※この作品はR-18です。

魔都精兵のファフナー   作:ザルバ

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1 遭遇

「もどってきた・・・・・・・・・のか?」

 優希が戻ってからの第一声はそれであった。

 見知った景色は無く、荒野が広がり厚い雲で覆われた空。

 街の景色などは一切なかった。

「ここって・・・・・・・・魔都か。」

 優希は冷静に状況を分析する。

 数十年前に突如として全国に出現した。

 発生原因はいまだ解明されていない門が突如として開き日本を震撼させた。

 東京都ほどの大きさを誇る魔都とそこにしか自生しない桃。

 桃は食べれば力を与えるがそれは女性にしか発言しない。

 男女間の均衡は崩壊し、女性が主導権を握る世界となっていた。

「まぁいきなり町中にポツンと人間現れるよりいいか?」

 優希は歩き始める。

「・・・・・・・・・」

 優希はふと自分がいた場所を見る。

 しめ縄と石のオブジェが気になった。

「ここ以外にもあるのかな?」

 そう呟くと再び歩き始める。

 

「なーんもないな・・・・・・・」

 流石に何も起きない状況に呆れている優希。

「でもなんでここがあるんだ?それになんで女性だけなんだ?」

 優希は不可解と思うことが多いと改めて気づかされる。

 なぜ魔都は存在するのか?

 なぜ門は開くのか?

 なぜ醜鬼は人を襲うのか?

 誰が桃を先に口にしたのか?

 誰が最初に生き残れたのか?

 考えれば考えるほど人謎は深まるばかりである。

「しっかし、妙だな。」

 これだけ歩いているというのに誰とも遭遇しない。

 偶然なのか必然なのかは不明である。

「ちょっとやってみるかな?」

 優希は目を閉じて神経を研ぎ澄ませる。

(あれ?誰か探してる?)

 不意にクロッシングに似た感覚を感じ取るとそこに意識を向ける。

(聞こえる?)

(え・・・・・こっちに話しかけてます?)

(おおー、クロッシング出来た。)

(く、くろっしんぐ?)

(こっちの話。もしかしてもなくて魔導隊の人?)

(は、はい!私は大川村寧です!)

(これはどうもご丁寧に。俺は和倉優希。魔都災害に巻き込まれた認識でいいかな?そっちとはだいぶ距離離れてるみたいだし。)

 優希は目を開けてクロッシングをした方へ歩き始める。

(一応話をしながらそっちに歩くね。方向は間違ってないはずだから。)

(き、気を付けてください!醜鬼に襲われる危険性があるので!)

(助かるよ・・・・・・と言いたいんだけど早速最悪情報。足元でなんか動いてる!)

 優希は走り始める。

 優希が通り過ぎた場所から次々と醜鬼が姿を現す。

「最悪だろこれ!」

 優希は後ろを振り返ることなく走り始める。

(ポイント更新!全力でそっち向かってるけど追いつかれる可能性大!荒い運転でこっち来れる!)

(え、えっと・・・・・そちらに行こうにもジープでは途中止まってしまって時間が・・・・・・あ、今組長がそちらに向かってるので頑張ってください!)

(了解!)

 優希は走り始める。

「て言ってもマジで死にそうな瞬間なんだけどね!」

 走りながらふと優希は力を求めてしまった。

 あれほど望んでいた平穏な平和。

 しかし現実は時として非情である。

 力がなければただ蹂躙される世界。

 戦いから離れ平和を望んでいたはずなのに、求めてしまう矛盾。

(ああ、そうか。俺は向こうの世界がこっちと同じと思ってしまってたんだ。)

 長く向こうで過ごしたからこそ、もう終わったと思っていた。

 でも終わってはいなかった。

(もう一度、俺に力があれば今度は救える!俺の手で!手が届く誰かを!)

 その時、優希の奥底から何かが伝わってくる。

 この感覚を優希は知っている。

 忘れるわけがない。

 何年もの間、それを手にしてきた。

 それで戦ってきた。

 それで痛みを多く知った。

 それで未来を掴もうとした。

(そっか・・・・・・・・・・世界を隔てても、ここにあるんだ。)

 優希は嬉しくなり、微笑むと足を止める。

「何故止まった!あのままでは!」

 優希の元に向かっていた人物は驚く。

「俺は・・・・・・・・・・・・・ここにいるぞ!」

 その瞬間、優希の身体が緑の結晶に覆われる。

 優希を追いかけていた醜鬼も足を止め、彼の下に向かっていた人物は下僕にした醜鬼を止める。

 結晶が砕けると優希の姿は変わっていた。

 その姿は17番目の機体。

 ファフナー エインヘリアルモデル Mk.XVII(ズィーベンツェーン)である。

 Mk.XVIIの右手にガルム44マグナムを形成すると照準を醜鬼に定めて発砲する。、

 銃弾は醜鬼の胴体や頭部を貫通する。

(武器が通じてる!これなら!)

 Mk.XVIIは脚部のスラスターを吹かし再度移動をしながら放つ。

「組長、到着しまし・・・・・ええ!」

「何あれロボット!」

「寧の話してた人は多分あの人ですけど・・・・・でもあんな姿じゃありませんよ!」

 聞き覚えのある声に優希は反応しす、通信する。

「こっちの声聞こえてる?そっちの通信機の周波数で通信してます。」

「は、はい!聞こえます!」

「この周囲の索敵をお願いします。敵はあと少しですから。」

「は、はい!」

 寧は優希の指示に従い索敵をする。

「寧!」

「いや、妥当な判断だ。この状況で下手に前に出ても足手まといになる。」

 組長である京香は優希の指示を称賛する。

「奥の方で醜鬼が一か所に集まっています。それ以外はいません。」

「なんで集まってるの!合体でもするの!」

「ああ、その通りだ。」

 京香が通信に入る。

「目の前の敵を排除完了。そっちに行きます。」

 Mk.XVIIはトリガーから指を外して京香たちに近づく。

 流石に警戒をされるがそれは受け入れるしかなかった。

「魔導隊七番組組長、羽前京香だ。君は一体何者だ?」

「俺は和倉優希です。詳しいことを話したいんですけど・・・・・・・」

 Mk.XVIIは後ろを振り向くとそこには合体した醜鬼の姿があった。

「あれ殺さないと話になりませんね。」

 ガルム44を消滅させると今度はルガーランスを形成する。

「武器を形成した!?」

「これすっごい衝撃くるんで耳塞いで下さい。」

 優希は忠告をするとルガーランスの刀身を展開しエネルギーをチャージする。

「全員指示に従え!」

 その場にいた全員が耳を塞ぐ。

「いっけぇええええええええええええええええええ!」

 一撃が放たれると共に突風と衝撃が周囲に伝わる。

 そして放たれた一閃は醜鬼の身体を貫き、その大きな肉体を蒼い炎で燃やしていった。

「状況終了。元に戻りますね。」

 Mk.XVIIは全身を結晶で覆うと元の優希の姿へと戻る。

「は~、疲れた~。」

 優希は地面に座り込む。

「疲れているところすまないが色々聞きたいことがある。こちらに連行させてもらうぞ。」

「ですよねー。俺もそれは予想してたので抵抗しないです。と言いうよりどこ行ったらいいかわからないので。」

 優希は立ち上がる。

「それで俺はどっちに乗れば?」

 鎖で繋がれた醜鬼かジープの二択であった。

「私とだ。その方が色々都合がいい。」

「わかりました。」

 優希は指示に従う。

 

 本来の歴史とはまた別の形で交わった世界。

 君たちは知るだろう。

 この時の出会いこそが全てを変える運命であったということに。

 

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