※この作品はR-18です。

ようこそ発情スキルの教室へ   作:ソフロス

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まだ何もありません。
主人公に原作知識がない設定なので、ゆっくりと進行していきますのでよろしくお願いします。


第1話 配属されたクラス

 

気づくと俺はバスに揺られながら知らない景色を眺めていた。

手のひらをグーパーと閉じたり開いたりさせて、生を実感する。

どうやら本当に転生したようだ。

だが、顔はどうなってるんだろうか。

転生したということは当然親も変わっているはずだ。

だとしたら自分の顔はいったい…

 

そんなことを気にしていると、バスの真ん中の辺りから1人の女性がなにかを言っているのが聞こえてきた。

 

「そ、それが目上の人に対する態度!?」

 

OL風の女性がお婆さんに席を譲るように、金髪の男に呼び掛けたがそれに応じない金髪の男にOL風の女性は苛立ちを覚えたような表情を浮かべていた。

 

「目上?君や老婆が私よりも長い人生を送っていることは一目瞭然だ。疑問の余地もない。だが、目上とは立場が上の人間を指して言うのだよ。それに君にも問題がある。年の差があるにしても、生意気極まりない実にふてぶてしい態度ではないか」

 

「なっ…あなた高校生でしょう?!大人の言うことを素直に聞きなさい!」

 

OL風の女性と金髪の男子生徒がバスの席の取り合いについて言い争っていた。

もし俺が席に座っていたのなら、代わりに譲ってやったのだがあいにく俺も立っている。

 

まったく、誰かおばあちゃんに席譲ってやれよ。

そう思っていると

 

「私も、お姉さんの言う通りだと思うな」

 

金髪の男子と同じ制服を着た女子生徒がOL風の女性に賛同する形で話に入ってきた。

そしてその女子生徒も金髪の男子生徒に説得を試みたが、無念にも金髪の男子生徒には思いは届かなかった。

 

「どなたかお婆さんに席を譲ってあげて貰えないでしょうか?」

 

それでも女子生徒はお婆さんに誰かが席を譲ってくれないか周りに声をかけた。

そして程なくして席に座っていた1人の女性が立ち上がり、席を譲ったことで一件落着となった。

 

それからしばらくしてバスは俺たちの目的地に着いたようで、生徒たちが皆揃ってバスから降り始めた。

俺は途中から気づいたのだが、どうやらあの金髪の少年やバスで席を譲るように呼びかけた女子と自分も制服が同じだったのだ。

 

バスから降りると大きな門が俺たち生徒を迎え入れるようにそびえ立っていた。

東京都高度育成高等学校。どうやらそれがこの学校の名前のようだ。

高度育成、なんだかかなり堅物な名前だが…少し緊張するな。

だが俺は前世で高校の学習範囲は網羅しているから、勉強面に関してはあまり心配することはないだろう。

 

しかしびっくりした。転生と聞いていたからてっきり赤子からスタートだと思っていたが、早速高校生か。

まあ、行動に制限のある赤子から人生を始めたらかなり大変そうだしな。

あの神を名乗る幼女が俺の人生を娯楽として楽しんでいるのなら、そこら辺をスキップするのも頷ける。

 

「考えるだけ無駄か…」

 

俺は門をくぐり、高度育成高等学校へと足を踏み入れた。

そしてこの時、俺は重大な情報を知らないことに気がついた。

 

「俺の名前はなんだ?」

 

よく考えたら、自分の名前を知らない。

そしてこれから向かうべき場所もわからない。

 

「ど、どうすればいいんだ!」

 

俺はとりあえず、服のポケットや鞄を漁ってみた。

なにか学校の資料はないのか?

俺が鞄の中を不審者のように慌てて漁っていると、後ろから誰かに不思議そうに声をかけられた。

 

「どうしたの、こんな道の真ん中で?」

「え、ええっ?」

 

周りをよく見渡すと、道行く生徒がみな道のど真ん中で鞄を物色する怪しい人間を見つめていた。

 

「う、うわっ!ご、ごめん!」

 

俺は慌てて紙を集めて道の端に避ける。

すると声をかけてきた少女が、俺の方に再び近寄ってきた。

 

「なにか困ってるみたいだけどどうしたの?もし私に力になれることがあったらなんでも言ってね」

明るく包み込むように彼女は俺に寄り添った。

「いや…実はその…」

 

俺は自分がこれから行くべき場所がわからないことを彼女に伝えた。

彼女曰わくどうやら、事前に学校側に指定されたクラスの教室に向かうそうだ。

俺の鞄の中に入っていた紙には『Dクラス』と書かれていて、俺は彼女に案内されて『Dクラス』の教室になんとか辿り着くことができた。

 

「ありがとう、ここまで連れてきてもらっちゃって」

「いいよいいよ、困った時はお互いさまだからね!そうだ、自己紹介まだだったね!

 

私の名前は一之瀬帆波、『Bクラス』だからクラスは2つとなりだね。君の名前は?」

 

「俺の名前は上條遥。クラスは違うみたいだけど同じ学年みたいだし、これからよろしく!今日は助けてくれてありがとう。本当に助かったよ」

 

さっき鞄を漁っていた時に見つけた紙にクラスや学籍番号と同じく自分の氏名も書いてあって助かった。

危うく、自分の名前もわからない記憶喪失キャラで3年を過ごすことになるところだった。

 

俺は一之瀬さんに感謝をして、自分のクラスの教室へと足を踏み入れた。

 

「お、おはようございま…」

 

人は第一印象からとはよく言うものだ。だからこそ俺は元気よく最初の挨拶をしようと思ったのだが、教室ではすでに隣の席との自己紹介なんかが始まっていて俺の第一声が届くことはなかった。

 

か、完全に出遅れた。どうしよう、せっかく転生して高校生活ぼっちは嫌だ!

俺は恥ずかしくなってそろりと自分の席についた。

 

ちらりと隣に目線を向けると、茶髪ロングの美人がいた。

おお、可愛い。というか美人だ。高校生にしてはかなり落ち着いたように見える。お姉さん系と言えばいいんだろうか。なんだか大人の魅力を感じるな。

 

「なに、どうかしたの?」

 

綺麗な蒼い瞳が俺の目を捕らえる。

ほんの少し横目で見ただけのつもりだったが、それに気づいた彼女は俺に声をかけてきた。

 

「い、いやその…隣の席の人が誰かなって…自己紹介とかしたいなーと」

「そっか、私は松下千秋。得意科目は一応数学かな?これから1年よろしくね!」

「お、俺は上條遥。得意科目は強いて言えば現代文かな。好きな食べ物…とかはいいか。これからよろしく」

 

緊張して全然話せなかった。俺ってこんなにコミュニケーション苦手だったか?

そういえば俺の『好感度上昇』ってスキルは発動しているのだろうか。

 

スキルの効果内容は読んで字の如く、相手からの興味や信頼感を底上げしてくれるというとんでもスキルなのだが。今のところ目立った様子はないが本当に機能してるのだろうか。

 

それに『発情』についてもよくわからないままだ。

特定の条件で発動するらしいが、いったいどうすればいいんだ?

そういうえっちなことについても興味はあるけど、条件がわからない以上むやみに使うのは危険すぎる。

こんな教室でいきなり発情なんてさせたら、発情した相手は入学早々に破滅エンドだ。

 

「どうしたの?すごい真剣な顔でこっちを見てるけど。私の顔になんかついてる?」

「え、あ。いや、なんでもない!」

 

不思議そうに俺の視界で手を上下させる松下さん。

そんな松下さんを見て、俺は卑猥な妄想をしてしまった。

この美人でかわいい松下さんとえっちなこととかできてしまうのだろうか。考えただけで下の方に力が入ってしまう。

 

俺はバレないように黒板の方に身体を向けた。松下さんといつかやってみたい。俺はその気持ちを静かに抑えるのだった。

それから数分後、チャイムが鳴ってすぐにスーツ姿の女性が教室へと入ってくる。

 

「えー新入生諸君。私はDクラスを担当することになった茶柱佐枝だ」

 

それから衝撃の事実を打ち明けられた。

俺たちはこの三年間学校の敷地内の寮で生活するということ。(これはむしろ嬉しい)

 

特例を除き、肉親を含めた外部との連絡が一切取れないこと。

学校の許可なく学校の敷地内からは出られないこと。

学生証カードの存在。

学生証カードにはポイントというものがあり、そのポイントは1ポイントにつき1円の価値があるということ。

それを使って、クレジットカードのように商品を買うことができること。

 

毎月1日に学校側からポイントが振り込まれること。

そして入学した際に生徒全員に10万ポイントが振り込まれたということ。

これにはクラス全体が驚きの反応を見せた。

高校生に10万ポイントつまり10万円が振り込まれたことになる。

普通の高校生が持っていい金額をはるかに超えている。これを国の運営する学校が簡単に支給していいのだろうか?

 

1クラスあたり約40人、それが4クラスあるらしい。

つまりそれだけで160万円相当の税金を使っていることになる。

今後毎月どのくらいのポイントが振り込まれるのかはわからないが、これは税金がえ

らいことになっているに違いない。

 

ホームルームが終わるやいなや、クラス全体は10万ポイントの使い道について各々話し始めている。

この学校にはショッピングセンターなんかもあるらしいから、帰りに少し寄ってみるのもいいかもしれない。

そんなことを考えていると、1人の男子が手を挙げクラス全体に呼びかけた。

 

「僕らは今日から同じクラスで過ごすことになる。だから今から自発的に自己紹介を行って、一日も早く皆が友達になれたらと思うんだ」

 

これはクラスの代表感が凄まじい。俺は前世では図書委員をやっていたから、あまり表立ったことはしてこなかったから、こういう存在が眩しい。

クラスに1人はいる有能。たすかる!ありがとう!

 

「僕の名前は平田洋介」

 

自己紹介を提案してくれたイケメン。平田洋介くんから自己紹介はスタートしていった。

 

そこから井の頭さん、山内くん、櫛田さんと自己紹介は順調に進んでいった。

しかし、途中で須藤くんという赤髪の男子がそれに反発して怒鳴って教室を出て行った。

見た目はなんというか不良に近い感じで、若干の近寄りづらさを感じる。

それに続くように、また1人と教室を後にしていく。

 

イケメン平田くんの素晴らしい提案が届かない人間もそう少なくなかった。

高校の最初といえば自己紹介というイメージがあったけど、それは前世の俺の高校だけだったのか?

そこからは池くん、高円寺くん、綾小路くんと自己紹介は進行していった。

 

「じゃあ、次の人ーーー」

 

ついに俺の番が回ってきた。よし、今度こそ!

 

「えっと、僕の…名前は上條遥です。得意科目は現代文です。皆とたくさん仲良くしたいです!頑張ります。仲良くしてください、よろしくお願いします」

 

あー、ダメだ。これは完全に失敗した。さっき松下さんとの自己紹介で使った得意科目デッキに加えて、自分の前に話していた綾小路くんの自己紹介を真似してみたけど見事に失敗してしまった。

 

「これからよろしくね上條くん!」

 

平田くんありがとう、私には君が菩薩に見えるよ。ちなみもちろんこれは褒めてる。

「ねえ、私と自己紹介した時は一人称『俺』って言ってなかった?」

 

隣から松下さんが小声で俺の耳に囁いた。

 

「ほえっ!」

「いや、そんなにびっくりしなくてもいいでしょ」

 

松下さんは俺の様子を見てくすくすと小さく笑っている。

 

「その、さっきはなんか緊張しちゃって。それでとっさに僕って…」

「そんな調子じゃ友達できないよ?皆と仲良くなりたいって目標頑張ってね」

 

なんだかすごく恥ずかしい。その優しい眼差しでこちらを見ないで!

そして一通りの自己紹介を終えた後に入学式が行われ、お昼前に解散となった。

ほとんどの生徒はここで寮へと帰宅し、クラスでも早速グループができはじめて早くもショッピングセンターへと向かう生徒も現れた。

俺が周りをきょろきょろと見回していると、またしても松下さんが俺に優しく話しかけてきた。

 

「皆と仲良くなりたい上條くんはこれからどうするの?」

「え、ああ…俺はこれからショッピングセンターにでも行こうかなーなんて…はは」

「へえー、ナンパでもするの?」

「俺にそんなことできるように見えます?」

「うーん、ちょっと無理か」

 

いや自分で聞いといてなんだけど、少し傷ついた。少しね。

ナンパか、さすがにまだその度胸はないけどスキルについても気になるし早めにいろんな人と交流を持つに越したことはないだろう。

 

「松下さんはこれからご予定は?」

「え、ナンパ?」

「違うよ!」

 

俺は食い気味で否定した。

 

「まあそうだなー、一旦寮に戻ってそれからコンビニとかで日用品を揃えようかな」

 

なるほど、確かに転生した瞬間バスの中だったから正直寮についてまったくわからないし俺もひとまず寮に戻るか。

 

「やっぱり俺も一旦寮に戻ろうかな。実は寮のこと全然知らなくて」

「えー、ちゃんと資料とか読んでないの?」

「恥ずかしながら…」

 

ということで俺は寮に戻ることにした。

松下さんについていこうとも思ったけど、さすがに一日中絡んだりしたらうざがられそうだからやめておいた。

 

「あ、あれは…」

 

学校から寮への道の途中、同じクラスの綾小路くんらしき人を見かけた。

自己紹介の時は勝手にインスパイアさせてもらったけど、なんだか俺と同じくまだあまり周りとは馴染んでいなさそうだしこれはチャンスかもしれない。

 

綾小路くんは男の子だし、きっと女子よりはハードルも低いはず。

俺は何食わぬ顔で、綾小路くんと同じルートを辿った。

どうやらまっすぐ寮に戻るのではなくコンビニに寄るらしい。

綾小路くんは先にコンビニに入り、俺も少し時間を置いてコンビニへ入店した。

 

「あれ?」

 

コンビニに入って真っ先に綾小路くんの居場所を確認すると、そこには楽しそうに?話す綾小路くんと女子の姿があった。

そんな、綾小路くん…早くも女子と仲良く談笑しているなんて。

俺は勝手に同族だと思っていたが、どうやら違ったようだ。

 

「これ、凄いサイズだな。Gカップって」

「綾小路くん。今くだらないことを考えなかった?」

「……考えてないぞ?」

 

どうやらカップ麺の話で盛り上がっているようだ。

あれは陽の会話だ。きっとそうに違いない。

 

「なあ。これ、どういうことだろうな?」

 

綾小路くんはコンビニの隅に置かれた生活用品や食料品を見て呟いた。

 

「無料?」

 

隣にいる女子も不思議そうに商品を手に取る。

歯ブラシや絆創膏なんかも無料と書かれたワゴンの中に詰められている。

初日から10万ものポイントをもらったのにも関わらず、無料の商品も置いてあるのか。

1か月3点までという制限はあるらしいが、ずいぶんと優しい価格設定だ。

粗悪品というわけでもないだろうに、いったいどうして無料の商品があるのだろうか。

 

「ところでさっきから視線を感じるのだけど」

 

突然綾小路くんの隣にいた女子から鋭い視線を向けられる。

 

「うっ…」

 

俺は反射的に視線をそらすが、それもまったくの無駄でどうやら最初から綾小路くんたちの会話に聞き耳を立てているのがバレていたようだ。

 

「たしか、上條…だったか?」

「え、あ…うん!名前、覚えてくれたんだ」

 

まさか自己紹介の時に名前を覚えられていたとは思っていなかったから、少しときめいてしまった。

 

「綾小路くん、この子と知り合いだったのね?」

「いや、さっきの自己紹介で名前を知っただけで直接話すのは初めてだ」

「なら、この子はあなたのストーカーなのかしら?」

 

いや風評被害!でも、たしかに寮への帰り道で綾小路くんを見つけて追ってきたのは事実で…

俺は綾小路くんをストーキングしていた?!

 

「そう…なのか?」

「いや。そのですね…」

 

俺はことの経緯を手短に2人に話した。

手短に話した理由は綾小路くんの隣にいた女子の目が怖かったからである。

 

「綾小路くん、よかったわね。初めての友達ができて」

「堀北、お前は俺の友達では…」

「そんなわけないでしょう」

 

食い気味で否定される綾小路くんが不憫で仕方ないが、正直少し安心した。綾小路くんもまだ友達は作っていないらしい。

 

「ね、ねえ綾小路くん!よかったら連絡先とか交換しない?」

 

俺は勇気を出して綾小路くんに連絡先を聞いてみることにした。

すると返事はYES。綾小路くんは快く連絡先を交換してくれた。

 

「ありがとう、綾小路くん!この学校で初めて連絡先を交換できたよ」

「俺もだ。これからよろしくな上條」

 

やったー!初めての連絡先交換!それに綾小路くんも初めてって言ってたし、なんだか嬉しいな。

 

「友達になった祝いに紹介すると、この孤独な毒舌少女は堀北だ。俺の隣人で…」

 

綾小路くんが隣にいた少女、堀北さんについて説明し始めると堀北さんからまるでこれ以上話したら…といったようなものすごい覇気が俺たちに向けて放たれた。

 

「ほ、堀北さんもよろしく…」

 

弱々しく堀北さんに向けてボソッと言うと

 

「綾小路くんにはすでに言ったけれど、私は友人を作ろうとは思っていないわ」

「あ、はい」

 

俺は静かにそう頷くしかなかった。

そしてすぐにその静寂を破るように店内に大きな声が響き渡った。

 

「っせえな、ちょっと待てよ!今探してんだよ!」

 

どうやら会計で揉め事が起こっているらしい。

会計の店員と同じクラスの赤髪の生徒須藤くんが睨みを利かせている。

 

「何かあったのか?」

「あ?なんだお前」

「あ、綾小路くん?!」

 

揉める須藤くんと店員の前に綾小路くんが歩み寄る。

まさか綾小路くんが揉め事の仲裁に入るとは思わず、驚きの声をあげてしまった。

 

「同じクラスの綾小路だ。困ってそうだから声をかけたんだ」

「ああ…そういやなんとなく見覚えがあんな。学生証忘れたんだよ。これからはあれ

が金の代わりになることを忘れてたんだ」

 

須藤くんは手に握りしめたカップ麺を持ちながら綾小路くんに説明した。

 

「良ければ立て替えるぞ?」

 

や、優しい!綾小路くん、困ってるクラスメイトのために代金を立て替えてあげるなんて。

とっさにその判断は俺にはできないよ、綾小路くんは勇敢だな。

 

「……俺は須藤だ。ここはお前の世話になることにするぜ」

「よろしくな、須藤」

 

綾小路くんが早くも交友関係を広げている。す、すごい。俺も見習わなくては。

俺が感心している間に綾小路くんと堀北さんは買い物を済ませ、綾小路くんは購入したカップ麺にお湯を入れていた。

俺は綾小路くんたちと一緒にコンビニの外に出て、綾小路くんは外で待っていた須藤くんにカップ麺を手渡した。

 

「まさかここで食べるのか?」

「当たり前だろ。ここで食うのが世間一般の常識だ」

 

いや、そんなわけがないだろ。

綾小路くんは困惑した様子を見せ、堀北さんは呆れたようなため息をついた。

 

「私は帰るわ。こんなところで品位を落としたくないし」

「何が品位だよ。高校生だったら普通だろうが。それとも良いところのお嬢様ってか?」

 

おいおい堀北さんに喧嘩を売るのはやめとけ。と内心では思っているが声には出せない俺。

堀北さんは須藤くんの言葉に聞く耳を立てず目線すらも合わない。

 

「あぁー?人の話聞けよ。おい!」

「彼どうしたの。急に怒り出して」

 

堀北さんは須藤くんではなく綾小路くんに聞く。

それに腹を立てた須藤くんが掴みかかる勢いで吠える。

 

「こっち向けよ!ぶっ飛ばすぞ!」

「ま、まあまあ2人とも落ち着いて。堀北さんも人と話す時は目と目を合わせ…」

「お前は黙ってろ!」

 

須藤くんからお叱りの声をいただきました。

やっぱりちょっと怖い!これに動じない堀北さんってすごいな。

 

「堀北の態度が悪かったのは認めるよ。でも、お前もちょっと怒りすぎだ」

「ああ?んだと?こいつの態度が生意気なのが悪いんだろうが、女のくせによ!」

「女のくせに。時代錯誤も良いところね。彼とは友達にならないことをお勧めするわ」

 

そう言って、堀北さんは須藤くんと会話することなく背を向けた。

 

「待てよオイ!クソ女!」

「落ち着けって」

 

掴みかかろうとする須藤くんを慌てて綾小路くんが制止する。

俺も一応須藤くんを止めるように前を塞ぐ。

 

「何なんだよあいつは!」

 

堀北さんと須藤くんはこれからも険悪なムードが続きそうだ。

 

「おい、お前ら一年か?そこは俺らの場所だぞ」

コンビニから出てきた3人組の男子が突然俺たちに話しかけてきた。

「んだお前ら。ここは俺が先に使ってんだよ。邪魔だから失せろ」

「聞いたか?失せろだってよ。こりゃまた随分と生意気な一年が入ってきたもんだ」

「一年だからって舐めてんじゃねえ、なあ!?」

 

須藤くんの怒りが沸点に達して今にも殴りかかろうとしている。

やばい、止めに入らないと!

 

「おー怖い。お前クラスは何だよ。なんてな。当ててやろうか?Dクラスだろ?」

「だったらなんだってんだ!」

「聞いたか?Dクラスだってよ。やっぱりな!」

 

やっぱり、どういうことだ?

 

「可哀想なお前ら『不良品』に今日だけはここを譲ってやるよ。行こうぜ」

「逃げんのかオラ!」

「吠えてろ吠えてろ。どうせすぐ、お前らは地獄を見るんだからよ」

 

上級生たちはなにやら意味深なことを言って去っていった。

なにはともあれ、暴力沙汰にならなくてよかった。

担任の茶柱先生も先のホームルームで喧嘩沙汰には厳しい罰則があるとか言ってたし、巻き込まれたら厄介だ。

 

「あークソ女が、女といい2年といい、うぜぇ連中ばっかりだぜ」

 

須藤くんはポケットに手を入れて帰っていった。

俺が須藤くんのもといた場所を見るとカップ麺の具材が散らばっている。

おそらく上級生に噛みついた時に勢いでカップ麺を地面に落としたのだろう。

 

「ちょ、ちょっと須藤くん!カップ麺の具が!」

 

そんな俺の言葉はまったく届かず、無視しているのか聞こえていないだけなのか須藤くんはどんどん遠ざかっていく。

 

「後で問題になる可能性あり、か」

 

綾小路くんはコンビニの外壁の上側を見てそう呟いた。

 

「か、監視カメラ!」

 

俺と綾小路くんは須藤くんが散らかしたカップ麺の具材を集め処分した。

 

「悪いな、手伝わせて」

「いやいや元はと言えば須藤くんが散らかしたものだから。それに綾小路くん1人にやらせるなんてそんなことできないよ」

 

なんだかんだ友達と一緒にゴミ拾いというのも悪くない。

というか正直楽しい、転生初日から友達ができるなんて我ながらついてる。

 

「それにしても地獄を見るってどういうことだろう?」

「さあ、どういうことだろうな?」

 

綾小路くんもわからないと言った風に首を傾げた。

可哀想なお前ら、『不良品』いったいどういう意味だったのだろうか。

気になることはまだまだあるが、いちいち考えていても仕方がないか。

散らかったものの片付けを終えた俺と綾小路くんは流れで一緒に寮に向かうことにした。

 

寮のフロントで管理人さんからカードキーと寮のマニュアルを受け取り、一緒にエレベーターに乗り込んだ。

 

「綾小路くんは何階?」

「オレは4階だ。上條は?」

「俺は3階だよ。でもそっか、一緒の階だったらよかったのになぁ」

 

友達が同じ階だったら心強かったのにな、少し残念。

俺は3階で綾小路くんと別れて自分の部屋へと向かった。

カードキーで部屋のロックを開けると、そこには八畳ほどのワンルームが広がっていた。

 

前世では実家からだったから新鮮だな。初めての1人暮らし頑張るぞ!

マニュアルをよく読んでみると、電気代やガス代は手持ちから支出されないらしい。

これだけポイントを貰っているのだからてっきり光熱費は自分で払うものだと思っていた。

なんだか生徒にすごくあまい学校だな。

 

「しかし、光熱費が浮くなら自炊した方が圧倒的にコスパがいいな。初めての1人暮

らしだし、最初はどれくらい節約できるかチャレンジしてみよう!」

 

そう意気込んで俺は早速スーパーへ出向くため、ショッピングモールへと向かうのだった。

今日の晩御飯をなににしようか思案しながらショッピングモールに向かっていると、見覚えのある人影を見つけた。

 

「あっ!」

「あれ、上條くん?もしかして買い物」

 

隣の席の松下さんだ。手にはビニール袋をぶら下げている。

俺と同じく晩御飯用になにか買ってきたのだろうか。

 

「俺は今週分の食材を買おうかなって」

「上條くんもしかして自炊するの?」

 

俺が静かに頷くと意外そうにこちらを見てきた。

 

「別に男でも自炊くらいするよ?それなりに料理はできるし」

 

前世では高校のお弁当は自分で作っていたし今回もそうするつもりだ。

だからそれなりに料理はできるはずだ。

 

「意外と家庭的なんだ」

 

松下さんは静かにつぶやいて俺の前を通りすぎる。

そして俺と松下さんの距離が3mと離れたころに俺の方に振り向いて言った。

 

「また明日ね、上條くん」

 

え、なに。かわいい。それヒロインのやるやつじゃない?

俺は内心すごくドキドキしていたが、それを隠すようにそそくさと足早でショッピングモールへと向かうのだった。

 

 

 

補足

 

松下千秋(NEW)

好感度 0→25

評価 周りの人間よりも興味を持たれています。このまま交流を続ければ隙を見せるでしょう。

 

綾小路清隆(NEW)

好感度 0→15

評価 最初の友達として興味を持たれています。しかし、友達以上になることは容易ではありません。

 

堀北鈴音(NEW)

好感度 0→1

評価 そもそも興味を持たれていません。いちおう名前を覚えられました。よかったですね。

 

須藤健(NEW)

好感度 0→5

評価 あまり興味を持たれていません。ですがマイナス的なイメージは持たれていないので元気を出してください。

 

平田洋介(NEW)

好感度 0→10

評価 一言しか話していませんが、平田くんは優しいですね。元気を出してください。

 

茶柱佐枝(NEW)

好感度 0→0

評価 そもそも接触がほぼ皆無です。

 

一之瀬帆波(NEW)

好感度 0→10

評価 初日から印象づけることには成功しています。これからいいイメージを与えるようにしましょう。

 

 

 

スキル『発情』発動条件

条件1 対象と連絡先を交換している

条件2 対象に触れられた回数と触れた回数の合計が5回以上

条件3 対象の好感度が50を超えている

条件4 対象と室内で2人きりになる

条件5 対象の手を握る

 

条件1から条件4を満たしたうえで条件5を行うことでスキル『発情』が発動する

スキル『発情』で発情した相手は30分間の間発情し続ける。




文章を書くのがめちゃめちゃ遅いです
基本的に週に1話くらいで投稿していく予定です(願望)
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