楽しい異世界ドスケベ牧場経営~ただし家畜は人間とする~ 作:ベリーナイスメル/靴下香
そういうことをするわけじゃない。
「では、よろしくお願いしますぅ」
「あ、あぁ、こちら、こそ?」
そうだ、今から始めるのは決して恋人同士がするような行為ではないと頭ではわかっている。
ベッドの上ではハーツが監督というよりは監視に近い形で座りながら目を光らせているし、上半身を曝け出していると言うのにミーシャは気負った様子もなくニコニコとしていた。
異様な光景と言えるだろう。だからこそ、わかっているのだ。
今から行われることは仕事に分類されるものであり、情欲に流されていいものではないと言うくらい。
「あ、あのぅ。流石にそうじっと見られると、恥ずかしいですぅ」
もしかしたら目を血走らせてしまっていたかもしれない。
恥ずかしげに胸を両腕で隠す仕草は逆効果というものだが。
「ご、ごめん。えぇと、じゃあ?」
「そこに搾乳機があるじゃろう。まずはその先端をミーシャの乳首に取り付けるんじゃ」
「わ、わかった」
誤魔化すように、慌ててかつて牛に使われている所を見た事のあるものに比べれば、随分と小さいそれをカリスは手に取って。
「ひゃんっ」
「ご! ごめん!」
「いきなりつけようとするモンがおるかバカタレ。まずは人肌で温めてからじゃ」
正直なところこの期に及んでと言うには少し残酷ではあるが、カリスの思考は混乱したままだった。
平たく言えばどうしてこうなったという言葉がずっと頭の中に駆け巡っている。
手のひらで乳首に取り付ける部品を温めながら、何とか心を落ち着けようとカリスは小さく深呼吸を繰り返す。
ただ、それでも。
「……ごく」
街行く女性の胸につい目を向けてしまった経験はある。
だが、目の前に、それこそ手を伸ばせばすぐに届く位置に、どうやって意識から切り離せない、まさしく目を奪われるほど大きく形の良い胸があるのだ。
「か、カリス、さん?」
「うぁ? ご、ごめん、その、緊張、して」
女性に縁がなかったわけではないが、深い付き合いにまでは至った経験がカリスにはない。
将来を誓った相手としかこういうことをしてはいけないと厳しく躾けられて育った上で、墓まで一緒に入りたいと思える女性と出会えなかったからある。
そうやってオスの本能とでも言うべき欲求に蓋をして生きてきたというのに、何の感慨もなくこれだ。
「もういいじゃろう。取り付けるのじゃ、優しくな」
「は、はい」
本当に何を考えているのか。
疑問よりは怒りに近い感情を抱えながらも、言われた通り優しくカリスはミーシャの乳首へと器具を取り付けた。
「んっ」
「ご、ごめん。痛かった、かな?」
「だいじょうぶですよ~。お気遣い、ありがとうございますぅ」
ぴくりと反応を示したミーシャではあったが、どうやら何も問題はなかったらしいとカリスは安堵する。
むしろ問題は早鐘を打ち続ける自分の心臓だろうと思える位には多少理性も帰って来たらしい。
「よし。じゃあまずは軽く揉んでみろ」
「何か、やり方とかはありますか?」
「もちろんより乳を搾るためのテクニックはあるがの。まずは実感してみるのが先じゃよ、ほれ」
「はい~。どうぞ、触ってください~」
少しだけ胸を張るミーシャの動きに合わせて、再び乳房がぷるんと揺れる。
鼻の奥から流れて来そうな何かを感じながらもカリスは、手を震わせながら初めて女性の胸へと指を伸ばし。
「……あれ?」
触れた感触に違和感を覚えた。
「硬いじゃろう?」
「え、あ、はい」
ハーツが言うように、見た目から想像していたより遥かにミーシャの胸は硬かった。
石のようにとまでは言わないが、それでもよく言われる弾力がどうのではなく、単純に硬い。
「人間も、じゃがな。胸にミルクが溜まればそうなる。特にミノタウロスの紋様が浮かんでいる人間は、作られるミルクの量も多い。それだけ硬くなってしまうほどに、の」
「えっと……痛かったり、しますか?」
「うふふ~。これでもさっき、ハーツさんに少し搾ってもらってましたからぁ、今は大丈夫ですぅ」
今は、ということは裏返せば搾らなければ痛みを感じてしまうのだろう。
そこまで理解したカリスは急激に冷静さを取り戻せた。
なるほど、これは恥ずかしさがどうのという話ではない。
「爺ちゃん。ここからどうすればいい?」
「イメージとしては肩こりをほぐすようなものじゃな。まずは、揉んでも痛みがない程度までほぐせ」
「わかった。ミーシャさん、痛かったら言ってくださいね?」
「はい~。おねがいしますぅ」
男と女、オスとメス。
そういう認識ではなく、何だと言えば医者の視線に近いのかも知れない。
これは性的なものと言うよりは、治療の一環と言えるだろうとカリスは認識した。
「ん……ふあぁ」
「痛いです?」
「いいえ~。お上手、ですぅ。痛くありませんよ~」
「じゃあ、こんな感じで続けますね」
優しく、丁寧に。
それこそ、母の肩を揉んでほぐすような、いたわりの心で。
「あぁ、ほんとに、お上手ですぅ、とっても心地よいです~」
なんだかんだ気にしない素振りを見せてくれていたミーシャだが、やはり緊張はしていたのだろう。
揉み始めて少ししてから、目に見えて肩の力を抜いて身を委ね始めた。
「よ、し……」
頭をしっかりと仕事だと切り替えられた。
優しさはどうかわからないが、丁寧な仕事をするという部分を言えばカリスの得意分野でもある。
ギルドで指名依頼を受ける人気大工は伊達ではないのだ。
「ん、んんぅ……ほ、ほんとに、初めて、なんです、かぁ?」
「もしかしたら、小さい頃にやってたのかもしれないですけど」
「そ、そう……んっ、なん、ですねぇ」
ハーツに言われた通りコリをほぐすように。
大きいミーシャの胸だ、下から支えるように持ちながら力を入れ過ぎないよう根元から、ぐにぐにと先端に向かって搾るような動きで揉み上げる。
「あ、ふ……お胸、なんだかあったかい、ですぅ」
「大丈夫?」
「は、はいぃ~」
ちらりとカリスはハーツへと視線を向けたが特に何の反応も返ってこなかった。
間違っていないということだろう、ならミーシャが感じている温かさとは良い事というわけで。
「続けますね?」
「お、おねがい、んんぅ、しますぅ」
何より、揉み始めた時に比べれば本来の柔らかさだろうか、硬さは随分とマシになってきている。
「ふ、ぅ……んっ、あ、ふ。は、あぁ……」
仕事モードとでも言うのか、柔らかくするということに一心不乱で、ミーシャの口から洩れる声に少し甘いものが混じり始めていることに気づかない。
別の意味でミーシャの身体に緊張というか、力が入ってきていて、いつの間にか漏れる声を少しでも無くそうと指を口に当てていることにも。
「は、ふ、ぅ……す、すごい、ですぅ……み、ミルク、でちゃい、そぅ、ですぅ」
「出ちゃいそう? いいんだよ、出して。そのために、こうしてるんだから」
「は、い、はいぃ、そ、そうで、す、よねぇ~」
カリスが冷静になったからというわけではないが、まるで先ほどまでのカリスの疑問や緊張が感染ってしまったかのように、ミーシャは戸惑う。
ハーツに搾ってもらっていた時は、こんなことにはならなかった。
触れられている胸を中心に熱が身体中に巡ってくることも、お腹の少し下あたりがうずうずするようなことも。
「あぅ、はうぅ~、き、きもち、いいですぅ」
乳首の先がじんじんしていた、カリスの指が乳首に取り付けられているキャップを取り外してくれないか、そして直接触ってくれないかと無自覚に期待してしまうくらいには。
「はぅ、はうぅう~……あ、んんっ」
もどかしい。
理由はわからないミーシャだったが、意識して押さえないと勝手に腰が動いてしまう。
「はぁ、は、あ……う、あぁ……♡」
もしかしたら、これが、気持ちいいということなのかもしれない。
もしかしたら、これが、快楽と言うものなのかもしれない。
そんな風に、ミーシャの中に眠るメスが考えたその時。
「っ!? ふ、あ、ああぁ~っ」
「おわっ!?」
乳首に取り付けられていたキャップの中に乳白色の液体が出てきた、言うまでもなくミーシャのミルクだ。
「あ、うぅ、で、でてる、わ、わたしのミルク、でちゃってますぅ~」
「え、えっと、爺ちゃん?」
「……うむ、でかした。そのままゆっくり優しく乳首に向かって揉み上げてやれ」
「わ、わかった」
それこそ牛と変わらない勢いでビュービューと出続けるミーシャのミルクに驚く。
やっぱり、先祖返りというか紋様持ちの人間は違うものなんだなと。
「は、うぅ~。も、もっと、もっと~、搾って、しぼってくださいぃ~」
「は、はい」
訂正、牛よりも遥かに量が多い。
そう言えばとチューブの先を見てみればかなり大きめの樽がある、あるが。
「爺ちゃん?」
「紋様持ちであっても、あの樽半分くらいが普通、じゃが……すまん、物置に同じものがあるから持ってきてくれるか?」
「わ、わかった」
この勢いが続くとするなら絶対に足りない。
聞けばハーツも同じことを考えたらしく、カリスが胸から手を放して立ち上がろうとした時。
「だ、だめですぅ~。カリスさん、カリスさんはわたしのお胸、揉むんですぅ」
「おわっ!?」
むんずとその腕をミーシャが掴んだ。
掴んだ結果。
「ひあぁああぁんっ」
「……あー」
キャップが弾みで取れた、取れた上に体勢を崩したカリスが思いっきりミーシャの胸を鷲掴みにしてしまい。
「じい、ちゃん?」
「事故、じゃよ。すまんな、カリス。最初にやってもらう仕事は勿体ないことこの上ないが、この部屋の掃除じゃ」
「……はーい」
「とまっ、とまらないですぅ~っ、気持ち、いいですぅ~」
噴水のようにミーシャのミルクが飛び散り、部屋の中を白く染め上げた。