままにラクスにぶつける。それが彼女のしてほしい事だから。

 美しい彼女が何故か自分に心を開いたのを利用し、誰も知らないラクスを独占して―――もう二度と他の男なんかで満足できないくらいに。

 プラントでは今もラクスの事を案じている人々が彼女の帰りを待っているのに、こんな男とこんな事をして―――好きにしていいだなんて、けだものの前で言うものじゃない。

 ラクスはそんな少年の感情に背徳感を感じざるを得なかった。

 そうだ、自分は待つ人達が居る―――なのにこんな、行きずりで体を任せて貪られている。

 でもそれで良かった。己の人生が生まれたその瞬間から決まっていたのだから―――無理やりにでもどうにかされてしまいたかった。

 どちゅ、と一際強い突きに思わず仰け反る―――頭から思考が飛んだ。

 

「あっ――~~~~~っ!!」

「や、ば―――っ!!」

 

 ラクス・クラインの中で、ケイが欲望のままに射精する。

 何度も震えながらありったけを吐き出して、今まで何も知らなかった彼女を白く白く、染めていく。

 まともな教育を受けていれば、避妊をしていただろうが―――順序を間違えた若者はそんな事も知らずそのまま奥へ奥へと流すように腰を密着させる。

 2人の距離がより近づくように。

 見つめ合って、もっと近づきたくなって邪魔な思考を退けた。

 

「んん、れる……ん、じゅる……」

 

 口で、両手で、全体で、性器で―――繋がれる全てで二人は距離をゼロにした。

 ラクスは急にしおらしくなった彼の求め方にやっと、彼を理解した気がした。

 ケイが欲しいもの―――女の身体という性的なものではなく、もっと温かなもの。

 

 ―――傍に誰かが居て欲しい。声だけでなく、思いだけでなく。

 

 おおよそ彼が流し込んでくる光景の中には誰かが居たのだろう。そしてそれが居なくなって、とうとう彼は独りで戦う事を強いられた。

 そこに自分が居てあげられたら、と思うのは傲慢だろうか。ラクスは胸が締め付けられるような感覚に己の無力さを感じた。

 好きにしていいと言ったからか、二回目の合図は性欲任せではなくラクスを優しく抱きしめる事から始まった。

 ラクスはじっとそれを受け入れると、その後もされるままに―――今度は大事に大事に求められた。溶け合うような行為だった。

 流れ込んでくる優しい感情とと激しい感情の複雑に混じり合った感覚に、願わくば二人がこのまま繋がれたままならと思いながら。

 

 

 





身分の高い美少女が身分の低い美少年にあれこれされた挙句おねだりさせられる話でした。尚ケイは無意識でラクスが裏を読もうとして勝手に盛り上がってた模様。

思想ではなかなか交われないですけど、ロマンティクスの相性は抜群だなと書いてて思いました。やはり清楚系が最強か。

そして頭が真っ白になってる間に心の中を覗かれて勝手に曇られてるケイ。

そして次回も……?

主人公の見た目に関する挿絵

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