ホテルのベッドの上で目が覚めた真冬は、ふるっと体を震わせた。
裸で気を失っていたこともそうだろう。汗と涙と愛液と、漂う精液の匂い。
濡れた肌に寒気を覚える反面、さっきまでの行為の熱は未だに彼女の中に残っていた。
お風呂に入ろう。こんなボロボロのままじゃ帰るに帰れない。
これで、よかったんだよね? 私、頑張ったよね?
気づけば部屋には一人きり。目を覚ました私を待っていたのは、ただの孤独だった。もう、あの人に合うこともないんだろう。これが最後だって約束を信じたわけではないけれど。部屋に残されていた私の古いスマホと、いつもより多めに置かれていたお金は、なんとなく手切れ金の様にも見えていた。
シャワー室に入り、普段よりも熱めにしたお湯で体を流す。
元からの白い肌は、すぐに熱に浮かされて、ヒリッとした痛みを伝えてきた。
女の子らしい体の曲線は、貧相かと言われればそうでもない。かといってふくよかでもない私の体は、ただ華奢なだけ。男の人のを何とか挟めるくらいには胸はあったし、腰つきだってそれと分かる程度のくびれはある。
変わらない。何も変わってなんかない私の体。
なのに、この短い間で随分と汚れてしまっていた。
痛いくらいにお湯の温度を上げたって、泡立てた石鹸でどんなに体を磨いたって、こびりついた汚れは落ちてくれない。
そりゃそうだ。実際に肌が汚れているわけじゃないんだもん。
ううん、多少汚れてはいたんだろう。でも、見える範囲の汚れなんて些細なものだ。乾いて、張り付いてた精液の残りは、熱いお湯と、石鹸の泡にまみれて早々に洗い流されていく。
もう、何処にも汚れている場所なんか無いはずなのに。
もう、私には奇麗な所なんか無い気がして。
認めたくなかった。肌が赤くなるくらいに体を洗って、何度も何度もタオルで擦って。痛いくらいの刺激に涙が溢れてくる。
「ぅっ、ぁっ…やだ、もう…なんで、私、ばっかり…」
頑張ったんだよ、必死にさ。泣きたくって、叫びたくって、けど誰にも言えなくって。ようやく飽きられて、捨てられて。やっと開放されたって思ったのに、私に残ったのは何もない。
これからは、ちゃんと清水くんと向き合える。なんて事にはならないんだ。
こんな秘密を抱えたまま、何食わぬ顔をして、彼と付き合い始めるなんて出来る訳が無い。
きっと、そのうちさ。彼も、私の体を求めてくるんだろう。
それは良い。正しい男女の関係だと分かるし、私だって考えないではなかった。
だからこそ余計に悲しくなる。
きっと、思い出すんだろうな。彼の男性を意識する度、あの人に犯されてた日々が脳裏に過る。それに耐える自信はなかった。悲鳴を上げて彼を拒絶する自分のほうが、まだ想像が容易い。
「うっ、くっ…ぁっ、はっ…。はぁっ、はぁっ…んぁっ♥ はや、はやく…出てっっよっ、私の中から…いなく、なって…」
乱暴に割り開いた割れ目の奥から、残っていた精液が流れ出てきた。
それは、ダラダラと太ももの内側から流れ出し、ボタリと塊になって落ちていく。
タイルを汚した白濁液は、流された排水口の先でも引っ掛かり、ドロドロと、熱いお湯にふやかされ、溶けるように消えていった。
ひどい匂いがする。
温められた精液の匂いが、いつも以上に強く鼻に付く。
こんなのが私の中を満たしていたと思うと、気持ちが悪くて、気味が悪くって。吐き気を抑えながらも、じわり、じわりと、熱を持ち始める女の体。
掻き回した膣内からは、糸が絡みつく様に興奮の証が滲んできてしまう。
「なんでっ…なんでっ…なんでっ…。こんなこと、でっ。私、感じたくなんか…んっ♥ はっ、ぃゃ、ぃゃぁぁぁ…」
せめて、せめてさ。この指が、彼のものだったらって想像しようとして。
なのに、なのにさ。あの人の、太くて、ゴツゴツとしたものばかりを思い出す。
振り払おうとしても、振り払えない。
精液を掻き出そうと始めた行為に、体が浮ついてしまう。快感を求めた指先が思い出したのは彼ではない、あの人の、大人の、男性の体。
徐々に、徐々に、少しずつ。
私の上げる嬌声が、浴室内で大きくなっていく。
止めたくても、止められない。
どれだけ腟内を掻き回したって、まだ精液が中に残ってる気がして不安になる。
それ以上に、体を浮かす快感の熱が、麻薬みたいに思考を奪っていった。
言えなかった。立ち去る あの人の背中に、行かないでって。言うわけにはいかなかった。お薬くださいって、呼び止めて、引き止めて、それを言ってしまったら、私はもう、本当にダメになってしまいそうで。
ギリギリの所で口を引き結んだまでは良い。
けれど、お薬は貰えず、次の生理まで妊娠の不安は付きまとう。
お願いします、お願いします。お願いだから、赤ちゃんなんか出来てないで。
誰にでもない懇願は、まるで、あの人に犯される日々の繰り返しのようだった。
何度も何度も、体を開かされた。何度も何度も、肉棒に奉仕させられた。
だって、抵抗なんかしても無意味だから。
だって、そうした方が早く済んだから。
その内に抵抗することも忘れていった。犯されることが当たり前過ぎて、快感を与えてくれるあの人に、倒錯的な愛情を抱き初めていたのを否定しきれない。
そこに未練がないと言えば嘘だ。今もこうやって、自慰をしているだけで、あの人とエッチをした時の事ばかりを思い出す。これから先、あんな快感は、もう二度と味わえないんじゃないか。そう思うと、今すぐにでも駆け出したくなった。追いすがって、抱きついて。恥も外聞も全部忘れてさ。そういうのも良いのかなって、もしかしたらそんな未来もあったのかなって。
また、あの太くて大きい おちんちんに おまんこを犯されたい。
イヤだって、口では言ってるだけで、本当は気持ちよくて堪らなかった。
ダメなのに…けど、それが欲しい。私の弱い所をたくさん責められて、どうしようもなくなった所に射精される。
女として、男を受け入れて。女として、男に満たされて。
その瞬間は、今でも焦がれてしまうくらいに気持ちが良かった。
下腹部がきゅぅっと締まり、絶頂に達した体がビクリと跳ねる。
ドキンっと、高まった快感に胸の内側を叩かれた。ゾクゾクと、背筋を甘い痺れが走り抜ける。まるで、射精でもされたみたいにお腹の奥が熱くなり、頭の中が薄桃に染まった瞬間、体から力が抜けていった。
「んっ♥ はぁっ、あっ…はぁっ、はぁっ…」
つぅっと、指の間を伝い落ちた愛液は、すでに透明に変わっていた。
そこに、白く濁った跡は残っていない。ちゃんと綺麗なままなのに、どうしようもなく汚れてしまった自分に幻滅する。
オナニーをしてしまったまでは許せても、彼ではない男の人を想像して、あの人に犯されることを望んで絶頂にまで達してしまった。
もう、快感を感じることでさえ億劫だ。
一人で絶頂に達した後の虚脱感、その虚しさといったらない。
気持ち良くなることに罪悪感さえ覚えた私は、後ろめたさに塞ぎこむと、しばらくそこから動けなかった。
ー
お風呂から上がり、体を乾かした私は、散らばった下着を掻き集めていた。
如何にもといった可愛らしい物は特にはない。集めた下着は、相変わらず素っ気のないものばかり。勝負下着なんて揃えるまでもなかった。あの人は、私の下着に頓着はしてこなかったし、隠れてすることが多かった分、その彩りを堪能する暇もあんまりなかったはずだ。
少し前かがみになって、ブラのカップを胸の膨らみに合わせる。
ホックを止めて軽く固定し、胸を寄せて膨らみをカップの中に収めていった。
特に代わり映えのしないつもの作業。
どれだけ気が滅入っていても。どれだけ体が重たく感じていたって、それをしてしまえるのは有り難かった。
ショーツに足をくぐらせて、白いブラウスに袖を通していく。
1つ、2つと、ボタンを留めた後、きゅっと、赤いリボンを胸元で結ぶ。
広げたスカートに足を通し、最後に ニーソックスを膝下まで伸ばして完成だ。
大丈夫…だよね?
私はちゃんと、北見 真冬のままだよね?
鏡に映った私は、今朝と変わらないようには見える。
間違い探しをするならきっと、目元が少し赤くなっているくらいだろうか。
それだってきっと、眠い目を擦った後だと言われれば分からないはずだ。
着替え終わった私は、ホテルを出る。
貰ったお金を使って支払いを済ませると、ようやく全てが終わったような気がして、少しだけホッとしてしまった。
それも束の間。
「北見っ!」
名前を呼ばれて、思わず振り返ってしまった。
いつも優しく私を呼ぶ声は、相当に切羽詰まっていて、肩で息を繰り返す様子からも、その焦り様は伝わってくる。
「っ!!」
しかしだ。
彼の声を聞いた途端。彼の姿を見つけた途端。
いつもなら高鳴る心臓も、今だけは ぎゅっと締め付けられるほどに痛かった。
せめて一晩だけでも時間が欲しい。
今、全部がバレて、彼に嫌われることだけは耐えられない。
諦めて、お願いだから諦めてって自分に言い聞かせるまで。今夜一晩だけでいい。眠れない夜を過ごしてでも、彼との関係も水に流すつもりだったのに。
振られる覚悟も、全部を打ち明ける勇気も、今の私には何の準備も出来てない。
逃げ出したよ。
そりゃ、当然ね。
目を見開いて、体が固まり。でも、次の瞬間には弾けるように駆け出していた。
ほとんど反射的にだ。脱兎の如くとは、こう言うんだろうって実感する。
捕まったら全部終わっちゃう。
ただ、その時を引き伸ばしているだけだとしても、今は逃げずにいられない。
けれどだ。
当たり前に運動ができる彼と、基本的にインドアな私が、かけっこをして勝負になる訳もなかった。多少の人混みが時間を稼いでくれたとしても、すぐにその差は縮まってしまう。
程なくして彼に捕まった私は、肩で息を繰り返してたのに、私を掴まえた彼には、まだまだ余裕があるように見えた。
「はぁっ、んっ、はっ、離し、てっ…」
ひりつく喉から無理やり声を出す。思い切って腕を払っては見ても、彼を振り解くほどの力はでない。
「離さない。お前、北見…こんな所でさ、一人の用事ってなんだったんだよ?」
「いい、でしょっ…なんでも、清水くんには、貴方には…関係なっ」
「無いわけ無いだろうがっ! どれだけ心配したと思ってるんだっ。お前がホテル街に入っていったの見たって聞いて、それで俺、慌ててさっ…え、あっ」
「っ…!!」
初めてだった。
男の人に、体を掴まれ、怒鳴りつけられる。
そのあまりの迫力に、胸が押しつぶされ、体から力が抜けていってしまった。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」
それは、反射的なものだった。
また怖いことされるんじゃないかって、刻みつけられた記憶が、壊れた機械の様に謝罪の言葉を吐き出させる。
「北見…お前…」
私を見下ろす彼の視線を、見つめ返す勇気はなんてない。
ただ、いつもとは違う憂いの色を帯びた声音に、耳を塞いでいたかった。
「ちょっと、そこの君たち?」
まぁ、当然だろう。
陽も落ちたホテル街で、学生服を着た男女が揉めているんだ。
それを見咎められないことなんかない。巡回中だったのか、誰かが通報したのかまでは分からないけれど、声を掛けてきた警察官は厳しい顔で私達に近づいてきた。
「逃げるぞ、北見」
「え、あっ、まっ…」
強引に体を引き起こされ、引きずられる様に足を動かす。
私なんてお荷物を抱えてるのに、彼の足は速かった。
ネオンの煌めく街並みは、スマホの画面をスワイプするように過ぎ去って、追いすがる警察官の姿と一緒に、ぐんぐんと遠ざかる。
酷い女だな、私って。
息を切らせているのだって、ただの疲労に過ぎないのに。
強く引かれる手の感触は痛いくらいで、それは当然、私を見捨てられない彼の優しさからくるものだ。
何処か浮世離れしていく現実。
男の子に手を引かれ、迫る追手から逃げていく。
それはまるで、恋愛小説にあるような主人公たちみたいだと、ほんのちょっぴり、疲労とは違う胸の高鳴りが、私の心を囃し立てていた。
ー
繁華街を抜け帰路につく。彼に手を引かれるまま、トボトボと歩いている内に、高鳴っていた心臓も次第に落ち着いてきていた。
ピタリと、止まる彼の足。私の家につくと同時に、最後の恋人気分が終わりを告げる。
それじゃあね…。
とは、なるはずもない。
私に彼を追い返すだけの気力は残ってないし、彼だって私をこのまま放っては置かないだろう。押し切られるまでもなく、気づけば部屋で二人きりだ。
ベッドに腰掛けた私と、向かいの椅子に座る清水くん。
気まずい沈黙が流れる中。お互いに無いも言えない時間が過ぎていく。
もちろん。彼からすれば、私に全部を話して欲しい筈だ。
ううん。多分、自分から問いただせば、私を追い詰めるような事になる気がして、言葉が見つからないだけなんだと思う。
なんで?
どうして?
聞かれたって分からないよ。
ああするしかなかったって思って、思い込んでたんだもん。
勝手に悲劇のヒロインになってただけ。被害者でいるのはとっても楽で、居心地がよかったんだと思う。
だってさ。自分が悪かったことですら、誰かのせいに出来た。
何かあったのは分かるからこそ、彼は私に何も聞けず、図らずも降り掛かった不幸に私は守られていた。
ズルい子だなぁ。
悪いのは私の方なのにさ。
みてよ?
向かい合って座る彼の方が、居た堪れないって顔をしちゃってる。
やめてよね。そんなんじゃ、まるで私が悪いみたい。
抵抗しなかった私が悪い。一人で抱え込んでしまった私が悪い。そんな正論なんか聞きたくないんだ。
「もう、いいよ。送ってくれてありがとう…。後は、良いから。一人で平気だから。清水くんもお家に帰ってさ…。また明日、ね?」
「いや、平気なわけ。せめて、親が帰ってくるまでは…」
「それで? お母さんにこの事いうの? お宅の娘さんが、ホテル街で男と遊んでましたって? いいね、それ。とっても正しいことだ思う」
「それは…」
正解なんて分かるわけがない。私だってそうだったんだ。
恋人でも、家族でもない彼に出来るのは、一般論で諭すか、今みたいな沈黙を返すのが精々だ。
「はぁ…」と、私の吐き出した小さな溜息は、諦観に満ちていた。
今ここで誤魔化したって、また明日学校で同じ事を問い詰められるんだろう。
そうなったら最悪だ。もう終わった話を、何時までも引きずられたら私だって堪んない。
「脅されただけだよ。仕方なかったの。そう言えば、満足してくれる? だって、怖かったんだもん。知らない男の人に、自分よりも、一回りも二回りも大きな男の人に体触られてさ?」
渋々でも1つ口を開けば、ボロボロと言葉が零れてくる。
本当は言いたくて仕方がなかった。助けてだって欲しかったのに、最後まで言えなかった。そんな勇気なんかついぞ出なかった。その反動が、堰を切って溢れ出す。
「ねぇ? 清水くんだったらどうしてた? 急に私や、ご両親の写真見せられて、言うこと聞かなかったらどうなるか分からないぞって状況にされたら、どうしたらいいの? 分かるよ? 清水くん優しいから。俺のことは良いから逃げてくれって、言ってくれるんだろうねって? そのくらいは信じてたもん。お母さんだってそう。でもさ、はいそうですかって、逃げ出せるわけ無いじゃん。それで明日、貴方が学校に来なかったりしたら? お母さんがお家に帰ってこなかったら?」
何かを言おうとした彼は、けれど何も言えずに口ごもる。
きっと、私と同じ想像に達してしまったんだろう。お話の中にしか無い展開。親しい人を人質に取られる恐怖。男の子なら、そんな中でもカッコよく助け出して、ヒーローになるみたいな想像をした事だってあるかもしれないけど。
いざ、それが現実になるとどうだろう?
実際に身動きできる人はどれだけいるのか。その中で冷静に行動出来る人はどれだけいるのか。事態を解決する最適解。誰も傷つかないハッピーエンドなんてのは、物語の中だからこそ存在を許されているんじゃないか。
だって、私達には神の視点なんか無いんだから。
目の前のことに、右往左往するので精一杯だから。
「何も出来ないよね? もう私、頭真っ白になっちゃってさ。電車に乗れって、つり革掴んだまま動くんじゃないって言われて、その通りにしちゃったんだ」
今でも思い出せる。
ううん、きっと何時までだって、忘れられるわけがない。
「お尻、触られてね。そのくらいならって、我慢しようって。つり革ぎゅっと掴まえて、心臓が痛いくらいバクバクなってるの。大人の男の人の手ってすごく大きくてさ。指も太くて、ゴツゴツしててね? 清水くんと手を繋いだときとはぜんぜん違うくって、結構驚いちゃった」
揺れるスカート。中に入ってくる男の人の手。お尻に触れられた時の嫌悪感と恐怖。思い返しただけでも、体が揺れて、思わず作った握り拳がスカートの端を巻き込んでいた。
「止めてって、ほんとに怖いと、それすら言えなくなるの知ってた? なんで抵抗しなかったんだよって、清水くんは言うかもしれないけどさ? 出来ないよ。自分より大きな人に脅されて、体触られて。逃げたって、捕まったらもっと酷い事されるかもしれない。だって、電車の中でもしちゃうような人だよ? その内終わるって、どんなに遅くたって、終点についたら開放されるって、祈るしかないじゃん」
でもそれは、あの人にだって分かってたんだろう。
いつかは終わる線路でも、私にとっては長すぎた。その内に、誰かが気づいてくれるんじゃないかって。でも、駅に着く度に人は減っていって、閑散とする車内に合わせて、あの人の行為はエスカレートしていくばっかり。
「ひどい格好だったんだよ? こんな風に自分でスカートの端握らされてさ?」
手繰り寄せたスカートの端。突き刺さる彼の視線に、心臓がドキリと跳ねる。もう少しで、あと少しで見えてしまいそうで。曖昧になった生足との境界から慌てて目を逸らした彼に構わず、私は言葉を続けていた。
「パンツ、見えちゃってた。ブラウスのボタンも外されてさ、おっぱいも…ね。助けてって、言えないよ。見られたくないもん。それで、誰かに写真取られてSNSなんか上げられたら、私、ほんとに終わっちゃう」
だから我慢した、ずっとずっと我慢してた。
おっぱいを揉まれても、乳首を弄られても。その内に、勃起したおちんちんを お尻に感じるようになって、それがお股に擦り付けられて初めて、イヤだって、本気で逃げ出したくなっても遅かったんだ。
「アレって、なんでなんだろうね? 無理矢理にさ、おっぱい触られて、乳首弄られて、気持ち悪いはずなのにね? なんかビリビリと痺れてきてさ、くすぐったいのとも違っててね? お股のとこも、おちんちんで擦られている内に、だんだんだんだん濡れてきちゃってた。私って、淫乱だったのかな?」
「ちがう」って、彼は言ってくれた。
そんなのは、ただの生理現象で。男だって、触られれば嫌でも反応するものだと。私を庇ってくれる言葉なのは分かるのに、どれもこれも空虚に聞こえてしょうがない。
「そっか、そうかもしれないね。けどさ、思っちゃったんだ。あの人が上手かったのかな? ちょっとでも気持ち良いなって、なんか ふわふわしてきててね? ホント体熱くなってきちゃってさ。押し倒されても、力はいらなくなってた。初めてだったのにな。痛いとか、思ってたより全然なかったや。あははっ…怖くて、それどころじゃなかっただけかもね? 実際はさ…」
ギリッと、彼の顔が歪む。
それは、憐憫? 侮蔑? それとも嫉妬だろうか? 俯いてしまった彼の表情を伺うのは難しい。
「もう、1回も2回も変わらないよ。あの人が私に飽きるまでさ、出来ることなんか無いんだもん。あちこちに呼び出されて、一杯エッチなことさせられたんだよ? 手でもしたし、口でもしたし。中にだって、2回…3回…あれ、何回だったかな? あ、それとね、おっぱいも使われたことあるっけ。パイズリっていうんだってね、清水くんも興味あったりする?」
返答に答えはない。俯いたままの彼は体を震わせ、膝の上に作った握り拳を固く握りしめている。その内に、爆発してしまいそうな気配はあった。この淫乱女って殴りつけられるか、あるいは、その股間に張ったテントの向こうにあるもので、どうにかされてしまいそう。
まぁ、どうにでもしてくれって感じだ。
失くす物のなくなった今の私は、最近流行りの無敵の人って所だったろう。
「ごめんね。もう、貴方に上げられるものって、私残ってないんだ。体中全部汚されちゃって、精液掛かってないところなんて無いの。おまんこ もさ? きっと子宮の中にまで届いちゃってたよ。せめてキスだけはって、思ってたんだけどなぁ。それもさっきダメになっちゃった。うん、だから…あはは…っ。うん、ごめん。清水くん…貴方とは、一緒になれないよ。私はもうこんなだし…もう、奇麗な所なんて残ってないし、全然汚れちゃってるからさ…」
あぁ、思った以上に清々しい。
言葉の上では落ち着いて見えるのに、まるで癇癪を起こした子供のようだ。
そこらに転がった感情を、思うまま投げつけられる事に気分が晴れ渡る。
まぁ、それを受け止める彼からしたら、堪ったものじゃない。
ほぼほぼ八つ当たりなんだもん。「やめろっ」て「やめてくれっ」て、言われるのも当然だった。
「どうして? 聞きたかったんでしょ? 私に何があったのか。私はイヤだって、帰ってってお願いしたじゃん? なのに、自分が飽きたら黙らせるの? それってズルくない? 最後まで聞いてよ? まぁ、別にオチなんてないけどね? バカな子供が、悪い大人に犯されましたってだけの話だもん」
どうやら、私の一世一代の猥談は、彼の性癖には叶わなかったらしい。
きっと、股間の辺りが膨らんでみえてたのも、彼が言うところの生理現象って奴だったんだろう。
「えっと、何処まで話したっけ? パイズリ? あ、初めてフェラした時の話はしたっけ? 勃起したおちんちんの先端舐めさせられたり、手で擦って上げたりしてね…。それから、咥えてくれって…。このくらいなら、なんとかって思ってたんだけど、実際咥えてみると結構大きくってさ…。口開けてるのも大変だったのに、中でね? なんかビクビク暴れ出すんだよ。咥えながら舐めてあげたり、口すぼめながら頭動かしてさ。そしたら急にね…」
その後のことは、一瞬すぎてよく分からなかった。
「北見っ!」って。急に彼が大きな声を上げたかと思えば、私は押し倒されていた。勢い余ったのかな。一瞬だけ、私を見下ろしていた顔が気まずそうに陰る。
「もういい。分かったから。お前が、どれだけ頑張ってたのか。どれだけ、怖くて辛かったのかとか。もういい、無理やり話させた俺が悪かったから。だから、やめてくれ…そんな、もう、傷口開くようなさ」
今にも、泣きそうな顔だった。すぐに泣いて感情に訴えるのは、女子の悪い癖だと思っていたけれど。でも、たしかにコレは効果的だ。先に泣かれてしまったら、私の方が悪者扱いみたいで気分が悪い。
「それで?」
「それでって…」
「話すことは話したよ? 満足したんでしょ? じゃあ…もう良いじゃない」
これ以上、一緒にいる意味なんて無い。
優しいだけなんて鬱陶しいだけ。同情なんて欲しくもない。変に気を使って、私に期待を持たせないで欲しい。私と貴方は、もう違うから。貴方はもっと普通の女の子と恋愛して、幸せにでもなんにでもなれば良い。そこから先は、私の知った所じゃないんだ。
「いや、でも…なにか、俺に出来ることって」
「無いよ」
「っ…」
キッパリと、私の言葉はナイフの様に彼の心を裂いたようだ。
苦痛に顔を歪め、目を伏せて。それでも、何か諦めきれないように、私を押し倒したままの彼は、そこから動こうとはしてくれない。
「あぁ…そういう」
諦めの音が胸に響く。まぁ、それもいい。私自身、そんな一時を望んでいた時期もあったんだ。今まで彼に掛けた迷惑を考えれば、私の体1つ差し出すのに不満もなかった。
スルリと、衣擦れの音がする。
胸元の赤いリボンを解いた私は、ブラウスのボタンに指を掛けていた。
最初はあんなに恥ずかしかったのにな。自分の衣服を脱ぐのに、それほどの抵抗は感じない。今はもう、ただの作業みたいに指が動いてしまう。
「あの人の言う通りだね。結局、清水くんもそうなんだ…」
「そうって…なんだよ」
「女の子押し倒しといて言う事? 貴方もさ…エッチしたいんでしょ? 言ってたよ? 彼の前で服を脱いでご覧って、そうしたら分かるからって」
「ちがっ! 悪いっ…これはっ、そんなつもりじゃなくって…つい」
私の指摘に慌てて彼は起き上がった。
けれど、その時にはもう遅い。一体何を期待してしまったのか。彼の股間で膨らんだものは、外から見ても分かるほどになっていた。
「勢いで? 違うよね? 私の話聞いてた時からそうだったじゃん?」
「いや、それは…」
「ううん、良いの。ふふっ、下手なAVよりは刺激的だったでしょ? 男の子がそういうの我慢できないって分かるし、生理的な反応かなって思ってたけど、そういう風にはまだ、私のこと見てくれるんだね」
彼の頬が赤く染まる。それは、羞恥的な意味も もちろんあったのだろうけど、悔しさを滲ませるように拳が握られてもいた。
そんな彼に、これを言うのは意地悪だろう。
最低だって、自分でも思う。けれど、あの人に散々レイプされた後では、それも今更だった。
「1つ、あるかな? 清水くんにお願いできること」
「な、なんだ? 何でも言ってくれ…俺に出来ることならさ」
「抱いてよ、私のこと」
「は?」
「だから、エッチしよって言ってるの」
「いや、おまえ…それは」
「ほら、出来ないでしょ?」
顔を上げ、久しぶりに交わった視線はすぐに逸らされた。
体を起こした私は、彼の顔を覗き込み、追い打ちをかけるように言葉を続けた。
「清水くん。清水 陽斗くん。私は、貴方のことが好き。痴漢から私を助けてくれた事だけじゃないよ。その後もさ? 私が怖がらないようにって、安心して学校に行けるようにって、一緒に登校してくれてたんだよね? 放課後まで一緒に遊んでくれてさ。優しくて、勇気があって。しっかりしてるようで、でも抜けてる所もあって。ううん、もっとずっと前から、気になってたんだよ? 貴方のこと。覚えてる? この髪を結んでる赤いリボン。陽斗くんが一番最初に可愛いって言ってくれたんだ。初めてだったんだよ、男の子に可愛いだなんてさ。声を掛けられた時は、ちょっと驚いたけど。からかわれるかなって、ちょっと怖かったけど。でもね? 可愛いって言われるのは、やっぱり嬉しくって。自分でもどうかなって思うんだけど、ずっとこのリボンばっかり選んじゃってた。また、可愛いって言って貰えるかなってさ。期待してたんだろうね。たまに目で追いかけちゃってたんだ。そんな時は、決まってソワソワと落ち着かなくってさ。お母さんにまで、好きな人でも出来たの? とか、からかわれちゃったんだよ?」
独白の様な告白だ。
彼が口を挟まないのを良いことに、今まで溜め込んでいた思いの丈を、ただ吐き出し続ける。
「ねぇ、陽斗くん? 私は貴方が好き。勘違いじゃないよね? 陽斗くんだって、きっと私のこと好きだったよね?」
「それは…俺だって」
濁る答えに、悲しくなる。
そうさせたのも私か。なんもかんも私が悪い。
一体何処から間違ってしまったのか? 遡り続けた先は、一番最初。生まれてきてごめんなさいとでも言えば、それなりに溜飲もさがる気がした。
「まぁ、そんな感じ」
努めて、おちゃらけた声でお茶を濁す。
本当は、少しだけ期待してた。「俺も好きだって」言われて、そのまま押し倒されて、半分レイプみたいに彼とエッチがしたかった。
けど、現実はどこまでも私に厳しいんだ。
ううん、別に私にだけ厳しい訳でもないんだろう。苦虫を噛み潰した様な顔をした彼を見れば、それは良く分かる。みんなに平等で、みんなに厳しくって、ハッピーエンドなんてきっとどこにも転がっちゃっいなかったんだ。
「同情ならもう良いよ? 清水くんは十分私に良くしてくれたもん。でもね? いらないんだ。私を愛してくれない貴方なんていらない。期待だけ持たせて、何もしてくれない貴方なんていらないの」
いらない。
一体何様のつもりなんだか。
口にする度に胸がズキリと痛む。
けれど、その言葉は、私が諦めるためにも、彼を諦めさせるためにも必要な言葉だ。
「いらないって、なんだよ。俺も好きだって。そう言えば満足するのか? そんな風に言えば、俺が無理やりお前を襲うかもって思ってるのか?」
苛立ちと葛藤。
このままじゃいけない。このまま北見に喋らせ続けていると、きっと彼女は壊れてしまう。何よりも、それが腹立たしいんだ。好きだって言っておきながら俺を拒絶して、一体何がしたいんだ。俺は一言だって、お前のこと嫌いだなんて言ってないのに。何時だって、頼ってくれてよかったのに。そんな、レイプされたくらいで、拒絶なんてする訳ないのに。
同情だって良いだろう。心配くらいさせてくれ。
そのまま泣いて縋ってくれれば、いくらでも慰めてやれた。
嫌なことを忘れたいって理由でもいい。それならそれで、お前のためならって頑張れるのに。
北見の望みが分からない。
一見すれば、俺にレイプされたがっているようにも見えるが、本当にそれをしてしまっていいものか。常識と、倫理観。一旦それを脇に置いたとしても、押し倒した瞬間に、彼女の心が壊れないとも限らない。
これが、ゲームだったらセーブポイントだったんだろうけどな。
彼女を抱きしめればハッピーエンド。彼女の望むままに、レイプすればバッドエンド。そんな単純な線引すらもありはしない。
だって、その時にはもう、俺は彼女の唇を奪ってしまっていたんだから。
柔らかくて、温かい。
そんな子供じみた感想しか出てこない自分を誤魔化すように、俺はさらに強く唇を押し付けると、舌先がチリチリとするような興奮を覚えていた。
軽い抵抗だった。
キスをされた瞬間。驚きに体を震わせた真冬は、拒絶を示すように俺を押し返えそうとしてくる。
けれど、それも一瞬だ。
男の体に、今の真冬はあまりに従順だった。
俺の肩に手を掛けたまま、解けるように体から力が抜けていく。自然と首に手を回し、自分から柔らかい胸の膨らみを擦り寄せてくると、硬い胸板に押し付けてくる。
それはまるで、奉仕でもするように。真冬は自分から唇を開いてきた。
あまりに自然な動作に躊躇っている間にも、彼女の舌が口の中に入り込んでくる。
具合を確かめるように、艶かしく動く舌先。歯茎を数え、唇の裏側を舐め回す。伸びた舌先が、ちょんっとお互いの存在を確かめると、からかうようにくすぐってきた。
おずおずと、最初はただ、真冬の舌の動きにされるがままだった。
くちゅり…くちゅり…。
口の中で響く水音に、船酔いでもしたみたいに頭が揺れる。
真冬の唾液がそう思わせるのか。口の中に流れ込んできた甘い液体を、ゴクリと飲み干した瞬間、俺の心臓は大きく跳ねた。
まるで、媚薬でも飲まされたかのような気分だった。
今まで、なんとか踏みとどまろうとしていた自分がバカみたいだ。
せめて、キスだけででも想いが伝わったのなら。そんな綺麗事が通じる段階は、とっくに過ぎ去っていたことに今更気づく。
お互いにもう止まれない。
打算とか、葛藤とか、愛情だとか。色んな感情を後回しにしてでも、彼女が欲しい。纏わりつく真冬の舌先を跳ね除けるようにして、今度は俺の方から舌を動かしていく。
今までの仕返し。やられた事をそのままやり返す。
自分から彼女の中へと舌を伸ばし、潤った少女の口内を暴いていく。
そこに、技巧なんて無ければ、優しくなんて出来もしない。
下手だと言われても仕方がないし。真冬の丹念な愛撫の後だと、どうにも粗雑さは拭えない。
それでも、俺の拙い愛撫を真冬は抵抗すること無く受け入れてくれていた。
くちゅり…くちゅり…と。舌先の赴くまま、真冬の口の中に溜まった唾液が、掻き回され、溢れ出し、重なり合った二人の唇の隙間から溢れ出す。
キスの最中、瞳を開いた真冬は、こっそりと清水の顔色を伺っていた。
息が苦しい。このまま、あと少しもすれば、口の中に溜まった唾液で溺れてしまいそうな気配もある。
このまま、飲み込んでしまって良いのだろうか?
初めての相手とのキスに機微が分からず、戸惑いをみせた真冬の舌が、ふいに清水の方へと吸い寄せられた。
あぁ…。飲みたいんだ…私の。
征服される。支配されるのとはまた違った欲求だった。
いつも通り、飲み干そうとした唾液が彼の方へと流れていくだけなのに、求められる事への渇望を強く自覚した途端に体が熱くなる。
もっと彼が飲みやすように。
舌先をストローにでもするよう舌を伸ばし、口の中を明け渡す。
にゅるりと、私の中へと入り込んできた彼の舌が、手探りをする様に口内を啜りだす。
ちゅる…くちゅっ…じゅっ、ちゅっ…。
彼の舌先に舐め回される。口内に溜まった私の唾液。その最後の一滴が飲み干されるまでのその間。ゴクリ…ゴクリ…。大きく動く喉仏から、私は目が離せなかった。自分の一部が彼の中に入っていく光景に、ジワジワと熱を持ち、疼き始めた下腹部は、どうしたって私にその先を期待させてくる。
長いキスの後、清水は再び真冬をベッドの上に押し倒していた。
そこに抵抗はない。さっきよりは、いくらか優しくしたつもりでも、ふわりと跳ねる彼女の胸の膨らみに、そうではなかったと思い知らされる。
改めて見下ろした少女の体は綺麗だった。
開けた胸元から覗く膨らみも。捲れたブラウスから見えるお腹にも。
閉じた足の間。スカートの影が作る鼠径部の皺に、視線が吸い寄せられた。
これから、この体を自分の好きに出来るのだと歓喜する反面。
この体が、さっきまで誰かの好きにされていたかと思うと、ジリジリとした感情に胸が焦げ付いた。
彼女が悪いわけじゃない。
分かっていても力加減を間違える。
ボタンの外れかけていた胸元を乱暴に開き、胸の膨らみに手をかけると「んっ♥」と弾んだ女の声に頭が揺れた。
柔らかくて、温かい。
相変わらずの稚拙な表現。けれど、それ以外に思いつく言葉がなかった。
マシュマロみたいだと言えば可愛らしくもあったが、何かに例えようする程に答えからは遠のいていく。
そう、例えるなら女の肌。そうとしか言いようがない。男にはない柔らかさは、指先に力を込めるほどに形が変わる。試しに押しつぶそうとはするけれど、確かな弾力がそれを拒んだ代わりに、真冬の口から甘い声が響いてきた。
もっとこの感触を味わいたい。もっとこの声を聞いていたい。
指先を膨らんだ乳首へと伸ばす。親指とで挟み込み、そのままグリグリと押しつぶしてみた。何処までされたら痛がるのか。その甘い声が、いつ悲鳴に変わるのか。浮かんだ感情は好奇心ではなく、嗜虐心にも近い。
自分以外の男へ体を許した彼女への戒め。
他の男の跡を消すための禊。
無意識ではあった。
けれど、どんなに乱暴な愛撫を送っても、快感を返す彼女の姿に苛立ちは募る。
それは、ただの嫉妬だったのか、あるいは性欲でしかなかったのか。その原因に気づかないまま、清水の指先に熱がこもり、股間にぶらさがっていた獣欲が大きく吠えた。
「んっ♥ はぁっ、ぁっ、やっ、いっ、んっ♥ はる、と…くん? ううん…いいよ、きて?」
情欲の灯る眼差し、男に媚びた視線。甘えるような声音で名前を呼ばれた瞬間に、俺の中で何かが切れた。劣情が先走りに変わり、先端から溢れ出す。
嗜虐心を満たすためだけの愛撫を中断すると、焦る指先を抑え、股間から肉棒を取り出した。
ゴクリ…。
息を呑む。
これから自分を犯すモノを前に、少女の喉が鳴る。
少女に見つめられた少年の肉棒が、期待をするように大きく跳ねた。
「んぁっ♥ はっ、ゃっ、はいって、んくっ…はぁっ…はぁっ…♥」
下着を脱がされ、足を開かされ。
それは、何度もやってきたことだけど。
それは、何回やっても慣れるものじゃない。
彼が相手なら、もう少し違うものかと思っていたけれど。
現実は、私が期待するほど甘いものじゃなかった。
膨らんだ亀頭に割れ目が開かれる。
ズルリ、ズルリと、中に挿ってきた肉棒に、満たされていく膣内。
そこに、抵抗と呼べるものは何処にも残っていなかった。本当なら、もっとずっと、大切な何かがあったはずなのに。
胸に浮かんだのは、軽い忌避感と、いつもの諦観。
仕方がないと、これから犯される自分の言い訳を胸に留めて「はぁっ」と、熱っぽい溜息に期待の色を灯す。
ゆっくり、ゆっくり…。
奥まで挿ってきた肉棒が、行き止まりに差し掛かった。
お腹が少し押し上げられて、体に溜まり始めた熱が口の端から零れてしまう。
「はぁっ、はぁっ! きたみ、きたみっ…やば、これ…おれっ!」
中に挿った肉棒は、その余韻を味わう間もなく動き出し、興奮を口にした彼の動きから、だんだんと遠慮が消えていった。けれど、その動きは お世辞にも上手いと言えたものじゃない。
あの人なら、もっとこうしてくれたのにって。こんな時にだって、自分を一番に気持ち良くしてくれた肉棒と、彼のを比べてしまう自分が嫌になる。
でもさ…。
ただ前後に動くだけの肉棒に、感じた温かさは何なんだろう?
気持ちいいかどうかで言えば物足りない。
けれど、それとは違う満足感は確かにある。
胸の奥で膨らんだ感情に喉が詰まった。ズルいって、分かってはいても、溢れた涙は止められず、零れた雫が頬を濡らしていく。
「おねがっ、はっ♥ やっ♥ はる、と…くんっ。わたしのこと、ぁっ、なまえ、真冬って…おねがっ、いまだけ、今だけでいいから…。そしたら、全部、諦められるから…今だけはっ、はぁぁっ♥ んふっ…。はると、くん…の、こいびと、にっ! あっ♥ 貴方の好きにっ…乱暴にだって、していいっ。なんでもっ、んぁっ…はぁっ、ひぅっ♥ して、あげるから…だから…っ。いうこときくから…ぁっ。おねが、い…ぃっ♥」
途切れの途切れの愛願。誘われるように激しくなる肉棒の動き。自分を盛り上げる為の言葉も、次第に色づき始め、お腹の奥に灯った快感の火が大きくなり始める。
「今だけなんていうなよっ! おまえはっ、真冬はっ、俺のモノなんだからっ。俺のにするからっ。だからっ、勝手に一人になろうとしないでくれ。じゃないと、おれっ!」
ひどい声だった。
「んひっ♥」て、勢い込んで挿ってきた肉棒が、子宮口を突き上げた途端に声が漏れる。頭の中が真っ白になって、腰が勝手に落ちていってしまう。
私の一番弱いところ。ううん、女の子なら誰だって、ココをこんな風に犯されると、どうにもならなくなってしまうはずだ。
私の弱点を見つけた彼の動きが激しくなった。
明らかに反応の変わった私を責め立てるように、もっともっとと、腰を打ち付けてくる。
そこに駆け引きなんてものはない。
本能的な種付だ。お互いを感じる為の行為じゃない。私を分からせるための、奪われたもの奪い返すような乱暴さがそこにはある。
「じゃない、とっ…はぁっ、あ、はぁぁぁっ、ふぅっ…。なに? わたし、どうする? んぃっ♥ つもり、なの?」
「どうってっ! そんなのっ、もっと、乱暴に…お前は俺のだってっ! お仕置きでもなんでもさっ。お前が、わかってくれるまでは、俺はっ!」
「んはっ、ぁっ♥ あははっ、はっ、んっ♥ それ、なら、ね? だして…よ。中にさ? 一杯…だして。そしたら、嫌でもわかっちゃうよ。だって、私も女の子だもん。そんな中にだされちゃったら、自分が女なんだって、貴方のにされちゃったんだって…ね? 出来ない? 出来るよね? おちんちん、そんなしてるんだもん。今だって、出したくてしょうがないってビクビクしてるの分かるの。いいよ? いいんだよ? 難しいこと考えないで? 二人でさ? きもちよくなろ…ね? ひゃっ、あ、つよくなって、だめ、はげしっ、もっと、もっとっ♥ 全部忘れさせて、私のこと貴方で一杯に、だからっ、精液、なか、にっ。はるとくんの、私に、あぁぁっ…♥」
もっと、もっと。彼の獣性を煽るように言葉を重ねる。
逃げ出すように身を捩ると、ぐっと、腰が抑えられた。突き上げてくる肉棒がはち切れるんじゃないかってくらい大きさを増し、ビキビキと固くなっていく。
それで良い、それが良かった。
落とされるみたいになんかじゃ嫌だ。それは、どうしたってあの人と、彼とを比べてしまうから。もっと乱暴に、自分勝手で良い。今までの私がメチャクチャになるくらい、貪るみたいに犯して欲しい。
これからのことなんて、もう知らない。どうにでもなって良いから。
「すきっ、すきぃっ! はるとくんっ、すきなのっ。もうっ、全部上げるからっ、私の全部もらっていいからっ。赤ちゃんだって作るよっ、今すぐだって産んであげるからっ、ね? ね? あ、はっ、やっ♥ はげしいの、もっと、もっとっ! だから、だからっ、んは♥ ふぅっ、ふぅっ…あ、っくっ、やっ♥ いつもみたいに、手引いて? 私のこと、す、すて…ないで…おねがっ…んぁ♥ 今一人にされたら、わたし、わたしっ…ねっ。あ、はっ、やっ…きちゃっ…♥」
それはもう、ほとんど脅迫だった。
私のこと犯したんだから、ちゃんと責任取ってほしいって。
やるだけやって放りだしたら、どうなるか分かんないぞって、自分で自分を人質にしてるのと変わらない。
「わかってるっ! お前は、真冬はもう、俺んだからなっ! 勝手に他の男としてたら、俺っ、もうっ、許さないからっ、くそっ、あくっ。真冬、真冬っ!!」
快楽の熱に全身が満たされる。
名前を呼ばれ、強く体を求められた瞬間。膣が痙攣を繰り返し、精液を求めるように震え上がった。
絶頂と同時に腰が落ちる。近づいてきた子宮口へと肉棒が突き刺さる。
その衝撃に背筋が反り返り、彼の体にしがみついていた私に再び、絶頂の快感が襲ってくる。
ゾクッとした…。
絶頂の最中にまたイカされてるのに、彼は止まること無く私を犯し続けてる。
これ以上は無理。もうイッてるのに、イクの止まんなくなってるのに。
腰だって落ちちゃってて、子宮口だってパクパクしてて。いま射精されたら、絶対子宮の中まで一杯になっちゃうの。
ゾクッとした…。
また、イッちゃった。
私、変態だ。
妊娠させられそうになってるのに、興奮しちゃってるんだ。
ああ、そうだよね。それはだって、あの人にも出来なかったことだもん。
彼の精液で妊娠させられて、それは絶対気持ちがいいことで。
そこに理性はなかった。
私なんかが生んだ子供が、幸せになれるわけないのに。
ただ、自分が気持ちよくなれる事だけを優先して腰を振る。彼に傷つけられることだけが、今の私の幸せだった。
何回も、何回も、絶頂させられた。「だしてっ」「だしてっ」って、自分が何を口走ってるかも分からない。
彼の腰の動きが激しくなる。肉棒が私の中で膨らんでいくのが分かる。
ドキンっと、射精への期待に胸が跳ねた。「まふゆっ!」て、名前を呼ばれただけで、また絶頂に達しちゃってた。
落ちた子宮口に突き刺さった肉棒が、勢いのままに弾けた途端。
滔々と熱いものが一気に流れ込んでくる。
「あっ…」
一瞬、意識が飛んだような気さえした。
あまりの快感に、自分がどうなっているのかも分からない。
心と体が落ちていく。グリグリと亀頭が押し付けられ、子宮口が開かされてる。
ドクンっ、ドクンっ。波の様に注がれる精液に、お腹が熱くなった。
かぁっと、全身で快感の熱が弾けた途端、私はようやく声を上げることが出来た。
「あぁぁぁぁっ♥ んっ、くひっ、で、でて…っ。はる、と、くんの…せい、し、せいし…なか、だされ、あはっ♥ はっ、はっ、もっと、もっと、だして、ぜんぶ、ぜんぶ、はらじゃうくらい、にんしんしか、ないくらい…もう、わたし、あなたの…あなた、のっ、あ、あ、あ、だめっ、っぅぅぅぅぅ♥」
もう、言葉にもならない。
彼を煽る言葉も快感の波にとけ、ただただ絶頂の渦に飲まれていく。
幸せとか、不幸だとか、もうどうでもいい。ただ、彼のに満たされた事実に、傷だらけの心がジクジクと痛み、それを快感と受け取る自分が全部だった。
そこから先は、どうだったけな?
気づいた時には、息も絶え絶えで、体中が今までにないくらい精液まみれになっていた。自分の部屋にいるはずなのに、彼の匂いばっかりが鼻につく。
結構、違うものなんだな。
頬から零れる精液を指ですくい上げ、ペロッと舌で舐め取った。
なんか甘い? あの人のはもっとこう、老け込んだ味がしていたけれど。
若いってのはそれだけで精液の質も変わるもんなんだろうか?
「…満足そうにしちゃってさ」
隣で彼の頬をつついてみても、起きる気配はなかった。
そりゃぁ、ね? あんだけ乱暴してくれれば疲れちゃうよね。正直、受け止めていた私ですら眠いんだ。いま瞼を閉じてしまったら、絶対に寝落ちする自信はある。
体、精液、流したいけど。
行為の後の冷めきった体と冷えた精液は、いくら彼のモノとはいえ、やっぱり不快なのは変わらない。身じろぎして、乾いた白濁液がパラパラと剥がれていくのだって気持ちが悪い。
それでも、今は体を動かす事すら億劫だった。
だらりと、割れ目から零れた精液がシーツを汚してるのに気づいてはいても、それを拭き取る気力も起こらない。
「おきたらまた、エッチしようね」
まぁ、その前に。罪悪感に駆られた彼を励ます作業が待っているかもしれないけれど。今はまだ、僅かに残った幸せを噛みしめる。ちゅっと、寝ている彼にキスを贈った私は、伸し掛かる疲労と眠気に任せて意識を手放した。
なんとか踏みとどまったルート。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
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ホテルに入る前に呼び止められても良かったかな。
「おい、おっさんっ。何やってんだっ!」「犯罪だろっ、それさっ!」
「良いの、良いからっ、清水くん…。私は、大丈夫、だから…ね? お願い…今は…」
まぁ、こんな感じで導入が変わるだけで、家に帰ってやることは変わらんのだけど。
でも、シャワー室で自慰を始める真冬ちゃんのイベントスチルが欲しかったしな。
嫌なのに、何処かで期待しちゃってて。エッチできると思ってたら出来なくって。
彼に連れ帰られてる間も悶々としたまま、部屋で待たせてるのに、お風呂入ってくるって、シャワー浴びてる内に我慢できなくなって。
これはこれで湿度も高いが。レイプされた後に、頑張って掻き出そうとしてるシーンが見たかった。
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