七番組の寮のロビーでなぜか優希に膝枕をしている天花を交えた七番組と六番組は一人の女性に注目していた。
「それでカノン、カノンは優希が言っていた世界の住人だという認識でいいのか?」
「ああ。」
その言葉に七番組は驚く。
「どういうことじゃ?組長の話では保護した桃の恩章持ちの女性としか聞いておらんぞ。」
「わたしも~。」
カノンのことを八千穂とサハラは表向きの事情しか知らなかった。
「そうだね。私も最初驚いたんだ。人類軍とかフェストゥムとかって話、正直作り話じゃないのかなって。でも一番驚いたのはカノンが日本があることに驚いたことだよ。」
「どういうことじゃ?」
「そう言えば言っていたな。かつてのアメリカが日本の富士山に向けて核を放ったと。」
その言葉に一同驚く。
「なんじゃその短絡的な考えは!」
「身勝手にもほどがあるわ!」
八千穂も日万凛も怒りを露にする。
「ああ。だがその被害は日本が消失するだけには留まらなかった。日本は多くのプレートに位置している。富士山がある位置は丁度三つのプレートの中心に位置してる。世界規模での災害が発生してそこからは多くの町や都市が壊滅的被害を被った。人類全体を巻き込んだんだ。」
「なるほど・・・・・確かに起こりうる事態だね。」
天花もカノンの説明には納得ができた。
「それでカノン、さっき優希君に起きたことや投与した薬については教えてくれる?」
「ああ。だがその前に・・・・・・出雲組長、貴女はどこまでファフナーについて知っている?」
「確かファフナーはフェストゥムのコアを使用している。ファフナーでなかれば対抗できない兵器であること、位だな。」
「では優希はリスクも言ってなかったんだな。」
「リスク?」
京香をはじめ優希のMK.XIIIの姿に何かあるのか気になった。
「確かにファフナーはフェストゥムを倒すのに有効な兵器であるが、同時に操縦者を蝕む。」
「どういうことだ?」
「先ほど優希の身体から結晶が出て来ていただろ?あれっはコアの浸食による同化現象、そして私が投与した薬はそれを中和する拮抗薬だ。」
聞きなれない単語が出ては来ているが穏やかな話ではないことは理解できた。
「ファフナーは強大な力を発揮するが同時に搭乗すればするほどに肉体を蝕んでいく。優希は同化現象への体制が高い方だ。だがそれでもザルヴァートルモデルは無理だったようだ。」
「あの白いのか?」
京香の言葉にカノンは頷く。
「あれは向こうで一騎が乗っていた機体だ。アレには乗れる人間が限られている。綿が知る限り、優希を含めて三人・・・・・・・いや、彼女も含めて四人だ。」
「それは島の意味でか?」
京香の問いに対しカノンは首を横に振る。
「世界と言う意味だ。」
「なっ!?」
その言葉に全員が驚く。
「世界だと!そこまで稀有な機体なのか!」
その言葉にカノンは頷く。
「大きい力の分、通常のファフナーと比べ同化現象も激しく進行している。優希が使ってもしばらく戦えてたが、この有様だ。」
「じゃ、じゃあユッキーに使わさなければ!」
朱々がそう言うが真っ先にそれが無理と判断したのは京香であった。
「それは無理だろう。」
「どうして!」
「あの敵が一人だとは私には到底思えない。他に仲間がいる可能性を考慮するべきだ。そしてそれがあれ以上に強い存在である可能性も視野に入れなければ我々も危険だ。何より、現状の私たちではアレが複数来た時に対処ができない。」
京香の言葉に一同反論できなかった。
対処できたのは組長と優希のみで、他の面々は醜ウキを倒すことでせいいっぱいであった。
「だが・・・・・このままでいるつもりはない。総組長の言っていた連携もそうだが、私たち自身も優希のあの姿に頼らないようにしなければならん!」
「はい、組長!」
「ガッテンです!」
京香の言葉に日万凛も朱々も頷く。
その時、優希が目を覚ます。
「あ、起きた?」
「・・・・・・すいません。いろいろあって話したいこととかあるのですが、まずは前かがみにならないでください。何かとは言わないのですが当たりそうです。」
前かがみになる天花に優希は離れて欲しいと懇願する。
「なにが当たるのかな?」
「天花、茶化すのは止せ。」
「わかったよ、京ちん。」
天花は体を逸らし、優希は体を起こすとカノンを見る。
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
互いに見つめあうだけで、一向に話はしない。
「どっちで呼べばいいですか?羽佐間カノンですか?それとも、カノン・メイフィスですか?」
「っ!?」
その言葉に目を見開くカノン。
「やっぱり、カノン先輩なんですね。」
「ああ・・・・・・」
カノンは否定しなかった。
優希はゆっくりとカノンの前に立つと深く息を吸って、吐く。
そして頭を大きく後ろにそらせ、頭突きをする。
「ちょ、ちょっと!」
「ユッキー!」
カノンはおでこを抑える。
「なんで・・・・・・・・・勝手に消えたんですか!島の未来を守るためとはいえど、勝手すぎじゃないですか!みんな泣いてたんですよ!剣司先生も、咲良先生も、羽佐間先生も!」
「っ!?」
「みんな・・・・・・・・貴女のおかげで救われて、生き延びれた・・・・・・・でも貴方が死んだら意味ないじゃないですか!一人で勝手に抱え込まないで欲しかった!誰にでもいいから、弱音を吐いてほしかった!・・・・・・・・・咲良さん、泣いてましたよ。教えた字で、別れの言葉を書いた時は特に。」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・でも、また会えてよかった。」
優希は涙を流しながらそう言った。
カノンも、自然と涙が流れた。
自らを犠牲にした彼女への祝福は、頭突きから始まった
君は知るだろう
痛みがあることに、喜びを感じることを
全てを失っていく中で再び痛みがあることが生きていると実感できるのであると