※この作品はR-18です。

電車に揺られて   作:霧里

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DLC:しつけ(Hシーン

 

 

「いくぞ、真冬」

「あ、うん…」

 

帰り道。彼に手を引かれて家路に着く。

 

男の子の大きな手掴まれ、手首に軽い痛みを覚えながらも、慌てて後をついていく。

 

何か、陽斗くんを怒らせるような事をしちゃったんだろうか?

 

思い当たる節はないつもりだけど、多分きっとそうだと思う。

だって、彼に悪い所なんて1つもないんだから、必然的に私が悪役になるしか無い。

 

初めて彼に抱かれたあの日から。想いの通いあったあの夜から。

ただの男友達、女友達の関係が恋人へと変わったその瞬間。むしろ、覚悟が出来ていなかったのは私の方。彼とちゃんと付き合いだした後も、恋人らしい事なんて何もして上げられてないんだもん。煮えきらない私の態度に、不満を持たれてもしょうがなかった。

 

それもそうだよね。

 

半ばヤケクソ、自暴自棄の延長で体を投げ出したんだもん。

こんな汚れた女、抱けるものなら抱いてみろってさ。派手に捨てられて、ようやく未練もなくなると思ってた。

 

なのに そのまま、望み通りに押し倒されちゃった。

 

体中ドロドロになるまで愛されてさ。

 

きっとこんな関係、彼は望んでなかった筈なのに、それでも私に付き合ってくれたんだ。どこまでも乱暴に、それこそ自分が気絶しちゃうまで愛してくれた。

 

もう、信じるしか無いじゃん。

 

そんなにされたら、他の誰かの所になんか行けないよ。まして、この手を振り払って一人になるなんて絶対に無理。彼の愛情なしに生きていく自信なんかない。

 

ただ、1つ意外だったのは。

 

彼が私に一言も謝らなかったこと。それはいい。彼が悪かった所なんか何一つ無いし、むしろ謝るべきは絶対に私の方だ。

 

それでもさ。

 

優しい彼の事だ。「乱暴にしてごめん」くらいは、言われるのかなって。

「そんな事ないよ」って「陽斗くんは悪くないから」って。

落ち込む彼のために用意していた言葉を、ついぞ口にすることはなかった。

 

もちろん、私の身体の事は気遣ってもらったよ?

 

「大丈夫だったか?」って「何処か痛い所はないか」って。

私を撫でる彼の手は優しかった。それでも、今日に至るまで彼の口から「ごめん」と言う言葉はでてこない。

 

それが、彼の覚悟だったんだ。

 

傷ついた私をそのままに抱いてしまった。そこに罪悪感を抱いてしまったら、そうさせてしまった私が、さらに居た堪れなくなってしまうから。

ともすれば、逃げ出してもいただろう。彼にこれ以上重荷を背負わせちゃいけないって。また一人で思い込んでさ。それで上手くいった試しなんか無いってのにね?

 

それからは何時にもまして、私の前に立って歩くようになった彼の背中は頼もしかった。

 

たとえその向こうが見えなくたって、彼に守られているから大丈夫。

信頼ではなく盲目的に。歩幅の違う彼の背中を追いかける間、転け無いようにする方が大変だ。

 

そう、1つだけ彼に変わった所があったとしたら、少し亭主関白になった事かな。

じゃあ、後ろについて歩く私は大和撫子だったかって言われると、それは違う。

 

きっと、犬の散歩をしているようにでも見えていたんじゃないかな?

 

普段の彼の人柄を知る人達なら特にね。

 

別に嫌だったわけじゃないんだよ。ううん、嫌などころか自分から望んでさえいたんだ。だって私はもう、彼に全部を上げちゃったから。今の私に何が残ってるかも分からないけれど。それを彼が欲しいっていうのなら、何を差し出したって良い。

 

体はもちろん、心だって彼のものだ。お前は黙って着いてこれば良いって言われれば、どこまでも着いてくし。手を離すんじゃないぞって言われたら、何時までだって握ってられる。

 

でもね、たまに思うんだ。

 

ふとした瞬間。私の幸福を蚕食するみたいに、その考えは浮かんでくる。

「もしかしたら」「私なんかが」ってね。それは、呪いの言葉にも等しい。

もしかしたら彼にはもっといい人生があったんじゃないか。私なんかが彼を縛ってて良いものかって、今の幸せから目を背けたくなってしまう。

 

本当なら、その視線は私が受け取るべきものなのに。

 

痴漢されてたの見たよ。え、レイプされたって聞いたよ? パパ活だったんじゃないの?

 

学校の中ってのは、娯楽に飢えてる青少年の溜まり場だ。そこに、人の不幸が投げ込まれればどうなるか。それは、火を見るよりも明らかだった。

 

まるで、餌に群がる鯉の様。

 

そこに真実は必要ない。

 

きっとさ、自分たちが何を喰んでるのかさえも分かっていないんだ。

 

けどね、そんな鯉の群れも、彼が全部持ってちゃった。

 

教室ではいつも通り。周りにはお友達がいて、彼が一人になる時なんか滅多にないし。私はいっつも、それを輪の外から眺めてた。

 

私達が付き合い始めたって話が広がって、多少の遠慮は合ったのかもしれないけどね。それでも、前に出れない私の性格も手伝って、学校で私達が二人っきりになる時間なんか作れないくらいだった。

 

そんな彼が、私にだけ当たりが強い。

 

それも付き合い始めの一番楽しい時期なのに、ペットを連れて歩くみたいな態度は、誰の目にも止まっていた。

 

HRも終わって教室の空気が一気に緩む。そんな中に「真冬っ」てさ。ぶっきらぼうに私の名前を呼ぶもんだから、みんなが彼のことを見ていた。

周りの視線なんか気にしない。むしろ、見られているのを分かってやっている節もある。強引に私の手を取ると「いくぞ」って、引きずられそうになる私をそのままに、勝手に歩いて行っちゃうんだ。

 

そんな彼の変化は、私のパパ活疑惑よりもよっぽどスキャンダラスだったらしい。

その瞬間から、私の背中には同情の視線が集まり、あけすけな好奇の視線の全部は彼のものになっていた。

 

ほら…。私なんかがって、また考えてる。

私のために、何も彼が嫌われるものになる必要なんかない。これじゃ文字通り足を引っ張ってるだけだよ。

 

置いてかれないよう、早回しにしていた歩幅が落ちていく。

掴まれていた手は伸び切って、緩んでいた手の内から滑り落ちそうになっていた。

 

そんな時は決まって、ジャラリ…と、鎖を引くような音が聞こえるんだ。

 

手首を強く掴み直され、ぐいっと彼の傍まで引き戻される。

慌てた足がもつれそうになって、彼の背中にぶつかった。そんな私を一瞥した彼は、何も言わずにまたさっさと歩きだしてしまう。

 

ね? 犬の散歩みたいでしょ?

 

勝手にどっかに行こうとする犬を、リードを引いて引き戻す。

これはそういう躾だった。だって、私は彼のものだから。彼の事以外考える必要なんかないんだ。今はまだ、それが理解し切れていないだけ。ううん、理解する必要さえあったかどうか。

 

良いんだ。どうせさ、私の考える事なんてロクな事にはならないんだから。

脅されて、流されて、それは普段の生活だってそう。人の頼みを断れない、人の期待を裏切れない。割りを食う生き方だったと思うよ。優しさとか、親切心じゃないんだ。自分で決めきれないから、ただ従っているだけ。そうしていれば、少なくても誰と揉めることはない。

 

楽だな、これ。

 

正気に戻る度、彼の前から逃げ出そうとするくらいなら、もはや理性なんて邪魔なだけだった。

 

私はただ、彼の言う事を聞いていれば良いんだもん。

クラスメイトの頼み事。先生からの勝手な期待。理不尽な言葉を耳にいれる必要さえなかった。

 

だって私はもう、彼のものだから。陽斗くんが良いって言うなら良いよって、余計なことを考えそうになる心の隙間に、彼の存在を押し込んだ。

 

ふふっ…。

 

いるよね、こんな事言ってたら絶対にさ。

 

じゃあ、彼が死ねって言ったら、お前は死ねるのかって。

鬼の首でも取ったみたいに。それが何かの決め台詞みたいに、ドヤって言うんだ。

 

そんなの決まってるじゃん。

 

だって私の全部は、もう彼のものだから。

 

選択肢なんて何処にもないんだよ。

 

ー

 

「脱いでくれ」

 

二人でお家に帰った私を待っていたのは、彼の命令だった。

私の部屋に入った途端の出来事。あんまりな事に思考が固まり、指先から滑り落ちたカバンの音に、はっとさせられる。

 

「脱げって…そんなの。いま? ここで? ぜん、ぶ?」

 

その意図を確かめたくって、浮かんだ疑問の全部は、どれも首肯で返ってきた。

何で今なんだろう? 本当なら、毎日でも求められたりするのかなって少しだけ覚悟もしていた。だけど、1日、2日と小さな期待も裏切られ、少しの覚悟も薄れ始めていた今になってだ。

 

嫌だって訳じゃないよ。ただ、心の準備が出来ていなかっただけ。

 

学校帰りで、お風呂にだって入ってなくって。

すんっと、小さく鼻を鳴らす。露骨に汗臭くはないけれど、やっぱりお風呂上がりという訳にもいかない。自分じゃ気づかない程度には臭うだろうし、何より服の下。一日動いた後の下着の向こうが、どうなっているかなんて分からなかった。

 

「お前、さっき俺から逃げようとしたよな? これで何度目だ? 真冬は俺の彼女だって、一緒にいて良いんだって、何回も言ってるのに」

「っ! ちがっ…それは、逃げたかった訳じゃなくって…。だって、急に怖くなって…だから、その…。ごめん、ごめんなさい」

「ごめんは良いよ。真冬が本当に俺から離れたいって言うなら…」

「ちがっ! そんな事無いっ。絶対にないもん…ないけど、でも…考えちゃって…。陽斗くん、優しいから…私、邪魔してないかなって…」

 

逃げられない。離れたい訳が無い。

 

でもね。遠慮とか、罪悪感とか、常識的な言葉が私の足を引っ張ってくるんだ。

彼はとっくに腹を括ってくれたのに。多少の倫理観を無視してでも、私を自分のものにするって決めてくれたのに。私はまだ、その覚悟が持ててない。

 

可笑しいよね。今まで散々流されて生きてきたのにさ。

彼の言葉にだけは素直になり切れない。それじゃまるで反抗期の子供みたいだ。

彼に甘えて、今更いない父親の代わりを求めているだけにも思う。

 

「真冬」

「はい…」

「真冬は誰のもの?」

「陽斗くんの…です」

「じゃあ、君の体は?」

「それも…陽斗くんの…」

「真冬…」

 

続いた沈黙は、言外に「出来るよね?」と、私を威圧するものだった。

言うことを聞かない犬をしつけるみたいに、彼の視線が鋭くなる。

 

「ぁっ…ぅ、ん…」

 

「でも 」って、言おうとして何も言えなくなった。

「だって」って、思っても何も出来やしない。

 

彼を見つめ返して、視線を逸らす。俯いて、握った拳はだけど、すぐに指先から力を失くしていった。

 

これじゃ飼い主が変わっただけだ。あの人の命令を聞いてた時と何も変わってない。だからだろう。拭いきれない羞恥心を引きずりながらも、慣れた指先が胸元のリボンを解いていった。

 

1つ、2つと、ブラウスのボタンが外れ、白い布地が肩から滑り落ちる。

 

晒した素肌に、彼の視線が突き刺さった。

思わず胸を隠し、彼の方を伺ってみるも、先を促すような視線が返ってくるだけ。

 

「ぁ…はぁ…っ」

 

羞恥と、確かな高揚を吐き出すように息を漏らすと、少しだけ胸が軽くなった。

息を呑んで、意を決して、ブラのホックを指で弾く。緩んだ肩紐から腕を引き抜き、役目を終えたブラをベッドの隅へと追いやった。

 

「あの、さ? せめて、ね? お風呂にくらい…先に…」

「ダメだ。ほら、残りも脱いで。スカートも、パンツもだ。それとも、俺に脱がされたいの?」

「ぅっ…いいよ。自分で、脱ぐ、から。陽斗くんは、その、そこで見てて」

 

見られてる。

 

胸の内側を叩いたのは羞恥心なんかじゃ決して無い。

 

その意識に肌が熱くなっていくのを感じていた。

これから何をされるかだなんて想像するまでもない。頭で考えるよりも先に、体の方がよく知っている。

 

右足と、左足。震える指先を、ニーソックスの間に差し込み、ふくらはぎから引き抜いた。留め金の外れたスカートが、ふわりと広がって、足元へと落ちていく。

 

後に残ったのは、地味な柄のパンツと羞恥心の欠片だけ。

そこにも手を掛けた私は、薄い布地の穴から1つずつ、つま先を潜らせていった。

 

「…全部、脱いだよ?」

 

生まれたままの私の姿は、彼にはどう見えているんだろう?

 

ドキドキと、心臓の音が止まらない。かぁっと、肌を染め上げたのは羞恥心なんかじゃなくて、行為への期待に下腹が疼き出したからだ。

 

「うん。ちゃんと綺麗だよ」

「あ、うん…ありが、とう」

 

望んでいた言葉に、だけど素直には喜べない。

綺麗だと。私の裸を見て、そういった人は他にもいたんだ。

 

彼に綺麗だと言って貰う資格なんて私にあるの?

 

だって、この体の何処にも彼のモノじゃない精液が掛かってて、奇麗な所なんて何処にも残ってない。その事実を思い出すと、下腹に抱えていた期待の熱が、にわかに濁り出してしまう。

 

「真冬。俺を見ろ。余計なことは考えなくて良い、変なことも思い出すな」

「あ…」

 

どれだけ酷い顔をしてたんだろう?

 

心配そうに覗き込んでくる彼の手が頬に添えられ、促されるままに軽く顎を持ち上げられる。視線があったのも束の間。近づいてきた唇に吐息を塞がれると、私はそのままベッドの上に押し倒された。

 

「っ…ぁ、の。くすぐったい…ん、だけど?」

 

陽斗くんとキスをして、それからどうされるのかなって期待してた。

 

また、初めて抱かれたあの日のように、がっつかれるんじゃないかって。

そういうのも良いのかな。受け止めるだけで精一杯。乱暴に求められている内は、何も考えなくて良い。嬉しくって、気持ちが良くなって、ただ幸せで…。

 

でも…。

 

そういう時は決まって、酷い罪悪感に襲われる。何処の誰とも知らない男の人に犯されて、快感に溺れるしか身を守る術がなかった自分と、今が重なってしまう。

しょうがなかったんだって、行為の後、正気に戻った自分に何度言い聞かせても、自分の影を振り払うなんて出来なかった。

 

お姫様の手の甲に口づけをする騎士の様に、彼は私の手を取った。

 

騎士の真似事をするくらいなら、もっと早く助けてくれればよかったのに。

ふと浮かんでしまった暗い感情。決して口には出来ない身勝手な願望を、慌てて振り払う。

 

近づいてきた彼の唇は、手の甲に触れることはなく、伸びた舌先が舐めたのは私の指先だった。

 

何をするんだろう?

 

何のつもりなんだろう?

 

ぺろっ、ぺろっ…。

 

人差し指と中指と、私の指の一本一本に彼の舌が触れていった。

 

くすぐったいし。それに、どうしたら良いかが分からない。

おっぱいとか、そういう所を舐められるなら、まだ覚えもあるんだけど。

ただ、指を舐められる。その行為の意図が分からず困惑を隠せなかった。

 

「ぁっ…♥」

 

私の右手。そこにある指を一通り舐め終わると、開いた彼の唇の中へと人差し指が吸い込まれる。

 

ゾクッとした。

 

彼の口の中は、温かくて、ヌメっとしていて。生々しい肉の感触に包まれた指先から、なんとも言えない興奮が立ち上ってくる。

 

なに? なんなの? 本当に何がしたいんだろう?

 

堪らず手を引こうとして、けれど掴まれた右手は動かせない。

人差し指が丹念にしゃぶられ続けている間中、どうする事も出来ずに、右往左往と視線が泳いでしまう。

 

なにか、せめて、何か言って欲しい。

 

うすうすと、これも愛撫の一種なのだと理解はする。

性感帯とは全く関係ない所なのに、指をずっと舐められていると、変な気分にだってなるよ。胸のドキドキは当然としても、なんだかモヤモヤとして落ち着かない。

 

いつもの被虐的な欲求とは違う、まるで正反対の感情だった。彼に奉仕をさせちゃっているような、嗜虐的な興奮にどう反応していいかが分からない。

 

男の子もこんな気分になるんだろうか?

 

ううん、ちがうよね。だって指先は、おちんちんとは違うもの。

神経が集まっている場所って言えば、似たようなものかもしれないけど、その用途は全くもって別物だ。

 

指先に纏わりつく彼の舌。その表面は、思ったよりもザラザラとしていた。

厚みのある肉感に包まれ、とろりとした唾液が絡んでくる。じゅるり…じゅるり…。響く水音が、なんとも蠱惑的に聞こえて、ただ、くすぐったいだけの筈なのに、興奮の音色が胸に響く。

 

ちゅぽっと、ようやく抜け出た指先は、すっかり彼の唾液に塗れてしまっていた。

 

「はぁっ…はぁっ…。なに、ほんとに、どうしたの?」

「どうって? 真冬を綺麗にしてやろうかなってだけ」

「だけって…。別に…そんな、汚いし、私なんか…。エッチしたいなら、いいよ? 陽斗くんがしたいっていうなら、私は…いつでも…」

 

分からない。そんなのどうしてって思ってしまう。その疑問に答えが出せないまま、今度は中指を口に含まれると、また丹念な愛撫が再開された。

 

一本、一本、丁寧に。小指の先から、親指の根元まで。彼の愛撫が終わる頃には、指どころか、流れた唾液で私の右手はベトベトになってしまっていた。

 

やっと終わってくれた。

 

区切りをつけるように、ほぅっと、息を吐いた私を待っていたのは、次なる愛撫の刺激だった。

 

指先から手の甲へ。手の甲を舐め上げながら、肘へと昇ってくる。

彼の舌で肌を舐められる。恥ずかしいのと、くすぐったいの、それから少しの快感に、次第と肌が色めき立っていった。

 

まるで、つり革でも掴まされているみたい。

 

二の腕まで舐められた後。彼は私の腕を持ち上げると、大きく開いた脇にまで舌を這わせてくる。

 

流石にそれはくすぐったい。

 

慌てて手を下ろそうとはしても、彼に抑えられた腕は動かせず、逃げるように捩った体は、簡単に引き寄せられてしまう。

 

それに、そんな所…。

 

脇の下とかさ。そんなの、汗とかなにやらで、絶対汚れてて。お風呂にも入らせて貰ってないのに。

 

「やめっ…んっ、はる、と、くん…ぁっ♥ そんなところ、ほんとに汚いって、わたし…汗も、ふいてなっ…ひっ、くっ…ゃぁっ♥」

 

くすぐったいのを我慢して、お願いをして見ても、彼は聞いてくれなかった。

それどころか、私がお願いをする程に、彼の愛撫はより丹念に、もっと丁寧になって、私の脇から汚れを落としていく。

 

もうさ、すっかり綺麗になっちゃってるんじゃないかな。

 

舐められ続けた脇の下は、少しヒリヒリするくらい。彼の唾液に塗れている事を除けば、お風呂上がりよりもピカピカになっている筈だ。

 

「はぁっ、はっ、あっ、やっ…う、んんぅぅっ、ふぁっ、あ、んくっ♥」

 

お腹がヒクヒクする。くすぐったすぎて息が詰まる。

もう、何も出来ないよ。やめてって、言っても止めてくれないしさ。

言えば言うほど、愛撫が粘度を増すことに気づいた後は、ただ口を噤んで彼が飽きるのを待つしか出来ない。

 

ようやく脇への愛撫が終わってくれたと思ったら、今度は首筋に吸い付かれた。

薄い肌の上に肉感的な生暖かさが広がると、ベロリと首筋を逆撫でるように舐め上げられる。

 

ゾクっとした。

 

しつこいくらいの愛撫に、私の体はすっかりその気になってしまっていたんだ。

首筋に歯を立てられたって、痛みが走るどころか、胸の鼓動は恋心にも似た音を響かせた。

 

啄まれ、時々甘噛を繰り返しながら、首筋を舐めていた舌が降りてくる。

このまま進んできたらどうなるのか。彼の舌先が私の何処に触れるのか。

考えないではいられずに、考えている間にも、鎖骨の窪みを通り過ぎていく舌先が、胸の膨らみにたどり着くのを、今か今かと待ちわびてしまっていた。

 

つぅっと、浮かんだ汗が胸の谷間に流れていき、その後を追いかけるように彼の舌先が谷間に落ちる。舌先の、肉感的な生暖かい刺激。ペロッと汗を舐めると同時に肌がくすぐられた。

 

彼の吐息が胸元に吹き掛かる。

 

これからまた愛撫されちゃうのかな?

 

指先にしたみたいに、脇を綺麗にされたみたいに、首筋に悪戯をされたみたいにさ。おっぱいと、乳首にまで。そんなにされたらどうなっちゃうんだろう? 指先と、脇だけでも、もうヘロヘロにされちゃってるのに。首筋を舐められた時にはもう、私の体は発情しちゃってた。

 

そんな状態で、性感帯を刺激されたらどうなるのか。

ゴクリと息を飲み込みながらも、高鳴った私の鼓動は、きっと彼の舌にも届いているんだろう。

 

ドキドキと、流行る心臓の真上。

 

彼の舌先が、胸の谷間、膨らみの麓に触れている。

 

ゆっくり、ゆっくりとだ。膨らみの輪郭を確かめるように、濡れた舌が肌の上を這っていく。唾液を塗り拡げながら円を描き、生暖かい肉感が、少しずつでも上へと昇ってきた。

 

もう少し、あと少し。彼の舌が、膨らみ始めた乳首の根本に届いた瞬間。

 

ゾクッとした。

 

張り詰めた快感が乳首を震わせる。

 

指と、脇と、首筋と。それだけでも気持ちは良かったけれど、その快感にはまだ、くすぐったさが残っていた。けれど、触れられた性感帯への刺激に、膨らみ始めたばかりの乳首がピンっと張り詰め、私に女を見せつける。

 

甘く痺れてしまうような、確かな快感が胸を打った。

思わず背中を反らし「あっ♥」と、濡れた声が漏れてしまう。

 

舌先で乳首の頭を転がされ、押し付けられた舌の腹に、膨らんだ乳首が押しつぶされる。そのまま吸われて、吸い上げられて。興奮を覚えた私の体が、快感を生み出すのに時間なんて掛からなかった。

 

戯れるような愛撫から、女の子として愛され始めると、頭がだんだんと薄桃に染まっていく。

 

もう、すでに馴染んでしまった感覚だ。

 

気持ち良くなって、頭がフワフワとしてきて、何も考えられなく、ううん考えたくなくなって。男の人がくれる快感に胸が詰まる。

 

「はぁっ♥ あっ、やっ、おっぱい…乳首、そんな、すっちゃ…私、あぁ♥」

 

薄桃に浮かんだ頭の中に、紅が差し込んだ。

ぼんやりとしていた快感が鋭さを増し、甘い痺れがゾクゾクと体を震わせてくる。

パンっと、弾けるような感覚。それが、絶頂の合図になるはずだった。頭が真っ白になって、快感に流されて…。

 

「ぇ…」

 

けれど、私が望んだ刺激が貰えないどころか、彼の唇から乳首が開放されると同時に、暴発寸前だった快感も萎んでいってしまう。

 

なんで? なんで? なんで?

 

私、乳首、こんなになってて。今にもイッちゃいそうだったのに、どうしてそこでやめちゃうの?

 

頭の中に疑問を浮かべても答えなんかでない。

彼の気まぐれか、ただの意地悪だと言われてしまえばそれまでだ。

 

ピンっと上向いた乳首が、唾液に塗れてヌラリと光る。

今すぐにもイキたそうに、ビクビク震える最中。彼の舌先は、私のお腹を舐めながら、おヘソの穴にまで入り込んできた。

 

「んっ♥」

 

ゾクっとした。

 

ツンっとした刺激がお腹の奥に響く。下腹に熱い何かが湧き上がると「あぁ…」と、思わず期待の声が漏れてしまう。

 

絶頂の間際だった。それもある。そうじゃなきゃ、おヘソの穴を舐められただけで感じるわけがない。でもさ、おっぱいがダメならそこでもいい。

ううん、むしろそっちの方が絶対に気持ちがいい。

 

だって、そこには、その真下には、私の大事な所があったから。

 

直接刺激されなくたって分かるの。おヘソの穴を引っ掻いた時のような鋭い刺激に子宮が揺れると、重たく沈んでいきそうな快感がお腹の奥から滲んでくる。

 

「ぁぁっ…だ、だめ。おヘソ…グリグリ、しちゃ、あ、変、変になるからぁ…♥」

 

言葉とは裏腹に、私の声音は正直だ。

 

胸を浮かれさせるような乳首への刺激。宙ぶらりんだった快感が、お腹の奥へと沈んでいく。深く、重たく、繋がって、じわっと濡れた肌の感触が、無防備に晒されていた恥丘を思い出させた。

 

ゾクッとした。

 

おヘソの穴から這い出た舌先は、鼠径部の溝をたどって降りてくる。

その舌が向かう先を想像しただけで、下腹に生まれた快感が熱を増していった。

太ももの内側。割れ目の真横を舐められて、溢れた愛液の一雫が彼の舌に舐め取られる。

 

もう少しで、あと少しで、おまんこ、舐めて貰える。

 

期待に胸を躍らせて、ぎゅっと体を固くした私には、だけど、何時までたってもその時はやってこない。それどころか、刺激が割れ目から遠のいていくと、私の足を持ち上げた彼は、ふくらはぎを舐めながら、つま先へと舌先を近づけていった。

 

なんで? どうして?

 

疑問は快感を霧散させ、一向に満たされない情欲に不満が募る。

多分、私は初めて、彼に恨めしさの様な感情を抱いていた。

 

もう準備、出来てるのに。

 

おちんちんだって、挿れて欲しいのに。

気持ちいいけど、気持ちよくなれないの。そんな事されたって、くすぐったいだけだ。何時までたっても満たされず、飢餓感さえ感じ始め私の心は荒んでいった。

 

足の指を舐めて、何がそんなに楽しいの?

綺麗にするってさ、それじゃ私、やっぱり汚れてるってことだよね?

 

私の足の指。その全部を彼が舐め終わる頃には、私の体は唾液でベトベトだった。

ううん、右手の指や、最初に舐められていた脇の下なんかは、もう乾き始めているくらいだ。

 

丁寧に、丹念に、全身を舐められちゃった。

 

なのに、おまんこだけは避けられてさ。それは、彼からしたら当然だろうけど。だから、余計に恨めしさが顔にでる。溢れた涙が頬からこぼれ、悪い方へ、悪い方へと、思考が流されていくのを止められない。

 

だって、それが楽だったから。

 

彼を信じる私を信じられない。自分が悪いんだって、思い込むほうがずっと楽。

口に出すつもりなんかなかった。でも、ふとした拍子につぶやいてしまった恨み言が、つらつらと彼へと向かってしまう。

 

「そう、だよね…。ひくっ、うっ、どこのだれかも分からない人のだもん。あんな人に射精されたとこなんて、陽斗くんだって、舐めたくないよね…。分かる、わかってるよ」

 

分かってる。分かってる。その言葉は、彼にではなく自分を説得するためのものだ。

 

「ううん、いいの。セフレでもさ、オナホでもさ。あ、なんだか最近の私犬みたいだったもんね。手、引っ張られて、後ろからついて回ってさ…。うん、そんなでもいいよ。貴方の、陽斗くんの傍にいられるなら、私…なんだって、するって言ったもんね。分かってる、分かってるから、ちょっと…まって…すぐ、さ。落ち着くから…」

 

はやく、はやく。こんな重たい女じゃ、陽斗くんだって背負いきれないよ。

なのに、なのに。落ち着こうとすればするほど、押さえつけた心は癇癪を起こした子供みたいに暴れ出してしまう。

 

気分を落ち着けようと繰り返す深呼吸も、ほとんど過呼吸に近かった。

軽い恐慌状態だ。「はっ、はっ、はっ」と、興奮した犬のような呼吸を繰り返しては、酸欠へと近づく自分を止められない。

 

「はぁ…。真冬ってさ、思い込み激しいよな」

「あ、あははっ…そう、かもね。うん、そうなんだよ、ごめん…ね。めんどくさい女の子でごめん…」

 

焦る一方の私と違って、彼はのんびりとしたものだった。

おかげで、少しは落ち着きを取り戻せはしたけれど、それは何の解決にもなりはしない。

 

呆れられただろうか。

 

その声音からは、これから女の子とえっちしようって、獰猛な男性の気配は見られない。そんな彼の態度が私をより一層と曇らせる。

 

彼に抱いても貰えないんじゃ、私が一緒にいる意味ってなんだろう?

ううん、それも少し違っていて。彼に愛してもらえない私なんかが、生きてる意味なんて。

 

結局は自己愛だ。

 

自己肯定感を彼に委ねているだけ。

 

被害者でいるのは楽でいい。自分が可愛いだけのナルシスト。

そんな最低な私がさ、彼に愛して貰おうだなんて。うん、そうだよね。そうなんだよ。

 

あぁ、考えが悪い方にばっかり転がっていく。

今さっき「思い込みが激しい」って言わればっかりなのにな。彼は私に、そんな事一言だって言ってない。

 

ごめんなさい。ごめんなさい。こんな、めんどくさい女の子でごめんなさい。

 

涙がドンドンと溢れてくる。謝罪の言葉を念仏の様に唱えながら、今にも彼に捨てられるんじゃないかって、子犬のように震えてた。

 

そんな私の様子に、彼は驚く程 無関心だった。

 

私の自虐に付き合って、落ちる所まで落ちてくれたら良いのに。

そんな愛し方もきっとあっただろうけど、そうはならず、泥沼に嵌りかけた私の心の方が、ぐいと引き上げられる。

 

何をするんだろう? なんて考えるまでもない。

 

そこにあるのは、私の おまんこだ。割れ目から滲んだ愛液は、まるで泣いているみたい。彼に愛してもらえなかったと、物欲しそうにヒクついても見えた。

 

「へ、あ、やだ…そんな所、だめっ。汚いって…良いよっ、良いんだって、無理しなくってもっ」

「無理じゃない。真冬に汚い所も無い。体中舐め回してやったろ? ほら、ここで最後。足開いて。落ち着けとは言わないけど、俺のことは信じてくれ。真冬はちゃんと綺麗だよ。汚いって思うなら、今から綺麗にしてやるから」

「ぁ、ぅっ…。綺麗にって、そんなの…」

 

嬉しい。そう思っただけで、反射的に閉じようとしていた足から力が抜けた。

おまんこを隠そうとした手は、あっさりと退かされ、羞恥心からくる抵抗にも身が入らない。

 

「別にさ。汚いから避けてたんじゃないよ。少し焦らしてやろうってだけだったのに、急に泣き出すからちょっとビビったぞ」

「なにそれ…意地悪してたってこと?」

「まぁ…そうとも言えるかもな」

「そうとしか言えないじゃん。私…やっぱり、ダメなのかなって、悲しくなって…それで」

「ストップ。良いからお前は、もう俺の事だけ考えてろ。気持ち良くなってるだけで良い、分かったな?」

「あ、うん…」

 

強い口調で促された私は、日頃の行いも手伝って頷くしか出来なかった。

 

なんか、無性に恥ずかしくなる。

 

勝手に悪い方に考えて、勝手に泣きわめいちゃってさ。

でも、意地悪する陽斗くんだって悪くない? ううん、ちがう。ちょっと おあずけされただけで、躾の足りてない犬みたいに騒いでしまった私の方が絶対おかしい。おかしいのは分かるけど、なにか納得がいかないのは、きっと心に残る幼心のせいだったんだろう。

 

だって、しょうがないじゃないって、言い訳ならいくらもあった。

 

自分に自信なんか持てないし。陽斗くんに負担を掛けてるばっかりで。

ああ、ダメだ。また悪い方にばっかり考えてる。陽斗くんのことだけ、彼のことだけ考えてないと、また叱られちゃう。

 

優しくって、勇気があって、かっこよくって、私の事とっても大切にしてくれる。私の一番大好きな人。そんな彼に、全身を舐め回されてさ。恥ずかしかったけど、くすぐったくって、すっごく恥ずかしかったけど。嬉しくないわけがなかったよね。

 

指先に絡みつく肉厚的な舌の感触。丹念に舐められちゃった脇の下。首筋を甘噛みされて、乳首にキスをされて、おヘソの穴の中にまで綺麗にされちゃった。

 

思い返した温もりが、快感の熱となってぶり返す。

 

思い出せるだけの全部を心の隙間に押し込んでいる間にも、すぐ吐息の掛かる距離へと彼の顔が近づいてきていた。

 

どうしよう?

 

最後にトイレに入ったとき、ちゃんと綺麗にしてただろうか?

すんっと、空気が揺れる度に、不安になってしょうがない。

 

汚い所なんかないって言われてもさ。やっぱり、そこを気にするなってのは無理だよ。私にだって見栄はある。陽斗くんに少しでもよく見て貰いたい。

舐めるなっては言わないけど。せめて、お風呂には入らせて欲しかった。

 

「あっ…♥」

 

そんな私の葛藤は、彼の舌が割れ目をなぞった瞬間、快感へと変わっていた。

 

ゾクっとする。

 

おまんこが気持ちいい。

 

下腹部に孕んだ快楽の熱が膨れ上がり、その雫が割れ目から溢れでる。

 

陰唇を開いた舌先が、そっと中へと入り込んできた。

内側の浅い所をペロペロと。そんな、大した刺激じゃないはずなのに、心臓の鼓動が鳴り止まない。

 

「はぁぁっ♥ はっ、あっ、ひゃっ、んっ、んくっ、ぃぃっ♥」

 

気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。

 

あんまりにも両極端だ。さっきまであんなに悲しかったのに、今はこんなにも幸せで。だんだんと、陽斗くんの事しか考えらなくなっていった。彼の与えてくれる快感が欲しくって、もっと、もっとと、それしか思いつかない。

 

いやらしいんだ。

 

本当は誰でもいいんじゃないか。

 

こんなの、陽斗くんにだけって思いたいのに、そうじゃない自分の姿と、今の自分の姿が重なって、心がゴチャゴチャになっていく。

 

「あ、だめっ。すっちゃっ、おとっ、おと、でてて…んっ、ふぁっ♥」

 

口内から唾液を啜られた時のように、愛液が吸い上げられた。

おまんこが乾いてくると、舌先で刺激され。潤を取り戻した おまんこから愛液がまた啜られる。

 

じゅるり、じゅるり…。

 

粘ついた水音が絡みつく。ただ、キスをされ、舐められて、吸われているだけなのに。おまんこから快感が引きずり出され、腰が勝手に踊ってしまう。

 

「はる、はるとくんっ。もっと、もっと…そこだけじゃ、やだ…もう、意地悪しないで。わたし、もっと、陽斗くんのこと、陽斗くんに、気持ちよくしてほし、ぃっ」

 

もう、やだ。

 

嫌なことなんて、考えたくない。彼の事だけでいい、陽斗くんの事だけ私に教えて欲しい。

 

切なくて、切なくて、堪らないんだ。

 

充血したクリトリスが、今か、今かと、その瞬間を待ち望んでいた。

彼に触れて欲しい。舌で舐められて、転がされたい。唇で啄まれて、吸い付かれて、押しつぶされたクリトリスの頭をくすぐられたら、絶対に気持ちがいいのが分かる。

 

「ひぅっ…♥」

 

だってほら、言葉も出せない。

 

息を呑んで、体を震わせ、全身を貫く快感に背筋を反らす。反射的に太ももを閉じて、彼の頭を押さえつけた。嫌な訳が無い、気持ちが良くって、気持ちが良すぎて、自分でもどうして良いか分からなかっただけ。

 

彼の唇が、陰唇と深く繋がって、舌が更に奥へと入り込んできた。

 

中をくすぐられると、ヘコヘコと腰が踊っちゃう。べろっと、舌が抜け出た拍子にクリトリスを舐めあげられた。目の前がチカチカする。もう何度も軽い絶頂を迎えてた。すぐにもやってくる大きな快感の波に溺れてしまいそう。

 

クリトリス、啄まれて、唇に潰されちゃった。

 

舌先で皮を剥かれて、むき出しになった表面に、彼の舌が押し付けられた瞬間、快感の怒涛に意識が浚われる。

 

「ぃぃぃぃぃぃ…くぅっ!? あ、は、あ、あ、あ、あ、ぃ、ぁぁぁっ、あっ♥」

 

頭が真っ白になる。全身がビリビリと痺れて、腰が浮き上がってしまう。

びゅぅっと、びゅぅって。おまんこから、何かが吹き出してるのに気づいてはいても、それを止めるだけの力が入らない。

 

それどころか、下腹に力を入れて、快感の高波を望んで送り出していた。

おまんこから勢いよく何かを吹き出させるのが気持ちよくって仕方がない。

それはまるで、男の子の射精のような? そんな訳はないけれど、身に覚えのある感覚に思い至ると、快感とは別の熱に頬が熱くなる。

 

おもらし、しちゃった?

 

気持ちよくって?

 

でも、粗相をしたあとの独特の匂いはなく、だからって、太ももを濡らす感触は、愛液の様に粘ついてもいなかった。

 

まぁ、でも…どうでもいいか…。

 

なんか、よごしちゃったけど、それも後で良い。

 

絶頂の後。心地の良い脱力感に包まれていると、全てがどうでも良くなっていた。

気持ちが良かった。さっきまでの不安も何もかも忘れた代わりに、彼のことで胸が一杯になる。

 

もっと愛して欲しい。彼にも気持ち良くなってもらいたい。

それになにより、私、まだ、エッチして貰ってない。今更、愛撫だけじゃ満足できないんだ。

 

「はると…くん。おねがい…」

「ああ、分かってる。俺も、我慢できないし。もうちょっと頑張ってくれ」

「うん…」

 

頷くしか出来ない自分がもどかしい。マグロ女って思われるのは嫌だな。

 

頭の中ではさ。もっとこう、なにかサービスしてあげたかったんだよ?

もっとエッチな言葉で誘ってみたり。自分から体を開いて、見せつけたりさ。

でも、絶頂の直後で頭はぼんやりとしたまま、体だって上手くは動いてくれない。

 

ガチャガチャと、慌てた様子で服を脱いでいく彼の姿を見つめながら、真新しい快感の気配に、ゾクッとお腹の奥が震えてしまった。

 

すごいな、おちんちん、あんなにしちゃってる。

 

数日ぶりに見た彼の おちんちんは、記憶の中に残っているモノよりも大きく見えた。

 

もう、射精寸前なんだろうか?

 

ビクビクと震えた おちんちんの先端。糸を引き、雫を作る先走りの汁に視線が吸い寄せられる。早く、彼にも気持ち良くなって欲しいな。私を満足させるために、あんなに我慢してくれてたんだもん。後は、好きに私の事を使ってくれたら良い。

ううん、使って欲しいんだ。献身的な感情なんて建前で、私がただ、彼に求められる自分を自覚したいだけ。

 

「あっ…」

 

力、強い。

腰、抱えられちゃった。

 

おちんちんの先っぽが、おまんこの入口に引っかかってる。

 

熱のこもった彼の視線に、小さく頷きを返す。

沈み込んでくる亀頭に割れ目が開かれ、未だ慣れない性の初動にゴクっと息を飲み込んだ。

 

軽い抵抗感と、忌避感と。

 

今にも逃げ出しそうになる心臓を抑えるように、胸の前で手を握りながら、自分の中へと挿ってくる肉棒へと視線が移る。

 

ゾクッとした。

 

勃起した おちんちんにお腹の奥まで満たされ、力強く突き上げられた瞬間に、自分が犯されている事を実感する。

 

「あ、ぁぁぁっ、ぅっ! はい、ちゃっ…はるとくんの、おち、んっっ♥」

 

言ってる暇なんかなかった。奥まで入ってきた おちんちんが、一度後ろに引かれると、勢いをつけて戻って来る。

 

繰り返し、繰り返し、何度も、何度でも。

 

1回目よりも強く、2回目よりも深くに。決して激しくはないんだ。

ぐっと奥まで突き挿れられて、グリグリと、先端で刺激される。それが終わると、またゆっくり腰が戻っていって、抜けそうになった所でズンッと、お腹の奥を突き上げられた。

 

驚きと、混乱に、快感が掻き回され目眩がするみたいに視界が回る。

 

ベッドのシーツを手繰り寄せ、足の指をグーとパーに開いてもまだ足りない。

背中を仰け反らせ、浮き上がった体から快感が逃がそうとしても、がっちりと捕まえられた腰は、彼のおちんちんから逃げられなかった。

 

また、ゆっくりと、彼の腰が引かれていく。

 

次の瞬間。耐えるように縮こまり、閉じた膣壁を引き剥がしながら、奥まで挿ってきた おちんちんに突き上げられた。

 

「あっ、はっ!? ひっ、ぅぅっぁっ♥ ふぅ、はぁ、あ、いっ♥」

 

言葉も忘れてた。喋る余裕なんて何処にもない。

おちんちんに奥を突き上げられた瞬間。絶頂したかのように膣が震え上がった。

それが落ち着く間もなく、続けざまに犯される。敏感になっていた体は、いつも以上に快感に弱くなってて、彼のする何もかもが、私を絶頂へと追い詰めていった。

 

「あ、っ…おなか、ふわふわ、して…わた、わたし…あぁぁっ♥」

 

もう、気持ち良いって、どんなだったかな。

 

ただ、熱かった。

 

下腹に抱えた快感の熱が、ひたすらに疼く。

 

いつもそれが、絶頂の前触れだった。

 

全身に巡っていた快感の熱が、お腹に集まっていくみたい。

ズンッと快感が重たく響き、目の前がチカチカした。指先の震えが止まらない。喉は渇いて、舌先がヒリつき始める。

 

また、彼のおちんちんにお腹の奥を突き上げられた。

とうとう子宮口にまで届いた先端から、ビクビクと今にも射精しそうなほどの震えが伝わってくる。

 

でも、まだだ。

 

私は絶頂にはイケなかったし、彼も射精はしてくれない。

 

子宮口に先端が押し付けられたまま、快感の波が緩んでいく。

絶頂の間際、縮こまっていた体から力が抜け、途切れ途切れの呼吸が落ち着きを取り戻したころ、また、ゆっくりとおちんちんが戻っていってしまう。

 

それの繰り返し。

 

イキたくてもイケなかった。絶頂に達するその寸前で、快感が、おちんちんが、私から遠のいていってしまう。もっと、激しく、乱暴に…。いや、しては、してはくれているんだけど。お互いに、絶頂に達せない一線で、彼は手を引いてしまう。

 

「な、んで?」

 

私が言えたのは、それだけだった。

見上げる彼の顔は、唇を噛み切りそうなほど辛そうで、思わず息を飲む。

 

「ん? いじ、わるじゃ、ねーぞ? お前の体で、イケないとかそんなんじゃないからな? もっと、お前のさ。真冬の、そういう顔みたくって、俺の事、もっと感じて欲しかったから…っ。この間は、なんか、訳わかんないまま、おわっちゃったろ? だから、なっ!」

 

また、おちんちんに突き上げられた。

 

絶頂に達しそうなほどの刺激は、だけど、あと一歩で届かない。

 

「はぁっ、ゃ、それ、やだぁ。やっぱり、それ、意地悪…だよ。だって、私っ、イキそうで、もう我慢、むりっ。おねだり、したらいいの? わたし、陽斗くんのだもんね? 陽斗くんの精液、真冬にちょうだいって、いったら出してくれるの?」

 

その気持ちは嬉しい。嬉しくって涙も溢れてきちゃう。けど、その涙の源泉は、喜びの感情なんかじゃなかった。男を誘う女の情欲。下腹に抱えた愛液の一部が、涙に変わって流れてきているようなものだ。

 

「だってっ! 陽斗くん、いったじゃん。俺のことだけ考えてろってっ。だったらっ! 陽斗くんのっ、陽斗くんの事以外、分からなくしてよっ。嫌なこと、考えらなくなるくらい。真冬が、嫌な子にならないようにさっ。ね? ね? いいでしょ? 私の、真冬のは全部っ、陽斗くんのだからっ、だからっ!」

 

ギリッと、歯を食いしばる音がする。

抱えられていた腰ごと、彼の方へと引き寄せられた。

 

ズンッと快感の音色がお腹の奥で響き、泡立った快感が子宮を震わせる。

勃起を強くした おちんちんが子宮口を突き上げ、快感にうねる膣内を掻き回すように腰が引かれていった。

 

ぱつんっ、ぱつんっ…。

 

肌と肌とがぶつかる音がする。潰れた様な水音に囃し立てられながら、貪るような行為がドンドンと熱を上げていく。

 

快感の泡が、膨らんで、膨らんで。

快感の泡が、弾けて、弾けて。

 

足の指を、ぎゅぅっと閉じた。私の腰を掴まえる彼に手を重ねて、その動きに合わせて腰を踊らせる。快感に背筋が伸びて、射精を促すように膣壁が震え上がるのを止められない。止めたくもない。このまま彼ので一杯になりたくって、むしろ自分から腰を落としにいってしまう。

 

「あっ♥ あっ♥ もう、いっちゃ、もうきてて…はると、くんっ、はるとくんもっ、出してっ、一緒、いっしょがいいっ…からっ、あぁぁっ♥」

 

あれ、でも、今日って…大丈夫な日だったかな?

 

絶頂の間際。今更、そんな事を考えても遅かった。

 

「真冬っ、出す、からなっ! このまま…お前に、ちゃんと、全部っ!」

「うんっ♥ うんっ♥ いい、よっ。陽斗くん、陽斗くん…んあぁぁっ♥」

 

彼だって、一度始まった射精を止めるなんて出来ないだろうし、注がれる精液の一滴だって逃さないようにと、おまんこが彼のモノにしがみついて離れない。

 

「っ、ぁぁぁぁっ♥ ぁぁぁぁぁっ…♥」

 

心と体が満たされていく。

 

ドクドクと私の中で脈打つおちんちん。熱い精液が注がれている間中、私は言葉にもならない絶叫を上げていた。「真冬、真冬」って、私を呼んでくれる声が、辛うじて私を現実に繋ぎ止めている。

 

気をやってしまいそうな程の快感の中。ジャラリと、何処かから鎖のなる音が聞こえていた。

 

また、彼にしつけられちゃった。お前は俺のものだって、こんなに出されたらきっとさ、彼の匂い取れなくなっちゃうんじゃないかな。

 

射精と、絶頂と。お互いの快感がぶつかり合ってるみたい。

射精の間も、おちんちんが私の中で動いてた。また、腰が引かれていって、おちんちんが打ち付けられるその間際。

 

ズルリ…。

 

勢い余ったのか、抜け出した拍子におちんちんが大きく跳ねた。

 

ドクンっ…。最後に強く脈動した おちんちんの先から弾けた精液が、顔に、おっぱいに、お腹に、太ももに、汗ばんだ肌の上に、次々と降り掛かってくる。

 

ベタベタと、ポタポタと。

 

粉雪とは言い難い、白く濁った精液は、快感の熱で染まった肌よりも熱かった。

けれど、白濁液が雪解けのように私の肌へ滲んでいく頃には、行為の熱が少しずつと冷えていく。

 

「ほら…これで。ちゃんと、綺麗になったろ?」

「そう、かな…そうだと、良いな…」

「そうだよ」

「そっか…そう、なんだ…。陽斗くんがそういうなら、うん、よかった…」

 

長い、長い、射精の後。

 

ううん、ほんとは少しの間だったのかもしれない。

でも、そんな僅かな時間の間にも、私の心は満たされていた。

 

「もう自分のこと汚いとか言うなよ? 次言ったら、もっとするからな」

「もっとって…。言ったら、してくれるの?」

「…して、欲しいのか?」

「別に、そんなんじゃないけど…。今度は、陽斗くんに汚されちゃったし、私」

 

完全に誘ってた。それを分かったうえで陽斗くんは、もう一度私の体に手をかけると、白濁液に塗れた肌に舌を這わせていく。

 

ゾクッとした。

 

精液舐めさせるなんて、ちょっと悪い気もするけれど。

そんな私の気兼ねすら舐め取るような、丹念な愛撫だった。

 

すっかりと綺麗にされちゃった後、今度は後ろから。早くも勃起を取りもどした おちんちんが、私の中を満たしていく。ベッドの上で押さえつけられちゃった。下腹がベッドのスプリングに押し返されると、ズリズリと、中で動く おちんちんが膣壁を削っているのを強く感じてしまう。

 

ゾクッとした。

 

二度目の絶頂の気配に、体がかぁっと熱くなる。

 

「真冬っ! いくぞっ…また、中に…中が良いんだよなっ!」

「うんっ、うんっ♥ 良いよっ、なか、にっ! 全部、全部出してっ…あぁっ♥」

 

ドクドクと、今度は途中で途切れること無く、精液の全部が私の中に注がれてくる。

 

中に全部出して、出されて、子宮が一杯にされちゃって。

最初よりも多かったんじゃないかな。入り切らなかった精液の残りが、わたしたちの隙間から溢れ出してくる

 

全部が終わった後、少しだけお腹が重たくなっていた。

ただの疲労かな? それとも、今もゆらゆらと揺れてる感覚のせいだったのか。

 

すっかりと、気の抜けてしまった私は。まるで揺り籠に揺らているような心地で、眠りに落ちていった。




躾はちゃんとしよう。

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