掴もうとした糸が、指先から すり抜けていくみたいだった。
足が動かない。
たった一歩、踏み出す勇気を出しきれない。
逃げたら、分かっているね?
耳元で囁かれただけで、怯えて、竦んで、自分の体なのにまるで言う事を聞いてくれなくなった。
単純に怖い。これから自分が、どんな酷い目に合わされるか想像は出来ても、逃げた後に訪れるだろう、想像出来ない不幸のほうが怖い。私のせいで、彼と、お母さんにまで何かあったらって、余計な不安に足を掴まれ、掴めたはずの細い糸が、どんどんと遠くになっていく。
大丈夫。大丈夫だから。
大人の人の言う事を聞いて、良い子にしてればきっと悪い様にはならないから。
ピンチの時にこそ、人の本性が出るって言うけれど、私は結局「良い子」のままだ。自己犠牲なんかですらない。人形にも等しい言いなりだ。
「っ、ぁ…」
その時。電車を降りる女の人と目があった。
「助けてください」たった一言、言えればよかったのに。
けれど、一度くじけてしまった私の心は、それを口にするのも躊躇ってしまっていた。
スカートの下で、お尻を強く掴まれる。
言葉のない無言の威圧に、私はただつり革を握りしめ、せめて気づいてくれないものかと、助けを乞うように女の人を見つめ返すのがやっとだ。
疑念は、持ってくれたんだろう。
私と、背後に立つ男の人を交互に見比べてはくれたけど「娘と墓参りに行く途中なんですよ」と、体格の良い男性に見下された彼女は、そそくさと逃げるように電車を降りていってしまう。
まって、行かないで。
お願いです。助けてください。
きっと私が俯いているのだって、亡くなったお母さんの事を思い出してるとでも思われたんだろう。結局、頭に浮かんだ言葉は最後まで声にはならず、発車を知らせるメロディーがホームに響くと同時に扉は閉まってしまった。
電車が動き出す。私の日常を置き去りにして、ホームが遠ざかっていく。
がたん、ごとん、がたん、ごとん…。
電車に揺られて、私も揺れる。
「ぐすっ…ぇぅ、ぁぅ、やめて、もう…やめてください。お願いだから」
怖かったよ。悔しかったよ。それでも、泣くしか出来ない自分が情けなくって、結局泣いて許しを請うしか出来なくて。
静かに。あんまり声を出すと、周りに見られてしまうよ?
こんな事をしておきながら、男の人の声は ひどく優しかった。
それは、安心を覚える程に穏やかで。怖がる私のお尻を、胸の膨らみを、慰めるように撫でられると、抱いていた嫌悪感が薄れていくのが余計に怖い。
1つ、また1つと、ブラウスのボタンが外されていった。
「ぁっ、ぃゃ、ま、やめ、て…」
上から順に、一つずつ。私の羞恥心を煽るようにゆっくりと、太い指先にボタンを外されていく。
ほら、前を見てごらん?
恐る恐ると顔を上げ、窓に映った自分の姿をみる。
そこには、泣いている私の顔があった。
羞恥に頬を染め、瞳に涙を浮かべたまま、震えるしか出来ない少女の姿だ。
ゆっくりと、スカートが捲られていった。
だんだんと、太ももの肌色が大きく広がり、下着の色までもが窓ガラスに映り込む。
なんて酷い格好なんだろう。
ブラウスを開けさせられて、ブラジャーを晒して、スカートの端を手の中に握り込まされた私は、自分でスカートを捲りあげているようにさえ見えた。
声を上げて、誰かに気づいてもらう?
何を今更だ。それに、こんな酷い格好の自分を一体誰に見せられたもんか。
こんな状況だっていうのに、羞恥心にグルグル巻きにされた私は、抱きすくめられた男の人の腕の中で、本当に何も出来なくなってしまっていた。
お尻を撫でていた男の人の手が、太ももの方へと伸びてくる。
腰を抱く様に腕を前に回され、太ももの内側に落ちた手の平が、薄い肌の上を滑りながら股間へと近づいてくる。
咄嗟に、足を閉じた。
そこにだけは、触られたくはない。
だけど、ちょっと太ももを閉じたくらいでどうだって言うんだ。
柔らかい太ももに挟まれた男の人の手の平は、むしろ喜んだように指先を遊ばせた。
カサついた指先。少し皮の張った手の平。
興奮を隠せないのか、太ももから伝う体温は人肌よりも高いくらいで、生暖かい何かが、私の太ももの間で蠢きながら、上へ、上へと、近づいてくる。
気持ち悪い。
本当なら、すぐにも足を開いて後ろに下がりたいのに、それが出来ない。
私の背中には壁のように立つ男の人の体がある。今、足を開いちゃったら男の人の手が何処に触れるかだなんて考えたくもない。
ゆっくり、ゆっくり…。
太ももの間を強引に、男の人の手の平が進んできた。
それを防ごうと、閉じる足に力を込めても、太ももに挟まれた男の人の手の平を喜ばせただけ。
なら、もう…。
下手に抵抗なんてしないほうが良いんじゃないか?
男の人の好きにさせて、飽きたらその内止めてくれるんじゃないか?
こんな所で、まさか最後までなんて、いくらなんでも有りえない。
下手に我慢をして、些細な抵抗で男の人の機嫌を損ねるのも怖かった。
大人しく、素直になって。言われるまま、流される方が楽なのを私は知っている。
だって、そうでしょう?
抵抗するなら、もっと早くにしておくべきだったんだ。
そもそも指定された電車に乗ってしまった事が間違いで、さっき電車を降りようともしなかったのが全てを狂わせた。
彼や、お母さんを守るためって、自分に言い聞かせていたけれど。
私が本当に守りたかったのは、私自身だってのは自分が一番良く分かってる。
どっちつかずの中途半端。
決めきれなかった私に待っているのは、私じゃない、誰かが望んだ結末なのは当然だった。
下着に、男の人の指が触れる。
下着の上からとはいえ、恥丘を他人に触れさせる。
そんな初めての感覚に体が震え上がった。
感じたのは嫌悪感。それと、無理矢理に触れられている恐怖。
今はまだ、薄い下着の一枚向こう側だって。次の瞬間には、その指先が何処に向かうかもわからない。
挟まれた太ももの隙間から這い出て来た手の平に、私の下腹部を撫でられた。
お腹を撫でながら伸びた中指がまた、太ももの隙間へと吸い込まれると。下から上へ、恥丘の麓から割れ目の筋を辿るように、太い指先に撫でられていく。
「っ…。ぃぃ、はぁっ、ふぅ…んっ、ぃゃ、ゃ…」
首を振って、目を閉じて。少しでも現実を遠ざけようとしたって、触れられた嫌悪感は減らない所か、イヤだって思うほどに強くなっていくばっかりだ。
流されていれば、少しは楽にやり過ごせるんじゃないかって、ちょっとでも思った自分がバカだったんだ。
ううん。それすらも間違っている。
自分から流される事を選んだくせに、ちゃんと流されないから余計に辛くなるのは当然だ。
つり革をぎゅっと掴んで、唇を噛みしめる。
何も感じないし、何も聞こえない。私はただ、電車に揺られているだけのお人形。今はそれでいい。他に、何か考えたら余計に辛いだけだから。
大丈夫。大丈夫だから…。大丈夫なんだから。
嫌悪感に漏れる吐息すら絞って、私は刺激に耐え続けた。
下着越しに割れ目の筋を辿る指の感触が、どれほど気持ち悪くたって、何とも無いって自分に言い聞かせる。
だって、ただ気持ち悪いだけだもん。
タコとかイカとかウナギだってそう。
普段、触りなれないものに触った時の気持ちになれば、こんなもんだって割り切れて良いはずだ。それがちょっと、自分の大事な部分に触れてちゃってるって、ただそれだけだ。
流石に、子犬や子猫に、顔を舐められた時の様な穏やかさになれないけれど。
人じゃない何かが触ってるって、そう思えばまだ大丈夫なはず。
だって、そうでしょう?
ただ触れられているだけ。べつに〇〇するわけじゃ無いんだし。
一瞬、想像しかけた言葉に背筋が凍った。
余りの冷たさに体が震え、自分に触れる男の人の熱に それを溶かされる。
「んぁっ…!! や、そこ…は」
ピクッと、腰が跳ねてしまった。
刺激を嫌って逃げるようにじゃない。単純な刺激にも反応してしまうほどに、触れられた部分が敏感だっただけ。
ただの生理現象だ。
良いとか悪いとかじゃない。
繰り返し、割れ目の上を掠めていた指先が、その頂点に触れていた。
割れ目の始まり。その隙間に隠れていた小さなぽっち。
自分ですら、まだ触ったことのない部分に触れられて、どう反応して良いかが分からない。
直接触られた訳でもない、下着の上から軽く押されただけ。
薄い皮に包まれたまま、割れ目の隙間に隠れていたぽっちを刺激される。
何とも言えない感覚だ。
一瞬、息が詰まるような感じがした後、下腹部全体を妙な痺れが伝っていく。
ドキンっと、鼓動が跳ねた。軽く触れられる度に、ドクドクと、血が巡っていくのが分かる。
肌が汗ばみ、頬が染まる。
ぽっちに触れられる度、妙な痺れが強くなると、丁度おへその下辺りに、ぽっと熱が灯ったみたいだった。
興奮、してるんだ、私。
クリトリス、触られちゃって興奮させられてるんだ。
思い知らされた自分の性に目眩がした。
女の子なんかに生まれなければよかったのにってさえ思う。
イヤだって思っても、流される事に慣れきっていた私自身は弱かった。
頭の片隅で、心の何処かで考えてしまう。
仕方がないって。そうなんだろうなって。
それが、選択を迫られた私の合言葉だった。
お母さんが言うんだから、先生が言うんだから、彼が言うんだから、君が、誰かが、あの人が…。
少し嫌な事くらい飲み込んでしまえる質だったのは、思えば不幸だったんだろう。
中途半端に我慢強い、次第にそんな自分に慣れていく。少しの嫌が、だんだんと、大きくなっていくのにも気づかない。その内に、誰かと揉めるのも面倒に思って、自分が傷つくのも怖くなって。
仕方がないって。
いつしか、簡単に諦めるようなった自分に気づいた頃にはこの有り様だ。
「んっ、はっ…はぁ、ぁぁっ、やめ、さわっちゃ、んぁっ…」
慣れない刺激に身悶える。
ちょっと、強めに押されただけ声が跳ねた。
感じてない。感じてなんかいるわけ無い。変な所に触れられて、ちょっとくすぐったいだけだ。
自分に言い訳をしようとする度に、イヤでもその感覚に気づいてしまう。
体を包む違和感。敏感になっていく自分の肌。
体を逃がそうとする度、肌を掠めた服の感触にさえ痺れを感じると、お腹に灯った熱が強くなるのを抑えられない。
いっそ、乱暴にされていれば違ったんだろうか?
そういう意味では、男の人は上手かったんだと思う。
まだ、我慢できる。コレくらいなら平気だって。
一歩、一歩と、強くなる刺激に足を下がらせていると、気づけばもう崖っぷち。右にも、左にも、もちろん後ろにだって逃げ場がなくなっている。
後はもう、自分から飛び降りるか、男の人に突き落とされるか。思うように ならない自分の体ですら、もう信じられない。
下腹部に灯った熱は、じわじわとお腹の中で大きくなる。
閉じた太ももの隙間に汗が浮かび、それとは違う湿り気を下着の中に感じると、体の興奮とは裏腹に、私の心は急に冷えていった。
無理矢理に、自分の性を見せつけられる。
気持ちいいだなんて ちっとも思ってなかったのに、性的な刺激を受け続けた私の体の何処かで、なにかのスイッチが切り替わってしまったみたいだ。
もう、濡れてしまったのかい?
分かるよ? 君から女の子の甘い匂いが強くなってるから。
「ちがい、ます…わたし、そんな匂いなんか…」
緩く首を振って、男の人の言葉をなんとか否定する。
だけど、実際の所はどうなんだろう?
擦れ合わせた太ももの隙間。大きく広げた脇の下。首筋にだってそう。
浮かんだ汗の粒が、流れて、広がって、滲んで、乾いて、その先で、どんな匂いになってるかなんて私には分からない。
すぅっと、うなじ の辺りの空気が吸い寄せられる。
男の人が大きく息を吸い込んだ後「はぁ…」と、吐き出した恍惚の息に背筋が寒くなる。
「やだ…匂い、嗅がないで…」
良い匂いって言われても、こんな状況で喜べるわけもない。
甘い匂いだって、そんなのシャンプーの匂いだったり、部屋で使ってる芳香剤の香りのはずだ。
首筋の匂いを嗅ぎながら、男の人の指先が、また私の割れ目の上を撫でてくる。
ゾクッとした。
クリトリスに触れられた訳でもないのに、一瞬、足から力が抜けそうになる。
じんわりと、下腹部に灯った熱が疼く。その刺激は背筋を伝い、頭に響くと、感じていた妙な刺激に色が付いたみたいだった。
無色だった。ただ、慣れない刺激の筈だった。
薄い桃色。
その刺激が、何色だったか聞かれれば、私はきっとそう答えていたんだろう。
まだ淡く、白にも近い色が、痺れを受け取る度に、だんだんと色濃く染まっていくのが分かる。
がたん、ごとん、がたん、ごとん…。
電車に揺られて、私も揺れる。
♪♪♪
滑舌の悪い車掌さんのアナウンス。耳慣れない到着メロディーが車内に響くと、電車はゆっくりと次の駅に停車していた。
扉が開き、まばらだった人影がさらに少なくなっていく。
私は一人、車両の真ん中に取り残されたまま、彼らが降りていくのをただ見送っていた。もしかしたらって、期待ももう起きない。期待したって裏切られるだけなら何も考えないほうが良い。
電車の中と外は違う世界で、外側の日常と私はすっかりと切り離されてしまっていた。
がたん、ごとん、がたん、ごとん…。
再び電車が動き出し、駅のホームが、そこにあったはずの私の日常と一緒に遠ざかっていく。
主要駅からもだいぶ離れると、使い辛いだけの最後尾の車両に乗っている人なんて誰もいなくなっていた。
隣の車両、その隣の車両と、一直線に続く電車の中には、まだチラホラと人影は残っているけれど、さっきまで近くに座っていた人たちでさえ私に気を払わなかったんだ。あんな遠くから、こっちに気づく人なんている訳がない。
人目が途絶えたことで、男の人の動きはさらに大胆なものになっていった。
「やめて…もう、触らないで、くだ、さい…ぃゃぁ…」
電車の揺れと振動は、私のか細い悲鳴なんて簡単に遮ぎり、男の人の大きな体の影に隠れた私は、誰の視線も届かない。
開けた胸元。晒されていたブラジャーの下に、男の人の手が入り込む。
ブラの中から、胸の膨らみを覆っていた布地を指で大きく弾かれると、窓ガラスには隠すものなくなった私の素肌が映り込んでいた。
頬が熱くなる。
晒された素肌を隠そうと、咄嗟に体が閉じてしまう。
掴まされていたスカートを離し、つり革から手を離そうとして。
だけど。
そのまま。隠すとお仕置きだよ?
さぁ、スカートをもう一度、自分で捲って見せて?
つり革を、ちゃんと掴んでいるんだよ?
「ぅ、ぁっ…ぁ、ぃ…」
つり革を掴み直す。
今度は自分からスカートの端を握ると、ゆっくりと捲りあげていく。
窓ガラスに映る自分の姿に、目眩がしそうだった。
下着が見えるほどにスカートを捲りあげている私。
開けた胸元を隠さないまま、素肌を晒している私。
小柄な私には、つり革を掴むだけで精一杯。脇を閉じようにも、手を下ろせば何をされるかわからない。
伸び切った腕に、脇の下が大きく開いてしまう。胸の膨らみと、そこにある乳首が、伸ばした腕に引っ張られて少しだけ形を崩していた。
カチャリ…カチャリと、背中の方で音がした。
それは、電車の揺れる重たい音とは全く違っていた。
もっと身近な、軽い金属同士が擦れるような音だった。
男の人の気配が強くなる。
私の小さな背中に、広い胸板や、ガッチリとした腹筋が押し付けられた。
それと同時に、お尻の下に感じた違和感。太い? 固い? それに熱い。
例えるなら、肉の棒のようなその感触に気がついた私は、思わず声を上げていた。
「ひっ…っぅ!?」
小さな悲鳴が口から飛び出した瞬間。男の人の手のひらに口を塞がれる。
静かに。あんまり騒ぐと気が付かれてしまうかもしれないよ?
そうなれば良い。気づかれて困るのは私じゃない、貴方の方だって。
でも、そんな強気が私にはなかった。
仕方がないって、とっくに諦めてしまっている。
早く開放して欲しい一心で、男の人の言うことを聞くしか身を守る術がない。
彼のため? お母さんのため?
ううん。これはもっと別の感情だ。
お仕置きって言葉が頭を過る。電車の中で、ここまでしてしまう様な人を怒らせたらどんな目に合うかも分からない。自己犠牲なんて健気なもんか、今この場をやり過ごしたいだけの、ただの妥協でしか無かった。
「んっ」と、小さく頷いてしまった私に満足したのか、男の人の手が口から離れると、また胸の膨らみを大きな手の平に包まれた。
指先についてしまっていた私の涎が、ヌルヌルと、胸の上に塗り拡げられていくみたいで気持ちが悪い。
伸びた指先の一本が直接 乳首に触れ、先っぽを指の腹で転がされた。
ビリっとした刺激が走る。乳首の先から胸の奥に伝う痺れに、心臓の鼓動が早くなる。
その刺激は、下腹部を覆う刺激に良く似ていて、もう自分を誤魔化す事も難しかった。
これが性感なんだと、思い知らされる。
自分の女性を刺激され、体が興奮していくのを止められない。
下腹部に灯る熱。
じわじわと強くなる熱感に押し出されたように、太ももの隙間から、つぅっと流れていくものがあった。
汗とも違う。もっと粘ついていて、張り付くようなその感覚に、もう自分じゃどうしようもないんだと、諦めの気持ちがまた強くなっていた。
太ももの隙間に、男の人の肉棒が差し込まれていく。
足を開いて、少しでも刺激から逃がせばいいのに。女性器に触れようとする肉棒の感触に体はどうしても縮こまり、お尻と、太ももの間に肉棒を挟み込んでしまう。
くちゅり…くちゅり…。
下着の上から押し上げられて、閉じた割れ目の向こうで抱えていた私の愛液が溢れてくる。
愛液は肉棒を濡らし、滑りを良くすると、挟まれた肉棒と下着の間でリズムよく動き始めていた。
「んっ、はぁ、ぃゃ、やだ、とまって…やめ、あっ…ん、ふぅ、はぁ…っ」
じんわり、じんわり…。
女性器に受ける刺激に浮かされ、お腹に抱える熱が強くなる。
気持ちよくなんかない。だけど、その性感をもう無視できない。
これがいずれ、快感に変わっていくものなのかと思うと涙が溢れた。
どうせだったら、彼に抱かれたかったな。
同じ性感を覚えるでも、もっと、きっと、穏やかな気分でいられたに違いない。
ヒーローに思いを馳せるような子供心は、もう随分と遠くにいってしまった。
今の私はヒロインどころか、ただのオモチャだ。
男の人を慰めるだけのお人形。
なのに。
下着越しに肉棒が擦れる度に、お腹に抱えた熱が強くなる。
弄ばれる胸の膨らみから、転がされる乳首の先から、伝う性感は大きくなる一方だ。
がたん、ごとん、がたん、ごとん…。
電車に揺られて、私も揺れる。
ふと、急なカーブに差し掛かった電車が、大きく弧を描くと、私は堪えきれずに体勢を崩してしまっていた。
いつの間にそうなっていたんだろう。
気づけば、足に力が入らなくなっていた。
自分で立っているつもりでも、背中を預けるようにして、男の人の体に寄りかかってようやくだ。
バランスを崩し、もう引っ掛けるだけになっていた指先がつり革から滑ると、
前のめりに倒れ込んでしまう。咄嗟に前に出した手が背もたれを掴み、崩れた膝がシートのクッションに沈み込んだ。
「あ、ぃゃ、ちが、これは…ごめんなさい、ごめんなさい。すぐに、立つから…ゆるして…くだ、ぁっ」
お仕置きをされる。
今の私は、その言葉に支配されていた。
慌てて立ち上がろうとしても、自分の体なのに思うように動いてくれない。
太ももは震えて、指先は滑って。じくじくと、お腹に抱えた熱感に力が奪われていくみたい。
開いた足、覗き込んだ自分の体。
晒された胸の膨らみと、興奮でピンっとなった乳首。愛液で張り付いた下着の上に出来た雫が途切れ、シートの上に黒ずみを作る。
それはまるで、男の人に自分の体を差し出すような格好だった
両手と両膝をシートの上について、お尻を向ける。
服は乱れ、スカートの下から伸びた太ももには、汗の代わりに愛液の雫が流れ落ちる。
誰がどう見たって、発情している女の体だっただろう。
自分でだって、これからされる事を想像しないではいられない。
「…っ。ゃ、だ、ぃゃ…お願いだから、それだけは…やめ」
さっき、想像しかけた言葉に全身が縮こまった。
それは、お腹に抱えていた熱感でさえも冷えてしまうほどの恐怖だった。
スカートを捲くられ、丸出しのお尻を撫でられる。
指先が下着のゴムに引っかかり、ズルっと下に引きずり降ろされた。
「ひっ! ぅっ、ぁ…んぅ、んぅぅぅっ!!」
口元を大きな手に塞がれる。
首を振って、逃げようとしても余りの力の差に呻くのが精一杯だ。
股間に触れる男の人の熱。
がたん、ごとんと、揺れる電車に合わせて、私の割れ目が肉棒の先に舐められた。
逃がそうとした腰を強く掴まれ、ぐっと、指先が食い込んでくる。
抑えられた口元にも力が入り、首が、背筋が反り返ってしまう。
あっけなかった。
自分では、ちゃんと抵抗したつもりだった。
お腹に力を入れて、足を閉じようとして、それが何になったんだろう。
ズルって、ただそれだけ。
ぐばって、割れ目を大きく開かれた感触だけが、そこから伝ってくる。
痛いとか、苦しいとかよりも。閉じていた割れ目の中を、ズルズルと、ズルズルと、嫌な音を響かせながら、無理矢理に上がってくる肉棒の感触以外に気が回らない。
とんっと、お腹の奥から突き上げられた。
ぱつんって、お尻に男の人の腰がぶつかった音がする。
「っぁ!! ゃっ、ゃっ、んっ、ふぅぅっ、ふはっ、あ、はっ…ひぅっ…!!」
泣きたい。泣き叫びたい。
けど、私にはそれすら許されなかった。
声を上げようにも口を抑えられ、自分の流した涎が男の人の手の平と私の唇を汚していく。
肉棒に私の中が抉られていくみたい。
初めての挿入の刺激も落ち着かないままに、ぐちゅり、ぐちゅりと、中で動かれている内に、お腹に抱えた熱感も大きくなっていった。
感じてなんかない。気持ちよくなんかない。
ただ、痛くて、苦しいだけ。傷口が疼くみたいに、ちょっとお腹が熱く感じてるだけだから。だけど、その痛みの中には、性感の熱があったのも確かだった。
きっと、そうでもならなきゃ、もっと痛かったんだろうな。
体の防衛本能だったんだと思う。
痛みを麻痺させて、感覚を痺れさせて、性感で肌を染めていく。
痛いのも、苦しいのも、怖いのもあったけど。興奮した体は熱に浮かされ、気持ち良いとか、気持ちよくないとかいう前に、頭がぼぅっとしてきて、もう体に力が入らない。
男の人の肉棒が私の中で動く度に、溢れた愛液が掻き出されたみたいに太ももを伝い流れていった。やがて、肉棒の侵入を拒んでいた割れ目の抵抗までも緩んでくると、抽挿が激しさを増してくる。
「んふっ、ぁぅっ、んひっ、ぃぃ…っ、かっ、はぁっ、ふぅぅ、ふぅぅ…っ!!」
大きな手に抑えられた口元。その指の隙間から、興奮しきった自分の声が聞こえてくるのがイヤだった。
頭を振って、耳を塞ぎたくても出来なくって。
気づけば私は、電車が揺れるよりも大きく体を揺らされて、強い性感に正気を失くしていく。
甘い痺れを感じた。
頭の中にモヤが掛かったみたいに、薄桃色に染まっていく。
それは次第に色濃くなり、桃色から真っ赤に変わると、また桃色へと近づき白へと変わっていく。
「ふぅぅぅっ! はぁっ、はひぅっ、んふっ、ひゃっ、あっあぁぁっ…!!」
お腹の奥から肉棒で突き上げられ、大きな刺激に喉が鳴る。
強い性感に体が震え上がり、溢れた涙が頬をこぼれていった。
きゅぅっと、お腹に抱えた熱が縮こまっていくみたい。
乳首の先がシートの起毛に擦れただけで、じりじりとした性感に、胸が焦げ付いてしまいそうだ。
ほら、前を見てごらん?
男の人の声がすると、抑えられていた口元に力が入り、無理矢理に顔を上げさせられた。
私達が映り込んだ窓ガラスには、男の人に犯される自分の姿があった。
頬を染め、涙を浮かべ、胸の膨らみをシートに押し付けながら、後ろから犯されている自分の姿。
なんて酷い、なんてあられもない。
本当に、イヤがってるのか、自分ですら分からない有り様だ。
がたん、ごとん、がたん、ごとん…。
電車に揺られて、私も揺れる。
その時だった。
ふと、向こうから近づいてくる電車の音に、窓ガラスに映っていた私の顔は青ざめた。
「んっ、んふっ、ふはっ! おねが、やめ、からだ、かくさせ…ぃゃっ…!!」
反対側へ向かう電車と交差する。
変なの。ゆっくりと、時間が進んでいくみたい。
窓ガラスの向こうには、何人かの人が立っているのが分かる。
男の人、女の人、私くらいの年代だったり、もっと大人の人だったり。
その誰もが、スマホを抱えていて。その何人かと目が合った気がして。
パシャリ…。
私は慌てて顔を背けてしまった。
たった一瞬のすれ違いで、今の私の状況なんて分かる訳も、撮影なんか出来る訳もないのに。
がたん、ごとん、がたん、ごとん…。
パシャリ、パシャリ、パシャリ、パシャリ…。
反対側の電車が通り過ぎていくその瞬間。電車の揺れに合わせて光を反射した窓ガラスが、カメラのフラッシュの様に感じてしまう。
大変だね? 誰かに見られてしまったかもしれないね?
もしかしたらもう、SNSに上がっているかもしれないね?
「あふっ! んはっ、ひっ、んっんっ、ぃゃっ、ぃゃぁぁぁっ…んん」
また、口を抑えられると同時に、男の人の突き上げが激しくなった。
もう、息をするのもやっとだ。
頭が真っ白に近づいていって、指先の感覚からなくなっていくと、残ったのは強い性感だけ。お腹に抱えた熱と、乳首を焦がす熱さ。全身を流れる甘い痺れに、どんどん自分が壊されていく。
ぐちゅり、ぐちゅり…。
ぱつん、ぱつん…。
がたん、ごとんと、揺れる電車の中で犯され続けていると、男の人の肉棒が私の中で大きく震え上がったのに気づく。
「ひっ!」
息を呑んだその瞬間。
きぃぃっと、ブレーキが掛かり、カーブに差し掛かった電車に体が引きづられた。シートに胸の膨らみが押し付けられ、後ろから男の人の体重が伸し掛かる。
さらに奥へ、私の深い所にまで入り込んだ肉棒は、そのままドクンっと、大きく震えると、お腹の中に熱いのが注ぎ込まれてきた。
「いやぁっ!! やだ、とまって、なか…だめ、でて、こないで…やだ、やだぁ っ…!! ぬいて、ぬいてくだ…ぃぁ…もう…っ」
ようやく、上げることの許された悲鳴はブレーキの音に掻き消され、幸か不幸か、私の痴態は誰にも気づかれることは無かったみたいだ。
その瞬間。
モヤの掛かっていた頭の中は真っ白になり、性感が全身へと溢れ出す。
ビクンっ、ビクンっと、射精の震えに合わせて、体に力が入ってしまう。
下腹部が引きつったように震えだし、それはまるで肉棒を締め付けるようでも合った。
「あ…はっ、ん、ぁ…な、んで…わたし、ちが、こんな…ぁぁ」
こんなはずじゃなかった。
ちょっと、体を触られてそれだけだと思っていたのに。
まさか、だって、電車の中で犯されるなんて思うわけない。
だらだらと、だらだらと…。
肉棒と割れ目の隙間から溢れ出した精液が、私の太ももを白く汚していく。
そこに、つぅっと、一筋の赤い線が見えた途端に、私の体はシートの上に崩れてしまっていた。
がたん、ごとん、がたん、ごとん…。
電車に揺られて、私も揺れる。
耳障りな踏切の警報音。滑舌の悪い駅員さんの声。
聞いたことのない駅名を何処か他人事のように聞いている私。
がたん…ごとん…。
やがて、電車はゆっくりと速度を落とし、停まった駅が私の行き止まりだった。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
まともに考えたらダメなんだろうけど。
満員電車で最後までって、上手い言い訳が思いつかなかった。
それを言ったら、電車で最後までって状況とかどう考えても無理なんやけど。
まぁ、ファンタジーファンタジー。
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