とある黒子のガチ恋堕とし 誠意が溢れる純愛ストーカーな雄様に、強要されちゃう宗旨変え♡ 独占欲まみれの彼にエゲつない勢いで幸せにされ尽くし、ネバつき愛情叩き込まれる脱出不可能な愛の檻♡ 作:デイジー亭
「お姉様~ッ! お慕い申しておりますの~ッ♡」
「ええい、またなの黒子ッ!? 転移抱き着きはやめなさいっ!」
「やめられない止まらない、おまけに加速ッ! 恋は暴走特急ですのっ♡」
「ええ、そうね……確かにその通りだわ」
「あら、お早いお触り自由。これはもしや……やっぱりですのっ!?」
いつものように
……はぁ、キマりますわねこのフレグランスッ♡ 嫌がる横顔も素敵だし、それをしない理由が見つからない。
だが。そのますます自分をソソらせる抵抗は、ある方向をブラウンが視認した瞬間ピタリとやんだ。恐る恐る目を向けると、もはや見慣れた土煙と上がる野太い咆哮。
「うおお、お嬢様ァッ! お慕い申し上げるッ!!」
「口調が丁寧であれば良い訳ではありませんし、尾行は犯罪ですのよこのストーカー系男子ッ!!」
「黒子アンタ、鏡って見たことある?」
「お姉様の美貌の方が好みですのよ♡」
「
そこにはダンプカーも真っ青な勢いで突っ走る、男臭さの暴走機関車。熱苦しい顔面を、必死に歪めながらも靴底削って急制動。
地面にゴムが削れる焼け焦げた香りを漂わせながら、器用に見上げるほどの上背を折る九十度。そして繰り出される竹の先端に括りつけられた手紙……
『恋文』と楷書体で力強く表書きされた、意図が明確過ぎる剛速球を毎日投げてくるこやつが自分の最近の悩みの種。
「だいたい、わたくしの名前はお嬢様ではありませんの」
「存じ上げているとも、白井黒子…良い名だ、心が躍る。
常盤台の
能力は
同学園に所属する御坂美琴をお姉様と呼称し常に付け狙い、チャームポイントはツインテールうむかわいいっ!
好きだァッ!!」
「誰が赤裸々に個人情報を暴露しつつ告白しろと言いましたのっ!?」
「すまない、つい……」
「お熱いわね、じゃあ私はこれで」
「置いていかないでくださいまし、お姉様ッ!?」
「ちゃんと相手してあげなさいよ~、私がアンタにしてあげるぐらいにはっ! 用事があるんでお先ッ!!」
うむ、素晴らしい情報収集能力である……恐らく、自分のお姉様データベースに匹敵する密度と質。
だが途中からヒートアップし、愛の告白に変わるのは頂けないし今は自分が語らっていたではないか。
その旨をお説教すると、糊の効いたスラックスを地面で汚すこと厭わぬ正座。
お手本のような拝聴の態勢を取られ、それ以上強く出れぬ自分の手からするりと抜け出す掴んだ腕……
すると今度はリニアモーターカーが軽快に出発進行し離れていき、途方に暮れて吐き出す言葉。
「ぴえんですの」
「すまない、邪魔をしてしまっただろうか」
「見てわかりませんの……?」
「お嬢様しか目に映らぬ故に」
「ですから貴方はどうしてそう……はぁ、もう良いですの」
「それは告白を了承して頂けたと受け取っても?」
「却下ですのっ!!」
宙に溶けてゆく我が無念に、遅いながらも気が付いたのか巌のような掘りの深さに浮かべる苦渋。
その悪びれは深い反省を示しているが、黒いまなざしが更なる雄弁さを以て告げるは己への強すぎる感情。そう毎度剛速球で来られては、身が持たないが……
邪険にするのも罪悪感が凄まじい。都合の良すぎる解釈をきちんと否定しつつ、思い浮かべるはこの男のプロフィール。
「それで何の用ですの……
「もちろんデートのお誘いだが」
「わたくしの身分、わかっておられます? 不純異性交遊は学生同士では認められませんし、それどころか取り締まる立場ですのよ……?」
「うむ、承知している。故に、まずは手を繋ぐ所から始めたいと考えている」
「相変わらず、物分かりが良すぎてジャッジメントしづらいですわねッ!!」
「お褒めに預かり恐悦至極」
「言葉遣いも、クッソ丁寧になりましたわね」
「全ては愛ゆえに」
名を呼び思い返すは、最悪の第一印象。制服をみっともなく着崩し、チャラ男まんまの口調で話しかけてきたなよっちいの。
だがたった一年でその外見と口調は凄まじいジョグレス進化を果たし、今やどこにお出ししても恥ずかしくないムキムキマッチョで古風な口調の益荒男である。
……己で躾けておいて何だが、
自分は何か洗脳系の能力を秘めている可能性すらある……そのようなあり得ざることすら、夢想してしまう程の変わりっぷり。
「はぁ、もう良いですわ。それに、喋り過ぎて喉が渇きましたの」
「うむ、ではこちらに。オシャレで静かでもちろん美味な、お嬢様好みの喫茶店をリサーチしてある」
「今はタピオカの気分ですの、しかもお姉様付きで」
「すまない、同行者については用意できない……だがタピる店については、無論予約済だ。今からでも行ける」
「用意周到過ぎますのっ!?」
恋に恋するわたくしだからこそ、その本気度が明確にわかってしまう。
もちろん我が想い人は一人のみ、きっと悲しい結末だけを与えてしまうだろうけれど……
お茶に付き合うぐらいは、して差し上げないと不義理と言う物。しかしやはり獲物を取り逃がしたのは業腹なので、突きつけるちょっとした意地悪。
それに余裕を持って対応されてしまい、今日もなし崩しに健全なお付き合いをすることとなるわたくしだった。
◇◇◇◇◇
「貧乏ゆすり、やめてくださいまし」
「すまない、歓喜のあまり」
「あと、その手の動きは何ですの……?」
「機を伺っている」
「正直に答えるのは美徳ですが、少しは隠す努力をしてくださいまし?」
「善処する」
ガタガタと激震するテーブルに思う……一点。
汗まみれの両手が天板の上で盛大に一人ジャンケンに興じ、二点が追加。
合わせて三点の凄まじい挙動不審。これを名目に席を立つのは簡単だが、席の横に山積みされたプレゼントがそれを阻害する……
結局タピオカだけでなく、色々奢り尽くされてしまった。計算し尽くされたデートコースは、全てが自分好みでなおかつお姉様を連れ込みやすい絶妙なお値段。
ここまで気を使われては、少々の文句を言うのも気兼ねがする常人ならば満点以上の男である。
「……」
「どうした、俺の顔をそんなに見つめて……まさか、恋ッ!?」
「濃いですわね」
「ふむ、少々ハズしたか……次は薄味の店をチョイスせねば」
「いいえ、貴方の顔ですの」
「そんなに厳ついだろうか」
「ええ、そうなりましたわね」
「そうか……貴女好みであればいいのだが」
「ノーコメントですの」
じぃぃと見つめると、すぐさまお出しされる百面相。だがそこには出会った頃のチャラついた雰囲気は欠片も無く、重々しい威厳に満ちている……
そして先ほど話題に出た毎日のジム通いにて、培われた膨大なる筋肉。その制服がはち切れんばかりのマッスル山脈は、全てが自分を想い育まれた物。
我が想い人とは性別すら違うが、そのひたむきさだけは同じ……いいや、恐らく超えているのだろう。
目に映る全てを助けたがる彼女と、自分だけを手に入れたいと願う彼。その異常なる純度の前では、嘘すら吐かせてもらえない。
「ならば、もっと貴女に相応しく在らねばな」
「と、ところで……後ろ暗いお仕事はされておられない、ですよね?」
「当たり前だ。お嬢様に捧げる愛に、瑕疵が有ってはならない」
「ちなみに、どのようなお仕事を?」
「主に肉体労働。加えて、最近は創作活動も軌道に乗ってきてな」
「へぇ、見せて頂いて「これだ」肖像権侵害ですのっ!?!?」
「すまない、つい愛が溢れてしまってな」
しかしどこかに、必ず欠点があるはず……! そう思い学生身分に相応しくない、懐事情について探りを入れるとうん健全。
どうやら、最近学園都市を騒がせる『
だが諦めきれず深堀りすると、お出しされるは毎日鏡で見る己の似姿。
髪と瞳の色だけ、変えれば良いと言う物では無いッ……!
「コレ、売れますの……?」
「飛ぶように。流石は我が女神と言えよう」
「勝手にランクアップさせるのはやめてくださいまし。それにこれだけの腕が有れば、他のモチーフなど幾らでも」
「無い」
「……ええと」
「あり得ん。純度が下がる……出来たとしてもやりたくない、俺は不器用なんだ」
「……はい」
まんま黒子な肖像が、昨今の市場の風潮を無視して着こむカッチリとした肌色皆無……
こんな物が経済を回すとは信じられないが、証拠のタワーが椅子の横でその価値を証明してしまっている。
改めて眺めると、偏執的なまでに描き込まれた精緻は、自分自身で無くば思わず見とれてしまうほど。
そして題材の素晴らしさを否定することだけは許さないと、喉から漏れる低い唸りは凶暴さを剥き出しにして……
思わずそれを看過させられてしまう、恐ろしい程の迫力と情念。
「最終的にはメディアミックスまで想定している」
「やめてくださいましっ!?」
「安心して欲しい、恋愛要素および性的要素は自分用以外は全て排除する」
「独占欲の煮凝りでいらっしゃる……? しかも、自分では『使う』気ですのっ!?」
「当たり前だッ! お嬢様以外で興奮など出来んッ!!」
「こ、このっ! 合法的性犯罪者ッ!!」
「そう褒めるな、嬉しくなってしまうだろうっ!!」
「無敵ですのっ!? あっ、あれはっ!」
だが続く言葉は決して受け入れられない……! 勝手に決めるワールドワイド、翻意を促すと安心皆無な地産地消。
お前でオナニーするぞと真正面から自白するなど、恐らく脳がお亡くなりになっている……!
慌ててその盲目ぶりを糾弾するも、聞いてはおらずむしろ更にヒートアップし続ける姿はまさに活火山。
そのボルケーノし続ける愛情に、焼き尽くされない自信が……うん。え~と、あそこに有ったッ!!
「む?」
「お姉様ですのっ♡」
「クソッ、恋する横顔が可愛いッ! やはり目下の障害は「は?」……すまない、口が過ぎた」
「わかればいいんですの、ほら。荷物をお持ちになって?」
「尾行だな、了承した。お嬢様仕込みのスニーキングに、重量など関係ない」
「良い心掛けですわね♡」
「褒められたッ!!」
ガラス越しでも決して見逃がさぬそれは、自分と同じ制服に身を包むガチ恋対象……!
茶髪をなびかせ歩む凛々しい姿を拝むだけで、弱気など粉みじんに吹き飛ぶと言う物。
そして余計なことを口にしようとした唐変木を睨みつけると、従順なる下僕と化す……非常によろしい。
では行くとしましょう、日課のお姉様生態観察♡ 決してこれはストーキングではない、ただの愛の探求行為である。
……そうそう、ガッツポーズはオーケーですがちゃんと雄たけびは抑えてくださいましね?
◇◇◇◇◇
「こ、ここはまさかっ!?」
「落ち着いて欲しいお嬢様、まだ決まったわけではない」
「下品なネオンがぺっかぺかしておりますのにっ!?」
「う、うむ……しかもスキップまで始めたぞ」
「幾らお姉様と言えども、これはジャッジメント案件ですのっ!!」
いかん、興奮状態だ……! しかしさもありなん、我が恋敵が脚を運んだのはまさかの治安最悪。
そこは彼女たちの学び舎たる、常盤台が存在する第7学区より遠く離れた場所……そう、距離ではなくその目的が。
学園都市唯一の墓地が存在する以上に、語られるは治安最悪。悪名高き第十学区においても、もっとも猥雑な場所にお出かけした俺たちのストーキング対象。
しかもその足取りは軽く、もはや有頂天と言った具合である。
「いかんぞ、お嬢様。現行犯逮捕以外は、
「言ってる場合ですのっ!?」
「それに逢引と決まったわけでも……うむ」
「はっきり言ってくださいましっ!?」
「すまない。ええと……御愁傷様です」
「嘘ですわよね、お姉様ッ……!」
慌てる姿は可愛らしいが、その腕に巻いた腕章が彼女の勝手を許さない。貢ぎ物を落とさぬよう苦慮しつつ、どうにか宥めていると……いかんクロだ。
白井黒子だけに……愛しい人を現実逃避に使ってしまうほどに、言い逃れが利かぬラブホテル真ん前。
ツンツン頭の男の首に縋り、情熱的なキスを交わす姿に進む彼女の脳破壊。これ以上ないほどの証拠物件だが、ここに踏み込めば雷神が降臨することは明らか。
『んちゅっ♡ はぁむっ♡ あ、アンタッ♡ また、こんなトコに呼び出してぇ……♡』
『嫌なら帰って良いぞ』
『だ、誰もイヤなんて言ってなっ……きゃッひぃ゛ンッ♡』
『まぁ逃がさねぇけどな』
『あ゛ッ♡ あ゛ッあ゛ッ♡ ひゃいっ♡ 行きますぅっ♡ イくイくッ♡ イッぎゅっ♡♡♡』
しかしあの男の手腕は凄まじい……敢えて逃がすことを示唆して、それを自ら拒否したならば褒美にシバくスカート越しのケツ。
その一撃で抵抗力を奪い、悶える身体をすぐさま捕獲。平坦な胸をがっちりと掴み、即応して彼女自らまくった裾どころか勢い良く突っ込むショーツの中。
すぐさま淫音をグチュグチュ奏で始め、「まんこブッ壊すからな」「覚悟しとけ」などと脅し付けながら、絶頂に導きつつも嬌声的に歩かせる……
熟練を通り越し、模範的ですら有るベッドヤクザである。
「あ、あのお姉様があんな雑なセクハラでっ!? わたくしの時は、喘ぎ声一つ上げませんのにっ!!」
「罪の自白は後にしろ。それで……どうする?」
「ど、どうする、とは?」
「今ならば、部屋番号の特定は可能だろう」
「構造がわかりませんの」
「俺はこのような建設様式にも詳しい」
「……ナビゲート、お願いいたしますわ」
「任せておけ」
自分の犯行との差を思い知らされ、失意に沈む我が愛し人……それを放っておくなど、男児がすべき行いではない。
いや、それ以前に常に黒子ファースト。それが我が生きる道であり、そのためならば無粋を超えた共犯も即座に覚悟完了。
彼女の
ワリカンはもちろんしない主義である、未来永劫彼女に財布など出させん……だが、プレゼントはする。
◇◇◇◇◇
「う、ううっ! お姉様ッ! お姉様ぁっ……!」
「すまない、俺が余計な提案をしたばかりに」
「そうですのっ! 全部貴方が悪いんですっ! あんなこと、知りたくなんて無かった……!」
「……本当に、申し訳ない。どんな沙汰も受けいれよう」
「馬鹿ッ! 馬鹿馬鹿ッ、馬鹿ぁっ……!」
「それで君の気が済むのなら」
「……ごめんな、さい」
お互い持ち合わせは有ったが、より高級かつ性能の良い彼の物を使用。そして予想は外れることはなく、大音量で聴いてしまった最悪の現実……
悲嘆に暮れるわたくしを慰める彼に、責任転嫁せずには居られない。けれど拳を幾ら叩きつけようと、微動だにせぬのに……
苦渋に満ちた巌を見て冷静になってしまう。わかっている、彼は悪くない。
それなのに自分の心の痛みを己以上に嘆く、この誠意の塊をどうしてこれ以上責められようか……
混乱した頭の中に、未だリピートされ続ける消えてくれない残響。
『ちゅっ♡ ちゅっちゅっ♡ ねぇ、もっとぉ♡』
『おいおい、門限は良いのか? 白井が心配するぜ』
『良いわよそんなのっ♡ それよりセックスッ♡ セックスぅっ♡』
『やれやれ、とんでもねぇ先輩だ……親の顔をアへらせたい』
『あはっ、またする♡? アンタ、母娘丼もだぁい好き♡ だもんねっ♡』
『とんでもねぇ娘でもある』
『そしてアンタのガチ恋オナホよ♡ ケツハメだってしていいし、何でも貢ぐわ躊躇いなくっ♡ そうよ、黒子なんてどうっ!?』
『アレ、レズだろ……嫌がる女をハメるのはちょっとな』
『大丈夫よ、私が言い聞かせてアンタがチンハメッ♡ それだけで新品オナホ納品決定ッ♡』
『絶壁はお前とインデックスで十分だよ、このカスッ! オラッ、ケツ出せッ!!』
『ぬぉ゛ッ♡ ほぉ゛ォ゛~~~~~~ッ♡♡♡♡♡』
夢中の見本とばかりに、興奮しきって甘く蕩けた媚び声とリップ音の嵐。
さらには自分の存在を無視するばかりか、実母と同様いとも容易く雄貢ぎをキメようとする邪悪な企み。
それは彼のえり好みにより、ケツハメご破算されたようであるが……
もし欲しいと言っていたならば、誘い出されて愛なきセックスを強要されていたのだろう。
愛しい彼女の裏切りは、わたくしの心を散々に打ち砕いて。
その後も続いたゴリラのようなヨガり声と、肉を打ち付ける音に耐えきれず盗聴を止めホテルを出た。
「……寮までとは言わない。せめて、学区までは送らせて欲しい」
「そこまで丁重に扱う必要はありませんのよ? お姉様曰く、わたくしはただのオナホですから」
「否、俺の大事な人だ……そう求められれば、応えるつもりか?」
「ええ、お姉様が望むなら。それがわたくしの恋の末路なら、受け入れますの」
「認めん」
「えっ? ひゃぅっ!?」
上の空で歩く道中は、彼の声がいつもよりも煩わしい……
やめて欲しい、自分にそんな価値など無いのに。想い人に雄貢ぎするための、性玩具としか思われていないわたくし。
それを宝石のように扱われては、勘違いしてしまいそうになる。
……けれど無理に笑いつつ吐き出した冷たい声音は、熱い抱擁にて封じられてしまった。
ガシャガシャとプレゼントたちが落ちる音が、耳に入らぬ程の激情に包まれて。
「誰にも渡さん、傷つけさせん。俺が君を、絶対に幸せにしてみせる」
「は、離してッ! 離してくださいましっ!」
「逃げたいならば能力を。だが、もし許してもらえるならば……この重みを、決して離さぬと誓おう」
「傷心に付けこむなんて、ズルいですのっ!」
「卑怯で構わない、罵ってくれてもいい。君を失うぐらいならば。
矜持も、尊厳も、財産も……俺は何だって捨てて見せる。
全て君のために、培ってきた物だから」
「……どうする、つもりですの?」
「まずは我が家へ。お嬢様には落ち着く時間が必要なように思う」
「好きにして、くださいまし……きっと心は、手に入らないと思いますけれど」
「ああ、愛しているとも」
脚も地面に届かぬ状態で、叩きつけられる誠意の奔流。
睨みつけるように語る、その低い響きに一切の嘘など感じ取れなくて……決して安くないはずの残骸たちもそのままに。
ただ我が身だけを抱えて歩く彼。その有言実行に、今は逆らうことなんて出来ない。
けれど、ああ……きっと実らぬ恋に終わるのに。そう念押ししても、固く抱きしめる彼の腕だけはわたくしを決して裏切らなかった。