「七番組に優希をくれと言ったのか?」
「そうだね。六番組に彼が欲しい。」
天花の言葉に京香は疑問に思った。
それぞれの隊には個々の能力があり、それで成り立っている部分がある。
優希がファフナーの能力やSDPを用いれば各部隊に底上げにもつながるのは理解できるが、なぜ欲しいのか理解ができなかった。
「私は子供のころから優等生でやってきて今の地位にいる。順風満帆であるけど、プライベートの時に退屈と言うか・・・・」
「退屈を感じれば鍛錬がいいぞ。私はイメトレでも醜鬼を倒しまくりだ。」
「そう言う話じゃないんだよ。」
京香の提案は肉体派の極端な考えであるが天花の場合は満たされている人生の中にあるたった一つの欠損を埋めてくれる存在を欲していたのだ。
「ペットが欲しいんだよ。激務で疲れた私を癒したり楽しませたりする男子を。」
「お前がその気なら沢山来るだろう?」
「今までの男の子を見ても全然ときめきがなかったね。でも奴隷クンはビビッとときたんだ。彼がいい。」
京香は呆気に取られる。
「事情は分かった。が、人型醜鬼と言う強敵も出て来て警戒態勢中だ。優希は手放せん。」
「そうだね。京ちんの能力と奴隷クンは紐づいている・・・・一度鎖でつなげば死ぬまで奴隷が基本。でも無窮の鎖も何かしらの条件つけて能力に幅を持たせたらそこら辺の融通も聞くんじゃない?私でも奴隷クン使えるととかさ。」
「今の優希が必殺技を打つくらいもっと能力の幅を持たせたいとは思っている。優希もあれで結構考えるからな。」
「どういうこと?」
「日万凛の時の形態を見ただろ?あの時の必殺技は優希が考えた。技のメリットデメリット、行動パターンもな。」
「なるほど・・・・・・・・ますます欲しくなったよ。融通を利かせて奴隷クンを渡してくれたら、次の組長選挙に京ちんを支持するよ。」
天花の申し出に驚く京香。
彼女にとってそれはまたとないチャンスでもある。
だが彼女はそんな事では揺るぎはしなかった。
「大変すばらしい提案に心が揺らぐと思っただろうが、総組長には自分の力でなるさ。部下を取引には使わん。」
そんな彼女の言葉に天花は微笑む。
「やっぱりだめかー。まぁ京ちんならそう言うと思った。じゃあプライベートで奴隷クンと付き合うのじゃ?」
「・・・・・・・プライベートにまで口出しはせん。」
「・・・・・そう。」
少し間を置いて話したことに引っ掛かりつつも天花は敢えて言わず納得する。
「天花、今度飲みに行こう。いい焼き肉屋を見つけている。私は退屈させんぞ。」
「ありがとう。楽しみだね。」
六番組からの帰り道、京香は優希に天花から言われたことを話した。
「カノン先輩のこともあるからですかね?」
「ペットとしてって意味だそうよ。」
「だったら飼いやすい小動物にすればいいのに・・・・・」
優希は運転しながらそう疑問に思う。
「でもまず俺は管理人ですけどね。」
「わかってるじゃない。」
「そうだな。お前は組に必要だ。だが天花にもいったがプライベートにまで口は出さんぞ。」
「管理人の仕事が多くてプライベートないのですが。」
京香の言葉に優希は自分の現状を答えた。
管理人としての業務がひと段落して優希は自室のベッドで仰向けに寝ていた。
(天花さん・・・・・・・・・か。あんな美人が俺を欲しい何って言ってくれるのは嬉しいけど・・・・・・・・・てか何で欲しいんだ?向こうにも管理人はいるって聞いているし・・・・・・あんな美人ならより取り見取りのはずでは?)
そんな疑問を持っていると気配を感じベッドに隠していた銃を取り出し向ける。
「わっ!」
「天花さん!」
部屋に来たのは天御鳥命で来た私服姿の天花であった。
優希はすぐに銃口を下に向けマガジンを引き抜くとスライドさせて銃弾を排出し、銃弾が残ってないかを確認する。
「すみません、銃を向けて。」
「ううん、気にしないで。急に来ちゃった私も悪いし。」
天花はそう言うと床に落ちている銃弾を拾い優希に手渡す。
優希はそれを受け取るとマガジンに装填して収める。
「銃の扱いに慣れてたね。」
「向こうじゃ人間同士でも争う機会ありましたし。」
「人類軍?」
「ええ。知り合いの人で何人かはやむを得ず殺したって聞きますし。俺も実際、銃を撃ってけがをさせました。」
天花は自然な流れで優希の隣に座る。
「そう言えば京ちんから聞いていると思うけど、君のこと気に入っているんだ。」
天花はそう言うと右手を優希の顔に添え、告白する。
「私と、お付き合いしてくれないかな?」
「・・・・・・・・・・・・ふぁっ!?」
優希は間抜けな声を出す。
「お付き合い!部下とかペットとかじゃなくて・」
「うん、普通の交際。ペットは君がかわいい方そう言いう例えだよ。」
「(女性からの告白初めてなんだけど・・・・・・・)俺のどこがそんなに?」
優希はなぜ自分に孫感情を抱くのかが理解できなかった。
実際優希は向こうでも結構モテてる。
が、悲しいかな掃除・炊事・洗濯のスペックが高すぎて女性陣は告白の勇気ですら持てなかった。
「ビビッときたんだ。仲間のために自己犠牲をいとわないハート、健気で気に入ったよ。」
顔から胸、そして手と撫でるようにおごカス。
「家事をこなす腕も確かだけど、京ちんに認められるなんて大した管理人だよ。後はーー」
天花は天御鳥命で消えると優希の背後に回り首を甘噛みする。
「わっ!?」
優希は突然のことに驚く。
「肌の感じも好きだな。顔もタイプ、寝顔とかいつまでも眺められるね。」
「ね、寝顔?!」
いつの間にか不法侵入されていることに驚く優希。
「気に入ってる理由わかった?」
天花はそう言いながら頬ずりする。
「全然頭が追い付てきません!」
「可愛い年下だから今は癒しのペットって感じだけどね。でも君がたくましく育ってくれれば甘えちゃうかも。」
そんな言葉に優希は顔を真っ赤にする。
その時天花の中の何かに火をつけた。
「・・・・・・・そんな表情されると、困っちゃうな。」
天花はそう言うと軽く口づけをする。
優希は褒美以外の初めての経験なので呆気に取られる。
「これ、キュンと来るね。こんな気分、初めてだよ。」
今度は首に手をまわしてディープキスをする。
優希の下の中で天花の舌が動き回る。
彼を知るために入念に何度も何度も舌を動かす。
「て、天花さん・・・・・」
流石の優希も冷静な判断ができず、顔が真っ赤な状態のままであった。
「やっぱり君は素敵だ。」
そう言うと優希を押し倒す。
「え?」
「もっと手順を踏みたかったのに、奴隷クンを何としても欲しくなってきた。」
天花の目は組長としての目ではなく、完全に女として目の前の男を刈る目をしていた。
天花は上着を脱ぎ始める。
「天花さん!」
「落ち着いて。服を脱がすだけだよ。」
「落ち着けないのですけど!」
「因みに、今着ている服は大切なもの?」
「いえ、普通のシャツですけど。」
それがわかると天花は能力を使う。
「はい、天御鳥命。」
器用にシャツだけ消滅させる。優希は咄嗟に背中を向ける。
「能力乱用ですよ!」
そんな優希を無視して天花は優希の腹筋に触れる。
「鍛えている腹筋、いいね。」
細くしなやかな手で触れ優希はぞわぞわと感じる。
「ねぇ、そろそろ告白の答えを聞かせてくれないかな?」
天花はそう言うと右手を左胸に添え、抱きしめる。
「1.告白にOK
2.急すぎて保留
3.断る 」
「2です!2!2!」
いくら優希でも見ず知らずの女性とすぐに付き合うなんて判断はしない。
「なるほどー。2は確かに傷つかない答えに見えるけど、NGじゃないんだ。」
「はひ?」
ものすごく嫌な予感がする優希。
「じゃあ逃げられないようにしちゃおうってお姉さんは思うな。」
そう言うと天花は優希の耳を舐め始める。
徐々に崩壊していく理性。
男としても我慢しているが状況が状況で理性を保てるかの瀬戸際であった。
「ユッキー、一緒にゲームしよ・・・・・う・・・・・・・」
「あ・・・・・」
風呂上がりの朱々が優希の部屋に入ってゲームを誘いに来たがタイミングが完全に悪かった。
「て・・・・・・・・・え、えええええええええええええええええええええええ!」
朱々の悲鳴が七番組の寮内に木霊した。
リビングには気まずそうに座る優希とあまり気にしてない天花が並んで座り、対面するように京香、その後ろで日万凛と朱々が立っていた。
「お前、そんなに肉食系だったか?」
「そこは奴隷クンの魅力かな?」
京香の問いに対して天花はどこ吹く風と言わんばかりの対応をする。
「はいはいはー!能力を使って勝手に入るのはヒッジョーシキだと思いまーす!風紀の乱れ、ダメ!絶対!」
麻薬撲滅スローガンなことを言う朱々。
「だそうだ。」
「わかったよ。じゃあ今日のところは帰るね。じゃあね、奴隷クン。」
天花はそう言うと天御鳥命を使い七番組を後にした。