※この作品はR-18です。

ようこそ発情スキルの教室へ   作:ソフロス

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本当に長らくお待たせしました。
ずっと投稿したい気持ちはあったのですが、遅くなってしまい申し訳ありません。

少し自分の話になってしまうのですが、大学の研究室が忙しく、まとまった時間を取ることができませんでした。
ですが春休みに入り、ようやく投稿することができました。

せっかくの休みなので更新ペースを上げたいと思ってはいるのですが、どこまでできるかはまだはっきりしていません。本当にごめんなさい。

今回は試験に関する説明が多く、少し退屈に感じるかもしれません。
ですが次回からは新しい人間関係なども描いていきたいと考えていますので、どうかご容赦ください。


第23話 船上試験開幕(松下千秋)

 

1

 

ゆっくりとベッドから身体を起こす。

 

……この能力を、活かす。

綾小路くんには従わざるを得ない状況で、能力を使わないという選択肢はない。

逆らう理由があるわけじゃない。

でも、綾小路くんに弱みを握られているこの状況は、やっぱりあまり好ましいとは思えなかった。

 

だが今はまだ、動く時じゃない。

綾小路くんに俺は敵わないし、様子を見るべきだ。

 

でも、昨日のこともあるし。

まずは千秋さんに会っておくべきだろう。

 

俺はスマホを取り出し、千秋さんにメッセージを送った。

 

綾小路くんからは、能力のことは話すなと釘を刺されている。

一之瀬さんに話してしまったことは、もうどうしようもないとして今後、無闇に誰かに能力の話をするのは、確かに愚策だ。

 

武器は、隠すからこそ武器になる。

それに、このスキルは普通の人間には持ち得ないものだ。

話しても、周囲の混乱を招くだけだ。

綾小路くんが警戒しているのは、多分そこだろう。

 

俺は、千秋さんとラウンジで待ち合わせることにして、先にそこへ向かった。

そしてしばらくして、千秋さんの姿が見えた。

 

「あ、遥……」

 

ラウンジの出入口で俺を見つけた千秋さんは、周囲を軽く見回してから、少し安心したように歩み寄ってくる。

 

「昨日は……ごめんなさい。体調が、あまり良くなくて……」

「ううん。無人島の試験、大変だったからね。疲れが後からくるのも、無理ないよ」

 

千秋さんは、そっと俺の顔を覗き込むように見てから、そっと手を握ってきた。

 

「もう、体調は大丈夫なの?」

「……はい。一度しっかり寝たら、かなり回復しました」

「そっか。なら、よかった……」

 

温かい手。

俺は黙って千秋さんの手を握り返す。

 

たとえこの関係がスキルの上に成り立ったものだとしても。

もう、それを否定はしない。

この世界では、このスキルを含めて俺だ。

 

「千秋さん……どんなことがあっても、俺にとって一番は千秋さんです」

「きゅ、急にどうしたの? ちょっと恥ずかしいんだけど……」

「……だから、俺を信じてほしいんです」

「……どういうこと?話が、ちょっと見えてこないんだけど……」

 

詳しいことは、まだ言えない。

でも、いつか必ず全部話す。

だから今はただ、信じてほしい。

 

「千秋さんが大好きです」

「……バカ。そう言われても、わかんないよ」

「だから、今日は一緒にいたいです」

「……なんか今日の遥、ちょっと変だよ?」

 

そう言いつつも、千秋さんはふっと笑った。

満更でもなさそうな、やわらかい表情だった。

 

そのまま、俺たちは船内で水着をレンタルして、プールへと足を運んだ。

 

開放的な空間には、生徒たちの笑い声が響き渡っている。

男女問わず、多くの生徒たちで賑わっていた。

 

「……Dクラスの生徒も、けっこういるね」

 

池くんに山内くん。

篠原さん、佐藤さん。櫛田さんや(ワン)さんの姿もある。

ざっと見ただけでも、かなりの人数が集まっているようだった。

 

「……カップルも、少しはいるみたいだね」

 

千秋さんが、プールの中で楽しそうに笑い合う男女を見ながらぽつりと呟いた。

Dクラスの中には、明らかに付き合っているようなペアは平田くんと軽井沢さん以外はいないようだけど、他のクラスの生徒を見ると、それらしき雰囲気のグループがちらほら目につく。

 

「あんまり、周りを見渡してる人もいないですし……」

 

俺がそっと手を伸ばすと、ちょうど真ん中あたりで千秋さんの手とぶつかった。

互いにびくりとして、思わず顔を見合わせる。

 

「ふふっ……考えること、同じだったみたいですね」

「……うん、そうみたい」

 

千秋さんはくすっと笑い、俺の手を握ったままゆっくりとプールに足を踏み入れる。

水は思ったより冷たくて、肌に心地よい刺激を与える。

 

プールはそれほど深くはないが、千秋さんは背伸びをするようにして、少しだけつま先立ちになっていた。

 

「大丈夫ですか、千秋さん?」

「うん、大丈夫……。でも、手は――離さないでね」

 

上目遣いでそう言われて、胸の奥がずきりと疼く。

近くで見る千秋さんは、やっぱり可愛くて。

ふわっと香る髪の匂い。手の温もり。

そして、それを引き立てるプールの冷たさ。

 

ベッドで感じる温もりとはまた違う、人前で触れる肌の感覚。

それは、どこか少し罪悪感すら覚えるほどに、生々しくて暖かい。

 

「どうしたの? ぼーっとしてない?」

「あっ、ごめんなさい。ちょっと、ドキドキしちゃって……」

「……もしかして――えっちなこととか、考えてないよね?」

 

その一言に、思わず心臓が跳ねた。

いや、考えていたわけじゃない。

だけど、そう言われると……ちょっと意識してしまう。

 

「ば、バカ……」

「うぅ……ごめんなさい……」

 

俺の下半身がわずかに反応したのは、千秋さんに筒抜けだった。

千秋さんはくすっと笑い、俺の背中にそっと手を回す。

それから優しく、ゆっくりと胸を押し付けてきた。

 

「っ……」

 

千秋さんの表情はよく見えないが、何を意図したものかはすぐに分かった。

 

「私も……ドキドキしてるから」

 

大きな音が、直接心に響くように聞こえてくる。

その音は、俺のものか千秋さんのものなのかは分からない。

それくらいに、互いに胸を高鳴らせていた。

 

「遥……」

「千秋さん……こ、ここはまずいですよ」

「わかってる……後でまたあそこで、ね?」

 

俺の背中から手を離して、千秋さんは少しだけ距離を取った。

でも、頬はほんのりと赤く染まっている。

 

「じゃあ、あっちでお昼でも食べよっか?」

「そ、そうしましょう!」

 

幸い、生徒たちは俺たちの細かい動きなんて気にしていないようだった。

笑い声があちこちから響く中で、俺と千秋さんは並んでプールサイドに上がる。

 

「ふぅ、やっぱりちょっと冷たかったね」

「そうですね。でも、すごく楽しかったです……千秋さんと来れて、良かったです」

 

そう言ってお互い微笑み合う。

千秋さんの表情は、どこか安心したようで。

その笑顔を見ただけで、さっきまで胸の奥にあったモヤモヤが少しだけ晴れた気がした。

 

「ねえ、あそこで食べようよ。ちょうど空いてるみたい」

 

千秋さんが指差したのは、屋根のある小さなカフェテーブル。

日陰になっていて、見晴らしもいい。

俺たちは水気を軽く拭ってから、タオルを肩に掛けてテーブルに向かった。

 

テーブルに腰かけ、2人で買ってきた軽食を並べる。

ホットドッグとポテト、それにペットボトルのジュース。

特別豪華なわけじゃないけど、千秋さんと一緒に食べるだけで、特別に感じられた。

 

「いただきます」

 

同時に手を合わせて、軽く笑い合う。

そんな俺たちの横を、ちょうどプールから上がった池くんと山内くんが通りかかった。

 

「お、よう上條……って、なんで女子と一緒に飯食ってんだよ!?裏切りやがったなテメェ!」

 

山内くんが、千秋さんと向かい合って食事をしている俺を見つけて、勢いよく詰め寄ってくる。

 

「松下さんとは、席が隣だからね」

 

俺は笑顔で軽くかわす。

わざわざ山内くんに、俺と千秋さんが交際してるなんて話す義理はない。

そもそも夏休み明けに、自然な形で周囲に伝えようと千秋さんとも話し合っていたし、こんなところで口の軽い山内くんに話すのは最悪だ。

 

「でもさー、お前ら、なんか雰囲気いいよな。ちょっと羨ましいぞ、上條」

 

池くんも俺たちの様子に興味津々といった顔で、俺と千秋さんを交互に見ている。

 

「まあ俺の本命は松下なんかよりも佐倉だな。あの……おっきい胸を……ぐふふ……」

 

山内くんは千秋さんが目の前にいるというのに、聞くに堪えない下品な発言を口にする。

 

それを見た千秋さんは、明らかにドン引きしていた。

その目はまるで、ドブネズミでも見たかのようだった。

 

「ま、まあ?上條だけだと男っ気が足りないだろ?俺たちも一緒に混ざってやるよ!」

 

鼻息を荒くしながら、山内くんは近くのイスを引きずってきてテーブルに近づける。

……正直、できればこのまま2人で食事をしたかったのだが、どうにも帰ってくれる気配はない。

 

すると――

 

「あれ~?松下さんに上條くん?それに池くんと山内くんまで……みんなでランチ?」

 

聞き覚えのある明るい声がして、顔を上げると、櫛田さんがにこやかにこちらに歩いてきた。

その後ろには、(ワン)さん、森さん、篠原さん、佐藤さん、前園さんの姿も見える。

 

「おっ、櫛田!せっかくだし一緒に食べようぜ!バカンスは男女で楽しむもんだろ!」

「え、桔梗ちゃんも?一緒にどう?」

 

山内くんだけでなく、池くんも食いつくようにして櫛田さんに声をかける。どうやら池くんはまだ櫛田さんに好意を持っているらしい。

佐藤さんたちは池くんや山内くんをそこまで好んでいない様子だったが、櫛田さんの誘導で流れ的に一緒に昼食をとることになった。

 

こうして、俺と千秋さんのささやかな2人の時間は、にぎやかな昼食会へと変わっていく。

 

男女混合のランチになったことで、俺と千秋さんの会話は自然と減っていった。

代わりに櫛田さんを中心に、この前の特別試験の話題や、軽い恋バナが飛び交うようになった。

 

「でも、この前の試験、堀北さんもだけど……上條くんも大活躍だったよね」

 

櫛田さんが微笑みながらそう言って、話を俺に振ってきた。

 

「そうそう。上條くんが食料見つけてくれなかったら、あんなにポイント残せなかったよー」

「うん、クラスのためにいろいろ頑張ってたしね。すごいよ」

 

佐藤さんと篠原さんもその流れに乗って俺を褒めてくれる。

……ただ、2人とも俺と目が合うたびに、どこか気まずそうな表情を見せるのがわかった。

 

まあ、無理もないか。

 

無人島での特別試験中、俺はペナルティ回避のため、2人とも関係を持った。

あれは俺にとっては必要な選択だったとはいえ、佐藤さんと篠原さんとの関係性が変わったのは間違いない。

視線の温度が変わるのは、仕方がない。

 

「でも……私は、上條くんが軽井沢さんの下着を盗んだって聞いたときはびっくりしたな」

 

前園さんがぽつりと呟いた言葉に、空気が一瞬だけぴたりと止まる。

 

「でもそれは、Cクラスの伊吹さんが上條くんを陥れるために仕掛けた罠なんですよね?」

 

(ワン)さんが、少し不安そうに周囲に確認するように言った。

 

「うん、そうみたい。私も詳しくは知らないんだけど、堀北さんと平田くんがそう話してたよ」

 

櫛田さんがフォローを入れてくれる。

櫛田さんなりの配慮だろう。

あの一件の噂は、完全には消えていない。

 

「……可哀想だよね。クラスのために頑張ってたのに、そんなふうに疑われて」

「でも、今はちゃんと……みんなが本当のことを知ってくれてる。だから、俺はそれだけで十分です」

「上條くん……」

 

櫛田さんや他の女子たちから、同情や優しい視線が向けられる。

少しずつだけど、こういうことが俺の信用を取り戻すきっかけになっているのかもしれない。

 

「まあ、でもよぉ?上條も確かに活躍してたけど、俺だって釣りとかして、食料の確保に貢献してるからなぁ」

 

山内くんが得意げな顔で言いながら、ちらちらと周囲の反応を伺う。

俺はその言葉には苦笑いで返し、視線を池くんに向けた。

 

「でも、池くんがアウトドアの知識に詳しくて良かったよね。拠点も、スムーズに見つけられたのは池くんのおかげだし」

「ありがとな上條。俺のこういう経験が活きるとは正直思ってなかったけどよ、役に立てたって思うとなんだか嬉しいな」

 

池くんが嬉しそうに頷く横で、山内くんがおいおいと肩を叩いてくる。

 

「おいおいおいおい!拠点見つけたのは俺もだからな? ちゃんとわかってるか、上條?」

「う、うん。もちろん、忘れてないよ。山内くんはいつも元気だよね」

「お、おぉ?……いや、それ褒めてんのか。お前?」

「でもそうだね。山内くんはともかく、池くんのことちょっと見直したかも。ただのバカじゃないんだなって」

 

前園さんが無人島での池くんのを行動を思い返しながら言葉を漏らす。

周りの女子もそれに賛同するように頷いた。

 

「バカってそれは余計だろ。でも、サンキュー。なんかやる気出てきたわ、2学期から頑張るから見とけよ」

「じゃあさ、池。次のテストで平均点いかなかったら、なんか奢ってよ」

「なんで俺が奢らないといけないんだよ!」

 

そう言いながらも、篠原さんの言葉にどこか嬉しそうに笑っていた。

 

そんなやりとりを見て、なんとなく思う。

前よりも、クラスの距離が縮まった。

たった1度の試験で、誰かの見方を変えて、誰かの居場所を作る。

この昼食だけでも、それを感じることができた。

 

2

 

昼食を終えると、櫛田さんたちと別れて、ようやく千秋さんとふたりきりになれた。

にぎやかな時間も嫌いじゃないけど、やっぱりこうして隣に千秋さんがいるだけで、心が落ち着く。

 

俺たちは再び船内のスパへと向かい、のんびりとした空気のなかで、2人だけの時間を楽しんでいた。

 

「はぁっ……んっ……」

 

俺と千秋さんはベッドに腰かけ、キスをしたまま抱き合っていた。

 

「千秋さんの体温が直接伝わって……っ、我慢ができないです」

 

俺はゆっくりと千秋さんを後ろへ押し倒すようにしながら、倒れこんだ。

それから舌を絡めて、千秋さんの口内を侵していく。

 

「んっ……ちゅっ……はあっ……はあっ……」

 

唇を離すと、俺と千秋さんの間に透明な糸が引く。

 

「もう……遥、激しいよ」

「ご、ごめんなさい。つい……」

「ううん。いいよ……だって私も、激しい方が……好きだから」

 

千秋さんのその言葉で下半身の辺りが熱くなる。

膨らんだそれを見た千秋さんが頬をわずかに赤らめて、目を伏せるようにしているのを見て俺の我慢は限界に達した。

 

「千秋さん……俺、もう!」

 

俺は千秋さんの反応も待たずに、スパッツを下ろす。

そこから、うっすら濡れた千秋さんの大事なところが見える。

 

「そ、そんなに見つめないでよ……恥ずかしいよ」

「千秋さん、もうこんなになって……」

「だって、さっきから人目のつくところで我慢してたから……」

 

俺は千秋さんの言葉を聞いて、ゆっくりとそこへ手を伸ばす。

 

「はあっ……んっ……」

 

くちゅっといやらしい音が鳴る。

 

「だめぇ……そんなにしたら、声出ちゃう」

「心配しなくても、この部屋は貸切なので誰もいないですよ。もっと、声を聞かせてください」

「あぁんっ、でも……恥ずかしいっ!」

 

そう言いながらも、千秋さんは抵抗してこない。

だから俺はそのまま指を奥へと侵入させていく。

 

「あっ……はあっ……!」

「千秋さんのここ、もうぐちょぐちょですよ」

「あっ、だめっ……はあっ……んんっ!」

「でも、千秋さん。すごく気持ちよさそうですよ。指が締め付けられてますっ」

 

俺はそう言ってから、さらに激しく中をかき乱す。

 

「あぁっ!だめぇ……はげしっ、んっ……やぁっ!」

 

千秋さんは体をよじらせて、必死に声を押し殺そうとする。

しかし、快感にこらえきれず、千秋さんの声が少しずつ漏れ始める。

 

「じゃあ、ダメ押しです」

 

俺は自分の顔を、千秋さんのそこへと近づけ、そのまま舌を差し込んだ。

 

「あぁっ!はあっ……は、はるか?!そ、そんなとこっ……んっ」

「んっ……ちゅる……れろっ……」

「はあっ……あっ、やだっ、はあっ……んっ」

「っ、くちゅっ……じゅるっ……」

「あぁっ!だめぇ……はあっ、もっ、もう……イきそうっ!」

「ちゅぷっ……いいですよ。そのままイってください」

 

俺はそう言って、さらに強く刺激する。

 

「あぁっ!だめぇ……はあっ、あっ、い……くぅっ!」

 

千秋さんは大きく体をのけぞらせ、絶頂を迎える。

 

「はぁ……はあっ……」

「気持ちよかったですか?」

「う、うん……でも汚いでしょ?」

「千秋さんが汚いわけないじゃないですか。それに、すごく綺麗でしたよ」

「もう……じゃあ今度は代わりに、私が気持ちよくしてあげるね?」

 

千秋さんはそう言って、俺のズボンを下ろし、大きくなったものを見つめる。

 

「す、すごい……もう汁がこんなに」

 

千秋さんはそれを手で握り、上下にゆっくりと動かす。

 

「っあ……はぁっ!」

 

千秋さんに握られただけで思わず情けない声が漏れてしまう。

 

「どう?遥、気持ちいい?」

「っ……はい、気持ちいいです。千秋さんの手つきがいやらしすぎて、もうっ」

「遥のここ。どんどん硬くなってる……それに、先っぽから汁がいっぱい出てきてる」

 

千秋さんに握られた俺の肉棒はもうすぐに限界に達しそうだった。

これだけでもたまらないほど快楽を得られていた。

でも、俺の中で千秋さんを離したくないという欲求が湧き上がってきていた。

 

「くっ……千秋、さん……」

「遥、もうイっちゃいそうなの?」

「は、はいっ……」

「いいよ。このまま出して」

千秋さんはさらに手を動かすスピードを上げる。

「あっ……はぁっ……くっ、も、もう……っ!」

「いいよ、私の手にいっぱい出して」

 

俺の肉棒は限界に達し、千秋さんの手の中に精子をぶちまけた。

しかし、精子は手の中から溢れてどくどくと溢れ出す。

 

「あっ、いっぱいでてる……」

 

千秋さんは手から溢れてくる精子を見つめていて、俺はその様子を見て更に興奮してしまっていた。

 

「っ……はぁ、はぁ……」

 

俺は息を整えながら、ゆっくりと体を起こす。

 

「遥、少し休憩する?」

「大丈夫です。それより……」

 

俺は自分の肉棒を握り、ゆっくりと千秋さんの身体に寄り添う。

 

「早く千秋さんと1つになりたいんです」

「遥……うん、じゃあきて♡」

 

千秋さんの入り口に俺の肉棒をこすりつける。

 

「んっ、あっ……くるっ♡」

 

俺はゆっくりと千秋さんの中に侵入していく。

そして、千秋さんの中はすっかりぐしょぐしょに濡れていて、俺のを咥えこんで離さない。

 

「ひぁっ!はあっ……んんっ!」

「はぁっ、くっ……」

 

俺は腰を動かして奥まで押し入れると、その先でコツンと子宮に当たる音がする。

それを激しく何度も繰り返した。

 

「あぁっ♡は、はげし……っ!」

「はぁ……はぁ……千秋さん千秋さん!」

「あぁっ♡はげしいっ!あん♡はぁぁっ♡」

 

そのままの勢いで、俺は激しく腰を打ち付ける。

千秋さんともっと1つになりたい。ずっと千秋さんを感じていたい。

そんな感情が俺の中で溢れてきていた。

 

「だ、だめっ♡はるかっ!はげしすぎるっ♡」

「千秋さんっ、もっと感じてください!俺のでもっとイってください!」

「あぁっ!だめぇ♡はあっ、あっ、あっ♡イく、イっちゃうっ!」

「俺も……もうっ」

「あっ♡あぁっ♡イくっ♡イっ……くぅぅぅっ!」

 

俺は千秋さんの中に、思いっきり精子を解き放つ。

その勢いに押されるように、千秋さんの体がびくんと跳ねる。

 

「あぁっ……はあっ……はぁっ……」

「はあっ……はぁ……」

 

俺が千秋さんからゆっくりと肉棒を引き抜くと、そこからはどろどろと精子が溢れてきた。

 

「千秋さん……大好きです」

「うん……私も好きだよ」

 

そう言いながら俺は、千秋さんにキスをする。

その後も、お互いの気持ちを確かめ合うように何度も何度も口づけを交わした。

そして、ベッドの上で横になりながら俺たちは気持ちを共有した。

 

3

 

千秋さんとの時間を終えて、スパを後にした俺たちは客室へ戻ろうとしていた。

そのとき、不意に2人の携帯が同時に鳴った。

それは学校からのメールであり、行事の変更などがあった際に送られてくるメールの受信音。

マナーモード中であっても強制的に音が出ていることから、ただ事ではないと察した。

 

「な、なんでしょう?」

 

入学以来、この通知が届いたのは初めてのことだった。

俺と千秋さんは2人で顔を見合わせながら、携帯を開き内容を確認しようとした。

それとほぼ同時に、船内アナウンスも入った。

 

『生徒の皆さんに連絡いたします。先ほど全ての生徒宛に学校から連絡事項を記載したメールを送信いたしました。各自携帯を確認し、その指示に従ってください。また、メールが届いていない場合には、お手数ですがお近くの教員まで申し出てください。非常に重要な内容となっておりますので、確認漏れのないようお願いいたします。繰り返します――』

 

「アナウンスまで入るなんて一体どんな内容なんでしょう……」

「でも、豪華客船で夏休みを楽しんでる生徒が多い中でこんなアナウンスをするってことは誰か生徒が問題を起こしたか、或いは……」

 

千秋さんの憶測を聞きながら携帯に視線を落とす。

すると、そこには次のことが書かれていた。

 

『間もなく特別試験を開始いたします。各自指定された部屋に、指定された時間に集合して下さい。10分以上の遅刻をした者にはペナルティを科す場合があります。本日18時までに2階204号室に集合して下さい。所要時間は20分ほどですので、お手洗いなど済ませた上、携帯をマナーモードか電源をオフにしてお越し下さい』

 

「特別試験……」

「やっぱり、このまま豪華客船でのんびり夏休みを過ごさせてはくれないか」

 

千秋さんは画面を見つめたまま、大きくため息をつく。

 

「また、特別試験……?」

 

つい先日まで無人島での大規模な試験を終えたばかりだ。

考えていなかったわけではない。けれど、こんなにも早く次が来るとは思っていなかった。

俺も改めてメールを読み直す。

 

所要時間は20分。

 

「短すぎませんか?」

 

特別試験にしては、あまりにも時間が短い。

無人島のような大規模なものとは限らないにせよ、20分ではせいぜい小テスト程度しかできないはずだ。

 

「これって、千秋さんも同じ内容ですか?」

「どうだろう?ちょっと交換してみよっか」

 

俺たちは携帯を交換し、それぞれのメールを確認する。

 

「……集合時間と部屋が違うね。でも、正直このメールだけだと何をするのかイマイチわからないね」

「そうですね。特別試験の内容はこの時点で予測するのは不可能な気がしますし……」

 

互いに画面を返しながら、千秋さんが小さく首を傾げた。

 

「20分でできることなんて、たかが知れてるし今日は本番じゃなくて、布石なのかもね」

「試験の布石……あり得ますね。特別試験というからには普段の学校生活では評価できないようなものを見ようとしてるはずですし、短時間の試験になるとは俺も思えません」

「だよね。まあ、でもそれが分かったところで対策できることなんて特にないんだけど」

 

千秋さんは困ったように笑い、こめかみに指を当てた。

今はまだ情報が少なすぎる。

特に成果もなく、そのまま学校からの呼び出しの時間を待つことにした。

 

4

 

学校からのメールで呼び出しを受けた時間が近づき、俺は2階のフロアに来た。

まだ指定された時間ではないが、このフロアには数人の生徒がすでにいた。

他クラスの生徒が近くの部屋に入っていくのが見える。

俺もそろそろ入った方がいいのだろうか。

正直、何もわからないがそれはどの生徒も同じ状況のはずだ。

 

「……覚悟を決めよう」

 

俺は唾を飲み込み、ドアをノックする。

するとドアの先からすぐに返事があった。

 

「入りなさい」

 

許可をもらったことで、俺は入室する。

部屋には小さいテーブルと椅子がいくつか並べられていた。

そして、ガッチリとした体格の真嶋先生が椅子に腰掛け資料に目を通していた。

そして、真嶋先生の目の前には俺と同じクラスの幸村くんが座っていた。

 

「これは座ってもいいんですか?」

「ああ、空いている席に座れ」

 

俺は先生の指示に従い、空いている幸村くんの隣の席に着席した。

残っている席は2席。これから何が始まるのか正直まだわからないが、Dクラスの幸村くんと同室というのはどういうことなのだろう。

俺の中では疑問が膨らんでいく。

そんなことを考えていると、扉の向こうからノックが聞こえてくる。

真嶋先生がさっきと同じように入室するように促すと、1人の生徒が入ってくる。

 

「あ、綾小路くん?!」

 

俺は思わず声を出してしまう。

まさか、綾小路くんと同じ部屋だったなんて。

今の綾小路くんとの関係は複雑なものだから、喜んでいいのか嘆いていいのかわからない。

 

「妙なことになっているな。綾小路」

「そうみたいだな」

 

幸村くんは綾小路くんと同室だからか、何気なく話している。

 

「あと1人、到着を待つ。大人しく待っていなさい」

 

真嶋先生からの指示があり、俺たちは着席したまま静かに時間を待つ。

誰も話さない重い空気の中、時計の針がカチコチと秒針を刻んでいく。

そして、約束の18時を回り真嶋先生が一瞬時計に目を移す。

それとほぼ同時に、部屋がノックされる。

 

真嶋先生が同じように声をかけると、扉が開く。

 

「失礼しまーす」

 

この場にふさわしくないような、気の抜けた声で入室してきた生徒は軽井沢さんだった。

綾小路くんが入ってきたタイミングでDクラスの生徒なのではないかという予想はできたが、まさか女子だとは思わなかった。

 

「え。なにこれ、なんで幸村くんたちがいるわけ?」

「時間厳守だと伝えておいたはずだ、遅刻だぞ。早く席につきなさい」

「はーい」

 

真嶋先生の言葉にやや不服そうな返事をして軽井沢さんは椅子の前に移動した。

そして、俺と綾小路くんに視線をチラリと移してから、椅子を持ち上げて俺たちから距離を置くように移動させて腰を降ろした。

 

「Dクラスの幸村、上條、綾小路、軽井沢だな。ではこれより特別試験の説明を行う」

 

メールが来た時に千秋さんと予想はしていたけど試験の説明か。

でも、どうしてクラス全員ではなく4人のメンバーなのか。

それにこの4人に共通した特徴はないし、軽井沢さんがいることから性別も考慮されていないことになる。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ。意味わかんないんですけど、試験の説明ってなに?だってもう試験は終わったじゃん。それに他の人たちは?おかしいんですけど」

 

特別試験と聞いてすぐに疑問を口にする軽井沢。

試験を実施することは事前にメールで告知をされていたが読んでいなかったのかな?

 

「今の段階では質問は一切受け付けない。黙って聞くように」

 

真嶋先生は軽井沢さんの言葉を聞いて呆れたような視線を送った。

 

「うわ出た。すぐそれなんだから」

 

軽井沢さんが小言を漏らすが、それを無視して真嶋先生は話を続けた。

 

「試験の概要を話す。今回の特別試験では、1年全員を干支になぞらえた12のグループに分け、そのグループ内での試験を行う。試験の目的はシンキング能力を問うものとなっている」

 

干支になぞらえた12のグループ?

1クラスに40人の生徒がいることから、学年全体で160人になる。

それが12のグループに分かれるということは1グループあたり約13人。

だが、ここに集められた人数は4人。

そこから考えられることは、これは各クラスから3人から4人の生徒を集めたクラス混合のグループができるということ。

 

そして試験の目的はシンキング。

だが、まだこの時点だと試験の全貌は見えてこない。

 

「シンキング、って何?」

「言っただろう、質問は受け付けないと」

 

黙っているように言われたばかりの軽井沢さんが、再び質問して案の定真嶋先生に注意された。

軽井沢さんもことの重大さを感じたようで、不満な表情ではあったが、口を閉じて聞く姿勢を見せた。

 

「社会人に求められる基礎力には大きく分けて3つの種類がある。アクション、シンキング、チームワーク。それらが備わった者が初めて優秀な大人になる資格を得るのだ。先の無人島の試験はチームワークに比重が置かれた試験内容だった。しかし、今回はシンキング。考え抜く力が必須な試験になる。考え抜く力とは即ち、現状を分析し、課題を明らかにする力。問題の解決に向けたプロセスを明らかにし、準備する力。想像力を働かせ、新しい価値を生み出す力。そういったものが必要になってくる」

 

長々しく説明されているが、この情報からも試験の内容はわからない。

軽井沢さんは退屈したような表情を見せ机に肘を置いている。

 

「そこで今回の試験では12のグループに分け、試験を行うとなったわけだ。ここまでで何か質問は?」

「全然意味わかんないんですけど。もっと分かりやすく説明してよ。12個にグループを分けるってのは分かったけど、じゃあなんであたしがこの連中と一緒にいるわけ?平田くんは?他の女子は?それに試験の中身もわかんないし。教えてよ。じゃなくて、くださいってば」

 

まったく敬語にはなっていないが語尾だけ丁寧に言い換えて質問する。

でも、軽井沢さんの質問の通りここまでの説明では曖昧な部分が多い。

集まったメンバーの共通点も、試験の内容もわからないことから何を質問をしていいのかわからない。

 

「まず当然のことだが、ここにいる4人は同じグループとなる。そして今この時間、別の部屋でも同じように『君たちと同じグループとなる』メンバーに対して同時に説明が行われている」

「それならメンバー全部集めて一気に説明した方が早くて楽じゃん。それと、この3人と同じ理由は?なんであたしが、この気持ち悪……男子たちと一緒のチームなわけ?正直嫌って言うか、平田くんがいいな」

 

俺たちへの不満を遠慮なく振りまく軽井沢さんに、隣で我慢していた幸村くんが怒った様子を見せる。

 

「少しは黙って話を聞いたらどうだ。もう試験は始まっているかもしれないんだ。余計なことを言って減点されたら責任は取れるのか?無人島の時だって、おまえは人一倍足を引っ張っていたんだ。これ以上クラスに迷惑をかけないでくれ」

「はあ? いつどこであたしが迷惑かけたっていうわけ?マジムカつくんですけど」

 

幸村くんの言葉に軽井沢さんがわかりやすく悪態をつく。

その様子を見て、真嶋先生はため息をつきながら2人をなだめる。

 

「二人とも落ち着け。まず幸村の心配は杞憂だ。今はまだ試験は開始されていないため影響はない。それに今回の試験は、そういった態度での採点はそもそも行う予定はない」

「ほーら。これでわかったでしょ」

「ただし軽井沢。いつまでも教師への態度を改めない場合には調書として記録を残すことになるかもしれない。そうなればよろしくないことくらいはわかるだろう?」

「うー」

 

真嶋先生は困ったように軽く額に指をやった。

 

「いいか、君たちがグループを組むことは確定事項だ。好き勝手に変えられるものではない。こんなところで仲たがいしているようでは試験で結果を残すのは難しいだろう」

「もー!最悪じゃん!3人とも苦手だし!平田くんがよかったのに!」

「でも、一緒になっちゃったのは仕方がないことだし……気の触るようなことはしないように心がけるから我慢してもらえないかな?」

「あー、なんかやりにくいなぁ」

 

軽井沢さんは俺の方をチラチラと見てため息をついて視線をそらした。

俺と軽井沢さんはこの前の試験で下着に関するトラブルがあったから、正直お互い気まずいところがある。

 

「そろそろ満足したか? 説明を続けさせてもらうぞ」

「はいはい。グループを分けるのはわかりましたけど、なんでその説明を受けるのがあたしたち4人なんですか。そのグループが集まった時にすればいいだけだと思うんですけど。陰謀とか嫌がらせとか、そんなんならマジやめてほしいんですけどー」

「どうやら少数で集められたことが気になって仕方ないようだな。ならばその疑問に答えてやろう。陰謀論も嫌がらせもない単純な話だ。グループは1つのクラスで構成されることはなく、各クラスから3人から5人ほどを集めて作られるものになるためだ。事前に説明していなければ混乱を来たす恐れがあるからな」

 

やはり、この試験では他クラスの生徒でグループを組むことになるんだな。

なぜ、他クラスの生徒とグループを組むのかはわからないが、少しずつ試験の内容が明らかになる。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ。なにそれ、ますます意味わかんないんですけど。他のクラスとグループ組むって、めちゃくちゃじゃない。敵同士じゃないわけ?」

「そうです先生。俺たちは今までそうやって他クラスと競ってきたんです。ここに来ていきなり他クラスとグループを組むというのは理解に苦しみます」

「今まで競ってきた? おまえたちの学校生活は始まったばかりだ。この段階で右往左往しているようでは先が思いやられるぞ、幸村」

「う……し、失礼しました」

「今考えるべきは理解することではなく考えることだ。君たちの配属されるグループは『卯』。ここにそのメンバーのリストがある。これは退室時に返却させるので、必要性を感じるのであればこの場で覚えておくように」

 

渡された紙にはグループ名と合計14名の名前が記載されている。

真嶋先生の言っていたようにAからDクラスで構成されていた。

 

グループ『卯(兎)』メンバー

 

Aクラス

竹本茂

町田浩二

森重卓郎

 

Bクラス

一之瀬帆波

浜口哲也

別府良太

 

Cクラス

伊吹澪

真鍋志保

藪菜々美

山下沙希

 

Dクラス

綾小路清隆

上條遥

軽井沢恵

幸村輝彦

 

その中には一之瀬さんや伊吹さんなど知っている生徒の名前もあった。

一之瀬さんと一緒のグループになるなんて、安心できる相手ではある。

だが、綾小路くんが同じグループということもあって、一之瀬さんに危険が及ぶ可能性もある。

もしものことがあれば、綾小路くんと対立することも……

いや、今はそんなことを考えていても仕方がないか。

 

「安心しろ。疑問に思っていることは今から説明する。恐らくそれで理解できるだろう。今回の試験では、大前提としてAクラスからDクラスまでの関係性を一度無視しろ。そうすることが試験をクリアするための近道であると言っておく」

「関係性を無視する……ってなに?」

「頼むから黙って聞いてくれ軽井沢。集中して試験の内容が聞けないじゃないか」

 

真嶋先生が話す度に口を挟む軽井沢さんに、呆れた幸村くんが不満を漏らす。

 

「今から君たちはDクラスとしてではなく、兎グループとして行動をすることになる。そして試験の合否の結果はグループ毎に設定されている。特別試験の各グループにおける結果は4通りしか存在しない。例外は存在せず必ず4つのどれかの結果になるよう作られている。分かりやすく理解してもらうために結果を記したプリントも用意してある。ただし、このプリントに関しても持ち出しや撮影などは禁止されている。この場でしっかりと確認しておくように」

 

そして、俺たちは手渡されたプリントに視線を落とす。

 

『夏季グループ別特別試験説明』

 

プリントに目を通すことでルールと目的が鮮明になっていく。

 

この試験で重要なのは優待者という存在で、12個ある各グループに優待者は例外なく1人存在している。

そして、その優待者の名前が試験の答えになっている。

 

試験の流れとしては、試験開始当日の朝8時に生徒全員に一斉メールが届き、優待者には自分が優待者であると通知がされる。

そして試験の期間は4日間あり、1日に2回グループで1時間話し合うことになっている。

だが、話し合う内容は決められておらず、生徒の自主性に委ねられるらしい。

 

そして、優待者の解答方法だが最終日の21時30分から22時の間に送信ができるようになっていて、1人1回だけメールが受信できるようになっていて優待者は解答できない。

そこから解答された結果によって最終的な試験の結果が決まる。

まず結果1として、優待者以外の全員が正しく優待者の名前を送信することでグループ全員が50万プライベートポイントを得て優待者が100万プライベートポイントを得るというものだ。

次に結果2として、誰か1人でも未回答。もしくは不正解をした場合。

優待者だけが50万プライベートポイントを得て他の生徒にはポイントが入らないというもの。

つまり優待者だけが得をするというものだ。

 

だが、ここまでの説明だと結果2を狙うメリットがほとんどないに等しい。

もしも優待者であれば50万ポイントは確実に得ることができ、結果1であれば全員が50万、優待者は更に50万多くポイントが得られるため誰から見ても結果1を追い求めるだろう。

これが、もしも結果2では優待者のポイントが他のメンバーに分配されるというものであれば、優待者が自分の利益のために結果1を避けるといったことも考えられるが、この試験のルールだと優待者は確実に利益を得ることができるため、結果2はあってないようなものになる。

 

「この試験での肝は1つだ。それを理解すれば何のことはない。その肝とは『優待者』の存在だ」

 

真嶋先生がルールを理解していないと思われる軽井沢さんのために口頭で補足説明をした。

先生の説明を聞いたことでなんとなく試験の内容を理解したのか、軽井沢さんが大きな声を上げる。

 

「ひゃ、ひゃくまん!! すごっ……」

「全員が50万ポイントも貰えるのか……しかも優待者なら倍……」

 

幸村くんも支給されるポイントの額に驚き、戸惑っている様子だった。

だが隣の綾小路くんは終始無言で何を考えているのか、俺にはわからなかった。

 

「この優待者の役目って羨ましいっていうかずるいんだけど!こんなの選ばれなかったら損じゃん!どっちにしたってポイントが貰えるし!しかも1つは100万も!」

 

軽井沢さんの言っていることはもっともだ。

この試験の優待者の扱いは他の生徒と大きく異なる。

 

「先生。質問よろしいですか?先ほど、結果は4通りあると仰っていましたが、その結果を教えていただけませんか?」

「説明した2つの結果は理解したか?これが分かっていなければ次に進めないからな」

「わかりました」

 

俺は周りを1度見渡して、軽井沢さんが理解しているかわからなかったため黙ることにした。

 

「残りの結果に関してはプリントの裏に書かれてある。が、まだめくるのは待つように」

「あーちょっと待って。あたしついていけてない」

「もう少し噛み砕いて説明してやろう。君は人狼ゲームをやったことはあるか?」

「じんろうゲーム?一時期流行ったよね、あるある、やったことある。面白いのよね」

 

人狼ゲームか。

小学校の頃に流行っていたため、ルールは理解している。

だが、隣に座っていた綾小路くんは少し困惑した表情をしていた。

 

「ちょっと綾小路くん、もしかして人狼ゲーム知らないわけ? 信じらんない」

 

軽井沢さんが初めて綾小路くんに話しかける。

どうやら綾小路くんは人狼ゲームを知らないようで、それを察した軽井沢さんは哀れむような目を向けていた。

 

「なんていうか、友達がいないって悲しいよね」

 

小馬鹿にしたように綾小路くんを見下ろした軽井沢さんが、人狼ゲームの説明を始めた。

 

「友達同士で集まって、村人と狼に分かれるわけ。それで生き残った方が勝ちってゲームなわけ。わかった?」

「その説明だと、まったくルールが理解できないんじゃ……」

 

案の定、綾小路くんは頭にハテナを浮かべているようだ。

そのため軽井沢さんに代わって、俺が人狼ゲームの説明をすることにした。

 

そして、綾小路くんに人狼ゲームの説明をすると真嶋先生が試験の結果の続きを話し始める。

 

「グループの中には1人だけ優待者が存在すると説明したが、いち早く優待者を暴き出すことで第3、第4の結果が新たに現れる」

「それが……プリントの裏に書いてあるわけ?めくってもいいの?」

 

軽井沢さんの問いかけに真嶋先生は頷くと、俺たちは一斉にプリントをひっくり返した。

 

そこには結果3と4が書かれていて、まず前提としてこの2つの結果は試験終了を待たずに途中で学校側に解答することで発生するとなっている。

つまり、フライングで告発するということ。

 

まず、結果3では優待者以外の生徒が試験終了前に正しく優待者の名前を送ることで発生する。

告発した生徒のクラスに+50クラスポイント。そして告発した生徒は50万プライベートポイントを得る。

最後に優待者のクラスは-50クラスポイントとなり、その瞬間に試験は終了する。

 

そして次に結果4だが、前の結果3とは逆に優待者の名前を誤って送信することで発生する。

告発者のクラスが-50クラスポイントになり、優待者が50万プライベートポイントを得て、優待者のクラスが+50クラスポイントとなりその瞬間に試験が終了するというもの。

 

ここまで聞いて、初めて試験の全体像が把握できた。

結果1と2だけなら、優待者の名前を口外してもデメリットはなかった。

だが、この結果3と4があることによって、口外すれば他クラスの生徒に裏切られ自らのクラスにマイナスの影響を与える可能性が生じる。

試験中は24時間解答を受け付けているため、結果1を狙おうとしてもいつ裏切られるかわからない。

だが、逆に自らが優待者と嘘をついて他クラスに誤答を誘発することができれば、相手にペナルティを与えることができる。

 

「今回学校側は匿名性についても考慮している。試験終了時には各グループの結果とクラス単位でのポイント増減のみ発表する。つまり優待者や解答者の名前は公表しない。また、望めばポイントを振り込んだ仮IDを一時的に発行することや分割して受け取ることも可能だ。本人さえ黙っていれば試験後に発覚する恐れはない。もちろん隠す必要がなければ堂々とポイントを受け取っても構わん」

 

ここまで配慮されているなら、優待者は自分の正体を最後まで隠し通すことも考えられる。

だが、これはそれだけ優待者の存在がこの試験において重要な存在であることを裏付けている。

 

「以上を踏まえた上で今回の試験の説明は完了する」

「えーっと、えーっと……分かるような、分からないような」

「理解力のないやつだ。後で俺が説明するからこれ以上真嶋先生を煩わせるな」

 

幸村くんは、そう言って軽井沢さんに釘を刺した。

 

「禁止事項などは細かに書かれてあるだろう。しっかり目を通しておくように」

 

禁止事項には、例えば他人の携帯を盗んだり、脅すなどの脅迫行為で優待者に関する情報を確認することや、勝手に他人の携帯を使って答えをメールするなどの行為は退学と書かれていた。これは前回の無人島試験にもなかったもので最大の処罰だ。

しかも怪しい行為が発覚した場合には、徹底した調査が行われると明言されている。もちろん脅されたと嘘をついたケースも同様に退学の可能性が明示されていた。

他にも最終試験終了後は直ちに解散して、一定時間他クラスの生徒同士での話し合いを禁じていることも書かれてあった。これも破れば退学とのこと。

 

「君たちは明日から、午後1時、午後8時に指示された部屋に向かえ。当日は部屋の前にそれぞれグループ名の書かれたプレートがかけられている。初顔合わせの際には室内で必ず自己紹介を行うように。室内に入ってから試験時間内の退室は基本的に認められていない。トイレ等は済ませていくように。万が一我慢できなかったり体調不良の場合にはすぐに担任に連絡し申し出るようにしろ」

「部屋を出ちゃいけないって、いつまでそこにいればいいのよ?」

「説明に書いてあっただろう。毎回1時間。初回の自己紹介以外に余った時間は好きに使えばいい。1時間が経過したら、部屋に残って話を続けるのも退室するのも自由だ」

「面倒臭いけど何となく理解できた。はー、もっと楽しい試験が良かったな」

「それからグループ内の優待者は学校側が公平性を期し、厳正に調整している。優待者に選ばれた、もしくは選ばれなかったに拘らず変更の要望などは一切受け付けない。また、学校から送られてくるメールのコピー、削除、転送、改変などの行為は一切禁止とする。この点をしっかりと認識しておくように」

 

それは禁止事項の中にも事細かに書かれてあり、学校から送られてきたメールを弄って悪用するのは認められていないということ。

逆に、このメール見せれば確実に優待者であるという証明になる。

 

「おい綾小路。終始無言だけどちゃんと理解できたのか?」

 

幸村くんが心配するように綾小路くんに声をかけた。

 

「何となくは……分からないところは後で教えてくれ」

「全く、どうして俺のグループはこんなにポンコツだらけなんだ……」

 

真嶋先生から解散するように言われ、俺たちは同時に退室をした。

 

「不本意だが、同じグループになった以上まずは結束を深めることが必要不可欠だ。明日の優待者発表次第だが、これからもう少し4人で話し合いをした――」

 

廊下に出ると、先生を抜きにした話し合いがしたいと幸村くんが提案してくれたのだが、軽井沢さんはそんな言葉が聞こえていないかのように携帯を手に取り背を向けて歩き出した。

 

「おっ、おい軽井沢。俺の話を聞いていたのか?」

「あ、もしもし平田くん? ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけどー」

 

完全に無視だった。

俺たちを置き去りにして、そのままフロアを離れていく。

 

「全く、どうして俺のグループはこんなにポンコツだらけなんだ……」

 

幸村くんが小さく毒づく。

 

「あはは。俺はできるだけ、力になれるように善処するよ」

 

苦笑いしながら答えると、幸村くんがちらりとこちらを見る。

 

「上條、お前は前の試験では色々あったが活躍していたからな。足は引っ張らないようにしてくれ」

「う、うん」

 

信頼されているのか、されていないのかわからないけど、ポジティブに受け取っておこう。

 

「もしかしたら朝、俺たちの中の誰かが優待者に選ばれた通知も来るかもしれない。俺たちの誰かに来たとしても不用意に教え合うのはよそう。どこで誰に聞かれているかわかったものじゃない。しっかりと安全な場所で報告し合おう」

「そうだね、俺も賛成だよ」

 

俺が頷くと、綾小路くんも静かに同意を示した。

 

「軽井沢はいなくなったが、明日の試験に向けて話し合いもしたい。俺たち3人で話し合うだけでも意味があると思う。もう少し付き合ってくれ」

「うん、OKだよ。綾小路くんもそれでいいかな?」

 

視線を向けると、綾小路くんは淡々と頷いた。

 

「じゃあ、俺と綾小路は同室だからそこで話そう。上條はそれでいいか?」

「問題ないよ。じゃあ、これからお邪魔するね」

 

綾小路くんに確認したいこともあるし調度いいかもしれない。

俺たちは幸村くんの後を追って、話し合いをすることにした。




今回は松下千秋がメインとなるお話でした。
この二次創作では、松下がメインヒロインなので大切に描いていきたいなと思っています。

そして今回は干支試験ということで、舞台は船内なので無人島試験とは違い、さまざまなキャラクター同士の接触も増えていくと思いますので、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

これからも更新は不定期になってしまいますが、引き続きよろしくお願いします。

今後行為シーンが欲しいキャラクター候補(すぐには反映できない可能性高いです)

  • 松下千秋
  • 佐倉愛里
  • 櫛田桔梗
  • 堀北鈴音
  • 長谷部波瑠加
  • 佐藤麻耶
  • 篠原さつき
  • 園田千代
  • 一之瀬帆波
  • 小橋夢
  • 白波千尋
  • 姫野ユキ
  • 星之宮知恵
  • 西野武子
  • 伊吹澪
  • 椎名ひより
  • 神室真澄
  • 山村美紀
  • 白石飛鳥
  • 坂柳有栖
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