※この作品はR-18です。

ようこそ発情スキルの教室へ   作:ソフロス

10 / 25
本当は昨日の23時40分に上げるつもりだったのに、日曜日に設定してました。
ごめんなさい。


第9話 波乱のカラオケボックス(松下千秋、園田千代)

 

1

 

日曜日の朝、俺は昨日の夢であったことを思い返す。

俺の『絶倫』の熟練度が3に上がったこと。それによって俺は1日に2人抱く必要が出てしまった。

千秋さんという彼女がいるというのに、正直気持ちの整理ができない。

 

「でも、いつまでもこのままじゃ状況は好転しない。今の俺がやるべきことは須藤くんが被害者であることを学校に認めさせる。それが第一事項だ」

 

俺は携帯端末に目を落とし、連絡を確認する。

どうやら一之瀬さんが話を上手く持っていってくれたようだ。

 

「さて、少し遅めの朝食にしようかな」

 

一之瀬さんや平田くんの連絡を確認していたため時刻は午前9時前と朝食にしては少し遅い時間になってしまったが、こればかりは仕方ない。

卵を割ってフライパンに落とし、その上にパンを乗せてホットサンドにする。

 

「やっぱりちょっと味気ないな」

 

スーパーの無料の食品コーナーから取ってきたものばかりのため、具材なんてものはほとんどなく質素なものだ。

俺の所持する残りのポイントは2000ポイントに満たない。今日の出費を考えたら、もう持ってないようなものだろう。

 

「あー、ムラムラする」

 

この『絶倫』とかいうクソスキルはオナニーをしても賢者になれないとかいうクソ仕様つきだ。

オナニーをして、一瞬賢者が訪れたと思った次の瞬間には勃起している。

まじで意味がわからない。人間の枠組み超えてるだろ。

そのせいで最近はオナニーをした後の充足感が得られなくてストレスが溜まっていく。

 

人間の三大欲求である『食欲』、『睡眠欲』、『性欲』のうち1つを1人で満たせないというのは不便で仕方ない。

俺は結局、千秋さんに連絡して自分の部屋にきてもらうことにした。

 

「千秋さん、こんな朝から呼び出してごめんなさい」

「もう、休日だからって朝からするつもり?今日は森さんと遊ぶ約束してるんだけどなあ」

「ご、ごめんなさい。朝から千秋さんのことが頭から離れなくて……」

「ほんとにえっちなんだから」

 

千秋さんは慣れた手つきで俺のズボンを下ろしてフェラを始める。

 

「ちょ、ちょっと……いきなり…はっ!」

「もう、自分から誘ったんだし、期待してたでしょ?」

「あふぅ……」

 

俺の愚息からはすでに我慢汁が溢れ出てきていて千秋さんの心一つで簡単に射精させられそうだった。

 

「やばいです……で、出ちゃいますっ!」

「いいよ、出して」

 

俺の愚息から放たれた精液が千秋さんの舌に絡め取られていく。

舌にすっぽりと包み込まれるような感覚に陥り、その器用な舌捌きでもう一度射精してしまう。

 

「うっ……あぅ…」

「ちょっと!出しすぎっ!あわっ!」

 

千秋さんの口から白濁した液体がドロドロと漏れ出る。

 

「んふぅ、遥のいっぱい……」

 

口から漏れる精液を舌を伸ばしてペロリと舐めとると、自分のスカートも下ろして本番へと移行する。

 

「じゃあ、そろそろ私のことも気持ちよくして欲しいな?」

「わかりましたよ」

 

俺は千秋さんの秘部へと指を近づけていく。

千秋さんの秘部に指を這わせながら愛撫する。

 

「んんっ♡やぁっ!」

「くすぐったいんですか?」

「あひぅ!んんっ♡なでられるのがっ!んふぅ♡」

 

段々と湿っていく千秋さんの秘部を堪能しながら、中に指を滑り込ませていく。

 

「んっ!んんんっ♡あぁん♡」

「もうびちゃびちゃですよ」

 

指を出し入れしながら中に押し進めていくと愛液が指を覆っていく。

 

「んんっ!んんんっ♡」

 

千秋さんは恥ずかしそうに嬌声を漏らしながら、頭を左右に振っている。

 

「そんなに気持ちいいんですか?」

「んぅ……気持ちいいのっ!」

「じゃあ、もっと気持ちよくしてあげますね」

 

俺は指を抜き、愚息を秘部の前まで持ってくる。

 

「早くっ……挿れて♡」

「わかりましたよ」

 

濡れ濡れになった秘部に一気に愚息を推し進める。

その瞬間、千秋さんの恥声が響き渡る。

 

「あふぅんんんんんっ♡」

 

千秋さんの膣内の締まりがよくなり、俺の愚息の締め付けを強固にする。

 

「んっ……あっ…あっ♡いきなりはげしすぎっ!」

「それは千秋さんの締め付けがすごいからですよっ!」

「だ、だからって!んんんっ♡だ、だめっ♡はげしいのっ!」

 

千秋さんの子宮の再奥を何度も突きながら俺の射精感度も上がっていく。

 

「んっ、あっ♡ああんっ♡」

「千秋さんっ!俺……もうっ!」

「わたしもっ♡わたしもでちゃうっ!」

「くっ…出しますっ!」

「んはあぁぁぁぁぁっ♡」

 

俺が千秋さんの子宮に性欲のすべてをぶつけると同時に、千秋さんもまた絶頂に達して俺の精液を掻き出していく。

 

「あ、あひ……ふぁ♡」

 

性欲の限りを尽くした千秋さんはしばらくその場に留まるのだった。

 

2

 

昼過ぎのケヤキモール。

お昼時ともなれば、昼食のために飲食店を探すために辺りをふらつく生徒も多い。

そんな生徒を掻き分けながら俺は目的地へと向かう。

 

その目的地の名はカラオケボックス。陽キャから陰キャまで幅広い層の生徒に人気なスポットである。

俺も転生前には何度か訪れたことがあるが、この世界にきて訪れるのは二回目である。

 

それに一回目は今回の視察のために少しの間見にきただけなので、実際ちゃんと来るのは初となる。

俺はカラオケボックスの前にすでに集まっている数人の生徒を一度見渡す。

平田くんの力はやっぱり偉大だな、こんなに女子が集まるなんて。

 

「平田くん、今日はありがとね」

 

俺は周りに聞こえないくらいの声のトーンでお礼を伝えた。

 

「ううん、でも上條くんも思い切ったことをするよね」

「まだ上手くいくかはわかんないんだけどね」

 

俺が平田くんと一之瀬さんにお願いした内容は、Dクラスの女子とBクラスの男子女子を集めてもらうということだ。

そして一之瀬さんには更にCクラスの小宮くんと近藤くん、他の男子数人を呼んでもらった。

 

今日の目的は小宮くんと近藤くんから須藤くんを嵌めたことの証拠となる言質もしくは匂わせるものを引き出すのが目的だ。

 

「じゃあ、そろそろ僕たちも入ろうか」

 

Dクラスの生徒が全員集まったことを確認して、平田くんを主導に俺たちはカラオケボックスの中に入った。

予約したのはパーティールームで20人以上入ることのできる大部屋だ。

 

「平田、今日はありがとな!」

 

Cクラスの生徒であり、平田くんと同じくサッカー部の園田正志くんが声をかけた。

 

「ううん、僕はクラスメートを呼んだだけで主催してくれたのはBクラスの一之瀬さんだよ」

「Dクラスは結構面のいい子多いよなぁ、うちのクラスの女子なんて愛想のないやつばっかだぜ」

 

Cクラスの男子の1人がそう呟く。なんとも酷い話だが、盛り上がってくれることは歓迎すべきこと。

今回、Bクラスの生徒も呼んだのはCクラスの生徒に須藤くんの騒動絡みで近づいてきたことを匂わせないためだ。

 

そういう意味では、平田くんたちがうまくやってくれているおかげでカモフラージュできているかもしれない。

きっと今頃、Cクラスの男子たちはBCDクラス混合の合コンみたいなものだと思っていることだろう。

 

まあ、平田くんと一之瀬さん以外には伝えていないため、その他の生徒も合コン的なパーティーだと思っている可能性が高いが。

 

「でも平田がここにくるのは以外っていうか、お前は彼女がいるだろ?浮気とか疑われたりしないのかよ」

 

疑問に思ったBクラスの柴田颯くんが言う。

 

「ただ僕は人を集めただけというか、僕自身にそういった気持ちはないよ」

「まあ平田に限ってそうだよなぁ」

 

柴田くんはうんうんと頷きながら納得したように呟く。

 

「それに平田くんは私が見張ってるから大丈夫!」

 

平田くんの隣を陣取る軽井沢さんが笑顔で柴田くんのことを見つめていた。

平田くんのことは私が監視してるから虫は寄せ付けないということだろうか?

 

「けっ、なんでここに彼氏持ちの女がいるんだよ」

 

露骨に軽井沢さんのようなフリーじゃない女子を嫌そうにするCクラスの生徒もいるみたいだけど、Dクラスの女子もそれなりに数はいる。

 

平田くんはに急に頼んだのにも関わらず、櫛田さんに篠原さん、佐藤さん、石倉さん、園田さん、前園さん、東さんに井の頭さんという大人数が来てくれている。

軽井沢さんを含め9人の女子、クラスの約半数の女子がくるという結果になったのは、間違いなく平田くんの功績だろう。

 

それに対してDクラスの男子は、平田くんと俺、沖谷くんと宮本くんの4人だ。

沖谷くんと宮本くんに関しては、比較的女子のことを意識しなさそうという偏見で俺が指名させてもらった。

 

正直、俺はクラスメートとあまり関わりがないので、なんとなくのイメージでしか選ぶことができなかったのは許して欲しい。

他数人の男子も一応候補としては上げていたのだが、都合が合わなかったらしく平田くんでも呼ぶことができなかった。

 

ちなみに池くんと山内くんにこのことを伝えたら余計なことまでペラペラ喋りそうだったので、もちろん候補から却下した。

 

「みんな、今日は忙しい中集まってくれてありがとう!いつもは敵同士かもしれないけど、今日はBクラスとCクラス、Dクラスの親交を深めていきたいな。もちろんAクラスだって例外じゃない。でも、急なことでAクラスのみんなとは予定が合わなかったから、今日はみんなで親睦を深めていこうね」

 

一之瀬さんを主導して親睦会がスタートする。

最初は近くの生徒、男同士、女同士、時には男女で会話を交える。

 

このままだと同クラスでの会話が多くなってしまうため、一之瀬さんを始めとするBクラスの生徒が動いてCクラスやDクラスの生徒のもとへ行く。

こうすることで徐々にクラスという塊は崩れ、クラス特有のノリや団体感は鳴りを潜める。

 

「沖谷くんって中性的で可愛いね」

 

BクラスやCクラスの女子から、我らDクラスの期待の星である沖谷くんが注目されている。

実は沖谷くんは顔立ちが中性的でかつ華奢な体型のため一部からイケるとの声が寄せられている。

もしかしたら男子でも、コロリと何かに目覚めてしまうかもしれないので注意が必要だ。

 

「井の頭ちゃん結構可愛いね」

 

結構という言葉を本人の前で使うのはどうなんだと思うが、親睦会の雰囲気はかなりいいものになっている。

Bクラスの生徒が和やかな雰囲気を作ってくれたおかげで、クラスの垣根を越えて話しやすい空気感が整ってきている。

 

「それにしても、災難だったよねCクラスは。暴力沙汰に巻き込まれちゃうなんて」

 

Bクラスの生徒がポロリと言葉を漏らす。

これももちろん一之瀬さんに根回しをしてもらって発言してもらっている。

 

「そ、そうなんだよ。俺たち須藤のやつに逆恨みされて一方的に殴られちまって……今もこのザマだよ」

 

小宮くんはそう言って手をぶらぶらと揺らしながら痛そうな素振りを見せる。

 

「うわあ、すごい痛そう。それでもDクラスの須藤くんは自分は悪くないって言ってるんでしょ?」

「ああ、そうなんだよ。あいつ普段から素行も悪いし、俺たちの怪我を見れば須藤が悪いのは明らかなのに……ったく、気分が悪いよ」

 

小宮くんは自分が被害者であることを周りにアピールして同調を求める。

 

「私もDクラスだけど須藤くんはクラスにも協力的じゃないし、あんまり好きじゃないかなー」

 

これは当然のことかもしれないが、Dクラスからも須藤くんへの批判的なコメントが送られる。

心の優しい平田くんはその言葉を遮りたいと思っているだろうが、あらかじめ俺からできるだけ口を挟まないようにと伝えておいたため、須藤くんを庇いたい気持ちを抑えているようだ。

 

「クラスのやつにも見放されてるのか、須藤にもちょっと同情するな」

 

小宮くんと近藤くんは今、BクラスだけでなくDクラスを含めた周りが自分たちを擁護する意見ばかりで気が抜けているだろう。

そんな油断している時こそ、ぼろは出やすいというものだ。

 

「やっぱり嘘をつくのはよくないよね、須藤くんが嘘をついているんだとしたら……暴力行為に虚偽の発言で間違いなく須藤くんは退学になるだろうね」

 

一之瀬さんが須藤くんが虚偽の発言をしていたらと仮定して話し始める。

 

「それはそうだろ、俺たちは暴力を振るわれたんだ。それくらいしてもらわないと安心して過ごせないってもんだよ。なあ?」

「でも、それは同じようにCクラスが虚偽の発言をしていた場合にも言えるよね。仮にだけどね、もしCクラスが嘘をついてるんだとしたら、嘘の申し立てに加えて、暴力の誘発。これも間違いなく退学になるよね」

 

その言葉に小宮くんと近藤くんは一瞬強張った表情を見せる。

 

「た、退学っていくらなんでもそりゃあ……」

「いやいや、もし嘘をついてたとしたら、須藤くんを退学に陥れようとしてたことになるんだよ?そんなことがバレたら当然責任を取って退学にさせられちゃうと思うけど……」

 

一之瀬さんは優しく小宮くんと近藤くんに近寄って話す。

 

「でも、小宮くんと近藤くんは嘘はついてないんでしょ?」

 

一之瀬さんは全員の前で小宮くんと近藤くんに確認を取る。

もちろんここで嘘をついているなんて言えるわけがないため、当然返す言葉は1つだけ。

 

「も、もちろんだよ一之瀬。俺たちが嘘をつくわけないだろ。嘘をついてるのは須藤だよ」

「そうだよね、私もそうだって信じたい。でも……」

 

一之瀬さんは一度言葉を口にするのを止めて、ある一枚の写真を見せる。

 

「なっ……!?」

 

その瞬間、2人の顔が青ざめたのが見てわかった。

 

「2人とも、どうしたの?」

 

一之瀬さんは2人の落ち着きのない様子を不思議そうに見つめる。

この明らかな動揺はこの場にいる全員が感じていることだろう。

 

「どうしたんだよ小宮、近藤!」

 

Bクラスの男子からヤジが飛んでくる。

この多くの生徒に見られ注目されている状況下では正常な判断はしにくくなる。

特に周りに疑念を持たれているこの状況では。

 

「実はね、須藤くんとの騒動の一部始終を見てた子がいてね……」

 

一之瀬さんのその言葉で焦りと不安でいっぱいになっただろう、自分たちが須藤くんに喧嘩をふっかけたこと、そして嘘の申し立てをしたことがバレるのではないかと。

 

「はぁ、はぁ…はぁはぁ……」

 

呼吸が荒くなっていく小宮くんと近藤くんは周りにどう見えているのだろうか、先ほどまでは自信に満ちていたCクラスの生徒2人が今はこの状況。

Cクラスが須藤くんを嵌めようとしといたことは、すでにここにいる全員は察してしまっている。

 

しかし、証拠としては不十分だ。たとえこの場の全員が証言しても、Cクラスが須藤くんに対しての行いを認めたわけではない。

 

「その動揺の仕方だと、もしかして小宮くんたちが須藤くんのことを陥れようとしたのかな?」

「ち、ちが――」

「もし、これが嘘だってわかったら君たちは退学だよ?」

 

その脅しに小宮くんと近藤くんの言葉が詰まる。

退学というワードはこの学校に在学する生徒に取ってはちゃんと脅しになりうるものだ。

ここで軽はずみに違うと言えば本当に退学になる可能性だってある。

 

「もうここにいるみんなは、君たちが仕掛けたって薄々気づいてると思うよ」

 

一之瀬さんの言葉を聞き、小宮くんと近藤くんはゆっくりと周りに視線を向ける。

ここのカラオケボックスのすべての部屋に監視カメラが付いているわけではないようだが、パーティールールであるこの部屋には監視カメラもついている、ここで自白すれば確実に証拠を残せはするが、それは難しいか。

 

「……っ!」

 

周りから向けられる冷ややかな視線に思わず目を伏せる。

 

「君たちが退学しないための方法ならあるよ」

 

一之瀬さんは小宮くんたちに救いの手を差し伸べるように話す。

 

「た、退学しない方法?」

「訴えを取り下げればいいんだよ」

 

この状況になれば、我にもすがりたい気持ちになるだろう。小宮くんと近藤くんは必

死に一之瀬さんの話に耳を傾ける。

 

「もし仮に君たちが虚偽の申し立てをしてたとしても、訴えが取り下げられてしまえば、それ以上の追及はされなくなる。最初からこの騒動はなかったってことになるね」

「ど、どうしてそれを俺たちに……?」

 

なぜ一之瀬さんが自分たちを救ってくれるのかと疑問に思ったのか、小宮くんが聞く。

 

「私は今回の事件の加害者でなければ、被害者でもない。第三者の視点からこの事件について色々調べさせてもらったんだけど……一番平和的な解決方法がこれなんじゃないかなってそう思っただけ。CクラスもDクラスもお互い損傷が少なくて済むんじゃないかなって。それはそうとして嘘で人を陥れようとするのはダメだけどね!」

 

一之瀬さんの言葉に、2人はどうしようもないと悟り大人しく従うことを決めた様子だ。

 

「みんな、今日のことは小宮くんと近藤くんのためにも、できれば周りのみんなには伝えないであげて欲しいな」

 

一之瀬さんは小宮くんと近藤くんの今後の学校生活のためにせめてもと、今日あった出来事を口外しないで欲しいと呼びかけた。

 

「じゃあ、私は小宮くんと近藤くんと一緒に学校に行ってくるね」

 

そう言って、一之瀬さんは小宮くんと近藤くんを連れてカラオケボックスを後にするのだった。

 

3

 

小宮くんと近藤くんを一之瀬さんが連れて行った後のカラオケボックス。

一之瀬さんからは、「この後もみんなでゆっくりしていってね!」と言われたのだが……

彼女のいなくなったカラオケボックスは少し物静かな雰囲気になっていた。

それもそうだろう。さっきまで一之瀬さんがCクラスの男子2人を言葉で追い詰めていたのを間近で見ていたのだから、急にこれから歌おうなんて雰囲気にはなりにくい。

 

気まずいな、自分の作り出した空間とはいえ、どうにもこの場にいるのは……

俺は飲み物を取りに行くために席を立ち、ドリンクバーへと向かう。

 

「うーん、気まずい。この後部屋に戻るのも気まずい……」

 

ドリンクバーでメロンソーダのボタンをプッシュする。

このまま部屋に戻ってもさっきの空気が流れるのだろうか、やっぱりもう少し部屋に入らないで様子を見た方が……

 

「ねえ、溢れてるよ?」

「え?」

 

考え事をしていたため、まったく気づかなかった。

コップからメロンソーダが溢れ、俺の手をつたってメロンソーダが床へポタポタと垂れていた。

 

「うわああぁ!」

「考え事でもしてたの?」

 

俺に指摘してくれたのは、同じクラスの園田千代さんだ。

 

「ご、ごめん……」

「いや、私にはかかってないし別に大丈夫だけど……」

 

園田さんは俺のこぼしたメロンソーダに視線を落とす。

 

「ちょ、ちょっと拭くもの探してくる!」

「待って」

 

俺が受付の方に向かおうとすると、後ろから声をかけられる。

 

「私もついていくよ」

 

園田さんも静まり返った部屋に戻るのが気まずいのか、俺についていくと言い出す。

特に断る理由もないので、そのまま2人で受付に向かうことにした。

 

「上條くんもやっぱりあそこに戻るのが気まずい感じ?」

 

園田さんもシンとした空気の場所にいずらかったからドリンクバーへと逃げてきたのか、俺にそのようなことを聞いてくる。

 

「まあ、そんな感じ」

「やっぱりそうだよね……」

 

園田さんもあまり話すことが得意でないようで、あまり会話が続かない。

受付の人に雑巾を貸してくれないか頼んでみると、店員に「自分が拭くので気にしないでください」と言われ追い返されてしまった。

 

「上條くんっていつも松下さんとかと一緒にいない?なんで今日はこの集まりにきたの?」

 

俺と千秋さんってそんなに一緒にいるイメージが強いのだろうか、学校では池くんとかの方が最近は一緒に行動してたけど、やっぱり隣の席というのが強いのか。

千秋さんに今は彼氏彼女であることを明かさないと言われているため、ここは隠しておこう。

 

「松下さんとは席が隣っていうだけで特別一緒にいるってわけじゃないですよ」

「そうなんだ、じゃあやっぱり今日は合コンみたいなノリできたの?」

「合コンっていうか、仲のいい友達とかあんまりいないから、これを機に仲良くなりたいなー……みたいな?」

 

少し頷いてから園田さんは言った。

 

「私は今日、軽井沢さんに誘われたから来ただけなんだ。別にそこまで行きたかったわけじゃなかったんだけど。でも、もしここで行かないって言ったら仲間外れになっちゃうかもしれないでしょ?」

 

女子の世界だと一回の集まりに参加しなかっただけでハブられたりするのだろうか?それとも今日の集まりで周りのみんなが親睦を深めたら、自分だけ取り残されてしまう。とかそういうことなのだろうか?

 

「私は1人になるのが怖い。だから今日もここにきた。でも、Cクラスの人たちが色々あったでしょ?その後の部屋の空気に耐えられなくて、つい出てきちゃった」

「でも、もしそうなら部屋から1人で出たら周りから白い目で見られたりしないんですか?」

「た、たしかに……」

「もう部屋から出て5分くらい経ちますし、そろそろ戻った方がいいと思います」

 

俺たちは慌てて部屋へと戻る。

すると、そんな心配はいらなかったのか櫛田さんが楽しそうに歌っているのを周りのみんなが眺めている。

こういう時の櫛田さんは流石だ。いつの間にかに重たかった空気を軽くしてくれている。

 

平田くんに軽く様子を聞くと、俺が出てすぐに櫛田さんが空気を察してマイクに手を伸ばしたらしい。

本当に櫛田さんが来てくれていてよかった。

 

「それにしても、今回は上條くんの作戦が上手くいったね」

「いや、俺は考えを思いついただけで、ほとんど一之瀬さんの手柄だよ」

 

雰囲気も落ち着いたのを確認できたし、この後もすべて一之瀬さんに任せるのも申し訳ないので俺は平田くんに部屋を出ることを伝えて、静かにカラオケボックスを一時的に後にした。

 

4

 

俺は小宮くんと近藤くん、一之瀬さんの様子を見に行くために学校へ急いで向かう。

日曜日なので基本的に校内に入ることはないが、経営企画室や図書室、自習室などはいつも通り開いているため訴えの取り消しは容易にできるだろう。

 

一之瀬さんがカラオケボックスから出てすでに10分以上が経過しているし、もう学校には着いているかもしれない。

俺が向かう頃には、もう訴えは取り消されているだろうか。

そんなことを考えながら学校へ走っていると、学校の昇降口から3人の生徒が出てきたのを確認する。

どうやらもう訴えは取り下げられたようだ。

 

ここで小宮くんたちに見つかるのは、あまり歓迎すべきことではないので走るのを止めて道の端に避ける。

その後、小宮くんたちと一之瀬さんが別れたことを確認してゆっくりと近づく。

 

「一之瀬さん、今日は本当にありがとうございました」

「わわっ、急に出てくるからびっくりしたよ!」

「ご、ごめんなさい!」

 

一之瀬さんは茂みから突然出てきた俺を見て呆気に取られていた。

 

「親睦会の主催だけじゃなくて、小宮くんたちに訴えを取り下げるまで話を誘導してもらって……」

「にゃはは、いいよいいよ。結構おいしい役もらっちゃって私自身結構楽しかったしね」

 

一之瀬さんは笑いながら気にしないように言った。

 

「それにしても、まさか今日で訴えを取り下げるまで持っていってしまうなんて思いもしませんでした。一之瀬さんの話術には圧倒されちゃいました」

「えぇ~、そんなに褒められてもなにもでないよー!それに小宮くんたちが自分たちがやったことを認めるまでに至ったのは、あの写真があったからだよ」

 

あの写真。そう、小宮くんたちに一之瀬さんが見せた写真。

それは昨日の夜にDクラスの佐倉さんから貰ったものだ。

 

5

 

時は遡り、昨日の夜。

俺がまだ神に夢で呼ばれる前のこと。

千秋さんと行為を繰り返していた途中に、千秋さんのもとに佐倉さんからメッセージが届いた。

 

「佐倉さんからメッセージがきたみたい、遥聞いてる?ちょっと抜いてってば!」

「だ、ダメです!腰が止まりませんっ!」

「ちょっ!あんっ♡やめっ……んっ!はぅっ♡」

「受け止めてくださいっ!」

「あぅぅぅぅぅん♡」

 

佐倉さんに行為を中断されてしまったが、有益な情報を貰うことができた。

どうやら佐倉さんは学校で1人になれる場所を探していて、それでたまたま特別棟で自分の写真を撮っていた時に須藤くんたちの騒動を見てしまったらしい。

そしてその時に佐倉さんと須藤くんたち4人を収めた写真を撮っていたようで、写真はSDカードに残っているからと添付してメッセージで送ってくれた。

 

「なんか、この佐倉さんいつもとだいぶ雰囲気が違うね」

 

千秋さんは写真の佐倉さんを見て最初にそうつぶやいた。

それについては俺もまったく同じような感想を抱いていて、普段よりもかなり明るいイメージを持った。

 

「メガネと髪型でこんなに変わるんですね」

「佐倉さんがこんなに可愛いなんてびっくりしちゃった」

 

佐倉さんの姿についても色々思うところもあるが、須藤くんたちの現場を抑えた写真があるのは非常に大きい。

この写真だけでは、Cクラスが須藤くんに喧嘩をふっかけたのかまではわからないが、この事件を誰かに見られていた証拠があるというのは強力な武器になる。

 

俺は千秋さんに、この写真をCクラスの男子に証拠として見せてもいいかを確認してもらい、佐倉さんから「勇気を出してみる」と承諾の返事を貰ったので、俺はこれを武器として採用することを決めた。

 

6

 

俺は一之瀬さんと歩きながら今日のことを振り返った。

 

「もしCクラスに見せた写真に映っている女子がDクラスの人だとわかってたら、また結果は違ったかもしれない」

 

俺は最初、佐倉さんが証言をしても効力としては弱いと考えていた。

理由は佐倉さんがDクラスの生徒だからだ。突然湧いてきたDクラスの証人には、おそらくほとんどの生徒が耳を傾けないだろう。

 

しかし、今回一之瀬さんは写真に映っている人物をDクラスとは明かさなかった。

おそらくあの場でのCクラスの生徒は、一之瀬さんから証拠となる写真を見せられたため、Bクラスの生徒に見られたのではないかと考えたはずだ。

 

佐倉さんは俺たちのクラスでも存在がそこまで目立っていないこともあって、Cクラスの生徒が知っている可能性は低い。それに加えて佐倉さんはメガネも外しており、少し雰囲気もいつもと違うことからDクラスの生徒ではないかという考えは微塵も生まれなかっただろう。

 

「一之瀬さんの話の持って行き方には脱帽しました」

「いやいや、私はほんとに大したことはしてないよ」

「最初に小宮くんたちを油断させるために、Bクラスの生徒を中心に小宮くんを持ち上げる話をしてくれたり連帯感がすごいなって。Dクラスが同じようなことをしようとしても、あそこまで上手くできるか……」

「でも、そうだね。今日来てくれたみんなには感謝しないとだね」

「あ、そういえば……どうして石崎くんを呼ばなかったんですか?」

 

須藤くんとの喧嘩の場面にはいたはずの石崎くんを呼ばなかったのには、なにか理由があったのだろうか。

小宮くんと近藤くんは呼べたけど石崎くんは都合が悪くて来れなかっただけなのだろうか。

 

「あー、それはね……上條くんならいいかな。これは私の予想ではあるんだけど、今回の事件はおそらく裏で龍園くんっていう生徒が関わってる」

 

龍園くん?初めて聞く名前だ。普段Dクラスでしか過ごしていないため当たり前かもしれないが。

 

「その龍園くんっていう子が指示していろんな生徒にちょっかいを出してるみたいなの」

 

この話からすると、今回の須藤くんに喧嘩をふっかけたのも、龍園くんっていう子の仕業と見ていいのだろう。

 

「そして、その龍園くんにかなり近い人物が今日呼ばなかった石崎くん。石崎くんは他のCクラスの子より龍園くんに近い分、こまめに連絡を取ろうとするんじゃないかなーって思ってね。私が追い詰めた時に龍園くんに連絡とかされたら面倒だからね」

「なるほど……」

 

一之瀬さんには、問題の解決だけじゃなくCクラスの事情まで教えてくれた。

本当に感謝してもしきれない。

 

「改めて今日は本当にありがとうございました」

「ううん、困った時はお互い様だよ」

 

そろそろタイムリミットか。

俺も、もう長い間『発情』のスキルと向き合っている。

そのため、発動条件も自然とわかってきている。

まず、1つにある程度その人と関わりがあること。

そして次にその人としばらくの間2人きりでいること。

このしばらくというのは、おそらく5分ほどだろう。

 

俺が考える『発情』の発動条件はこの2つだ。

佐藤さんに発動せずに一之瀬さんに発動するのはやや不思議ではあるが、なにか他にも条件があるのだろうか。

 

「じゃあ、俺はカラオケボックスに戻るよ」

「あ、うん……」

 

俺は一之瀬さんと別れ再びカラオケボックスへと向かった。

 

7

 

カラオケボックスに戻るとBクラスの網倉さんが歌を歌っていた。

 

「歌うよ、旅立ちへのメロディ、未来YELL♪」

 

他の生徒たちは楽しそうに網倉さんが歌っているのを眺めている。

どこに座ろうかと模索していると、園田さんが部屋に入ってきた俺を見つけて隣をちょんちょんと指差して合図していた。

俺はお言葉に甘えて隣に腰を下ろす。

 

「どこ行ってたの?30分くらい外行ってたみたいだけど……」

「ちょっと急用を思い出して一回寮に戻ってたんだよね」

「へえ、それは大変だったね」

「それにしても、もうすっかり雰囲気は良くなってますね」

「どのクラスの子も普通に歌い始めてるし、他の子が歌ってる間に仲良くなった子と話したりね」

 

部屋を見渡してみても、たしかにそのような様子が窺える。

Cクラスの男子の数人が櫛田さんなんかの他クラスの女子にナンパしてたりと、小宮くんたちのことはどこかに忘れられているようだ。

やはりこういう場での櫛田さんはとても人気なようで、先ほどから取っ替え引っ替えで生徒と話している。

 

「櫛田さん、すごい人気だよね~」

 

櫛田さんの状況を見て、少し羨ましそうに園田さんは言う。

 

「そうですね、どのクラスからも人気みたいですね」

「上條くんもやっぱり櫛田さんみたいな子が好きなの?」

 

園田さんからの不意打ちのパスに少し驚く。

こういう場なので、この手の質問がくるのも当然なのだが、園田さんのようにあまり積極的でない生徒に聞かれるのには若干の驚きがある。

 

「うーん、人並み……かな?」

 

友達としては好きだけど、本気で好きまではいかない。

人として尊敬する部分やすごいなと思うシーンは多いけど、それがそういう好きに繋がるわけではないからね。

 

「人並みって、なんか変なの」

 

園田さんはクスっと微笑んだ。

 

「園田さんなんか、上條くんといい感じじゃない~?」

 

近くにいた軽井沢さんが園田さんをからかうように言った。

 

「そ、そんなんじゃないよ!ね?」

 

園田さんは慌てて否定して、俺にも同意を求めてくる。

 

「ちょっと隣が空いてたから座らせてもらって話してただけですよ」

「ふーん」

 

俺も園田さんに合わせて否定するが、軽井沢さんはなにか疑っているのか目を細めながら怪しんでいる様子だ。

 

「じゃあ、他の子が混ざっても大丈夫だよね?」

「え……う、うん」

 

軽井沢さんの問いに俺が小さく頷くと、園田さんとの横に割り込むように石倉さんが入ってくる。

 

「千代ちゃんごめんねー」

「う、ううん」

 

石倉さんもそこまで本位ではないのか、園田さんに少し申し訳なさそうに言う。

ということは軽井沢さんがからかうためだけに石倉さんに間に入らせたのだろうか、だとしたら悪女ムーヴがすぎる気がするが……

 

「2人は仲良いんですか?」

 

少し疑問に思ったため、聞いてみることにした。

 

「うん、まあそうだね。恵ちゃんと3人で遊んだりとかたまにしてるよ」

 

なるほど、この2人を繋げているのも軽井沢さんなのか。

石倉さんも園田さんと同様にあまり話が得意なタイプではないのかもしれない。

だとしたらこの関係を上手く繋げてくれている軽井沢さんの言っていることはあまり逆らうことができないといったところだろうか。

軽井沢さんは櫛田さんとは違った意味で女子社会を牛耳っているのかもしれない。

 

そう考えると軽井沢さんは少し警戒しないといけない人物なのかもな。安易に変なことを言うと、多くの女子を敵に回すことになるかもしれない。

 

「あ、そうだ。連絡先交換しとかない?」

 

石倉さんが俺にそう提案をしてきたため、俺は携帯端末を取り出して連絡先を交換する。

 

「じゃ、じゃあ私も!」

 

その流れに乗じて園田さんとも連絡先の交換を済ませて、俺たちはその後もカラオケを楽しんだ。

 

「LOVEY…DOVEY…LOVE…MEな♪LALALALALALALOVEな♪キミがくれそうなハッピーエンド♪」

 

櫛田さんの歌声に見とれる男子は多く、ここにいる男子の多くはすでに心を射止められているようだ。

 

「上條くんもなにか歌わないの?」

 

隣の石倉さんが聞いてくる。

 

「いや、俺は正直聞くの専門かなぁ」

「そっか、上條くんの歌ってるとこも見てみたかったけどな」

 

石倉さんが残念そうに言うと、隣にいた園田さんもコクリと頷いた。

 

「えぇ、でも歌えるような歌あったかなぁ……」

 

俺は最近、博士の影響でアニメは見るようになったけど……アニソンでいいのか?

櫛田さんが歌い終わると、曲を選択するのに悩んでいる俺を見つけてマイクを渡してくる。

もうどうにでもなれ!

 

「この脚で立てる奇跡踏みしめて!蹄鉄のチェック抜かりは無し♪」

 

結局、博士に進められてプレイしていたウ○娘の曲を歌ってしまった。

多分この部屋にいるほとんどが知らないだろう。

一般高校生が歌う曲ってなんだ?俺が前世で高校生の時はそもそもカラオケなんて行かなかったけどね!

 

「曲はあんまり知らなかったけど、歌上手だね!」

 

曲は知らないとのことだが、歌を褒められたのでまだ心が痛まずに済んだ。

周りの反応も冷たいものではなかったので、ギリギリセーフと言ったところだろう。

歌った後に喉が少し渇いたため、ドリンクバーへ向かうために外に出る。

 

「あ、じゃあ私も」

 

それに続くように園田さんが部屋から出る。

 

「いいんですか?部屋から出ても。仲間外れにされちゃうかもって言ってませんでした?」

「今は上條くんがいるから大丈夫。私が仲間外れにされても、上條くんが仲良くしてくれるならいいかなって」

「え?」

 

ちょっとそれは荷が重い気がする。

俺の『好感度上昇』のせいで園田さんから謎の信頼を得てしまったようだ。

 

「いや、でも女子の友達も大事じゃないですか?」

「それはもちろんそうだけど。でも今は上條くんと一緒にいたいかなーって」

「そうですか……それは嬉しいですけど」

 

園田さんは可愛らしく笑って顔を覗いてくる。

まだ5分経っていないから大丈夫。あと2分くらいある……

俺はドリンクバーに手をかざしてミックスジュースを選択する。

 

「上條くんはミックスジュースなんだ。じゃあ私もミックスジュースにしようかな」

 

園田さんも俺がミックスジュースを入れたのを確認して、同じミックスジュースを選択する。

 

「じゃあ戻ろ――」

「ちょっと2人で話さない?」

 

俺の言葉を遮り2人で話さないか提案してくる。

 

「えっと……」

「あのさ、今日の集まりって親睦会なわけじゃん。私、最初はそんなに楽しいものじゃないと思ってた。だけど、上條くんと話してて来てよかったなって思えたんだ」

 

今から強引に話を終わらせて戻れば5分経つ前にギリギリ部屋に辿り着くだろう。

先ほどまでの俺は5分経たない間に部屋に戻ることに意識を向けていた。

だが、俺は考えを改めた。ここで園田さんを犯させてもらおう。

 

俺は1日に2人を抱かなければならないという枷を背負わされた。

今日俺が抱いたのは千秋さんだけだ。となると、俺はあと1人誰かを抱かなければならない。

 

「園田さん、ちょっと来てください」

「う、うん……」

 

俺は園田さんの手を引いてカラオケボックスの空き部屋へと連れてくる。

通路側の監視カメラには死角になっている部分も多く、空き部屋に入るところは監視カメラには映っていないだろう。

そしてこの空き部屋も外から見た限り監視カメラはない。

パーティールームのような大部屋には監視カメラが設置されているようだが、どうやら小さな部屋にはまだ監視カメラは付いていないらしい。

 

「上條くん、どうしたの?」

「園田さんが2人で話したいと言ってたので……」

 

そろそろ5分が経つ。さっきと違って園田さんとは会話も重ねているため、ある程度関わりがあるという条件は満たしているだろう。

もし、俺の予測が正しければ……

 

「上條くん……私、上條くんに話したいことがあって……いや、あったんですけど」

 

園田さんがゆっくりと俺に顔を近づける。

俺は黙って園田さんの行動を見つめる。

 

「上條くん、いい……?」

 

俺が黙って頷くと園田さんは俺の唇にゆっくりと唇を重ねる。

 

「んぅ……」

 

俺もそれを受け入れるようにキスをする。

そっと触れるだけのキス、園田さんは自分からキスをしたものの恥ずかしいのかすぐに唇を離した。

 

「上條くんは嫌じゃない?」

「嫌ではないですよ……」

 

罪悪感がないわけではない。千秋さんを裏切るような行為でもあるし、園田さんのことも都合のいいように利用している。

でも、このままでは俺は『絶倫』から逃げられない。

自己中心的な考えだが、俺は千秋さんと一緒にいることを優先する。

 

「じゃあ、次は俺からさせてもらいますね」

「んふぅ……んむ……」

 

ぎこちないキス。園田さんの柔らかい唇の感触が伝わってくる。

園田さんはまだ慣れないだろうが、少し舌を入れてみることにした。

 

「ん……んちゅ……んはぁ……」

 

園田さんも俺に適応しようと、ゆっくりとだが受け入れる。

 

「んっ……はぁはぁ……」

 

唇を離すと、園田さんの頬は紅潮して蕩けていた。

そろそろ次のフェーズに進むか。

 

「服を脱がしてもいいですか?」

「は、はい……」

 

俺は園田さんの服を脱がしていく。

その際に肌に触れると、園田さんは身体をうねらせ感じているようだった。

 

「あ、あの……上條くんは過去に経験があるんですか?」

「どうしてですか?」

「その……あんまり動じてないみたいだから。緊張してるのは私だけなのかなって……」

 

園田さんは少し寂しそうな表情を見せた。

園田さんはきっとキスやセックスといった行為をしたことがないのだろう。

俺も園田さんもあまり人と関わるタイプではないため、俺にとってもこれが初体験なんじゃないかと考えていたのかもしれない。

園田さんは肌に触れる俺の手やキスの仕方で気づいてしまった。

だからこその寂しげな目。

 

「俺は過去にこういったことをしたことがあります。やっぱり、こういうのはショックですかね」

「私と上條くんはちょっと似てるのかなって思ってたから、少しはショックかな。でも、上條くんなら優しくリードしてくれそうだから……」

 

園田さんを下着だけの姿にすると、恥ずかしそうに手で隠しながらも俺に全身を見せる。

胸は一之瀬さんほどではないが、千秋さんより少し大きいくらいだ。

そして、優しく触れたいと感じさせるような華奢な身体をしている。

 

「触りますね」

「うん……」

 

俺は胸にぴたっと触れる。

すると、園田さんの肩がびくっと跳ねる。

 

「大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ」

 

俺はその後も少しずつ慣らすように園田さんに触れてあく。

 

「あぅっ……んっ、はぁ……くぅ!」

 

段々慣れてきたようで園田さんからも声が漏れていく。

 

「そろそろ外しますね」

「あっ……ぅん……」

 

弱々しく返事をしたのを確認して俺は園田さんのブラジャーを外す。

 

「あっ……上條くんの手がっ!直にきてっ!」

 

余程耐性がなかったのか直接触っただけで身体をビクビクと震わせている。

 

「あっ……はぁっ!んくぁっ!はぁっ♡」

 

園田さんは胸を触られたことで絶頂してしまった。

パンツを脱がすのを失念していたため、ぐっしょりと濡れてしまっていた。

 

「あっ……あぅぅ……」

「パ、パンツも脱がしますね」

 

俺がぐっしょりと濡れたパンツを下に降ろすと、割れ目から愛液が漏れ出ていた。

俺もズボンから愚息を取り出す。

 

「あわっ、おっきぃ……こんなに大きいんだ……」

 

勃起した俺のものを見て呆然としている様子だ。

 

「それが、今から私の中に……」

「大丈夫ですか?少し休みますか?」

 

あまり長い間部屋に戻らないでいると怪しまれるため、できるだけ早く済ませたいところではあるが、園田さんにとっての初めてのことでもあるため急かすわけにもいかない。

 

「ううん、大丈夫……上條くんのを見たら興奮してきちゃって……」

「じゃあ、いいんですね?」

 

俺は園田さんに確認を取って愚息を園田さんの中へと入れた。

 

「あっ……くぅぅぅんっ!んんんっ!」

 

園田さんの膣内は愛液で十分濡れているため、奥へとゆっくりと進んでいく。

膣内は初めてなこともあってかなり狭く愚息をすっぽりと埋めて締め付けてくる。

 

「あっ……んっ……くぁぁっ!あ、あぁぁっ!」

「くっ!だ、大丈夫ですか?」

「う、うんっ……大丈夫っ!あっ、あぁっ!んんっ!挿れてっ」

 

園田さんの顔から痛みに耐えているのが目で見てわかるが、それでも園田さんは大丈夫と俺に挿れることを勧める。

 

「本当にいいんですね?」

「うんっ、だからっ!んっ……ふぅぅ!ああぁぁぁっ♡」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫……奥まで上條くんのがきてるのを感じる♡」

 

痛みが段々消えてきたのか、園田さんから動くのを待っているような顔を向けられる。

 

「じゃあ、動きますね」

「……っ!はぁっ♡す、すごいっ!あっ、あぁんっ!うぅぁっ、あふぁ♡」

 

軽くピストンをしただけでも園田さんは気持ちよさそうに声をあげる。

膣内もそれに連動するように締め付けを強くしていき、俺への刺激も強くなる。

 

「もうすっかり大丈夫みたいですね」

「う…んっ!すごいのっ、さっきから♡すごいっ……へんなかんじっ♡」

 

園田さんの膣内から愛液が溢れてくる。このピストンですでに何度か絶頂しているのだろう。園田さんが乱れていくのが見てわかる。

 

「あはぁ……んはぁ、はふっ♡はぁっ!んっ……んんっ!んはぁぁっ♡」

「そろそろ俺も出そうですっ!」

「あっ!んふぅぅぅぅ♡あっ、あついのがくるぅ♡」

 

俺の愚息から勢いよく発射された精液が膣内を潤していく。

 

「あっ、あっ!んはぁっ、ひぁぁぁぁん♡」

 

園田さんも可愛らしく絶頂してカラオケボックスのソファにもたれかかっていた。

 

「片付けないとな……」

 

俺は持っていたタオルであらかた拭いたが、すべては拭き取れなかったのでそれとなくごまかした。

 

8

 

園田さんも『発情』のスキルの効果はもう消えているようで、俺と一緒にコップを持って部屋を出た。

みんなのいるパーティールームに戻ると石倉さんにものすごく心配された。

20分ほど部屋にいなかったため、そのような反応をされるのも当然だ。

 

「何をしてたの?2人とも全然戻ってこないから心配しちゃったよ」

「いやあ、ちょっとドリンクバーの前で零しちゃったり色々トラブルがあって……」

「それでも20分って長くない?」

 

石倉さんからの疑いは晴れないが、これはきっと時間が解消してくれるだろう。

俺たちがパーティールームに戻ってしばらくして午後6時を過ぎたあたりで解散となった。

 

多くの生徒はそこで解散となり、友達と帰るものや今日仲良くなった人と帰るもので散り散りになっていく。

平田くんにも改めてお礼を言おうと思ってたのだが、周りにいた女子に連れて行かれてしまったため断念する。

少し残念な気持ちもあるが、明日もまた学校で会えるため次の機会でいいだろう。

 

俺は寮に向かって1人ゆっくりと歩く。

その途中、俺を追いかける足音が1つ。

 

「上條くん!」

 

声の主は園田さんだ。

 

「どうしたんですか?」

「どうしたんですかって……あんなことがあったのに上條くんは冷静なんだね」

 

あんなこと、とはカラオケボックスでのことだろう。

たしかにもう少しどぎまぎするような反応を見せてもよかったかもしれないが、下手に動揺しているところを誰かに見られていたら誤解を生むかもしれない。誤解ではないのかもしれないが。

 

「俺も緊張で頭がパニックになってるんですよ」

「そっかあ、でも上條くんがあんなに積極的だとは思わなかったな」

「それはお互い様です」

 

『発情』のスキルがあったとは言え、先にキスをしてきたのは園田さんなため、ここではそう返しておく。

あはは、と恥ずかしそうに笑いながら園田さんは言葉を続けた。

 

「今日のこと、軽井沢さんも含めて誰にも話さないで欲しいな。もしバレたら私の立ち位置も危うくなるっていうか……それにあんまり不用意に話すことじゃないでしょ?」

 

園田さんからの提案は俺にとってもありがたいものだったので同意する。

 

「じゃ、じゃあまた学校で……」

 

気恥ずかしそうに園田さんはそう告げて、そそくさと行ってしまった。

俺は園田さんが離れていくのを見届けてから寮へと戻るのだった。

 

9

 

もうこの感覚には慣れた。

いつも通り何もない空間、虚無である。

 

「今日は何のようだよ」

「まずは園田を犯したこと、褒めてやるぞ。てっきりまた一之瀬を犯すとばかり思っていたが、早くも別の人間を犯すとはなかなかやるのう」

「褒められているのにまったく嬉しくないのはなぜだろうな」

 

俺が神に対して圧を掛けるが、そんなことお構いなしに自分の発言を言う。

 

「今日はお主にある枷を少し外してやろうと思ってのう」

「枷、もしかして『絶倫』のことか?」

「そうじゃないわ、お主の持つスキル『発情』じゃよ」

「『発情』に枷なんてあるのか?」

「まあ、わからないなら良い。それより、もう『発情』の条件はわかったのか?」

 

『発情』の条件か。

それは俺も常に考えていることだが、まだ明確に判明したわけではない。

 

「俺の考えだと、初対面ではない状態で5分以上2人きりで同じ空間にいるとかか?」

 

俺の経験則から言って、おそらく2人きりの状態でなければ発動しない。

千秋さんを何度か学校内で発情させてしまったことがあるが、それも全て2人きりの時。

一之瀬さんを発情させたのも、校舎裏で2人きり。千秋さんが来たのは発情させた後のため2人きりだったことから発情させてしまった後に人が来ても発情は戻らない。

そしてカラオケで園田さんを発情させたことで、2人きりという条件があることはほぼ確信に変わった。

 

「まあ、ほぼ正解じゃ。他にも条件はあるがな」

「他の条件?」

「だが、今回お主は園田を犯したことで『発情』の熟練度が上がった。お主にあった

他の条件も場合よってはクリアすることができるじゃろう」

「俺には『絶倫』もあるんだぞ。いい加減卑猥なスキル以外も強化してくれ」

「それはお主の行動次第じゃな。お主が淫らな行為をするからスキルの熟練度が上がるんじゃよ」

「そう言われても、『絶倫』があるから仕方ないだろ」

「それは詭弁じゃよ。それなら最初から松下と関係なんて持つべきじゃなかった。いくら条件がわからなかったからと言っても、松下を避ければ済んだ話じゃ」

 

確かにその通りなのかもしれない。

俺は結局、自分を正当化するための言い訳を探しているだけなのかもしれないな。

俺もこいつもただ、自分の欲求に他人を巻き込んでいるだけ。

 

「こんな奴と同類か……」

「こんな奴とは何じゃ!前々から思っていたが、お主はわしへの態度というのがなっておらんな。しつけてやる」

 

すると神から突然重めの蹴りが入る。

 

「たうわっ!」

 

俺は何もない虚空に放り出される。

 

「ふん、生意気な態度を取った罰じゃよ」

「ぐぅぅ、いってえ!これ、折れた!絶対折れたやつだよ!」

 

夢のはずなのに痛覚をしっかりと感じる。

身体が変な方向に曲がっているし動けない。

 

「あがっ……うぅっ!」

「お主の『体力上昇』を持ってしても動けないか。まだまだ鍛錬が足りないな、そんなものではこの先は生きていけないぞ」

「ぐっ……」

 

身体に激痛が走りまったく動けない。

さすがに神というだけあって、見た目に反した破壊力がある。

間違いなく骨の何本かは折れているし、今も折れた骨が身体に刺さって痛みが止まない。

 

「うぅぅあっ!あがぁぁっ!」

「弱いままでは守りたい物も守れやしない。弱者は強者に縋るのみじゃよ」

 

弱いままでは守りたい物よ守れない。

その言葉が俺の心に深く刻まれるのだった。

 

10

 

いろいろあった日曜日も終わり、今日からまた新しい一週間の幕開け。

やはり夢は夢なため、俺の身体に骨の折れた形跡は残っていなかった。

俺は朝起きてすぐに千秋さんに部屋にきて欲しいという一通のメールを送る。

するとしばらくして千秋さんから承諾の旨の文が届いたので、俺は部屋で待つことにした。

 

「もう、朝からいったいなんなの?」

 

しばらくして、千秋さんが俺から連絡を受けて部屋に上がってくる。

 

「その……これが朝から治まらなくて……」

「もう……遥のここは本当に落ち着きがないんだから」

 

そう言って千秋さんは俺の部屋着を脱がして愚息を解き放つ。

 

「じゃあ口でしてあげるから――」

「すみません、下の口でお願いします」

「え、ええ?!下って……これから学校なんだよ?」

 

時間的にあまり余裕がないため千秋さんは困惑した様子だ。

千秋さんにはとても申し訳ないが、俺の愚息を落ち着かせることができるのは千秋さんだけだ。

朝から他の女子を襲う勇気はとてもじゃないがない。

 

「もう、朝は我慢して!帰ってきたらいくらでもしてあげるから」

 

そう言って千秋さんは部屋から出ようとする。

 

「ま、待ってください!」

 

俺は思わず千秋さんを呼び止め抱き寄せる。

 

「ね、ねぇ……当たってるんだけど」

「限界なんです……」

「ちょ、ちょっ!」

 

我慢できずに千秋さんのスカートを捲り、肉棒を挿れようとする。

 

「や、やめっ……っっ!」

「す、すぐに終わらせますから……」

「んんんんん」

 

俺の肉棒が千秋さんの膣内を押し広げていく。

千秋さんは部屋のドアに手をついて前屈みになっている。

 

「ちょっと、本当にだめだからっ!あふぅ……んひっ!」

「はぁ、はぁっ!き、気持ちいいです!千秋さんっ!」

「ちょっ……はなしをきいてっ!はふっ、あんっ!」

 

主導権を完全に握り、俺は千秋さんに反撃する余裕さえ与えずに犯し続けた。

 

「あぁ!ああぁっ!だめだめっ!でちゃうからっ、でちゃうのぉ!」

 

千秋さんの膣内から快感の悲鳴が上がり、激しく絶頂する。

 

「俺も出ますっ!っっ!」

「あついのがくるぅ!はるかのあついのがぁっ!んんん♡」

 

千秋さんの中に精液を注ぎ込むと、膣内に勢いよく流し込まれる精液に反応してまたも絶頂した。

 

「あふぅ……遥――」

 

地面に力尽きた千秋さんが横たわっている。

 

「ごめんなさい、朝からこんなこと……」

「カップルになったからって、調子に乗りすぎじゃない?」

「いや、それはその……」

「これで遅刻したらどうするの?私、シャワー浴びたいんだけど」

「ご、ごめん――」

「もう、シャワー借りるから先行ってて!」

 

さすがに無理やり犯したことに怒っているようで、千秋さんは俺の部屋の鍵を俺から奪い取ってシャワー室へ向かう。

 

「学校ではいつも通りだから!」

 

勢いよくシャワー室のドアを閉め、俺に早く出ていけという意思表示をしてくる。

俺は申し訳なく思いながら部屋を出て学校に向かう。

 

「俺、最低だな」

 

『絶倫』があるからとは言え、最近はモラルに反するようなことばかりしている気がする。

自分の社会的立場を守るためにモラルに叛逆する。なにか大きな矛盾を感じる。

 

11

 

その後、朝のホームルームが始まる直前に千秋さんがやってきて、なんとか遅刻は免れたが横からの鋭い視線にいたたまれない気持ちになるのだった。

 

「おはよう。今日はまず、お前たちに伝えなければいけないことがある」

 

朝のホームルームが始まり、茶柱先生から伝えられたこと。

それはCクラスが須藤くんへの訴えを取り下げたということ。

須藤くんはCクラスの奴らが白状しなかったことが、やや不服そうではあったが須藤くんに対しての処分などの諸々の件は綺麗になくなったため、それに関しては喜んでいるようだ。

 

「上手くいったみたいだね」

「うん、一之瀬さんが上手くまとめてくれたよ」

「一之瀬さんが……ね」

 

隣の千秋さんの目が俺の眼光を捕らえる。

俺と一之瀬さんにやましいことがなかったかを確認しているのだろうか。

 

「でも、一之瀬さんは優しいよね。自分のクラスだけじゃなくて、他のクラスのはずのDクラスのことも助けてくれた。それとも、助けてくれたのは上條くんがいるからだったり……」

 

千秋さんは最後に付け足すように言葉を加えた。

 

放課後になり、俺は一安心して帰路につこうと思ったが段々とムラムラした気持ちが強くなってきた。

 

「ま、まずい……どうしてこんなタイミングで……」

 

朝、千秋さんと7時過ぎにセックスをした。そして今は午後の4時過ぎ。まだ9時間しか経っていないが、タイムリミットが近づいているということか。段階的に性欲が高まっていくのを感じる。

 

「く、くふぅ……」

 

下校する生徒が多い中、昇降口で謎のうめき声を出してしまう。

 

「上條くん、どうしたの?」

「もしかしてお腹でも痛いの?」

 

こんなところで奇怪な言動をしている俺に疑問を持ったのか、後ろから生徒に声をかけられる。

その生徒とは同じクラスの篠原さんと佐藤さんだ。

 

「いやぁ……その――」

「あんまり無理はしない方がいいよ。もし、苦しかったら保健室連れて行くよ?」

 

佐藤さんは心配そうに俺のことを見つめている。

 

「ほ、本当に大丈夫だから……」

 

俺は靴を履き替えて昇降口を去ろうとする。

 

「心配だから、私たちもついていくよ。いいよね、篠原さん?」

「う、うん。それは…いいけど」

 

なぜかついてこようとする佐藤さんに俺は少し焦りを感じた。

このまま佐藤さんと篠原さんと帰ってる間に、俺の性欲が爆発してしまう可能性もあるため、できるだけ距離を取りたい。

寮までは歩いて10分はかかる。それなら一旦保健室に行く方がいいのかもしれない。

 

「やっぱり保健室に行くことにするよ。ちょっと体調がよくないみたいで……」

 

俺はこの場から離れようとするが、それを佐藤さんが制止する。

 

「もう、体調悪いなら連れて行くって!無理しないで」

 

言葉のチョイスを完全にミスった。わざわざ佐藤さんに心配させるようなことを言ってしまった。

これから、「やっぱり帰る」とか言い出したら佐藤さんのことを嫌いなんじゃないかと思われるかもしれない。不用意にクラスメートに嫌っているという噂が広まっても困るし、ここは大人しく従うしかないか。

 

「じゃ、じゃあお言葉に甘えて」

 

俺は佐藤さんに肩を支えられながら保健室へと連れられた。

 

「上條くんって、須藤くんのことどう思ってるの?」

 

付き添いで佐藤さんの隣を歩く篠原さんが俺に話題を振ってくる。

 

「どう思う?って言われると難しいけど、少し気性が荒っぽいとか?」

「私も須藤くんにはいいイメージ持ってないんだよね、逆に好きな人クラスにいるのって。事件のことは解決したけど、また同じようなこと起こすんじゃないかってちょっと心配っていうかさ」

 

篠原さんから須藤くんに対して辛辣な言葉が飛び出す。

 

「でも、上條くんは須藤くんの事件のこと色々調べてたみたいだよね?」

 

佐藤さんが横からふわっとした言葉で聞いてくる。

調べていた内容について詳しくは知らないんだろうが、櫛田さんや池くんたちと聞き込みをしているのを見られていたのだろう。

 

「須藤くんは友達だからね。俺にできることなら助けたいって思うのは普通じゃないかな?」

「気性が荒いって言ってたのに?」

「ちょっと荒っぽいところもあるけどさ、いいところももちろんあると思う」

「例えば?」

 

篠原さんはそんなところあるの?と不思議そうに聞いてくる。

 

「バスケットが上手いとか、意外と友達思いなところとか……」

 

そこで言葉が詰まる。いざいいところを挙げてみようとすると、意外と出てこない。

 

「全然ないじゃん」

「でもでも、入学した時より態度も良くなってると思わない?」

「そりゃあ、入学した時の態度が最悪すぎただけじゃない?最初がマイナスだから今がゼロになったってだけで。そもそもゼロになったかも怪しいけど」

 

篠原さんは須藤くんの行動を思い出しながら語る。

 

「でも、俺は須藤くんを応援したいなって思ってるんだ。少しずついいように変わろうとしてる須藤くんに」

 

須藤くんは中間テストを乗り越えたことで、最初は険悪だった堀北さんに対しても対応が少し柔らかくなっている。

勉強に対しても以前よりは前向きに取り組んでいるし、テストを乗り越えるためだとしても、いい方向に進んでいるのは間違いない。

 

「間近で見てるからわかることかもしれないけど、須藤くんは変わろうとしてるんだと思う。もちろん須藤くんに悪いところがないわけじゃない。だけど、もうこんなことは起きないし、起こさせない。それに、須藤くんを信じたいからね。だから、できれば2人にも須藤くんのことは暖かく見守ってて欲しいな」

「上條くんが言うなら……ねえ、篠原さん?」

 

佐藤さんが篠原さんに同意を求めると篠原さんも静かに頷いた。

 

「でも、上條くんも友達思いだよね。解決したからよかったけど、こんな面倒なことを手伝うなんて。櫛田さんとかもそうだけど、優等生は違うなーって」

「いやいや、俺は優等生なんかじゃないよ。俺なんて話すの苦手だし、櫛田さんみたいに人脈だってないんだから」

 

櫛田さんは勉強もできて、スポーツも普通の生徒よりはできる方だ。それに加えて友達も多く、困っている人を見過ごせない。こんな人間がこの世にいていいのかというくらいの善人だ。おそらく千年に一人の逸材なんだろう。

 

「上條くんは優等生だと思うけどね。私たちに勉強も丁寧に教えてくれたし、スポーツも苦手じゃないでしょ?文武両道ですごいなーって」

「でも俺は部活とかやってないし。篠原さんは料理部だったっけ?」

「あれ、なんで知ってるの?」

「クラスの女子と話してるのが聞こえちゃって」

 

聴力が知らず知らずによくなっていたため、聞き耳を立てているつもりじゃなくても自然と聞こえてしまっていたようだ。

 

「まあ、私のは部活って言っても文化部だしね。でも、ちょっとバレー部にも興味はあるんだけど」

「部活をするのはすごいことですよ、色々やってみようとするのすごいと思います」

 

俺たちはその後もなんでもない話をしながら保健室へと向かった。

意外と会話をしていると気が紛れるのかもしれない、ムラムラした気持ちは止まらなかったが俺の性欲はなんとか爆発せずに済んだ。

 

「お2人ともありがとうございました。とても助かりました、後は自分だけで――」

「あ、あのさ……上條くん、よかったら連絡先交換しない?本当は昨日、交換できないかなーって思ってたんだけど、園田さんと楽しそうに話してたから……」

 

俺が保健室に入ろうとすると、佐藤さんが俺を呼び止めそう言った。

昨日の集まりには確かに佐藤さんも来ていたけど、隣になることはまったくなかったからな。

 

「園田さんとずいぶん仲良さそうに話してたみたいだよねー」

 

篠原さんがからかっているのかそう言った。

 

「上條くんって園田さんとあんなに仲良かったっけ?」

 

佐藤さんも便乗する形で質問してくる。

 

「たまたまです、昨日ドリンクバーで一緒になって初めて話したくらいですし……」

「その割には楽しそうだったけど?」

「それはまあ……」

 

園田さんとの会話が楽しかったというのは事実ではあるため否定はできない。

俺がなぜ問い詰められているのかは、やや疑問が残るがこの後も謎に質問攻めをくらった。

 

「それで、連絡先って交換してもらえる?」

「えっと、それはいいですけど……」

「やった!」

 

佐藤さんは喜びからなのか飛び跳ねていた。

流れで篠原さんとも連絡先を交換することになり、俺の連絡先に新しく2人の女子が増えることになった。

 

「じゃあ、上條くんお大事に!また明日ね!」

 

佐藤さんは俺に大きく手を振りながら昇降口の方へと戻っていく。篠原さんも小ぶりに手を振りながら佐藤さんの隣を歩く。

 

「な、なんだか疲れた……」

 

気は紛れたけど、性欲を抑えながら話すっていのは疲れるな。

俺は扉を軽くノックして、ゆっくりと保健室の扉を開ける。

 

「あら、どうかしたの?」

 

椅子に座った保健室の先生がゆっくりと立ち上がり、俺に近づいてくる。

 

「えっと、1年Dクラスの上條遥です。少し体調が悪いので休ませていただ――」

「あら、Dクラスってことはサエちゃんの?」

 

俺が話し終える前に食い気味で質問してくる保健室の先生。

 

「あ、はいそうです。というか星之宮先生って保健室の先生だったんですね」

 

授業ではまったく会ったことがなかったので、なんの先生なんだろうと思ってはいたが保健医だったとは。

 

「あ、そうだ。体調が悪いんだっけ?そこのベットで休んでていいわよ。今はこの部屋には私と君以外誰もいないから」

 

星之宮先生はそう言って、俺にベットに横たわるように勧めてきた。

 

「Dクラスの上條くん……ね。いろいろ聞きたいこともあるし、少しおしゃべりでもしよっか」

 

星之宮先生も俺もそれからしばらくの間、保健室から出ることはなかった。

 

 

補足

 

松下千秋

好感度 99→99

評価 松下には身体を交えたことはバレていないようだな。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 今回の発動回数???

 

綾小路清隆

好感度 50→50

評価 最近は会ってもいないようだな。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 未達成

 

堀北鈴音

好感度 25→25

評価 堀北も出る幕がなくて立場が危ういな。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

櫛田桔梗

好感度 33→38

評価 せっかくカラオケにいたのに大した変化もなかったのう。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

佐倉愛里

好感度 25→25

評価 せっかく進めた関係も会わなければ意味がない。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

須藤健

好感度 45→45

評価 お主が今回のことを解決したきっかけになってるなど思ってもいないようじゃな。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 未達成

 

池寛治

好感度 25→25

評価 最近は会う機会がないな。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

山内春樹

好感度 15→15

評価 そろそろ降板するのはどうじゃ?

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

平田洋介

好感度 75→90

評価 須藤を助けたことで好感度大幅上昇じゃ!

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 未達成

 

軽井沢恵

好感度 5→8

評価 軽井沢もなかなか手強いヒロインじゃな。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

佐藤麻耶

好感度 45→60

評価 あともう一押しと言ったところか。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 未達成

 

篠原さつき

好感度 30→45

評価 篠原も佐藤と同じくチャンスはあるぞ?

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 未達成

 

森寧々

好感度 15→15

評価 松下とは良い関係を保っているようじゃが。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

園田千代(NEW)

好感度 0→55

評価 急に出てきたポッと出の奴に手を出すな。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 今回の発動回数1

 

石倉賀代子(NEW)

好感度 0→20

評価 まあモブじゃな。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

茶柱佐枝

好感度 15→15

評価 茶柱も攻略可能になったぞ。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

一之瀬帆波

好感度 80→90

評価 今回は裏方に回ったな。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 今回の発動回数0

 

 

 

 

 

スキル『発情』発動条件

条件1 対象と連絡先を交換している

条件2 対象に触れられた回数と触れた回数の合計が5回以上

条件3 対象の好感度が50を超えている

条件4 対象と室内で2人きりになる

条件5 対象の手を握る

 

条件1から条件4を満たしたうえで条件5を行うことでスキル『発情』が発動する

スキル『発情』で発情した相手は30分間の間発情し続ける。

 

 

スキル『発情』発動条件(熟練度2)

条件1 対象と連絡先を交換している

条件2 対象に1度触れるかつ触れられている

条件3 対象の好感度が40を超えている

条件4 対象の両者が意識のある状態で10分以上2人きりになる

 

条件1から条件3を満たしたうえで条件4のシチュエーションが発生することでスキル『発情』が発動する

スキル『発情』で発情した相手は30分間の間発情し続け、自分の意思に反して相手に行為を迫るようになる。

 

 

スキル『発情』発動条件(熟練度3)

条件1 対象と連絡先を交換している

条件2 対象の好感度が40を超えている

条件3 対象の両者が意識のある状態で5分以上2人きりになる

 

条件1から条件2を満たしたうえで条件3のシチュエーションが発生することでスキル『発情』が発動する

スキル『発情』で発情した相手は10分間の間発情し続け、自分の意思に反して相手に行為を迫るようになる。以降対象が使用者に対して性的興奮を感じやすくなる。

 

 

スキル『発情』発動条件(熟練度4)

条件1 対象と連絡先を交換している

条件2 対象の好感度が40を超えている

条件3 対象の両者が意識のある状態で5分以上2人きりになる

 

特別条件

スキル保持者が対象にセックスをしたいという感情を2人きりの状態で抱いた場合、条件1、2、3を無視して発動させることができる。

 

条件1から条件2を満たしたうえで条件3のシチュエーションが発生する、または特別条件を満たすことでスキル『発情』が発動する

スキル『発情』で発情した相手は10分間の間発情し続け、自分の意思に反して相手に行為を迫るようになる。以降対象が使用者に対して性的興奮を感じやすくなる。

 

 

 

スキル『絶倫』

スキル保有者の性欲が極大的に上昇する。

 

スキル『絶倫』(熟練度2)

スキル保有者の性欲が極大的に上昇する。

一日に二回以上セックスしなければ自分に『発情』の効果が付与される。

 

スキル『絶倫』(熟練度3)

スキル保有者の性欲が極大的に上昇する。

一日に二回以上セックスしなければ自分に『発情』の効果が付与される。(二回はそれぞれ別人である必要がある)




解決はしてますが、次回も2巻の話になります。
今回は文字が2万文字あって少し長かったですが、次回は1万文字くらいに抑えるつもりなのでよろしくお願いします。

まだ佐倉の件が片付いていないので、そこら辺とか龍園さんが出ると思います。
本当は学くんとか書紀ちゃん出したかったんだけど、解決しちゃったので関わる機会が欠損しました。
もし期待してた方がいたら、ごめんなさい。
坂上先生も出番なくなったけど、別に困る人はいないよね?

一応補足すると、園田と石倉はオリキャラではありません。
4.5巻で軽井沢がSDカードを取る時に一緒にきた女子2人です。
園田に関しては、2年生編9巻とかにも台詞つきで登場してた気がする。
アニメにはいないから顔がわからないので想像で。

求められているヒロイン候補

  • 松下千秋
  • 佐倉愛里
  • 長谷部波瑠加
  • 佐藤麻耶
  • 篠原さつき
  • 小野寺かや乃
  • 森寧々
  • 井の頭心
  • 王美雨
  • 櫛田桔梗
  • 軽井沢恵
  • 園田千代
  • 石倉賀代子
  • 堀北鈴音
  • 一之瀬帆波
  • 白波千尋
  • 星之宮知恵
  • 平田洋介
  • 石崎大地
  • 柴田颯
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。