♪♪♪♪
終業のベルが鳴り、今日も学生としての一日が終わる。
手早く荷物を纏め、席をたった私は、友達との挨拶もそこそこに、教室を出ようとした時だった。
「北見」
呼び止める彼の声に、思わず立ち止まってしまう。
振り切ればいいのに、でも出来ない。振り返れば彼の顔があるって分かっているからこそ、どんな顔で返事をして良いか分からなくなり、そこから身動きが取れなくなっていた。
怒っているだろうか?
その声音はいつもと変わらず、優しい響きで私の名前を呼んでくれていた。
それでもだ。遅刻や早退を繰り返す私は、彼に心配をかけてばっかりで、その理由についてだって、うまく説明できたためしはない。
月に一度くらいならまだ。
でも、その言い訳も使ってしまった以上。体調不良や、急な用事でごまかし続けるのも辛くなる。
「帰るんだろ? 一緒に帰ろうぜ?」
「っ…!」
私を呼び止めた彼の手が肩に触れる。
男の子の手だ。私なんかよりも大きくて、力強い異性の体を感じた途端に、どうしようもなく胸がざわついてしまった。
「ご、ごめんね、清水くん。私、今日は急ぐから…」
「それは良いけど。どうせ駅までは一緒だろ? 行こうぜ?」
「ごめんっ」
ためらう私の手を引いて、先に歩いていこうとする彼の手を、私は初めて振り払ってしまっていた。
驚いた彼の顔なんて初めて見た。
なんのかんのと小言を言いながら、彼に手を引かれていた私が見せた初めての抵抗に、困惑の色が見て取れる。
「あ、悪い。痛かったか?」
けど、それも一瞬だ。すぐに表情を取り繕った彼は、困ったように笑いながらも、私に謝ってくれた。
「ちがうの…。その、上手く言えないけど…。今日は、ごめん…」
「ああ、わかった。どこか、一人で行きたい所だったんだな? ごめんな、いつも俺が無理に手を引いてばっかりで、こういう事、前にもあったりしたか?」
問いかけに、小さく首を振って返すと、彼は心底安心したように息を吐いた。
「良かった。北見って、結構引っ込み思案だからな。強引すぎたかって、ちょっと焦った」
「ううん、嬉しかったよ。あっちこっち連れてってくれて。自分じゃ、絶対行かない所ばっかりだったから」
「そっか…。て、急ぐんだろ? 俺は良いから、また明日な?」
「うん…。また、あした…ね?」
手を振られて、振り返した後も、なかなか立ち去ろうとしない私に、彼の顔にも疑問が浮ぶ。
「あの…清水くん?」
「どうした?」
「明日からも、私と…その。仲良くして、くれますか?」
「当たり前だろ?」
言葉通りの微笑みに、胸が温かくなった。
私はまだ彼のことが好き。ちゃんとそう思える自分に、心底ほっとする。
「どうした? いきなり告白みたいな事言って」
「…」
「え、まじ?」
まぁ、そうも聞こえたか。
間違ってもいないんだけど「はい」と答えるまでの勇気はでない。
頬を染めた私は、ただ小さく頷きを返すと、気恥ずかしさから逃げるように彼に背を向けていた。
ー
がたん、ごとん、がたん、ごとん…。
電車に揺られて、私も揺れる。
駅に着くまでの時間に、ぼんやりとでも彼のことを考えてしまう。
駆け出した私の背中を呼び止める彼の声。彼を茶化すクラスメイト達の黄色い声。
明日、教室に入ったら何を言われるんだか。
告白なんてさ。しかも、誰の耳にも入りそうな教室の入口でだ。
ふと、窓ガラスに映った自分と目があった。そこに映っていたのは、ただ普通に恋をしている女の子の顔。思っても見なかった自分の大胆さは、差し込む夕日よりも赤く、未だに私の頬を染めていた。
がたん、ごとん、がたん、ごとん…。
電車に揺られて、私も揺れる。
それはやがて、ゆっくりと足を落とし、到着を知らせるメロディーに続いて扉が開く。
聞き慣れない音楽と、見知らぬホーム。
人の流れに押し出されるように改札まで向かった私は、慣れた手つきで改札をくぐると、スマホの画面に視線を移した。
決済を知らせる案内とは別に、もう一つのメッセージ。
ーこれで最後にしてあげるー
今まで、さんざん私の体を使っておいて、随分勝手なことだ。
けれど、最近の私の反応を振り返れば、ようやく飽きてくれたのかと胸を撫で下ろさないでもない。
唯々諾々と、犯されることには慣れてきた。
感じさせられて、嬌声を上げることはあっても、最初の頃ほど新鮮な反応ではなくなっていたはずだ。
悔しさに涙を抱えて、嫌だと口にしながらも、快感を隠せない少女の体。
あの人から見たって、随分と初々しい反応だった事だろう。
それに比べて、今の私はどうだ?
言われるままに体を開いて、犯されることを良しとする。快感だって、それはそれとして割り切れてきたし。流されている間は、そう悪いものとも思えなくなっている。
どうして、告白なんかしてしまったんだか。
さっきまで浮かれていた筈の心が、酷く冷えているのに気づく。
こんな私を、清水くんはどう思うだろう。
嫌がっているならまだしもさ。もう抵抗することさえ諦めていて、無理やりされているのに快感を否定できない。
きっと、嫌われるんだろうな。
だって、パパ活する様な子に告白されたって、彼の評判に傷が付きかねないもん。
自分から告白みたいな事をしておいて、ごめんなさいだなんて、それを口にする自分を想像するだけでも辛い。バレるわけない。きっと大丈夫だって開き直っても、いずれ二人っきりになったらバレてしまう日も来るんだろう。
夢の終わりが長いか、短いかだけの差か。
それなら、傷が深くなるその前に、彼のことを諦めてしまう方が楽でいい。
悶々としながら 知らない街を歩いていた私は、地図アプリの案内に従って、ラブホテルの前で足を止めていた。
「意外と…普通なんだ」
見上げたホテルの外観は、一見すればいい感じのシティホテルにも見えなくはない。むしろ、浮いていたのは私のほうだろう。
学生服を着た女の子が、ホテルの前で立ち尽くす。
最近のご時世を考えれば、パパ活か、円交かって思われても仕方がないし、実際その通りな以上、否定もできやしない。
「…うん」
その頷きの意味を自分でもわからないまま、ホテルに入った私は、無人のロビーを抜けると、エレベーターのボタンに指をかけていた。
ー
「あの…本当にこれで、終わりにしてくれるんですか?」
「もちろん」と、頷いた おじさんの言葉をどれほど信用したもんか。
今日だけだから、今日はコレでって、言われて裏切られたことだって少なくはない。
半信半疑と、僅かな期待。
その気にさせておいて、騙されたと憤る私の顔が見たいだけだと考える方が、まだ自然に思う。
「…っ」
ベットに座らされた私は、向かいに置かれた鏡に気づく。
洗面所にあるような物じゃない。わざわざ全身が映るように配された大きな鏡は、そういう目的のために設置されているんだろうことは容易に想像が付いた。
これから自分が、あの鏡の向こうでどんな痴態をさらすのか。
電車の窓に透けて見える程度でも、あんなに顔が熱くなったのに。
あの鏡の中には、これから自分の身に起きることへの 期待と不安で揺れる私の姿が、はっきりと映り込んでいた。
どうしてホテルになんか来てしまったの?
あんな約束、真に受けてさ?
本当は、エッチなことをされるのが楽しみだったんじゃない?
そんな風に、鏡に映る自分を睨めつけても、返ってくる答えなんかない。
それはそう。だって、鏡に映っていたって私は私だもの。
ただ流されて、流され続けて。何時の間にか、勝手に溺れそうになってるだけ。言われるままを良しとした、私の自業自得だった。
「その後はどうだい?」
「その後…ですか?」
ただの世間話。そんな声音でおじさんが話しかけてくる。
「彼とだよ? もう抱かれたりしたのかな?」
「…っ。してません…できるわけ、無い」
吐き出した自分の言葉に胸が締め付けられる。
何れは自分もと、思い描いていた初めては無惨に奪われた。
そのままズルズル続いた関係の中、いつしか私の体は、どんどんと快楽を覚えていって、今更どうして彼と体の関係望めば良いのか。
「へぇ、まだなんだね? 今の子は進んでいるって聞いてたけど」
無責任な言葉に、ぎゅっとスカートを握りしめる。
「誰のせいっ」て、思わず呟いてしまった自分の変化に、私自身が一番驚いていた。
「もしかして、僕とのエッチ、気に入ってくれたのかな?」
「ちがい、ますっ」
「じゃあ、どうして今日はここに来たんだい? 最後だって、本気で信じたわけじゃないんだろう?」
「それは…っ。でも、来なかったら、もっと酷いことするんでしょ…」
「酷いことなんてしないさ。今までだって、気持ちよかっただろう?」
「ちがいますっ、ちがうからっ…。貴方なんかに、抱かれたって私はっ!」
声を荒げた私を宥めるように、頭を撫でられた。沈み込むベットに体が傾き、後ろから、おじさんの大きな体にそっと抱きしめられる。
「告白でもしたのかな?」耳元で囁かれた言葉に、心臓が跳ねた。
なんで? どうしてって、言葉が巡っても、それを解決する答えは出てこない。
「隠し事が下手だね、まふゆちゃんは」それが困惑の答え。
半ば当てずっぽうの言葉に、私が大きく反応してしまっただけ。
そんなに、わかりやすかったんだろうか?
ううん。きっと、そうじゃない。
最近は大人しく言う事を聞いていた私が、急に声を荒げて、忘れてしまっていた抵抗を思い出せば、誰だって、心境の変化には気づくだろう。
「返事は…貰えたわけでもなさそうだね?」
答えない。答えたくなんかない。これ以上この人に、彼との思い出に踏み込んで欲しくなかった。
「今の君を知ったら、きっと彼は驚くだろうね。あの年頃の男子は、女の子に幻想を抱きがちだから」
口を閉ざしてしまった私への嫌がらせだろう。それは分かる、分かるけど。
的確に私の心を傷つける言葉に、悔しくって涙が溢れてくる。誰のせいでこんな事になったんだって、握り拳をそのままぶつけてしまいたい。
「これで…最後、です。これ以上するなら…私、ほんとに…」
お母さんにも話して、警察にも言って。
いままで我慢してきたことの全部が、台無しになっても良い。これ以上、彼が好きな私を、自分の手で汚すのは許せなかった。
「もちろん」頷いた おじさんは、そのまま私の体に手を掛けた。
上着を脱がされ、慣れた手つきでブラウスのボタンを外されると、晒された肌に羞恥の熱が浮かんでくる。
するり…するり…。
衣擦れの音が聞こえてくる中、抵抗を挟む余地なんかなかった。
ブラジャーを、スカートを、パンツまで脱がされて、一糸纏わぬ姿の私が鏡の中に映り込む。
それは、初めての感情だった。
肌を晒し、触れられて。何度も体を許したことは合っても、人前で裸になるなんて経験はなかった。
こんなに不安になるものなんだ。
ブラを開け、スカートを捲くられて、大事な所を見られて、触られて。
ほとんど裸のような格好になった自分の姿に、恥ずかしいと、悔しいと思うことは何度も合った。
それでもだ。
ほとんど裸みたいな格好をさせられるのと、服を全部脱がされるのではだいぶ違う。ブラや、ショーツだけでも良い。それは決して、私を守ってくれるものではなかったけれど、そんな薄い布切れだけでも今は欲しかった。
これから自分はどうなってしまうのか?
恥ずかしさや、悔しさよりも、不安に思う気持ちが強くなる。
想像はできる。それは何度も体験した未来だ。
ぎゅっと目をつぶって、刺激に耐えて。おじさんが飽きるまで大人しくしていれば良い。感じることだってあるかもしれない、我慢できずにイッちゃう事もあるんだろう。その全部に抗わず、流されていれば、きっとその内終わるから。
大丈夫、大丈夫…。
いつもと場所が違うだけ。むしろ、人目が無くて楽なくらいだ。
服だって、汚されるくらいなら、最初から無い方が良いに決まってる。
人前で、完全に裸になるなんて事がなかったから、ちょっと過敏になってるだけ。
だから大丈夫。自分に言い聞かせる様に、心の中で唱え続けた。
胸の前でぎゅっと手を握り、足を閉じて体を縮こませる。
見えないように、見られないように。情けない自分の姿を、少しでも鏡の中から遠ざけたい。そんな無意識が、自然と私に体を抱かせていた。
繰り返し、繰り返し、深呼吸を重ねて、不安で潰れそうになる心臓を必死に励まし続けていると。
「ぁっ……ひゃっ♥」
けれど、そんな私の意地を笑うみたいに、口からは変な声が出てしまう。
想像した未来。犯されることにも慣れてしまった私の体は、とっくにその気にでもなってしまっていたのだろうか?
鼠径部に。下腹部と、太ももとの間が作る隙間に、おじさんの指が入り込む。
その刺激に腰が跳ねそうになった。ゾクッとした刺激が喉を鳴らし、反射的に足を閉じてしまう。
ゆっくり、ゆっくりと…。
鼠径部の境目から、おじさんの指が昇ってくる。
そのまま下に降りてこなかった事に、少しだけほっと息を吐いては見ても、状況は何一つ変わってはいなかった。
今、そこに触れられなくたって、遅かれ早かれアレが私の中に挿ってくるのは変わらない。チリチリとした感覚が胸を焦がす。それは、焦りのようでもあって、同時に性感を思い起こさせる甘い痺れにも繋がっていた。
触れるか触れないのかの柔らかい指使いで、お腹の上を撫でられる。刺激と言うには中途半端でも、それが余計に触られた肌への意識を強くさせ、もどかしさに期待が募る。
くすぐったい様な、気持ちが良い様な。
肌が色めき立ち、曖昧な力加減に重ねられている内に「はぁ…」と、熱い吐息が零れてしまった。
「手を、退けてくれるかな?」
言われて、いつもなら素直に従っていたんだろう。
なのに、どうしてか今になって抵抗を思い出してしまう。
裸にされたせいじゃきっと無い。
鏡に映る自分の視線を意識したのも合ったんだろうけど、思い当たる自分の心を無視できなかった。
あの時、思わず口にしてしまった告白まがいの言葉せい。
それはきっと、弱り切った私の心が見せた、最後の悲鳴だったのかもしれない。
この声を無視したら、自分が壊れてしまうんじゃないかって。
「ごめんなさい」って、彼を振ることも出来なければ「ごめん」って、振られる事すら叶わない。付き合えるだなんて、そんな贅沢までは望まないよ。
正直に話して、全部話して、初恋がちゃんと終われればそれで良い。
きっと酷い振られ方をするんだろう。でも、今の私に釣り合う幸せなんて、きっとそんな程度なもので、逆にどんな罵倒の言葉を貰えるのか楽しみなくらいだって。そんな強がりだって、今なら言える気がした。
「っぁ、ぃっ…! やだ、はなし、て…ください…」
ぎりっと、掴まれた力強さに思い出さずにはいられない。
いつも、私の手を引いて歩いてくれた彼の後ろ姿。思い出そうとしたその背中の代わりに、私の手首を掴んでいたのは、名前も知らないおじさんのゴツゴツとした大きな手。
抵抗しようとしたよ。
だけど、単純な腕力で適うわけがないのを見せつけられただけ。
必死に力を込めては見ても、まるで子どもの相手をするみたいに体を開かされてしまう。
清水くんの手ですら、振り払うのがやっとだったのに。あの時ですら、本気で私を掴んでいた訳じゃなかったはずだ。なのに、彼より大きな男の人の手を、私なんかがどうにか出来る訳がなかった。
イヤだな。
此処は電車の中じゃないっていうのにさ。
掴まれた左の手首が、そのまま上に持ち上げられると、つり革を掴んでいる時のような格好にさせられてしまっていた。まるで、一番最初のあの日に帰ってしまったみたいで、気持ちがどんどんと沈んでいってしまう。
もう、どうにもならないって諦めていても。
まだ、誰かに助けて欲しいって、子供みたいに願っていた自分を思い出す。
晒された胸の膨らみを守ろうとして、残った自分の右手で左胸を隠した。
腕を寄せて、背中を丸めて、右胸も何とか視線から隠すと、少しだけ気分が楽になる。
分かってる。
些細な抵抗だ。
私がちょっと頑張ったくらいじゃ、おじさんの力に適うわけなんかない。
どうせまた。強引に右腕も引き剥がされれば、それでおしまいだ。力の差を思い知らされた私は、また、抵抗する気を挫かれてしまうんだろう。
それでも、やれるだけはやらないと。
明日、彼に合わせる顔すらなくなってしまう。
胸に灯った小さな恋心を守るために、私は自分の体を隠すように抱きしめた。
大きなおじさんの手が、小さな私の手に重なった途端に肩がすくむ。
けれど、私が身構えた程には、その力は強くはなかった。
手の甲に、手の平を添えられる。優しく寄りそう様な力加減に、困惑を隠せないでいると。
「んっ…♥」
胸に広がる性感に、喉が鳴ってしまった。
「あ…やだ、やめ、んふっ…はぁっ…」
例えばそう。まるでピアノでも弾いてるみたいな指の動きだった。
細い私の指を鍵盤にして、太いおじさんの指が、一つ、一つと、私の指を押してくる。押し込まれた指が、胸の膨らみを刺激して、零れた熱い吐息が淫らな音色を奏でてしまう。
「こんな風に。自分でもオナニーしていたのかな?」
「してませんっ…するわけ、はっ、こんな…気持ち悪い、こと」
「ははっ。ひどいな、それは。いずれは彼ともするんだろうに。その時も君は、気持ち悪いって、彼にも言うのかな?」
「やだっ…そんなこと…いわな、あっ♥」
自分の指で胸を刺激させられる。
きっと以前なら、その程度じゃ性感を見つけられなかった筈なのに。
チクリ…チクリと、胸が痛む。
耳元で囁かれる意地悪な言葉を否定している間にも、胸に感じる性感はやがて熱を持ちはじめ、鼓動の音を強くしていった。色めき立った肌が、落ち着かなくなっていく。その内に、乳首が膨らみ始めると、手の平をくすぐられるような感覚と一緒に、甘い痺れが乳首から伝わってきた。
なんで、どうして…。
私の体なのに、嫌な事されてるはずなのに。
気を確かに、抵抗の意思を強くする程に、体を覆い始めた性感に意識が向いてしまう。まだ、触れられてもいない下腹部にも熱感が生まれると、恥丘が湿り気を帯び始めていた。
それを隠そうとして、誤魔化そうとして。
無意識に閉じた足の内側から、伝わってくる淡い刺激に気づいたのは、私だけじゃなかった。
「気持ち良さそうだね。太ももまで擦り合わせてさ? 自分で自分の体を触るの、気に入ってしまったのかな?」
「…っ! こんな、こと…もう…やっ、なに、する…の。だめっ…やめっ…っ!」
持ち上げられていた私の左手が下に降ろされる。それは だんだんと閉じた足の間へと近づいてくると、広げた手の平が股間へと押し付けられた。
グチャリと、湿った音がする。
実際に耳に響くことはなくても、太ももを濡らす感触が、恥丘から押し出された愛液のものだと気付かないではいられなかった。
興奮していく自分の体に、だけど、どうすることも出来やしない。
中指を おじさんの指に押し込まれる。ヌルっとした感触が糸を引きながら、太ももの間に指先が沈んでいった。閉じる足に力を込めても、愛液で濡れてしまった肌にブレーキは効かず、むしろ薄い肌を撫でる指先が、性感の色を強くするだけ。
触れたら気持ちが良いんだろうな。期待を促す想像が、頭の片隅に浮かんでくる。
ほら、思った通りだ…。
「あふっ…♥ あっ、はぁぁぁっ、ぁっ、やっ…やだ…ぁぁぁっ…♥」
恥丘の上を、そこにある割れ目の一筋を、私の指先が掠めていく。
一回、二回と、刺激は強くなり、下腹部に抱えていた熱感が重さを増すと、すっと、体から力が抜ける感覚を味わう。
気持ちがいい…。
いつの間に、こんなにもなってしまったんだろう。
初めて自分で触れた性感帯が疼き出す。甘い誘惑が溢れ出すように、割れ目から流れる愛液が量を増し、閉じる足から力が抜けていくのを止められない。
もどかしいんだ…。
おじさんの指に押されるまま、流された指先が割れ目を掠める。
そんな風にされたんじゃ溜まらない。もっと強いのが欲しい。掠めるだけじゃなくって、指先まで沈むくらいにだ。クリトリスを撫でて、転がしたら、もっと気持ちが良くなるのを私は知っている。
知っているから余計に辛い…。
頭にモヤがかり、薄い桃色に思考が覆われていく。
何も、考えられない。
ただ、気持ちがいい。
抱えていた小さな初恋なんて、砂場に落とした宝石のように見分けがつかなくると、自分がどうしたかったのかすら、忘れてしまいそうだった。
なんで、こんなに我慢して。
今更抵抗したって、どうにもならないのに。
こんなに気持ちがいいならもう良いじゃない。
なくしてしまったなにかは、後で探せば同じ事でしょ。
甘い誘惑に思考が狭くなり、鏡に映る自分の姿に抵抗する気が削がれていく。
裸ん坊になった自分の姿。自分よりも大きな男の人に、後ろから抱きしめられている私の体。太くて大きな手に、胸を、股間を触れられて、でも、薄い肌を刺激するのは、柔らかい女の子の指先だった。
自分で、自分の体を刺激させられる。
初めてのオナニーは、何一つ思い通りなんかならない。
無理矢理に指を動かされて、けれど、そこに一つでも甘い痺れを感じると、そこから どんどんと快感が広がっていってしまう。
こんな風に気持ちよくなんかなりたくないのに。
こんな事まで覚えさせられちゃったら、家に帰った自分がヤケクソに何をしでかすか、想像ができないほど子供ではいられなかった。
「あひっ♥ あっ、あっ、そこ、やっ、だめっ…ゆび、おしちゃ…やだ、やぁぁっ…!!」
ぐっと、強く指を押し込まれると、太ももの奥へと沈み込んだ指先がクリトリスの頭を撫でた。腰が跳ね、肩が竦み、快感が背筋を震わせると、下腹部に抱えた熱感が大きくなる。
「クリトリス、好きなんだね? ほら、もっと自分でも触って良いんだよ?」
「し、しませんっ…そんな、こと…あっ♥」
首を振り、知らず知らず、伸びそうになっていた指先を慌てて押さえつけた。
それが何の抵抗になったんだか分からない。ちょんっと、軽く押し込まれただけで、ギリギリで抑えていた指先が、またクリトリスを掠めると、流れ込んできた強い快感に声が上がってしまう。
「ほら、手が止まっているよ? おっぱいもちゃんと可愛がってあげないと」
「へ? あ、あぁっ…はぁっ、ちが、います、これは…んっ♥」
おじさんが、勝手に動かしているものだと思っていた。
けれど、焦れた体を慰めるように、気づけば私は、自分で自分の胸を揉み始じめていた。手の平で転がされた乳首から、甘い痺れが伝わる度に、チリチリとした快感が頭の裏側を焦げ付かせていく。
「どう違うんだい? なにが違うんだい? 乳首もクリトリスもきもちよさそうにしておいて、まだ我慢が出来るのかな?」
おじさんの手が私の頬を撫で始める。右手はもう、自由になっているはずなのに、胸の膨らみに吸い付いた様に離れてくれず、止めようにも快感に浮かれた体が勝手に肌を弄り始める。
だめだ、だめだ、もう無理…。
自分の体のことだもん。もうすぐ、絶頂に達してしまうのはイヤでも分かっていた。イヤなのに、止められないのだってそう。
乳首と、クリトリスを転がす指を止められない。
ビクっ、ビクっ、と、軽い絶頂の震えに頭が痺れ、その度に息を呑んで快感に耐え続けるのも限界だった。
ぼぅっとし始める視界の中で、鏡に映る私と目が合った気がする。
服を全部脱がされ、裸ん坊のままオナニーをする女の子。
後ろから 抱えられ、おじさんの大きな手が体中を這い回っていく。
それが、気持ち良い。
きっと、一人じゃ得られない快感だ。
自分で乳首を、自分でクリトリスを転がしながら、おじさんに肌を撫でられると、撫でられた肌が熱を上げる。そこから快感が溢れ、頭にかかったモヤが薄桃色から真紅に代わり、一気に白く染め上がった瞬間、ぱっと、弾けた。
すっと、するような感覚だ。
すとんと、何かがお腹の奥に落ちていくみたい。
「はっ♥ あ、あ、あ、はぁぁぁっ…ふぅぅっ、ひぅっ♥ んっ、ぁぁぁっ…」
ビクリ、ビクリ…。体が震え、腰が引けるような快感を味合う。
「気持ちよかったね? ほら、見てごらん? 鏡に映る君の顔、とっても可愛くなっているよ?」
鏡に映る自分の姿を見つめる私。そこには、絶頂に達してもなお性感帯から指を離せず、緩慢な快感に浸り続ける私の姿があった。
見つめ合った自分の痴態に羞恥の熱を思い出しても、それすらもう快感の色に変わってしまう。
ドキドキ、ドキドキ…。
絶頂の波が落ち着いても、快感の音色は止まらない。
むしろ、次の快感をねだるように胸の内から焦らされると、乳首とクリトリスを弄る指先にも熱が灯る。
ちがう…。
こんなの私じゃない。
でも、体に纏わりつく快楽は、緩く首を振った程度で払えるものじゃなかった。
見られているのに。こんな、名前も知らない おじさんの前で裸になっているのに、その羞恥心が快感に繋がっていく。
きっとさ、電車の中で散々犯されたせいだと思う。
いつ見られるかも。ううん、どこかで誰かに見られてたことも合っただろう。
そんな環境の中で、見られる事さえ快感の中に織り込まれていって。
「大丈夫だよ。エッチな女の子が嫌いな男はいないからね。今の君なら、きっと彼も大喜びさ」
「あっ…」と、漏らした声は言葉にならなかった。
「イヤ」だとか「止めて」だとか「待って」だとか、簡単な一言すら形にならず。むしろ、ドキっと、強く跳ねた鼓動が、次の行為への期待を強くする。
背中から押され、前のめりに崩れる私。
腰を抱えられて、お尻が上向くと、恥丘にあたる固い感触に全身が震え上がった。
「勝手なこと…言わない、で。彼は、貴方とは…ぅぁっ」
「同じだよ。今度、彼の前でも裸になってみると良い。きっと、君の期待に答えてくれる筈さ」
「いや…いやぁ。言わないでっ、期待なんて、私…あ、あぁぁっ、だめっ、だめっ、今はっ…今挿れられたら、私っ…」
亀頭の先端に割れ目を開かされる。開いた割れ目は、抵抗をするどころか、あっさりと肉棒を受け入れると、ズルズルと熱いモノが私の深くに沈み込んできた。
「すっかり、慣れてしまったね? 前はあんなに抵抗があったのに、僕の形、覚えてくれたのかな?」
「ちがっ、ちがいます…そんな、こと…そんなわけっ! あぁっ♥」
ベットのシーツを握りしめ「ちがう、ちがう」と首を振っても、私の体はとっくの昔に落ちていたんだ。
ぱつっと、音がする。固い腹筋にお尻を叩かれる感触にドキッとした。
繰り返し、繰り返し、濡れた水音と一緒に頭を揺さぶられ、ガクガクと体が震え上がってしまう。腰を抱えられていなければ、とっくにその場に崩れていただろう。
「ぁっ、ひゃっ、んっ、ぅぁっ、はっ、あ、あ、あ、んぅぅぅっ♥」
ぱつっと、音がする度に肉棒で突き上げられた。突き上げられた途端、頭の中に白い快感の花が咲く。背筋を反らせ、お尻を自分から持ち上げて。角度の変わった肉棒は、とうとう子宮の入口にまで届いていた。
その瞬間。膝が崩れ、力の抜けた私の体がベットに倒れ込む。
崩れた私の体がベットの上で押さえつけられた。肉棒がそのまま、私の深くにまで入り込むと、子宮口を攻めるみたいに力強い動きに変わっていく。
「ほら? ここだろう? 君の一番大事なところだ。自分から近づけてくるなんて、エッチな子だね?」
「ぅ、ぁっ…やめ、おさな、おしつけなっ。ちがうのっ、自分からなんて…わたし、やだっ、やっ、ぁぁぁつ、だめ、だめぇぇっ、今は、今はっ、あっ♥」
無防備な私の子宮口に、おじさんの肉棒が突き刺さる。
そのまま先端をグリグリと押し付けられると、深い快感に全身を包まれ、きゅぅっと下腹部に力が入るのを止められない。
腰が震え、膣が震え、射精を促す様におじさんの肉棒を締め付けてしまう。
「んぁっ♥ ひゃっ、あっ、だ、や、あはっ♥ ひぅぅっ、ん、んふっ、ふぅぅっ、はぁっ、ぅっ、あ、やぁぁ…♥」
どんなに泣いて叫んでも、私の喉は嬌声に震え、快感から逃れようと藻掻いた体は快感しか生み出さない。シーツに擦れる肌も、おじさんに押さえつけらる痛みも、潰れそうになるで心だって、被虐的な快感に変わっていった。
「良いのかい? 彼に告白したんだろう? それなのに、他の男の肉棒に喘いでいたらダメじゃないか?」
顎を支えられ、ベットに突っ伏していた顔を持ち上げられると、鏡に映る私と目が合った。
「見てご覧? 今の まふゆちゃん。とってもエッチな顔をしているね。まだ彼にも見せたこと無いんだろう?」
「あ、いやぁ…。なんで、なんで…そんな、私、ちがう、のに…」
紅潮した頬。涙と涎でグチャグチャになった自分の顔は、いつも朝に見ていた自分の顔とは、随分と様変わりしてしまっていた。
気持ち良さそうだった。
誰がこんな顔を見て、嫌がってるように見えるんだろう。
ぱつんっと、肉棒に突かれる度に声を上げて。
ぱつんっと、膣奥を突かれる度に体を震わせる。
胸が苦しい。ベットのシーツをぎゅっと握りしめて、それで何が変わる訳もない。
口を開いて、閉じて、何かを言おうとして、でも言えなくって。
「出して…ください」そんな事を繰り返した私が、ようやく最初の一言を形にすると、ボロボロと涙と一緒に卑猥な言葉が溢れ出てくる。
「貴方の、精液…私にくだ、さい…ひっ。ぜんぶ、ぜんぶ…出していいですからっ。もう…ゆるして、これで、終わりにして…だから」
一瞬でも考えてしまった。
このまま犯されていたいって。
彼への思いなんか忘れて、このまま この人に身を委ねていれば、そう悪いようにはならないんじゃないかって。
だってほら、お金だって貰えるし。そうすればさ、進学の事とかで、お母さんに負担をかけずに済むかもしれない。下手なバイトをするより、全然にお金になるんだもん。それにさ、それにね、こんなに気持ちがいいなら、もっと気持ち良くなっても良いんじゃないかって…。
そんな事、そんな風に、考えちゃダメなのに…。
流されることに慣れていた私は、肝心な所で踏ん張れない。
早く、早く終わらせないと。これ以上、快感に流されていたら、本当に戻れなくなってしまう。
「はやっ、あっ♥ はやくっ、だして、だしてぇっ、あ、あ、んふっ、ひゃっ、あ、あ、あっ、んひっ…♥」
射精を促すように自分から腰を動かした。下腹部に力がはいり、締め付けた肉棒からは、凸凹と中で動く感触すらも伝わってくる。
「エッチな子だね、まふゆちゃんは…」
おじさんの言葉を否定する気力なんて残ってない。
そんな余裕は、快感に流されそうになる自分の心を繋ぎ止めるのに使ってしまっている。
「ほら、ご褒美だよ」
ズンっ、下腹部が重たく感じると、抱えていた熱感に意識が沈んだ。
膣が震え、子宮が震え、ドクドクと注がれる精液の刺激に、今まで以上の絶頂に襲われた私は、ついには涙を流しながら声を上げていた。
悲しいのか、嬉しいのかも、もう分かんない。
犯されて気持ちがいいなんて、バカみたいだと思っても、狂ったみたいな多幸感に抗えるほど、私の心は強くなかった。
体が満たされると、心まで満たされる。
お腹に抱える精液の熱に、愛おしささえを感じた私は、絶頂の波が引いてもまだ、女としての幸せに浸り続けていた。
ドクン、ドクンっ…。
肉棒が震え、精液を注がれる度に、絶頂の快感が私を白く染め上げる。
気持ちがいい、気持ちが良いって、全身が喜ぶのを止められない。
気持ちいいなら、良いじゃないって。でも、それはダメだからって。
細い糸でする綱引きは、あまりにも心許ない。
おじさんの気分次第で、もう一度犯されたりなんかしたら、こんな細い糸はきっと簡単に切れてしまうんだろう。私がどんなに我慢しても、次の瞬間にはプチッと切れてしまいそうで、聞こえもしない音に心臓が跳ねる。
「やく、そく…です。はぁっ、あ、はぁ…♥ もう、ゆるして。これで、最後だって、だから…はぁ…はぁっ…♥」
快楽で震える声で、私はやっとそう言葉にできた。
約束だからって、これで最後だって、許して欲しいって、たとえおじさんの気分を損ねてでも、この一線を譲るわけにはいかなかった。