アメとムチ ~上司の重役を責め嬲る痺悦に狂う女秘書 作:浅見智幸
奴隷調教した上司を人間便器にまでおとしめる美人秘書の嗜虐欲望
大手建設会社の秘書課に勤めてから、はやいものでもう6年という年月が経過し、私もベテラン秘書の部類に入るようになった。
ファッションモデル並みにスタイルがよく、美人で3か国語を自由自在に操る有能な秘書・・・、だけど、とっつきにくいオンナ・・・・・・。
自分に対する周囲の人たちの評判は、私の耳にも届いていた。
容姿の面でも仕事のことでも人より秀(ひい)でているが、お高くとまっていて、どこか怖そうな感じで、とてもじゃないがお近づきにはなれないと、他の社員たちから私は敬遠さえされているようだが、私は平気だ。
―べつに構わないわっ! 私もあなたたちとつき合うつもりはないもの―
ここのところ、私はずっと彼氏はおろか、同性の友達すら無縁の生活を送っていた。
とくに、彼氏のいないことといったら、すでに数年は経っているのではないだろうか。
私が恋人を積極的に自ら求めようとしなかった理由は、たんにプライドが高かったせいではない。自分の好みにピッタリくるオトコが滅多にいるものではないことが判っていたからだ。
その条件とは、単純に顔が言いとか年収が多いかといったお気楽なモノではない。
―私のタイプは、私の言うとおりになるオトコっ! 苛められることが、何よりも好きなオトコっ!なのだ―
小さい頃から私は、自分にSっ気があることに気づいていた。
その昔は、虫や小動物をイジメるだけでは飽き足らずに同級生の女の子を苛めることに快感を覚えるような少女だった。
若い頃のボーイフレンドもルックスなど二の次、私に服従さえしてくれればOK出会った。
しかし、最近では好みの男にとんとご無沙汰していた。
昔とは違い、私にもそれなりの立場というものがあって、やたらとM男を漁(あさ)るような行動に出られなかった。
そんな折も折であった。上司が変わったのである。
それが、運命の出会いとなった。
「神野くんには、今度霞が関からみえた松本常務についてもらうことになった」
私は、いわゆる天下りでやってきた60歳の松本冬彦の秘書となった。
松本は恰幅(かっぷく)も立派で、髪はシルバーグレイの紳士だったが、私のサディストとしての目を欺くことはできなかった。
―まあまあ、この男・・・・・・。ふふふ、何てことなのっ!―
ひと目、松本をみたとたん、私のカラダに直感と震えが走った。
彼は、私の性癖にドンピッシャの男だった。
自分のメガネに私は絶対の自信を持っていた。
エリート男性のなかには、意外とMの性癖を持ったものが多い。
大学教授や医者。そして、弁護士。無論、会社役員だって例外ではない。
松本も、その中のひとりに違いなかった。
「神野麻里子と申します。よろしくお願いいたします。常務」
松本に頭を下げながら、
―私は、いつかお前を自分の足元にひれ伏させてやる!―
と、思っていた。
間違いない。
松本はマゾヒストの本性を隠し持っている・・・・・・。
私は小躍りしたい気分だった。長いこと持て余していた性情が、一気に噴き出そうとしていた。
松本の様子を私はうかがった。
パソコンを覗いたり、机の引き出しやロッカーを調べたりすると、出てくるわ、出てくるわ。
彼のパソコンのインターネット履歴はSMサイトのオンパレード。しかも、デスクの引き出しにはSM小説がこっそりと忍ばせてあった。
さらに、ロッカーにはいかにも女王様のものと思える、踵の高いハイヒールなどが入っていることもあった。
私はもちろん、松本の様子をこっそり窺うのを忘れなかった。
松本は回りを見まわしてから、SM雑誌を貪り読み、ハイヒールに頬ずりしていた。
―ふふっ、どんなに紳士面してたって、一皮むけばこのザマよっ!―
準備は上々。仕上げをご覧じろといったとこだった。
いつ行動に移すか、それはもう時間の問題だった。
機は、充分に熟していた。チャンスはすぐにやって来た。
「毎日、お忙しくて大変でしょう。常務、今夜は珍しく早く終わったことですし、ちょっと息抜きに寄り道して帰りませんか? わたし、とっておきの場所を知ってますのよ」
その夜、先方の体調が悪いということで、接待は早々と終わった。まだ午後8時過ぎ、絶好の機会だった。
いよいよ、マゾヒスト常務への攻撃開始である。
「おお、そりゃあいい。時間がなくて、神野くんともゆっくりと話す機会がなかったからな」
何も知らない常務は、無邪気にかつ鷹揚に、私の誘いに乗ってきた。
自信たっぷりの私は胸の中でほくそ笑むと、タクシーの運転手に行き先を告げた。
「その先を右に曲がってください。突き当りに 赤い部屋 っていう看板があるから、そこで止めて」
みるみる、カラダの中に闘志と欲情がみなぎってゆく。
赤い部屋は一見バーか何かのように見えるが、その実はその趣味の人間が使うラブホテルだった。
―いまに、その余裕たっぷりの偉そうな態度をヘロヘロにさせてやるからねっ!―
赤い部屋のドアを開けると、ようやく松本はここがホテルであることに気がついて動転した。
まさか、女の私からホテルへ連れ込まれるとは思ってもみなかったらしい。
「神野くん。まさか、君がこんな真似をする女性だったなんて・・・・・・」
「あ~ら、常務。常務は、わたしの本当の姿に気がついてらっしゃらなかったんですか? わたしは、初めて会ったときから知っていましたよ。常務がMだってね」
「か、神野くん、き、君・・・・・・」
この期に及んで松本は、まだカッコつけようとしていた。
私はそれを許さなかった。
「うるさいっ! 四の五の言うじゃないよ。ネタは上がってるんだよ、ブタオヤジッ!」
私はこのええかっこしの強欲な天下り常務に先制パンチを喰らわせてやった。
「グチャグチャ言ってないで、さっさと部屋に入るんだよ。このマゾジジイッ!」
もう、プレイは始まっていた。
私は常務のネクタイをつかみ、個室へ引きずって行った。
「あんたがSM小説を舐めるように読んだり、ハイヒールに頬ずりしてたのをしっかり見せてもらったよ。ふふふ、あんたみたいなお偉いさんが変態マゾ男だったとはねえ」
「や、止めてくれ、神野くん。き、君がこんな人だったなんて」
「黙りなっ! 口のきき方に気をつけな。何が、神野くんだっ!」
個室を開け、私はなかに常務を突き飛ばした。
「これからは、私のことをミストレスとお呼びっ! お前は奴隷以下、下僕以下、ブタ以下のゲス野郎だ。わかったね!」
松本は、もうそれ以上の悪あがきさえすることができなかった。
滑車や三角木馬。ムチやロウソクがひしめく部屋の淫靡な雰囲気に圧倒されているようだった。
つづく