家のチャイムが鳴った。
その音で、リビングのソファーでうつらうつらしていた
ふと七瀬は顔を赤らめ、下を向き恥ずかしがった。
「もう
七瀬は新妻だった。
毎晩主人の裕貴にくたくたにされている。しかしそれは疲労感よりも女の喜びのほうが大きい。七瀬は裕貴のテクニックに開発され、また裕貴の満足する女でありたいと、彼の求めることには何でも応じていた。互いに快楽に貪婪で、子どもは作らず、飽きるくらい愛し合おうと決めている。
「あっ、もうやだあ」
新妻は脚を閉じ、もぞもぞした。昨晩の
ひとり
七瀬はソファーを立った。「はい、はい」とインターホンがある場所へ向かい、走るにつけフレアスカートがひらひら揺れていた。
「東京ガスの者です。警報が鳴ったので駆けつけました」
インターホンに出ると、男の声がいきなりいった。
「え? ガス屋さん」
カメラのモニターには、それっぽい服装をした二人の作業員が立っている。どちらもヘルメットを被り、マスクをかけていた。
「お部屋でガスが漏れています。ガス爆発の恐れもあります。我々が点検しますので、今すぐ中に入れてください」
「あっ、はい、わかりました」
爆発と聞いてあわてた。七瀬は考えるゆとりすらなく、素直にマンションの鍵を空けてしまった。
予想外の力で、ぐいっと外から玄関の戸が引っ張られた。
「えっ、あっ」
びっくりして、からだを固くした七瀬の眼前に二つの影が迫り、すぐに異変を察知したが、なにもかもが手遅れだった。叫び声を上げる間もなく、七瀬は口を塞がれてしまった。男はからだを密着させ、耳元で「騒ぐなよ」と低い声で恫喝し、腰に手を回し軽々と七瀬を持ち上げた。もう一人の男が素早くドアを閉め、鍵をかけるのを見ながら、七瀬は家の中に押し込まれてしまった。
気は動転し、成すがままだった。
そんなまさか──。と思っているうちにも、手際よく男たちは新妻の腕を結束バンドで縛り、口には手ぬぐいを巻き付けた。
リビングのラグマットに寝かされ、七瀬は男たちに
「いいか、大人しくしろ。そうすれば痛い目に遭わずに済む」
二人ともヘルメットとマスクを取った。
部屋のベランダのカーテンがふわりと大きく膨らんだ。午後に回って少し風が出てきた。
オーブンにセットしていたマドレーヌの焼けた臭いが嗅覚に届き、緊迫した状況に不釣り合いなバターのいい香りが、ことさら七瀬を辛くさせた。マドレーヌを頬張る、愛する主人の笑顔がやたら脳裏に浮かんでくる。恐怖と
── もうだめ。犯されてしまう。ごめんなさい、裕貴くん。
ずっと震えがとまらない。七瀬は二人に怯えた目を向けた。
「安心しろ、避妊はしてやる」
男はそういったが、七瀬にはなんの慰めにもならない。頻りに首を振って、お願い、やめてと願いながら、ジタバタ足を動かし背面を
二匹の狼は獲物の子鹿に襲いかかった。
頭の後ろに回った男が、腕をとって七瀬にバンザイの恰好を取らせ、正面の男はスカートを脱がし、スタイルのいい長い脚は両脇にホールドして股の間に入った。そんな乱暴な腕力に反し、指先の方は繊細だった。プレゼントの包みを開けるように、丁寧に一つ一つ上着のボタンを外していく。抵抗も身動きもできない七瀬は、自分のからだが剥かれる様子を、嗚咽を漏らし見ているしかなかった。
男たちは冷やかして笑い、強姦をファッショナブルに楽しんでいる。新妻のスレンダーな白い裸体に陽気な歓声を上げた。
ブラジャーだけにすると、今度は同色の薄いブルーのパンティに手をかけた。
「ゔ―ん、ゔ―ん」
七瀬は手ぬぐいを噛んで呻いた。
スリムな骨盤に、よくフィットした薄絹をめくると、若草の茂みが顔を出した。閉じ込められていた新妻の匂いが発散された。