母親の存在は、彼女にとっての誇りだった。
自身とよく似た姿の母が、日に日に偉業を成し遂げて、会社を大きくしていくことがとても誇らしかった。
自身は何もしていなくても、母が褒めたたえられることが嬉しくて仕方なかった。
幼少期のユリスは地味な少女であった。母親ゆずりの派手な金髪は、常に大きな帽子を被って隠し、態度はしおらしく、まるで一本の花が咲くように静かに笑う少女だった。
ある日、通っていた初等部の学園で、母の製品をバカにされた。
二つの穴を使ってオナニーをするなんて邪道だ、と。
そんなみだらなエンジンを開発している彼女の母親と、彼女は先祖代々淫売だらけの汚い女だと。
クラス中の視線を全身に浴びながら、数分にわたって罵声を浴びせ続けられた。
顔が沸騰するように熱くなり、皆の視線一つ一つが針のように痛かった。
色々な感情が籠った視線を感じながら、地面を見つめて、ユリスは、ユリスはとても。
とてもとても――気持ちよくなってしまった。
それからだ。恥を感じることに、気持ちよくなってしまうようになったのは。
その日からユリスは今までの内気な様子とは変わって目立ちたがり屋になり、声が大きくなって態度も大きくなった。髪型も派手になり、目立つためにはどんなことでもするようになった。
皆の前で派手な自慰をしては盛大にイキ散らかし、体中の穴と言う穴から汁をまき散らして声を大きく上げる。そうこうしているうちに彼女の
新進気鋭の母親。成績優秀なわたくし。それが彼女の誇りになった。
ところが。
◇
ところが今はどうだ。
目を開ける。
『ユリス!!聞こえるか!?』
突然ふってわいた転校生二人に実力で負けている。優秀が故に、自身がエクスやシリオよりも劣っていることははっきりと分かっている。そして、今やユリスよりも彼らの方が目立っているのだ。おかげでユリスは最近欲求不満気味だ。それに。
ステルス機能を持ったメカマンティスが現れた日。
ユリスはクラスメイトを置いてすたこら逃げ出してしまった。
その上、エクスが置いて逃げたクラスメイトを救出し、生きて帰ってきたのだ。
恥ずかしい、気持ちいい。でも、でも!
『誇りのない、羞恥心なんて……とても、とても悔しいですのよ……ッ!』
ユリスはゆっくりと立ち上がった。損傷は軽微。太腿付近の装甲が少し剝がれているだけで能力的にはどこにも問題がない。恐らく、エクスが助けてくれたのだろう。
悔しい。
『ユリス!良かった、早く逃げろ!狙われているぞ!』
メカエレファントに張り付いたままのエクスが叫んだ。彼は、ユリスが何もできない足手まといだと思っているに違いない。
悔しい。
自然と両手に力が入る。拳が出来上がり、震える。悔しい。悔しい。
だが、
気持ちイイ……!
ユリスは右手を大きく開いて、メカエレファントに向けた。メカエレファント、及び、交戦中の戦友たちに告げる。
『わたくしを誰だと思っていますの?わたくしはユリス!この小隊のリーダー、ユリスですわ!リーダーがッ!!』
ガコンッ!!背部の巨大なエネルギーカノンが展開する。
鉄塊は大砲へと姿を変えて、前方に伸びる。不安定な砲身から、伸びたバイポッドが砲身を支えて安定させる。ユリスのレッグパーツが展開して接地部分を増やし、脚部から伸びた太いアンカーが地面に突き刺さる。
『チームメンバーを置いてッ!逃げるわけにはいかないでしょうッ!』
口径百五十ミリ。砲身長六メートル。重量八千キロの超巨大エネルギーカノン、二門。
発射準備が整った。
不意に、ユリスが何かを口ずさむ。それは歌。歌だった。
大好きな、母の歌。会社の歌。ユリスが愛用するDP社の、社歌だった。
エクス、シリオ、ペルから、奇異の視線がユリスに向く。三者三様、奇妙な視線が、全部ユリスの元に向いている。
『あ、あいつ、どういうことだ!?なんでこの状況で歌なんか……』
『わ、わからないわ……』
エクスたちの困惑した視線を全身に感じながら、ユリスは激しく股を濡らしていた。乳首もビンビンに立っている。
一通り社歌を歌い終えたころには、ユリスの股はすっかり出来上がっていた。あとは、撃つだけだ。
『オーバードライヴッ!!』
宣言。起動語を受理したユリスの愛機、真紅の専用機が激しく稼働し、ユリスの膣と尻の穴を激しく責め立てる。長く太い二本のディルドがユリスの穴を駆け巡り、快感を引きずり出す。ユリスの嬌声が外部スピーカーを通して辺りに響き渡る。
『やられたらやり返すッ!もちろん――』
ユリスの二門のエネルギーカノンが眩い光を放ち始めた。エネルギーは十分足りている。
甲高い音と共に光と質量が二つの銃口に集まっていく。
それを見たエクスが慌てて指示を出した。
『ま、まずい!散開だ!巻き添えを食らうぞ!』
メカエレファントに張り付いていた三機は、急いでその場から散った。
自身の装甲に大きな自信があるメカエレファントは、ユリスの攻撃を避ける素振りも見せずにまっすぐに突っ込む。その舐めた判断を、ユリスは隻眼の青い瞳で睨みつけた。
『倍返し、ですわァ~~~ッ!!』
超高出力のエネルギーレーザーが真っすぐにメカエレファントの顔面に叩き込まれた。
二本のレーザーは硬いメカエレファントの頭蓋を粉砕し、首から上の部位を消し飛ばした。
今まで一度たりとも外部に晒されなかった精密な内部回路は、荒野の乾いた風に中身を撫でられ、空いた大穴からいくつものコード類がだらりと垂れる。やがて、大きな音を立ててメカエレファントだったものはその場に横たわった。
ユリスはメカエレファントが倒れた様子を見届けてから、自身も仰向けに倒れた。
激しい絶頂を繰り返したせいもあり、体に程よい倦怠感が残っている。
『ごめんあそばせ、ですわ~~……』