4月4週目。ゴールデンウィークを後少しの所で控えた頃。一週間ほど前に突如昔馴染みとエンカウントしてしまった俺はしばらくの間、思いっきり警戒していた。
いつ彼女からの刺客がくるのか、確か特級科は帯刀が許可されていたはずだからそれで校舎の中でいきなり勝負を挑まれるのか、それとも悪役令嬢ざまぁ系のように突如呼び出されて校庭での大観衆の中、公開処刑のような感じで決闘をするのか、または果たし状を下駄箱に入れて「ここで決着をつけましょう。そう、あなたの実家があった!ここで!」とばかりに悪役ムーブ全開で来るのかよりどりみどりでむしろ少しウキウキしながら警戒していた。
だが、特になんともなかった。
彼女は計画をきちんと練りながらも時には博打を打つ性格だったのは覚えている。俺の才能も過去の経験からある程度は把握されているだろう。ならぬくぬくパワーレベリングできるという特級科の利点を活かすために速攻で仕掛けてくると読んでいた。
だがそうではなかった。
『読み違えてたんじゃねーの?今頃多数でボコるために罠を張り巡らせている真っ最中なんじゃない?それとも油断してくるところを襲うとか?』
いやむしろそこら辺の可能性は薄い。彼女は誇れる勝利を好んでいるからな。油断しているところを襲うならあの時「ゆめゆめ油断しないよう」とか忠告してくるだろうし多数でボコるならその事を手紙にでも仲間を集めるようにと遠回しに書いて無理やりにでも俺に送ってくるはずだ。
『はえーよう知ってるな』
まあ幼少期に何度か遊んだからな。どんなことしたかとかはあんまり覚えてないけど。
まとめるとこの戦いは長期戦を覚悟しなければならないということだ。
『なら今この瞬間がベストだったな。納得したよ』
「
「よくやった」
駆け寄ってくる沙姫を抱きしめてよしよしと頭をなでる。
『えーと‥
まあ沙姫は自分の技術が資本だ。刀を使うことに特化したクラスなら最悪なんでもいいだろ。
『それは、そう』
「旦那様はクラスチェンジをなさらないのですか?」
グッなかなかに痛いところを突いてくる。これが天然!
『たぶん無知なだけだゾ』
「俺の風神見習いは少々特殊でな…なかなかレベルが上がらないのだ」
『今のところお前レベル18だからなーレベルのデータを表示できる電子学生手帳だってダンジョン攻略の時はほぼほぼもっていかないし、情報流出の危険があるからってネットにもつがならないようにアルミホイルで絡んでいるし、充電だってモバイルバッテリーでやるぐらい徹底してるよな。ようやるよほんと』
ほめてもらうのは悪い気分じゃない。
思わず嬉しくなって沙姫をなでる手をもっと早く動かす。
ほれほれここがええんじゃろ?
「くすぐったいですー」
イチャイチャしながら歩を進める。
小鳥が囀り、さわやかな風が吹く。
桜の木々がさわかやな揺れる景色はまさしく日本の誇り。
ふと耳をすませば
絶好のデート日和?だ。
「そういえばなまはげが最近学園に現れたって知っていますか?」
近くにあった適当なベンチに座りながら沙姫を膝に乗せる。
「討伐隊が結成されたと小耳にはさんだが本当なのか?」
ダンジョンからそのレベルの怪異が出てきたら礼治さんあたりが行かないとまずいんじゃないのか?
「本当らしいですよ。なんでも女子生徒を見境なく襲っては高笑いを残して去っていくようです」
こわ。妙に具体的で目撃談っぽい分真実そう。
…なまはげ伝説には確か怠け者や子供、初嫁を探して暴れるというのがあったはず。
追い返すために正装と酒の準備をするか?
「たとえなまはげがここに現れても沙姫には触れさせん」
塵も残さずすりつぶす。
そう宣言すると赤くなった沙姫が俺の胸筋に顔をうずめてくる。
ははっ愛いやつめ。
このままイチャイチャを実行してもいいがそれには少しばかり邪魔なものがいる。
沙姫をベンチに座らせて立ち上がり、喘ぎ声がするほうへと向かっていく。
先ほどから数人の男の喘ぎ声しか聞こえないためおそらく同性愛者の集まりなのだろう。俺個人としては結構苦手で俺の目に見えない場所でならどうぞご勝手にという感じのスタンスなのだが、この学園は同性愛に関してはかなり厳しい対応をしている。すこし気配を抑えているのはなんとなくわかるが俺に気づかれるレベルなら他の奴らにも気づかれてしまうだろう。なら今のうちに忠告しといて去ってもらった方が双方にとっても得だ。
そう考えて聖堂の青姦スポットとしてそこそこ有名な茂みに向かう。
風の流れからして三人か?
そして何か聞き覚えのある声が二種類。
『やはりおまえもホモか‥やりますねぇ!』
断じて違う。
お、人陰が見えた。
「おい。そとで盛るのはあまり褒められないぞ」
取り敢えず一人ぼっちでいた男に声をかける。
キョロキョロあたりを見ていたことから察するに監視役かな?
「お、おう‥ん?」
なんか見たことあんだよな。
「空閑風堂‥か?」
んー誰だっけ?
「なるほど‥きていたのかこの学園に!落伍者ごときが!復興のためにか!まさしくお笑いだな!」
あ、思い出した。
「甲田か‥懐かしいな」
いやー本当に懐かしい。小学生の時によく一緒に稽古したなー
何も見てなかったけどよく見たら制服特級科のやつだし。
とゆうかこいつ性的対象男だったのかよ。背筋がゾワっとするな。
「で?普通科の学生ごときが特級科たるこの僕に何の要件だい?」
ごときをやけに強調されるがまあ仕方がない。没落したのは事実だからな。んーならここで素直にいうと後々めんどくさそうだな。
「いや、少し声が大きいくてうるさかったからな。邪魔して悪かった」
そう言ってさっさと去ろうとすると後ろから肩に手を置かれ、にやにやとした顔で引き止められる。
「いやまあ待ちたまえ。2人だとどうしても飽きがきてしまってな。特別に君を加えてあげよう。泣いて喜べ」
え?3人じゃないの?面倒事の匂いがする。
「いや大丈夫だ」
「ん?君がここで断るとこの後に響くんじゃないのかなぁ?」
高笑いが響く。
下衆が。
そう思いながらも一応は知り合いなので少しついていく。
「ほら、あれを見たまえ」
指をさされたほうを見る。
そこには獣のように犯されている黒江結衣がいた。
しばらく自分の時間が止まる。
混乱している間に耳元で囁かれる。
「愉快だろう?かつての黒江家のお嬢様が今やあの有様だ」
「心も体も傷だらけで早乙女とかいう自身より身分の低いものに抱かれても反応さえしない」
「一週間前からこうなってしまっていてね。手を焼いているんだ。
「知っているかい?彼女の父は今やお前の父が元々いたポストについているそうだよ。絶好の復讐機会じゃないか?」
「やっちまえよ」
やっぱり面倒事だった。
一応義理は果たしたため少しばかり失望しながら踵を返して帰ろうとしたその時、
声が聞こえた。
たすけて
声にならない悲鳴が聞こえた。
おそらく発声する気力すらもないのだろう。
唇の動きだけでそう言っているのを理解してしまった。
彼女はズタボロだ。きれいな髪も、肌も、何もかも汚されている。
彼女に対してそこまでする価値も義理もない。
だが助けを求められた。
「仕方がない」
俺は、自分のために、自分が認められるために戦うということを誓ってしまった。
ここで彼女の声を無視するのはそれに準しているのか?
否、断じて否。
どれだけ不快な相手であろうとここでそれに応えないのは絶対に違う。
そのためには自分の快不快や手間を惜しむことなど不要。
ハンカチをポケットから取り出し、地面に投げる。
「本来ならば手袋なのだがあいにく今は所持してなくてな」
ただ単純にここでやらなければ男が廃る。
「拾えよ、甲田、早乙女」
理由はそれだけで十分だ。
「
黒江 あきらめても、心が壊れていても、救いを求め続けろ。続けるからこそ救いは来る
甲田&早乙女 前話で黒江をレイプしていた人たち。風堂には昔っから色々なところで上回られていて没落したと聞いた時に思わずスタンディングオペレーションした。黒江に風堂が襲われることで過去の溜飲を下げようとしたがなんか失敗した。
風堂 頼まれちゃあ仕方がない、ブチノメス
沙姫 旦那様遅いなー
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