機動戦士ガンダムSEED TR -輝ける星を目指して‐ 作:開いたぞ、性癖の扉が!!
えっちなシーンが描きたいのにちゃんとした話も描きたい。
エロだけでも、話だけでも。
クルーゼが邪念を送りつけていた頃、ケイの乗機であるヘイズルは追加の2基のシールド・ブースターを装備した強襲形態へと換装された。
防御力と機動力の両立のために両腕と背部にシールド・ブースターを取り付けた本機は重量が重くなるものの、重力下であっても恐ろしい推力を発揮する。
コロニー内での極めて限定的な装備での戦闘は、連合軍からの要望により本領発揮とはいかず不完全燃焼とも言うべき結果に終わった。
T3部隊は襲撃の際連合軍とは別行動をしながら、何とか欠員無く全員が仕事に戻る事が出来た。
今までが極秘計画であったため、研究所の所員から整備員に至るすべての人員に有事の際の訓練は施されているのも幸いだった。ともあれ今後は表での身の振りを強制させられるだろう。
「改造のためのパーツをわざわざ外して隠したのは失敗でしたね、改造が施せていれば今頃良質なヘイズル改の実戦データが取れてましたよ」
整備員の1人が呟いた言葉に、その場に居た整備員全てが同意を示しつつも否定した。
「仕方ないだろ、連合の隠れ蓑に同行させてもらってるんだから。先方の要望を聞かざるを得ないんだよ……しかしそうなれば情報を売る事に繋がるし計画の全貌を明かすわけにもいかない」
「……G兵器でしたっけ?4機が相手じゃヘイズルの改造も進捗早めた方が良くないですか?ロング・ブレード・ライフルも1丁だけじゃなくて他のヘイズル以外の試験機の模索や例の重力下用のイカロスユニットも」
「―――理想じゃそうだが、実装するにしてもその後の研究資金が無いんだよ。作って置いてはいるが持ってくるのにどれだけかかると思ってる。それに『No.011K』には他の兄弟と違って金を集めるのが難しいんだってさ」
「こんな時に被験体が他にも居たらなあって思いますよね。他の被験体は一部のマニアにウケて金になりましたからね、それに比べて良くも悪くも出来が良いせいで手の出しようがない。計画の事本当に考えてるんですかね、アレ」
ムラサメ研究所は常に経済難に見舞われていた。
そのため様々な分野に手を出してはその技術で金を稼いできたが―――その中でも一度に多くの金を動かしたのが『被験体の映像』である。
金に困った研究所は被験体に性風俗まがいの事までさせていた。
『No.011K』の代になるまでに、それは何度も繰り返されて現在のTR計画の予算に回された。
そのおかげでTR計画は現在ヘイズルを基本とする研究を行えて来た。
No.11は生まれの特異さや他のクローンたちの必死の庇護により辛うじて体の純潔を保っていたが、そんな彼を見て財政に不安を覚えた研究所が目を付けたのが、彼のパイロットとしての性能を活かした軍事的な面での連携である。
MSに対抗できる力を欲していた連合軍と連携するオーブに、ヘイズルの―――というよりもMSの前身にあたる機体の一部のデータを極めて法外な値段で売りさばいたのである。
ザフトの機体と比べれば微妙なデータだったが、そのノウハウを生かせばMSを開発する事は可能であるという触れ込みだった。
「下手な実験に手を出せばもう予備の被験体も居ない上に、ナチュラルのニュータイプだぞ?希少性を考えろ―――しかし本部はもうケイ・ムラサメが完成形だと思ってる。他の被験体じゃ満足出来ねえってさ」
あまりにも出来過ぎた天然の人材は、組織に嬉しい悲鳴をあげさせるに十分な結果をもたらした。
整備員もケイの能力を評価する者が大半であるし、ニュータイプの研究者もその能力にケチをつけるものは居ない。MSの開発をここまで自由に行える研究機関も存在しない。
しかしそんな彼らの中にケイを一人の人間として扱う者は誰一人として居なかった。
◆ ◆ ◆
キラは戦士のつかの間の休息と言わんばかりの時間を友人と過ごす中、チラリと視線を他所へ移した。
その先に居るのは白兎―――ヘイズルを調整する整備員らしい人間と、白衣を着た研究者、そしてパイロットのケイ・ムラサメ。
―――話しかけちゃ迷惑かな。
少なくとも十代の少年に見えるケイが己が経験した戦場に慣れている以上、心を落ち着かせる方法を教えてもらうだとか―――逆に年上として何か彼に出来ないかと考えていた。
先ほどは興奮のあまりマシンガントークをかましてしまったが、キラにはそれだけの理由があった。そして間近でヘイズルを見たことでそれを自覚できた。
―――白鳥と湖、それと兎。あれって何だったんだろう。
今まで他人を見て何かの映像が頭を過る事は無かった。
だからこそヘイズルから降りた彼が見せた―――と思しきイメージがキラには気がかりだった。
彼ならば分かるかもしれない。分からなくとも、知りたいと思う気持ちがあった。
「キラ、またケイって子見てる」
「あ、いや!ごめん!……なんだっけ、話」
「俺たちがこのまま戦艦に乗るって話―――軍と連絡が取れて、とりあえず俺たちはアークエンジェルって戦艦に乗る事が決定したんだって」
「戦艦に乗るってのも意味分からないけどな。普通民間人用の船に乗せて近くの安全地帯まで護衛するとかだろ?」
「でも戦艦なら逆に安全かも」
そう言ってボーっと空を見上げるキラと友人たち。
キラだけでなくサイ、トール、カズイ、ミリアリアの四人もヘリオポリスが現在も戦火の真っただ中である事を認識できておらず、どこかで自分たちは民間人だから無事だと思い込んでいた。
確かに中立国であるオーブの民間人を襲撃にかまけて殺害すればオーブが黙っていないだろうし、国際法でも民間人や病院といった対象に攻撃を仕掛けるのは基本的に非難されるべき行為だ。
しかし現状は中立であったはずのオーブが連合軍を招き入れて兵器開発を行っており、ザフトからすればオーブもまた敵になったと考える者も多い。
「父さんも母さんも無事だと良いんだけど」
その言葉にマリューが顔を俯かせたのを知る人間は居ない。
少年たちは無事に済むと考えているが、現状彼らが思っているよりも安全な―――それこそ旅行や避難訓練のような甘いものではない。
戦艦―――アークエンジェルが無事だった事はストライクが無事だった事と合わせて幸いだったものの、士官の何人が生き残っているか。
その中で少年たちを守りながら敵中をかいくぐり、ストライクとアークエンジェルを軍に受け渡す事がどれほど大変か。
撃たれた傷を抑えながら、マリューは今後の不安を抑えきれずに居た。
「―――ヘイズルを出す。外が騒がしい」
微妙な空気の中、唐突なケイの一言でその場がざわついた。
T3部隊がその言葉の意味を理解し慌ただしく動いたため、誰もが戦闘が近い事を理解したのだ。
マリューもその意味を理解したが、視界や聴覚に違和感はなく敵機が確認できていない。
シールド・ブースターを増やしたヘイズルへ乗り込むケイにマリューは叫ぶ。
「ムラサメ少尉!外が騒がしいとは!?」
「勘」
スパリと確証も無く言い切ってコックピットを閉じた子供にマリューは怒りを抑えきれなかった。
「勘ですって!?今は迂闊に動く場面では「ラミアス大尉、ムラサメ少尉の邪魔はしないでもらいたい」しかし!彼にこの場を動かれては」
身を乗り出したマリューをケイの部隊に所属している研究員が止める。
「大尉、ケイ・ムラサメ少尉は"特別"勘が鋭いのです―――事実血のバレンタイン事件の日もこうして勘に任せ、何者かによって核という大量殺戮兵器がプラントに放たれるのを防いだ」
「それは……」
「優れたパイロットには
研究員は自慢げにケイに任せろと言い切った。
まるで自分たちの手柄のように言い切る様は、ケイが彼らにとって消耗品だという認識を裏付けるようであり、これもマリューの気に障った。
「恐らく彼はザフトの兵が再度ストライクを狙ってくることを察知したんでしょう。コロニー内では攻撃もままならないですし、ヘイズルの強襲形態とムラサメ少尉の第六感は3次元戦闘に適していますから……なるべく外に近い場所で戦わせるのが最適解でしょうね」
「子供を兵器に乗せて、自慢げに……!!」
「戦場では珍しくもありませんよ。我々と、ケイ・ムラサメの仕事がそれなのです」
常人ならざる倫理観を持つ、或いは捨てた人間の眼はこうも狂気的なのだと察したマリューは怒りを抑えられないまま我慢するように目を閉じた。
そうしているうちにもヘイズルは膝をついた状態から立ち上がり、飛び立つために開けた土地へと移動を始めていた。
そんなヘイズルを見たからなのか、キラはストライクへ乗り込むと自らも続くように飛び立った。
「僕も行きます!!」
「キラ君!?駄目よ、民間人を戦わせるわけにはいかないわ!」
「でも一人じゃ無理ですよ!」
「自惚れないで!貴方はただの民間人で、彼は訓練を受けた軍人よ!」
「でもここで待ってたらヘリオポリスが攻撃を受ける……なら外で戦うしか!!」
「っ……それは、そうだけど」
ストライクは現状キラにしか扱えず、ここに置いておくことでキラの友人にも危険が及ぶ―――キラはそう判断したのだろう。
マリューはそれが分からないわけでは無かったが、同時に民間人にMSを任せる危険も理解していた。
連合軍とヘリオポリスは今、二人の子供に命運を握られている。
それがどんなに酷い事かを認識していながら、誰もがその二人に縋るしか無かった。
◆ ◆ ◆
ヘイズルはストライクが追いつけない程のスピードで嫌な予感の下―――コロニーの外へと飛び出した。
そこでは既に連合軍のMAとザフトのMSが戦闘を開始していた。
勘は当たっていた。それどころかあのまま放置していればコロニー内部へ戦闘が拡大し、中から崩壊してしまう可能性がある事は想像に難くない。
「援護か!ありがてえ!」
「来たか……白兎!!」
MAは既に武装の殆どを破壊されており、形勢はザフトのMS『シグー』に傾いていた。
MAを無造作に蹴り飛ばすと、シグーは憑りつかれたようにヘイズルへと突撃しライフルを乱射し始めた。
そしてヘイズルもまた突貫し、二つのMSはぶつかりあう。
「君に会える―――その予感は正しかったようだ」
「お前があのぞっとする気色悪いやつか……!!」
衝突は刹那だったが、その瞬間通じる筈の無い会話が繋がった。
それはお互いに何かを感じ取っているだけで、通信的に完全に通じているわけではない。しかし現実としてこの二人の間には互いの感情を送受信する何かが存在していた。
シグーから放たれた銃弾は器用に避けられ、ヘイズルのライフルもまた予測と外れて当たらない。
肉薄し格闘戦へ移行しても、互いの攻撃が重なったり盾で防御されるか避けられるかで有効打はどちらも与えられない。
シグーのパイロットであるラウ・ル・クルーゼはニィと口角を上げながら、先ほどと同じように通信も介さずコックピットで呟いた。
「やはり君も読めるのか、先が」
その言葉はケイ・ムラサメにも届いていたが、どこか楽し気なクルーゼとは反対にケイは内心感じていた気色悪さを隠せずに居た。
「さっきからずっと人の中をジロジロと……不快なんだよ、お前!!」
「くっ……今のは読めなかったな」
ケイの駆るヘイズルがビームライフルを放った後、隠すように撃ち込んだ多目的ランチャーがシグーの脚部に命中しバランスが崩れる。
クルーゼは迂闊だったなと―――しかし口角は下がらず、むしろ口角が天井を突くくらいの勢いで楽しんでいた。
戦闘の最中であるのに、どこか夢現な気分だった。
頭の中に流れ込むイメージとは裏腹に、目の前の兵器は確かにこちらの思考を先読みして攻撃してくる。そこに容赦はない。
が、クルーゼは久方ぶりにムウ以外の強者との戦闘に胸躍らせている。
相手が不快だと感じているのは心外だったが。
「シグーに追いつくどころか、こちらが追いつけんとはな」
3枚の盾にブースターを仕込んでいるのは、防御性を高めつつ機動性も確保したいという強欲さの表れか―――しかし確かに推力はバカげている。
その上ビーム兵器を両手に装備しており、一瞬の油断が命取りであることは明白。現状実体兵器しか有さないシグーではパワー負けしてしまう可能性が高い。
クルーゼはその技術をどこで誰が作ったのかは分からないが、世界には自分の知らない闇がまだ存在する事を悟った。
同時にそのパイロットがザフトの所属でないという事実を惜しんでもいる。
「惜しむらくは君と出会うのが遅すぎたことか」
感じ取った声は幼かった。
恐らくアレに乗っているのは子供であり、それも普通の子供ではないだろう。何かしらの手を加えられた、人の欲によって生まれた存在。クルーゼは白兎のパイロットをそう位置づけた。
そうだとすれば、もっと早くに出会えていればと思わない事もない。
これだけの鮮明に綺麗なイメージを感じるのは、それだけパイロットの精神が清いもの"だった"可能性があるからだ。
実際はナチュラルなニュータイプであり、クルーゼの言う所の存在とは少しずれるのだが彼は知る由もない。
―――さて、この懐かしい感覚は何か。
「しかし偵察任務は失敗だな―――コロニーの中だと言うのに戦艦まで出張るとはな」
戦闘が起こったせいでコロニーに残っていた連合軍が動いたのだろう―――ヘリオポリス内で動き始めた戦艦『アークエンジェル』を見てクルーゼは苦笑した。
――――コロニー内で戦艦など動かせば、砲撃などしてみればどうなるか予想は出来るだろうに。
「逃がすか……!」
「君との逢瀬は楽しかったがね、邪魔が入れば退く他あるまい―――なに、また会うことだろう」
「誰が会うか!死ね!!」
「言葉が過ぎるな、君は」
まあそれも仕方がない、それが子供だ。とクルーゼは機体を掠めたビームに内心焦りながらもいそいそと―――しかし全速力でヘリオポリスから撤退した。
残されたヘイズルはシグーの援護が来るまで追い続け、その際ビームがシグーを何度も掠めてクルーゼを戦々恐々とさせたのはここだけの話である。
結果的にヘイズルはアークエンジェルが発艦し、合流を命じられたために追撃を諦めたが、パイロットの感情的には全滅させる気だった。
Tips:ティターンズ
ムラサメ研究所が隠れ蓑にしている連合軍の特殊部隊。
研究所は資金難を解決させるために抱え込んでいた被験体を使って資金集めをさせていたが、その結果被験体の精神的疲労が酷くケイはそれを強制される事なく中止された。
そこで資金を集めるために連合にすり寄った所、ティターンズという仮初の入れ物を借りることになった。
Tips:ラウ・ル・クルーゼ
謎のゆるふわ電波を受信してニッコニコだったのに、実際は殺意マシマシの子供が出て来て困惑中。でも楽しいのでOK。
ケイの感応波に思う所がある様子。
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