日曜日ということで、おれはやることもなく暇を持て余していた。
けれど家のソファに垂れてだらだらとスマホをいじる気分でもなかったおれは、自転車を走らせて駅前のディスカウントストアへ向かった。
もちろん買いたい物なんてない。ぶらぶら冷やかして暇を潰すだけだ。店からすればいい迷惑だと思う。
でもまぁしょーがない。暇なんだもん。お小遣いも底を突いてるし。
事件が起きたのは、〈18禁〉エリアの暖簾を横目に、そこに隣接している家電売り場の品を眺めている時だった。
その暖簾の下から出てきた小柄な影があったのだ。そいつは茶色い紙袋を抱えていた。
ぽかんとしてそれをおれは見ていた。アホ面をしていたと思うけど、おれに目撃されたことに気づいたその小柄な影の、ひぇっ、と盛大におののき慌てふためく様に比べたら大したことはないだろう。
うん、その小柄な影というのは小枝雪だ。水色のワンピースを着て、つば広の麦わら帽子を被っている。変装のつもりなのかよくある白いマスクもしているが、睫毛の長いきれいな二重瞼の瞳だけで彼女だと判断するには十分だった。
「よう」と片手を上げて声を掛けた。「元気?」
「な、なな何で柏谷君がこんな所にっ?」雪は元気に尋ねてきた。
「ただの暇潰しだけど」おれは雪の持つ紙袋に目をやる。「雪は?」
「ええ?!」雪は悲鳴にも似た頓狂な声を上げた。「ええと、その、か、買い物?」
「何買ったの?」つーか、よく買えたな。小学校高学年くらいの見た目なのに。
「ぅぅ……」雪はうつむいてうなり、「どうしてよりによって柏谷君にばっかりバレるの? ほかの人には見つかったことないのに。呪われてるのかな」などとぶつぶつ。
呪いじゃなくてただの自業自得だぞ、と教えてやろうと口を開こうとしたら、きっ、と顔を上げた雪に先を越された。
「暇なんだよねっ?!」破れかぶれな語勢だった。
その勢いに
「じゃあさ、わたしのおうちで映画でも観ようよ! 嫌だとは言わないよね?! この前おちんぽミルクごっくんしてあげたもんねっ!」
普段の雪は鈴を転がすような密やかで透明な声なのだが、この時ばかりは力任せに鐘を叩くようなはっきりとした強い声だった。
つまり小学生風の可憐な女の子の口から飛び出した卑猥なワードが近くにいる人にも聞こえるわけで。すると当然、ぎょっとしたような顔を向けられるわけで。
おれはこの場から逃げ出したい一心で、
「わ、わかった」
とうなずいた。
というのは、もちろん半分は嘘だ。
雪の家は、閑静なこと以外何の特徴もない住宅街にあった。割合に大きな一戸建てで、乗用車二台は入るだろう屋根付きのカーガレージもある。が、そこに車はなかった。彼女の両親は仕事らしかった。そして、雪は一人っ子だ。
そう、つまりは二人きり。
女の子の部屋だからといって特別何かあるとは思っていなかったし、実際普通の洋室だったのだが、そんなことよりも、二人きりで、ヤろうと思えばヤれてしまう状況だという事実が、おれをひどく高揚させていた。
具体的には敷居を跨いだ時点ですでにギンギンだった。何の因果か三日前から抜いていなくて溜まりに溜まっている今日この日にこんなことになろうとは夢にも思わなかった。もう雪をエロい目でしか見れなくなっていた。
よく見ると控えめながらも確かに膨らんでいるとわかる胸乳、ふとした拍子に半袖からちらりと覘く柔そうな腋、ワンピースから伸びるすべらかな純白の足、そしてその奥の魅惑の暗がり──やばい今すぐ押し倒して好き放題したいっ。はぁはぁ。
「大丈夫?」雪が少しだけ首を傾けて心配そうにおれを見た。
彼女の、光に当たるとライトブラウンにきらめく艶やかな髪、ボブカットにしたそれがアシメントリーに垂れる。そんなことさえも性的に思えてしまうのだから相当キている。
しかし、体だけが目的だとは思われたくない。「あ、ああ」と取り繕い、「映画って何で観るんだ?」と部屋を見回しつつ尋ねた。
雪の部屋にテレビやパソコンはない。あるのはベッドと学習机、白い洋風座卓、本棚ぐらいだ。あとは、クローゼットもあるか。
「えっ」雪は驚いたような声を発した。「本当に映画観るつもりだったの?」
「──ああ、そういうあれだったのか」月がきれいですね、みたいな。
「うん、えっちなことすることしか頭になかった」雪は吹っ切れたかのようにさっぱりと言い切った。けれど、「──あっ、待って、違うの、その、ヤリモク? みたいのじゃないからっ! 柏谷君だから一緒にいたくて、その、シてほしくて、あの、そういうことだからっ!」
「お、おう」日本語って難しいのな。
「……」「……」気恥ずかしくくすぐったい沈黙が訪れた。二人してもじついていて、とても変な空気だ。
が、不意に雪が言った。「あの、やっぱり大丈夫じゃないよね? すっっっごく苦しそうだよ」その視線はおれの股関に注がれていた。
反射的にその屹立を両手で隠したおれは、「いやっ、これは違うんだっ」何が違うのか? それはおれにもわからない。「雪がかわいすぎるからっ、ついムラムラしちまってっ。お前の裸が見たいとか、今すぐおまんこに突っ込みたいとか、そういうことじゃないんだっ」
言ってから思ったんだが、これはいわゆる〈語るに落ちる〉というやつではないか?
嫌われたらやだな、という不安に冷や汗がにじむ。
雪は、すでにほんのりと桜色に染まっていた頬をぽっと鮮やかに赤らめ、にやけまじりにボソボソとつぶやく。「かわいすぎるって言ってくれた、えへ、裸も見たいって、えへへ、それにえっちもしたいって──」そして彼女は上目遣いにおれを見ると、「いいよ」と言った。「柏谷君のしたいこと、全部して」
「ぜ、全部っ?!」
「うん、全部」すると雪は、「脱ぐね」と言ってワンピースに手を掛け、あっという間に下着姿になってしまった。
薄紅色の下着のみをまとったその体は、ほっそりとしていながらも女性的な曲線を描いていて、いつも妄想しているものよりもずっと官能的で挑発的だった。
思わず生唾を飲み込む。
ふふ、とうれしそうにほほえんだ雪が、「わたしの体、興奮する?」と尋ねてきた。
「する。めっちゃする」
「おっぱい大きくないけど、これでもいいの? 不満じゃない?」
「ないよ、そんなの」
「ほんと? わたしのじゃ柏谷君のおちんちんを挟んであげられないよ?」
雪の中では〈乳房=男根を挟むもの〉という公式があるのだろうか? エロ漫画の読みすぎじゃねぇかな。「雪のおっぱいなら、どんなでもいいって」
雪は口元をによによさせると、「そっか、よかった」と安堵するように小さく言い、背中に手を回し──ブラのホックを外すのかと思われたのだけど、そこで動きを止めてこんなことを言い出した。
「わたしだけ裸になるの、やだ。わたしも柏谷君の体、見たい」
もっともだなとは思ったが、我慢汁をだらだら垂れ流して暴発寸前のちんこを見られるのは、童貞丸出しって感じがして少し恥ずい。「いやいや、おれの体なんて見なくてもいいって」と抗ってみる。
すると雪は、むぅとむくれて、「わたしだって、わたしの体で勃起してくれてる柏谷君のおちんちん見たいの。見せてくれないと──」と彼女は自身を抱きすくめるようにして体を隠し、「わたしも見せてあげない」
「え゛っ」座卓の所に座るおれは、ベッドに腰掛ける雪を絶望的な思いで見上げた。
しかし、雪はからかうような楽しげな笑み。「どうする? わたしはどっちでもいいけど」そして、わざとなのか、膝を抱えて、足を浮かせた体育座りのような体勢になりショーツのクロッチの部分を見せつけてくる。
この薄布の裏におれが求めてやまない雪のおまんこがある。何度も何度も妄想してはオカズにしてきたおまんこが、すぐそこにある。
その淫猥で甘美な事実が鼓動を速め、一物をより固くさせる。どくんっどくんっ、と心臓が脈打つたびに、激しく反り返った剛直も揺れ動くのがわかる。
「早く決めないと時間切れで終わりにしちゃうよ?」雪は無慈悲に追い込んでくる。
これ、強要罪にならないのか? ……ならないか。鞭と命令が強要。雪のは飴と鞭だもんな。
なんて戯れ言が脳裏に浮かんだ時、おれは気づいた、おまんこを隠す薄布がじっとりと湿っていることに。
パッと視線を雪の顔へやると、彼女は耳まで真っ赤にしていた。
雪も恥ずかしいんだな。
そう思うと、妙に清やかな気分になった。恥ずかしいのにがんばって見せてくれようとしているとわかって、カッコつけたいだけの自分がちっぽけな存在に思えたのだ。おれのしょーもない見栄なんてどうでもいいなって。
おれは立ち上がった。どうしたの、と尋ねる雪には答えずに、ぽんぽんと服を、下着を取り払って全裸になった。
雪は口元に両手を当てて、はちきれんばかりに勃起してほとんど真上を向いたぺニスに熱心な眼差しを向けている。
「やっぱり柏谷君のおちんちん、すごい……」彼女は陶然とそうつぶやいた。
何がどうすごいのか判然としないが、好きな女の子にそんなふうに褒められるとやっぱりうれしい。
雪はおれを見上げて、にこっとほほえんだ。そして、何も言わずにブラを外し、ベッドの横の床にぽいっと放った。
雪の乳房が露になった。
彼女自身が言っていたように小ぶり──余裕を持って片手に収めることができそうな──だったけれど、そんなことはどうでもよくて、透き通るように真っ白な膨らみとその頂点でピンと存在を主張する桜色のかわいらしい乳首に目が釘付けになっていた。我知らず、「きれいだ……」とつぶやいていた。
「ふふ、出したい?」雪は蠱惑的な笑みを浮かべてそう尋ねてきた。
はっとして気づく。無意識のうちにぺニスに右手が伸びていたのだ。いつもそうしているように肉棹を握りしめるところまで来てしまっていた。
慌てて手を放し、「いやこれは違うくて──」
しかしその弁明は、雪の、「シてもいいよ」という誘惑の言葉に打ち消された。「いつでも射精していいからね──はい、これ」とティッシュの箱を渡してくる始末。「──あ、でも、スる時はちゃんとわたしのこと見てて。目逸らしたりしないでね」
「それはもちろんそうするけど」ここまであっけらかんと視姦オナニーを許されると、毒気を抜かれたような不思議な感じがする。逆にやりづらくもあるし。
「え、何か不満そう──あっ」と雪は何かに気づいた様子。「もしかしてティッシュじゃなくてわたしに掛けたかった? それとも、またごっくんしてほしい?」
何となく気まずくて、「それより」と声を強めて強引に話を進める。「早く下も見せてくれよ」
「あ、うん」
と雪はうなずき、す、と腰を浮かせるとショーツに手を掛けてするすると下ろしていく──屈んだ彼女の二の腕の奥に肌色の割れ目を見つけ、おれは俄然昂る。しかしオナニーしてしまうのはもったいない、また彼女にイかせてもらいたい、彼女の体で射精したい──思い切り扱きたい衝動を無理やりに抑える。
小さくなったショーツを足先から抜き取ると雪は、細い腰の後ろで手を組んでまっすぐに立った。おれと向かい合うような形だ──二歩分ほども離れていなくて、瑞々しい柔肌がよく見え、そして彼女の無毛の秘裂も。
「生えてないんだな」
何か口にしなければ、という思いに急かされてひねり出した感想が、それだった。ウィットの欠片もない。
「うん」恥ずかしそうに小さく顎を引いて雪は、まばたきしておれを見つめる。「わたし、生えてくる気配がなくて──嫌だった?」
かぶりを振る。「嫌じゃないって。生えてようと生えてなかろうとどっちでもいいんだよ。どんな体の雪でもおれは大好きだから」
雪はおれの視線から逃げるように、ぷいっとそっぽを向いた。「またすぐそういうこと言うんだから」ぼそっと言う。
と、そう言われて、初めて面と向かってはっきりと好きだと伝えてしまったことに気づく。
これって告ったことになるのか?
一瞬、考えるも、すぐに思考を放り投げた。それこそどうでもいい。雪がおれの気持ちを知って受け入れてくれたなら、それでいいのだ。
雪の横顔が目だけでおれの顔を、次いで今にも射精しそうな剛直をちらと見やり、ためらいながらも、「あの、その、どうぞ」と体を差し出すように軽く胸を張った。「わたしはもう柏谷君の──柏谷君だけのものだから、あの、おっぱいも、お、おまんこも、好きなように使って」
つい可憐な双丘に奪われていた目を彼女の美しい横顔に戻すと、かつてないほどに真っ赤になっていた。
もう限界だった。
おれは、「雪っ」と喚くように言うなり彼女を抱き寄せた。
「んっ」
甘やかな声が聞こえ、と同時に、彼女の柔らかくて温かい下腹部に押し潰された男根に痺れるような快感が走った──ぺニスがひくひくと震え、精液がせり上がってこようとするのを、唇を噛んでこらえる。イくなら雪の中でイきたい。
雪もおれの腰に腕を回して抱きしめ、鎖骨の辺りに顔をうずめた。すぅー、と深く息を吸い込み、「はぁー、柏谷君のにおいでいっぱい……」と幸せそうに言う。そして、覗き込むように上目遣いにおれの目を見ると、瞳を閉じて、「ん」と唇を差し出してくる。「ちゅーして」
何てかわいらしいおねだりだろうか──あるいは、凶悪な誘惑とも言える。
おれの体はそれに抗えるようにはできていないらしく、吸い寄せられるように少し薄い雪の唇にキスをした。
唇の表面に軽く触れるだけの刹那的なキスだった。
瞼を上げた雪が、うれしそうにはにかんだ。
「っ!」
ヤバいかわいいヤリたいヤリたいヤリたいっ……!
おれは欲望のままに雪をベッドへ導き、仰向けに横たわらせた。彼女の膝を割ってその間に滑り込み、正座と膝立ちの中間のような格好になる。夥しいカウパーを漏らしつづける剛直の先端が、彼女の秘所へ向けられる。
白く華奢なその体を見下ろし、唾を飲むと、震える手をその乳房へと伸ばした。そっと包み込むと、手のひらに硬く膨らんだ尖りの感触がした。
「ぁんっ」
か細い嬌声が鳴った。
おれは両手に収まった彼女の胸乳を恐る恐る揉む。力加減がわからないから慎重に、優しく、その柔らかな膨らみを堪能する。
「痛くないか?」と尋ねると、
「大丈夫だよ」と赤みを帯びたほほえみが返ってくる。
感触はぬるま湯の入った水風船が近いだろうか。雪のそれはたしかに控えめだったけれど、ちゃんと柔らかくて、それなのに弾力もあって、そして温かくて、ずっと触れていたいと思わせる魔力があった。
息遣いが荒いのはおれだけではなかった。おれの手の動きに合わせるように雪も時折、切なげに、「んっ、んっ」と鳴いていた。
そうしてひとしきり乳肉を楽しむと、次いでおれの指先は本能に操られて、ぴんと勃起した乳首に触れた。その瞬間、
「んんっっ」雪の声が高く跳ねた。
「気持ちいいか?」と聞きつつ、それを弄ぶ指は止めない。くにくにころころとこねくり回したり、不意討ちに軽く弾いたり、きゅっと摘まんだり。
「あっ、とっても、んっ、びりびりっ、気持ち、いいっ、んんっ、自分でスるのとっ、全然違うっ」
良がる雪を特等席で眺めながら薄紅色の蕾をいじめつづけていると、
「──あっ」雪は一瞬、おびえるような表情を見せた。かと思うと、「あっ、あっ、来ちゃうっ、いっぱいぞくぞくしゅるのっ、来ちゃうのっ、んんっっ、くりゅっ、あっ、らめっ、あ、ああっっ、イっくぅぅぅ~~~っっ」
雪はシーツをくしゃくしゃに握って腰を浮かせるようにして体を反らす。びくびくと痙攣する間が続き、やがてふっと脱力して腰を落とした。ぎしっとベッドが軋み音を立てた。
満足げに胸を上下させる雪を見ると、おれの心も満たされる。達成感と征服感がそのまま幸福に繋がっているようだった。
けれど、体の飢えは増すばかりだった。垂れた我慢汁がシーツに生ぐさい染みを作っている。
何とはなしに、汗ばんだ雪の額に張り付いた髪を、梳くようにしてそっと整える。気持ちよさそうに目を細めた彼女の熱い吐息が、おれの手首をふわっと撫でた。
と、不安が脳裏をかすめた──雪に無理をさせているのではないか?
雪は体が弱い。絶頂するのは負担が大きいのではないか。そろそろやめにして休ませたほうがいいのかもしれない。
「ねぇ」雪の声がした。「何か変なこと考えてない?」
「えっ、そ、そんなことねぇけど──」それよりそろそろ休憩にしないか、と言おうとして、
「心配そうな顔してるよ」と見透かされ、おれは喉まで出た言葉を飲み込んだ。「わたし、わかるんだよね、そういうの。見慣れてるから」
「……」
雪は、ふふっ、と柔い吐息を零した。「大丈夫だよ、今日は調子いいから。調子が良くないと外出なんてしないし」
言われてみればたしかにそのとおりだけどさ。気を使ってるんじゃないかって疑念は拭いきれない。
ポーカーフェイスの対極ですぐに顔に出るおれだから、そのことも雪は察しているはずだった。
「ねぇ好きだよ、柏谷君」
その雪が唐突に言った。「大好き」
「お、おう?」急に、それもストレートに言われると、どぎまぎしてしまう。「お、おれも好きだよ」
ふふ、とほほえんで雪は、「そういう優しいところとか、ちょっと──っていうかだいぶお馬鹿でわかりやすいところとか、おちんちんがおっきくてカチカチなところとか、それなのにとっても敏感ですぐお漏らししちゃうところとか、全部全部大好き」
「……なぁ、それって褒めてるのか? プラマイで言うとマイナスじゃねぇか?」
「まぁそれはどっちでもいいんだけど──」とにかく、と雪は声を明るくした。「わたしもムラムラしすぎて苦しいの」
脚を大きく開いてひっくり返った蛙のような格好になると雪は、ほら、と両手で淫唇を押し広げた。
目の前に大好きな女の子の、雪のおまんこがあった。
陰毛のないそこは充血して赤く膨らんでいて、下のほうにある女穴の奥には処女膜らしき肉襞が見え、その極小の穴から透明な蜜がぷくぷくと溢れてはアナルのほうへ垂れていく。
あまりのエロチックな光景に目くるめくかのようだった。見ているだけで興奮しすぎて果ててしまいそうだ。
雪は言う。「もう十分濡れてて前戯はいらないから、ね? 早くわたしのおまんこで気持ちよくなって」
おれはパンパンに膨張したぺニスを無言で雪の膣口に宛てがった。とろりと熱い女肉を亀頭に感じ、焦れったい快感が腰全体へ駆け抜けた。
「くっ」思わずおれは煩悶の声を洩らした。
「我慢しないでね」と雪は言う。「この前みたいに我慢しないで、イきたくなったらすぐに気持ちよく出しちゃっていいからね。柏谷君が一番気持ちよくなれるやり方でイってほしいの。そうしてもらうのが、わたしには一番うれしいんだから」
あまりにも献身的な言葉に、雪への想いがどんどん強くなっていく。
「雪、好きだよ」とささめくと、「わたしも好き」とすぐに返ってくる。「ううん、わたしのほうがもっと好き」なんて言って悪戯な笑みさえくれる。
そしておれは、つるりとした先端を雪の中に潜り込ませた。そのぬるぬるの肉圧に理性が吹き飛びかけたその時、はっとした。
やべ、ゴムしてないじゃん。
「?」急に動きを止めて固まったおれに雪は怪訝を浮かべた。「どうしたの? おちんちん早くちょうだい?」
「あー、その」場都合の悪さを感じながらおれは、「ゴム的な物ってあるか?」と尋ねた。
「あっ」と洩らして雪は、しまったなぁとでもいうように頬を掻いた。「ごめん、用意してない。それに、今月はもうお小遣いがなくて、今から買ってくるのもちょっと難しいかも」
「奇遇だな、おれもだよ」
漫画の買いすぎだった。すべては少年○ャンプが悪い、ジャン○が。
中途半端に浅く繋がって見つめ合ったままおれらは固まっていた。どうしようか、と目で会話していた。
とはいえ、答えは初めから決まっている。おれは後ろ髪を引かれる思いを気合いで断ち切り、ぺニスを抜いた。
「本番はまた今度にしよう」おれが平静を装って言うと、
「ごめんね」雪は眉尻を下げて答えた。そして、おもむろに身を起こしてベッドの上で女の子座りになると、「代わりになるかわからないけど、ちょっとやってみたいことがあるから横になってもらっていい?」
「? それは構わないけど」いったい何をやろうというのだろう?
仰向けに横たわると、いまだ激しく勃起したままの陽根がぺたんと腹に付く。何だか間抜けな状態だなぁと思っていると、
「それじゃあ失礼します」と妙に畏まった言葉遣いでそう言って雪は、おれの腰に跨がった──くちゅっ。男根と秘唇が重なる。
「!?」
とろとろに濡れた柔らかい熱が、雪の粘膜花から剛直にもたらされ、彼女の体重分の圧迫も加わり、沈静化していた射精感が再び暴れ出す。落ち着かせようとしてもちんこが雪のまんこに密着しているのだと思うと、無理。そこに神経と意識が集中してしまい、興奮していくばかりでとどまるところを知らない。
ああっ、ヤバいっ、こんなのすぐイっちまうっ。
おれがそう思ったのを察したらしき雪が、「気持ちいい?」とうれしそうにほほえむ。
「あ、ああ、気持ちいい」
「わたしも気持ちいいよ──んっ。柏谷君のあっつくて硬いのがクリトリスをぐいぐい押してきてるの。うふ、びくびくしてるね、かわいい」
はぁはぁ。気持ちよすぎて答えている余裕なんてあるわけがない。
「あー、無視するんだぁ、へぇー」全部わかっているだろうに、雪は意地悪そうにそんなことを言う。「じゃあ、わたしの好きに動いていいってことだよね? うふふふ……」
妖しげに笑うと雪は、淫裂を押しつけるようにしてゆっくりと前後に腰を揺すりはじめた。「──んっ、これ、すごいっ、クリトリスがこすれて、んんっ、すっごい気持ちいいっ、あふぅ、止まらないっ、はぁぅっ、気持ち、いっ」
それはおれも同じだった。自分の右手で扱くのとは比べものにならないほどの強烈な快感が、雪の腰のうねりに合わせて波のように襲ってくる。
目に飛び込んでくる光景もたまらない。
獣欲に駆られて淫らに腰を振る雪。
ぷるんぷるんと胸乳を揺らす雪。
上気した顔でだらしなく口を半開きにする雪。
時折、淫魔のような嫌らしい眼差しをおれに送る雪。
「あっ、あっ、んっ、はぅっ」と蜜のしたたるような悩ましげな声を洩らす雪。
すべての彼女が新鮮で、彼女のすべてがひどく官能的だった。
「──っ!」そして、とうとうその時が訪れた。「ゆ、雪っ、もうっ」
「あんっ、いいよっ、出してっ、わたしのおまんこを感じながらっ、んっ、いっぱいびゅっびゅっしてっ」
射精を促すように雪は腰の動きを速める。止めどなく溢れてくる愛液でぬるぬるの粘膜が立てるはしたない蜜音も激しさを増す。
「ああっ、もう出るっ、ああっっ──イっくっ!」
その瞬間、これきりというほど膨張していたはずの亀頭が更に一回り大きくなり、全身が痺れるような強烈な快感を伴って精液が噴き出した。
と、雪の真っ白な手が剛直の先端を包み込んで、信じられない勢いで迸りつづける精を受け止める。彼女は、「すごい、いっぱい出てる」とつぶやいた。
やがてそれが終わると、ぺニスはくたっとしおたれた。長く心地よい射精だった。
はぁはぁ、と荒い息を整え、「すっげぇ気持ちよかった」と雪に伝える。「ありがと」
「えへへ、どういたしまして。わたしもとっても気持ちよかったよ」
それから彼女は、手のひらで受け止めた精液をぺろっと舐めた。ぺろっぺろっ、ちゅぱっちゅぱっ、と自身の手に付いたものをすべて飲み込むと、四つん這いになっておれの腹に零れたそれを舐め取りはじめた。
「ちょっ、くすぐったいって」と抗議の声を上げても、
「えへへ」と楽しげに笑うばかり。
腹がきれいになると、今度は男根に付いた白濁を舐めすする。ぺろっぺろっと舌を出して舐め取る様は従順な犬のようで、おれは自然と雪の頭を撫でていた。彼女は幸せそうに目を細めていて、嫌がる素振りはない。
ちらと一度おれを見やると雪は、ぱくっとぺニスを咥えた。そして、ちゅうぅぅと吸って尿道に残った精液まで回収する。
──じゅぽんっ。
やけに嫌らしい音をわざとらしく立てて雪は、ぺニスを解放した。「ごちそうさまでした」なんておどけるように言う。
「お粗末様でした?」と言っていいのかは不明だったけど、とりあえず言っておいた。
それから、おれらは裸のままベッドでくっついて話をしはじめた。
ぽつぽつと言葉を交わし、気まぐれに互いの肌を弄ぶ時間は、甘美な夢にまどろむような心地よさがあった。
その途中に口で一回、手でも一回抜いてくれもした。おれが頼み込んでやらせたわけではない。ぺニスが力を取り戻して再び射精欲が高まると、雪は目ざとく察知し、自分からそうしてくれたのだ。
天使かと思った。エロエロ天使だ──もちろんそんなことは口が裂けても言えないが。
そうしてそろそろ帰らなければならない時刻になったところで、おれはようやく、洋風座卓にぽんと置かれたディスカウントストアの紙袋の存在を思い出した。
「なぁ、これって何を買ったんだ?」店でしたのと同じ質問をした。
「……そんなに知りたい?」すっかり打ち解けた雪だったが、これに関しては知られたくないのか、おれの内心を窺うような上目遣いで尋ねた。
「まぁ」曖昧に肯定した。
「わかったけど、引かないでね」
雪は紙袋を開け、それを取り出した。
それは男性器を模した張形、いわゆるディルドと呼ばれる大人の玩具だった。
かなりリアルな見た目と大きさをしているが、全然想定内である。引くような物ではない。
と思っていたのだけど、あれ? と首をひねった。何か見覚えあるな、これ。
無論おれは、アダルトグッズは女性用どころか男性用だろうと使ったことはない。だから、思い違い、気のせいの類いだろうと結論づけ──ようとしたところで、わかってしまった。
「あのさ、雪」
「うん」雪は赤面していた。
「何かさ、これ、おれのに似てね? つーか、大きさといい反り具合といい、ほとんど同じじゃね?」
「……うん、知ってる」
「このディルドを選んだ理由って──」
「うん、柏谷君のと同じだったからだよ」
「マジか」
「……引かないでって言ったじゃん」
「あ、ごめん──いやでも、これは流石に予想外だって」
「だって、寂しかったんだもん。保健室で一回シたっきりで全然構ってくれないし、それに練習もしたかったし」
「それはクラスが違うから」
「わかってるよ、そんなこと。それでも寂してつらかったの」
「それは、ごめん」
「うん、もう大丈夫。今日いっぱいイってくれたし、ちゅーもしてくれたし、好きって八回も言ってくれたし」
「お、おう、数えてたのか」
「引かないの」
「あ、はい──てか、練習すんのか?」
「うん、する」
「フェラとか?」
「フェラとか」そこで雪は、「でも、心配しないで」とよくわからないことを口にした。
「心配って、何の心配?」
「処女膜は柏谷君のために破らないで取っておくってこと。男の子って、そういうの気にするんでしょ?」
「うーん、まぁ人によるかな。おれはそんなでもないけど」
「にやけてるよ」
「ごめんなさい、カッコつけました。正直めちゃくちゃうれしいです」
「うん」そして雪は、ふふ、と微笑し、「次は最後までシようね」
そんな雪がかわいくて、おれはまた少し彼女のことを好きになってしまうのだった。