3時になり、ダンジョンから脱出する。
2回目だがこの瞬間移動のようなことをしている感覚は正直あまり好きではない。そんなことを考えながら目をつぶり、少しした後目を開けたら能舞台のような広場に立っていた。
怪我をした右手を見るとまだ傷が残っている。
ジンジンと痛む。だがそれが生きていることを実感させてくれる。
周りを見てもボケーと気の抜けた表情をしている人が多い。
大半は体のそこかしこを触っていたり、安心したようなため息を吐いていたりして死んでしまったと推測できる。
『さっさと行くぞーまずは換金だ』
装備を持ったまますぐに立ち上がる。ファーストダイブとは違い、今回のダイブで正気を保っている人は少ないながらも少しはいるため目立つが異常とは見られていない。
好奇の視線を感じながらも小走りで向かう。
無事何事もなく購買部の2階に着く。
『着いたぜヒャッホウ!ほら、ゴブリンとかからドロップしたモンスタークリスタル出せ。ここで買い取ってもらえるから。え?場所がわからない?リュックの右サイドのポケットだよ』
言われるがままに右サイドのポケットを漁り、出てきた分を受付のお姉さんに渡す。数分後には3万銭ちょっとになって帰ってきた。
思わずスマホの画面を二度見してしまう。
本当にこんなにもらって良いんですか?と尋ねるとお姉さんは何か微笑ましいものを見たかのようにニマニマしながら大丈夫ですよと言ってくれた。
小躍りしてしまう。
思えばこれまでの人生の中で頑張りを貨幣で評価されたことはなかった。何というか感慨深いというか報われたというべきかとにかくうれしい。
ニヤニヤしながら上機嫌で自分の部屋に向かう。
ベットにボフンと飛び込みスマホの画面を眺める。数時間のダンジョンダイブで稼いだ額がそこには浮かんでいる。たかが数時間されど数時間、その活動の結果を目に見えて出されると心持ちがまるで変わってくる。
「…やるか」
ここに来た理由は母上から託された家を復興させるという願いをかなえるためでもあった。
それでいいと思っていた。だが今は違う。
自分のために、自分が認められるために戦うという理由が新たに加わった。
『おう、がんばろうな』
…一度でも死んだらこいつもいなくなってしまいそうだしな。
『それはそうと今日ゲットした銭は何に使う?僕は貯金して今後武器を買うのに使用したほうがいいと思ってるんだけど。それともあれかな?お疲れ様会的な感じで豪遊しちゃう?いっそのこと毎日潜ってこのくらいの銭毎日もらっちゃう?夢が広がるわマジで』
いろんな事考える前にとりあえず風呂入りにいかないか?汗がインナーに張り付いていて気持ち悪い。
『せやな』
お風呂に入った後、カツ丼を食べて寝た。
とろとろの卵が大変美味しゅうございました。
それからさらに一週間が過ぎた。
その間‥特に何もなかった!
ダンジョンダイブはしていたが参層からも進まずに毎回4万銭程を稼げていた。これなら特に問題はなく、順調そのものだと言えるだろう。
だがそうではなかった!
というのもクラス内ではある程度グループが出来上がっていて俺はそれから見事なまでに弾き出されていた。みんなコミュ強すぎない?俺なんてまだ一人たりとも話しかけられてないよ。
『初回のダンジョンダイブで一緒だった人とつるんでるんだろ。大体の人がそのままパーティーを結成してダンジョン攻略に行く。それ以外の周りの人は敵みたいなもんだからな〜最初からソロだった君に誰も寄りつかないのも仕方がない』
泣きたい。
専門教科であるメイス術や鍵開けでも友達はできないしこのまま俺は永遠にぼっちなのか‥
『本当に誰一人として話を続けられないのみてる分には死ぬほど面白かったけどな』
なぜだ‥話す時は笑みを絶やさずにできるだけ目線を合わせようとしているのに。
『それが原因じゃない?お前の笑顔怖いしそれで目線も合わせるとかsan値直葬もんよ』
良かれと思ってやったことが〜
『あるあるだから気にすんな』
脳内の自称相棒との会話で欠点を指摘されている最中、ふと気づくと俺が座っている机に女の子が近づいてきた。
どーせ通り過ぎるだけでしょ変な期待させないでくださいと変に卑屈になっていたがその子は俺の目の前で止まって俺に話しかけようとしていた。
寝たふりを結構していた俺は思わず顔をあげてしまう。
「風堂だっけ?」
そこにいたのは凛とした雰囲気の美人な女の子だった。
「ああ、君は確か沙姫さんだったかな?」
話しかけられた興奮を懸命に内にとどめる。
自称相棒がなんかうるさいが気にしない。
女の子はこういう時に興奮しているとドン引きするらしいからな。そこらへんの対策はバッチリだ。
「貴方、ソロで潜ってるでしょ?今日、一緒に何人かで、潜らない?」
こうしてみるとあれだな。すごい美人なせいで目が死んでいるのが結構気になるな。あとはなんだろうか変な気配がある。
「わかった。了承しよう。何時にどこ集合だ?」
まあそんなことはどうでもいいか。あ、ヤバイイイニオイスル。
「お昼食べたら、羅城門で。」
「わかった。よろしく頼む」
そう言いながら席を立ち、廊下に出る。
少々うるさいトイレの個室へ篭り、扉を閉める。
「うおっしゃ!」
やったやったぼっち脱出!しかも可愛い女の子に誘ってもらった!これもう卒業ってやつじゃない?いわゆるコミニュケーション障害ってやつ卒業じゃない?
思わずガッツポーズを決めてしまう。
今!俺は!自分を超越した自分だ!過去最高の自分だ!
過去に勝った!
『思念がうるせぇ』
すみませんでした。
その後、普通に授業を受け、普通にご飯を食べ、羅城門に向かった。
そこには妙に目が血走っている男子生徒2人と沙姫さんがいた。
初心者用のショートソードを持参している。個人的に剣はあまり好きではないが押し付けるほどでもない。
俺がきたことに男子生徒はびっくりしている様子だがそれ以外は何も反応がなかった。どうやら他のことを気にしている様子。分け前〜とかよんぴか〜とか言っているが何か仲間内だけに通じる専門用語だったりするのだろう。ぜひとも仲良くなりたい。
常世門に行き、紗姫さんをチームリーダにしてダンジョンに入る。
『この圧の薄さは‥壱層かな?』
戦闘準備に入りふと後ろ側にいるみんなを見る。沙姫さん達はどんな感じに連携するのか、どのような戦闘スタイルなのか相談しようと思っての行動だったのだが信じられないのを見た。
そこにはフェラをしながらもう一人の性器を手のひらで愛撫している沙姫さんの姿、それに興奮する男子生徒二人、そして
変な存在感を持つナニカがいた。
「え?どういうこと?」
『ハハックソワロタ確かに最初はそうだった』
自称相棒が辟易したような声色で言う。
『この子は
空閑 風堂(くが ふうどう)
今回初めて名前が判明したオリ主
そりゃ(急にセックスし始めたら誰でも)そう(いう感情に)なるよ
自称相棒
沙姫に話しかけられた時にダイコーフンしていたやつ。セックスは死んだ目でみていたし、乾いた笑いしか出てこなかった
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