※この作品はR-18です。

雷神のライバル枠の風神   作:ホンビノス貝

12 / 34
ハクスラ三作目ができた記念更新。超うれしい


12話目 来訪者の権能

「めぇぇぇん!!」

 

第四層の攻略を始めて数日ほどたった。

 

「胴ぅ!」

 

初めはゴブリンキング以上の強者がいるのかとワクワクして挑んだもののあそこまでの者はいなく、そこそこの強さの赤い目をした犬が数匹群れている程度だった。

 

「いぃぃぃやぁぁぁ!」

 

他にも木っぽい何かや熊と梟のキメラなどの多種多様なびっくりどっきり生物が何匹かいた。まあ弱くはない。ただ強くもない。消化不良なだけだ。

 

「オウオォウゥ!」

 

鍔迫り合いから引き、竹刀を正眼に構えてカツンカツンと中心線の奪い合いをする。

 

左手で竹刀を動かし、沙姫の竹刀の先端を俺の中心から外すことで一手相手より早く動けるようになる。

 

すり足で一歩踏み出し、叫ぶ。

 

「めぇん!」

 

え、ちょ、沙姫の竹刀なんで俺の手首に

 

「こぉぉぉてぇぇぇ!」

 

…マジか…これでも返された…俺より強いのはわかってたけどマジで強いな。自信なくすな。

 

『0勝20敗か…お前2段持ってるんだろ?沙姫ちゃんやばぁ』

 

残心し、きちんと元の場所に戻り、蹲踞と挨拶をしてから面を取る。

 

学校の備品だからか少しかび臭い。

 

「そろそろ終わるか。シャワー浴びるぞ」

 

「はい!」

 

いい笑顔。

 

「私の寮のほうが剣道場から近いので行きましょう!」

 

しかしあれだな。運動した後の子ってあれだな。エロいな。漂う汗のにおいがいい。

 

よし。シャワー浴びる前に押し倒そう。

 

「わかった。確か麻鷺荘だったか?」

 

あれ?そういえば沙姫の部屋に行くの初めてだな。

 

確かそこにはなんちゃらって自称相棒が言っていたような気が…

 

そうだそうだ雪ちゃんさんがいるって話だ。

 

『そうそう。そんで雪ちゃんを叶馬にぶん投げれば解決よ』

 

おk。

 

「旦那さまー」

 

「沙姫、ちょっと待て。防具の片付けがまだだ」

 

さあ鬼が出るか蛇が出るか。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

出てきたのは幼女だった。

 

荷物を置くという建前で沙姫の部屋に案内してもらい、扉を開けると幼女がいた。

 

鬼でも蛇でもない。幼女だ。

 

なるほどこれは雪ちゃんさんではなく雪ちゃんだ。

 

何かしらは感じるが…強そうではない。

 

は!なるほど!俺や沙姫のようなフィジカルでごりおす系ではなく魔法とかそういう系で倒す感じの人か?!そうならこの細腕も頷ける。

 

『バカなこと考えてないでさっさと手を握ってくれ』

 

はい?手を?

 

…幼女に手を出したら犯罪だぞ?

 

『うるせーー出すわけねえよこんなチンチクリン!第一こいつは僕の何十倍も…まあいいや』

 

ええ…

 

そう思いながら雪ちゃんの目の前に座り、左手を取る。

 

特に何も考えてないのか逃げる様子はない。

 

…それでどうしたら良いんだ?

 

『ちょっと僕が表に出ること許可してもらってもいい?』

 

今必要なことか?

 

『必要なことだ』

 

まあ

 

なら

 

いいよ。

 

『よし』

 

ドポン、と音が鳴った。

 

体の力が抜ける。

 

五感が、意識が、沈んでいく。

 

しかし体は特に倒れるという訳ではない。

 

それどころか雪ちゃんの手をより一層強く握っている。

 

「旦那様?」

 

沙姫が少しばかりおびえた声で訊いてくれているような気がする。

 

『いいか?これからやるのは僕にしかできないことだ。odrlsolstsmptsojpidus(異世界からの来訪者)たる僕だけの権能だ。だから理解できるとは思うな。もちろん叶馬にもできないことだ。だが雪ちゃんや露店精霊とかのそっち側なら受け取ることでどのようなものか解析することはできるだろう。だが発信することはできないと思う。今、僕の魂が表層に出ている。odrlsolstsmptsojpidus(異世界からの来訪者)たる僕の魂が出ているからお前以外のヒトはそれに恐れてしまう。僕が乗っ取る心配はない。よくて数十秒しかこの器は僕が表層に出ててお前が裏に行こうとすることを許容することができない』

 

意識がどんどん深くに沈んでいく。

 

自称相棒の声しか聞こえない。

 

「だれ‥ですか‥」

 

「驚かせてすまないね。大丈夫。僕はただのあいつの同居人さ。すぐにいなくなるよ。沙姫ちゃん」

 

なぜだろうか

 

心地いい

 

気持ち悪い

 

相反する感情が俺を飲み込む

 

「雪ちゃん、この子はもう僕という先約がいるんだ」

 

何も考えなくていい

 

「だから他の子を助けて欲しい」

 

それでも生きれる

 

「そうそう、その子」

 

何もしなくていい

 

「いいかい?」

 

何もできない

 

「良かった。なら着いてきてくれ」

 

意識が浮上してくる。五感がはっきり知覚できるようになってきた。

 

「この子が案内する」

 

酸素を求めるように、はたまた何かから逃げるように上に昇っていく。

 

ドポン

 

後ろで何かが沈む音がした。

 

同時に一気に体の感覚が戻り、思わず膝をつき四つん這いになってしまう。

 

「ハッハッッハッ…ハハッ」

 

よし、息ができている。

 

先ほどからとの感覚の差で思わず笑ってしまう。

 

「だんなさま…大丈夫ですか…」

 

泣き崩れた顔で寄りかかってくる。

 

「すまない。心配かけた」

 

頭を包み込むようになでる。

 

そういうことをする気は一切消えた。

 

しばらく抱き合い、沙姫を安心させるようにゆっくりゆっくりなでる。

 

「旦那様が無事で…よかったです」

 

俺の胸元から顔を上げ、枯れそうな声で言う。

 

「誰なんですか?旦那様の姿形が同じあのナニカは」

 

「あいつは」

 

息が詰まる。

 

そうだ

 

俺は

 

あいつのことを何も知らない。

 

前に一度だけ聞こうとした。

 

だがはぐらかされた。

 

それ以降俺はあいつに聞こうともしなかった。

 

なぜだ?

 

なぜなんだ?

 

あいつは

 

自称相棒は

 

本当に俺に利をもたらして害を与えないのか?

 

世界の決まりで言えないんだ。そうあいつは言っていた。

 

世界の決まりとは?なぜあいつはそんなことを知っているんだ?

 

わからない。

 

わからないなら知らなければならない。

 

自称相棒はどうせ言わない。もしくは言えない。

 

なら

 

同類に聞けばいい。

 

「雪ちゃん」

 

ウキウキしながら俺を待っている幼女に聞く。

 

「こいつが何なのか知っているか?」

 

こくんと頷いた。

 

「こいつは…危険なのか?」

 

数秒悩んだ後横にぶんぶんと頭を振った。

 

そうか。

 

よかった。

 

「沙姫、こいつは相棒と自称している奴だ。いつも俺に話しかけてくるやつでな。まあたまに俺の体を使うかもしれないが…悪い奴ではないと思う」

 

「だからまあ大丈夫だ。雪ちゃんもこう言ってるし」

 

「…わかりました」

 

あまり納得はしていなさそうだがよかった。

 

説得に成功して安堵していると雪ちゃんからちょんちょんとつつかれる。

 

はやく、はやくいこうと表情で物語っている。

 

「行くか、叶馬のところへ」

 

向かうは黒鵜荘。

 

 

 

思い返せば友達の部屋に行くのは初めてだな。

 

え?どうしよう?菓子折りとか持っていくべき?

 

あわわてるな。もちつけ。

 

「なにもいらないと思いますよ?」

 

そなの?




沙姫 愛する寄生先がなんか別人になったら?泣くよそりゃ。自称相棒に対しては不信感が5割で旦那様が言うんだったら大丈夫なのだろうが5割

自称相棒 こいつの能力はそこまで強力なものではない。たとえるならイベント限定特攻のようなものである。まあスケさんのとこ行ったら目を引ん剝くレベルのモノ

雪ちゃん 神格持ちのガチ神様。神様なので自称相棒なのが転生者だということは知っているし能力も察している。自称相棒に説得されて叶馬を一目見ようとやる気満々

風堂 自称相棒が安全だと保障されて安心した人。なぜ正体を考えないのかという違和感を突き詰めると自称相棒の能力にいきつくが無意識に考えないようにしている。なぜなのかなー

叶馬 静香さんと部屋でセックス中。きゃーみないでー



感想と評価をよろしくお願いします
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。