今回は無機物取り込まれシチュのお話です。
魔王を倒した最強勇者一行が、一人ずつ謎の金属板に同化し、取り込まれていって全滅!?しまうお話です。

からの、後半はいつもの融合トンチキ。
温度差が書いていて楽しかったです。

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勇者一行、全滅! ~一人ずつ、謎の金属板に取り込まれてしまい~

「さて、と……この森に逃げ込んだみたいだな」

「ちょっとー、ダルクー! 他人事みたいにさぁ!」

 男勇者の発言に、女盗賊が胸を揺らしながら抗議する。

「あ、えっと、悪い悪い。だってさ、あのタイミングで逃げ出すとは思ってなくてさ」

 バツが悪そうに頭を掻く。

「まあまあエリィ、そんな怒っても仕方なかろう。まだワシらに懐いていなかったんじゃろうしなぁ」

 大柄で逞しい竜人の格闘家が落ち着いた様子で女盗賊を宥める。

「ダルク様、きっと見つかりますわ。確かに足跡はあの森の中に続いていますし……」

「と、とにかく、みんなごめんな。こんなしょうもない事で時間食っちゃって」

 おっとりとした女賢者にカバーされつつ、勇者ダルクが頭を下げる。

「んまあ、ボクはいいんだけどさ! 一緒にいる時間が増えるわけだし」

「ガハハ、それもそうじゃな。都まで帰ったらもう、それぞれやることもあるからのう」

 ダルクたち四人は力を合わせ、見事魔王を撃破。

 平和になった世界を仲良く凱旋中に……入手したばかりの馬車馬がトンズラしてしまった、と言うわけだ。

 トラブルはトラブルなのだが、そのおかげでまだ一緒にいられると言うのも事実。

 どこか複雑な感情を全員が抱きつつ、捜索を行なっていたわけだ。

「どうする? 森だと手分けした方が早いかもしれないな」

「よーし、じゃあ競争しよ、競争! もしボクが見つけたら、ダルク、キスしてよね!」

「えっ、そ、それはどうなんだよ!?」

「ちぇ〜、メアリのお願いだったらするんでしょ、どーせ!」

 口を尖らせ、エリィが文句を言う。

「そ、そんな、わたくしはそんなお願い、しませんわよ!?」

 どこかウブなのか、賢者メアリは顔を赤くして反論する。

「ほれほれ、そんな事で揉めてる間にますます遠くに行ってしまうぞ。手分けするなら手分けする、そうでないならそうでないと決めないといかんぞ」

 竜人のバルクスが諌めるように言う。

 寿命が長い竜人族故、見た目の若さはそんなに変わらないものの実際の年齢は桁が一個違う。

 そのためこうやってダルクが全員の意見をまとめる補助を買って出ることが多いのだ。

「そ、そうだな。そんなに広くないだろうし、手分けしよう。見つけたらいつもの信号弾で合図すること!」

「はいはーい! ボク、一番乗りー!」

 エリィはゆさゆさと胸を揺らしつつ、森に飛び込んでいく。

「よしよし、ワシもできる限り頑張るとするかな!」

 ノッシノッシと余裕のある動きをして、バルクスも消えていく。

「じゃあメアリ、頼んだぞ」

「あっ、えっと、ダルク……」

 勇者が歩き出そうとした時、賢者がそっとその袖を摘む。

「なんだ、どうした?」

「そ、そのね、い、一応、危ないから、おまじない、しておこうかと……」

「そ、そ、そっか、た、助かるよ!」

 実はこの二人、婚約済み。

 都に戻ったら結婚式を挙げる予定なのだが……ご覧の通り、まるでそんな進展はしておらず。

 エリィがダルクにちょっかいをかけてしまうのも、納得の状態なのだ。

「う、うん。何か変なことになっても、すぐに解呪してくれるおまじない」

 ダルクの手を緊張した面持ちで握りながら、魔法を唱える。

「いつも助かってるよ、メアリ。なんでも魔法、知ってるもんな」

「え、えっと、あ、ありがとうございます……」

 キスすらろくにしていないのだろう、と容易に察せられるほどにモジモジしてしまう二人。

「じゃ、じゃあ、私も、頑張ってきます!」

「お、おう、俺も、頑張るぜ!」

 おまじないをかけ終わり、二人もギクシャクして森へと入っていく。

 騒々しかった四人がいなくなり、森はまた静けさを取り戻す。

 風が吹き、さざめきの音だけが響き渡るのだった。

 

「あれぇ、なんだろこれ」

 エリィが身軽さを活かし、するすると移動していると……何やら妙な物を発見する。

 高さは2mほど、幅も……同じくらいだろうか。

 森の中に、謎の板が立っているのだ。

「石碑……じゃないかぁ。どう見ても金属だよね」

 トラップがないか確認するも、周囲に異変は無いようだ。

 遊び人のような雰囲気を漂わせていても、さすがは勇者の仲間。

 無邪気だった目つきはキリリと真剣そのものになり、仕事モードに切り替わっている。

「ふうん……?」

 厚さは50cmもないだろうか。

 なぜ立っているのか、どうしてここにあるのか。

 全く分からないが、その堂々さはエリィの興味を引く。

 忍び足で近づき、それを観察する。

「あれっ」

 光の反射のせいですぐには分からなかったのだが、接近するとある事実に気がつく。

 この板、広い面に何かが描かれているのだ。

 そんなに複雑ではないので、断定はできないのだが……

「これ、馬か何かの絵かな?」

 裏側に何もないのを確認しつつ、絵の描かれた面に顔を近づける。

「あーあ、馬の絵を見つけたってねぇ。あのバカ馬本人だったら、ダルクに褒めてもらえるんだけどなぁー!」

 特にこれといった特徴もなく、がっくりと肩を落とす。

「あの二人、もっとイチャイチャしてくれたら諦めもつくんだけどなぁ。どーしてもう少し、仲良くしてくんないかなー。ボクもダスク好きなの、二人とも知ってるでしょうに」

 板に寄りかかりつつ、思わずしょうもない愚痴を漏らしてしまい。

 体重を預けると、どこかヒヤリとした感覚。

 ……がしたのは一瞬であった。

「ん?」

 最初、エリィは体温で温まったのだと解釈をした。

 が、何か妙だ。

 あちらが温かくなっているのではなく、自分の腕が冷えていると自覚するまで思ったより時間がかかってしまう。

「え、これ、どう言うこと!?」

 素早く離れようと、板を蹴ろうとする。

 が、手応えは無い。

 まるで宙を蹴るかのような……いや、宙に足を掴まれたかのような感覚。

「え、え、え」

 エリィは自分の目が信じられず、顔を青くする。

 なんと、よっかかっていた腕が、蹴ろうとした足が……

 板の中に、めり込んでいるのである。

 それだけならまだいい。

 少しずつ、少しずつ、飲み込まれていく、溶け込んでいく感覚。

 感覚に合わせ、わずかだが手が、足が、板に入っていっているのだ。

「う、嘘、だって、そんな厚み、無いじゃない!?」

 体を動かそうにも、手が、足が捕まっている今できる事は限られている。

「わ、あ、あ、あ」

 取り込まれている手が、足がさらに変化を始める。

 皮膚を這い上がるかのように、金属光沢が広がってきているのだ。

 キラキラと光を反射するそれに、肌が少しずつ変化していく。

 その部位は感覚が無くなり、力が入る事も無く。

「ちょ、ちょっと、待って、待って!?」

 見た事もない事態に、流石のエリィも怯えた表情になる。

 無意識のうちにもう片方の足が板を蹴ろうとしてしまい、捕まってしまう。

「ど、ど、どうしよう!?」

 判断の基準を見失い、ただ狼狽するばかり。

 大声を出そうとした時……それすら止めてしまうような光景が彼女を襲う。

「ひっ!?」

 なんと、装備品まで金属光沢に覆われていくではないか!

「な、なんなの、これ、あ、あ」

 加速度的に早くなる侵食に、どんどんリソースを奪われる。

 まだ自由な左手を伸ばし、何かを掴もうとするのだが……彼女が最後に見たのは、その指先まで一気に金属化する瞬間であった。

 声を出す間もなく、彼女の顔も髪も金属に変化してしまい。

 抵抗すらもできなくなったエリィの体は、板の中に飲み込まれていく。

 どう見てもはみ出すだろうに……彼女はまるでいなかったかのように、板は元通りの形状になるのであった。

 

「はて、エリィの声がしたような気がするんじゃがな」

 しばらくして。

 バルクスが姿を現した。

 奇妙な金属の板は変わらず、光を反射して輝いている。

「おろ、ありゃあなんじゃ? 何かの記念碑かのう」

 この辺りにそんな伝説や言い伝えはあったか、と首を傾げつつ巨体を動かす。

「ふうむ……なんじゃ、この絵は? よく分からんな」

 板を見るも、眉をしかめる。

「こう……重ねて何か描いたのかのう? 馬の顔のようなのはあるが、人の絵が上に乗っかってるというか……」

 そう、絵が変わっているのだ。

 エリィを取り込んだからか……元々あった馬の絵に、人の絵が追加されていたのだ。

 が、バルクスの言う通り重なって描かれているせいで、ぐちゃぐちゃになっている。

「ふうむ?」

 押し倒してしまわないように注意しつつ、利き手を板に当て体を支える。

 そして細かく見ようと、その鼻先を近づけ……

 ずぶり、と容赦なく手が取り込まれ始める。

「ん、〜〜〜〜〜っ!?」

 運が悪いことに、ダルクスはバランスを崩し……そのまま思い切り顔を板に突っ込ませてしまったのだ。

 彼のいかつい顔がモロに板に飲み込まれ、口を開ける事もできなくなる。

 馬鹿力でなんとかしようとするものの、同化が止まる気配はない。

 まだ残っている手で思い切り打撃を加えようとしたものの、まるで無意味であった。

 まるで綿を殴るかのように、衝撃は全てどこかに逃げる。

 勢いよく飲み込まれた腕。

 絶対に貫通しているはずなのに、指先には何の感覚も無く、動きもしない。

「〜〜〜〜、〜〜〜〜〜〜〜!?!?」

 声を出そうにも、もうその頭部は板にほとんど消えている。

 腹が大きく動き、反響したくぐもった声だけがわずかに漏れる。

 その声も、胴体が金属に侵食された事で動けなくなり、出なくなり。

 バタ、バタともがく足も少しずつ金属に覆われていき、鱗一枚一枚がキラキラと光を放つ。

 尻尾も大きく動いていたはずなのに、いつの間にか反ったオブジェのように固まってしまう。

 ダルクスの巨体は最後の最後まで動くことを止めなかったが、それが災いしたのだろうか?

 彼は大きいのにも関わらず、エリィよりもはるかに早く板に溶け込み姿を消してしまう。

 それでもなお、板は大きさが変わる事がなく……ただただ、そこに在り続けるのであった。

 

「あら、何かしらこれ」

 メアリが杖で草をかき分けながら、板を発見する。

 森の中に似つかわしくない、光を反射している何か。

 その不自然さに、メアリは興味を惹かれる。

「変ですね、こんな大きさでこの薄さなのに倒れないのは」

 距離を置き、ぐるりと一周する。

「あら?」

 一面に何かが描かれているのに気がつき、一歩近づく。

 そこには、馬の絵と人の絵と竜人の絵が重なっていたのだが……線だけの絵が三つも重なっている今、ぐちゃぐちゃの線の塊とほぼ変わらなくなっている。

「何かしら、儀式の紋様かしら」

 撫でて確認しようと、手を伸ばす。

 が、流石は賢者と言った所か。

 何かを察し、そうっと引っ込めて様子を伺う。

「ううん……でも、何か引っ掛かるのよね」

 仲間が二人既に吸収されているのだが、それを知ってか知らずかメアリは観察を続ける。

「もしかすると、下に土台があるのかしら?」

 杖を持ち直し、棒のようにして板の下側をつつく。

 コツン、と硬い音。

「あ、本当に金属なのね」

 そのまま滑らせて地面まで……動かそうとするが、びくともしない。

「あ、あら?」

 そう、接触した弾みに……杖が取り込まれ始めているのである!

「ど、どう言う事なの!?」

 賢者とは言え、この世の全てを知っているわけではない。

 未知の現象に焦り、無理やり杖を引き剥がそうと両手をかける。

 それがいけなかった。

 杖を一気に金属光沢が駆け上がり、そのまま彼女の両手を捕まえてしまったのである!

「きゃっ!?」

 手放そうとしても、もう遅い。

 板と同一化してしまった杖は、その持ち主を取り込み始めたではないか。

 彼女よりも細く、短いはずの杖は……みるみるうちに、彼女の手を飲み込んでいく。

「こ、これ、もしかして、古代の……!?」

 呪文を唱えようとしたのだが、少しばかり遅かった。

 皮膚を滑るように侵略してきた金属光沢はたちまちにして彼女の口を支配し、舌すら動かせなくしてしまったのである。

 例え対処法を知っていようとも、唱えられない以上実行は不可能である。

 メアリは呻き声を上げることすら許されず、愛用の杖に体が入っていくのを見続けるしかなかった。

 もっとも、全部が全部飲み込まれる前に彼女の頭部も金属になってしまったので意識は途中で途切れてしまったであろうが……

 持ち主を裏切り、吸収してしまった金属化杖は満足そうに、板に入っていく。

 杖も、板もまるで体積は変わることはなく。

 三人とも、存在が消されてしまったかのようであった。

 ただ一つ、表面に絵が増えたのだけが変化なのだが……重なり続ける線画は、ますますただのノイズにしか見えなくなっていた。

 

「よっと……おかしいな、エリィのやつ、もう見つけて『キスしろー』とか言ってきてもおかしくないのに」

 ダルクが、件の金属板を発見したのはさらに数時間が経過しての事だった。

「ううん、静かすぎるっていうかなんというか。誰とも出会わないわけ、無いんだけどな」

 歴戦の勇士四人が森の中の馬を探す。

 一見まるで問題のない、簡単なクエストなのだが……

 流石のダルクも、目の前の板に頼れる仲間三人が取り込まれてしまったとは想像できないらしい。

「あーあ、どうするかなぁ。結婚式するのはエリィも知っているから、諦めてくれると思っていたんだけどなぁ」

 彼は彼なりに悩み事があるのだろう。

 ぶつぶつ言いながら、板に目をやる。

 彼も片面だけに何か描かれているのは見つけるのだが……ぐちゃぐちゃのメチャクチャなそれに、意味を見出すことはできなかったようだ。

「いやまあ、エリィの方が胸が大きいからつい目がいっちゃうのはあるんだけどな。それはそれとしてメアリを愛しているのは本当だし……でもなあ、メアリ、結構ガード硬いからあんまりあれこれできないっていうか、しすぎるとエリィに悪い気がするしなぁ」

 魔王を倒せても、恋愛は苦手のご様子。

 考えをまとめきれずに独り言を重ねるばかり。

「バルクスも最近なんか変なんだよな……やたらと風呂一緒に入りたがるし、浴槽が狭いって言って体近づけてくるし、なんなんだろうなあれ」

 モテる男は辛いものである。それに気づかないせいか、バルクスの方はやりたい放題のようだが。

 だが、そんな三人はもうただの板。

 勇者の目の前で光を浴び、堂々と佇んでいるだけである。

「あ、そうだ。ここ、目立つし待っていれば全員来るだろうな。考えまとめがてら、ここにいるとするか」

 その判断自体は間違ってはいない。

 が……

 運が悪い事に、彼はその背中を金属板に預けてしまったのである。

「ん、えっ、うわっ!?」

 座ろうとした椅子を引かれたかのように、ダルクは後ろにバランスを崩す。

 待ち侘びていたかのように、その体を後ろから金属が舐めていき……

 逃げようと伸ばした手も、もがいて暴れていた足も硬質化し、輝き。

 ズブ、ズブと飲み込まれていく勇者の肉体だった金属の塊。

 それもとうとう完全に板に溶け込み、一つになり。

 

 と、その時であった。

 メアリの『おまじない』が、金属板の内部で発動したのである!

 勇者一行を取り込んでいた摩訶不思議なそれは、その効果により内側から崩壊していく。

 それと同時に、取り込まれていたダルク達も解放される。

 それぞれが異なる色の光になり、空に上がり。

 最初の光が地に降り、徐々にダルクの形へと変わっていく。

 ……ところが、である。

 そこに、別の色の光が直撃した。

 ダルクになるはずだった光は、混色しつつ形をさらに変えていく。

 そう、メアリに戻るはずだった光が、同じ場所に来てしまったのである!

 おまじないが金属板の呪いを解除したのはいいものの……

 一人のおまじないにより、複数人が助かったせいで奇妙な事になってしまったようなのだ。

 ダルクになろうとしながらもメアリにもなろうとしている光。

 そこに、一段と大きな光が飛び込んでしまう。

 そう、バルクスである!

 今度は竜人にもなろうとして、ますます光の動きは複雑になっていく。

 もちろん、エリィの光も例外ではない。

 三つの光が混ざっていく中に入り込み、四色の光……四人の肉体情報は、境界がなくなり一つにまとまっていってしまう。

 とはいえ、四人の全てが混ざった状態と言うことは……四人の力も併せ持つ、と言うことだ。

 誰が肉体の主導権を持つかは分からないが、メアリの賢者としての能力を所有しているのなら融合状態からの分離も不可能ではないはずだ。

 むしろ、下手に分割されてしまう方が問題になってしまう。

 今はただ、全員が一旦一つになるしかないのだ。

 四色がごちゃ混ぜになった光の塊が、確実に形を取り戻していく。

 ダルクのようで、メアリのようで、エリィのようで、バルクスのような。

 全員のようで、誰でもないような。

 そして変化が終わり、光から復元される——

 かと思われた時。

 確かに四人がまとまっているはずなのに、五色目の光が飛び込んでくる。

 その光の影響で光の塊はもうひと変化を起こし、とうとう肉体が復元され。

「ブルル、ヒッヒィ〜〜〜〜〜ン!!! うわ、うわ、すっげぇ、オイラ、すっげぇ力が湧いてくるぜぇ、ブルル、ブルルっ!」

 人間三人の髪を併せ持ち、竜人の雄々しい角をのぞかせて。

 確かに特徴が合わさっている、のだが……なんと、その顔は馬そのもの!

「うへ、うへへ、すげぇすげぇ、オイラ、こぉ〜んなに頭良くなってんだな、わかる、わかる、わかるぜぇ♡」

 歯を剥き出しに、ニヤニヤと笑い。

 丸太のように太い足を、頑強な蹄が支えている。

 大きくムキムキなガタイに大きな胸、そして立派な股間の膨らみ。

 四人の物がでたらめに組み合わさったような装備を着ている馬面の何者かは一人、満足げに笑っている。

「あの金属板にオイラが入っちゃって、ぐふ、ぐふふ、はぁーい、次にボクが入っちゃったんだよ! その次は、ワシじゃ! そして、わたくし。で、俺が取り込まれたってわけだ!」

 声色と口調が変わり、一人で喋っている。

「おまじないの効果で助かったけど、全員合体! しかも、最後から順番に合体していったから……うへ、うへへ、俺、わたくし、ワシ、ボク、オイラにまとまっちゃったんだぜぇ♡ ヒヒィン、ヒヒィン、ヒッヒィ〜〜〜ン♡♡♡」

 そう、ダルク達から逃げ出した馬があの金属板の中に入っていたのである!

 しかも運が悪い事に、最後に彼が融合した結果……勇者達全員の全てを、馬が掌握してしまったのだ。

「ウヘ、ウヘ、おっぱい、おっぱい、でっかくて気持ちいいぜえ♡ ちょっとぉ、ボクのおっぱいなんだよ? でも、ボクはもうオ・イ・ラ♡ だから、ボクのおっぱい、オイラのおっぱい♡ わしが修行した肉体で、何をするんじゃ! まあ、ワシはオイラじゃからな! オイラがワシの体を使うの、あ・た・り・ま・え♡ もう、わたくしの頭で変なこと考えないで欲しいですわ。わたくし、オイラなのよ? オイラの考えはわたくしの考えですから、別にいいですよね♡ 俺、勇者なのに、馬に合体、オイラは俺だから、馬だけど、勇者だぜぇ、あっ、おっぱい、いいっ、いいっ♡♡♡」

 一人でなりきり遊びをしながら、逞しい手で乳房を揉む。

 五体合体した肉体は余裕を持ってそれを受け止め、途方もない快感を脳に送り込む。

「あぁ〜、最高、最高じゃんか、別に俺、荷物運びとかしたくねえし、たったの1000Gで買いやがるし、変な名前つけようとするし……へ、へへへ、まあ、結果こうなったから、最高、最高だぜぇ、あぁあ〜〜〜♡♡♡」

 融合した肉体を好き勝手に扱い、快楽に身を委ねる。

「ウヘ、ウヘ、お買い上げ、ありがとうございまぁす、オイラのお代金、1000Gと、全員の肉体でぇ〜す♡ あっ、あっ、契約キャンセルするなら、今のうち、んっ、乳首、いいっ♡ 大丈夫でーす、俺、オイラ、気に入ったので、キャンセルしませーん、あっ、おっ、おっ、わたくしも、オイラ、大好きなので、このままで、問題ありませーん、ワシも、おっ、んっ、いいっ、いいっ♡ こんな肉体、最高じゃぞ♡ えへ、えへへ、ボク、ボク、どんなお宝より、オイラがいいやぁ〜♡ へ、へへへ、へへへへ、契約、成立、じゃあ、これからずぅ〜っと、皆さんは、オイラの、一部、でぇ〜す、ブルル、おもしれぇ、おもしれぇ、あぁ〜〜〜♡♡♡」

 金属板との同化の次は、安馬との同化をしてしまった勇者一行。

 馬の勝手ななりきり発言により、好き勝手言われてしまい。

 だが、もう彼らは馬と精神も同化してしまっている。

 馬が何をしようとどうしようと、それは同化した彼らの意思でもあるのだ。

 胸を揉み、息を荒げ、快感に入り浸り。

「オイラのもの、オイラのもの、みんなみーんな、オイラのものぉ♡ へへ、へへへ、オイラになったんだから、自己紹介しちゃおっと、んっ、胸、胸、いいっ♡ 俺、勇者ダルク! 魔王を倒して世界を救い、今日から馬の一部になったぜ! わたくし、賢者メアリ。あらゆる魔法をマスターして、頭脳も明晰。オイラになったから、真面目な事より楽しい事、気持ちいい事だけ考えちゃいまーす♡♡♡ ワシは格闘家のバルクスじゃ! 百年鍛えたこの肉体、オナニーし放題! あと残り数百年の人生、しょうもない馬に肉体プレゼント、一生一緒じゃ! ボク、盗賊のエリィ♡ 馬に合体して、おっぱい揉み放題になっちゃうお宝ゲット♡ これ、ボクの物だから返さないもーん♡ あぁ、すげぇ、すげぇ、すげぇ、全部、全部、オイラ、オイラなんだぁ♡♡♡」

 独占した実感が、より一層体を熱くさせていく。

「俺、わたくし、ワシ、ボク、オイラ、オイラ、オイラ、オイラ、オイラ♡ ウヘ、うへへ、あんなに偉そうだったのに、もう、オイラと一つになって、オイラの思い通りで、ぜぇんぶオイラが使えて、全部纏まってるから、最強、最高、たまらねぇ、ぜぇ〜〜〜♡♡♡」

 全身が馬の動かす手によって刺激され、されるがままに感じていく。

「へ、へへへ、オイラ、サボり気味で、愛想もなくて、売れ残っていた、ダメ馬でぇ〜す♡ でも、今は勇者で賢者で格闘家で盗賊! 伝説の血を引いて、天才で、最強の肉体を持っていて、手の器用さだって、あっ、あぁああ〜〜〜ん♡♡♡ オイラ、最強、馬にんげぇ〜ん♡♡♡」

 合体した事実を噛み締めれば締めるほど、心が躍り、体が跳ね。

 胸の刺激で物足りなくなってきたのか、竜と馬と人間の三種類が合わさった竿がムクムクとボッキを始める。

「でっけぇ、でっけぇ、修行には禁欲がつきものだけど、オイラもう最強だからぁ、ちんぽちんぽ、おっぱいおっぱい、好きなだけオナニー、おっ、あっ、いいっ、いいっ、ぐふ、ぐふふ、わたくし、ちんぽだぁ〜い好き♡♡♡」

 『オイラ』になった『わたくし』が、欲求に正直な回答をする。

「いいっ、いいぞぉ、なんか、オイラになったみんなの気持ち、オイラの中で混ざって、あっ、んっ、ちんちんシコシコ、おっぱい揉み揉み、心がぐるぐる♡♡♡」

 長く共に戦った仲間とは言え、言えない事ももちろんある。

 馬に融合してしまった事でその境もなくなり、好き勝手する馬の精神が勇者達の記憶を自由に読み込み。

「わたくし、バルクスみたいなガタイのいいお方がタイプですわぁ♡ だから、ムキムキふたなりのオイラだぁ〜い好き♡ オイラになってよかった、おちんちんおちんちん♡ ワシ、ダルク、好きすぎて、犯したいくらいで、ムラムラしとったんじゃあ! ダルクもワシももうオイラ、だからオイラがシコシコモミモミ、ワシもダルクも仲良くオナニー、一人でセックス、最高じゃあ♡ えへ、えへえぇ、大好きなダルクのおちんちん♡ ダルクもボクでオイラ、オイラのおっぱいボクのおっぱい、ダルクがボクのおっぱい、ボクがダルクのおちんちん、どっちも気持ちよくって、ボク、ボク、ダルクと一緒で幸せぇ〜〜〜♡♡♡ メアリのおっぱいエリィのおっぱい独り占め、俺はわたくしボクでオイラ、一緒だから一緒で一緒にシコシコモミモミ、一緒、一緒、全員合体一生一緒、もうずうっとおんなじ体、おんなじバカ馬、分離不可能永遠融合、俺がわたくし、わしでボク、オイラになっておんなじ気持ちで一緒に気持ちよくって、最高、最高、合体して、オイラにくっついてぇ、おんなじになってぇ、良かった、良かったぁ、良かったぁ、ヒヒィン、ヒヒィン、ヒッヒィイイイイイイン♡♡♡」

 一人で大騒ぎしながら、絶頂に達する。

 鍛え上げられた肉体から溜まりに溜まった精液が、四人の、一頭の馬の欲望に押し出されるように噴き出す。

「あっ、あっ、あっ、すげ、すげぇ♡♡♡」

 馬として生きているなら、絶対に味わえない感覚。

「合体オナニー、合体オナニー、いいっ、いいっ、いいっ♡」

 目を細め、断続的に五人の遺伝子が絡まった精液を放出するたびに竿が受ける感覚を堪能する。

 無意識に、それに合わせて胸を揉み最後の一瞬まで味わい尽くし。

 とうとう融合初の射精が終わり、快感の波も引き。

「え、へへ、夢じゃねぇんだ、本当に、本当にオイラ、勇者達、混ざっちゃったんだぁ♡」

 あたりが精液びたしになるほど出したにも関わらず、膝が笑いすらしていない。

 鍛え抜かれた肉体との融合により、馬は無限に近いスタミナを手に入れていたのである。

「全部、ぜーんぶ、オイラのもの♡ 疲れたおちんちんもオイラの魔法で、えいっ♡」

 研ぎ澄まされた魔導力の持ち主との融合により、どんな魔法もお手のもの。

 たちまち男根は勃起し直し、ビンビンになる。

「うへへ、今度はおっぱい弄るだけで、射精してみよっと♡」

 太い見た目からは想像できないほどに、繊細な指遣いが乳房を襲う。

 世界一の盗賊スキルも同化済みで、性感帯はもう丸裸だ。

「あっ、好き、好き、オイラ、オイラ、この体、だぁ〜い好きぃ♡♡♡」

 全員を愛し、全員から愛される勇者も肉体の一部だ。

 同じになった今、お互いに循環参照をするせいで無限に愛が高まっていく。

「あぁ〜、いい気味だぜぇ、オイラに、勇者様達がまとまって、オイラの思い通りになっちゃって、もうずうっと、オイラのままなんだぞ、ぐふ、ぐふふ♡」

 胸の快感にぼうっとしながら、ある事を思い出す。

「そういえば、オイラに名前つけようとしてたな……全員、変な名前つけようとしやがって、あっ、おっ、おっ、そうだ、そうだ、仕返しに、オイラに、オイラが、名前つけちゃおっと♡」

 品のない笑みをしながら、融合馬人間が自慰行為を続ける。

「じゃあ、今日からオイラの名前は『一生合体・おっぱいちんちん馬人間』でーす♡ 了解! 俺は今日から、一生合体・おっぱいちんちん馬人間! わたくし、一生合体・おっぱいちんちん馬人間です! ワシの名前は一生合体・おっぱいちんちん馬人間! ボクも、一生合体・おっぱいちんちん馬人間だよ! ウヘ、へへへ、いい、いいぜぇ、もう、もう、みんな、俺、ダルクでもなくて、わたくし、メアリでもなくて、ワシ、バルクスでもなくて、ボク、エリィでもなくて、オイラで、オイラで、オイラで、一生合体、おっぱいちんちん、馬にん、げぇえええ〜〜〜〜んんん♡♡♡♡♡」

 わざとヘンテコな名前をつけ、復唱させ。

 完全に取り込んだという優越感に浸りながら、一生合体・おっぱいちんちん馬人間は二度目の大噴火を起こすのであった。

「合体、合体、最高、幸せ、たまんねぇ〜♡」

 

 

 おしまい


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