※この作品はR-18です。

電車に揺られて   作:霧里

16 / 18
DLC:下着(Hシーン

 

 

いっらしゃいませ♪

 

明るいはずの店員の呼び声が耳に痛い。

後ろめたいことがあるわけではないけれど、他人の視線からは隠れたい。

そんな真冬の内心が誰に分かるわけでもなく、近づいてきた店員に遠慮の態度を返すのもやっとだった。

 

下着売り場なんて何年振りだろう。

 

以前、興味本位で入った店内は、あんまりにも綺羅びやかで、住む世界が違うもんだと早々に退散してしまった覚えがある。

 

それは、今だって変わってない。

 

清潔感に溢れた店内。飾られた下着の数々は、そういう美術品だと言われれば納得だってしただろう。

 

なんか、目眩がしてきた。

 

そこにあった姿見に映る自分と目があうと、あんまりな場違に気恥ずかしさだって込み上げてくる。

 

なんでこんな所に来ちゃったんだろう…。

 

自分でもバカだと思うよ。自意識過剰だって笑ってくれて良い。

アレは事故だったって。もう忘れようって。気まずくなるのも嫌だからって、何度も清水くんと確認したじゃない。

 

でも、本当になかったみたいに振る舞われると、なんだかちょっと寂しくなった。

ううん…。彼だって態度に出ちゃわないように、私に思い出させないようにって、頑張ってくれてるとは思うんだけど。

 

だって、ちょっと体に触っちゃっただけ。

 

お互いの大事な所ではあったけど。だってそれだけで、最後のは本当に事故みたいなものだったって、私にも分かってる。

 

でも、それを忘れられるかって言うのとはまた別の話だ。

自慰ですらロクに覚束なかった私には、異性との性体験は、あんまりにも鮮烈だったんだ。

 

嫌も何も無い。

 

体が引っ張られていくような感覚。

怖いとも思う。けど、そこにあった性への興味に抗えなかったのも確か。

快感ってどんなだろう? 絶頂ってどうなるんだろう? 自分の指では決して届かなかった感覚に興味は尽きない。

 

何より不思議だったのは、アレ以来彼のことを思いながら自分の肌に触れてみると、少しは私の体に快感が響くようになっていことだった。

 

胸がドキドキで一杯になって。お股がムズムズとして落ち着かなくなる。

ちょっと撫でてみれば滲んだ水気が指先を汚し、何とも言えない感覚をお腹に抱えたまま過ごす夜は、あんまりにも切なくて、一人がこんなに寂しいなんて思わなかった。

 

「きーたーみーさんっ♪」

 

呼びかけられ、急に肩を叩かれて、飛び上がったネコみたいに私は跳ねた。

 

「きゃぁっ!?」

「うわぁぁっ!?」

 

それは、驚かせに来た彼女も同様に、跳ね上がった私に驚いた彼女が、一緒になって跳ね上がると、周囲の視線が私達に集まってしまっていた。

 

「ごめんっ、ごめんっ。そんな驚くと思わなくって、私だよ、私っ。ほら、同じクラスの…」

「へ、あ…ぁぁ、うん。ごめんなさい、ちょっといきなりで、びっくりしちゃって」

 

そりゃ、驚くよ。

 

下着売り場で、ちょっとエッチな想像し始めた所に肩を叩かれれば、声の1つも上げたくなる。流石にバレてたなんて思わないけど、やっぱり不安で、その人懐っこい笑顔を探るように見つめてしまっていた。

 

「ん? あぁ…うん。ほら、私私、北見さん、私だってば…」

「あ、あぁぁ…えっと、羽山、さん?」

「そうそうっ♪ 正解。良かったぁ…誰だっけって言われるパターンかと思っちゃった」

 

相変わらず、自己アピールの凄い子だな。答えあぐねている 私に気づいて尚踏み込んでくるなんて。私だったら、それに気づいたとしても、この場は適当にやり過ごして終わっていたことだろう。

 

そういう意味では彼女が有名人で良かった。

元来の気質か、それが処世術なのか。その人懐っこさは、クラスの中でも良く目立つ。良くも悪くも自分から押し売りにくるタイプの彼女は、清水くん達のグループとも仲良くしているのを見かけてはいた。

 

「まぁ、うん。流石に名前くらいはね…」

 

名前と顔が一致した理由が、あまりポジティブなものとは言えず、曖昧な笑顔で濁す。

 

「そだね。あんまり話す機会なかったし。深窓の令嬢? あはっ♪ みたいなさ? 北見さんいつも席でスマホ弄ってるもん。なにか面白い動画とかあるの? それとも悪い遊びでもしてんのかなぁ? やることやってんじゃ~ん、うりうり♪」

 

深窓の令嬢って、言う人が言えばただの嫌味だな。

ただそれも、カラカラと冗談めかして笑う彼女の口から言われれば、それ以上の意味合いもないのは見て取れた。

 

「してないって、そんな事。別に、目についた本を適当に読んでるだけだよ」

「お、読書家じゃん、偉い偉い」

「そんな良いのじゃないって。ただ、乱読してるだけで…皆が、スマホで動画流し見してるのとあんまり変わらないよ」

 

今までの印象通り、距離の近い子だった。

人一人分。私だったら無意識に立ち止まってしまう距離にも、ひょいっと入ってくる。

 

偉いだなんて、何処まで本気でいっているんだか。

けれど、頭を撫でてくる手に他意は感じられず。褒められて嬉しい私は、ひとまずの警戒を解いてしまった。

 

「でも、意外だね。こんな所で北見ちゃんを見かけるなんて」

「そう、かな? 下着売り場なんて…そんな、来る時は来るでしょ?」

 

すごい距離の詰め方をされた。ポンッと肩に手を回され、微笑む彼女の横顔は、いかにも気のおけない友人って感じで、今さっき「さん」づけだった呼び方ですら「ちゃん」に置き換わってしまっている。

 

「そりゃ、ここがユニしまだったらね。コスパ重視な北ちゃんが居ても何もおもわないけどさ」

 

このままでは「真冬ちゃん」と呼ばれるのも遠くないと思ってる矢先に、もう「北ちゃん」だ。これは多分、私が訂正するまで突っ込んでくるなって予感は的中した。

 

と、ここまで新しいおもちゃを見つけた子犬みたいに絡んできた羽山さんが、ニヤリと微笑み、ことさら神妙に耳打ちをしてくる。

 

「ここ最近、続けておサボりした おなごをさ? こんな勝負下着全開のランジェリーショップで見かけたら、邪推をするなってのも無理でしょうよ? ぶっちゃけどうよ? やっちまったのかい? 彼といまからやるんかい?」

「やっ…え、あの…べつにっ、そんなっ…清水くんとは、何にも…」

 

なかった、とも言い切れないし、言いたくなかった。

あんな性行為一歩手前の体験を、なかったことに出来るほど私は異性に慣れてはないし、それを有耶無耶にはしたくない程度には、彼のことが好きになってるのもまた事実。

 

「おっ。私、清水くんとは言ってないけどね?」

「…でしょうけど。こう言って欲しかったんでしょ?」

「あははっ。怒んない怒んない」

「別に、怒ってるわけじゃ…」

「いやぁ、誘導尋問ってさ、一生に一度はやってみたいじゃない?」

「だったら、そんな雑な前フリで消費しないでよ…」

 

テンポの早い子だな。悪く言えば忙しい子の相手をするのは、正直苦手ではある。

けれど、それが不思議と嫌という程でもない。彼女の人柄がそう思わせたのか。

羨ましいと、そのテンポの良さに感心する部分の方が大きい。

 

「ね、ね、真冬ちゃん。私 まふゆんにはこのセットが似合うと思うな」

「…」

 

ツッコミ待ち?

 

それだったらもう、私は降参だ。

 

思った通りの「真冬ちゃん」から一瞬にして「まふゆん」と、あだ名に呼びに変わってしまう。いままで、そんな風に呼ばれたことはなかったし、そんな風に呼ばれたって、正直どんな顔をして良いかも分からない。

 

「ねぇ、羽山さん? さっきからその…まふゆんって…」

「おそいっ!」

「へ?」

「普通「北見ちゃん」の時点でツッコミ入るんだよ? それで「ダメだった?」て「良いよっ」てさ。名前で呼び合おうねって、仲良しこよしするんじゃん。放置プレイかっ。私、おだてられてドンドン先に昇ってったじゃん。なんだよ「まふゆん」って、あだ名かっ。仲良しじゃんもうっ」

 

知らない。そんな普通を私は知らない。

彼女の目論見に一定の理解は示しても、それをグローバルスタンダードに語られたんじゃ、自分の常識が崩壊してしまいそうだ。

 

「おだててもないし。羽流(はねる)が勝手に先に行っちゃったんでしょ? 私は悪くないもん」

「お、いま羽流って呼んだ?」

「呼んだよ。呼びました。ここで羽山さんなんて呼んだらもう、私が嫌味じゃない」

「ちなみに、もう一越えしてくれたりは?」

「しません。はねるん だなんて…流石に…」

 

嫌だっていうよりも、恥ずかしいが大きい。

そんな私の内心を読み取ってくれたんだろうか? ニコッと笑った彼女は、私の隣に並ぶと、おもむろに私達の頭上にスマホを掲げていた。

 

パシャリっ。

 

なんと手慣れた動作だろう。自撮りをするのに何の躊躇いもなく、流れるような手さばきに私が口を開く間もなかった。

 

「はい、まふゆんのアドレス教えて?」

「教えてって、私あんまり使ったこと…。あ、ちょっ、かってにさわ、あ、ぁぁ」

「大丈夫、大丈夫、ここをこうして、こうやって…はいできた、はいどうぞ」

 

返されたスマホに目をやると、そこには私と羽流が映った写真が画面に表示されていた。

 

「ちょっと羽流。待ち受けにまで勝手に…」

「良いじゃん。直せなかったらさ、あとで陽斗に…じゃない、清水くんに直してもらいなよ? そのまま二人のツーショットを待ち受けにしたりしてさ?」

 

どうして言い直したんだかなんて、考えるまでもなかった。

それが彼女の気遣いで、もうちょっと上手くできれば満点だったけど、この子はこの子で色々考えてるんだなって察するには有り余る。

 

「…いいよ、別に気を使わなくたって?」

「そう? 後でジェラったりしたら嫌だよ?」

「しない。むしろ、そんなあからさまに気を使われる方が嫌」

「わはっ♪ いいね。私 まふゆんの事もっと好きになってきたよ? どう? 私達付き合わない?」

「友達付き合いならね」

 

ぱんっ♪ と、小気味の良い拍手が響く。

それはもちろん、近くにいた店員さんの耳にも届くことになり、こっちを見つけた店員さんに羽流は大きく手を振って見せた。

 

「すみませーん。この子がちょっと彼氏を悩殺したいっていうんで、手伝ってもらっていいですか?」

「ちょっ!? 羽流っ。ちがっ、違いますからっ、悩殺とか私、別に…」

「ああ、ちがったね。まだ彼氏じゃないんで、そこのところいい感じに、男受けするような方向にしたいんです」

 

ニヤニヤと、どこか空気の緩んだ店内で、羽流と店員さんに捕まった私は、暫くの間、着せ替え人形にされてしまった。

 

 

ー

 

「グッドラック…じゃないんだよ、もう」

 

羽流に開放された頃にはとっぷりと日が暮れていて、家に帰り着いたのも良い時間。正直疲れた。でも、あんな風に振り回された後なのに楽しかったなって、ちょっとだけ、ちょっとだけね。そう、思っている自分がいたのは、きっと羽流のおかげなんだろう。

 

「ただいま」と声を掛けても、暗い家の中から返事はない。

 

それはいつものことだ。

 

歳を重ねるごとに お母さんとの時間は減っていって、寂しいと思う感情も とっくに慣れてしまっていた。お仕事だから仕方がない、真冬は良い子だから一人でも大丈夫。ただ、少しだけ。羽流と過ごした時間が楽しかった分だけ、今日の寂しさが身に沁みる。

 

さっさとお風呂に入って、もう休もう。

 

そう思っていたのはお風呂を出るまでで、自分でも一体何がしたかったのか分からない。お風呂から上がって、部屋に戻り、机の上に置かれたままの、見慣れない紙袋に手を伸ばす。

 

心境の変化に付いてけない。勝負下着なんて買ってさ、誰に見せようっていうの? 違う、だって、あれは、羽流が勝手に調子に乗っただけで、半ば強引に押し付けられて…だから、仕方なくって、お金だって後で返さないとだし。

 

丁寧に包装された下着の封を開く。着替えたばかりのパジャマをベットの隅へ追いやると、真新しい下着に手を掛けた。

流石というべきか、新品特有の生地の固さに違和感を感じながらも、身に付けた ブラとショーツは、ピタリと私の体型に合うものだった。

 

見下ろした自分の身体に、顔から火が出そうになる。

 

やっぱり自意識過剰なんじゃないか。だって、いつもは、淡色で柄なんて特にはなくて、フリルなんか洗濯の邪魔になるだけってレベルの下着ばっかりだったのに。

 

こういうのは、それこそ羽流みたいな可愛い感じの子が着けた方が、もっと様になるはずだ。

 

「そう…だよね。清水くんだって、こんなの見せられても絶対困っちゃうよ」

 

そりゃ私だって、女の子らしい体つきにはなっているけれど。男の子達が好むようなグラビアだか、なんだかには、程遠い体型なのは自分がよくわかっている。

 

それに、見せるったって、見せて、それからどうしようっていうの?

可愛いって言われたい? 綺麗だって褒めて欲しい? それが叶ったとして、それでおしまいになんてなる訳が無い。男の子の前で、こんな裸みたいな格好で、まして、見せるための下着まで用意して。まさに至れり尽くせりだ。自分から抱いてくれって言ってるのと何も変わらない。

 

それでも、もし、本当に何も無かったら…。

 

羽流なら、きっと怒ってくれるんだろうな。

 

あんな一生懸命選んでくれたんだもん。それで、なにもなりませんでしたって言われれば「さてはあいつ〇〇だな」くらいは言いかねない。

そこに入る言葉はなんであれ、きっと健全な男性には不名誉な称号には間違いがないだろう。

 

「清水くん…私のこと、どう思って…るんだろ」

 

分かんない。分かんないのが余計に辛い。

嫌われてはないだけで、その好きは、未だに同情の可能性だってある。

あの日の電車での事だって、有耶無耶にされたままだ。恋愛感情がないからこそ、何もなかったように振る舞えてるんじゃないか。

 

不安と期待。ドキドキと、高鳴る心臓に2つの音が混ざっていた。

 

思い出すのは どうしたってあの日の出来事だ。

事故だって分かる。いつまで引きづってるんだって言われればその通りなんだけど。でも、やっぱり、忘れるなんて出来なかった。

 

素肌を直接重ねた訳じゃない。

 

一番近い所でも下着越しだったし。彼はズボンだって履いていた。

でも、跨った太ももの感触が忘れられない。筋肉質っていうのかな。同じ太もものはずなのに私のとは随分違う感触で、何より力が強かった。恥丘を押し上げられたついでに、かかとまで浮き上がりそうなっちゃって、腰を引きたくても、電車の扉に挟まれて逃げることすら出来なかった。

 

がたん、ごとん。押し付けられた太もも越しに、電車の揺れが伝わってくる。

だんだんと、だんだんと、体が、お股が、恥丘が、むず痒くなってきて、もっと触って欲しくなってきちゃって…。あのままされてたら、わたし、ぜったい…。

 

「ごめん、ごめんね…清水くん。私、貴方の事…かってに、こんな…。こんな事する人じゃないって、分かるけど、分かってるけど…」

 

我慢なんて出来なかった。

 

考えれば考えるほどに体は興奮を覚え、芽生えた女の情欲に流されていく自分を、いよいよと止められなくなっていく。

 

あの時は、だって、周りの視線だってあったから。

あの時は、だって、清水くんが目の前で見てたから。

 

ああ、違う。違うんだ。

 

清水くんだけだったら、きっと、私は、彼の体に甘えてた。

あのまま押し倒されたりしたって、きっと、抵抗なんかしなかったはずだ。

 

足から力が抜けて、倒れ込んだ体がベットの上で弾みをつけた。

 

清水くんに悪いから、これはいけないことで、ダメなことだから。

残った理性を掻き集めて、ぐずりだした性欲をなだめすかす。足を閉じて、太ももを寄せ合って、でも、擦り合わせた素肌にすら、もどかしい熱を感じ始めた私の体は、もう言う事を聞いてくれなかった。

 

太ももが気持ちいい。

 

すべすべしてて、しっとりしてて。柔らかな感触を擦り合わせてるだけで、だんだんと変な気分になってくる。足の間で押された恥丘が、ますますとむず痒くなった。気にしないようにすればするほど気になって、ついには どうにもならなくなると指先がゆっくりと伸びていく。

 

指を伸ばして、引っ込めて、触りたくって、触れなくって。

 

だって、今触ったら絶対に我慢できなくなる。

 

あの時の、清水くんの太ももに恥丘を刺激された時。全身に伝う甘い痺れを思い出しただけで、擦り合わせていた太ももが緩んでくるくらいだ。

 

触ったら、絶対に気持ちがいい。

 

これが快感なんだって、ぼんやりと、感じていた刺激がハッキリするのが分かる。

 

でも、だって、でも…。

 

そんなの はしたないって、たとえ想像の中でも、清水くんを勝手に使っちゃうのは失礼だって。

 

じゃあ、どうするの?

 

彼に聞いてみる?

 

一人えっちしていいですかって? 自慰のオカズに貴方を使っていいですかって?

 

聞ける訳ないじゃない。

 

でも、だって、もう、我慢するのも限界だ。

触ろうとする度に彼の顔を思い浮かべて、慌てて指先を引っ込める。そんな事を繰り返してたら、恥丘はますますとむず痒さを増して、きゅっと、吸い込まれてしまうような切なさに、太ももがすり寄っていく。

 

早く、もっと、強い刺激が欲しい。

 

ドクンっと、心臓が大きく跳ねると同時に、ジワリと滲んだ水気が恥丘の表面に広がっていった。

 

「あ、私…これ…ぬれちゃ…ゃぁ…」

 

羞恥心でどうにかなりそうだった。

 

触られてもない、触ってもいない。ただ、想像しただけでお股を熱くして、行為の準備を始めてしまう。心臓の鼓動が耳に痛い。粗くなる吐息に快感の熱が混ざる。

 

もう、良いじゃん。

 

誰も見てないし、勝手に思ってるだけなら、清水くんにだって分からないよ。

だって、そうでしょ? いま我慢しちゃうと、私、明日彼に会った時、どんな顔するかわかんないもん。

 

それはきっと、どっちが良いのかって程度の差でしかなかった。

 

彼の顔を見て、欲求不満を思い出すのか。

彼の顔を見て、欲求不満を抱くのか。

 

「あっ♥」

 

すっと、ただ、撫でるように触れただけ。

愛液の滲んだ、真新しい下着の上を細い指先でそっと撫でた。

 

愛撫にしては可愛らしいものだ。

初めて触れた時ですら、もうちょっと大胆に触れていた覚えはある。

 

「はっ、ぁっ、ゃっ…んっ、はぁ、はぁ…ぁぁっ♥」

 

そっと撫でて、指を離して、そっと撫でて、指を遠ざけて。

その内に掬い上げた愛液で、私の指先はドロドロになっていた。

 

「わたし…こんな、ぬれちゃ…て」

 

中指と、親指を重ね、眼の前でそっと指を開いた。薄暗い部屋の中で、透明な雫が糸を引き、それはプツリと切れて布団に染みを作ってしまう。

 

ゴクリ…。

 

口内に溜まった涎を押し込むように、私は大げさに息を飲み込んだ。

「はぁっ、はぁっ…」熱い吐息が収まらない。長距離走を走った時よりも、心臓は大げさな鼓動をがなり立てて、私の体を興奮へと引きずっていく。

 

擦り合わせていた太ももから力が抜けた。

 

もう、我慢なんて言葉はどっかに飛んでっちゃってて、くちゅり、指先を押し当てた恥丘が沈み込むと、粘つくような水音が耳に纏わりつく。

 

「しみず、くん…はっ、あっ、やっ…そこ、そんな…はぁっ、んっ、ふぁっ♥ ううん、いい、きもちいっ、もっと、さわって、しみずくん、しみずくん…っ♥」

 

彼の名前を呼ぶだけで、体がゾクゾクした。

 

彼に私の大事な所を触って貰えてる。あの後、あのまま、彼に抱かれていたら? 学校なんてサボっちゃってさ、私の家、お母さんいないからって、家に帰って、私の部屋で、ベットに、押し倒されて…。

 

清水くん、どんな風に、私を抱いてくれるんだろう?

 

指、一本じゃ足りないや。

 

繋いで歩いた手の感触は、私なんかよりもしっかりしていて、異性を感じさせるには十分だ。一回りくらいかな? 指、太くってさ。力も強くて、多分、こんな優しい感じじゃなくて、もっと思いっきり…。

 

「んはっ♥ あ、だめっ、つよっ…これ、んはっ…あ、でもっ…んふっ♥」

 

ビクッと腰が跳ねた。

 

押し込まれた指先が、下着越しに恥丘の割れ目を開いた。陰唇の内側が薄い布地に撫でられて、ザラリと感じた布地の刺激が愛液で滑ると、敏感な肌の裏側から、紛れもない快感が生み出される。

 

眼の前がクラクラした。

 

気持ちよくってしょうが無い。

 

溢れた愛液は下着の端からも滲み出していて、太ももの内側も、お尻の間にも流れ出しちゃってた。私のお股の周りはもう、誰が見たってだらしない事になっちゃって。

 

ゾクッとした。

 

堪らない快感に太ももを寄せてしまう。

 

体中がムズムズとして落ち着かない。

 

お股を弄りながら体をくねらせ、背中を撫でるシーツの感触にすら身悶える。

全身が敏感になっちゃてた。快楽の熱が性に不慣れな私の体を焦らしていく。

 

「きもちぃ、これ、なんでこんな…わたし、しらなっ、まえは…こんなじゃ、んはっ♥ なかったのに…しみずくん、しみずくん、に触ってもらえたの、嬉しくって…はぁ、あっ、だめっ、とまな、あ、ひゃっ…♥」

 

もう、何処を触っても気持ちよかった。

 

指先が勝手に動いて止められない。

 

その内に記憶まで捏造し始めると、彼に抱かれた自分を思い出しては身悶える。

 

まるで、自分の痴態を見せつけるように。もっと強い快感を期待して、体が勝手に動いてしまう。

 

腰を震わせ、背中を逸らして、ブラとの間に押し付けられた乳首にピリピリとした痺れを感じると、その刺激に焦がれたみたいに「んひっ♥」と、慣れない嬌声が漏れる。

 

全身が気持ちいい。自分の体が、気持ち良い所だらけなんて知らなかった。

シーツに背中を擦り付けて、太ももをすり合わせて、全身が快楽にで満たされていく。

 

そんな中ででも、ピリピリと一際に目立つ甘い痺れを無視は出来なかった。

 

おっぱい、乳首。

 

性感帯って言われるだけはあるよね。

 

興奮で乳首勃っちゃってた。ブラと擦れて、それが気持ちが良くって。

 

空いた手が胸に吸い寄せられていくのに時間は掛からなかった。

ぎゅっと、掴んで、ビクッと体が跳ねる。乳首を擦り付けるように胸を揉みしだいた。電車の中で清水くんに掴まれた時を思い返しながら、胸の膨らみをイジメていく。

 

恥丘を弄るのとはまた違う快感だ。

 

胸を揉む度、なんだかモヤモヤとしてきて、触れた乳首からはピンっと、張り詰めるような変な感じがしたかと思えば、ピリピリと甘い痺れに包まれる。

どっちが良いとかじゃなくって、どっちも良い。

忘れていたお股への刺激も再開すると、いよいよと強くなる快感の衝動に、絶頂の予感を感じ取ってしまう。

 

気持ちいいの止まらない。

 

強くなる快感が、ちょっと怖いくらいで。

 

眼の前がクラクラする。

 

ピリピリとした甘い痺れに鼓動が弾み、ジンっと沈んでいくような心地よさに、だんだんと頭の中が薄桃に染まっていく。乳首を弄る度に、ぼんやりとした頭に紅が差し込み、明滅を繰り返しながら真っ白い刺激へと変わっていった。

 

「こ、れ? いっちゃうって? なんか、へんなの…すごいの…きて、こんな、わたし…だめっ、でもっ…あぁっ、きもちいいの…わかんなくて。とめ、らんない、ゆびうごいちゃ…あ、はっ、あ、しみず、くん…しみずくんっ。はる、と…くんっ♥ あ、あ、あ、あ、うそうそうそっ、やっ、ちょっと、とまってっ、ってっ、わたしっ、やっぱり…まだ、んふっ♥ ほんとにいっちゃ、だめっ、あ、あ、んっ…!?」

 

ただの気まぐれ? ものの弾みでも、ぽつりと、つぶやいた彼の下の名前に全身が色めき立った。

 

ぎゅっと、体が縮こまる。

 

背筋が伸びるような心地は、むしろ逆で、腰が落ちていっちゃったからだ。

 

「あぁぁっ♥ んっ、くふっ♥ はぁ、あ、あ、あ、いぃぃっっ…♥」

 

絶頂が止まらない、快感が収まらない。

 

思考が鈍り、理性が快感で押しやられた。

 

足の指に力が入り、下腹にきゅぅっと力が入る。閉じたの太ももの間からダラダラと、量を増した愛液が流れて出てくるのを感じながらも、その実、一番に欲しかった物の形を、ぼんやりと思い浮かべていた。

 

おちんちん…。

 

清水くんの…大きくなってたなぁ。

 

アレが、私の中に挿いるんだよね。

 

まだ、指ですら挿れてないのに。

 

お股、下着の上からなぞっただけで、こんな気持ちいいならさ…。

 

ゾクゾクとした。

 

勃起したおちんちんが、自分の中に挿ってくる瞬間。

チラリとでも想像した至福の瞬間に快感が弾け、再びやってきた強い快楽の刺激に今度こそ何も考えられなくなっていった。

 

「はぁ…んはっ…はぁ、はぁっ…あ、ふぅ…んっ、はぁ…ぁっ、ぁぁぁ…♥」

 

やっちゃった…。

 

終わってみれば、何のことはない。

喉元を過ぎた快感は既に過去の物で、どうして我慢が出来なかったんだろうって、自責の念が込み上げてくるくらいだ。

 

「清水くん…ごめん、私…勝手に。それに、羽流も…せっかく、選んでくれたのに…」

 

新品だった下着はもう、グチャグチャだった。

パンツは愛液を吸い込んですっかり汚れてしまっていたし。揉みしだかれたブラジャーは最早皺だらけで、新品のパリッとした感覚は何処にも残っていない。

 

「はっきり…させなきゃ…」

 

それはまぁ、新しくできた友人との義理もあった。

だけど何より、私自身がもう、このままではいられなかった。

 

 




女の子のオナニーシーンでしか得られない栄養があると思います。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
良ければ、いいね、高評価いただけると、励みになります。

ファンボックス:https://kirizato.fanbox.cc/
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。