※この作品はR-18です。

ようこそ発情スキルの教室へ   作:ソフロス

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とてもとても久しぶりの投稿になってしまいました。
本当はこんなつもりじゃなかったんです。
1ヶ月以上も更新ができなくてすみませんでした。
来週に更新することはできないと思いますが、頑張って書きます。


第14話 上條遥の変化(小橋夢)

 

1

 

俺が目を覚ましたのは、朝の5時。

周りからしたら、かなりの早起きになるのかもしれない。

しかし、『絶倫』のある俺は嫌でもセックスをしてから12時間後に意識が呼び起こされるのだ。

結局のところ今日も睡眠時間が5時間ほどで、あまり良く眠れたとは言えないだろう。

このスキルには本当によく振り回される。

 

「しかし、これからどうするか……」

 

意識は覚醒してしまい、俺の愚息もみるみる成長している。

今のうちに誰かと致してしまった方がいい。

できることなら千秋さんとしたいが、女子しかいないテントに忍び込むなんてことをしたら、社会的な死が待っているため本末転倒だ。

 

「ここは無難に星之宮先生のところに行くか」

 

俺はこっそりとテントを抜け出してBクラスのベースキャンプへと向かう。

まだ誰も起きていないと踏んでベースキャンプの近くまでやってきた。

しかし、そこで思わぬ自体に見舞われた。

 

「あれ、上條くん?」

 

聞きなじみのある声が耳を通り抜ける。

 

「い、一之瀬さん!」

「こんな朝早くにどうしたの?Bクラスになにか用かな?」

「えっと……」

 

昨日と違ってこそこそとベースキャンプにきたので怪しまれるのも無理はない。

それに俺がここにきた理由は不純なものであって、この場で口にするのは避けた方がいいだろう。

 

「ちょっとよく眠れなくて、散歩をしにきたんですよ」

「そうだったんだね」

「一之瀬さんはなにをしてたんですか?」

「私も似たような感じ。なんだか試験のこと考えてたら眠れなくってさ」

「一之瀬さんはクラスの委員長としての役目もあって大変そうですよね」

「ううん、私がやりたくてやってるだけだから」

 

一之瀬さんは力強く笑って見せた。

やっぱり一之瀬さんは高校一年生とは思えないほどに強くてエネルギーがある。

この学校の生徒は俺が通っていた学校の生徒よりも心が発達している生徒が多いように感じる。

でも、その中でも一之瀬さんは特にそれが顕著に出ている気がする。

 

周りのことをよく見て、理解して判断を下す。

相手に寄り添いながら、クラスやグループを先導して信頼を得ている。

こんなことができているのは、俺の知る限り一之瀬さんだけだ。

 

平田くんも、それに近い形ではあるがクラスが一丸となって動いているイメージはあまりない。

龍園くんは伊吹さんのことからも、それには当てはまらない。

葛城くんは会話も少ないため、まだ未知数だがBクラスのまとまり方は高校一年生の一学期とは思えない一体感がある。

 

「一之瀬さんはやっぱりすごいです」

「ううん、私なんてぜんぜん」

「そんなことないですよ。端から見た俺が言うのもあれですけど、一之瀬さんがいたからBクラスはこれだけ活気があるんだと思いますよ」

「そう言ってもらえると元気出るな」

 

一之瀬さんは、少し間を置いてから俺に提案をした。

 

「少しこの近くを歩かない?」

「え、あ…はい」

 

俺はBクラスのベースキャンプから離れていったため、少し焦りも感じたがここで断るのもおかしな話なのでついていくことに。

 

 

「ねぇ、昨日は松下さんと…綾小路くんと堀北さんと来てたけど、クラスの子とは仲いいの?」

「クラスの人ですか……あんまり仲がいい友達は少ないです。綾小路くんは俺の数少ない友達なので」

「堀北さんとは?」

 

一之瀬さんから絶妙に圧を感じて思わず一歩後退する。

 

「え、えぇっと…堀北さんとはそもそも友達ですらないというか、綾小路くん以外には心を開かないんですよね」

「そうなんだ、綾小路くんってああ見えてすごいんだね」

 

ああ見えて。綾小路くんは一之瀬さんからもそんなイメージを持たれてしまったのか。

確かに今の俺の話し方だと、綾小路くんが誰にも心を開かない少女に唯一話しかけることができた超コミュ力お化けのように感じるのかもしれないけど。

それでも、綾小路くんの第一印象にコミュ力があまり高くないというイメージを持たれていたのには涙を禁じ得ない。

 

「松下さんとは最近どうなの?」

「松下さんとはクラスではあんまり変わりないです」

「そっか、そうなんだ。じゃあプライベートでは?」

「それはまあ、一緒に家でまったりしたりとか……」

 

俺は一之瀬さんの目の前で千秋さんに告白したこともあり、一之瀬さんは俺と千秋さんとの関係を唯一知る人物だ。

 

「それはよかった。松下さんのこと……大切にしてね」

「はい、それはもちろん」

「……うん、約束だよ」

 

俺の言葉に満足したのか、一之瀬さんは俺に背を向けて歩き出した。

 

「ありがとう、その言葉を聞けて安心した。じゃあね」

「どこへ行くんですか?」

「ちょっとそこまで。だから気にしないで」

「で、でも…まだ朝早いですし、危ないですよ」

「少し身体を冷やしたいの。いくら上條くんとはいえ…見られるのは恥ずかしいから」

 

一之瀬さんの言葉には疑問も残るが、無理は言えない。

俺は静かにその場を去った。

 

2

 

私は自分を抑えるので精一杯だった。

近くに上條くんがいるだけで、おかしくなってしまいそうだった。

今もあの時の感覚が忘れられない。

上條くんとセックスをした時、快感でどうにかなってしまいそうだった。

実際、おかしくなってしまったんだ。

私はあの日から、毎日上條くんのことばかり考えるようになってしまった。

上條くんともっと一緒にいたい。

欲しい、欲しい……

そんな考えが脳裏を過る。

 

だけど、私は上條くんに近づけない。

近づけば、上條くんを襲ってしまうかもしれない。

そんなことは許されない。

私は松下さんと約束したのだから。

 

それのなのに、今も上條くんへの気持ちを忘れられずにいる。

千尋ちゃんには恋がわからないと言って断ってしまったけど、私はその感情を知ってしまった。

 

このどうにもならない感情に私は振り回されてしまっている。

どうして私はBクラスなんだろう。どうして上條くんはDクラスなんだろう。

そう考えずにはいられない。

もし、上條くんと私が同じクラスだったら結果は違ったかもしれない。

付き合うのは、松下さんじゃなくて私だったかもしれない。

有り得もしない妄想にすがることでしか、私はこの感情を抑えられなかった。

 

「はぁっ、はぁっ…」

 

木陰に隠れて、クラスのみんなには見せられないような姿で自慰行為に励んでいる。

私は毎朝、みんなには内緒でここにきて自分の欲望を抑えている。

こうでもしなければ平静を保てないのだ。

 

さっき、上條くんと会ったからか体温が高く、指の滑りも良い。

私の秘部にゆっくりと指を押し入れていくと驚くくらい簡単に指が中に飲まれる、ぬるぬるとした液体が足を伝って流れていく。

 

「んっ、はぁっ…んふぅ――」

 

上條くんのアレが欲しい。大きくて私を満たしてくれるモノ。

欲しい、もう一度入れてほしい。

でも、私からはこんなこと頼めない。

私は松下さんと上條くんの恋を応援する立場。

なら、上條くんに私を好きになってもらうしかない。

上條くんが松下さんではなく、私を好きになってくれたのなら…

上條くんは私のことを選んでくれる。

 

私は自分の中にこのような感情が湧いてくることに嫌悪感を抱いた。

でも、それに勝るくらい性欲は強かった。

松下さん、ごめんなさい。私はこの気持ちを抑えられなかった。

前みたいに純粋な気持ちで応援することができなくなっちゃった。

 

私は過去の過ちを反省せずに、また盗もうとしている。

 

3

 

俺は一之瀬さんと離れ、星之宮先生のテントに向かおうとした。

しかし、一之瀬さんと話している間に数人の生徒が目覚め、テントから出てなにか作業をしているようだった。

ベースキャンプからは少し離れた位置のため気づかれてはいないと思うが、近くにいたらいずれ気づかれてしまうだろう。

ここは一時的に引き返すしかないか。

 

連日、星之宮先生に朝会いに来る生徒とか噂されたら、千秋さんに何か勘づかれるかもしれない。

それはなんとしても避けたいため、俺はゆっくりとベースキャンプを後にする。

一歩、二歩後退りをしていく。

 

「う、うわっ!」

 

俺は後ろを見ずに後退りしていたため、背後にあった石に気づかず躓いて転んでしまった。

 

「っ!やばい…」

 

俺は慌てて近くの茂みに隠れた。

さっきの転んだ時の音と声で周りに気づかれてしまったのだろう。

段々と人が近づいてくるのがわかる。

 

人の気配は数人、おそらくは2人。

聴覚を研ぎ澄ませながら、周囲を警戒する。

 

「さっきの音、ここの近くだよね?」

 

微かに声もする。女子か?

だが、俺に気付いた様子もないし、茂みの中をわざわざ探そうとする素振りもない。

このまま隠れていれば、やり過ごせる可能性が高い。

 

しかし、本当にそれでいいのだろうか。

俺は昨日の夢で、神に10人とセックスをしろと言われた。

 

現在試験2日目終了時点で、俺がセックスをしたのは千秋さんと星之宮先生と園田さんの3人。

1日1.5人ペースだとギリギリだし、試験最終日をあってないようなものと考えるなら間に合わない。

なら、少し危険を冒してでも……

 

俺はゆっくりと茂みから身体を出す。

この近くを徘徊している生徒は誰なんだ?

 

茂みから顔を出すと、周りをキョロキョロしている女子を見つけた。

1人は見たことのない女子だったが、もう1人には見覚えがあった。

前に俺が朝に散歩をしていた時に、たまたま一之瀬さんに告白をしていたところを見てしまった。

確か、名前は千尋。

 

もう1人の生徒は初めて見る生徒だった。

青い髪の毛でショートヘア。

千尋さんよりはやや背が高いように見え、第一印象としては少しクールな感じがする。

ショートで髪が青いってクールなイメージあるよな。

2人は仲がいいのだろうか、話しながら俺のことを探しているようだ。

 

しかし、2人か。

俺の『発情』の能力は5分間2人きりでいることで発動するものだと思われる。

普段の授業で発動しないことから、条件として大きくは間違っていないはずだ。

そのことからも、セックスをするなら2人きりになることが絶対だ。

 

今の段階でそこまで求めるのは少し現実的じゃない。

ここは顔を見せるくらいに留めておいた方が良いか。

 

できるだけ怪しまれないように、迷った人のふりをして千尋さんたちの前に現れる。

 

「わぁっ!」

 

だが思いの外驚かせてしまったようで、千尋さんは地面に尻もちをついた。

一方、もう1人の女子は怪しそうに俺を見つめている。

 

「君、見ない顔だね?さては他クラスの生徒だね?」

 

なにやら神妙な面持ちで発しているが、そんなこと誰が見ても明らかだった。

自分のクラスで見たことがないのなら、それはもう他クラスの生徒でしかない。

 

「え、あ…はい」

 

俺は思わず、呆気に取られたような返事をしてしまう。

その様子が面白かったのか、少女は笑顔を見せて言った。

 

「あはは、うそうそ。Dクラスの上條くんでしょ?」

「なんでそれを…」

「え?昨日来てたよね。私たちのクラスのベースキャンプ」

 

その時か。

朝なのか、昼なのかは分からないが確かにその時に見られていてもおかしくはない。

 

「でも、それならどうしてあんなことを聞いたんですか?」

「和ませるため?」

 

Bクラスはみんなこのような生徒ばかりなのだろうか。

なんというかふわふわした雰囲気が漂っている。

これも上に立つ一之瀬さんの影響なのかな。

 

「でも、こんなところでどうしたの?」

「その…恥ずかしながら、さっき一之瀬さんに会ったんですけど、別れた後歩いていたら自分の居場所がわからなくなってしまって――」

「つまり迷子になったってこと?」

「恥ずかしながら……」

「じゃあ、迷子のシールでも貼る?」

「貼りません!!」

 

俺のことをツンツンと突付きながらいじってくる。

その一方で、尻もちをついていた千尋さんが血相を変えて俺に近づいてくる。

 

「帆波ちゃんと何話してたんですか?」

「え?」

「帆波ちゃんと何を話してたんですか?」

「えっと――」

「だから、帆波ちゃんと何を話してたんですか!」

 

千尋さんにとって一之瀬さんの名前は地雷だったのか、突然般若のような顔になって食いついてくる。

 

「千尋ちゃん、まぁまぁ――」

「夢ちゃん、私は上條くんに聞いてるんです!」

「う、うん……」

 

さっきまで話の主導権を握っていたはずの夢と呼ばれる生徒も千尋さんの迫力に気圧されている。

 

「Bクラスは一丸となって動いてすごい…とか。一之瀬さんは誰にでも優しい…みたいな。そんな大した話はしてないですよ」

「あなたに帆波ちゃんのなにがわかるの!上條くんよりも私の方が…」

「う、うん……」

 

千尋さんの熱意がこれ程までとは正直思わなかった。

一之瀬さんのこととなると、ここまで本気になって話せる。

あの時、一之瀬さんにはフラれてしまったけど。

人間はそう簡単に諦めることはできない。

千尋さんはまだ一之瀬さんのことが好きで好きでたまらないのだろう。

 

俺は一之瀬さんのことを話してしまったことを後悔した。

 

千尋さんが少し落ち着きを取り戻したのを確認して、再び夢さんが話し始めた。

 

「自己紹介がまだだったね。私は小橋夢。こっちの子は白波千尋ちゃん」

「俺は上條遥。知ってると思うけど、Dクラスに在籍してる」

「それで、帰り道を探してるんだっけ?」

「えっと、そうなります……」

「うーん、じゃあ――」

 

小橋さんは手をポンと叩いて言った。

 

「じゃあ、私近くまでお見送りに行くよ!」

「え?えぇ!」

「迷子の子を放って置くわけにはいかないからね」

「迷子の子って…」

「でもそうでしょ?」

 

俺がそう言ってしまった手前、なにも言い返す言葉もないわけだが少し恥ずかしい。

 

「千尋ちゃんはどうする?」

「わ、私は大丈夫。遠慮しておく」

「じゃあ、千尋ちゃんは先に戻ってて。私は上條くん連れて行くから」

「うん」

「じゃあ、行こっか」

 

そう言って勝手に話が進み、俺は小橋さんの後ろをついていくことになった。

 

「いいんですか?他にやることがあったんじゃ?」

「ううん、大丈夫大丈夫。朝食の準備をしようとしてただけだから」

「朝食の準備早いですね」

「そうかもね。まあ、朝食以外の理由もあるっていうか――」

「え?」

「千尋ちゃんの帆波ちゃんに対する気持ち。なんとなく分かったでしょ?」

「は、はい」

「昨日も朝、この時間くらいにベースキャンプにいなかったんだって」

 

なるほど。それで、一之瀬さんがどこに行ったのか知りたくて白波さんは早起きをしてたのか。

 

「昨日、一之瀬さんに聞いたりしなかったんですか?」

「聞いたみたいだよ。気分転換に散歩に行ってた。そう言われたみたい」

「今日、俺が会った時もそう言ってましたよ」

「それでも千尋ちゃんは帆波ちゃんのことが心配みたいで……」

「なるほど」

 

白波さんの気持ちはよくわかる。好きな人が毎朝テントを抜け出していたら心配になるだろう。

しかし一之瀬さんのことだし、心配するようなことがあるはずないが。

 

「本当についてきてくれてありがとうございます」

「ううん、いいんだよ。でも、昨日は結構しっかりしてそうに見えたから迷子は意外だったけどね」

 

ということは昨日俺のことを見たというのは、綾小路くんたちと来た時だったのか。

でも今回のことで、小橋さんには迷子の人というレッテルが貼られるのかそれは少し残念だ。

 

ただ、小橋さんのありがたい申し出のおかげで2人きりになることができた。

そろそろ2人きりになって5分経つし、小橋さんに異変が起きてもおかしくない。

しかし、いくら経っても小橋さんに変化はない。

 

「ど、どうしたの上條くん?私の顔なにか付いてるかな?」

「なんでもないよ」

 

これまで、佐藤さんや櫛田さんと2人きりになったことがあったが、異変はなかった。

そのことからも、まだ条件があるのだろう。

ある程度の信頼関係が必要。そう考えるのが、無難な答えだろう。

だとしたら、小橋さんは無理か。

 

10人か。

俺とある程度の関わりがある人で、10人。

相当ハードル高いぞこれ。

 

小橋さんとセックスできたら良かったのにな。

やばい、そんなこと考えてたらムラムラしてきた。

それに『絶倫』からしてもそろそろ限界がくる。

性的なことを考えると思考がすぐ引っ張られてしまう。

 

「こ、小橋さん…」

「な、なんですか…上條くん?」

 

俺が小橋さんの方を向くと、さっきと比べて呼吸を乱している小橋さんの姿があった。

俺の頭に一瞬ハテナが浮かぶ。

どうして、今なんだと。

しかし、もうそんなことを考えている余裕は俺にもなくなっていた。

 

「上條くん、迷子にならないように手握ってあげるね」

「えっ」

「いいから手貸して」

 

小橋さんはそう言って強引に俺の手を引いた。

ゆっくりと俺の手を握ると満足そうに笑顔を見せた。

 

「ふふっ、手あったかいね」

「そうですか?」

「うんあったかいよ。朝は少し寒いからね。上條くんの手、あったかくて気持ちいい」

 

小橋さんは俺の手を握りながら立ち止まり、俺に向き合うように立った。

 

「上條くんって、私のこと好き?」

「急にどうしたんですか?」

「とりあえず答えて欲しいな」

「迷子の俺を助けようとしてくれるから好きですよ」

「そう?じゃあ、いいよね――」

 

そっと俺の唇に触れる柔らかい感触。

小橋さんの滑らかで柔らかい唇と俺の唇が重なる。

数秒で離れ、また少しの間を置いて再び唇を重ねた。

 

「なんでだろう。私、キスなんてしたことないのに……」

 

困惑した様子を見せながらも、俺の唇を何度も求め重ねてきた。

 

「んっ…んぅ…」

 

慣れない動きではあったが、本能からか唇だけで飽き足らず、舌を出して口内へと入り込んでくる。

 

「ん、んんんんん♡」

 

小橋さんの唇に口を塞がれそのまま口内を侵されていく。

俺もそれに負けじと自分の舌を絡めていく。

 

「あ…んっ♡んんっ!」

 

唇を離すと先ほどまでとは違ってとろけてだらしない顔の小橋さんがいた。

唾液を口から漏らしながら、上目遣いでこちらを見てくる姿に興奮が抑えられなかった。

俺の中でまた何かが壊れていく音がする。

ゆっくりと小橋さんに近づき、髪に触れる。

 

「上條くんどうしたの?」

「綺麗だなって思って」

 

無人島に2日もいたのに髪の毛はツヤツヤで整っていて爽やかないい匂いがした。

女子はみなそうなのだろうか。千秋さんからも優しい大人な匂いがしたし、これが女性の色香なのだろうか。

 

「も、もう…そんなに近くに来られたらドキドキしちゃうんだけど……」

「キスもしてますし、今更では?」

「それでも恥ずかしいものは恥ずかしいの!」

 

俺は小橋さんの髪の毛をすくい上げて匂いを嗅ぐ。

 

「ちょっ!ちょっと!なにをしてっ…きゃっ!」

 

俺は小橋さんの口を唇で塞ぎ舌を侵入させる。

驚いて目を丸くした小橋さんの瞳に俺の顔がうっすらと映っているのがわかる。

小橋さんの瞳と視線が合うと、恥ずかしさからか視線をそらされた。

 

「んっ、だ…だめぇ♡」

「なにが駄目なんですか?」

「こんなだらしない顔見せられないよぉ!」

「今は俺しか見てません。だから気にする必要はないですよ」

「そんなことっ…んぅ♡」

 

小橋さんの言葉を唇で遮る。

すると段々と小橋さんの言葉は弱まり変化が出てきた。

 

「あぅ…んっ、んんんっ!」

「どうしたんですか?なにか我慢してるように見えますよ?」

「ちっ、違う!なんでもっ♡ないっ!」

「明らかに様子が変ですよ?どうしたんですか?」

 

内股になりながら小橋さんはビクビクと震えている。

 

「もしかして感じてるんですか?キスしただけでイキそうなんですか?」

「ちがうっ!そんなことっ…ないっ♡」

「説得力ないですよ?もうイキそうなんですよね?」

「あっ♡んんっ、ちがう…ちがっ♡」

 

舌で小橋さんの口内をかき乱していくと、連動するように下の方が反応する。

段々と内股の痙攣が速くなっていき足だけで立つのが難しくなってきたのか体勢が低くなっていく。

 

「だめっ!だめっ…あっ♡んぁ♡んんんんん♡」

 

小橋さんの脚にうっすらと液体が滴り流れていくのがわかる。

こんなにすぐにイクなんてえっちなことに耐性がなかったのだろうか。

手で口を塞ぐこともなく、ただただペンギンのようにピクピクと手を震わせている。

 

「あっ…あぁっ♡」

 

余韻に浸っているのか小橋さんはそのまましばらく動かなかった。

このまま本番まで行こうと思っていたが、そんなことをしたら小橋さんの体力が保たなさそうだ。

まだ時間はある。厳しいことに変わりはないがまだ必死になって焦るような時期じゃない。

今日はここまでにしておくか。

 

そして5分程経過して小橋さんの状態も戻り正気を取り戻しつつあった。

 

「か、上條くん…私たちはえっと」

「……」

「なっ…私たち、こっ…ここで今キスを!」

 

段々と発情していた時の自分と重なってきたのか、顔を赤らめて目を見開きながら俺に近寄ってくる。

 

「わ、私…いまやっちゃったんだ――」

 

慌てふためきながら顔を抑え恥ずかしそうに小さくなる。

俺に近寄ったり遠ざかったり自分でも何をしているのかわからないといった様子でうろちょろしている。

 

「あの…小橋さん、どうしたの?」

「上條くんはどうしてそんなに冷静でいられるの?!」

「どうしてって――」

 

これはもう慣れとしか言いようがない。

俺のスキルのせいで何度も千秋さんや園田さんを発情させているため、感覚が麻痺してしまったのかもしれない。

 

「なんで私から上條くんに……?」

 

ぶつぶつと小橋さんは疑問を口にしている。

だがこれは『発情』によるものなので、考えるだけ無駄なことだ。

ここはどうしたものかな。このままじゃ、一生小橋さんはこのままかもしれない。

 

「というか、だいたい上條くんはどうしてそんなにキスが上手いの?」

「え、お…俺は小橋さんに舌を入れられたから必死に――」

「そんなことないよ!だってあの後、上條くんが私のことイカせ――」

 

小橋さんは慌てて口を塞ぎ縮こまる。

 

「小橋さんイったんですか?」

「ちょっ、ちょっと!なにをっ」

「だって今そう言って――」

「ん~~~!」

 

余程恥ずかしかったのか、小橋さんは血相を変えてこちらに迫ってくる。

 

「上條くんにも同じ思いしてもらうからっ!」

「え?」

 

すると小橋さんは俺のズボンをいきなり下ろしてパンツ越しから俺の肉棒を触ってきた。

 

「うっ、うわぁぁっ!」

「ど、どう?気持ちいいでしょ?」

「んっ…ぅぁっ!と、というより…小橋さんがっ!積極的でびっくりしたというかっ……」

「う、うるさいっ!男の人はこうやると気持ちいいんでしょ?上條くんが悪いんだからね!」

 

そう言ってパンツを脱がせる小橋さんだが、俺の肉棒を見て一瞬言葉を失う。

 

「こ、これが男の人の……」

「どうしたんですか?」

「な、なんでもないよ!」

 

俺の質問をごまかし、おぼつかない手つきで肉棒を上下させていく。

しかし、なんだかんだで男がどうやってやるのかを知っているのはむっつりである証拠なのではないだろうか。

そんなことを考えていると段々と射精感が高まっていく。

手つきはさすがに慣れていない素人のそれであったが、女子に握られているという感覚だけで感度は良くなっていく。

 

「そろそろ…出ます」

「えっ!ええっ!ちょっとそんないきなり!?」

「うっ…!」

「きゃあっ!」

 

小橋さんの手を抜けて勢いよく射精し精液が顔にまで飛び散ってしまった。

ジャージにも少し漏れてしまったが、なんとかごまかせるくらいの小さな範囲だった。

 

「ちょ、ちょっとなにこれぇ!く、くさぁ…」

 

小橋さんは顔にべったりとついた精液を手で触れてしまい絶望したような表情でこちらを見てくる。

 

「あ、あはは…ごめん――」

「ごめんじゃないよ!どうしてくれるの!」

「で、でも急にシゴキ始めたのは小橋さんだし…」

「もう~!自分が嫌になりそう!」

「と、とりあえず水で洗い流した方が良さそうだね」

 

俺はDクラスのベースキャンプから少ししたところにある滝へやってきた。

ここは池のように大きな水場であるため、身体の汗を流すにもいい場所だろう。

小橋さんをここに案内して、水を手ですくって顔にかける。

 

「うぅ、冷たい!」

 

滝から流れてきた水ということもあって、水温はかなり冷たく早朝の身体には冷えるかもしれないが精液を流すためだ、やむを得ない。

 

「ごめん、私が変なことしちゃったせいで迷惑かけちゃって」

「いやいや、いいんですよ。誰にだって気の迷いはあります」

「でも、私は好きでもない上條くんにキスしちゃったんだよ。さすがに気の迷いじゃ済ませられないよ」

 

好きでもない、は言う必要なくない?

いや、いいんだけどさ。

 

「だから、ちょっと申し訳ない気持ちっていうか。なにかしてあげられることがあったら……」

「じゃあ、俺とセックスしてください」

「え?」

「俺とセックスしてください」

「え、えええ?!」

 

俺から出てきた言葉に動揺が隠せず、思わず後退していく小橋さん。

 

「せっ、セックスってあの?」

「はい」

「ほ、本気で言ってるの?私たちまだ高校生だよ?」

「だって小橋さん、なんでもって言ったじゃないですか」

「言ってないよ!!」

 

さすがに引っかからなかったか。

なんか勢いでいけそうだったから、少し押してみたんだけど無理だったか。

 

「ほ、本当にしたいの?私とせっ…セックス?」

「したいですけど」

「本当に?」

 

段々と小橋さんの言葉に覇気がなくなっていく。

 

「優しくしてね?」

「じゃあ、いいんですね?」

 

俺は小橋さんにゆっくりと触れる。

するとビクッと身体を震わせ、俺の目を不安そうに見つめる。

第一印象にあったクールっぽい印象は崩れ去り、子鹿のように弱々しく俺に視線を向けるだけ。

 

ジャージのチャックを開けて体操着越しに胸に触れる。

胸は比較的大きい方で、堀北さんと同じくらいあるように見える。

別に堀北さんの胸をよく見ているわけではないが、なんとなく。

 

少し触れただけでビクビクと身体が反応していることからも、異性に触れられることにあまり耐性がないのだろう。

さっきは恥ずかしくて俺から目線を逸らしていたが、今は不安からか俺から視線を外さない。

可愛らしく頬を染めた小橋さんが俺を見上げている。

 

「じゃあ、脱がしますね」

「…うん」

 

俺はジャージのズボンもゆっくりとずらしていき、パンツと体操着の上だけの状態にする。

 

「うぅ…恥ずかしいよ。誰かに見られない?」

「この時間は多分誰も来ません。だから声さえ気をつければ大丈夫ですよ」

「んんっ!」

 

俺がパンツに触れるとそこはもうぐっしょりと濡れていて、洪水を起こしていた。

ゆっくりとパンツを下ろすときれいなピンク色の割れ目があり準備万端と言わんばかりに愛液が漏れ出ていた。

 

「こんなに濡らしてたなんて……でもそれならもう大丈夫そうですね」

「え……」

 

俺はズボンを脱いで肉棒を空気にさらけ出す。

それを見た小橋さんは思わず肩をすくめる。

 

「それが私の中に……」

 

俺は小橋さんの割れ目に、肉棒を近づけゆっくりと挿入する。

 

「んっ!んんんっ……いぃっ」

「痛かったら言ってくださいね?」

「んん……んぃっ!」

 

初めての割には意外とすんなりと入っていき、膜を破ったことにも気づかない程だった。

これも小橋さんの腟内がすでに愛液で満たされていたからなのか。

 

「あっ!んんっ♡」

「もう痛みは大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫みたぃ…それより、奥にあたってっ♡んんっ♡」

「すごい、こんなに早いなんて…」

 

非処女の星之宮先生は例外として、今までセックスをした中で一番感じ始めたのが早い気がする。

やっぱり小橋さんってえっちなんだ。

 

「あんっ♡もうっ、だめっ♡」

「小橋さん、声抑えてください。聞こえちゃいますよ?」

「だっ、だってぇ!んんっ♡気持ちいいからっ!」

「すっかり溺れてますね」

 

俺も言えた話じゃないが、完全に快楽に溺れた獣そのものである。

小橋さんは腟内を俺に突かれながら、背中に手を回し俺を離さないように捕らえている。

そのため俺もピストンを止めることができず、お互いの高揚感も高まっていく。

 

「はぁっ、はぁっ!小橋さん、そろそろ…」

「上條くん、妊娠しちゃうから外に…」

 

小橋さんはそう言うが、背中から手を離してくれないため逃れられない。

 

「小橋さん、早く離して!」

「え、はっ…離すってなにをっ♡」

「だめ…出そうです!」

「そ、そんな…ま、待って!」

「出る!」

「ひゃっ!ひゃぁぁっ♡んんんん♡」

 

結局、小橋さんは自分でも俺のことを抱きしめていたことに気づかなかったのか離してくれることはなく。

そのまま俺は小橋さんの膣内に精液を叩き込んだ。

俺は『不妊射精』とかいう謎スキルをロリ神から授けられたため、卵子と結びつく前に精子を消すことができるらしいため妊娠はしないのだが。

小橋さんからしたら一大事だろう。

 

それから少し経って。

 

「安全日だったから多分大丈夫…安全日だったから多分大丈夫……」

 

小橋さんは念仏のように安全日と唱えている。

 

「そろそろ7時前ですし、戻ったほうがいいかもしれませんね。こんなところまで来てもらっちゃってすみません」

「う、うん……迷子の上條くんを見送りに来たはずがこんなことになるなんて――」

「ご、ごめんなさい」

「ううん、最初に手を出したのは私なんだもんね。無人島の生活が思ってたよりも大変でどうにかなっちゃったのかな」

 

小橋さんは自嘲気味に笑って俺に振り返って言った。

 

「私が上條くんにキスしたこと、秘密にしてくれたならさっきのこと内緒にしておくから。だからわかるでしょ?」

「誰にも言いません」

 

正直、キスとセックスではまったく釣り合っていないのだが、小橋さんはそれを引き換えに約束をしてくれた。

そして小橋さんは俺から離れ、森の中に入っていく。

何歩か進んで、俺の方に振り返って口を開く。

 

「もし赤ちゃんができちゃったら、その時は責任……取ってね?」

 

そう言い残して小橋さんは今度こそ森の中へ消えていった。

 

4

 

小橋さんと別れて俺はベースキャンプに戻る。

さすがに朝の7時前ともなると起きている生徒も多い。

男子は平田くんや幸村くんに綾小路くん。女子は千秋さんに森さん、そして櫛田さんのような比較的真面目そうな人たちが多い。

 

「あっ、上條くん!おはよう!」

 

俺がベースキャンプに戻るなり、最初に声を掛けてくれたのはいつでも爽やかな空気を漂わせている我らが平田くんだ。

千秋さんも俺の存在には気づいていたようだが、ここであえて声を掛けるようなことはしてこない。

 

「こんな朝早くから、どこに行ってたの?」

「ちょっと用を足してから気分転換も兼ねて散歩に行ってたんだ」

「そうだったんだね。僕も散歩は好きだから、今度一緒にどうかな?」

「うん、平田くんがいいなら喜んで」

「じゃあ、約束だよ」

 

平田くんはこんな俺にも話題を合わせて会話をしてくれる。

これがモテる男子の風格なのだろうか。

 

その後は続々と起床する生徒を横目に俺たちは朝食の準備を始めた。

そして朝の8時を過ぎてスポットを占有した後、俺たちは自由行動となる。

 

俺はこの日は少しやりたいことがあって、点呼後すぐにベースキャンプを離れた。

こんな俺を気にする人間は誰もいないので、当然俺1人での行動になる。

俺はロリ神から授けられた『体力上昇』の恩恵もあって島を移動するのにも、あまり体力は使わない。

そのため、むしろ1人で行動できるというのはメリットの方が大きい。

 

俺は島を駆け抜けていき、見晴らしのいい高台へと進む。

なぜ俺が高台に向かったのか。この無人島試験が始まる前、船は無人島の周りを一周していた。

その時に、この高台に塔のようなものがあるのを見つけた。

Aクラスの生徒に押しのけられてちゃんと見れたわけではなかったが、この塔だけは少し大きかったため見つけることができた。

今になって思えば、

 

『生徒の皆様にお知らせします。お時間がありましたら、是非デッキにお集まり下さい。間もなく島が見えて参ります。暫くの間、非常に意義ある景色をご覧頂けるでしょう」

 

という言葉も、意味深なものだったように感じる。

普通のバカンスならば、非常に意義ある景色というような表現はしないだろう。

これは学校側が俺たちに警告ないしヒントを与えていたのだ。

あの時はそんなことになんて意識は向けていなかったわけだが。

 

俺は高台の塔の近くまで来た時、動かしていた足をピタリと止める。

周りから人の気配を感じたからだ。

おそらく『五感強化』で俺の五感が強化されていなければ気づかないレベルの微弱な気配であったが間違いなく、ここには誰かがいる。

つまりここで俺が姿を見せれば、袋のネズミというわけか。

 

「ここは引き返したほうが良さそうだな」

 

別にこの塔に行くことが主題でもないし、リスクを冒してまで行く意味はない。

俺は素直に高台から離れ、別の場所を探る。

続いて、俺はAクラスのベースキャンプから離れた海沿いの道を駆ける。

特に目ぼしいものはないと思っていたが、海岸から少し離れた位置に小さな小屋があった。

中にはスポットを示すモニター付きの端末。ここはどのクラスにも占有されていなかった。

占有されていない理由は、海以外に目ぼしいものがないこと。

海という開けた場所のため、いくら小屋があったとしても、いつ誰が見ているかわからない。

そのような理由から占有したクラスは少なかったのだろう。

 

「小屋に塔。明らかな人工物に踏みならされた道。定期的に人が出入りして手入れをしているのか」

 

それに、果物などもこの島には育っていたが、これはもともとこの島にあったものではないのだろう。

今回の目的、それは食料の確保とこの島の概要の把握。

昨日の長谷部さんとの会話からも、いずれ女子が食に不満を持ち始める可能性は高い。

女子に負担を掛けすぎると、急に何かが爆発するかもしれない。

今のうちにできるだけ不安の目は摘んでおくべきだろう。

 

しかし、この海には他に目ぼしいものはなく残念に思いながら森に戻る。

それにしても、森というのはいろいろな匂いが入り混じっていて五感が強化されている俺には正直キツイ。

様々な植物が自生しているので、その植物特有の匂いがいくつも重なってもはやなんの匂いなのかわからない。

 

正直匂いはキツイが、なにかわかることがあるかもしれないため俺の五感を使いながら捜索する。

意識を集中しながら森を進んでいくと、ふと俺に馴染みのある匂いがあることに気がついた。

 

俺は匂いを頼りに茂みをかき分けていく。

 

「これは……」

 

そこにはたくさんのブルーベリーが実った木がいくつも生えていた。

ここだけにブルーベリーがあるなんて、普通じゃない。

これも学校側が用意したものだと考えると、この島にはまだまだ同じような場所があるのだろう。

 

「しかし、どうしたものか。この量はさすがに――」

 

いくらブルーベリーが、小さなものとは言え生えている木の数がとんでもなく多い。

さすがにこれを持って帰るのは不可能だ。

一度ベースキャンプに戻って平田くんに報告しよう。

それから、何人かをここに派遣してもらって回収するのがいいだろう。

 

そう決断して俺はベースキャンプへ戻るため全速力で島を駆け抜ける。

あの場所は他のクラスのスポットからも距離があるため、そう簡単に見つかるとは思えない。

しかし、俺のように島を散策していたなら、見つけてしまう可能性がある。

俺はできるだけ早く、今の出せる全速力で島を移動する。

 

こうして俺は9時過ぎくらいにDクラスのベースキャンプに戻った。

自分で言うのもなんだが1時間でここまで探索できたのはかなりの成果だと思う。

俺は平田くんにこのことをすぐに知らせた。

すると、平田くんは手の空いている男女を15人ほど集めてくれた。

できれば須藤くんのような力のある生徒が欲しかったが、生憎釣りに出かけているらしく姿が見えなかった。

 

道を先導するために俺が先頭に立ち、ブルーベリーの木のもとへ向かう。

普通に歩いて行けば3~40分程掛かってしまうため、あまり大人数で行くと他のクラスに勘付かれて先回りされる可能性もある。

しかし、俺がこれだけの人数を集めてもらったのはブルーベリー以外にも何か植物があることに気づいたからだ。

俺はこの道を10分ほどで戻ったのだが、その時にこの近くに自生している植物とは葉が明らかに違うものを視線で捕らえた。

そっちの方はまだ調べてはいないが、おそらくあれはバナナの葉だった。

向こうも回収することを考えるのなら、この人数は妥当むしろ少し足りないくらいだ。

 

「それにしても上條くんすごいね、ブルーベリーの木を見つけるなんて!」

 

櫛田さんが天使のような笑みを見せながら話してくる。

 

「たまたまこの近くを通ったら見つけたんだよ」

「にしても、こんな遠くまで来たってのかよ」

「うーん……ここからだと、あと20分くらいは歩くと思うからやっと半分だね」

「うぇっ?!まじかよぉ」

 

山内くんは女子でさえ何も言っていないのに不満を口にする。

これで音を上げているのなら、山内くんにはバナナの方を回収してもらった方がいいかもな。

 

「でもブルーベリーが食べられるって考えたらテンション上がるよね!」

「わかる。ちょうど果物とか食べたいなーって思ってたから助かるー」

 

女子は不満を口にしないなと思っていたが、果物が手に入ると知ってモチベーションが上がっているようだ。

やがて、俺がさっきバナナの葉を視界に抑えた場所まで辿り着き、歩みを止める。

 

「ふぅ、やっと着いたのかよ。疲れてもう動け……」

 

山内くんがヘロヘロとしていると、それを同じクラスの女子に見られ呆れられている。

それに山内くんも気づいたのか途端にピンっと立ち上がり腕を回し始めた。

 

「いやぁ、俺にかかればこの程度疲労のひの字もないぜ!さて、ブルーベリーはどこかなっと!」

 

山内くんはこれで貫き通せると思っているのだろうか。

そんな考えが頭から離れないが、俺はクラスのみんなに言う。

 

「向こうにバナナの木があるのが見えますか?」

「バナナ?ここからじゃよく見えないけど、ブルーベリーの間違いじゃなくて?」

 

そうか、普通の人の視力だとここからバナナは見つけられないのか。

俺は茂みを掻き分けてからもう一度指を指す。

 

「ほ、ほんとだ!あそこだけ葉っぱが違うよ!」

 

1人の女子がそれに気づきバナナの木の方へと向かう。

そこには確かにバナナの木があり、ブルーベリーと同様かなりの量がある。

しかし、そこには少し問題があった。

バナナの木の背が少し高く、普通に採ろうとしても採れない高さだった。

 

「どうしよう……このままじゃ採れないよね」

「じゃあ、肩車で採るっていうのはどうかな?」

 

俺ならジャンプすればもぎ取ることができるかもしれないが、それをここでやれば変に目立つ可能性が高い。

なので俺は、肩車で採ることを提案した。

 

「じゃ、じゃあ俺下やるよ!誰か乗っていいんだぜ!」

 

山内くんが命を吹き返したかのように急に元気になってそう宣言する。

 

「え、いいの?じゃあ、お願いしてもいいかな?」

 

俺は山内くんの背後に周り、肩に身体を預ける。

 

「ちょいちょいちょい!なんで上條お前が来るんだよ!」

「え、そりゃあ、いくら俺が超力あるからって女子を上に乗せた方が効率的だろ?男子が下をやって女子が上をやる。絶対その方がいいよな!なぁっ!」

 

山内くんから視線で俺に合図を送られる。「お前なんか乗せたくない。女子に乗ってもらいたい」と。

 

「私、山内くんは嫌だな」

「ちょっとね……」

「おいおいおい!お前らなに言ってんだよ!櫛田は俺に乗ってくれるよなぁ!」

 

周りからの反応に山内くんが頭を抱え、血相を変えて櫛田さんにすがろうとしている。

 

「おい、やめておけ。あんまり周りを困らせるな」

 

そこで三宅くんがフォローに入り山内くんを止める。

 

「なんだよ!」

「ここは俺と幸村と本堂、綾小路で回収する。山内と数人の女子は運ぶところからでいいから手伝ってくれ」

「はぁ?なに勝手に決めてんだよ!」

「時間はかかるが、これが一番穏便に済む。山内はこっちにいた方がいい」

 

山内くんは不服そうにしていたが、周りからの視線に気づいたのか途端に何も言わなくなった。

 

「上條はブルーベリーの場所を案内してやってくれ。向こうの場所を知ってるのはお前だけだからな」

「うん、三宅くんありがとう!」

「みやっちやるじゃん」

 

少し離れたところから長谷部さんがそう呟いたのが聞こえた。

結局、バナナの回収は三宅くん、幸村くん、本堂くん、綾小路くん、山内くん、長谷部さん、市橋さん、前園さん、小野寺さんの9人。

残りの俺、千秋さん、佐倉さん、森さん、櫛田さん、王さんの6人でブルーベリーの回収をすることになった。

 

「山内くん、大丈夫かな?」

 

櫛田さんはさっきの山内くんの状態を見て心配しているようだった。

 

「あれは発作だよね、ちょっと私はああいうタイプ無理かな」

 

勝手に発作扱いされているのは可哀想だが、千秋さんの言う通り女子からは明らかに毛嫌いされるだろう。

 

「上條くんはそういうこと言わないから、安心……」

 

佐倉さんは小さくそう呟いたが、山内くん程ではなくとも俺も不貞な人間になってしまったため耳が痛い。

 

「それにしても、あのバナナよく見つけられたね。普通に歩いてたら絶対に気づかないよ!」

 

櫛田さんの言葉に同調するように周りも頷く。

あのバナナに関してはベースキャンプに戻る時に視界に入って見つけたもので、そこまで意識を集中していたわけではなかったのだが。

俺の『五感強化』はかなり精度が良くなっているようだ。

転生してから少しずつ俺の五感は強化されていったため、あまり変化に気づきにくかったが俺は普通の人よりもかなり研ぎ澄まされているようだ。

 

「ここがブルーベリーの木がある場所だよ」

 

バナナのあった場所から10分程歩みを進め、茂みを掻き分けブルーベリーの木を見えるようにする。

 

「すごい!ブルーベリーがこんなにたくさん!」

 

俺たちはブルーベリーを採取して鞄に詰め込む。

ここにあるブルーベリーはほとんど取り尽くし、俺たちは来た道を引き返す。

やがて、大量のバナナを抱えた男女の集団を見つけ合流してベースキャンプに戻るのだった。

 

ベースキャンプに戻ると他の生徒たちも何人か戻ってきていた。

周りの生徒もバナナとブルーベリーにはかなりの興味を示してくれた。

これで周りのモチベーションを少しでも上げられたらいいのだが。

 

 

「なあ、上條。少しいいか?」

 

そう思っていると、後ろから綾小路くんに話しかけられた。

 

「少し気になることがあってな、ついてきてくれるか?」

「最近は綾小路くんに指名されることが多くてなんだか嬉しいな」

「上條はオレと違ってもう友達も多いだろ。そんなに嬉しいことか?」

「そりゃあもちろん嬉しいよ。だってこの学校での初めての友達なんだから」

「そういうものなのか」

「そういうものだよ」

 

俺は綾小路くんに言われた通り、後をついていくことに。

綾小路くんに連れられて進む道には見覚えがあった。

今回の特別試験初日に高円寺くんと綾小路くんと来た場所だった。

 

「ここって――」

「ああ、高円寺と来た場所だ」

「どうして、今ここに?」

「高円寺があの時気になることを言ってたからな」

「気になること……」

「高円寺はこの森が自然のものとは呼べないと言っていた」

「自然の森とは言えない……そうか!」

 

あの時の高円寺くんはすでにこの島の森が学校側によって、手入れをされていることに気づいていた。

つまりこの近くには間違いなく存在する。

 

「くんくん……」

 

わずかにここの森に自生している植物とは違う匂いを見つける。

 

「ここかな?」

 

俺が茂みを漁ると、そこの奥から大量のトウモロコシが生えているのを見つける。

 

「す、すごい!高円寺くんはこれを初日で?」

「そうみたいだな」

 

高円寺くんは俺の嗅覚でやっと見つけたとうもろこしを初日ですでに気づいていた。

もしもクラスに協力してくれていたら、どんなに頼もしかっただろう。

そう考えずにはいられない。

 

「上條。鞄は持ってきてるか?」

「いちおう持ってるよ。さっきブルーベリーを回収した時に余ったのがあるから」

「なら、ここに入れるだけ入れてベースキャンプに戻ろう。残りはまた平田に報告してからにするか」

「そうだね」

 

俺と綾小路くんがそう結論付けようとした時、後方から声が聞こえてきた。

 

「見てください葛城さん!凄い量の食料ですよ!」

「うわっ、びっくりしたぁ」

 

トウモロコシにばかり意識を向けていたせいで、背後からの気配に気づいていなかった。

 

「すまない、驚かせるつもりはなかった。この男にも悪意はない。許してやってくれ」

 

後ろから弥彦くんと、葛城くんが姿を見せる。

 

「おまえ、昨日スパイに来てた奴か!」

 

おそらく俺のことだろう。

弥彦くんが俺に迫ってくる。

それを葛城くんが静止して言った。

 

「それは君たちが見つけたものだ。無理やり横取りするつもりはないから安心しろ。しかし、ここを離れれば誰かに見つかる可能性もあるだろう」

「それも仕方ない。2人しかいないからな」

「我々も手伝おう」

「ありがたい申し出だけど、うちのクラスから注意するように言われてるんだ。Aクラスに頼ったと知られたら怒られる。悪いけど辞退させてくれ」

「なるほど。そうであるなら無理にとは言えないな。だが、こちらを信用できるのか?おまえたちが立ち去った後すべて持っていく可能性もあるだろう」

「その場合は今持ってる分で諦めるしかないな」

 

俺たちは今持てる分のトウモロコシを持ってベースキャンプに戻った。

平田くんに報告すると、今度は池くんたちが回収に向かってくれた。

後から聞いた話によると、そこには葛城くんが近くにいたらしく、池くんは危なかったと言っていたが本当はその逆なのだろう。

葛城くんは俺たちDクラスのためにトウモロコシが他のクラスに採られないように見張っていたのだろう。

そんな葛城くんの新たな一面を知ることができた。

 

そしてこの時はまだ知らなかった。

俺は関わるべきじゃない人に近づいてしまったことに。

 

 

 

補足

 

松下千秋

好感度 99→99

評価 今回も出番は少なめじゃな。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 今回の発動回数0

 

綾小路清隆

好感度 55→57

評価 段々と着実に成果を出しているな。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 今回の発動回数0

 

堀北鈴音

好感度 27→27

評価 今回は出番なしじゃ。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

櫛田桔梗

好感度 39→39

評価 少しずつ信用を回復しているようじゃ。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

佐倉愛里

好感度 60→63

評価 今回も出番が少なかったのう。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 未達成

 

三宅明人

好感度 25→30

評価 なかなかいい関係性を築けているようじゃな。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

長谷部波瑠加

好感度 16→22

評価 会話はなかったのう。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

高円寺六助

好感度 0→0

評価 まあ言うことなしじゃな。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

須藤健

好感度 55→55

評価 今回は出番がなかったのう。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 未達成

 

池寛治

好感度 35→35

評価 出番が少ないのう。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

山内春樹

好感度 15→15

評価 今回は話したのに変化なしじゃ。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

外村秀雄

好感度 42→42

評価 出番なしじゃ。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 未達成

 

平田洋介

好感度 99→99

評価 平田はもうお主への矢印が大きいぞい。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 未達成

 

軽井沢恵

好感度 8→8

評価 特になにもないのう。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

佐藤麻耶

好感度 63→63

評価 空気になりつつあるぞ。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 未達成

 

篠原さつき

好感度 60→60

評価 言う事なしじゃ。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 未達成

 

森寧々

好感度 15→15

評価 出てきたのに出番がないのう。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

園田千代

好感度 88→88

評価 今回はモブらしく出番なしじゃ。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 今回の発動回数0

 

石倉賀代子

好感度 20→20

評価 出番ないのう。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

茶柱佐枝

好感度 15→15

評価 星之宮の対比みたいになっとるな。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

一之瀬帆波

好感度 93→99

評価 ついに一之瀬もカンストじゃ。

発情条件進捗

条件1 達成

条件2 達成

条件3 今回の発動回数0

 

白波千尋(NEW)

好感度 0→10

評価 一之瀬のことを気にしてるようじゃな。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

小橋夢(NEW)

好感度 0→55

評価 今回だけでかなり好感度を上げたのう。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

特別条件 今回の達成回数1

 

星之宮知恵

好感度 60→60

評価 残念なことになにもなしじゃ。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 達成

条件3 未達成

特別条件 今回の達成回数0

 

葛城康平(NEW)

好感度 0→20

評価 前回から大きく好感度を上げたのう。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

戸塚弥彦(NEW)

好感度 0→5

評価 低いのう。

発情条件進捗

条件1 未達成

条件2 未達成

条件3 未達成

 

 

 

 

 

スキル『発情』発動条件

条件1 対象と連絡先を交換している

条件2 対象に触れられた回数と触れた回数の合計が5回以上

条件3 対象の好感度が50を超えている

条件4 対象と室内で2人きりになる

条件5 対象の手を握る

 

条件1から条件4を満たしたうえで条件5を行うことでスキル『発情』が発動する

スキル『発情』で発情した相手は30分間の間発情し続ける。

 

→

 

スキル『発情』発動条件(熟練度2)

条件1 対象と連絡先を交換している

条件2 対象に1度触れるかつ触れられている

条件3 対象の好感度が40を超えている

条件4 対象の両者が意識のある状態で10分以上2人きりになる

 

条件1から条件3を満たしたうえで条件4のシチュエーションが発生することでスキル『発情』が発動する

スキル『発情』で発情した相手は30分間の間発情し続け、自分の意思に反して相手に行為を迫るようになる。

 

→

 

スキル『発情』発動条件(熟練度3)

条件1 対象と連絡先を交換している

条件2 対象の好感度が40を超えている

条件3 対象の両者が意識のある状態で5分以上2人きりになる

 

条件1から条件2を満たしたうえで条件3のシチュエーションが発生することでスキル『発情』が発動する

スキル『発情』で発情した相手は10分間の間発情し続け、自分の意思に反して相手に行為を迫るようになる。以降対象が使用者に対して性的興奮を感じやすくなる。

 

→

 

スキル『発情』発動条件(熟練度4)

条件1 対象と連絡先を交換している

条件2 対象の好感度が40を超えている

条件3 対象の両者が意識のある状態で5分以上2人きりになる

 

特別条件

スキル保持者が対象にセックスをしたいという感情を2人きりの状態で抱いた場合、条件1、2、3を無視して発動させることができる。

 

条件1から条件2を満たしたうえで条件3のシチュエーションが発生する、または特別条件を満たすことでスキル『発情』が発動する

スキル『発情』で発情した相手は10分間の間発情し続け、自分の意思に反して相手に行為を迫るようになる。以降対象が使用者に対して性的興奮を感じやすくなる。

 

 

 

スキル『絶倫』

スキル保有者の性欲が極大的に上昇する。

 

スキル『絶倫』(熟練度2)

スキル保有者の性欲が極大的に上昇する。

一日に二回以上セックスしなければ自分に『発情』の効果が付与される。

 

スキル『絶倫』(熟練度3)

スキル保有者の性欲が極大的に上昇する。

一日に二回以上セックスしなければ自分に『発情』の効果が付与される。(二回はそれぞれ別人である必要がある)




小橋さんのビジュアルが実は結構刺さってて好きです。
4.5巻の小橋が可愛いからみんな2年生編を読もう。
そしてよう実12巻の発売が迫っているのでしばらく更新できないと思います。
まじで龍園さんだけは生き残ってくれ頼む。

単純に出番を増やして欲しいキャラクター候補

  • 綾小路清隆
  • 堀北鈴音
  • 櫛田桔梗
  • 松下千秋
  • 森寧々
  • 佐倉愛里
  • 長谷部波瑠加
  • 平田洋介
  • 龍園翔
  • 石崎大地
  • 山田アルベルト
  • 伊吹澪
  • 椎名ひより
  • 一之瀬帆波
  • 白波千尋
  • 神崎隆二
  • 葛城康平
  • 坂柳有栖
  • 橋本正義
  • ブラックルーム最高傑作山内春樹
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