1
「おーい、聞こえておるかー!」
誰だよ、うるさいな。
人がこんなに気持ちよく寝てるって言うのに。
いや、ちょっと待てよ。この流れ前にもあったような……
「起きろ、上條遥!」
「うえへぇ!」
情けない声で目覚めると、やはり漆黒の世界だった。
漆黒と言うと少しかっこよく聞こえるが、なにもない空っぽの空間だ。
「今回もいいおかずをありがとのう」
「いいおかず?なんのことだ?」
「おお、そうじゃったそうじゃった。お主らの行為をわしが見てるというのは秘密にするんじゃったな」
え、俺と松下さんのセックスこの神に見られてたのかよ。
まじかよ、人に見られてると思ったら恥ずかしくてまともに行為できない!
「まあ前みたいにわしが見てるという記憶は消しておくから安心せい」
「結局見られるのに変わりはないんですね……」
俺の声が聞こえていないのか無視しているのか、お構いなしに話を続ける。
「今回、お主がここにきたということは……スキルの熟練度が上がったということじゃ!」
「そ、そのスキルって……もしかして『発情』じゃ……」
「おお、察しがいいのう。そうじゃ、お主の大好き『発情』じゃよ」
「いや、別に大好きってわけじゃ……」
あれは偶然というか、たまたまというか……
「ごまかすんじゃないわ!お主、以前わしと会ってから3回発動させとるぞ。かなり頻度が上がっていい傾向じゃ。それに外で行為に及ぶとは、お主もなかなかやるのぅ」
こいつ色欲の神なのか?年中欲求不満なのか?
「だが、抱いてる女が松下という女子だけなのはなんともな……」
「いやいいだろ、むしろ健全だろ!」
「いいや、わしが求めるのは健全じゃない!平田から軽井沢を寝取るくらいしてみろ腑抜け!」
え、えぇ……この神駄目だ。倫理観終わってるわ。
「じゃが、そうじゃのう。熟練度の上がったお主なら遅かれ早かれ別の女を抱くことになるじゃろうなぁ」
「おいおい……」
「そして、もう1つ朗報じゃ。お主に更なるスキルが宿ったぞ!」
「新しいスキル!?」
それはすごい、たしか最初にこの神にあった時にスキルは条件を満たすことで新たに取得するとか言ってたな。
いったいどんな便利スキルが手に入るようになるんだ?『聴力上昇』とかそういうの欲しい。
頼む、普段使いできるスキルであってくれ!
「お主の新しく手に入れたスキル!その名は!」
「その名は?」
「『絶倫』じゃ!」
「ぜ、絶倫?!」
絶倫ってまさか、あの絶倫じゃないよな?
「その、つかぬことをお聞きしますが……絶倫ってなにが絶倫なんでしょうか?」
「もちろん性欲じゃ!」
「終わったぁぁぁぁぁ!」
最悪だわ、こんなの!役に立つスキルくれよ!こんなのデメリットスキルじゃねえかよ!
「まあお主のやった行動的にえちえちスキル以外のスキルが取得されるわけなかろう」
いや勉強会で勉強教えたりしてたけど?!なんか勉学に役立つ系の能力とかないの?
「それに、取得されるスキルは少なからず元々持ってるスキルに由来する。今回は『発情』の派生じゃな」
おいおいまじか、終わったわ。
松下さんとふんわりとした学校生活送りたいよ、スキル『絶倫』とか嫌だわ。
「まあ、これからも頑張ってくれ。性の方を……」
ボソッと変なこと言うな!
段々と意識が薄くなっていき、俺はまたいつもの生活へと戻っていくのだった。
2
昨日は松下さんと野外セックスをしたことによって、その後疲れて部屋に戻ってすぐに寝たわけだが……
まさか夢の中で新しいスキルを頂戴することになるなんてな。
この新しく取得した『絶倫』とかいうスキルのせいで俺の思考が性欲にシフトされている気がする。
朝から隣の席の松下さんが気になって仕方ない。ああ、まじで治まれ俺の性欲!
松下さんは隣から「どうしたの?」みたいな優しい笑顔でこっちに微笑んでくれるが、俺の頭の中は野蛮な原始人とリンクしているのかセックスのことばかり。くそ、まじでふざけんなよあの幼い女神!
なんとか授業を耐えしのぎ放課後がやってきた。
もちろん、今日も今日とで勉強会である。
「ねえ、上條くんどうしたの?なんか体調悪そうだよ」
図書館に行くため教室を出ると後から松下さんが心配そうについてくる。
「いやー、そのなんというか……これは男の戦いなんだよ。精神というか欲求というか……」
「ふーん……」
松下さんは俺の下半身を見ながらなるほどと頷く。
「ねえ、ちょっときて」
俺は松下さんに連れられ空き教室へとやってきた。
「えっとこれは?」
「もう、そんなんじゃ勉強会どころじゃないでしょ?」
松下さんは俺のズボンをずらし慣れた手つきで息子を取り出す。
「昨日あれだけ出したのに……上條くんの性欲どうなってるの?」
くそ、これも全部『絶倫』のせいだ!
「んっ……ちゅぱっ……んちゅ……んぁっ……」
松下さんもブレザーとワイシャツを脱いでにフェラを始めた。
「ま、松下さんっ!ここってカメラとかはっ……」
「大丈夫だよ、事前に確認はしてるから……んっ……ちゅっ」
松下さん、準備がよすぎない?でも今はそれより松下さんのフェラが気持ちよすぎ
て……
「松下さん、なんか前より上手くなってない?」
「それは……上條くんに何回もしてあげてるしさ?」
恥ずかしそうに頬を赤らめて俺の目を見つめる。
「くっ……松下さん可愛すぎます!でっ、出るっ!」
「うわぁっ!」
松下さんの顔面に思い切りぶっかけることになり、髪までうっすら白い液体がかかっている。
「出す時はもうちょっと前に言ってよ!髪まで上條くんの精液かかっちゃったんだけど!」
「ご、ごめんなさい!」
松下さんの髪を俺がミニタオルで拭いている間に松下さんはシャツとブレザーを羽織った。
「続きは勉強会が終わったらまたやってあげるから、とりあえずは我慢してね」
松下さんはそう言い残して空き教室を出た。
「ま、またあとで……」
「もうっ、ぼけっとしてないで早く行くよ!」
松下さんに軽く頭を叩かれ、手早く空き教室を後にした。
「ちょっとトイレで髪整えてくるから先行ってて」
俺が精液をぶっかけたばかりに松下さんはトイレで髪を整える必要ができてしまい、一旦別れることになった。
「本当にごめんなさい」
俺の性欲処理に付き合ってもらった上に松下さんに手間を掛けさせるなんて……
図書館へ重い足取りで向かっていると、後ろから肩をトンと叩かれる。
「上條くんっ、今日もよろしくね!」
ひょこっと佐藤さんが顔を出して俺の隣を歩き始めた。
「上條くんって勉強教えるの上手いよね!私、上條くんに勉強教えてもらってから問題がサクサク解けるようになってさ……」
佐藤さんに勉強の教え方をベタ褒めされながら図書館へ向かうと、平田くんと一部の女子たちがすでに勉強道具をテーブルの上に広げていた。
やる気がある子たちが多くてなりよりだ。これならここの女子たちは赤点の心配はないだろうな。
佐藤さんに隣に座るよう促され、準備をしてすぐに勉強会が始まった。
それからしばらくして松下さんが遅れて図書館へとやってきた。(原因は俺)
そして俺を見つけるなり目を細くしながら耳打ちをしてきた。
「なんだか佐藤さんと仲良さそうじゃない?」
「上條くんの教え方が上手いから付きっきりで教えてもらってるの」
明るい笑顔を振りまきながら佐藤さんは俺の肩に身体を寄せてくる。
すると松下さんから無言の圧力を向けられているのを感じた。(特に俺に対して)
少し重たい空気の中、俺は佐藤さんを中心とした勉強が苦手な女子に授業の要点やテスト範囲の単元を軽く拾っていった。
ここのグループに関してはもう心配はないのだが、やはり心配なのは須藤くんたち男子グループだ。
綾小路くんと堀北さんは上手くやっているのだろうか。昨日の会話も気になるし、もっとクラスの内情を把握できるように努めないとな。
昨日のようなハプニングもなく、今日の勉強会は無事幕を閉じた。
勉強会に参加した女子は平田くんを囲みながら図書館を後にする。
俺はそんな様子を見守ってから、図書館の外に出る。
「今日もお疲れ様」
外に出ると壁に背中を預けながらスマホを弄っていた松下さんがこちらに視線を向けてくる。
「松下さんは平田くんたちと一緒に帰らないの?」
「私はいいかな、あそこにいると私も平田くんのこと狙ってるって思われるかもしれないし」
「平田くんのこと狙ってみようとは思わないの?」
「なに、平田くんのこと狙って欲しいの?」
「い、いやいや!そんなことないけど!」
松下さんはクラスの中でもすごい可愛いし、平田くんみたいなイケメンと並んだら美男美女って感じでお似合いなんだよなぁ。
今は軽井沢さんが平田くんと付き合ってるみたいだけど、高校のカップルなんていつ別れるかわかったものじゃない。だからこそ今でも平田くんの周りには軽井沢さん以外の女子が群がってるわけだし。
たまたま隣の席で話す機会ができたけど本当は俺からしたら松下さんは高嶺の花なんだよな。
平田くんがフリーになったら松下さんもきっと……
「私は上條くんと一緒にいて楽しいし、だから一緒に帰ろ」
「松下さん……!」
松下さんは俺の横に並び昇降口へと向かう。
なんで俺にこんなに優しくしてくれるんだろう。
俺、どんどん松下さんのこと好きになっちゃうよ。いつか松下さんに好きになってもらえるように頑張ろう。
「その、松下さん……好きな男のタイプとかって……」
俺がやや緊張気味に聞くと「そうだなあ」と少し考える仕草をする。
「まずは年上で余裕があって……金銭的にも安心な人とか?」
「うわっ、思ってた以上に現実的……それに年上っ」
松下さん年上好きだったんだぁ……俺は松下さんと同級生だしちょっとショック。
「なに落ち込んでるの?もしかして……私のこと狙ってた?」
「ふえっ!?」
俺の明らかな動揺に松下さんがくすくすと笑っている。
「上條くんわかりやすすぎ。でもそうだよね、これだけ何回もしちゃったら意識しちゃうよね」
松下さんは少し頬を染めながら俺をちらっと見る。
「それはね、私も一緒だから……」
「え?」
「もうっ、2度は言わないからね」
俺がその場からしばらく動けないでいると、松下さんはため息をついてから俺の袖を引っ張る。
「まだ足りてないんでしょ?早く寮戻るよ」
「ふぇっ!?」
そんな誘い方ってないよ!と思いながらも俺は松下さんと寮へと戻る。
2
最近は松下さんと毎日のようにセックスをしている気がする。
お互いの肌と肌が触れ合い、今も身体を求めあっている。
「んっ……かみじょうくん、ちょっと……」
松下さんの下着をずらして肉棒を近づける。
「あっ…んんっ!んあぁぁぁっ!」
中に入れると松下さんの膣内で跳ね上がるようにビクビクと痙攣する。
「あっ、あんっ!だっ、だめぇビクビクするっ!」
「だめって言ってるわりに締まりがよくなってますよ?」
「んん~~~!」
恥ずかしがる松下さんを見て俺の愚息の勢いは高まる。
「あっ……だめぇ、イクっ!イっちゃうっ!んぁぁぁぁっ!」
松下さんが絶頂したことで締まりが更によくなり、俺も我慢の限界がくる。
「か、かみじょうくんっ……」
「松下さん!出ちゃうっ!」
コンドームの中に精液が溢れる。
俺と松下さんの2人は果てた後しばらくその場に留まり抱き合う。
「上條くん、なんかいつもより激しくなかった?」
「そ、そうかな?夢中でよく覚えてなかったかも……」
きっと『絶倫』のせいなんだろう。正直本当に覚えていないが、無意識の中で激しい行為をするようになってしまったのか……
あのエロ女神、絶対に許さない。
「それにしても、上條くんがこんなに野蛮な人だとは思わなかったなぁ」
松下さんが俺に視線を向けながらため息を零す。
「初めて会った時はもっと大人しかったのに、今じゃベッドの上では猛獣だよ」
「うぐぐ……返す言葉もありません」
それにしてもだ。
『絶倫』を与えられてから、俺は松下さん以外の女子に対しても性的な魅力を感じるようになってしまった。
別に松下さんと付き合っているわけじゃないけど、こんな関係をしているわけだし他の女子に対して不純な感情を抱いてしまうというのは戴けない。
今日も勉強会をしていた際に佐藤さんのことを無意識に性的意識をしてしまった。
あのエロ神も「遅かれ早かれ別の女を抱くことになるじゃろう」とかほざいていたし、無意識で俺の『発情』が発動してしまう可能性もある。
そうしないためにも、佐藤さんや他の女子とは一旦少し距離を取った方がいいかもしれない。
「あのさ、実はちょっと考えてたことがあって……」
「どうしたの?」
「明日からの勉強会、しばらく休ませてもらおうと思って」
いきなりのことで松下さんは一瞬考える素振りを見せる。
「いちおう理由を聞いてみてもいいかな?」
「今教えてる感じ、もう佐藤さんたちは赤点を取るレベルじゃないと思うんだよね。だから後は自分たちで勉強してもテストではそれなりに成果を出すと思う」
「たしかにね。でも、それだけじゃないんじゃない?」
俺の肩が少し震える。
「勉強会の時、佐藤さんのことえっちな目で見てたんじゃない?」
「え!な、なんのこと?」
「うわぁ、やっぱり……」
松下さんが呆れたと感嘆の言葉を漏らす。
「別にそんな素振りがあったわけじゃないけどさ、さっきまで勉強会の話するような空気じゃなかったでしょ?」
話の流れね。さっきまでそういう行為をしてたのに急に勉強会の話を始めたから感づかれたのか。
松下さんはやっぱり他の生徒と比べて明らかに話の流れや状況を理解するのが早い。
「その、恥ずかしながら……少しだけ」
「正直に白状したね」
俺はその場に正座をして少しでもと誠意を示そうと試みる。
「私といる時に他の女子のこと考えたら許さないからね」
松下さんが耳元で囁くと、松下さんは立ち上がりシャツを羽織る。
「さ、夕飯を食べようか」
俺と松下さんは制服の身だしなみを整えキッチンに向かうのだった。
3
それから何日かが経った。
俺は松下さんから許しをもらい勉強会を数日間休むことにした。(もちろん平田くんからの許可も得て)
松下さんから話を聞く限り、多少佐藤さんがやる気を損なっているらしいが特に問題はないようだ。
俺はこの貴重な休みの期間で精神(性欲)を落ち着かせるために日々鍛錬(自慰行為)を繰り返すのであった。
しかし、俺の性欲は留まることを知らず松下さんと毎日セックスを繰り返している。
結局この『絶倫』を抑え込む手段は見つからずに時は刻一刻と過ぎ去っていった。
そんなある日のこと、俺は心を落ち着かせようと昼休みに図書館へと向かう。
昼休みなら佐藤さんたちはいないため、特に佐藤さんたちを発情させる心配もせずにやってこれる。
そう思ってきたのだが、思ってもいないメンバーが図書館に集まっていた。
堀北さんと須藤くん、池くんに山内くんの4人だった。
たしかに以前、綾小路くんと夜中に話していた流れ的に須藤くんたちの勉強会をもう1度開くのは納得できる。
しかし本当に上手くいっていたなんて。綾小路くんに触発されたからといっても、こんなに上手くいくんだなぁ。
「ん?上條じゃねえか!おーい!」
ノートを広げてこれから勉強を始めるといった様子の山内くんが俺に気がつき声をかけてきた。
俺は軽く手を挙げて4人に近づく。
「あなたはたしか……上條くん、だったかしら?」
堀北さんが首を傾げながら俺の顔を見て答える。
「いや最近会ってないからってそんなにおぼろげなの?」
それに山内くんが今俺の名前言ってたし。堀北さんから見た俺ってそんなに印象薄かったんだ、微妙にショック。
でも、これくらいの好感度なら堀北さんが急に発情するなんてこともないよな……多分。
まだ『発情』の発動条件がわからないけど、佐藤さんでもまだ発情してないんだし堀北さんは大丈夫だろう。
「あれれ、上條くん?」
俺が考え事をしていると後ろから不意に声をかけられた。
俺の背後に櫛田さんと綾小路くんの2人が現れ、山内くんたちが座る席の隣に腰掛けた。
「遅刻よ、2人とも」
堀北さんが軽く注意をすると、櫛田さんが手を合わせて謝罪の意を示す。
そんな櫛田さんに見惚れる池くんと山内くんをよそに、俺は綾小路くんにだけ聞こえるくらいの大きさで質問をする。
「よくこの3人を集められたね、この前見た時は険悪な感じだったけど……」
「ああ、櫛田が4人を取り持ってくれたんだ。櫛田には感謝しかない」
あくまで自分のことは何も語らず、櫛田さんの手柄だと話す。
実際そうなのかもしれないが、綾小路くんが堀北さんに影響を与えたことが大きいのは間違いない。
あの夜の綾小路くんは何かもっと大きなものを見ているようだった。
今回の中間テストだけではない、今後を見据えての助言。
もっと詳しく追及すれば答えてくれるのかもしれないけど、ここで深く聞きすぎると警戒される可能性もあるし、これ以上の追及は止めた。
「私から皆に問題ね。帰納法を考えた人物の名前は、なんでしょーか?」
俺が綾小路くんに質問をしている間に櫛田さんが3人に口頭で問題を出していた。
「思い出した。フランシス・ベーコンだ!」
なんだかんだテスト範囲の勉強をちゃんとしているようで成果は出ているようだ。
まだ油断はできない段階ではあると思うが、この調子で勉強していけば中間テストまでに間に合うかもしれない。
「まったく、ぎゃーぎゃーうるせぇな。ひょっとしてお前らDクラスか」
数人の男子生徒が俺たちに近寄ってくる。
「なんだお前ら。俺たちがDクラスだから何だってんだよ。文句あんのか?」
「文句はねえよ。俺はCクラスの山脇だ。よろしくな」
山脇くんという生徒はニヤニヤと笑いながら俺たちの顔を見回す。
「なんつーか、この学校が実力でクラス分けしててくれてよかったぜ。お前らみたいな底辺と一緒に勉強させられたらたまんねーからなぁ」
「なんだと!」
須藤くんは相変わらず怒りっぽい性格のため、席から立ち上がると山脇くんに近づく。
「本当のことを言っただけで怒んなよ。もし校内で暴力行為なんて起こしたら、どれだけポイント査定に響くか」
これに関しては山脇くんの言う通り、こんなところで暴力沙汰になったら大変だ。
ここはなんとしてでも須藤くんを抑える必要がある。
「山脇くんの言う通り、俺たちはDクラスで周りからの評価は決して高くない。でも、わざわざ俺たちを挑発するように近づいてくる君たちよりも、今ここで勉強している須藤くんや山内くんの方が立派だと思うよ」
俺は山脇くんに近づく須藤くんを制止して、それとなく山脇くんを批判してみる。
「挑発?お前は俺たちの言葉が挑発に聞こえたのか?俺たちはただテスト範囲でもないところを勉強してるお前らを憐れんで声をかけてやったんだぜ?言いがかりはよせよ」
「テスト範囲じゃない?」
山脇くんの冗談だろうか?さっき櫛田さんが出した問題はテスト範囲内だったはずだ。
「もしかしてテスト範囲もろくにわかってないのか?これだから不良品はよぉ」
「いい加減にしろよ、コラ」
須藤くんが再び山脇くんに近づこうとする。
「はい、ストップストップ!」
山脇くんに掴みかかろうとする須藤くんを軽く手で止める少女に、俺は見覚えがあった。
入学式初日の朝、俺を助けてくれた一之瀬帆波さんだ。
「んだ、テメェは、部外者が口出すなよ」
「部外者?この図書館を利用させてもらってる生徒の一人として、騒ぎを見過ごすわけにはいかないの。もし、どうしても暴力沙汰を起こしたいなら、外でやってもらえる?」
桃色がかった髪をなびかせ、正論を浴びせる。
「それから君たちも、挑発が過ぎるんじゃないかな?これ以上続けるなら、学校側にこのことを報告しなきゃいけないけど、それでもいいのかな?」
「わ、悪い。そんなつもりはないんだよ、一之瀬」
そう言うと山脇くんたちは須藤くんから離れ、逃げるように去っていった。
「君たちもここで勉強を続けるなら、大人しくやろうね。以上っ」
そう言ってこの場から去ろうとする一之瀬さんを俺は引き止める。
「あ、あのっ!仲裁してくださってありがとうございました。俺たちだけじゃ、騒動を大きくしてしまいそうだったので助かりました」
「ううん、いいよいいよ。このまま放っておいたら他の人の迷惑になりそうだったから声をかけただけだしね」
なんでもないことのように話すが、実際に行動に移すというのはなかなか難しいことだ。
困っている人を放っておけない、そんな優しい人なんだろう。
「あれ、そういえば君……上條くんだよね。確か入学式でもあったよね?」
「あ、はい!そうです、あの時はお世話になりました。お礼もできずにすみません」
「いやいやいいよ、困った時はお互いさまだからね。じゃあ私が困ったことがあったら助けてもらおうかな?」
俺が激しく頷くと、一之瀬さんは笑顔を向けながら颯爽と去っていった。
「あなた、彼女と知り合いなの?」
「ちょっと入学式の日に迷子になりまして……」
堀北さんに呆れたという目を向けられるが気にしないふりをする。
「そ、それよりテスト範囲のことだけど……」
俺は話題を変えるようにテスト範囲のことを切り出した。
「クラスでテストが違うってこと?」
「それは考えにくいわね、テストの結果がポイントに反映されるのなら不公平になってしまうわ」
となると、テスト範囲が間違っていた?
これは今すぐ確かめる必要がありそうだ。
4
俺たちは残り僅かな昼休みの中で急いで職員室へと向かう。
「先週茶柱先生から伺った中間テストの範囲ですが、それに間違いはありませんか?」
「中間テストの範囲は先週の金曜日に変わったんだったな。悪いな、お前たちに伝えるのを失念していたようだ」
堀北さんの問いに衝撃の解答をする茶柱先生。
思わず俺たちは驚嘆の声をあげる。
茶柱先生は紙にサラサラと新しいテスト範囲を書き記し、堀北さんに手渡す。
そこに書いてある範囲は以前のものとはかなり異なっていて、須藤くんたちは勉強の
やり直しが必要になる可能性が高い。
「ちょっ、ちょっと待ってください先生!いくらなんでもこれは酷いです。なにか救済措置はないんですか?先生のミスで生徒にハンデが与えられるというのは……」
「そんなことはない。まだ一週間ある、これから勉強すれば楽勝だろう?」
まったく悪びれもせずに茶柱先生はそれだけ言い残して職員室に戻ろうとする。
「これ以上居座ったところで、事態は変わらない。それくらいは分かるだろ?」
「……行きましょう」
堀北さんは職員室を後にして教室へと戻る。
渋々俺たちもその後を追いかけるのだった。
5
それからあっという間に一週間が過ぎた。
あの後、櫛田さんにテスト範囲が変わったことを伝えてもらい、多かれ少なかれ不満は出たが仕方ないと受け入れてくれた。
そして今日、中間テストは1日前にまで迫っていた。
俺もここ一週間は綾小路くんや堀北さん、櫛田さんと共に須藤くんたちを教える立場に回っていたが、佐藤さんや篠原さんより要領が悪いのか、はたまた教えられてるのが男だからやる気が出ないのか、中間テストに間に合ったかどうかはギリギリといった様子だ。
放課後、茶柱先生が教室を後にすると櫛田さんが教室の壇上に立ち、みんなに呼びかけた。
「明日の中間テストに備えて、今日まで沢山勉強してきたと思う」
そう切り出すと、櫛田さんは鞄からプリントを取り出し、席が前の生徒にプリントを配っていく。
「これは……テストの解答?」
「実はこれ、過去問なんだ」
櫛田さんから去年の小テストでも今年と同じような問題が出ていたこと、そして今配られたのが去年の中間テストの過去問であることが伝えられ、クラスのみんなはお祭り騒ぎだ。
堀北さんも感心したように過去問を見つめ、櫛田さんに賞賛の声を送っている姿が見えた。
でも、これならみんな赤点は回避できそうだ。
6
そして迎えた中間テスト当日。
「欠席者は無し、ちゃんと全員揃っているみたいだな」
茶柱先生がクラスを見渡し不敵な笑みを浮かべる。
「お前ら落ちこぼれにとって、最初の関門がやって来たわけだが、何か質問は?」
「僕たちはこの数週間、真剣に勉強に取り組んできました。このクラスで赤点を取る生徒はいないと思いますよ」
平田くんが自信あり気に答える。それもそうだろう、平田くんの開いた勉強会はかなり成果を上げていたし、昨日の櫛田さんからもらった過去問があるんだ。
茶柱先生は知らないだろうが自信があるのにも頷ける。
「もし、今回の中間テストと7月に行われる期末テスト。この2つで誰一人赤点を取らなかったら、お前ら全員夏休みにバカンスに連れてってやる」
茶柱先生が急にテストが終わった後のご褒美を匂わせる発言をしたことで周りの生徒が一斉に沸き立つ。
特に男子の熱気は凄まじく、茶柱先生もやや退いている様子だ。
「バ、バカンス……」
俺も男子たちの例に漏れず、バカンスでの女子(松下さん)の水着姿を想像し思い描いている。
「なーんか視線がいやらしいんだけど」
横目で松下さんを見ていたのがバレたらしく細い目で見られる。
「つ、つい……」
「変態」
ごめんなさい、なんか興奮しました。
この学校のことだ、本当にバカンスが楽しめるのかは疑問なところだが、取りあえずはバカンスをモチベーションに中間テストに挑もうではないか。
こうしてなんやかんやあって、俺たちは中間テストを乗り切った。
と、思われたのだが迎えた英語のテスト後。
須藤くんの席の周りに池くん、山内くんなどいつものメンバーが集まった。
中間テストの内容は驚くほど過去問と同じで、おそらくDクラスのほとんどの生徒が高得点を取っているだろう。須藤くん、ただ一人を除いて。
「な、なあ大丈夫だったか?」
「わかんねぇ……やれることはやったけどよ」
須藤くんが不安の声を漏らす。
須藤くんは英語のテストの前。昨晩英語の過去問を暗記している途中に寝落ちしてしまったことを明かした。
他の教科はうまくいったみたいだが、英語だけは不安が残るようだ。
「くそ、何で寝ちまったかな、俺はよ」
「須藤くん」
落ち込む須藤くんの前に堀北さんが姿を見せる。
「過去問をやらなかったのは、あなたの落ち度よ。でも、テストまでの勉強時間、あなたはあなたなりにやれることをやってきた。手を抜かなかったことも分かってる。精一杯の力を振り絞ったのなら胸を張っていいと思うわ」
普段の堀北さんからは考えられない言葉が飛び出す。
いつも冷たく突き放すことが多い堀北さんでも人を慰めることができるんだなと素直に感じた。
「それから……1つだけ。あなたに訂正しておかなければならないことがあるの」
そう言って、堀北さんは以前須藤くんがバスケットボールのプロになると言った時に、それを否定したことについて謝罪し始めた。
俺はその場に居合わせなかったが、須藤くんのバスケットのプロになるという覚悟を
堀北さんは理解しきれてなかった、ということらしい。
「バスケットの難しさ、大変さを理解していない人間が、その夢をバカにする権利なんてありはしない。勉強会で培った努力や頑張りを忘れず、バスケットに活かして。そうすれば、あなたはプロになれるのかも知れない。少なくとも私はそう感じたわ」
堀北さんは須藤くんに向き合い、そして頭を下げて謝罪した。
「あの時はごめんなさい。私が言いたかったのはそれだけ。それじゃ」
謝罪を言い終えた堀北さんは教室を後にした。
「見たか今の。あの堀北が謝ったぞ!?」
「信じられねえ……」
池くんと山内くんは驚きの声を上げ、櫛田さんも驚いた表情を見せる。綾小路くんは……ポーカーフェイスすぎて分からない。
「や、やべえ……俺……堀北に惚れちまったかも……」
テストのことはどこへやら、須藤くんは堀北さんに恋をしてしまったようだ。
7
そして翌日、中間テストの結果発表の時間がやってきた。
「正直、感心している。お前たちがこんな高得点を取れるとは思わなかったぞ。数学と国語、それに社会は同率の1位、つまり満点が10人以上もいた」
茶柱先生から賞賛の言葉をもらう。
満点も重要だが、今俺たちが心配するのは須藤くんや山内くんたちの点数だ。
俺が須藤くんの点数に目を向けると、英語42点の文字。
「っしゃ!!」
須藤くんが立ち上がり叫ぶ。
「見ただろ先生!俺たちもやるときはやるってことですよ!」
「ああ、認めている。お前たちが頑張ったことは。だが……」
茶柱先生が赤ペンを手にして黒板に張り出された紙に線を引く。
「あ……?」
「お前は赤点だ須藤」
「は?ウソだろ?ふかしてんじゃねえよ」
騒然とするより先に反論する須藤くん。
「須藤。お前は英語で赤点を取ってしまった。ここまでということだ」
「ふざけんなよ赤点は31点だろうが!クリアしてるだろ!」
「誰がいつ、赤点は31点と言った」
以前の小テストでは菊地くんの31点以下が赤点だった。
もしも赤点が固定ならば31点以上の須藤くんは赤点ではないが……
「今回の中間テスト、その赤点のラインは43点未満だ。つまり1点足りなかったというわけだ。惜しかったな」
「よ、43!?聞いてねえよ!納得できるかよ!」
須藤くんの問いに答えるように黒板に85.8÷2=42.4と書かれる。
「前回、そして今回の赤点基準は、各クラス毎に設定されている。そしてその求め方は平均割る2。その答え以上の点数を取ること。前回の小テストのボーダーは33点未満、今回は43点未満となる」
「ウソだろ……俺は……退学、ってことか?」
「短い間だったがご苦労だったな。放課後退学届けを出してもらうことになるが……」
茶柱先生から淡々と退学について説明される。
「本当に須藤くんは退学になるんですか?救済措置はないんですか?」
平田くんが先生に問う。
「事実だ。赤点を取ればそれまで。須藤は退学にする」
平田くんの問いも虚しく、茶柱先生に両断される。
「須藤くんの答案用紙を、見せて貰えないでしょうか?」
「見たところで、採点ミスはないぞ?」
平田くんの目的を先回りするように答える。
「では先生、俺の答案用紙を見せてください」
「お前の答案用紙にも誤りはないぞ、上條」
俺は答案用紙を受け取り、視線を落とす。
「ここ、スペルミスしてしまいました」
言いがかりに近いがものは試しで茶柱先生に抗議してみる。
「担当教師の判断で正答になっている。言いがかりはやめろ」
「よく見てください、LがIになってしまいました」
バツをマルにすることはできなくてもマルをバツにすることはできるかもしれない。そう思っての行動だったが……
「赤点のボーダーを下げるにはあと33点以上必要だ。もし仮にお前の解答が誤答になったとしても、ボーダーを下げることは不可能だ。これ以上言いがかりで点数を下げたなら、今度はお前が退学することになるぞ?」
そう言って、茶柱先生は俺の点数が書かれた部分にペンを当てる。
「上條、そして堀北。お前たち2人は英語のテストで極端に低い点数を取っているな。須藤の英語の点数が低くなることを予見してわざと点数を下げたようだが……」
「お前たち、まさか……」
須藤くんが英語の過去問を暗記できてないことを耳にして、平均点を下げるために点数を落としてはみたが……仮に俺が言いがかりで点数を落とせたとしてあと8点。あと25点必要だ。
「上條はスペルミスを装うことができるようにギリギリを狙ったのかもしれないが、そんな調整をしてる奴はこのクラスに他にいない。残念だったな」
「茶柱先生、私からも1つよろしいでしょうか?」
俺が消沈する中、堀北さんが立ち上がる。
「珍しいな堀北。お前が挙手するとは」
「今しがた、先生は、前回のテストは33点未満が赤点と仰いました。そしてそれは、今の計算式によって求められた。前回の算出方法に間違いありませんか?」
「ああ、間違いない」
茶柱先生が認めたことを確認して堀北さんが問う。
「前回のテストの平均点を私が計算したところ、66.2でした。それを2で割ると、33.1になります。つまり33点を越えているんです。にもかかわらず、赤点は33点未満だった。つまり小数点を切り捨てている。今回の求め方と矛盾しています」
茶柱先生は目を瞑りながら頷くと堀北さんの問いに言及する。
「残念だがお前の計算方法は1つ間違っている。お前も内心気づいているんだろう?小数点は四捨五入される。前回のテストは33で扱われ、今回のテストは43で扱われる。それが答えだ」
そう言い放ち、茶柱先生は教室を後にする。
俺は教室に立ち尽くすことしかできなかった。そして教室もまた静寂に包まれた。
「……ごめんなさい。私がもう少し、ギリギリまで点数を削るべきだったわ」
堀北さんは須藤くんのもとに行き、短くそう伝えた。
「なんで……お前、俺のこと嫌いだって……」
須藤くんは以前のことを思い出してるのか、堀北さんを視線に捉えながら呟く。
そんな中、ゆっくりと綾小路くんが席を立つ。
「あ、綾小路くん?どこへ行くの?」
「トイレだ」
足早に教室を後にする綾小路くんが気になり、こっそり後をつけることにした。
後をつけると、1階の廊下で茶柱先生と話をする綾小路くんを見つけた。
「この社会は平等だと思いますか?」
「随分とぶっ飛んだ話だな」
何を話しているのかと思えば、日本社会?話の意図が見えてこない。
「私なりの見解で言えば、当然、世の中は平等じゃない」
茶柱先生の答えを聞くと、綾小路くんは話し始める。
先週テスト範囲が変わったことを、伝え忘れたと言ったこと。それが他のクラスと比べて1週間のズレがあったこと。
問題もポイントへの反映も、退学がかかっていることも同じなのにも関わらずDクラスだけが不平等な条件下で試験を強いられたことを話す。
「それに納得がいかないということか。だがいい例だ。それこそが平等じゃない社会の縮図とも言える」
「でも、オレたち人間は考えることのできる生物です」
「何が言いたい」
「少なくとも平等に見えるようにしなければならない、ということですよ」
「私にどうしろと?」
「それを伺いに来ました。不平等を招いた学校側に、適切な対応を希望します」
「嫌だ、と言ったら?」
「それが正しいジャッジなのかどうか、然るべきところに確認を取るだけです」
強気に綾小路くんが迫る中、俺の背後に人の気配を感じた。
「盗み聞きとは感心しないわね」
「それはお互い様じゃないんですか?」
背後にいるのは堀北さんだった。どうやら俺と同じく、綾小路くんが動いたことが気になって後を追いかけてきたようだ。
「あなたとは妙なところで気が合うのね」
おそらくは英語の点数を下げたことに対してだろう。
「結局無駄に終わっちゃったけどね」
「なら、あなたはここに何をしにきたのかしら?」
「それは……」
堀北さんも何かできることがあるわけではないのだろう。ただ、須藤くんの退学を阻止する手立てが少しでもないかと可能性を探している。
「須藤は退学だ。現段階ではそれは覆らない。諦めろ」
「現段階では覆らない。つまり、覆る方法がある、と言うことですね」
綾小路くんの言葉から生まれる僅かな光。
「綾小路、私は個人的にお前を買っている。それは今回のテストに早くも現れた。過去問を入手するのは正解の一つだ。過去問をクラス全員に共有し、テストの平均点を底上げしたのはお前が初めてだったぞ」
「過去問を手に入れたのも、共有したのも櫛田ですし、オレは何もしてませんよ」
「お前が表立って騒ぎたくない理由は察するが、お前が3年生に接触していたことも、残念ながら把握済みだ」
過去問の件も綾小路くんが関わっていたのか。夜に堀北さんを触発したことも含めて、何から何まで綾小路くんが何かしら絡んでいる。
いったい綾小路くんは……
「今回は素直に諦めて須藤を切り捨てておいたらどうだ?その方が後々楽かも知れないぞ?」
「まだ諦めるには早いと言うか。試せることも残ってますし」
「何のつもりだ?」
「須藤の英語、そのテストの点数を、1点売ってください」
その衝撃的な発言に一度静寂が訪れる。
「ははははは。面白いことを言うな、お前は」
「先生は入学式の日に言ったじゃないスか。この学校の中でポイントで買えないものはないと。中間テストだって、学校の中にあるものの一つですよ」
「なるほどなるほど。確かに、そういう考え方も出来なくはないな。だが、お前の手持ちで買える金額とは限らないぞ?」
「じゃあ幾らなんですかね、1点の価値は」
「それは中々難しい質問だ。私は今まで点数を売ったことは一度もないからな。そうだな……特別に今、この場で10万ポイントを支払うなら、売ってやってもいい」
「意地悪っすね、先生は」
10万ポイント、それは入学当初に俺たちに振り込まれたポイント。
それを一度も使わなかったのなら払えるが、それを1人で払える生徒はおそらくDクラスにはいない。
となれば、俺のやることは1つ。
「……俺も出します」
「……私も出します」
まさかハモるとは思わなかったが、堀北さんと俺が同時に進言する。
「堀北……上條……」
「クク。やっぱり、お前たちは面白い存在だ。いいだろう、須藤に1点を売るという話、受理した」
その後、須藤くんの退学は取り消され、祝勝会が開かれることになった。
8
中間テストの結果が発表された日の夜、綾小路くんの部屋で祝勝会が開かれた。
俺も一週間だけだったが、共に勉強した仲ということで呼ばれたので一応顔を出すことにした。
そこには須藤くんと池くん、山内くんはもちろん、櫛田さんと堀北さんの姿もあった。
綾小路くんの部屋に7人はさすがに多くないかとも思ったが、それを言うのは野暮だろう。
しかし、俺はこの後用事があったため、早めに自分の部屋に帰らせてもらった。
「もう遅くない?」
自室に戻るとエプロン姿の松下さんに迎えられ部屋に上がった。
「エプロン姿の松下さん、なんだかお嫁さんみたいですね」
「もう、バカ言わないの」
ご飯冷めるよ、と言って俺を席につかせる。
2人で食卓を囲みながら、今回の中間テストを振り返る。
「でもまさか、堀北さんが須藤くんのためにあそこまでするとは思わなかったなぁ」
松下さんが堀北さんの行動を振り返るように呟く。
「そうだね、最初のイメージとはだいぶ変わった気がする。これも綾小路くんが影響してるみたいだし」
松下さんには須藤くんの1点を綾小路くんが買ったことを伝えた。
「やっぱり綾小路くんはただ者じゃないみたいだね。もしかしたら綾小路くんならこのクラスを上のクラスに導いていけるのかもね」
俺と松下さんは密かに綾小路くんに期待を寄せると同時に身体も寄せ合うのだった。
補足
松下千秋
好感度 99→99
評価 これは嫁と言っても過言ではない…はず?
発情条件進捗
条件1 達成
条件2 達成
条件3 今回の発動回数???
綾小路清隆
好感度 40→45
評価 あなたに対して少し興味を持っています。
発情条件進捗
条件1 達成
条件2 達成
条件3 未達成
堀北鈴音
好感度 5→20
評価 少しずつ心を開いているようですね、その調子です。
発情条件進捗
条件1 未達成
条件2 未達成
条件3 未達成
櫛田桔梗
好感度 25→35
評価 もう目前です、頑張りましょう。
発情条件進捗
条件1 達成
条件2 未達成
条件3 未達成
須藤健
好感度 25→50
評価 ここにきて急激に好感度上昇。
発情条件進捗
条件1 達成
条件2 達成
条件3 未達成
池寛治
好感度 10→25
評価 少し好感度がアップ!
発情条件進捗
条件1 達成
条件2 未達成
条件3 未達成
山内春樹
好感度 5→15
評価 若干好感度がアップ!
発情条件進捗
条件1 達成
条件2 未達成
条件3 未達成
平田洋介
好感度 50→60
評価 これはもういけちゃうのでは?
発情条件進捗
条件1 達成
条件2 達成
条件3 未達成
軽井沢恵
好感度 5→5
評価 勉強会でもっと接触しましょう。(2回目)
発情条件進捗
条件1 未達成
条件2 未達成
条件3 未達成
佐藤麻耶
好感度 30→45
評価 もしかしてチョロインですか?(2回目)
発情条件進捗
条件1 未達成
条件2 達成
条件3 未達成
篠原さつき
好感度 15→30
評価 これはそろそろありますね。
発情条件進捗
条件1 未達成
条件2 未達成
条件3 未達成
森寧々
好感度 10→15
評価 勉強会の成果が少し現れていますね。
発情条件進捗
条件1 未達成
条件2 未達成
条件3 未達成
茶柱佐枝
好感度 5→15
評価 少しずつ評価を上げていきましょう。
発情条件進捗
条件1 未達成(現状攻略不可能)
条件2 未達成
条件3 未達成
一之瀬帆波
好感度 10→13
評価 久しぶりの登場なのに扱いが雑です。
発情条件進捗
条件1 未達成
条件2 未達成
条件3 未達成
スキル『発情』発動条件
条件1 対象と連絡先を交換している
条件2 対象に触れられた回数と触れた回数の合計が5回以上
条件3 対象の好感度が50を超えている
条件4 対象と室内で2人きりになる
条件5 対象の手を握る
条件1から条件4を満たしたうえで条件5を行うことでスキル『発情』が発動する
スキル『発情』で発情した相手は30分間の間発情し続ける。
→
スキル『発情』発動条件(熟練度2)
条件1 対象と連絡先を交換している
条件2 対象に1度触れるかつ触れられている
条件3 対象の好感度が40を超えている
条件4 対象の両者が意識のある状態で10分以上2人きりになる
条件1から条件3を満たしたうえで条件4のシチュエーションが発生することでスキル『発情』が発動する
スキル『発情』で発情した相手は30分間の間発情し続け、自分の意思に反して相手に行為を迫るようになる。
→
スキル『発情』発動条件(熟練度3)
条件1 対象と連絡先を交換している
条件2 対象の好感度が40を超えている
条件3 対象の両者が意識のある状態で5分以上2人きりになる
条件1から条件2を満たしたうえで条件3のシチュエーションが発生することでスキル『発情』が発動する
スキル『発情』で発情した相手は10分間の間発情し続け、自分の意思に反して相手に行為を迫るようになる。以降対象が使用者に対して性的興奮を感じやすくなる。
主人公が原作知らない設定のせいで話の進行がとても遅い
次あたりで松下さん以外の女子とも進展があるかもしれません
次の投稿はしばらく先になりそうです