エクスが倒したメカスパイダーの死体を、クリスは目を輝かせながら受け取った。
「
クリスは相変わらず奇抜な格好をしていた。
今日のクリスはあちらこちらにパンダ柄があるパジャマを着ている。ラブリーなキュートコーデだ。
クリスに要望をいくつか伝えて製作依頼を出す。最近、余りにもクリスを酷使してしまっているのではないかと少し心配にもなったが、どうやら当人は依頼に不満もなく、報酬にも満足しているようだ。
エクスの話が終わって、素材を受け取るとさっさと作業場に向かって行った。
昼休憩が終わり、狩りに戻る。その日はそれからいくつか
学年対抗と銘打ってることもあり、各小隊の戦績は常にマグ内で知らされている。
この学年対抗
初日の戦績は、どんぐりの背比べとでも言った具合に、どちらが秀でていると言ったこともなく対した差がない状態で終わった。
◇
学年対抗
出撃の準備を済ませたエクスの元に、クリスがやってきた。
彼女は昨日と同じパンダのパジャマを着て、目元にはクマをこしらえてやってきた。
手には白黒パンダ模様の強化左腕が。
「ひ、一晩で作り上げたのか?」
「はい!」
クリスが恐るべき速さで作り上げた武装はスパーダ―ガントレット。強化左腕だ。
左腕そのものの機能とメカスパイダーの糸を生成する機関を備えた手甲。
頑丈なメカスパイダーの糸は十万トンの力で引っ張られても切れることはない。
「エクスさん、私、幸せです……もっとたくさん、素材を……を……」
目の前で話していたはずのクリスは立ったまま突然寝てしまった。
慌ててクリスを支える。彼女の顔には多くの疲労が見えた。
「と、とにかくありがとう。そして、お疲れ様……」
感謝と驚きが混じった表情を浮かべながら、エクスは近くにいた救護班にクリスを託した。
◇
スパイダーガントレットからワイヤーを射出する。
メカスパイダー由来の特殊なワイヤーは丈夫な上に非常に軽量で、容易く二十メートルの距離を素早く飛び、
射出されたワイヤーの先端部には鋭いメカスパイダーの牙から作られた杭があり、その杭が壁や敵などに、
メカダンゴムシの体に突き刺さると同時に、杭はまるで花が開くように尖った先端部が開き、メカダンゴムシの体内で広がった。同時にメカダンゴムシの体内はズタズタに引き裂かれ絶命する。
エクスは左腕を動かしてワイヤーを巻き取る。メカダンゴムシの体は、エクスの手元に引き寄せられ、素早く回収された。
スパイダーガントレットはエクスの期待以上の働きをしてくれている。何やら要望以外の機構が付いているみたいだが、怖くて確かめることが出来ていない。後でクリスに確認してみよう。
『新武装、羨ましい。』
外部スピーカーを通して、シリオの声が飛んできた。
シリオが新しいおもちゃをもらった兄弟を羨むような拗ねた声を出すので、思わずエクスも自慢するように答える。
『ああ、今ならどんな
エクスがそう言い放った直後だった。
轟音と共に、エクスの耳元を強力な熱線が掠める。
熱線はエクスの顔すれすれを横切って後方遠くにあった岩壁を粉砕した。
冷汗がヘルメットの中でぶわっと噴き出す。
『え、
メカエレファント。巨大な象のような見た目をしたエネマだ。高さ約五メートル。体長は十メートル近くある。そして、何よりも目を引くのがその巨大な鼻だ。
電磁力を帯びた長い鼻は砲塔になっており、そこから体から精製した弾芯を発射する。
いわゆる、レールガンだ。
メカエレファントの等級は
シリオ一人では苦戦するほどの相手。装備が強くなった分、メカスコーピオンの時よりも楽に戦える可能性はある。問題はユリスとペルだ。二人は学生と言うこともあり戦闘経験が圧倒的に少ない。
状況次第では、この中から戦死者が出てもおかしくはない。
焦るエクスを嘲笑うかのように、メカエレファントは長い鼻を構えて、照準をユリスに定めた。
鼻が、青白く発光していく。