※この作品はR-18です。

雷神のライバル枠の風神   作:ホンビノス貝

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現実逃避気味に小説かき中


14話目 声に出せない悲鳴

「お久しぶりです。空閑さん」

 

黒江結衣。元々親同士の仲が良かったらしく父上達が飲んでいる時によく遊んでいただけの関係でそれ以下でもそれ以上でもない。

 

「何年振りだったか?確か‥」

 

指を折って数える姿に苦笑される。

 

「三年ちょっとですね。あなたのお父様の首が切られる少し前に会ったのが最後でしたので」

 

「そうか‥黒江さんは変わってないな」

 

本当に変わってない。身長も、体型も、その笑みも、その気概も、何もかも。

 

「あなたは‥変わりましたね。少なくとも昔のあなたならこんな学園で女の子を連れ回すなんてことはあまり好まななかったはずです」

 

はぁ、とわざらしくため息を吐いている。だがその目は爛々と輝いていて失望なんていう概念とは真逆に位置するような眼差しで俺を見ている。

 

「そうかもしれないな」

 

苦手だ。なにを考えてるかわかったもんじゃない。

 

「もっとはちゃめちゃで唯我独尊で‥まあいいでしょう。昔話をしたかったのは確かですがそれとは別に要件があります」

 

何かの紙が入っているファイルを取り出そうとするが手で止める。

 

「それは元々父上がいたポストにあなたのお父様が二年ほど前に就いているということと関係あるのか?」

 

そう。ここまでの事を過去にしといてなぜそのような目で俺を見てくるのかがわからない。

 

「ッ!知って‥いらしたのですね」

 

「当たり前だろう。自分の足と耳で情報を集めたさ。いずれ家を復興させるための下準備としてやっていたが‥まさか元部下がそこにいるとは思わなかったぞ。と、いうことは父上の責任に仕立てあげたのは黒江さんのお父様と考えるのは1番自然だ。」

 

何も言わずに沈黙している。

 

「誤解しないで欲しい。復讐などを考える気はない。第一今の黒江さんに手を出しだとしても父上の命はもう戻らない。だが不快は不快だ。金輪際関わらないでくれ」

 

「いえ!違い」

 

黒江さんが否定するや否や今まで黙っていた沙姫がもう我慢が効かぬ!といったように抜刀しながら距離を詰め、上身(かみ)を首筋に当てる。

 

おそらくスキルも使ったのだろう。黒江さんもほぼ反応できていない。多分だがこれ黒江さん戦闘できるタイプのクラスではないな。

 

「事情はわかりません。ですが旦那様をこれ以上傷つけないでください」

 

ここで誓えないのでならば‥と脅しているがこれ以上はいらないだろう。彼女は頭がいい。これが本気の殺意だと理解しているし沙姫の強さの根幹はクラスの強さではなくその技術だということもわかるはずだ。黒江さんの手駒としてやってくるのはどれだけ高く見積もっても特級科の一年。覚えてる範囲でそこまで上手いやつはいなかったはず。

 

それだけなら俺と沙姫で十分足りる。

 

「帰るぞ沙姫」

 

肩を抱き抱えながら振り返り、黒江さんを視界の外に外す。

 

「あんなものに時間は取られたくない」

 

悔しそうで、でもどこか納得したと感じられる彼女に似合わない表情は見なかったふりをして。

 

~~~~~~~~~~

 

自称相棒が声をかけてきたのは翌日のダンジョンの中だった。

 

『…おはよーさん』

 

どしたん?偉い遅いな。

 

『なれない関西弁とか使わなくていいから…記憶さかのぼって確認してたんだよ』

 

ふーん、そんなこともできるんだ。

 

「沙姫、そっち行った」

 

「はい!」

 

それにしても参層のボスが落とした腕の骨使いやすいな。外側上顆の部分を持ち手にするとめっちゃ取り回しよくてそこそこデカく、固いから鈍器として優秀が過ぎる。しかも多いから予備もあるし。

 

『蛮族かな?』

 

うるせえ。ちょっと気にしてることを言うな。購買で他の武器買おうにも高いんだよ。

 

…いっそのことこれを職人系クラスの人たちに加工してもらうってのもありだな。

 

『まあいいや。本題は黒江?とやらの話だ』

 

彼女が?なんかあったっけ?

 

『特級科に知り合いがいたってのもまあ驚きだが、あの子が持ってきてたのってあれだぞ』

 

変な動きをする木を折って倒す。

 

「いつもよりモンスターが多いですね」

 

「まあ仕方ないだろう。順路的にどうしても既知外領域に行かなければならなかったからな。今までが良すぎただけだ」

 

本気で文官ほしいから学内掲示板に乗せるか?どうやって書けばいいんだ?当方剣士1風神見習い1だろ?きつくない?

 

…クラスメートから適当にあさるか?昨日いた小野寺さんとこの息子さんに相談しとけばよかったな。

 

『あの子持ってたのパートナー証明書だぜ?』

 

「まじぃ?」

 

あまりにも予想外すぎて思わず声に出る。あ、やべ力加減ミスってドロップ品の枝折った。

 

「旦那様?どうなさいました」

 

沙姫に怪訝そうに見られる。

 

「いやなんでもない。昨日話していただろ?脳内のあいつと」

 

「ああ、同居人とやらと…よくわかりませんが」

 

「そいつが黒江さんが持ってた書類がパートナー証明書だと言っている」

 

「…なぜですか?」

 

「わからない」

 

『僕もわからん。だけどこれ魂の記憶だから鮮明にズームできるんよなあ…あってはいるんだけど動機がなあ。そもそも特級科のやつとパートナーになれんのか?わからん』

 

それからも沙姫が今回のダイブでレベルが20になっていたから聖堂に行きたいとか久々に寿司が食べたいやらさすがに学食のおばちゃんには頼めないやらとたわいのない話をしながら進んでいく。

 

そうするといつの間にか異様な雰囲気を感じた。

 

言いようのない不気味で、不思議で、去れどもどこかひきつけられる未知を纏ったにおいが進むにつれ濃くなっていく。

 

そして見つけた。

 

その異様なものを。

 

(レイド)を。

 

「…とりあえず場所を地図に書いてから帰るか」




自称相棒 GRゲージを使用して前に出れるが丸一日寝てしまう。指数関数的に上がっていくので一瞬だけなら自己補完の範疇で前に出れる。

風堂 レイドだ!凸りたい!という感情を懸命に抑えながらいったん帰る。とりあえず長期保存できる食べ物から用意するか。

沙姫 れいど?なんですかそれは

??? まあ仕方ないですよね



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