七番隊の戦闘で日万凛と朱々は入浴をしていた。
「いよいよ交流戦だね。」
「準備バッチリよ。身体の武器化と違い敵が対策を知らない能力だし、いけるわ。」
楽しみにする朱々に対し、日万凛には勝つ算段があった。
しかし優希からすれば甘い。
ある選手曰く、過去のデータが現在を示すなら、過去の勝率のこのチームはすでに負けている。
「でも交流戦が終わればユッキーとのコンビ解散なんだよね?」
「そうね。あいつは基本は組長の奴隷だし、あいつとは別の能力あるし。」
日万凛のその言葉に自然と笑みを浮かべる朱々。
「でもあいつ自身ファフナーの能力を持ってるけどまずは今日に集中よ。交流戦の結果は魔防隊全体が知る。勝敗は組の・・・組長の評価に直結するわ。」
「かっこいい所見せないとね。」
朱々はそう言いながら親指を立てる。
「うん!自分のためにも!試合を組んでくれた組長のためにも負けられない!」
繻子帆の決意は固かった。
しかしそれは自分のためではなく京香のためでもあった。
「まずは今日に集中よ。交流戦の結果は魔防隊全体に知れるわ。勝敗は組の・・・組長の評価に直結するわ。」
「かっこいいとこ見せないとね!」
朱々はふちに腰掛け親指を立てる。
「うん!自分のためにも試合を組んでくれた組長のためにも、負けられない!」
日万凛の決意は固いものであった。
そんな時ふと朱々が気になったことがあった。
「そう言えば六番組って他に誰が来るんジャロ?」
そんな話をしているとBOM!と効果音が着くほど大きい胸を持つ隊員が入って来る。
彼女は二人の顔を見るなりにまっと笑う。
「早めについたんだけど、用意に時間かかるって言うから休みに来たよ~。」
のんびりとした口調で二人に話しかける。
「ほー。あんなの六番組にいたっけ?」
「若狭サハラよ。あまり外に出てこないタイプだから珍しいわね。」
朱々の問いに日万凛は自身の胸を隠しながら答える。
そんなサハラは風呂に入るなり寝る。
「そして寝てるとか面白い。」
「いい根性しているわね。」
ある意味感心してしまうのである。
そして時間は過ぎ、交流戦は寮から離れた開けた場所で互いのメンバーが対面していた。
「互いに出張メンバーが戻らんと交流戦の協議も限られてしまうな。」
「今回は予定通り一対一の決闘だね。」
京香と天花が話す側で審判である銀奈が進行を務める。
「審判は十番組の備前銀奈がやらせていただきます。」
彼女の能力、会員限定闘技場は条件型である。
まずは札に自分の名前を書き、それを埋める。
次に地面に円を描くことで結界を生成する。
この結界内で負ったケガはそんな傷も治すことができる。
この能力のおかげで交流戦に彼女は引っ張りだこである。
(我ながら本当に夢のような力だわ!魔防隊を馬塚で見られるもの!桃の恩章って気質や素養で決まる節があるけど、激同意!)
熱狂的なファンである彼女にとってこの能力は好都合であった。
「醜鬼が千匹来ても壊れない結界だね。」
「その調子で審判を頼む。」
「はい!天サマ!京サマ!劇頑張っちゃいます!」
二人に期待され目を輝かせる銀奈。
(趣味と仕事の兼任できる能力か・・・・・・・もしかしてこのSDP同様に実は精神的な面が桃に影響が?)
優希は能力が素養なのではなく、本人の奥底に抱くものが影響を与えているのではないかと考えていた。
優希はそんなことを考えながら銀奈を見る。
銀奈も優希の目を見たと他、冷たい目をする。
(女尊男碑の世界では仕方ないか。ま、気にしないで行こう。)
優希にすれば彼女の反応なの動でもいいレベルであった。
そんな優希の隣で亜応援セットを身に纏っている寧に目が行く。
「寧ちゃん、それは?」
「自分で作ったんです。寧は非戦闘員ですから。応援たくさんがんばります!」
意気揚々と答える寧に優希は笑みを浮かべる。
(美羽ちゃんも本来はこんな風に育つべき案だよな。もっとも、こんな物騒な方向じゃないのがいいんだけど。)
優希がそんなことを思う中、銀奈はマイクを手に司会を務める。
「早速交流戦を始めましょう!まずは第一試合!」
六番組からは八千穂が前に出て日万凛に対し指でしょう発をする。
「自分が行きます。」
日万凛が出ると優希も後に続く。
「能力の一環として彼も参加するわ。」
「構わん。犬使いに犬を使うなと言うのは酷だろう。男一人増えたところで何も変わらんのじゃ。」
八千穂も了承する。
「いくわよ。」
「わかってる。」
優希は日万凛の差し出された手に口づけをする。
優希は無窮の鎖・旋風へと姿を変える。
その光景に銀奈は興味を示す。
「ルールはギブアップもしくは戦闘右脳で負け!下が治るし思いっきりやっちゃってください!」
銀奈はルール説明をする。
「私様が買った後は東家に戻ってもらう。私様の部屋で過ごすのじゃ。みっちり矯正してくれるわ。」
「勝つのはこっちよ、八千穂。」
互いに意欲はあった。
「はっじめーっ!」
「予告して野郎、日万凛。お前は秒殺されるの―――」
一瞬目を離し、目の前を見た瞬間既に優希は必殺技の発射体制に十分入れていた。
「―――じゃっ・・・」
一瞬の出来事であった。
高速移動の勢いを利用し、腕を高速で突き出す。
地面から足、腰、背中、肩、腕へと力を伝える必殺技の烙印破が放たれる。
一瞬にして吹っ飛ばされる八千穂。
(なにしてくれるんじゃ!)
突然の出来事に動揺する八千穂。
その時東の辰刻が発動し、五秒前へと時間が戻る。
その間に起きた出来事は無かったことにされる。
優希の背中に乗っている日万凛は八千穂の息が上がっていることに気づく。
(疲労している!時間を巻き戻したわね!烙印破を喰らっても何とか能力を使えたか。そのパターンも想定してきた!)
「はっじめー!」
銀奈の合図と共に優希は旋回行動を取る。
「あんたも気づいた?」
「いやでも気づく。さっきと違い警戒してるからな!」
移動しながらも会話をする二人。
(行動を変えてきた。偶然か作戦か見極めねば。油断は消えた。お前は私様の能力が成長しているとは知らんじゃろ。姉に妹は勝てぬという世の摂理、東の辰刻にて証明してやろう!)
時間は遡り、風呂上がりの大椎所の時間まで戻る。
日万凛はサハラにあることを尋ねる。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
「ん~~~~?」
「今日に備えて八千穂は特訓とかしてた?」
「ん~~~・・・・」
「話せる範囲で構わないわよ。」
「・・・・・・・・ぐぅ・・・・」
「ちょっと!」
マイペースで考え事をするだけでも眠るサハラに指摘する日万凛。
「やっちはいつもと変わらなかったよ。機嫌は良かったかな。」
「・・・・・!」
サハラは胸を張るようにそう言うのは日万凛は自然と胸を隠す。
「舐められてるってことかね、ひまりん。」
「絶対倒してやる!」
そして時間が現在に戻る。
八千穂は桃の力が付与された拳銃を優希に向ける。
(日万凛に聞いたが、やっぱり威力が高いグロックか。旋回する相手に対して立ち止まってることは不正解なんだがな。)
自分を中心に円をあがく相手に対し、一点で立ち止まるのは不正解。
少しでも移動をすることで軌道に乱れを生じさせられるのだが、彼女の場合そう言ったことへの経験がない。
(少し釣ってみるか。)
優希は急ブレーキをかける。
(急停止からの再起動の時間は数秒。じゃがそこは貴様の敗因じゃ!)
八千穂は十を放った際に腕をL字にする。
(甘い!)
優希はすでにその対策を考えていた。
本来であれば歩幅を狭くして速度を殺さず接近もできる。
だがあえて大きな隙を与えたことで相手の行動を誘導した。
「今よ!」
優希は両足に力を籠め、一気に前へと跳躍する。
「!?」
烙印破は再度放たれる。
八千穂に大きなダメージが入り、血を吐く。
東の辰刻
そして五秒前へと戻される。
(両足の跳躍で一気にあの機体を加速とは、紙一重で喰らってしまったわ。じゃが、早めに能力を使えば予期を止めたタイミングで奴らは間近に来ているはずじゃ!東の辰刻!五秒止まれ!)
二回連続で東の辰刻を使う八千穂。しかし目の前のどこを見渡しても二人の姿は無い。
「おらんではないか!」
八千穂は周囲を見渡す。
そして気づいた時には後ろの、それも射程外の位置にいた。
「射程外!狙って行動を変えておる!」
八千穂は驚いていた。
自分が変わったように、日万凛もまた変わっていた。
(よし!能力を無駄撃ちさせた!)
(まずいな。今ので対策を与えるチャンスを与えた。)
優勢に立てると思った日万凛に対し優希は危惧していた。
「このまま作戦通りに行くわよ!」
「ああ!」
優希は再び旋回する。
(相手が日万凛の知っているままならこの作戦は上手くいく。でも能力で気になったのは、能力が進化できるか否か、だ。もし予想通りなら・・・・・)
優希の予想は当たった。
東の大辰刻
いつもとよりも大きなルーティーンで発動される。
優希たちに向かって走り、そしてマガジン全ての銃弾を優希の足にめがけて放つ。
この時すでに5秒が経過していた。
しかし、時は動いてはいなかった。
銃弾はさらに優希との距離を縮める。
さらに5秒が経過していた。
そして時は動き出し、優希の足に直撃する。
(まずい!)
優希はとっさに日万凛を投げ遠くに飛ばす。
優希はバランスを崩し倒れる。
「東の大辰刻!至高のポーズを取ることで操る時間が倍になる。」
「こんな・・・・技が・・・・出来てたなんて・・・」
「私様の成長度合いも天才的じゃ。それを計算に入れなかったのが敗因よ!」
八千穂が高らかに笑うその遥か遠い後ろから、黒い靄が出現し、そこから山陰に人型が出現する。
「へぇー、盛り上がってるみたい。少し様子を見よう。標的が増えるかも。相手が多い方がいいでしょ。」
「今回は我がやる!お前は三番組相手に暴れたからな!」
この戦いからすでに運命が決まっていたのかもしれない
君は知るだろう
どんなに抗おうとも理不尽な力の前に、成す術もなく敗北することが現実と言うことに